AIIB「参加意思表明国」増加の真相

中国が主導する国際開発銀行であるAIIBに参加すると表明した国の数が77カ国に達しました。一見すると、中国にとっては「一帯一路構想フォーラム」を前にした華々しい成果ですが…?

「一帯一路フォーラム」当日の「成果」

「AIIB77カ国加盟」報道のウソ

昨日、日経など複数のメディアが、「AIIBへの加盟国が77カ国に増えた」と報じました。

アジア投資銀、チリなど7カ国加盟 77カ国・地域に(2017/5/13 18:50付 日本経済新聞電子版より)

この報道は、ヒトコトでいえば悪質です。というのも、AIIBへの「加盟」(ただしくは「批准」)国数は、現段階で52カ国だからです(図表1)。

図表1 AIIBへの「参加表明国」と「現時点の批准国」
参加承認or署名日国数うち批准済みうち批准未了
2015年6月29日50カ国48カ国2カ国
2015年8月21日1カ国1カ国
2015年9~12月6カ国4カ国2カ国
2017年3月23日13カ国1カ国12カ国
2017年5月12日7カ国7カ国
合計77カ国53カ国24カ国

(【出所】AIIBウェブサイト)

日経の報道では、タイトルの段階で、あたかも「現時点で77カ国が加盟(批准)済み」であるかのように読者を誤解させていますし、記事の本文にも、

AIIBのメンバーは77カ国・地域となる

と、明らかに事実と異なる内容が書かれています。

事実に即して正しく記載するならば、「AIIBへの参加を表明した国は77カ国であり、うち批准済みの国は52カ国である」とすべきでしょう。

日経の本社ビルは「経団連会館」と近接していますが、果たして経団連の意向でも受けているのでしょうか?いずれにせよ、ちょっと調べればわかることですが、日経の報道は明確な誤報です。日経を初めとするメディアの猛省を促します。

今回も日米両国は参加を見送る

AIIBのウェブサイトによると、今回、参加が承認された国は、次の7カ国です。

  • アジア…バーレーン、キプロス、サモア
  • 地域外…ボリビア、チリ、ギリシャ、ルーマニア

なぜキプロスが「アジア」(Regional)でギリシャが「地域外」(Non-Regional)なのか、かなり意味不明ですが、ここで重要な点は、AIIBへの「参加を表明した国」77カ国の中に、日本と米国が入っていない、ということです。

現段階で判断する限り、昨日『【速報】AIIB加盟論「再浮上」報道を検証する』で指摘したとおり、「日本政府内でAIIBへの加盟論が再浮上」とする報道は、おそらく虚報でしょう。

批准が終わらない国がこんなにあるとは!

私の主観的な観測ですが、おそらく、AIIBに「参加する」と表明する国の数はこれからも、増え続けるでしょう。なぜなら、中国当局は実利よりも「メンツ」を重んじる嫌いがあるからです。

ただ、その実態は「お寒い限り」です。確かに現時点でAIIBに「参加する」と表明し、AIIB側から承認された国の数は77カ国ですが(ただし、香港を「1カ国」とカウントしています)、批准が終了していない国の中には、署名日から2年近く「たなざらし」となっている場合もあるからです(図表2)。

図表2 署名を2015年に済ませているのに、批准が未了の国
署名日
ブラジル2015/6/29
クウェート2015/12/4
マレーシア2015/8/21
南アフリカ2015/12/3
スペイン2015/6/29

つまり、「創業メンバー」57カ国の中でも、5カ国が、いまだに加盟手続を終わらせていないのです。これだと「看板に偽りあり」ですね。

なお、今年3月と5月にAIIBへの加盟が承認された20カ国の中で、現時点で批准手続を終わらせているのは、エチオピア(3月23日に加盟承認、5月13日に正式加盟)です。

正しい「AIIB加盟国数」

いずれにせよ、AIIBが公表するデータから判明する、本日時点での「AIIBへの加盟国数」は、77カ国ではありません。53カ国です。この点を決して間違えないで欲しいと思います。

 

読者コメント一覧

  1. 湘南波太郎 より:

    中国の一帯一路構想、またはその国際会議の内容についてのご意見も伺いたいと思います。

  2. めがねのおやじ より:

    AIIBは正しくは53カ国が批准完了で、創業国のスペイン、南アなどがほったらかし。いいですね、このクラスの国は何をしても大ごとにならず、中華からプレッシャーもないようで、羨ましい。バカにしてるのではなく、遠すぎてコントロール不能、付かず離れずの距離です。日本はそうはいかない。それと今回参加決定がボリビア、ギリシャ他(笑)。数だけ増やしゃいいってもんでもないが。とにか
    く遮二無二日米に入らせようとしてますね。10日で5割という悪徳金融ではないが、版図まで盗ろうという国は、絶対近づいてはいけない。
    また北鮮がミサイル撃ちました。射程2,000km級、日本海に落下。トランプ大統領は動くのでしょうか。今回は従来以上になんか気になります。文大統領が悪手打って一気に支持率1ケタ台になったり。南鮮はいつもチョイスを悪い方へ悪い方へ打つので、とても楽しみです(笑)。

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