日中は通貨スワップを通じて今後、陣地争いをするのか

武漢コロナウィルスの蔓延は新興市場諸国の通貨下落などを通じ、金融面では東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国にも少なくない悪影響を与えています。当然、今後の展開として予想されるのは、「二国間通貨スワップ・二国間為替スワップの拡充」なのか、「多国間通貨スワップ(CMIMなど)や特別引出権(SDR)の拡充」なのか、という論点であり、なかでも「米中通貨戦争」については、アジアにおいては日本が米国の代理として、中国と水面下で戦うことになるのかどうか、という点です。

アジア通貨の下落・最悪期で年初来20%も!

昨今のコロナ騒動に関連し、以前から気になっている論点のひとつが、「新興市場諸国からの資金流出」です。これについては当ウェブサイトでもたびたび取り上げており、たとえば『新興国からの資金流出は「落ち着いた」といえるのか?』などでも、「一見すると最悪期を脱したようにも見える」と申し上げたとおりです。

新興国からの資金流出は「落ち着いた」といえるのか?

とくに、アジア諸国に限定していえば、インドネシア・ルピアの対米ドル相場(USD/IDR)が3月21日に1ドル=16,575ルピアを付けましたが、これは年初の13,875ルピアと比べて20%近い下落です。

ここでアジア諸国の通貨について、年初来最安値とその日付を列挙しておきましょう(図表1)。

図表1 アジア諸国の通貨の年初来最安値
通貨対米ドル相場日付と年初比
インドネシアルピア165753月23日(月)、年初比 ▲19.39%
タイバーツ33.094月1日(水)、年初比 ▲11.94%
韓国ウォン12733月23日(月)、年初比 ▲10.21%
シンガポールドル1.45983月23日(月)、年初比 ▲8.55%
マレーシアリンギット4.39453月18日(水)、年初比 ▲7.43%
オフショア人民元7.15763月19日(木)、年初比 ▲2.75%
日本円112.112月20日(木)、年初比 ▲3.08%
オンショア人民元7.11443月25日(水)、年初比 ▲2.17%
ベトナムドン236433月30日(月)、年初比 ▲2.03%
フィリピンペソ51.733月17日(火)、年初比 ▲2.01%
新台湾ドル30.4733月19日(木)、年初比 ▲1.87%

(【出所】WSJのマーケット欄を参照に著者作成)

いかがでしょうか。

この図表1に列挙した通貨については、なぜか2月20日に急落した日本円を除けば、いずれも3月下旬から4月初旬にかけて米ドルに対して下落しています。

なかでもインドネシア、タイ、韓国という、1997年のアジア通貨危機で「震源地」だった国の通貨がスリー・トップを占めている状況ですが、これに加えてシンガポールやマレーシアの通貨が比較的大きく下落しているのも印象的です。

危機一巡も、依然として通貨安

ただ、こうした極端な状況が去ったとはいえ、冷静に調べてみると、インドネシアやタイの通貨は、依然として年初来で10%以上下落した状況が継続しています。アジア諸国の通貨について、4月17日時点の相場を調べてみましょう(図表2)。

図表2 アジア諸国の通貨の対米ドル相場(4月17日時点)
通貨対米ドル相場年初来
インドネシアルピア15430▲11.14%
タイバーツ32.53▲10.05%
マレーシアリンギット4.37▲6.83%
シンガポールドル1.4224▲5.77%
韓国ウォン1216.26▲5.30%
オンショア人民元7.0732▲1.58%
オフショア人民元7.076▲1.58%
ベトナムドン23425▲1.09%
新台湾ドル30.05▲0.45%
フィリピンペソ50.85▲0.28%
日本円107.58+1.08%

(【出所】WSJのマーケット欄を参照に著者作成)

これで見ると、図表2に列挙した通貨は、明らかに次の3つのグループにわけられます。

  • 年初来5~10%下落した通貨…インドネシア、タイ、マレーシア、シンガポール、韓国
  • 年初来1%から2%前後の下落に留まっている通貨…中国、ベトナム、台湾、フィリピン
  • 年初来で上昇に転じている通貨…日本

