「日韓通貨スワップ協定」深掘り解説
私は「独立の金融専門家」という立場から、日韓通貨スワップ協定を巡り、これまでも数本の記事を公表して来ました。一方で、韓国からは「スワップの規模は5兆円になる」(!)などとという、とんでもない報道(たぶん「飛ばし記事」)も出てきましたが、それを除けば、日韓通貨スワップ協定の交渉状況については、その後、ほとんど続報が出ていません。国民の関心もこれほど高い話題ですから、本日は「国家と為替レート」、「なぜ(日本との)通貨スワップが必要なのか?」という二点から、もう少しこの話題を掘り下げてみようと思います。
2017/01/07 21:00 追記
当ウェブサイトでは、「日韓スワップ」関連記事を、他にも多数、掲載しています。詳しくは、次のリンクもご参照ください。
日韓スワップ等に関する関連記事
関心が高い日韓通貨スワップ
日韓通貨スワップ協定を巡る日本国民の関心が高いようです。
私自身も先日、「日韓通貨スワップ」そのものについて、「独立の金融専門家」という立場から解説した記事「専門知識解説:「日韓通貨スワップ協定」」を執筆。また、9月末には、韓国内で報じられた「日韓通貨スワップの規模は5兆円に達する」という記事を基にした「5兆円スワップの怪」と称する論評を掲載したばかりです。しかし、日本国民の関心の高さと裏腹に、この件については続報が出ていません。そこで、本日は改めて、次の二つの側面から、日韓通貨スワップ協定の意味合いについて探っていきます。
- 国家と為替レート
- なぜ(日本との)通貨スワップが必要なのか?
- 上記2点を踏まえ、日本が何をしなければならないのか?
2016/10/07 07:00 追記:まとめ
あらかじめ本日の議論をまとめておきます。(この節は追記です。)
- 韓国にとっては日本との二カ国間通貨スワップ協定(BSA)は何かと都合が良く、是非とも日本との通貨スワップ協定が必要だ。
- 日韓通貨スワップ協定は形式上、「単なる通貨の交換協定」だが、日本から韓国に対する(潜在的)資金援助である(これを専門用語で外貨ポジションが強い国から弱い国に対する「信用補完である」と表現することもある)。
- 日韓通貨スワップ協定は韓国の破綻を予防することで間接的に日本企業を助けるという意味で、日本にも多少の恩恵があるものの、それは税金で民間企業を助けていることと同義である。
- 著者は一介の日本国民として、韓国に対する感情からは、日韓通貨スワップには反対である。
- どうしても通貨スワップ協定を締結するならば、「韓国を助けるため」ではなく「韓国に恩を売り日本の国益を最大化」するためでなければならず、金額も期間もできるだけ少なくすべきである。
2016/11/25 1630追記
当ウェブサイトではこの記事以外にも、「日韓スワップ」「人民元の国際化」をテーマにした専門論考を、多数掲載しております。
是非、あわせてご参照ください。オリジナルの2016年10月7日付記事は、この先から始まります。
国家と為替レート
初めに、多くの方々が誤解している点から説明しておきましょう。まず、「国家間の通貨スワップ」とは、二つの国が「通貨を交換する取引」であり、形式的には「対等の契約」です。しかし、実質的には「資金力が弱い国が資金力の強い国に助けてもらう」という側面が強いものです。
外貨ポジションとは?
