【昼刊】「外貨準備高最高」なのに「日韓スワップ懇願」の謎

「本当にしつこい」とは、こういうことを言うのでしょうか?韓国側で「日韓通貨スワップ協定再開」に関する報道がしつこく出て来ています。

しつこい!日韓通貨スワップ論

理解に苦しむ日韓通貨スワップ再開論

「理解に苦しむ」とは、このことでしょうか?

日本との通貨スワップ再開に向け努力 韓国中銀総裁が意向表明(2018/05/06 14:12付 聯合ニュース日本語版より)

韓国メディア『聯合ニュース』日本語版は昨日、フィリピン・マニラ発の記事として、韓国の中央銀行である韓国銀行の李柱烈(り・ちゅうれつ)総裁が「日韓通貨スワップ協定の再開に向けて努力する」、「今後このための協議が始まる」と発言したそうです。

日韓通貨スワップは2001年に「チェンマイ・イニシアティブ(CMI)」に基づく多国間スワップ協定の一環として、当初は20億ドルでスタートし、2011年10月には野田佳彦首相(当時)が総額700億ドル相当にまで拡大しましたが、現在はすべて失効し、金額はゼロとなっています(図表1図表2)。

図表1 米ドル建て日韓通貨スワップの歴史
時点協定限度額
2001年7月4日CMIに基づき日本から韓国への一方向スワップを開始20億米ドルと韓国ウォン
2006年2月24日CMIスワップを20億米ドルから100億米ドルへ増額100億米ドルと韓国ウォン(※)
2011年10月19日CMIスワップに加え、いわゆる「野田スワップ」300億米ドルが発効400億米ドルと韓国ウォン
2012年10月19日「野田スワップ」300億米ドルが失効100億米ドルと韓国ウォン
2015年2月16日CMIスワップが失効0ドル

(【出所】財務省ウェブサイトなどをベースに著者調べ。ただし、2006年2月24日のBSA拡充時では、韓国から日本へのスワップ【限度額:50億ドル】も同時に設けられたが、ここでは割愛する)

図表2 日本円建て日韓通貨スワップの歴史
時点協定限度額
2005年5月27日中央銀行同士のスワップ協定が発効30億米ドル相当の日本円・韓国ウォン
2008年12月12日いわゆる「リーマン・ショック」で中央銀行スワップを一時増額200億米ドル相当の日本円・韓国ウォン
2010年4月30日中央銀行スワップの一時増額措置終了30億米ドル相当の日本円・韓国ウォン
2011年11月19日いわゆる「野田スワップ」に基づき、円建てBSAを30億米ドルから10倍の300億米ドルに増加300億米ドル相当の日本円・韓国ウォン
2012年10月31日中央銀行スワップ増額失効30億米ドル相当の日本円・韓国ウォン
2013年7月3日中央銀行スワップ自体が失効0ドル

(【出所】日銀ウェブサイト等をベースに著者調べ)

図表1、2からわかるとおり、日韓通貨スワップ協定とは、国際社会において使い物にならないクズ通貨である韓国ウォンを、世界の基軸通貨である米ドルや、世界3番目の通用度を持つ日本円と交換してもらえるという、韓国にとっては非常に有利な協定です。

民主党・野田政権下で700億ドルにまで拡充されたのが2011年10月のことですが、安倍政権下でゼロになったのは、そこから約3年半後の2015年2月のことです。日韓関係の悪化に加え、プライドだけはエベレストよりも高い韓国政府が意地でも日本に頭を下げなかったことが、失効に繋がった格好です。

日韓通貨スワップ協定は韓国への「一方的支援」である!

