ここ数日、「通貨スワップ」が世間で騒がれているようです。なぜ、通貨スワップが話題になっているのかについてはよくわからないのですが、ひとつ事実を申し上げておけば、『速報:米FRBが9つの中央銀行と為替スワップを締結』でも紹介したとおり、米FRBが電撃的に世界の9つの中央銀行・通貨当局との間で「『為替』スワップ」協定を臨時措置として復活させたことがあります。本稿では(通貨スワップではなく)為替スワップについて、あらためてじっくりと紹介したいと思います。

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どうしてスワップなのか?

当ウェブサイトでは数日前から「スワップ」について言及する機会が増えています。

その大きな理由は、なんといっても昨今の「コロナショック」の影響で、アジアの近隣諸国を含めた各国の株か、為替相場などが大きく動いていることがあります。

そして、得てして「エマージング・マーケッツ」、つまり新興市場諸国にとって最も怖いのは、株安ではなく、「外貨でおカネが借りられなくなる状態」(専門用語で「外貨流動性の欠如」)です(『「株安」と「資本逃避」は必ずしもイコールと限らない』等参照)。

「株安」と「資本逃避」は必ずしもイコールと限らない

極端な話をいえば、多少、株価が下落したとしても、外国から外貨でおカネを借りていなければ、国際通貨基金(IMF)が乗り込んでくるという心配はありませんし、国が「破綻状態」になる、ということもありません。

しかし、外国の金融機関などから多額のおカネを借りている国の場合は、外国からのおカネの借り換え(ロール)ができなくなった瞬間、最悪の場合、経済は突然死します(『韓国経済の弱点は外貨短期債務~「突然死」リスクも!』等参照)。

韓国経済の弱点は外貨短期債務~「突然死」リスクも!

なかでも怖いのが、金融機関のデフォルト(債務不履行)です。

企業が倒産する場合と異なり、金融機関が1つでも倒産すると、その国の金融システムが壊滅的な打撃を蒙ることもあります。そこで、各国ともに金融機関が経営破綻しないよう、それなりに気を遣いますし、万が一経営破綻しても政治的に預金を守ろうとする圧力が働きます。

(※実際、わが国の場合も、金融機関が経営破綻した際には預金者の預金が守られるケースが圧倒的に多く、いわゆる「ペイオフ」方式による銀行の清算事例は、戦後に関しては2010年9月に自力再生を断念した日本振興銀行だけです。)

中央銀行の力と限界

中央銀行の力はとても強い

さて、この為替スワップの威力について考える前に、そもそも論として、「通貨と中央銀行の関係」について、少し考えておきましょう。

中央銀行は「最後の貸し手」と呼ばれることがあります。というのも、中央銀行が「この人に貸す」と判断すれば、その人にデフォルトは発生しないからであり、これは国債に関してもまったく同じことがいえます。

以前、『コロナショックへの対応は消費税の減税が手っ取り早い』で言及したとおり、自国通貨建てで発行された国債がデフォルトするためには、①自国投資家、②海外投資家、③中央銀行、のすべてが国債を買ってくれないという状況が生じることが必要です。

コロナショックへの対応は消費税の減税が手っ取り早い

たとえば日本の場合、そもそも家計が2000兆円弱という巨額の金融資産を保有し、それらが預金取扱機関(銀行などの金融機関)などに流れ込んでいるなど、国内投資家が巨額の資金を持てあましているため、円建てで債券が発行されれば、飛ぶように売れていく、という状況が続いています。

一方で米国の場合、自国に資金的な余裕がなく、米国内の債券(たとえば米国債)を保有している投資家のその多くが外国人投資家です。したがって、外国人投資家が米国の債券を買ってくれなくなるような事態が発生すれば、米国の金利は上昇してしまいます。

ただし、米国債やエージェンシー債は基本的に米ドル建てで発行されており、極端な話、外国人投資家が債券を買ってくれない状態になったとしても、中央銀行が債券の引受をすれば、「デフォルト(債務不履行)」は発生しません。

(※もっとも、国債を中央銀行が直接引き受けるのはいわゆる財政ファイナンスとして「禁じ手」と位置付けられており、日本の場合も財政法第5条で公債の日銀直接引受は原則として禁止されていますが…。)

