ウォン安は続く?スワップ欠く日韓関係、企業はリスク管理を

今朝方、『数値で見る日韓関係:ヒト・モノ・カネの交流状況とは?』のなかで、日韓関係が破綻の危機に瀕した場合、日韓両国にそれぞれどのような影響が生じるかという点を、数字の面から確認してみました。当ウェブサイト『新宿会計士の政治経済評論』としては、こうした「数字に基づく議論」を大切にしたいと考えているのですが、もう1つ、最近注目している指数が、最新の為替相場です。週末の『中韓通貨は「大台」目指す?「通貨暴落」の意味を考える』で概観した中韓両国の通貨は、とりあえず週初は小康状態で取引を開始したようですが、香港ドルが上限レンジに張り付いていることなどと照らし合わせれば、やはり「嫌な予感」がしてならないのです。

中韓通貨、小幅上昇

先週末の、中国、韓国通貨の下落については、『中韓通貨は「大台」目指す?「通貨暴落」の意味を考える』でも触れたところですが、月曜日の為替市場はなにやら不自然な動きで始まったようです。

中韓通貨は「大台」目指す?「通貨暴落」の意味を考える

私がチェックするのに利用している端末は米WSJのヒストリカルプライスのページです。

日本時間午前10時過ぎにチェックしたところ、

  • USDCNH…6.9276(▲0.26%)
  • USDKRW…1191.38(▲0.28%)

と、対米ドルで見ていずれも小幅で上昇しています(※オフショア人民元(CNH)と韓国ウォン(KRW)の対米ドル(USD)レートは「コンチネンタルターム」であるため、数値が下落すれば通貨が上昇したことを意味します)。

いずれの通貨も膠着状況が続いているようであり、どうも動きが不自然です。

「リスク回避」の証拠

リスク回避の通貨売り?香港ドルが上限レンジに

当ウェブサイトでは、とくに韓国ウォンについてはかなり以前から通貨の動きに注目しているのですが、最近の通貨安の理由については、

  • (A)国際的な投資家が韓国経済の将来性などを悲観して通貨ウォンを売却している
  • (B)韓国の通貨当局が輸出競争力を確保するために意図的にウォン安誘導している

という2つの仮説を立てているものの、これについては確たる答えは見えません。

ただし、先月発表された韓国のGDPがマイナス成長だったこと(『韓国は典型的な「縮小均衡経済」の罠におちたのか?』参照)に加え、米中貿易戦争による経済成長減速懸念が市場参加者の間で意識されていることは否定できません。

しかし、最近下落している通貨は、オフショア人民元と韓国ウォンの2つだけではありません。

香港ドル(USDHKD)がレンジ上限(1米ドル=7.85香港ドル)に張り付いているのです。

香港の通貨・香港ドルは1米ドル=7.8香港ドルを中心に、上下0.05香港ドルの範囲で動きます(いわゆるレンジ制)。香港金融管理局(HKMA)は、この範囲を超えて香港ドルが買われたときには「買い介入」、逆のときには「売り介入」を行っています。

また、HKMAはこれに加えて、香港から資金が流出しそうになったときには利上げをするなどして外資を引き留め、香港に資金が流入し過ぎそうになったときには利下げをするなどして外資の集中を防ぐ、といったオペレーションを実施しているのです。

しかし、ここ数日に関しては、香港ドルがレンジ上限である7.85ドルにピタッと張り付いており、WSJのヒストリカルプライスのページを眺めると、ほんの一瞬ではありますが、「7.8501」と、7.85ドルの水準を超過していることが示されています。

国際収支のトリレンマ

さて、通貨の話をし始めると、絶対に触れておかねばならない論点が、「国際収支のトリレンマ」です。

まず、大前提として、「世界の投資家は少しでも利回りの高い資産を求めてさまよっている」という点を忘れてはなりません。この点は通貨・為替市場でも同じであり、たとえば日本円の利回りが低くて豪ドルの利回りが高ければ、日本円でおカネを借りて豪ドルで投資する人が出て来るのは必然です。