このうち国際的なハード・カレンシー(自由に取引可能な通貨)である日本円を除外すれば、米ドルに対する下落が酷い通貨と、米ドルに対して下落しているものの、下落率は大したことがないという通貨にクッキリと別れた格好です。

とくに、香港と並ぶ「オフショア金融大国」でもあるシンガポールの通貨がここまで下落しているというのも不思議な気がしますが、シンガポールは「通貨バスケット制」を採用しているとされます(※その内訳は開示されていません)。

このことから、おそらくシンガポールドルの下落については、「通貨危機が発生した結果としての通貨安」ではなく、単純に「参照している通貨(英ポンドや豪ドル?)が下落した結果による通貨安」なのかもしれません(※このあたりは正直、よくわかりません)。

しかし、それ以外の4つの通貨(とくにインドネシアルピアやタイバーツ)の下落は、その国からの資金流出を示唆するものでもあり、「アジア通貨危機の再来」という懸念についてはしつこく残存しているように思えてなりません。

合計12本のスワップ

こうしたなか、おそらく次のテーマとして出て来るのが、「通貨の安全網の充実」という論点でしょう。

調べてみると、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国は日中韓3ヵ国と少なくとも12本の二国間スワップ協定を保持しています(図表3)。

図表3 日中韓3ヵ国が東南アジア諸国連合各国と結ぶ12本のスワップ
締結国と相手国日中韓が提供する通貨相手から提供される通貨
日本・シンガポール(為替スワップ)1兆1000億円150億シンガポールドル
日本・シンガポール(通貨スワップ)30億米ドル(もしくは30米億ドル相当の日本円)シンガポールドル(金額不明)
中国・シンガポール(通貨スワップ)3000億元シンガポールドル(金額不明)
日本・タイ(為替スワップ)8000億円2400億タイバーツ
日本・タイ(通貨スワップ)30億米ドル(もしくは30米億ドル相当の日本円)タイバーツ(金額不明)
中国・タイ(通貨スワップ)700億元3700億タイバーツ
中国・マレーシア1800億元1100億マレーシアリンギット
韓国・マレーシア5兆ウォン150億リンギット
日本・インドネシア(通貨スワップ)227.6億米ドル(もしくは227.6米億ドル相当の日本円)インドネシアルピア(金額不明)
中国・インドネシア(通貨スワップ)1000億元インドネシアルピア(金額不明)
韓国・インドネシア(通貨スワップ)10兆7000億ウォン115兆0000億ルピア
日本・フィリピン(通貨スワップ)120億米ドル(もしくは120米億ドル相当の日本円)フィリピンペソ(金額不明)

(【出所】各国中央銀行報道発表などを参考に著者作成)

これでみると、偶然でしょうか、先ほどの図表1や図表2で確認した、「通貨が大きく売られている国」(インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ)は中国、韓国と通貨スワップを締結しており、中韓両国とスワップ協定を保持していないフィリピンの通貨・ペソはさほど売られていません。

おそらく単なる偶然だと思いますが、なにやら不思議ですね。

役に立つスワップは限られている

それはさておき、これらのスワップを眺めてみると、12本もスワップが存在するものの、事実上「役に立つ」スワップといえば、4本しかありません。それは、日本とシンガポール・タイ・インドネシア・フィリピンとの通貨スワップです。

日本が締結している4本の通貨スワップについては、いずれも日本政府が保有する外為特会から米ドルを提供するというスキームであり(※日本円での引出も可能)、また、2本の為替スワップについては、相手国の金融機関に日本円を提供するというスキームです。

しかし、日本政府が日本円の国際化を目指していることは事実かもしれませんが、それと同時に、現実問題として日本円が東南アジア諸国連合で活発に使用されているとは言い難く、依然として米ドルが大きな力を持っています。

ましてや、中国の通貨・人民元や韓国の通貨・ウォンなど、外貨と自由に交換できるという性質の通貨ではありません。したがって、これらのスワップを「役に立つ順」で格付するならば、

  • ①日本が4ヵ国と締結している米ドル建ての通貨スワップ
  • ②日本が2ヵ国と締結している円建ての為替スワップ
  • ③中国が4ヵ国と締結している人民元建ての通貨スワップ
  • ④韓国が2ヵ国と締結しているウォン建ての通貨スワップ

という順序でしょう。

CMIM拡充への議論か、それとも…?

