【速報】韓国がさっそく為替スワップの流動性枠を使用

本日の速報です。米FRBが締結してくれた米韓為替スワップを巡って、相変わらず「韓米通貨スワップ」だと言い張っている隣国が、本日、この為替スワップに基づき、米ドル流動性ファシリティ入札を実施したようです。

韓銀、米韓為替スワップのうち120億ドル分を実行へ』で報告した、米韓為替スワップに基づく流動性枠を韓国銀行がさっそく使用しました。

韓銀、米韓為替スワップのうち120億ドル分を実行へ

該当する記事を紹介しておきましょう。

韓銀、韓米通貨スワップ資金の第1次分120億ドルをきょう執行(2020.03.31 11:47付 中央日報日本語版より)

韓国メディア『中央日報』(日本語版)の記事によれば、流動性供給の総額は120億ドルであり、内訳は次のとおりです。

  • 7日物(2020/04/01~2020/04/08)…20億ドル(年利0.322%)
  • 84日物(2020/04/01~2020/06/24)…100億ドル(年利0.321%)

つまり、期間1週間の短期資金と、期間12週間の短期資金ですね(※為替スワップに基づく流動性ファシリティですので、これを借りた民間金融機関が金利を負担する必要があります)。

中央日報の記事では具体的に落札した金融機関の情報は掲載されていません。ただ、第一弾として600億ドルのうち、さっそく枠の20%を使用したわけですが、期間3ヵ月で100億ドルの融資枠を利用したというのは興味深いところですね。

ちなみに『【資料】2014年4月16日の日韓スワップの議事録』でも紹介したとおり、麻生総理(※安倍政権下で財相を務めていますが、本稿では「麻生総理」と呼称します)は今から約6年前、衆議院・財政金融委員会で、次のように答弁しています。

これは、当時、欧州情勢というのが甚だしく不透明という状況にありまして、韓国政府の要請がありましたので、私どもとしては、為替市場を含めて金融市場の安定化のためにということで、これで韓国経済が安定しませんと、あそこはいわゆる長期資金というのは余り使われなくて短期で金を回しておられますので、そういったことを考えてやらせていただいたのがそのときの経緯であります。(衆議院ウェブサイト『第186回国会 財務金融委員会 第8号(平成26年4月16日(水曜日))』参照)」

実際、国際決済銀行(BIS)の統計によれば、韓国が国を挙げて外国の金融機関から調達している金額は2019年9月末時点で3300億ドル弱なのですが(図表1)、このうち「外貨建ての短期債務」の額は1145億ドルに達しています(図表2)。

図表1 韓国がカネを借りている外国金融機関の所在地(2019年9月末、最終リスクベース)
相手国金額比率
米国883.3億ドル26.78%
英国811.0億ドル24.59%
日本539.9億ドル16.37%
フランス270.9億ドル8.22%
ドイツ152.7億ドル4.63%
台湾103.6億ドル3.14%
その他536.3億ドル16.26%
合計3297.6億ドル100.00%

(【出所】BISのCBSデータ『B4-S』より著者作成)

図表2 韓国の外国金融機関からの1年内外貨建債務(2019年9月末、所在地ベース)
相手国金額比率
米国392.3億ドル34.25%
英国167.1億ドル14.59%
日本103.1億ドル9.01%
フランス69.3億ドル6.05%
その他413.6億ドル36.11%
合計1145.4億ドル100.00%

(【出所】BISのCBSデータ『B4-S』より著者作成)

このうち、少なくとも米国からの400億ドル弱という資金(あるいは英国からの資金200億ドル弱の一部)は米ドル建てであろうと想定されるのですが、今回の為替スワップでは米国の中央銀行にあたるFRBからその4分の1に相当する100億ドルを3ヵ月資金として引っ張った格好です。

韓国がさらに為替スワップを米国から引っ張るのかどうかについては、その金利や期間構造とともに、今後とも注目しておく価値があるのかもしれませんね。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

このエントリーをはてなブックマークに追加    

読者コメント一覧

  1. 韓国在住日本人 より:

     世宗大学の学長は次のように書いています。

     2019年末基準で韓国の対外金融負債総額は1兆1369億ドルである。外国人直接投資が2385億ドル、証券投資7413億ドル、派生金融商品297億ドルなどだ。
     2019年基準の短期外債は1、345億ドルである。流動外債とは短期外債と長期債券のうち、1年以内に満期が到来するものをいう。 短期外債の2倍を流動外債といい、2690億ドル程度だ。
     韓国に対する外国人証券投資額は2020年2月基準の時価総額の34%で540兆ウォンだ。今年1月からこれまで外国人が韓国で株式を売却した金額は14兆ウォンだ。この金額は外国人株式投資額の2.5%だが為替レートは急騰した。

     http://news.chosun.com/pan/site/data/html_dir/2020/03/30/2020033001638.html

     駄文にて失礼します。

    1. アレ より:

      >韓国在住日本人様
      リンク先に飛んだら読めなかったので、翻訳と要約ありがとうございます。
      下の方に「臥薪嘗胆」という文字が見えてなんとなく結論が解りました。
      ドル建て短期外債を現在のレートで凌ぐのがいかに大変か…という話でしょうか。

      ちなみに月末の今日、1220前後で頑張っていたようですが、上げ切れるどころか日本が閉場したらまたイヤな感じで下げて来ています。
      昼間日本株でも売って円→ドル→ウォンにでもしていたのだろうか…。お気の毒です。