当然、中央銀行が利上げをすれば、外国からたくさんのおカネ(投機資金)が流入してくるきっかけになりますが、そうなれば、通貨価値が上昇し(通貨高)、国内の輸出企業は外国に輸出するときの国際的競争力が損なわれてしまいます。

そこで、多くの新興市場諸国(EM諸国)は、国際的な投機資金の流入に対してはさまざまな規制を掛けます(たとえば、一時期、ブラジルが外国人からの投機資金に対して2%の資産課税を行ったことがありましたが、これも資本規制の一種でしょう)。

Brazil imposes tax on foreign investments(2009/10/21付 Financial Timesより)

しかし、ブラジルのような新興国ならいざ知らず、OECDに加盟している先進国がこのような課税を行うと、資本移動の自由に対する制限として国際社会から批判されます。

このため、先進国では基本的に資本移動の自由を大切にしているのですが、そうなると、為替相場を安定させるためには国内経済の実情を無視して政策金利を変更するか、国内経済の安定を優先して為替相場の安定を無視するか、いずれかしか方策はありません。

香港の場合は、為替相場の安定を維持するためには国内経済の実情を無視して利上げ、利下げをしなければならない国であり、日米英の場合は国内経済の実情に応じた金融政策を取ること(金融政策の独立性)を重視するあまり、為替相場の安定を放棄しています。

これをまとめると、次のとおりです。

国際収支のトリレンマとは:

①金融政策の独立、②為替相場の安定、③資本移動の自由、の3つの政策目標を同時に達成することはできず、どれか1つを捨てなければならない、という命題のこと。

捨てる政策目標優先する政策目標具体例
資本移動の自由金融政策の独立
為替相場の安定
ブラジル、中国などのEM諸国
金融政策の独立資本移動の自由
為替相場の安定
香港、シンガポール、デンマーク
為替相場の安定資本移動の自由
金融政策の独立
日本、米国、英国などの先進国

(【出所】著者作成)

なお、余談ですが、なかには3つの目標を同時に追求しようとする虫のよい国もいます。

その典型例は、2011年9月から「1ユーロ=1.20スイスフラン」という上限レンジを導入したスイスですが、スイスの場合はこの上限レンジが維持し切れなくなり、2015年1月に突如としてスイスフランの価値が対ユーロで暴騰する「スイス・ショック」が発生しました。

(なお、このあたりの事情については『企業会計のセンスで中央銀行を議論するWSJ』で紹介したことがありますので、ご興味があれば是非、ご参照ください。)

気になる今後の動き

韓国の通貨安の理由

さて、韓国ウォンの為替相場の話題に戻りましょう。

当ウェブサイトでも指摘したとおり、韓国の通貨・ウォンの「防衛ライン」として、1200ウォンが強く意識されているようです。その証拠が、本日、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に掲載された、次の記事です。

ウォン安止まらず…1ドル1200ウォン目前(2019年05月20日07時50分付 中央日報日本語版より)

中央日報によると、この「1ドル=1200ウォン」の大台は韓国の外為市場関係者の間で、「心理的マジノ線」と呼ばれているようであり、次のように警戒感を示しています。

注目すべき変数は米中貿易紛争、主要先進国と国内景気状況、外国人のセルコリア(韓国株売り)などだ。米中貿易紛争が長期化して米ドルは値上がりし、中国人民元は値下がりしている。中国当局が貿易紛争の衝撃を緩和するために人民元安を容認するという見方が出ている。

ただ、先週末に関していえば、アルゼンチンやトルコなどの通貨が大きく下落したという事実はありませんし、韓国ウォンがジリジリと下落している要因については、あくまでも現在の韓国国内にあると見るのが正確ではないかと思います。

なお、細かい話ですが、中央日報は、

通常ドル高になれば外国人は韓国など新興国で株式投資比率を減らす

と記載しているものの、これは因果関係が逆です。正しくは、「韓国などのEM諸国の株式投資比率を減らした結果がドル高」、というべきではないでしょうか?