さて、このように考えていくと、外貨不足への備えという観点からは、いずれ近いうちに、日中韓3ヵ国とASEAN諸国が参加する「チェンマイ・イニシアティブ・マルチ化協定(CMIM)」の拡充、という論点が出て来るのではないでしょうか。

このCMIMとは、一種の「多国間通貨スワップ協定」です(図表4)。

図表4 日本が参加する多国間通貨スワップであるCMIM
拠出額引出可能額
日本768億ドル384億ドル
中国(※)768億ドル405億ドル
韓国384億ドル384億ドル
インドネシア、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン各 91.04億ドル各 227.6億ドル
ベトナム20億ドル100億ドル
カンボジア2.4億ドル12億ドル
ミャンマー1.2億ドル6億ドル
ブルネイ、ラオス各0.6億ドル各3億ドル
合計2400億ドル2400億ドル

(【出所】財務省『CMIM 貢献額、買入乗数、引出可能総額、投票権率』。ただし、中国については香港との合算値。中国以外のIMFとの「デリンク」割合は30%。また、香港はIMFに加盟していないため、中国の引出可能額に占める「IMFデリンク」割合は他の国と異なる)

合計して2400億ドルといえば、1ドル=110円で換算して26.4兆円というとてつもない金額ですが、ただ、やはり、インドネシア、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピンの5ヵ国の引出可能額が同額であるというのも不思議な気がします。

このため、いずれ近いうちに、この引出上限を引き上げよう、という議論や、「デリンク割合」(つまりIMFが介入して来ない引出割合)を現行の30%ではなく40%や50%に引き上げるべき、という議論(あるいは要望)が出て来るのではないかと思う次第です。

IMF改革を米国が潰している?

さて、国際金融協力の世界において、「多国間の枠組み」と「二国間の枠組み」をどうバランスするか、という点は、永遠の課題でもあります。

もともとCMIMは、1997年の「アジア通貨危機」のような連鎖破綻のリスクを防ぐために日本が提案した仕組みであり、CMIMがアジア各国の「安全網」として役に立っているのだとすれば、これは日本がアジアに貢献したという好例になります。

ただし、それと同時に、古今東西のありとあらゆる国は「国益」を大事にしており、「相手国の危機を救ってあげることで恩を売る」、「国同士の貸し借りがわからない恩知らずの国については、わざと助けない」というのも、国益を重視するうえでの基本でもあります。

当然、「CMIMの拡充」を図るのか、それともCMIMの機能はそのままにしておいて、日中が相対スワップを拡充するのか、という点については、現時点ではまだ方向は明らかではありません。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

さて、この「多国間」か、「二国間」か、という論点については、先日の『IMFから垣間見る、ポストコロナ時代の米中通貨戦争』でも触れた論点とも重なります。

IMFから垣間見る、ポストコロナ時代の米中通貨戦争

これは、国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)と呼ばれる仕組みを増強するかどうかを巡って、水面下で米国と中国の争いが生じているとするロイターのスクープ記事を紹介したものですが、米国としては国際的な仕組みを拡充することには及び腰だ、というものです。

これを当ウェブサイトなりに解釈すると、日米にとっては中国を牽制する必要上、CMIMやSDRについてはいたずらに条件を緩和しない、というインセンティブが働いているのかもしれません。

もちろん、日本もアジア各国のために力を貸してあげるべきだ、とする考え方もあるのですが、それよりも重要なことは、日本がアジア各国に提供している通貨スワップや為替スワップは、最終的には私たち日本国民の負担により提供されているという言い方もできる、という点でしょう。

そして、やや大げさな表現でいえば、現在は「米中通貨戦争」が勃発しそうになっている、ということでもあるため、日本としても通貨スワップを外交上の武器として、もっと活用すべきなのかもしれません。