北朝鮮のような「閉鎖的な国」は別として、一般に地球上の国は、他の国と「貿易」をしているはずですし、また、他の国に投資したり、他の国から投資を受け入れたりしているはずです。それは日本でも中国でも台湾でもASEAN諸国でも韓国でも、全く同じことです。
しかし、その際に使う「お金」は、一般的には「国際的に通用するお金」でなければなりません。たとえば、韓国の通貨「韓国ウォン」(KRW)が通用するのは韓国国内だけであり、日本をはじめとする外国では決して通用しません。このため、韓国の民間企業や銀行は、外国からお金を「外貨で」借りてくる必要があります。これが「外貨ポジション」です。そして、韓国の場合は、特に日本の銀行や資本市場などから、日本円や米ドルなどを調達しています(図表1)。
図表1 韓国の「外貨ポジション」
誰が? | 誰から? | 何を? | どうやって? |
---|---|---|---|
韓国の企業、銀行、政府など | 日本の銀行や日本の資本市場など | 外貨(主に日本円、米ドル) | 借入金、社債 |
その際、注意しなければならないことは、外国の銀行や市場が「いつでも同じ金利でお金を貸してくれる」とは限らない、ということです。たとえば、1998年のアジア通貨危機、2008年のリーマン・ショックなどの際には、リスクの高い韓国の企業や銀行にお金を貸さなくなる人が続出しました(図表2)。
図表2 過去に韓国を襲った経済危機
時期 | 出来事 | 概要 |
---|---|---|
1997~98年 | アジア通貨危機 | アジアで発生した通貨危機が韓国に伝播 |
2008年 | リーマン・ショック | 世界的な金融危機が韓国に伝播 |
韓国は、いわば、「10年に1回」は通貨危機に襲われている(しかも外国の要因により大きな打撃を受けている)という特徴があります。そして、お金を借りることができなくなると、韓国の企業は外国で活動することができなくなってしまい、最悪の場合は経営破綻してしまいます。
為替リスクと為替介入
また、通貨危機の際には、往々にして「弱い国の通貨が大きく売られる」という事象も発生します。日本だと「世界的な金融危機だと円高になる」というイメージがありますが、それは日本の通貨・円が世界的なハード・カレンシーであるとともに、米ドルと並んで世界で最も信頼されているからであり、逆に世界的な経済危機の際には、「リスクの高い国」(アジアだと韓国やASEAN諸国など)の通貨は暴落する傾向にあります。
自国の通貨が外貨に対して上昇・下落した場合の影響は、単純ではありません。なぜなら、自国通貨高となると、外貨は借りやすくなりますが、自分の国で作った製品を外国に売る時の値段が上がってしまうなど、為替変動には長短両面があるからです(図表3)。
図表3 為替変動の影響
局面 | 貿易面 | 資金調達面 |
---|---|---|
自国通貨高 | 自国通貨高となると輸出競争力が下がり、売上高の圧迫要因となる | 外貨建の負債の価値が下がるため、債務負担が軽くなる |
自国通貨安 | 自国通貨安となると輸出競争力が上がり、売上高の上昇要因となる | 外貨建の負債の価値が上がるため、債務負担が重くなる |
韓国政府は為替相場に「目標レンジ」を置いていて、同国の中央銀行は常時、不透明な為替介入(自国通貨売り・ドル買い、あるいはその逆の取引)を行っている疑いが強いとされていますが(※)、事実なら、「グレーな為替操作」だと批判されても仕方がない行為です。実際、米国議会でも韓国(South Korea)は「為替操作国」認定対象として頻繁に「やり玉」に挙げられています。
韓経:「為替市場介入の自制を」…米財務省、韓国に警告(2016年03月07日10時46分付 中央日報日本語版より)
※余談ですが、日本の場合、「こっそりと」為替介入を行うことなどできません。財務省は「外為平衡操作の実施状況」を毎月公表しており、為替介入を行ったら直ちにニュースになってしまいます。また、実施状況については過去の分まで含めてエクセルデータでもダウンロード可能です。
無限の為替介入は不可能
ただ、為替介入を行うにしても、無限にそれを行うことはできません。
たとえば、「自国通貨高を防ぐための自国通貨売り・外国通貨買い」の場合、自国通貨を無節操に市場に売却すると、結果的に貨幣供給量が増え、「金融緩和」を行ったのと同じような効果が生じてしまいますし、その資金を市場から吸収しようとすれば、中央銀行が債券を発行するなどしなければなりません。また、財務省など中央政府が為替介入を行う場合、中央銀行と違って中央政府には通貨を発行する権限などありませんから、市場で国債を発行して自国通貨を調達し、それを売らなければなりません(図表4)。
図表4 自国通貨売りの制約
?区分 | 方法の概要 | デメリット |
---|---|---|
中央銀行が行う場合 | 自国通貨を発行してそれを外為市場で売却し、外国通貨を購入する | 通貨市場に自国通貨が大量に供給されるため、金融緩和と同じ効果が発生する |
中央政府が行う場合 | 自国で債券を発行して自国通貨を調達し、それを外為市場で売却し、外国通貨を購入する | 国債を発行するため、利息負担が発生する |
このように、「自国通貨を売る方の為替介入」についても様々な制約があるのですが、もっと難しいのは「自国通貨を買う方の為替介入」です。自国通貨安を防ぐための為替介入(もっというと「通貨防衛」)を行うためには、外貨準備の中から外貨を売るか、外国から外貨を借りてきて売るしかありません(図表5)。
図表5 自国通貨買いの制約
?区分 | 方法の概要 | 欠点 |
---|---|---|
外貨準備を売る方法 | 自国の外貨準備を売り、自国通貨を買い入れることで通貨安を防ぐ | 通貨防衛は外貨準備の範囲内でしかできない |
SDRを使う方法 | 国際通貨基金(IMF)から配分された特別引出権(SDR)を使って外貨を借りてくる | IMFから外貨を借りているのと同じ扱いとなってしまう |
スワップ協定を使う方法 | 外国との通貨スワップ協定により外貨を借りてくる | 事前にスワップ協定を締結しておかなければならない |
そして、外貨準備が枯渇し、SDRやスワップ協定で調達した外貨すら使い果たした場合には、その国は「破綻」するしかありません。その国の中央政府・中央銀行・民間企業は、対外的な信用を失って国際的な資本市場から締め出されることになるでしょう。
なぜ(日本との)通貨スワップが必要なのか?