財政法 第5条

すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。

つまり、日本国債や米国債の場合、①国内投資家も買ってくれず、②海外投資家も買ってくれない、という状況に陥ったとしても、③中央銀行が買ってくれるのならば、基本的にデフォルト(債務不履行)に陥ることはありません。

いや、もっといえば、中央銀行が貸してくれるのならば、どんな人でも資金繰り倒産することはあり得ません。極端な話、北朝鮮やジンバブエなどがドル建てで発行した債券であっても、米FRBが「買い入れる」と言えば、いくらでも債券を発行することができます。

(※もっとも、FRBがそのような債券を買った瞬間、米国政府・米国議会は大騒ぎするはずですが…笑)

中央銀行の限界:無限にカネを刷れるわけではない

そして、現在、米国、日本、欧州、英国、スイスなど、多くの国が採用しているのは「管理通貨制度」であり、中央銀行は金地金などの裏付資産がなくても(理屈の上では)好きなだけおカネを発行することが可能です。

では、中央銀行は無限にカネを刷れるのでしょうか?

日本銀行が今すぐ1200兆円くらい紙幣を刷って、国民1人あたり1000万円ずつ給付金として配ってくれれば、私たち日本国民はすぐに大金持ちになれそうなものですが、どうして日銀はそれをやってくれないのでしょうか?

その理由は、経済における資金需要を無視して中央銀行が無制限におカネを発行すると、経済理論的には貨幣価値が暴落する(いわゆるハイパー・インフレ状態になる)とされているからです。

たとえば日本政府が1京円(京は兆の1万倍)という国債を発行した場合、日本国内では日銀を除き、そんな巨額な国債を買ってくれる人はいません。そして、日銀がその国債を引き受けてしまえば、マネタリーベースが現在の20倍(!)にも膨らみます。

そんな状態になれば、たぶん、日本円の価値は暴落するでしょうし、物価も数十倍(あるいはそれ以上?)に膨らむかもしれませんね(いや、本当にそうなるかどうかはわかりませんが…)。

中央銀行の能力と限界、そして独立性

だからこそ、多くの中央銀行は政府から独立し、インフレ率が上昇し過ぎないよう(あるいは低下し過ぎないよう)な水準で、金利水準や貨幣供給(マネタリーベース)などの水準を決定しているのです。これが「金融政策」の基本です。

余談ですが、インフレ率と失業率にはかなり強い相関関係があることが知られており、米FRBは失業率などの雇用状況を見ながら金融政策を決定しているのですが、ここで重要なのが、フィリップス曲線の議論です。

ただし、これについては、昨年の『数字で読む日本経済』シリーズのなかの『国債を圧縮する王道とは、インフレと経済成長の達成だ』で触れていますので、ぜひ、ご参照ください。

国債を圧縮する王道とは、インフレと経済成長の達成だ

本論に戻りましょう。管理通貨制を採用する中央銀行の場合、

  • 中央銀行が判断すれば、どんな相手でもおカネを借りることができる
  • ただし、無節操に中央銀行がおカネを貸せば、マネーサプライが激増し、最悪の場合、貨幣価値が暴落する(ハイパー・インフレ状態になる)というリスクもある

という2点が、すべての中央銀行にとってあてはまる鉄則のようなものなのです。

逆に、これを中央政府の側から見れば、

  • 中央銀行が無制限に買ってくれるならば、いかなる国も無限に国債を発行することが可能である
  • ただし、国債を発行し過ぎれば、マネタリーベースが増え、最悪の場合、ハイパー・インフレになる

ということでもあります。

だからこそ、日米英欧瑞加などの中央銀行は、政府部門からかなりの独立性を保っているのです。

通貨の能力

ハード・カレンシーという議論

ただし、通貨に対する金融市場参加者からの信頼が確保されるためには、中央銀行が政府部門から独立しているだけではダメであり、その通貨の発行国の経済自体が信頼されていなければなりません。

これを判断するうえで基本的な考え方が、「ハード・カレンシー」という議論です。

著者の定義で恐縮ですが、この「ハード・カレンシー」とは、

その通貨を取引するうえで法的、経済的、時間的な制約が少なく、その通貨の発行国・地域を越えて、広く世界中で取引可能な通貨

のことです。

たとえば国際決済銀行(BIS)が3年に1回公表している「外為市場通貨ペア比率」などを眺めると、上位に来る通貨は、だいたい米ドル、ユーロ、日本円、英ポンドなどであり、それ以外には加ドル、スイスフラン、豪ドルなどが上位の「常連」です(図表1)。