その意味では、3月末にタイと為替スワップを新規に締結したこと(『タイと為替スワップも成立 日本中心に成長する安全網』参照)は興味深い動きですし、もしかすると今後、日本がアジア各国(除く中韓)と通貨スワップ・為替スワップ網をさらに拡充する動きにでるのかどうかには注目したいところです。

(※もっとも、インドネシアのように、日中両国間で蝙蝠のように振る舞うという油断のならない国もありますので、無節操に通貨スワップを拡充して良いのかどうかは議論が分かれるところかもしれませんが…。)

インドネシアとの通貨スワップ発動の可能性に注目か?

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. イーシャ より:

    武漢肺炎パンデミックの責任を無視し、更には、他国が黙々と行っている医療支援さえ宣伝活動として利用する中国を、IMFを通じて助けたりしないのは当然でしょう。CMIMも代わりに利用させないため、これを拡充する代わりに、スワップ協定は友好国間でのみ戦略的価値を考慮して締結する方向に進むべきです。

    インドネシアがどちらとも仲よくしようするなら構わないですが、一方にすり寄るとき他方に後足で砂をかけるような行為は許さないと、実例をもって示しておくべきですね。
    飛んでドルウォンレートに対しては、
    うらまないのがルール ♪
    だから国交さえも ひとことで風の藻屑 ♪
    で。

  2. 簿記3級 より:

    連帯保証人契約か保険会社的役割でしょうか。この場合、損害の最終的に責任を負う方は誰になるのでしょうか。メリットとデメリットを定量的に出せれば分かり易いのですが。

    1. 団塊 より:

      違うな、連帯保証人とは。

       スワップはインドネシアは日本の縄張りだと、宣言して巨大ファンドからインドネシアを守ってあげているだけ。
       しかし、いざとなたら日本がスワップしてあげるか無視するかは日本の自由。
       通貨交換でドルを貸してくれと頼まれても相手が気にいらなけりゃ無視すれば良い。

       う~ん、逆の場合の方が分かりやすいか。
      日本がインドネシアにスワップしてくれと頼んでも、超大国日本がスワップしてもらわなきゃならないときは、
       インドネシアもマレーシアもどこもかしこも日本を助けるどころじゃない。自国を護るだけで精一杯。スワップできるわけがない。
       連帯保証人は、こういう状態でもお金を出さなきゃならない。出さなきゃ資産を取り上げられるが、スワップは無視すりゃそれで終わり

       日本の保険会社に日本人は、積立てたり一括でお金(円)を払い込んでいる。保険金は、大勢の日本人が支払ったお金(円)から支払われる。
       一方、日本が締結してる通貨スワップで我が国がスワップで預かるのは、市場価値ゼロの紙屑通貨である。ここが全然違う。
       更に日本国が、貸してあげるのは世界中どこでも通用する基軸通貨ドル(orハードカレンシー円)というお人好し。保険会社が、こんなお人好しだたら破産してますね。

      1. 簿記3級 より:

        団塊様
        連帯保証人は、こういう状態でもお金を出さなきゃならない。出さなきゃ資産を取り上げられるが、スワップは無視すりゃそれで終わり。

        端的で分かり易い説明ありがとうござます。拘束性の有無について調べてみようと思います。

        1. 団塊です より:

           国と国のとの約束(条約など)と国内の約束(契約)は、比較できない全く別物なんじゃないでしょうか。
           日本に限ってです
          が、
           原則的に契約違反は最終的に裁判所に裁かれ最悪強制執行され全財産を失う。
           また、詐欺恐喝強盗殺人は刑法による裁判で刑務所行きや死刑執行人に処刑される。

           一方、国際間の約束を破ろう

          罰する機関はない、強制執行など全くの夢物語。
           やりたい放題させないためには、各国の実力防御力攻撃力しかない。
           たとえば、支那が生物兵器武漢ウィルス攻撃にも世界各国でマスク等を買い占め支那に送って世界中の武漢ウィルス防御を妨害してるのも、損害賠償や刑事罰を決定する国際機関もなきゃ死刑執行人もいない。