  2. G より:

    金利はこれ入札最低金利です。実際に供給される金利は入札結果を待ちましょう。日本は無制限なので、最低金利で全員入札しても他要件を満たしてれば必ず落札できますが、韓国の場合上限が決まってますので競争入札となり、高い金利をつけた金融機関だけがドルを借りることができます。

    まあ、参加出来る金融機関は把握してるから、1社あたりの上限を抑えてあれば、実質競争のない状態には出来ますがね。

  3. 匿名 より:

    鈴置氏のコラムが更新されました。

    1. 山田内膳 より:

      匿名様、情報ありがとうございます。早速読んできました。

      来月の総選挙に向けて「韓国の防疫は世界が賞賛している」とのプロパガンダが成功している様です。
      特に韓国人は海外の情報に権威を感じています。(日本にも同じ傾向がありますが)
      海外メディアを使って盛んにアピールしたため、世界まで騙されてしまったと。欧米は検査至上主義に陥り、現在の悲惨な状況を生み出しました。

      冷静に見て、防疫に成功している国(台湾、シンガポール)は濫りに検査はしてないんですが。人命に直結している点を鑑みると慰安婦以上の壮大な詐欺です。

      1. しきしま より:

        山田内膳 様

        楽韓さんの所を見ると韓国の医療関係者の方々は燃え尽き症候群を起こしている見たいですね。
        この人たちが医療行為できなくなったら韓国は終わると思うのですが。
        それでも「医療崩壊など起きていない」「世界が韓国の医療を称賛している」と言いはる青瓦台。
        さて1ヶ月後どうなっておりますやら。

        1. 山田内膳 より:

          しきしま様、返信ありがとうございます。

          私も楽韓さんの所は良く見ます。2か月間スパートをかけてたので医療陣はボロボロですね。どう見ても2年は終息しなさそうなのに余力は残っているのでしょうか。医官の徴兵があると言っても新兵が中心ですから、どこまで戦力として期待できるか分かりません。

          日本は最初から長期戦を見越して、戦力を温存しながら撤退戦を行っています。日本政府も周囲の雑音に惑わされず良く方針を貫いたと思います。色々注文はありますが、ここは賞賛すべきかと。

      2. だんな より:

        山田内膳さま
        韓国人が、外国に褒められるのを好きな事が、良く分かります。
        韓国が自慢する物は、沢山有りますが、自己満足だけで国際的に認めて貰える事が少ないです。
        韓流やK-POP、この前のアカデミー賞なども、韓国人がネットを使って、世界にプロパガンダした成果です。
        韓国左翼はネット操作に長けており、文政権は韓国人のツボを刺激したと思います。
        もう選挙結果は、与党勝利で決まりだと思います。
        後の興味は、野党がどれだけ議席を取れるかで、1/3を割る様だとまた保守が分裂、壊滅して行き、憲法改正に進むと思います。

    2. 匿名 より:

      後世の韓国史家は「新型肺炎が起きなければ、韓国は崩壊しなかった」と書くことになるのかもしれません。

      この言葉が印象的だがや

    3. G より:

      日本の場合選挙の下馬評良すぎると負けるんですけど韓国じゃどうなんですかねぇ

  4. 匿名 より:

    コール市場で調達するよりも利率が低いからスワップ使う、みたいな?

  5. アレ より:

    この状態で選挙やろうとしてるのが呆れますが、現状の韓国民の自己愛が発揮された結果文政権の勝利になるのでしょう。旗色が明らかになるという点では喜ばしいことです。いくら韓国の全てが火車であろうとも。
    宮部みゆきの小説「火車」が懐かしく思い出されます。
    今後は対中ブロック経済が敷かれると思いますので、国全体が負債の塊、透明性のない国家はぜひレッドチームへどうぞ。隣国は近く(?)にありて思わざるもの。自分のことは自分でなんとかしてください。
    「一番の国境の壁は冬の日本海」蓋し名言です。

  6. アレ より:

    21:30から22:30に急激にウォン高になりました。コメント書いてる間に何があったんだ。
    日中に比べて出来高が急増しているわけでなし。
    ノーポジなのでニラニラしながら眺めております。

    1. あか より:

      先週末あたりのからドルウォンとドル元の動きが完全にリンクしてるのなんなんでしょうね
      マクロ組んで介入してるような心電図状のチャートから動くタイミングまでぴったりです

  7. 匿名 より:

    よくぞ毎日韓国を貶めるネタばかりですこと。

    1. あか より:

      レーダー照射、天皇陛下侮辱、慰安婦合意破棄、自称徴用工判決とふざけた韓国の反日政策および世論
      それに対する日本の生ぬるい対応のどちらにもフラストレーションが溜まっているので自分はガス抜きできて助かってます

      嫌韓を主導しているのは韓国の反日と韓国を甘やかす日本の政治ってことを政府には理解してほしいですね

    2. 人生休憩中 より:

      貶める…?事実以外何も書かれていないように思われますが、どの辺が貶められる内容なのでしょうか?

  8. G より:

    結局初回の韓国のドル供給は上限120億ドルに満たず87億2000万ドルだったみたい。
    入札が倍率1倍未満なら全員最低金利で借りれる。0.3%台の超低金利でドルを手にできる(担保を出せた金融機関は)

    逆に上限いっぱい借りまくる程の力は韓国金融機関にはないのかもね。日本で米ドルが1500億ドル以上借りまくられてるのとは雲泥の差。

    結局国内金融機関に貸さなきゃいけない為替スワップだから、国内金融機関の身の丈を超えた効果は出しようがないということ。 ご愁傷さま

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
関連記事・スポンサーリンク・広告