もっとも、中央日報は

ウォン安が進めばドル建て価格が安くなり輸出企業の競争力が高まるという点で、政府がウォン安を望んでいるという見方もある

とも指摘しているのですが、この点については可能性としてはそのとおりでしょう。

いずれにせよ、韓国通貨がこのまま「暴落」し、通貨危機につながっていくのか、それとも通貨の下落は一時要因なのかについては、もうしばらく見極めが必要です。

日韓通貨スワップが存在しないという事実

ところで、少し先の話になるかもしれませんが、万が一、韓国の通貨・ウォンが暴落し、韓国からの資本逃避と通貨危機が発生した場合には、いったいどうなるのでしょうか?

いちおう、公式には韓国には4000億ドルを超える外貨準備が存在していることになっていますが、さまざまな関連統計と突き合わせていくと、どうも本当に韓国が4000億ドルの外貨準備を保有しているのか、疑問に思えてなりません。

こうしたなか、恒常的な外貨不足に悩む韓国を一方的に助ける役割がある国際協定が「日韓通貨スワップ協定」ですが、その日韓通貨スワップが「日本にもメリットがある」などと主張していたのが、財務省の山崎達雄元国際局長です。

この人物は2015年7月7日に退官後、現在は民間企業などに天下りしているそうですが、現役の国際局長時代だった2014年4月16日の「第186回国会・衆議院財務金融委員会」で答弁した内容を要約すると、

  • 日韓通貨スワップには相手国に進出している日本企業を助けるというメリットがある
  • 日韓通貨スワップには日韓間の為替相場やウォンを安定させるというメリットがある

と述べています。

逆に言えば、山崎達雄元国際局長の言葉を借りて申し上げれば、現在、日韓間には日韓通貨スワップ協定が存在しませんので、「韓国に進出している日本企業を助ける有力な仕組み」、「日韓間の為替相場やウォンを安定させる有力な仕組み」が存在しない、ということでもあります。

韓国に進出している日本企業、韓国が発行するサムライ債やユーロ円債などを購入している日本の金融機関には、くれぐれもカントリー・リスク管理を強く意識していただきたいところです(※別にこの点は韓国に限った話ではないかもしれませんが…)。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

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読者コメント一覧

  1. 引きこもり中年 より:

     独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。

     残念ながら、(日本の)企業によっては、韓国からの利益があまりにも
    大きすぎて、(韓国への)カントリーリスク管理が出来ずに、「韓国経済
    の(壊滅的な)リスクはない」ことにしているところも、あるでしょう。
     そこは、もし韓国経済の悪化で自社の経営が悪化すれば、逆恨みや、責
    任回避のために、安倍総理の責任を言い立てることが予想されます。(勿
    論、それが日本社会で大きな声になるかは分かりません)

     駄文にて失礼しました。

    1. 門外漢 より:

      引きこもり中年 様へ

      韓国からの利益があまりにも大きくてリスクを上回るというなら、韓国内への投資を撤収する必要はないでしょう。
      日本は自由主義ですし、市場主義ですから、政府がとやかくいう事はないと思いますが、それならリスクが発生しても自己責任で、政府に尻を以って切るのはお門違いですね。
      リスク発生までに投資以上のものの回収が済んでいることを祈るだけです。

      1. 引きこもり中年 より:

         門外漢 様へ

        >それならリスクが発生しても自己責任で、政府に尻を以って切るのは
         お門違いですね。

         その通りですが、利害関係の深い(日本の)企業の中には、自分の都
        合、あるいは自社の都合で、「カントリーリスクが発生すること」自体
        想定することが許されないところも、あるのではないでしょうか。(最
        近、色々な所で読む「言霊」によれば、そんなことを口に出すことは、
        許されないことなのですから)
         そして往々にして、そういう所は、「わが社が潰れれば政府も困るは
        ずだから、(他の会社は、ともあれ、わが社は例外的に)政府が助てく
        れるはず」と思っていることが多いです。(実際、過去には似た例が、
        実際に救済してくれたかは別にして、多々ありました)
         この考えをどこまで押し通せるのか、そして実際に政府が救済してく
        れるかは別にして、こう考えている以上、常に利益がリスクを上回るの
        です。(この利益の中には、経済的利益の他に、社内の「和」を守ると
        いう利益もあります)