では、なぜ韓国側ではこんなに日韓通貨スワップ協定を欲しているのでしょうか?これには大きく3つの要因があります。

1つ目は、韓国が現在、米国の利上げに伴い外貨流出リスクにさらされているためです。米国では最近、雇用統計の結果が良好で、景気の過熱感も出ていることから、米FRBが今年から来年にかけて、複数回の利上げを行うと見られています。

こうなると、外国人投資家は脆弱な新興市場諸国からは資金を引き揚げようとする動きが活発化しますが、韓国の場合は家計債務の問題もあり、通貨防衛を目的とした利上げに踏み切ることが困難である、という事情があります。

2つ目は、外貨準備の問題です。韓国銀行は「外貨準備高が4000億ドル近くある」と言い張っていますが、関連する統計をきちんと分析していけば、韓国の外貨準備高は多くて1800億ドル、下手すると500~1000億ドル程度ではないかと考えられます。

つまり、「外貨準備がたくさんあるから大丈夫だ」と言い張っておきながら、現実には資金流出が発生した場合に、通貨防衛に使えるおカネが限られてしまっている、ということです。最悪の場合、通貨防衛に失敗し、韓国経済が「突然死」してしまうリスクもあります。

そして3つ目は、韓国が外国中央銀行と保持している(と主張している)通貨スワップは5本ありますが、オーストラリア、スイスとのスワップを除くと、どれも使い物にならないものばかりだ、という点です(図表3)。

図表3 韓国と外国中央銀行の通貨スワップ(BSA)
相手国と金額韓国ウォン相手国通貨の換算額
100億豪ドル(オーストラリア)9.0兆ウォン75.4億米ドル
150億リンギット(マレーシア)5.0兆ウォン38.1億米ドル
115兆ルピア(インドネシア)11.0兆ウォン82.5億米ドル
100億フラン(スイス)11.2兆ウォン100.0億米ドル
3600億元(中国)(※)64.0兆ウォン565.8億米ドル
合計100.2兆ウォン861.8億米ドル
(うち中国以外とのスワップ)36.2兆ウォン296.0億米ドル

(【出所】著者作成。なお、中国とのスワップ協定については、昨年10月に失効済みであり、中国側は「更新した」とはヒトコトも言っていない点に注意。また、米ドル換算はWSJの2018年5月4日時点引け値により試算)

見かけ上の金額は861.8億米ドルですが、全体の65.7%を占めているのは、事実上使い物にならない中国との人民元建ての通貨スワップ(換算すれば565.8億米ドル)であり、しかも、中国当局は「韓国との通貨スワップを更改した」とはヒトコトも述べていません。

もし中国との通貨スワップが失効しているならば、韓国が保有している通貨スワップは米ドル換算で296億ドル分に過ぎませんし、さらにこれらは米ドル建てのスワップではありません。そう考えたら、通貨スワップとして使い物になるのは豪州とスイスとのスワップ(合計175.4億米ドル分)に限られるのです。

このように考えていくと、日本が韓国に円建てかドル建てのスワップを提供すれば、それは韓国に一方的に恩恵が生じるものである(つまり韓国に対する一方的な支援である)ということは明らかでしょう。

(※なお、韓国銀行はカナダ銀行ともスワップ契約を締結していますが、こちらは「為替スワップ」であり、「通貨スワップ」ではありません。これについては『【速報】カナダ・韓国間の為替スワップは通貨スワップではない!』をご参照ください。また、「為替スワップ」と「通貨スワップ」の違いについては昨日の記事今朝の記事にも書いていますので、そちらをご参照ください。)

どのツラ下げて「再開」なのか?

ところで、日韓通貨スワップ協定は、2016年8月27日の「日韓財相対話」で韓国側から再開の要請があり、再開「交渉」が始まったのですが、その直後から韓国側では、やれ「日韓通貨スワップ再開が確定した」だの、やれ「新しい日韓スワップの規模は500億ドル相当になる」だのの虚報が相次ぎました。

しかし、2016年12月末に、釜山の日本総領事館前に「慰安婦像」が設置されたことを受け、その1週間後の2017年1月6日、日本政府は韓国への「対抗措置」として、ハイレベル経済協議とともに日韓通貨スワップ再開交渉を中止してしまったのです。

このことから、日韓通貨スワップ協定の交渉を再開するためには、韓国側が少なくとも、

  • 2015年12月の「日韓慰安婦合意」に基づき、ソウルの日本大使館前の慰安婦像を撤去すること
  • 2016年12月に設置された、釜山の日本総領事館前の慰安婦像を撤去すること

の2点を達成しなければなりません。そうでなければ、日本側の国民感情としても、「日韓通貨スワップの再開」は説明が付きません。さて、李柱烈氏はいったいどのツラ下げて日本に通貨スワップの再開を懇願するのでしょうか?