図表1 OTC外為市場通貨ペア比率(単位:%)
通貨2013年2016年2019年
米ドル87.0487.5888.30
ユーロ33.4131.3932.28
日本円23.0521.6216.81
英ポンド11.8212.8012.79
豪ドル8.646.886.77
加ドル4.565.145.03
スイスフラン5.164.804.96
人民元2.233.994.32
香港ドル1.451.733.53
NZドル1.962.052.07
スウェーデン・クローネ1.762.222.03
韓国ウォン1.201.652.00
シンガポールドル1.401.811.81
ノルウェー・クローネ1.441.671.80
メキシコ・ペソ2.531.921.72
インド・ルピー.991.141.72
その他11.3811.6012.04
合計200.00200.00200.00

(【出所】BIS “Triennial Central Bank Survey of Foreign Exchange and Over-the-counter (OTC) Derivatives Markets in 2019 (Data revised on 8 December 2019)” の “Foreign exchange turnover” より著者作成。なお、「通貨ペア」が集計されているため、合計すると100%ではなく200%となる)

この点、近年、人民元のシェアが急激に伸びていることが確認できますが、それと同時に人民元は自由に取引するための制約が非常に大きく、比較的自由に取引可能な「オフショア人民元(CNH)」と、規制が非常に厳格な「オンショア人民元(CNY)」に市場が分断されています。

人民元がこのまま取引シェアを拡大させていくかどうかについては、微妙でしょう。

また、それ以外の通貨のうち、韓国ウォンやインド・ルピーなどの場合も、先進国通貨と比べればさまざまな規制が導入されており、いわゆる「ハード・カレンシー」と呼ぶのは難しいのではないでしょうか。

ハード・カレンシー化のメリット

これに対し、「究極のハード・カレンシー」である米ドルの場合、それこそ全世界の人々が持ちたがる通貨ですし、多くの国は外貨準備を米ドルで運用しています(図表2)。

図表2 世界の外貨準備の通貨別構成(2019年6月末時点)
区分米ドル換算額(十億ドル)Aに対する比率
外貨準備合計11,733
内訳判明分(A)11,021100.00%
 うち、米ドル6,79261.63%
 うち、ユーロ2,24320.35%
 うち、日本円5975.41%
 うち、英ポンド4894.43%
 うち、人民元2181.97%
 うち、加ドル2111.92%
 うち、豪ドル1881.70%
 うち、スイスフラン160.14%
 その他の通貨2692.44%
内訳不明分711

(【出所】国際通貨基金(IMF) “Currency Composition of Official Foreign Exchange Reserves, COFER” より著者作成)

米国は国を挙げて恒常的な資金不足に陥っていますが、それでも「米国債がデフォルトするぞ!」「米国の『国の借金(?)』は大問題だ!」などといった議論はまったく聞こえて来ません。当たり前ですね。なぜなら、外国からどんどんと資金が流入して来るからです。

しかし、もし米国が外貨(たとえば日本円やスイスフラン、英ポンドなど)で国債を発行していたとしたら、そんな呑気なことを言ってられません。というのも、米国の「国の借金(?)」が増え過ぎれば、先ほどの3条件の「③中央銀行が国債を買ってくれる」という条件が満たされなくなるからです。

逆に言えば、どんな国であっても政府や金融機関が外貨建てではなく自国通貨建てでおカネを借りていて、その国の中央銀行がおカネを貸してくれるといえば、金融危機、通貨危機は発生しません。

ということは、外国からおカネを借りている国であれば、極力、自国の通貨の国際的な通用度を高めたうえで、自国通貨でおカネを借りる、というのが基本的な戦略であるはずですし、国が通貨危機に襲われないための、究極的な安全策であるはずです。

為替スワップの本質

為替スワップのそもそもの目的

さて、ハード・カレンシーどうしであれば、まったく対等である、というわけではありません。

とくに、市場流動性(おカネの借りやすさ)は常に動いており、どの国の経済も強く成長しているような局面なら問題ないのですが、たとえばどこかの国で大災害が発生したようなケース、大規模金融機関が経営破綻したようなケースだと、特定の通貨の市場流動性が低下します。

たとえば2008年9月、米投資銀行であるリーマン・ブラザーズが経営破綻したことに端を発する金融危機(いわゆる「リーマン・ショック」)の際には、市場流動性が凍りつき、欧州や日本、英国などの金融機関が米ドルの資金を調達することが難しくなりました。