  3. だんな より:

    昔の韓国が中国と日本、どっちが、沢山出すか?みたいなノリでしたよね。
    インドネシアも、似たような感じで、沢山出してくれた方に、一旦付いたフリをする感じ。

  4. 七味 より:

    以前の記事で、経済的には東アジア諸国の重みは日本にとってはそんなにないってのがあったように思うのです。
    だとすると、シーレーンとか安全保障を置いとくと、中国と陣取り合戦をしなくても良いのかなって思うのです。

    東アジアって括らないで、仲良くすべき国は何処なのかって、個別にみたらどうなるのか、ちょっと興味があるのです

    1. 団塊 より:

      ちと意味合いが違うようですよ。
       アジアの金融市場は小さく巨大過ぎる円のほんの一部で許容量オーバー。ということなんじゃないかな。
       それでもアジアは我が国にとって重みある大切な国々。
       非白人国で超大国は日本だけ、先進国も超先端技術人種も我が国だけ。
       アジアの国々には、支那や白人先進国にこずき回されない立派な独立国になって欲しい。

      ういう妄想はさておき、支那と対立すべく日米の味方になって貰らって支那の罠にはまらないようにすることは重要です。←これも妄想かな

    2. 団塊です より:

      >仲良くすべき国は…

      すが、通貨スワップに関しては
      ・中南米と締結したらアメリカの逆鱗に触れるわな。
      ・欧州はもちろん地中海沿岸のアフリカも、ECBの縄張りでしょ。

       我が国が通貨スワップできるのは、我が国に親分になって欲しい近くの国々、東南アジアの何ヵ国かくらいでしょうね。
       他にインドを護らなきゃなりませんね。

  5. 匿名 より:

    米さんはすでに中共絶対潰すモードに入り、日本も民間企業撤退などでさりげなく追随するものと思います。
    通貨戦争という観点から見て、中共が既存の枠組みを使って悪あがきする余地はどの程度あるのか、また、中共没落後のアジア経済安定化に向けて日本がハッピーになりそうな立ち回りなど、いずれ解説いただければと思います!

  6. G より:

    スワップの「使えない」認定では、アメリカが韓国に供与した為替スワップも「使えない」扱いなんでしょうね。
    結局はほとんどのスワップは通貨防衛には使えない。
    多分使えるスワップって日本がドル建てで東南アジアに供与してるのが世界で唯一でしょうね。

    多分中国は金融覇権は狙ってますけど、ただスワップは使わないんじゃないかなと。ドル建てにも応じるなんて中国には発想ないでしょう。CMIMが中国がドルを出す唯一の取極でしょうね。

    日本は慌てず、日本の国益をじっくり考えながら「金融覇権」を築いて参りましょう。ライバルはいません。

  7. アメンボー より:

    K国や中共のやり口を見てプロパガンダを用いた権勢主義的な手法の方が、自己の政権基盤の培養に一番手っ取り早いって各国与野党首脳は気づいてる。ドゥテルテとかその筆頭。
    貧しいから上がその懐を切り崩せばいいと思ってるようでは、とても建設的な事業には成りえない。
    国家主権から掠めるだけ掠め取って自身の好き勝手に遣う罪務省の体質によく似ている。
    ここまで言えば、言うべきはひとつ。遣い方の正しさを示せる相手以外は取り合わないに限る。
    要は、今の枠でも胡散臭さしかない以上殆どダメ。

  8. りょうちん より:

    素朴な疑問なんですが「元とのスワップ」ってどれだけ意義があるんでしょうか。
    日本がドルを提供するスワップを用意できても、中国にはドルのスワップを用意しないのか、用意できないのかという点も気になります。

    まだ円借款-ODAのスキームの方が道理が通っているように思います。

    1. G より:

      本来中央銀行間で行うスワップというのは(デリバティブのスワップを除く)、貿易相手国で自国通貨の枯渇により(その業者の信用上は問題ないのに)決済不能にならないよう、その通貨を渡すというのが目的です。
      とすれば中国との二国間貿易で人民元建ての取引が多いなら、人民元スワップに意味があります。