この点、冒頭の聯合ニュースは

南北首脳会談などを機に北東アジアの情勢が変わり、スワップ協定を巡る協議の再開に向けた動きにも影響を及ぼしているようだ

と勝手に情勢分析していますが、情勢はまったく変わっていません。

というのも、南北首脳会談では日米両国が求めていた「核・ミサイルのCVID(※)」や「日本人拉致問題の解決」にヒトコトも触れられておらず、日米が北朝鮮に対する「最大限の圧力を掛け続ける」という方針もブレていないからです(これについては『【夜刊】北朝鮮情勢:弱い犬ほどよく吠える』などもご参照ください)。

(※「CVID」とは、「完全、検証可能、不可逆的な方法による廃棄(Complete, Verifiable and Irreversible Dismantlement)」の略。)

当ウェブサイトとしても破綻の危機に瀕する韓国がどういう理屈をこねて日本にスワップを懇願して来るのかについては、少しだけ興味があります。

明後日の日中韓3ヵ国首脳会談で、日中両国が「日中為替スワップ創設」で合意し、日韓通貨スワップ再開は拒絶され、中韓通貨スワップは存在自体が否定される、という夢のような展開(笑)を期待したいところです。

読者コメント一覧

  1. めがねのおやじ より:

    < 昼刊の発信ありがとうございます。
    < おっしゃる通り、朝鮮民族はしつこいですよ〜。この異常なまでの執念深さ、しつこさは特に日本人相手にマックスパワーになります。中国人相手ならハナから下向いてます(笑)。
    < 韓銀の李総裁曰く 3,980億米ドルの外貨準備
    高か。そんなら日韓スワップ要らんやん。700億ドル如きで何故コチラ日本の方ばかり見るのか?新宿会計士様のお見立てなら、外貨準備高が悪くすると500〜1000億米ドル程度しか無いとか。そりゃそうだね、4,000億ドルあったら、大嫌いな日本には頼まないよ。それだけあれば、1兆ドルぐらい準備があると言って来るだろう。
    < なになに、更にじっさい使えるBSAは豪、瑞の175億ドル程度ってか(笑)。風前の灯火だね。いやロウソクか。韓銀李総裁は『南北会談と板門店宣言によって北東アジアの情勢が変わり、スワップ協定再開の気運にも影響を与えているようだ』とかほざいてるが、日本には全然そんな声は無い。皆無だよ。それより北に宥和政策する韓国が取り込まれたって皆さん思ってるが、、。
    < 明後日の日中韓会談で、このハナシは出てくるでしょう。でも韓国が期待する内容じゃない。安倍首相からは『CVIDはどうなったのか』『拉致被害者問題の解決についてどう交渉したのか』は問い詰められる。中国も庇ってくれない。
    当日、日本と中国の為替スワップは締結するだろうが、中国の李首相からは『韓国とのスワップは、昨年12月で切れている。その後は関知してない』といわるかも 。それで一気に破綻迎える局面(笑)。もう詰んでる将棋なのに、五手先までも読めんかな(笑)。失礼します。

  2. むるむる より:

    日本より優秀な民族で経済で国家なんだろ、自分達でなんとかしろよこっち来んな。
    お前ら韓国助けるよりもインドと通貨スワップした方がよっぽど有益だっての、てか現代で民族優劣主義を国家精神にしてる時点でおかしいと思っとけww。

    裏切り常習犯の韓国と韓国人に一言いうが、過去の韓国、韓国人が今のお前らを肯定してるんだから甘んじて受け入れろよ。過去の己は今の己を裏切らないんだからな。
    まぁフラグ回収乙。

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