国際的な活動を行っている大規模金融機関の場合は、いずれも大なり小なり米ドルで資金を調達していますので、もしこれらの金融機関がドル資金を借りられなくなった場合、テクニカルデフォルトに陥り、経営破綻してしまう可能性すらあります。

※リーマン・ショックにはほかにもいくつか教訓があるのですが(たとえば証券化商品、デリバティブのカウンターパーティリスク、LCR/NSFR、清算集中・証拠金規制など)、これらについては本稿と関係がないので割愛します。

だからこそ、各国の中央銀行が米FRBからおカネ(ドルの短期資金)を借り、自国の民間金融機関におカネを貸すという、「間接的な流動性供給」の仕組みが常設化されたのです。

これが「6中銀の常設型の為替スワップ」です。

具体的には、米国(FRB)、欧州(ECB)、日本(日銀)、英国(イングランド銀行)、カナダ(カナダ銀行)、スイス(スイス国民銀行)の6つの中央銀行は、お互いの通貨を担保に差し入れることで相手の中央銀行から相手国通貨を借り入れ、それを自国の金融機関に貸し出す仕組みです。

ニューヨーク連邦準備銀行との間の円資金提供のための為替スワップ取極要綱(2013/10/31付 日銀HPより)

日銀によると、「円の金融市場の円滑な機能の維持および安定性の確保に資する観点から、ニューヨーク連邦準備銀行が円資金を供給するために当面必要とする円資金の提供」とあります。

理屈の上では、

  • ①円の流動性が逼迫していて、米国の民間金融機関が円資金を調達しようとしてもなかなか手に入らない場合
  • ②ドルの流動性が逼迫していて、日本の民間金融機関がドル資金を調達しようとしてもなかなか手に入らない場合

の双方に備えたものですが、リーマン・ショック時がそうだったように、どちらかといえば②のケースに備えたものではないかと思います。

よって、これらの常設型為替スワップ(=外貨流動性供給ファシリティ)も、リーマン・ショックのような事態が再来したときに備えたものである、という言い方をして良いでしょう。

なお、具体的な仕組みは、つぎのとおりです(日米為替スワップの場合)。

  • ①ドル資金を借りようとする民間金融機関は、日銀共通担保要領などに従って日銀に担保を差し入れる
  • ②日本銀行は、借入人が担保を差し入れたのを確認したあとで、ニューヨーク連邦準備銀行に指定された米ドル口座を使って貸付を実行する
  • ③貸付利率はニューヨーク連銀が指定するものが適用される

(【出所】日銀『米ドル資金供給オペの取引概要』参照)

通貨と中央銀行にも「信頼度」がある

さて、リーマン・ショックの再来はあるのか…。

それが、現在です。

いうまでもなく、コロナショックでドルの流動性が逼迫し、多くの国の金融機関がドルの資金を借りるのに苦慮している、という状況にあります。

さて、先日の『速報:米FRBが9つの中央銀行と為替スワップを締結』で報告したとおり、米国の中央銀行に相当する連邦準備理事会(FRB)は現地時間19日、9つの中央銀行・通貨当局との間で為替スワップ協定を締結したと発表しました。

Federal Reserve announces the establishment of temporary U.S. dollar liquidity arrangements with other central banks(米国夏時間2020/03/19 9:00付 FRBウェブサイトより)

具体的な協定締結相手と上限金額については、図表3のとおりです。

図表3 為替スワップの新規締結相手
締結相手上限額
豪州準備銀行オーストラリア600億ドル
ブラジル中央銀行ブラジル600億ドル
デンマーク国民銀行デンマーク300億ドル
韓国銀行韓国600億ドル
メキシコ銀行メキシコ600億ドル
ノルウェー銀行ノルウェー300億ドル
ニュージーランド準備銀行ニュージーランド300億ドル
シンガポール通貨庁シンガポール600億ドル
リクスバンクスウェーデン600億ドル

(【出所】FRB。なお、いずれも期間は「最低6ヵ月」)

これだけを読むと、なにやら唐突感がありますが、べつに驚く話ではありません。

というのも、リーマン・ショックの直後、米FRBは、日英欧瑞加の5中銀だけでなく、これらの9つの中央銀行・通貨当局に対して、為替スワップ(ドル流動性スワップ)を提供していたからです(つまり、合計で14の中央銀行・通貨当局に対して為替スワップを提供していた格好です)。

