昨日の『徴用工と慰安婦の共通点:本質はウソツキ韓国と事なかれ日本』の末尾で、韓国観察者の鈴置高史氏が一昨日寄稿した最新論考について、タイトルのみを紹介しました。これについては「私自身が論じたい点とあわせてじっくり紹介したい」と申し上げて来ましたが、予告どおり、関連する論点とともに議論をまとめてみることにしました。私なりに結論を付けるとしたら、韓国から「日韓通貨スワップ待望論」が出たときに、現状どおり、日本政府がこれを徹底して無視するだけで、結果的にはあたかも日本が韓国に対する経済制裁を発動したかのような効果が出る、ということではないかと思います。

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鈴置氏の秀逸な論考

当ウェブサイト『新宿会計士の政治経済評論』でかなり以前から公言しているとおり、私自身は、日本を代表する韓国観察者で日経新聞社元編集委員でもある鈴置高史氏の論考の「大ファン」です。

こうしたなか、昨日の『徴用工と慰安婦の共通点:本質はウソツキ韓国と事なかれ日本』の末尾で少しだけ紹介したとおり、鈴置氏は今週火曜日に、こんな論考を『デイリー新潮』に寄稿されています。

蟻地獄に堕ちた韓国経済、「日本と通貨スワップを結ぼう」と言い出したご都合主義(2019年5月21日付 デイリー新潮より)

「蟻地獄」とはまた過激なタイトルですね。

ですが、現在の韓国経済が陥っている状況とは、まさに、「蟻地獄」という表現が適切でしょう。

というのも、韓国経済は日本経済と比べ、輸出が占める比率が極めて高いという特徴をもっているのですが、成長ドライバーであるはずの輸出に急ブレーキがかかっているからです。

それだけではありません。

文在寅政権下で財政支出が急速に拡大し、韓国の財政当局が伝統的に守ってきた「政府債務比率40%上限」が破られることがほぼ確実となり、少子高齢化に伴う生産年齢人口の比率低下から経済規模自体の縮小懸念も出ている状況にあります。

これに加え、鈴置氏は「韓国経済の先行きに疑問を持った投資家」が韓国の通貨と株式を大々的に売り始める動き(つまり外国資本の逃避)につながれば、「外貨不足によるデフォルト(債務不履行)」が発生しかねないとも指摘しているのですが、こうした苦境こそ、「蟻地獄」という表現に相応しいでしょう。

いわば、従来の民間主導での通貨危機という構造に、政府債務の拡張という要因が加わってきたのであり、これこそまさに韓国という国の信用リスクが高まっている原因でしょう。

(※余談ですが、いちおう付言しておきますと、韓国が「蟻地獄」に堕ちたのは韓国の自業自得であり、日本の責任ではありません。念のため。)

おだてに弱い日本の政治家

「困ったから通貨スワップ」、笑えない理由

ところが、こうした「韓国の苦境」を「韓国、ざま見ろ」と嘲笑するわけにはいきません。

タイトルにある「日本と通貨スワップを結ぼう」という「ご都合主義」は、当ウェブサイトでも以前、『【ショートメモ】中央日報「韓日スワップ程度は復元すべき」』で紹介した、中央日報のコラムニストが執筆した次の記事のことを意識しているものでしょう。

【コラム】危機の韓国経済、韓日通貨スワップ復元など最後の安全弁を用意する時(2)(2019年05月15日10時06分付 中央日報日本語版より)

この中央日報のコラムでは

ムーディーズの格付けは来月ごろ出てくる。このような時期にウォン安ドル高が急激に進み、北朝鮮はまたミサイルを発射している。米中通商摩擦が長引くのも良くない信号だ。まともな政府なら今ごろ、韓米通貨スワップは難しいとしても、韓日通貨スワップ程度は復元して最後の安全弁を用意しなければいけない。しかし危機意識がないというのがさらに大きな危機だ。青瓦台(チョンワデ、大統領府)は「良い経済数値」探しに気を取られている。(※下線部は引用者による加工)