もう一つの論点は、なぜ通貨スワップ(特に、「日本との」通貨スワップ協定)が韓国にとって必要なのか、ということです。
通貨スワップは国家間の資金の貸し借り
まず、通貨スワップも「国家間の資金の貸し借り」です。これについて、他の「資金調達手段」と比較して考えてみましょう(図表6)。
図表6 中央政府(特に韓国政府)にとっての資金調達手段
資金調達手段 | 概要 | 備考 |
---|---|---|
外貨建国債の発行 | 外国の資本市場で外貨建の国債を発行し、資金を調達する | アルゼンチンなどのように、国家であっても債務不履行を起こすことがあり得る |
IMFのSDR | IMFから割り当てられたSDRを使い、他のIMF加盟国から「自由利用可能通貨」を引き出す | SDRの使用方法については「人民元のハード・カレンシー化という誤解」も参照されたい |
多国間通貨スワップ協定の利用 | 多国間で成立している協定に基づき外国から外国通貨を借り入れる | 韓国も参加しているものとして「チェンマイ・イニシアティブ・マルチ化協定」(CMIM)がある |
二国間通貨スワップ協定(BSA)の利用 | 外国との間で事前に締結しておいた通貨スワップ協定により、自国通貨を担保にして外国から外国通貨を借り入れる |
中央政府(特に韓国のように、外貨準備高が流動性の低い資産であると疑われているような国)が外貨を借りなければならないときは、「緊急事態」であり、「外貨建国債の発行」は、外国の資本市場で「足元を見られる」可能性があります。つまり、かなりの高金利でなければ資金調達できない、ということです。
一方、IMFのSDRについては、以前も当ウェブサイトの記事「人民元のハード・カレンシー化という誤解」で触れたとおり、使い勝手は決して良くありませんし、最近の使用実績としても、ギリシャが2014年にIMFからの債務を弁済するのにSDRを引き出したなどの実例くらいしかありません。何より、韓国に割り当てられている金額は約23億SDR(約33億ドルに相当)と少額であり、金融危機の際には到底、役に立ちません。
さらに、CMIMは「多国間協定」(韓国にとっての限度額は384億ドル)ですが、韓国がCMIMから外貨を借り入れるとなれば、日本、中国、ASEAN諸国などが関係してきます。韓国にとっては「日本は無理を言っても大丈夫な相手」かもしれませんが、ASEANや中国はそういう訳にはいきません。さらに、384億ドルのうち、30%を超えて引き出す場合には、IMFが介入してくるため、韓国にとっては何かと厄介です。
そこで、「危ない時にすぐに引き出せる」という長所のある通貨スワップ協定が、韓国にとってはぜひとも必要なのです。
通貨スワップなら何でも良い、という訳ではない
ただ、韓国にとって、「外国との通貨スワップ協定なら何でも良い」、という訳ではありません。具体的には、「どの通貨を」「どの国から」調達するか、という点です。
日本経済新聞社の鈴置高史編集委員のレポートによると、韓国は現在、5つの国と通貨スワップ協定を締結していますが、ドル換算で見てみると、次の通りです。
- 中国:約560億ドル相当
- インドネシア:約100億ドル相当
- UAE、マレーシア、豪州:それぞれ約40~60億ドル相当
金額だけで見ると、中国とのスワップ協定の金額が最大ですが、残念ながら中国の通貨「人民元」は国際的なハード・カレンシーではありません(このあたりは「人民元のハード・カレンシー化という誤解」もご参照ください)。また、そのほかの4か国についても、韓国が「もっとも欲しがっている」通貨である米ドルと交換可能な協定は一つもありません。
そこで、韓国にとっては、「協定さえあればいつでも文句を言わずにお金を貸してくれる」日本とのスワップを、それこそ「喉から手が出るほど」欲しがっているのです。
韓国にとっての日本とのBSAの長所
では、韓国から見た日本との二カ国間通貨スワップ(BSA)の長所をまとめておきましょう(図表7)。
図表7 韓国にとってのメリット
ポイント | 概要 | 備考 |
---|---|---|
IMFとの関係 | 日本からBSAでお金を借りても、IMFは関与して来ない | CMIMで借りた場合、金額によってはIMFが関与する |