FRBウェブサイトに掲載されている “Central bank liquidity swaps” によると、まず2007年12月にECBとスイス国民銀行(SNB)の2つに対する為替スワップ協定を締結。その後、相次いでほかの12の中央銀行等とスワップラインを開設したと記載されています。

(※個人的記憶で恐縮ですが、たとえば韓国との為替スワップ協定については2008年12月に上限額300億ドルで為替スワップが締結されていたはずです。)

ただし、日英欧瑞加の5中銀との為替スワップについては「常設(standing)」であるのに対し、今回の9つの為替スワップについては、「一時的(temporary)」であり、かつ、上限額が設けられています。

このあたりは結局、通貨間の信頼度に違いがあるからでしょう。

締結しなかった相手は、中国と香港

さらに、今回のスワップについては、米FRBが「為替スワップを締結しなかった相手」というものが、強いメッセージでもあります。

個人的に気になる国は、中国、香港、インドです。

ただし、インドの場合は民間金融機関が巨額のドル資金調達を行っているというデータはなく、国際決済銀行(BIS)の統計でもそのような事実は確認できません。

しかし、中国の場合は近年、通貨の通用度が上昇しており(上記図表1参照)、さらに、香港の場合は「オフショア金融センター」でもあります。インドと異なり、むしろ中国や香港は米ドル建ての為替スワップを欲しがっているのではないかと思います。

米国が中国、香港と為替スワップを結ばなかったことについては、たんに米FRBがこれまで為替スワップを締結したことがないため、契約条件などの詳細について勝手がわからない、という事情もあるのかもしれません。

しかし、非常にうがった見方ですが、中国、香港には、国際的な金融市場で存在感を高めている金融機関の拠点があるにも関わらず、米国が中国、香港と為替スワップを結ばなかったという事実は、米国が中国と香港を見捨てるというメッセージではないか、という気がしてならないのです。

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米FRBの「格付」

以上の議論を、非常に雑に総括すると、

  • 米FRBにとって最も重要な相手:期間無制限(常設)、金額無制限の為替スワップを締結している欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(BOE)、日本銀行(BOJ)、スイス国民銀行(SNB)、カナダ銀行(BOC)
  • 米FRBにとって2番目に重要な相手:期間は最低6ヵ月、金額600億ドルの相手である豪州準備銀行(RBA)、ブラジル中央銀行、韓国銀行、メキシコ銀行、シンガポール通貨庁(MAS)、スウェーデン・リクスバンク
  • 米FRBにとって3番目に重要な相手:期間は最低6ヵ月、金額300億ドルの相手であるデンマーク国民銀行、ノルウェー銀行、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)
  • 米FRBにとって優先順位が劣る相手:大規模金融機関が所在しているにも関わらず為替スワップを締結しなかった中国人民銀行(PBC)、香港金融管理局(HKMA)

と位置付けることができるかもしれません。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

なお、通貨スワップと為替スワップについては、当ウェブサイトの読者コメント欄にもよく「違いがわからない」という趣旨のコメントをいただくのですが、これについては次のような記事で過去に述べたことがあります。

外貨準備と通貨スワップ 通貨危機を防ぐための仕組み(2019/11/20 05:00付 当ウェブサイトより)

外貨準備と通貨スワップ 通貨危機を防ぐための仕組み

総論:通貨スワップと為替スワップとは?(2017/12/14 00:00付 当ウェブサイトより)

総論:通貨スワップと為替スワップとは?

また、ここ数日、腰を落ち着けてウェブサイトを更新することができない状況が続いていたこともあり、某国のメディアが通貨スワップと為替スワップを混同した記事を掲載しているのも気になります。