         蛇足ですが、外国のことは詳しくないので、日本国内のことに限定さ
        せてもらいましたが、もしかしたら、韓国をはじめ海外でも似た事例が
        あるのかもしれません。

         駄文にて失礼しました。
             

    2. 匿名 より:

      確かにねえ。「日本企業をひっくるめれば2%」とはいえ、企業によって収益の依存率は濃淡ありますよね。極端な話、禁輸した製品を扱ってる企業には政府から「補償金」が出るのかってことです。その企業にとっては「損害」ですから、政府はそこの面倒みてくれるのかって。
      当然ですが、国策でそうしろというなら、わたしは面倒はみるべきだと思いますね。

  2. マスコミ関係の匿名 より:

    5月17日にUSD/KRWは1196までウォン安が進んだのに一転今日は1191までのウォン高!韓国銀行も必死で介入に勤しんだのでしょうね。ご苦労様。
    韓国株式市場では7日連続で外国人投資家の売り越しが続き、いよいよ韓国売りの傾向が見えてきました。
    あまり報道されていませんが、韓国に進出している日本企業のコリアリスク対応も着々と進んでいて、ホップは終わり、ステップの段階です。既にジャンプしちゃった企業も何社かあり、日本企業が一斉にジャンプしたら外資が一斉に逃避。まあ1400億ドル以上の外貨準備があるそうですから、きっと韓国経済はご安泰のことでしょうね(笑)

  3. 月光 より:

    >HKMAはこれに加えて、香港から資金が流出しそうになったときには利上げをするなどして外資を引き留め、香港に資金が流入し過ぎそうになったときには利下げをするなどして外資の集中を防ぐ、といったオペレーションを実施しているのです。

    これは違います。香港ドルは米ドルとのペッグ制を採用してるので、政策金利操作は米国FF金利と連動させているだけです。香港の政策金利は米国より常に0.5%高い水準に設定されてます。ただ政策金利は米国より高めに設定してるのに、なぜか市場金利は低迷したまま。(原因は諸説あり。)米国市場金利>香港市場金利が継続してます。なので香港ドルは対米ドルでペッグ制下限(USDHKDでは上限)まで売られているのです。ちなみにこの現象は昨年あたりから断続的にではありますが度々発生しており、HKMAは通貨介入を再三実施しています。

    1. 新宿会計士 より:

      月光 様

      コメント大変ありがとうございます。
      ただ、HKMAの金融政策に関して少々の誤解があるようですので補足致します。

      >政策金利操作は米国FF金利と連動させているだけ
      >香港の政策金利は米国より常に0.5%高い水準に設定されてます

      この点はおそらく事実誤認です。きちんと説明すると、「平時は」、「FF金利+50bps」か「香港銀行間市場(HIBOR)のO/N・1W金利の5営業日平均値」との比較で金利が決定されています。
      FF金利を常に50bps上回っている」ように見えているのは事実ですが、これは偶然そうなっているに過ぎません。
      https://www.hkma.gov.hk/eng/classroom/page/work/work_02_01.htm

      ついでに指摘しておきますと、ドルペッグ制度は金利をいじれば自動的に実現できるものではありません。
      平常時であれば、おおむね金利だけを設定しておき、あとは為替介入で微調整するという方法で構いませんが、現実に金融危機が実現した場合には、為替介入では間に合わなくなり、金利水準を変更する必要が出て来ます(実際、アジア通貨危機などの際には緊急のオペレーションに基づき利上げを行っています)。
      https://shinjukuacc.com/20190515-04/

      以上、再度ご検討下さい。

  4. 名無しA より:

    【政府、徴用工問題で韓国に仲裁委開催を要請】
    https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190520-00000052-kyodonews-pol

    日本政府が仲裁要請に踏み切りました。
    やはりG20までに韓国政府が対応しない場合、
    ICJ提訴を考えているのでしょうか?
    (過去、そういう報道があったと記憶してます)