などと記載されていて、この下りを読んだとき、私自身も「何ですか、『韓日スワップ程度は』って?」と呆れた記憶があります。だいいち、韓国は自称「4000億ドルを超える外貨準備」を保有しているはずの国ですから、日本とのスワップなど必要ないはずでしょう。

(※余談ですが、韓国銀行が主張する「4000億ドルの外貨準備」とやらについては、『韓国とUAEが通貨スワップ協定が復活 「通貨危機遠のく」?』で申し上げたとおり、そもそも「本当に4000億ドルもあるのか?」と疑問に感じざるを得ません。)

韓国とUAEが通貨スワップ協定が復活 「通貨危機遠のく」?

このコラムの主張について鈴置氏は、

蟻地獄に堕ちた韓国経済。ずぶずぶと砂の底に沈んでいくのを食い止めるには、通貨スワップという綱を日本に結ばせるしかない、との判断だ

と指摘しているのですが、常識的に考えて、日本が韓国と通貨スワップを結ぶなど、考えられません。というのも、韓国は徴用工判決を筆頭に、レーダー照射事件や慰安婦財団解散、上皇陛下侮辱など、さんざん日本を挑発し、侮辱し、脅威を与え、そして日本の利益を侵害して来たからです。

通貨スワップを締結してもらいたいなら、まずはひとつひとつの不法行為につき、謝罪し、日本の損害を回復することが先だと思うのが自然な発想でしょう。

しかし、鈴置氏の論考において、本当に嫌なくだりは、次の節です。

「日本の政治家や役人はおだてに弱い。最後はスワップに応じるはずだ」と語る日本通の韓国人がけっこういる。

実は、これこそ、数日前から当ウェブサイトで説明している、「日本にとっての本当の脅威」です。

国益をないがしろにする、日本の政治家と官僚とは?

鈴置氏は実名を挙げていませんが、「国益をないがしろにする政治家と官僚」といえば、いくらでも思い当ります。

この点、昨日の『真の親日派とは、文在寅氏その人だ』でも触れたとおり、韓国側でも「用日派」と呼ばれる政治家らを中心に、日本の政治家や官僚が韓国に対して譲歩してくれることを、ある意味で当然視しているふしもあるのです。

たとえば、2015年、日本が明治期の産業革命関連資産の世界遺産登録をめざした際、韓国が「それらの施設では朝鮮人労働者が強制労働に従事させられた」とするウソを全世界にばら撒き、世界遺産登録を阻止しようとしたことがありました。

その際、ユネスコ大使だった佐藤地(さとう・くに)は、 “forced to work” という表現を用いて、あたかもこれらの施設で朝鮮人労働者が日本によって強制労働に従事させられたかのように述べました。

ちなみに、外務省はこの “forced to work” を「強制労働を意味するものではない」などと強弁しています(このあたりについては毎日新聞の澤田克己氏の『「forced labor」と「forced to work」日本人が知っておかなければならないこと』に詳しく触れられています)。

しかし、世界の一般的な人々が “forced to work” という表現を聞けば、間違いなく、「朝鮮人労働者の強制労働があったという事実を日本政府自身が認めた」と思うでしょうし、当然、当時の岸田文雄外相の責任も重大です(少なくとも岸田氏に次期首相の資格はありません)。

また、自民党の衆議院議員である額賀福志郎氏は、日韓議連の会長という重責にありながら、日本の国益を主張すべき局面に、能天気に文在寅(ぶん・ざいいん)大統領とニヤニヤ握手しながら帰ってきた人物でもあります(『能天気過ぎる日韓議連の共同宣言と自民党内の韓国への怒り』参照)。