これについては、時間との兼ね合いではありますが、できるだけ早いタイミングで、通貨スワップと為替スワップの違いなどについて、改めて解説したいと考えています。

※本文は以上です。

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  • 2020/07/01 11:55 【時事|韓国崩壊
    韓国メディア「輸出規制で安倍破産」 (7コメント)
  • 2020/07/01 08:00 【時事|韓国崩壊
    対韓輸出管理適正化措置は「意図せざる経済制裁」に (7コメント)
  • 2020/07/01 05:00 【金融
    香港国家安全法を受けた「対中経済制裁」発動パターン (18コメント)
  • 2020/06/30 17:00 【時事|経済全般
    「日豪などからの入国を容認」、EUの苦しい台所事情 (12コメント)
  • 2020/06/30 12:00 【時事|外交
    「日本は破廉恥水準が全世界最上位圏」=韓国政府高官 (79コメント)
  • 2020/06/30 11:00 【時事|韓国崩壊
    韓経「日本は脅しただけでアクションを取らなかった」 (28コメント)
  • 2020/06/30 08:00 【時事|韓国崩壊
    中央日報「破綻を避けるためには日韓両国が努力せよ」 (20コメント)
  • 2020/06/30 05:00 【RMB|金融
    「減税」が結果として中国に対する経済制裁となる理由 (28コメント)
  • 2020/06/29 15:00 【マスメディア論|時事
    共同通信「韓国の反発は必至」→本当に反発して来た (29コメント)
  • 2020/06/29 12:00 【読者のページ
    読者雑談専用記事通常版 2020/06/29(月) (104コメント)
  • 2020/06/29 11:00 【時事|韓国崩壊
    日本経済にとっての「韓国洗濯機」、今こそ買い替え時 (20コメント)
  • 2020/06/29 10:00 【時事|韓国崩壊
    中央日報「米、WTOでの紛争解決を支持」記事の真相 (7コメント)
  • 2020/06/29 08:00 【マスメディア論|時事
    「衰退産業」で振り返る、「武漢コロナの半年間」 (15コメント)
  • 2020/06/29 05:00 【日韓スワップ|韓国崩壊
    朝鮮日報の珍説「韓日スワップは日本に円安もたらす」 (35コメント)
  • 2020/06/28 16:00 【時事|韓国崩壊
    共同通信「日本がG7拡大に反対、韓国の反発は必至」 (31コメント)
  • 2020/06/28 12:00 【時事|韓国崩壊
    韓国メディア「韓日は最悪の事態避けるため知恵絞れ」 (37コメント)
  • 2020/06/28 09:00 【マスメディア論|時事
    民放各社こそ「NHKに初勝訴」を全面的に歓迎すべき (12コメント)
  • 2020/06/28 05:00 【マスメディア論
    NHKは日本に必要か~最新財務諸表分析から考察する (13コメント)
  • 2020/06/27 12:00 【読者のページ
    読者雑談専用記事通常版 2020/06/27(土) (121コメント)
  • 2020/06/27 09:00 【数字で読む日本経済|金融
    科学的アプローチで理解する、「国の借金論の間違い」 (43コメント)
  • 2020/06/27 05:00 【韓国崩壊
    金与正の瀬戸際外交による最大の成果は「韓国の掌握」 (30コメント)
  • 2020/06/26 16:30 【時事|金融
    米ドル為替スワップ、残高は2263億ドルにまで減少 (4コメント)
  • 2020/06/26 11:00 【時事|外交
    イージス・アショア配備中断、河野太郎氏が丁寧に説明 (41コメント)
  • 2020/06/26 08:00 【時事|韓国崩壊
    「蚊帳の外」にいたはずの日本に「逆ギレ」か?=韓国 (49コメント)
  • 2020/06/26 05:00 【金融
    いまこそ確かめたい、「財政再建=増税」論の大間違い (69コメント)
  • 2020/06/25 17:00 【数字で読む日本経済|金融
    【速報】家計が相変わらず一千兆円超の現金預金を保有 (18コメント)
  • 2020/06/25 12:15 【時事|金融
    韓国政府が外国為替平衡基金債券発行へ=韓国メディア (15コメント)
  • 2020/06/25 08:00 【日韓スワップ|時事|韓国崩壊
    CMIMでなぜか「支援受ける気満々」=韓国メディア (7コメント)
  • 2020/06/25 05:00 【マスメディア論
    産経記者「共同通信は毒水を流すインフラ屋」と苦言か (25コメント)
  • 2020/06/24 12:30 【時事|韓国崩壊
    韓国が「輸出規制」と騒ぐこと自体、日本の脱韓を促進 (23コメント)
  • 2020/06/24 12:00 【読者のページ
