【速報】AIIB加盟論「再浮上」報道を検証する
本日2本目の緊急配信です。明日の中国の「一帯一路フォーラム」を控えたタイミングで、再び「正体不明の観測報道」が出て来ました。今回の報道源は共同通信です。
共同、「安倍政権内でAIIB参加論『再浮上』」の怪
共同通信は昨日、「安倍政権内でAIIB参加論が再浮上した」と報じています。
AIIB参加論再浮上/安倍政権、情勢見極め判断(2017/5/12 20:40)
AIIBとは、中国が主導する国際開発銀行(MDB)である「アジアインフラ投資銀行」のことです。AIIBは2015年7月に発足し、2015年中に57カ国が参加を表明。2017年3月に入り、13カ国が新たに参加を表明したことで、現在、70カ国が「参加を表明」しています(※後述しますが「70カ国が出資済み」ではありません)。
この報道をどう見るべきでしょうか?
共同通信がその根拠として挙げているのは
- 自民党の二階俊博幹事長が前向きな姿勢を示していること、
- 関係省庁からも早期参加が望ましいとする声が出ていること
の2点です。ただ、いずれも論拠としては薄弱です。
まず、二階幹事長がAIIBへの参加を強く求めてきたことは、今に始まったことではありません。もともと二階氏は「親中派」ですし、明日から中国で開催される「一帯一路フォーラム」にも参加を予定しているほどです。また、二階氏は以前、香港のテレビの取材に対し、AIIB参加の可能性に言及していますが、これについての分析は、すでに先週の速報記事『AIIBと通貨スワップ・最新版』で触れています(※余談ですが、その意味で、共同通信の報道は「周回遅れ」です)。
次に、「関係省庁」が何を指すのかわかりませんが、少なくとも財務省の官僚がAIIBへの参加に前向きなのは当たり前です。私もかねてから繰り返してきたとおり、日本がAIIBに参加すれば、財務省などにとっては「天下り先が増える」というメリットがあります。ただし、日本がAIIBに正式メンバーとして参加すれば、財務省などが天下り先を確保することと引き換えに、日本が保有する莫大なインフラ金融ノウハウがAIIBに流出するということです(※余談ですが、これなどまさに「省益あって国益なし」の典型例だと思います)。
「二階氏がAIIB参加に前向きな姿勢を示した」ことや、「関係省庁(?)から早期参加が望ましいとの声が出た」ことは、「安倍政権内でAIIB参加への参加論が(今の段階で)再浮上した」論拠としては極めて薄弱です。
AIIB出資国は52カ国に留まる
ついでに申し上げておきますと、メディアの間で、「AIIBに出資した国は70カ国」とする報道が見られますが、これは明らかな間違いです。また、共同通信の記事も
「AIIBに加盟するメンバーは現在、計70カ国・地域。今後も増える公算が大きい。」
と述べていますが、これも表現としては随分とミスリーディングです。正しくは「加盟する意思を表明し、AIIBに承認された国は70カ国・地域だが、国内批准を終え、出資まで履行した国は52カ国」です(図表)。
図表4 AIIBへの参加国一覧(金額:百万ドル)
区分 | 国数 | 出資予定総額 |
---|---|---|
批准済(アジア) | 35カ国 | 72,739.4 |
批准済(非アジア) | 17カ国 | 19,233.4 |
批准未了(アジア) | 7カ国 | ― |
批准未了(非アジア) | 11カ国 | ― |
合計 | 70カ国 | 91,972.8 |
(【出所】AIIBウェブサイト)
つまり、AIIBには「70カ国が出資している」状態ではありません。「国内の加入(批准)手続が終了した国」は、現状では52カ国です。細かい事項ですが重要ですので補足しておきます。
「乗り遅れ論」の意味不明
さらに、共同通信は「日本が乗り遅れることへの危機感」とありますが、これなど意味不明です。
この点、アジアでインフラ投資資金の不足が見込まれる中、AIIBにはアジア開発銀行(ADB)を補完する資金供給源としての役割が期待されていることは間違いありません(詳しくは『ADBとAIIBの「役割分担」の時代』などもご参照ください)。ただ、安倍政権(あるいは麻生副総理)のの立場は、「日本がAIIBに乗り遅れる」ことではなく、「日本やADB、世銀などの案件をAIIBに引っ掻き回されること」をむしろ恐れています(これについては『専門家が見る、中国金融覇権の「無謀」』などもご参照ください)。
このような観点からは、AIIBが無謀な貸し込みをしないかについては日本としても監視する必要があるのです。
その意味で日本が何らかの形でAIIBに「関与」(「参加」ではありません)することにはそれなりの意味があります。ただし、日本がAIIBと関わるとしても、正式なメンバーとして参加するのではなく、あくまでも「オブザーバー」としての関与に留めるべきでしょう。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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確かに、よくマスコミが「日本が乗り遅れることへの危機感」
などと煽るのは不思議ですよね
危機感?誰が?中国がか?(笑)
普段から日本の危機を心配してくれてそうじゃ全然ねえし、共同通信は
特に、日本国の国益を損なうことだけが社是な朝日新聞が
「バスに乗り遅れるな」「日本もAIIBに参加すべき」
などと連呼するということは、まさにそうしちゃいかんということ
ホント、もはや朝日はとても判りやすい新聞で、どうせなら
「リトマス試験新聞」にでも改称すべきでしょう
朝日新聞を廃刊に追い込もうと主張される方がおられますが、私は反対です
朝日の主張と真逆な選択をするだけで日本はうまく行くわけなので
逆神、逆指標、アンチメルクマールとしての存在価値は絶大だと思うのです
AIIBに入らなければ、バス(不幸行き)に乗り遅れるぞっ
て言ってる共同通信やマスゴミは、国益考えてないね。財務省、二階氏も寄りすぎ。日韓だけやなく、日中にも深いズブズブのパイプを持つ二階氏。もうリタイアしてくださいな。要らん発言するなよ!相手は貴方の急所を織り込み済みだ。自民で一番アブナイ長老の一人。安倍首相始め中
枢の方、妄言しないよう、宜しくクビを繋いでおいてください。あと朝日、毎日、東京はじめ左傾地方紙、早よ逝ってくれ!
成る程ですねー。AIIBに乗り遅れるなという報道は多数見掛けるのですが、こう言う観点からの分析は初めてですね。会計士さんはもしかして銀行さんの自己査定にお詳しかったりされますか?少なくともウチの会社に来てる会計士は金融商品会計のことを何も知らなくて、今風のチャラいお兄ちゃんがliborとtiborの違いも分からないって悩んでますよ。ぶっちゃけ、それ位勉強して来い、って思いますわ。その意味でそこらの会計士とは全くレベルが違いますが、新宿会計士さんは本当に
会計士さんなのかと逆の意味で思います。