不誠実な韓国政府と無能すぎる日韓議連 議連総会は期待外れ

財務省の詭弁を記録する

「日本の国益を売り渡すかのような官僚」には、ほかにもいくつもの事例があるのですが、もう一例だけ挙げておきましょう。

鈴置氏の論考のテーマでもある「日韓通貨スワップ協定」を巡って、2014年4月16日の「第186回国会・衆議院財務金融委員会」で三木圭恵衆議院議員(当時)の質問に対し、当時の山崎達雄国際局長が答弁した内容が、壮絶です。

日韓通貨スワップを初めとする地域の金融協力は、為替市場を含む金融市場の安定を通じまして、相手国、日韓の場合は韓国だけじゃなくて、日本にとってもメリットはあります。/というのも、日本と韓国との間の貿易・投資、あるいは日本企業も多数韓国に進出して活動しているわけでありまして、その国の経済の安定というのは双方にメリットがある面、それからまた通貨という面でいうと、むしろ通貨を安定させるという面、ウォンを安定させるという面もあるわけであります。/そういうことで、私どもとしては、当時、日韓通貨スワップを拡大したのは、むしろ、韓国のためだけというよりも、日本のため、地域の経済の安定のためということがあったということだけ申し上げたいと思います。

要するに、日韓通貨スワップには、「相手国に進出している日本企業を助けるというメリットがある」、「日韓間の為替相場やウォンを安定させるというメリットがある」ということですが、こういうのを、日本語では詭弁と言います。

(※ちなみにこの人物は2015年7月7日に退官後、現在は民間企業などに天下りしていて、調べてみるとマスコミ関係者の天下り先としても有名な国際医療福祉大学で特任教授を務めていたこともあるようです。)

まず、韓国に進出している日本企業、韓国とビジネスを行っている日本企業にとっては、韓国経済が混乱したら損害が発生する可能性があることは事実です(※三菱重工のように、韓国拠点を撤退しているにも関わらず、資産差押えを喰らっているケースもありますが…)。

しかし、それと同時に日本は自由主義経済を採用していますから、民間企業はどこの国とビジネスを行っても自由であると同時に、ビジネスは自己責任である、ということでもあります。

日韓通貨スワップとは、究極的には、日本が韓国という国にカネを貸しているのと同じようなものですから(※これを金融の専門用語では「コミットメント・エクスポージャー」と呼びます)、いわば、「好きで韓国とビジネスを行っている企業を、日本国民全体の負担で救済している」のと同じことです。

以前、日中為替スワップには「閉鎖的な中国の資本市場でパンダ債などを発行した邦銀を救済する目的がある」と申し上げましたが(『通貨スワップと為替スワップを混同した産経記事に反論する』参照)、規制を受けている金融機関ならいざ知らず、普通の企業を税金で救済するいわれはありません。

通貨スワップと為替スワップを混同した産経記事に反論する

また、日韓通貨スワップには韓国ウォンという通貨自体を安定させる効果があることは事実ですが、これは言い換えれば、むしろ韓国が日韓通貨スワップの後ろ盾を得て恣意的な為替操作を行い、日本企業の輸出競争力を損ねる方向に悪用されかねない、ということでもあります。

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韓国の為替相場の実情

為替相場の許容レンジは非常に狭い?

さて、韓国が日本からの通貨スワップ協定を強く期待していることは間違いないと思うのですが、ここで、ふとした疑問が浮かびます。

韓国は輸出立国ですから、通貨が下落した方が、都合が良いのではないでしょうか?

手前味噌で恐縮ですが、このことを考える上で、是非、当ウェブサイトの『総論:なぜ通貨安は困るのか 外国から外貨を借りる国の悲哀』の議論を思い出していただけると嬉しいと思います。

総論:なぜ通貨安は困るのか 外国から外貨を借りる国の悲哀

韓国の場合は輸出立国ではありますが、それと同時に原材料、素材などの国内製造比率が低く、典型的な「組み立て産業モデル」国でもあります。日本から近いという「地の利」を生かし、基幹資材や基幹部品を日本から輸入して、加工している、というモデルだと考えるとわかりやすいでしょう。