    6月は、韓国 4月経常収支、5月貿易収支の発表があり、
    いずれも赤字転落の可能性があります。
    米中貿易摩擦では、ファーウェイ排除が露骨に進められており、
    交渉は困難になる一方、米国の経済指標は好調を維持しているので、
    対中関税第4弾も発動されそうな感じ。

    G20前後は、韓国にとっての正念場になりそう。

    1. カニ太郎 より:

      やっと日韓請求権協定第3条第2項の仲裁委員会の付託に駒を進めたようです。

      前回、朝日毎日が、2/1に政府関係者からの情報で、仲裁委員会の付託に進むと、誤報してから3ヶ月半がたちましたが、やっと実行されるようで、まずはめでたしめでたしです。

      そこで、今後の予想ですが、まず第2項は30日の猶予期間があります。

      更に、2項が不調なときは3項に進み、更に30日の猶予ができますので、合計60日間の停滞は予想されるところです。

      しかしながら、大阪のG20サミットは6/28ですので、日韓両政府ともにICJ提訴を望まないとしたら、この大阪G20サミットが仲裁委員会の協議の場になる可能性もあるでしょう。

      私としては、第2項で日韓両政府が自国の委員を選ぶことはできても、第3国の委員を選定することは出来ないと思いますので、第2項で仲裁委員会が設置されることはないでしょう。

      すると、第3項に駒は進んで、日韓両国が国を選ぶ事態になります。
      日本側は米国を選ぶのでしょうが、韓国側は何処の国を選ぶのでしょうか。
      ここで、日本側は韓国側はどこも選ばないと予想してると思います。

      そこが危ない落とし穴です。
      韓国側が米国を選んだとしたら、どうなるでしょうか。
      果たして米国は日本に有利な裁定をしてくれるでしょうか。
      もし、米国が仲裁に動いて、基金の設立を提案した場合、日本側は拒否してICJへと駒を進めることができるでしょうか?

      私はWTOで無惨な敗北をきした日本政府の見立ては今回も甘いに違いないと思っています。

      つまり、米国が仲裁委員を買って出て、また穏便に収めるのではないかという事です。

      さて、今回の仲裁委の付託は正しい選択だったのかどうか、しっかり考えないといけないでしょう。

      もしかしたら、日韓請求権協定の第3条などはむしして、いきなり経済制裁に移行した方が良かったかもしれないですね。

  5. 月光 より:

    コメントありがとうございます。

    >平時は」、「FF金利+50bps」か「香港銀行間市場(HIBOR)のO/N・1W金利の5営業日平均値」との比較で金利が決定されています。
    FF金利を常に50bps上回っている」ように見えているのは事実ですが、これは偶然そうなっているに過ぎません。

    誤解です。「FF金利+50bps」か「香港銀行間市場(HIBOR)のO/N・1W金利の5営業日平均値」のいずれか高い方を採用してるのです。そして常にFF金利+50BPの方が高かったので、2009年3月以降、香港ドルの政策金利は常にFF金利+50BPです。

    政策金利(base rate)と市場金利を混同されてないでしょうか。

    あなたがこの記事で書いている通り、香港は「自由な金融政策」を放棄する代わりに、自由な資本移動と為替相場の安定を手にしてるのです。

    1. 月光 より:

      リンク間違ってしまいました。
      上記記事は新宿会計士様に対する返事です。

    2. 新宿会計士 より:

      月光 様

      いつもコメントありがとうございます。

      >政策金利(base rate)と市場金利を混同されてないでしょうか。

      いいえ。純粋にHKMAの政策金利決定の話をしています。
      ついでにいえば、月光様の当初コメントにあった、「政策金利操作は米国FF金利と連動させているだけ」の下りに誤解があるのではないか、と申し上げております。
      (※どうでも良い話ですが、通貨によっては市場金利と政策金利はかなり密接な関連を有しており、スイスの中央銀行・SNBの場合は3M CHF LIBORを誘導することを政策目標にしているそうです。)
      いま一度、ご確認ください。

