韓国首相「現在の韓国に通貨スワップは必要ではない」

韓国の首相が、「米韓通貨スワップは必要ない」と発言したそうです。その理由は、「通貨スワップは為替市場の安定を目的としたものではないこと、現在のドル高は世界的な現象であり、韓国の外為市場が危機という状況ではないこと」、といったものだそうです。先週のジャネット・イエレン米財務長官の訪韓時にスワップを断られたための「負け惜しみ」にしか見えないのは気のせいでしょうか。

米国は通貨スワップに「ゼロ回答」

韓国が米韓「通貨」スワップの締結を渇望している(らしい)、とする話題については、これまでも当ウェブサイトでは何度となく取り上げてきましたし、また、先週のジャネット・イエレン米財務長官の訪韓時に、米韓双方が「通貨」スワップ協定締結で合意するに違いない、といった報道もありました。

ただ、現実には『韓国待望の米韓通貨スワップはほぼゼロ回答=財相会談』でも取り上げたとおり、米韓双方は通貨スワップの締結には合意しませんでした。

しかも、韓国政府側としては、イエレン氏が「必要流動性供給装置など多様な協力方案を実行する余力がある」と述べたと発表しているのですが、これに相当する報道発表は、米国側からはいっさいありませんでした(『イエレン氏は本当にスワップに「含み」持たせたのか?』等参照)。

この点、現在の米国が韓国と何らかのスワップ協定(通貨スワップや為替スワップ)を締結する可能性は、極めて低いといえます。なぜなら現在の米国が外国と締結しているスワップは、①特別な国際合意に基づく通貨スワップ(NAFAスワップ)、②米国にもメリットがある為替スワップ(日英欧瑞加)、しかないからです。

ただ、『韓国紙「スワップ負け惜しみ」論』などでも紹介したとおり、最近の韓国では「通貨スワップなんかなくても大丈夫だ」、あるいは「通貨スワップで金融危機が防げるものではない」、などとする議論ないし主張が出てくるようになっているようです。

韓国首相「通貨スワップは必要ではない」

こうした流れでしょうか、韓国メディア『ビジネスコリア』に本日、ちょっと興味深い記事が出ていました。

PM Han Says Korea-U.S. Currency Swap Resumption Not Necessary

―――2022/07/27 10:15付 BUSINESS KOREAより

これによると韓国の韓悳洙(かん・とくしゅ)首相は26日の質疑で、「米韓通貨スワップの必要性」を否定したというのです。具体的には、次のような趣旨の答弁を行ったのだとか。

  • 国内の外為市場の安定は、通貨スワップ協定の第一義的な目的には含まれない
  • 現在は外為市場の危機という状況ではなく、むしろ世界的な米ドル高状況である
  • 韓国ウォンは過小評価されているが、為替危機といえるまでの状況にはない

そのうえで、(スワップ協定の)再開が必要だ、という状況ではない、というのが韓悳洙氏の見解でしょう。

なんだか、通貨スワップの締結に米国が応じてくれないことに関する「負け惜しみ」にしか見えないのは気のせいでしょうか?

FOMCでの利上げ後の動きは?

もっとも、秋慶鎬(しゅう・けいこう)副首相兼企画財政部長菅は同じ質疑に関連し、米韓両政府が最近、首脳会談と財務長官会談を通じて、「外為市場での協力拡大の可能性を再確認した」、などと発言したのだそうです。

この点、むしろ米韓首脳の共同声明の原文を読むと、むしろ「公正な為替市場を歪める慣行を除去すること」に力点が置かれていることがわかります。

“To promote sustainable growth and financial stability, including orderly and well-functioning foreign exchange markets, the two Presidents recognize the need to consult closely on foreign exchange market developments. The two Presidents share common values and an essential interest in fair, market-based competition and commit to work together to address market distorting practices”.