したがって、確かに自国通貨(ウォン)が下落すれば輸出競争力は上昇しますが、それと同時に輸入品価格は上昇してしまうため、輸出競争力の上昇効果は相殺されてしまいます。

それだけではありません。

韓国は外国から3000億ドルを超える資金を借りている国ですが(『数値で見る日韓関係:ヒト・モノ・カネの交流状況とは?』参照)、自国通貨(ウォン)が下落すれば、ウォン換算したときの外国通貨建ての借金の負担が増大するという「信用リスク増大効果」が生じてしまうのです。

数値で見る日韓関係:ヒト・モノ・カネの交流状況とは?

このことから、韓国では許容される為替相場の水準が非常に狭く、ウォン安が進み過ぎても、ウォン高が進み過ぎても、それぞれに困った現象が発生する、という構造にあるのです。

韓国経済の特徴
  • 通貨が上昇し過ぎれば輸出競争力が低下する
  • 通貨が下落すれば輸出競争力上昇効果を輸入品価格上昇効果が相殺してしまう
  • 通貨が下落し過ぎれば通貨危機の可能性が高まる

過去に通貨危機は2回発生した

では、韓国の通貨は、過去にどのような水準で推移していたのでしょうか?

韓国銀行からダウンロードできる、韓国ウォンの対米ドルレート(USDKRW)の1964年5月以降のデータを眺めてみると、大きく3つの時期に分けられることがわかります(図表1)。

図表1 1964年5月以降の為替相場

(【出所】韓国銀行 “Economic Statistics System” データ(系列8.8.1.1)より著者作成)

最初の期間は、アジア通貨危機(1997年)以前で、1980年までは事実上の固定相場制だったものが、変動相場制に移行。1ドル=600~900ウォンのレンジで動いてきた時期です。

次の期間が、アジア通貨危機で、1ドル=2000ウォン近くにまでウォンが暴落し、その後は国際通貨基金(IMF)改革を経て、2008年までにかけてじりじりとウォン高となる局面で、1ドル=1000ウォンを割り込む水準にまでウォンが買われる局面もありました。

そして、3つ目の時期が、2008年9月のリーマン・ブラザーズの経営破綻に端を発する国際的な金融危機局面です(図表2)。

図表2 2008年5月以降の為替相場

(【出所】韓国銀行 “Economic Statistics System” データ(系列8.8.1.1)より著者作成)

9月のリーマン倒産後、世界的なリスク回避の動きから、韓国ウォンは対米ドルで大きく下落し、11月末には1500の大台を超えるまでに売られました。このときは、日米などが韓国と通貨スワップを締結・拡大することでいったん相場は落ち着いたのですが、再び2009年3月頃に暴落するなどしています。

ただ、ウォン相場はその後、徐々に落ち着いたものの、今度は1ドル=1000ウォンの大台を割り込むこともなく、1ドル=1200ウォンを超えたのも数えるほどしかない、ということがわかります。

日本の通貨スワップ

では、具体的に日本との通貨スワップは、韓国にとってどう役に立ってきたのでしょうか?これについて、過去に存在していた日韓通貨スワップについてざっと振り返っておきましょう。日韓通貨スワップについては、かつては米ドル建て(図表3)、円建て(図表4)のものがありました。

図表3 米ドル建て日韓通貨スワップ
時点概要日→韓の上限額
2001年7月4日CMIに基づく日韓通貨スワップ開始20億ドル
2006年2月24日CMIスワップの増額100億ドル
2011年10月19日「野田佳彦スワップ」開始400億ドル
2012年10月19日「野田佳彦スワップ」終了100億ドル
2015年2月16日CMIスワップが失効

(【出所】日銀、財務省、国立国会図書館アーカイブ等より著者作成。なお、日銀、財務省が一部過去データを抹消しており、国立国会図書館アーカイブも不完全であるため、誤っている可能性もある)