    読者雑談専用記事通常版 2020/06/24(水) (98コメント)
  • 2020/06/24 10:30 【時事|外交|金融
    日本が香港の金融業を誘致:課題もあるが着眼点は秀逸 (15コメント)
  • 2020/06/24 08:00 【時事|経済全般
    「PCR検査を全国民に実施せよ」を数学的に論破する (53コメント)
  • 2020/06/24 05:00 【金融
    多国間通貨スワップ「CMIM」増額などは見送られた (12コメント)
  • 2020/06/23 16:30 【金融
    トルコが中国との通貨スワップを実行し人民元を引出す (14コメント)
  • 2020/06/23 11:11 【読者投稿
    【読者投稿】在韓日本人が写真で見る「現在のソウル」 (30コメント)
  • 2020/06/23 10:00 【時事|国内政治
    安倍総理は消費税と憲法争点に解散総選挙に打って出よ (23コメント)
  • 2020/06/23 08:00 【韓国崩壊
    意識だけ先進国?信頼を踏みにじる韓国が払う「対価」 (27コメント)
  • 2020/06/23 05:00 【時事|経済全般
    産経「日中往来制限の長期化により中国で不良品頻発」 (15コメント)
  • 2020/06/22 17:45 【時事|国内政治
    入管への抗議デモは筋違い 「出国の権利」を行使せよ (18コメント)
  • 2020/06/22 12:00 【読者のページ
    読者雑談専用記事通常版 2020/06/22(月) (81コメント)
  • 2020/06/22 11:45 【時事|韓国崩壊
    日韓関係「自然消滅」論を裏付ける韓国メディアの記事 (20コメント)
  • 2020/06/22 08:00 【マスメディア論|時事
    河井夫妻逮捕という「不祥事」なのに支持率が上昇の怪 (22コメント)
  • 2020/06/22 05:00 【韓国崩壊
    韓国メディア「日本の対韓制裁は殴るフリだけで効く」 (34コメント)
  • 2020/06/21 12:00 【経済全般
    「戻ってきてほしいトップは台湾」=訪日外国人観光客 (38コメント)
  • 2020/06/21 05:00 【韓国崩壊
    なぜ「日本は韓国に一本取られた」と勘違いするのか (65コメント)
  • 2020/06/20 15:00 【時事|韓国崩壊
    【補遺】韓国で国産化したフッ化水素は5Nに過ぎない (69コメント)
  • 2020/06/20 12:00 【読者のページ
    読者雑談専用記事通常版 2020/06/20(土) (78コメント)
  • 2020/06/20 09:00 【マスメディア論
    世論調査不正問題、むしろ焦点は「他社の対応」では? (27コメント)
  • 2020/06/20 05:00 【経済全般
    韓国メディア「日本の輸出規制で対日貿易赤字幅縮小」 (26コメント)
  • 2020/06/19 11:30 【時事|経済全般
    入国制限の緩和は4ヵ国からスタート 台湾・香港は? (24コメント)
  • 2020/06/19 09:00 【金融
    日欧韓で全体の8割占める=米FRBドル為替スワップ (8コメント)
  • 2020/06/19 08:00 【時事|韓国崩壊
    WTO提訴する韓国は「グループB」にすら値しない (19コメント)
  • 2020/06/19 06:00 【経済全般
    テレビ局「今すぐ事業をやめて解散した方が儲かる」? (17コメント)
  • 2020/06/19 05:00 【時事|韓国崩壊
    韓銀「韓米通貨スワップ延長は市場状況を見て決める」 (11コメント)
  • 2020/06/18 12:12 【時事|韓国崩壊
    運転席理論は幻想!この難局を韓国はどう乗り切るのか (55コメント)
  • 2020/06/18 11:00 【時事|国内政治
    「ネズミも逃げ出す泥の船」と化しつつある立憲民主党 (13コメント)
  • 2020/06/18 08:00 【時事|経済全般
    米系投資ファンド「日本の地上波テレビに将来性なし」 (7コメント)
  • 2020/06/18 06:00 【韓国崩壊
    日本政府、韓国に輸出規制など経済制裁の発動は可能か (15コメント)
  • 2020/06/18 05:00 【マスメディア論|時事
    不要なのはコメンテーターか、テレビ局そのものなのか (31コメント)
  • 2020/06/17 12:30 【日韓スワップ|時事|金融
    国際競争力で日本を上回る相手国に通貨スワップは不要 (27コメント)
  • 2020/06/17 12:00 【読者のページ
    読者雑談専用記事通常版 2020/06/17(水) (122コメント)

  • 著者のコンタクト先:info@shinjukuacc.com

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