この共同声明の内容を突き詰めていけば、韓国の外為市場への介入という行為に対する米国の不信感が見て取れます。

いずれにせよ、日本時間の明日早朝にはFOMCの結果が公表され、利上げのペース次第では、韓国の外為市場ではさらにウォン安が進む可能性もあります。

しかし、韓国が追随利上げに動くのは難しいのが実情です。『「消費者ローンで株を買う」韓国家計、債務破綻急増か』などでも述べたとおり、韓国の個人が過剰な債務を抱えているとみられるなかで、急な利上げは家計の破綻をもたらしかねないからです。

そうなってくると、「韓国は通貨スワップを必要としていない」などとする見解がどの程度の期間、維持されるのかには、注目しておく価値はあるかもしれません。

読者コメント一覧

  1. sqsq より:

    >国内の外為市場の安定は、通貨スワップ協定の第一義的な目的には含まれない

    目的はドル資金のショートを補うため

    >現在は外為市場の危機という状況ではなく、むしろ世界的な米ドル高状況である

    その通り、現在、池の水(ドル)を抜いている最中。どの国が最初に資金ショートを起こすか。

    >韓国ウォンは過小評価されているが、為替危機といえるまでの状況にはない

    過小評価なら望ましいレートが頭の中にあるはず。それはいくら?

  2. ぼっつ より:

    「“酸っぱいブドウ”ってどういう意味ですか?」 と聞かれたら、この例を挙げるのが最も適当。

    それ程典型的なパターン。

  3. がみ より:

    あらやだ残念!

    いまちょうど日韓と米韓の通貨スワップしてあげようかってアメリカさんと話してたのに…ざ〜んねん。

    じゃ用意してたお金使っちゃいますね。
    今後は無理よ。

    まぁ用意してたの20ウォンくらい程度の通貨スワップだから本当に必要無いとは思ってたんですけど〜

  4. 普通の日本人 より:

    スバラシイ発言ですね。
    韓国は世界も?認めたG8です。ウオンレートも上がって来たようです。
    是非これで中国様にも対応ください。
    若干気になるのは韓中貿易で赤字(輸入が大きい)になってきたことですねえ。
    中国様は朝貢で優しくしてくれるでしょうから今が肝心ですよ。すがりつきなさい。
    あ、余計なことを言ってしまったようですね。
    さよなら、さよなら、さよなら。

  5. カズ より:

    ってことは、中国から米ドルを工面できる算段がついたのでしょうか?

    但し、通貨スワップで得た人民元を担保に”場外クロスなんかで直接提供される米ドル”への両替レートについては、中国様の思うがままなんでしょうけどね・・。
    *****
    *国民総支給(モラルハザード政策)のススメ

    家計債務の多くはウォン建てなのでしょうから、徳政令なんて不公平な政策ではなく、国民一律で一人当たり4000万ウォン(=家計債務総額/人口?)を支給してみてはいかがでしょうか?
    政策実施時点での家計債務残とは金融機関が強制相殺。「満期のない通貨安定証券(利息は発生)」として支給することで、不胎化も実現しよう!

    なぁ~んてね。

  6. 伊江太 より:

    もうすぐ月替わり。しばらくすると、当サイト恒例の韓国の外貨準備高の増減についての解説記事が掲載されますね。(ちょっと、たの心配 w)

    「スワップなんて必要ないもん キッパリ 」
    って、結構強気の発言が当局者から出てくるってことは、
    今月は、そっちにはそれほど手は付けなかったってことでしょうか?

    それとも、4,000億ドル超の手持ちに比べたら、
    「100億ドルやそこら、大したことやない!」
    という余裕の表れでしょうか?

  7. Sky より:

    対中貿易が赤字ということですので、対中為替スワップを行使するんですかねぇ?

  8. 引きこもり中年 より:

    毎度、ばかばかしいお話しを。
    韓国:「我が国の首相が、「米韓通貨スワップが必要ない」と言ったが、本当は必要なので、アメリカ側から通貨スワップを申し入れてくれ」
    または[これからは人民元の時代だ。米ドルは必要ない」
    この話は2022年7月27日時点では笑い話である。

    1. 引きこもり中年 より:

      すみません。追加です。
      思いつきですが、韓国は 文大統領時代に大統領と世界観が一致しない実務者を追放してしまったので、アメリカと通貨スワップの実務交渉ができる人間が、いなくなったということはないでしょうか。

  9. マスオ より:

    今晩の米FOMCの発表後も同じこと言っているでしょうかね。
    どうなる事やら、たの心配で仕方ありませんw

  10. HNわすれた より:

    日本が韓国に対してどうしてもお願いしますと言えば、スワップして頂けると思います。

  11. サムライアベンジャー(「匿名」というHNを使っている方には返信しません) より:

    「スワップ必要」→「韓国にはスワップは要らない」
     の繰り返しですな、精神分裂病でしょうか。いちいち彼らの言い分を聞くのも疲れますね。

     毎日のように行われている為替介入。資金は何なんでしょうね、外貨準備だけではないでしょう、いったい何を使っているのでしょうか。

    1. 伊江太 より:

      サムライアベンジャー様

      重箱の隅的コメントですが、

      「精神分裂病」という病気は現在では存在しません。
      「統合失調症」が正しい病名です。

      こんなコメントにHN付けるのも何ですが、
      一応書いときます w

      1. サムライアベンジャー より:

        >>伊江太さま
         ご指摘ありがとうございます、差別用語でしたね。
         私も書く時、「この表現で大丈夫かと」思っていましたが、ご指摘いただいてありがとうございます。
         以後、気を付けたいと思います。

  12. Naga より:

    もし 『日本にスワップを求めてきて、日本側が不要だと仰ってましたよね!?』というシチュエーションがあったら、 『あれは米韓スワップで日韓スワップじゃないニダ』と99%の確率でいうと思う。

  13. G より:

    発言者が誰だかを隠せば、ごくごく一般的な教科書的発言なんですけどね。
    今起こってることはドル高ってのは事実。

    ただ一方で韓国は不動産バブルという別の火種を持ってるんですけどね。

    もう濁流が押し寄せるというのに、さあ土嚢を買ってこようって状況「準備してないんかーい」

    トルコとスワップして、お互い外貨準備を膨らませてウィンウィンじゃね?

  14. sey g より:

    何故、韓国はスワップしたいのか?
    ウォンの価値が不安定だから。
    何故不安定なのか?
    安定した通過の基は、売れるものが沢山あり、外国からの購入が少ない事です。
    簡単にいうと、外貨の所有すなわち信用となります。

    外貨の質も大事です。
    例えば、所有している外貨がジンバブエドルなら意味がないし、またドルでも換金性の低い債権でも意味がありません。

    収入以上に消費して、貯金を利率が高いが換金性の低い危ない商品で持っている場合、少しの状況の変化ですぐさま予定が狂いどこか簡単に資金を融通してくれる人を探したくなる。

    つまりスワップスワップ言う前に、生活を改めろという話です。
    が、それを国民性が許してくれません。
    国民は奢侈を好み、借金してでも見栄をはり、一発逆転を狙って失敗する。

    本当なら海外旅行を禁止し、輸入品に高関税をかけて出るを調節しなければならないのですが、それも出来ません。
    国民生活を犠牲にして、公定歩合を上げて景気を悪くして出るを抑制するか、ウォン安を放置して、出るを抑制するしか方法がなさそうにみえますが。

  15. 世相マンボウ_ より:

    はっは。
    >現在の韓国に通貨スワップは必要ではない?

    ウォン崖っぷちなこの期に及んで
    「ウリは必要ないニダ。
     でもそっちがして欲しいならしてあげるニダ」
    と見栄をはった駆け引きするとは
    さすが、韓流総本家青瓦台の首相さんです。

    こうしたところを見透かして、
    「大丈夫か?」
    とぶっきらぼうに切り出して
    「ウ、ウリは必要ないニダ。
     日本がどうしてもというなら・・」
    との反応を引き出して、
    巨額売国野田スワップで膨らんだ
    日韓スワップを切り捨てた
    麻生さんの手腕は今更ながら
    さすがと感心します。

  16. 匿名 より:

     米ドルの供給を受けられるスワップ協定が必要ならバイ会合で要請するだろうし、それをオープンにするはずもない。である以上、国会質疑だろうがメディアからの質問だろうが、韓国政府がスワップ協定が必要です!なんて言うはずもない。必要なんです!アメリカ(あるいは日本)に要請してます!と言えば、それが叶わない場合は政治的責任を問われかねないし、市場に対してアメリカ(あるいは日本)の後ろ盾がなければ韓国政府はウォン防衛ができないと認めた!とシグナルを送ることになる。
     そんなことするはずないでしょう。だから「必要ない」と答える以外に選択肢はないってだけのお話。外交交渉のイロハのイ、それを負け惜しみとか…(笑)

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。