      ただ、国が通貨防衛をする目的のスワップでは「米ドル以外は全く意味を為しません」(断言)

      通貨防衛とは、対米ドルでの自国通貨の価格の防衛です。米ドル以外の通貨でもって通貨防衛を行ったら、本来関係ないはずのその通貨の価値を介入という人為的手段で傷つけてしまいます。こっそり保有していたその通貨をこっそり売るならまだしも、スワップという相互扶助のスキームで手にした通貨を売り込んで第三国の通貨価値を壊すなんて認めるわけがありません。

      1. カズ より:

        G様

        中国が締結した二国間スワップは、人民元建て決済にしか用をなさず「相手国通貨に対して圧迫感を与え続けるためのもの」って認識でいいんですよね。〔通貨防衛には使えない〕

        共助の建前の下に結ばれても、実態はフランチャイズの開始前に払込みを課される「申込証拠金」のようなものなのかもですね。

        1. G より:

          元の場合間違いなく通貨防衛には使えませんね。

          もし通貨防衛に元を売り込んだらどうなるか。一応完全な変動相場制ではない元が大量に売りに出された場合、決めた為替幅に収めるために中国の中央銀行が元を買い取らなければなりません。結局この操作で中国のドルが消費されます。こんな悲惨な対応を迫られる取引を中国が応じるわけがありません。

          通貨防衛にスワップって基本的にあり得ません。ごくごく小さい国の通貨防衛で、相手国の手もと資金だけでなんとかなる場合に限ります。

          韓国を通貨防衛で支えられる国は日本しかなく、その日本に毒づく状況で、その恩恵にあずかれる可能性はゼロですね。

  9. ハゲ親父🐧 より:

    極端な話、中共海軍を壊滅させた上で各国が損切り覚悟で特定アジア地域から資本を引揚げ、特定アジア人民を消費者や労働力と見做さず放置すれば、後は除け者を別にしてCMIMを拡充して共存共栄が出来ると思います。🐧

    しかし、直にそれが出来ないなら段階的中共封じ込めの為に東シナ海から南シナ海の地図を見て支援する国、しない国を選り分けなければなりません。🐧

    蝙蝠モドキのインドネシア(叔父は此処に降下し戦死しました)に通貨スワップを与える理由は他には考えられません。🐧

    恐らく100年のスパンで見なければ、ならないのでしょう。🐧

    多分、私は朝鮮半島の焦土化を見る事が出来ると思いますが、中共海軍殲滅と東シナ海・南シナ海の平和と繁栄を見る事が出来無いと思います。🐧
    いや、中共はトランプを怒らせました、トランプが中共にコロナの件を問い質した時に習近平が言葉を間違えれば、還暦前に中共のあるべき姿を見る事が出来るかも知れません。🐧(どの道、今世紀も戦乱の世紀です、本当の意味の平和は中々訪れません)

  10. めがねのおやじ より:

    更新ありがとうございます。

    米国は完全に中国潰しに出てますね。地力があって信用できる相方は、東アジアでは日本のみ。日本は米国を裏切る事もありえないし、北東アジアでの中国の拡大ぶりを日本も恐れているだけに、日米タッグで中国を抑え込みたいところです。

    台湾、タイ、マレーシア、シンガポール、南太平洋島嶼国、豪、(フィリピン)辺りは自由主義側だが、インドネシア、ベトナム、ラオス、ミャンマー辺りはどっちに転ぶか、私には分かりません(南朝鮮は赤チーム)。

    チェンマイ・イニシアチブ・マルチ等多国間よりも二国間でのスワップの方が素人の私には得策に思えます。

    1. 団塊 より:

       そうですね、逆にチェンマイなんとかは縮小しても良いんじゃないかな。
       どうせ東南アジアの友好国が通貨危機になり日本に
      『親分助けてくれ』

      助けを求めてきたら金額の制限など関係無しに通貨防衛してあげてしまうのだから。

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