      1. 月光 より:

        新宿会計士様、度々のコメントありがとうございます。

        >「政策金利操作は米国FF金利と連動させているだけ」の下りに誤解があるのではないか

        何度も書いてますが、香港の政策金利操作は米国FF金利と連動させているだけです。(まあ敢えて言えば、事実上という枕詞がつくかもしれませんが)決して偶然なんかではありません。これこそが、まさにあなたの指摘するトリレンマなんです。為替の安定(プラス自由な資本移動)と引き換えに、自由な金融(金利)政策を放棄してるのです。今一度ご確認いただければ幸いです。

        1. 新宿会計士 より:

          月光様

          くどいようですが、HKMAの政策金利は、

          (1)平常時は、①FF金利、②HIBORのいずれかの条件で決定されている
          (2)金融危機時は、(1)に関わらず、利上げがなされている

          という点を申し上げております。
          くどいようですが、月光様の最初の書き込みが「FF金利のみと連動している」と読めてしまいますが、たまたま現在はFF金利+50bpsという運用がなされているだけの話であり(※厳密に言えばこれも2009年以降の運用に過ぎません)、万が一、香港で通貨危機が発生し、HKMAの外貨準備からの介入が間に合わなくなれば、当然、前回のアジア通貨危機のように大幅な利上げがなされると考えるべきでしょう。

  6. 月光 より:

    新宿会計士様

    >(1)平常時は、①FF金利、②HIBORのいずれかの条件で決定されている

    違います。いずれか高い方です。そしてこれまで常に➀>➁だったので、事実上➀です。
    (新宿会計士様が指摘する香港通貨当局のHPを見るまでは➁の条件を知りませんでした。この点感謝しております。)

    >たまたま現在はFF金利+50bpsという運用がなされているだけの話であり(※厳密に言えばこれも2009年以降の運用に過ぎません)

    たまたまではありません。為替安定のための必要条件です。2009年以前はFF金利+150~175BP程度でした。
    ペッグ制通貨には政策金利の自由がないのです。

    >(2)金融危機時は、(1)に関わらず、利上げがなされている

    これに関しては、

    >HKMAはこれに加えて、香港から資金が流出しそうになったときには利上げをするなどして外資を引き留め、香港に資金が流入し過ぎそうになったときには利下げをするなどして外資の集中を防ぐ、といったオペレーションを実施しているのです。

    まさかこの部分が通貨危機時を想定した文章とは知らず、私の誤読でした。謹んでお詫びします。

    1. 新宿会計士 より:

      月光 様

      >為替安定のための必要条件です

      くどいようですが、「FF+50」そのものは、「必要条件」ではありません。
      香港からの資金流出が続くようであれば、「FF+50」では間に合わなくなるかもしれませんし、逆に、香港への資金流入が続くようであれば、スイスのように「FF-X%」、という運用もあり得るでしょう。
      そして、「たまたま」とは、「たまたま2009年以降FF+50bps or HIBORという運用方針を決定し、たまたま FF+50>HIBOR」だった、という意味です。

      (※ただし、当ウェブサイトが自サイトという事情もありますし、私の方からはこれ以上の議論は避けたいと思います。)

      いずれにせよ、引き続き当ウェブサイトのご愛読とお気軽なコメントを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

      1. 月光 より:

        本論から外れた議論を長々としてしまい大変申し訳ありませんでした。

        1. 新宿会計士 より:

          月光 様

          とんでもありません。
          むしろ当ウェブサイトは議論を推奨しており、新宿会計士への批判コメントもまったく問題ございません。
          引き続き当ウェブサイトのご愛読とお気軽なコメントを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

  7. 団塊 より:

    冗談じゃない、税金投入などとんでもない。
    我が国を敵国としている韓民国に投資して大損するも大儲けするも欲の川の突っ張った張本人(企業)の自己責任。
    こういう連中に税金投入したら大損は税金でチャラ、大儲けは自分のもの、韓民国への投資が激増するぞ。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

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