スワップの対象 | 国際的に信頼されている通貨・日本円はもちろん、日本が相手ならば米ドルも貸してくれる可能性がある | 日本は100兆円を超える外貨準備を有しているほか、日銀は米FRBと無制限の通貨スワップ協定を締結している |
日本に対する精神的優位性 | 韓国人は歴史教育等を通じて「過去に日本は韓国を植民地支配するなど残虐な行為をした」と信じ込まされており、日本から借り入れる(あるいは踏み倒す)ことに精神的抵抗は少ない | 韓国は日本に対して精神的優位に立つために、朝日新聞社と植村隆が捏造した「従軍慰安婦問題」などを徹底的に利用している |
また、韓国ではつい先日も、「再開される予定の韓日スワップの規模は500億ドル(日本円にして約5兆円)規模になる」という報道が出ています。これについては以前の記事「日韓スワップ「500億ドル」の怪」にて指摘したとおり、単純な韓国政府側の「願望」をそのまま記事にしただけの、単なる「飛ばし記事」である可能性が一番高いです。もっとも、「中国が500億ドル相当のBSAを締結しているのだから、日本はそれ以上の金額のBSAを締結しなければならない」といった議論を見ているだけでも、韓国という国の理論構築力の稚拙さには呆れるばかりですが…。
日本はどうすべきか?
では、日本はこの問題に、どう対処すべきなのでしょうか?
日本にメリットはあるの?
日韓通貨スワップ協定を巡っては、日本の財務省やマス・メディアなどを中心に、「日本にもメリットはある」「通貨スワップは資金援助ではない」と主張する意見が見られます。主な主張内容は、だいたい次の3点でしょう。
- 韓国に通貨危機が発生すると、韓国と貿易している日本企業や韓国に投資している日本企業にも思わぬ損失が発生する(かもしれない)。通貨スワップは通貨危機を未然に防ぐものであり、これらの日本企業にも間接的に役に立つ。
- 為替相場(特に米ドル・韓国ウォンの為替相場)が安定し、企業の事業計画の安定などにも役立つ。
- 通貨スワップ協定は「単なる通貨の交換」であり、別に韓国に対してお金をあげるという「資金援助」ではない。
このうち、(1)~(2)は「通貨スワップ協定を締結することで日本企業にも恩恵がある」、(3)は「お金を『貸す』だけであり、『贈与』するものではない」といった主張であり、一見するとどれももっともらしく見えます。しかし、結論から言えば、この(1)~(3)のロジックは、すべて間違っています。
日本国民の潜在的な負担、民間企業を税金で助ける
まず重要なことは、日本は「自由主義国である」、という点です。言い換えれば、国際的な貿易や投資の世界では、「カントリー・リスク」を取るかどうかの判断も含めて、その民間企業が自社の責任で行わなければなりません。つまり、確かに韓国が通貨危機に巻き込まれると、それによって韓国と取引している日本企業は困りますが、それも含めての「自己責任」であり、「貿易・投資で韓国と関係している日本企業を助けるため」というロジックは、「国民の税金で一部の日本企業を助けている」というのと全く同じです。これは自由主義社会における公正な企業間競争を歪める、ということであり、上記ロジックのうち、特に(1)については全く説得力などありません。
次に、(2)については、上記でも述べたとおり、韓国が平時から、非公式に(しかし公然と)為替介入を行っていることは有名です。平時から自国に有利な方向に為替誘導を行っておきながら、危なくなったときに日本に縋り付くというのも、実に身勝手な理論です。そして、危機を脱したら韓国当局は再び韓国企業にとって有利に働くように(つまり日本企業に不利に働くように)為替介入を行うでしょう。つまり、日韓通貨スワップが存在していようがいまいが、韓国は為替相場を人為的に操作しているのであり、日韓通貨スワップの存在は為替相場の安定とは無関係です。
最後に(3)について、です。ギリシャ国債やアルゼンチン国債の例に見るまでもなく、外貨建債は「デフォルト(債務不履行)」を起こすことがあり得ます。これは通貨スワップ協定であっても全く同様であり、韓国が外貨準備を売り払い、SDRを引き出しつくし、BSAやCMIMの資金を全額借り入れた挙句、それでも通貨攻撃に勝てずにデフォルトしてしまう、という可能性は十分にあることです。したがって、通貨スワップ協定とは、「単なる通貨の交換」というよりは、「(信用力の弱い)韓国ウォン」を担保に、「(信用力の強い)日本円や米ドル」を貸し付けるという行為であり、融資が焦げ付いたときには担保として預かっている韓国ウォンの価値など皆無になっています。その意味で、通貨スワップ協定は「韓国にとって非常に有利な条件で外貨を貸し出す行為」にほかならず、明らかに「資金の援助」なのです。
通貨スワップ協定も国益の実現手段
いつも申し上げている通り、日韓は「隣国同士」ですが、だからといって「隣国同士だから無条件に仲良くすべきである」というものではありません。特に、韓国が日本に対し、慰安婦問題をはじめとする様々な嫌がらせを仕掛けてきていることや、それにより日本の尊厳が随分と傷つけられ、貶められていることを考えるならば、私は日本国民の一人として、韓国と仲良くしたいという気持ちなど一切なく、むしろ感情からは、「外貨不足で困ってしまえ!」などの極論で韓国を突き放したい気持ちでいっぱいです。
ただ、それと同時に、日本が現在、中国の軍事的暴発リスクや北朝鮮の核問題などの国際的課題に直面していることも事実であり、韓国と「事を構える」ことには慎重でなければなりません(あるいは、言葉は悪いのですが、少なくとも韓国に日本の外交を「邪魔される」ことは避けなければなりません)。逆に言えば、韓国が日本の邪魔をして来ない限りは、極端な話、韓国が国家破綻しようがどうなろうが、日本にとっては別にどうでも良い話です。
そこで、日本にとっての最大の懸案である「中国の軍事的脅威」の問題が落ち着くまでは、期間限定で少額の日韓二カ国間通貨スワップ(BSA)を締結するというのも一つの考え方かもしれません。しかし、もし万が一、日韓通貨スワップ協定を復活させるにしても、あくまでも「日本が韓国を助けてやっている」という実態を世界に向けて示すだけで良いはずです。だいいち、「500億ドル」という金額はあまりにも極端です。せいぜい50億ドル程度が関の山でしょう。また、スワップ締結交渉をうんと長引かせ、朴槿恵(ぼく・きんけい)大統領が退任するまでスワップを締結せず、次の政権(2018年2月~)になってから短期間のスワップ(3か月とか)を締結することで、韓国の次期政権の行動も縛ってしまうというのも一案かもしれません。
いずれにせよ日本政府に一番お願いしたいことがあります。それは、「日韓通貨スワップ協定」も「韓国を助けるため」ではなく、「日本の国益を最大化するため」に利用して欲しい、ということです。過去の実例に照らしても、韓国は日本がどんなに助けたところで、絶対に日本に感謝して来ることはありません。しかし、米国との関係で通貨スワップ協定を締結せざるを得ないのであれば、
- 規模はできるだけ少なくする
- 期間はできるだけ短くする
- 交渉はできるだけ長引かせる
という形でお願いしたいと思います。
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経済・金融に関する用語集
どうか引き続き、当ウェブサイトをご愛読ください。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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で、スワップはやっぱり韓国を助けるものなの?
コメントありがとうございます。
日韓通貨スワップ協定は、基本的に「ソフトカレンシー国」である韓国を一方的に救済する措置だとご理解いただいて間違いないと思います。
韓国が民意と主張するなら日本の民意はスワップ絶対反対です
前略ごめんください。
記事へのコメントではないですが、
本日、先生の著書「外貨建投資 ヘッジ戦略の会計と税務」をジュンク堂札幌店で立ち読みしたところ、同一のページがダブって製本されていましたので老婆心ながらお知らせしておきます。(小生は購入してません。最初のページに後部が製本されてました)
最後に、いつも同感しながらコメント拝見しております。 敬具