図表4 日本円建て日韓通貨スワップ
時点概要日→韓の上限額
2005年5月27日円建て通貨スワップ開始30億ドル
2008年12月12日リーマン・ショック後のスワップ増額200億ドル
2010年4月30日リーマン増額措置終了30億ドル
2011年10月19日「野田佳彦スワップ」開始300億ドル
2012年10月31日「野田佳彦スワップ」終了30億ドル
2013年7月3日円建て通貨スワップ終了

(【出所】日銀、財務省、国立国会図書館アーカイブ等より著者作成。なお、日銀、財務省が一部過去データを抹消しており、国立国会図書館アーカイブも不完全であるため、誤っている可能性もある)

(※なお、図表3に示した「日本円建ての通貨スワップ」については、厳密には「為替スワップ」ではないかという気もするのですが、私が確認した限りでは、日銀の過去資料など「為替スワップ」という用語は用いられていないため、当ウェブサイトでは一貫して「通貨スワップ」として取り扱っています。)

いずれのスワップについても韓国が引き出すことができるのは、世界の基軸通貨である米ドルと、アジア最強のハード・カレンシーである日本円であり、いずれも韓国が「喉から手が出るほど欲しい」スワップだったことは間違いありません。

また、図表3の米ドル建てスワップはともかく、図表4の円建てスワップについては、当時の日本の財務省は、「韓国が通貨危機に陥り、日本円を引き出して市場で売却し、米ドルを買ってくれれば、円安になってくれてうれしい」といったよこしまな発想でもあったのかもしれません(※証拠はありません)。

そして、この日韓通貨スワップの規模は、当時の李明博(り・めいはく)韓国大統領と野田佳彦首相が華々しく「韓日協力」をぶち上げたことにより、2011年10月に、総額700億ドルにまで拡大。

欧州債務危機の最中の2011年10月5日に1ドル=1200ウォン直前にまで売られていた為替相場も一気に沈静化し、その後、相次ぐギリシャ危機にも関わらず、韓国ウォンは驚くほど安定していました。

通貨スワップと日本

李明博がスワップを「食い逃げ」

では、野田佳彦前首相が2011年10月に、韓国との通貨スワップを700億ドルへと大幅に拡大したことで、何か日本にメリットはあったのでしょうか?

その答えは、冒頭に紹介した鈴置氏の記事に書かれていますが、李明博元大統領は島根県竹島に不法上陸したり、「日王(※天皇陛下のこと)が訪韓したいのなら、独立運動で犠牲になった人々に心から謝罪すべきだ」などと発言したりしています(詳しくは鈴置氏の記事の4ページ目をご参照ください)。

結果、日本はドル建てのCMI通貨スワップ(100億ドル)を2015年2月に、円建ての通貨スワップ(30億ドル相当)を2013年7月に、それぞれ終了させています。

現時点で韓国が外国と締結している通貨スワップの金額は、昨日時点の為替相場で換算して、約1242億ドルです(図表5)。

図表5 韓国が外国と締結している通貨スワップ協定
相手国相手通貨と米ドル換算額韓国ウォン
インドネシア115兆ルピア(79.2億ドル)10.7兆ウォン(90億ドル)
マレーシア150億リンギット(35.8億ドル)5兆ウォン(42億ドル)
スイス100億フラン(98.9億ドル)11.2兆ウォン(94億ドル)
オーストラリア100億豪ドル(68.8億ドル)9兆ウォン(75億ドル)
UAE200億ディルハム(54.4億ドル)6.1兆ウォン(51億ドル)
中国3600億元(520.8億ドル)64兆ウォン(536億ドル)
上記の小計約858億ドル106兆ウォン(887億ドル)
CMIM384億ドル
合計約1242億米ドル相当額約1271億ドル?

(【出所】各国中央銀行等ウェブサイトを参考に著者作成。なお、UAE以外の各国通貨の米ドル換算額は金曜日時点のWSJの引け値を参照)

このうち、米ドルへのペッグ(固定相場)制度を採用しているUAEを除けば、米ドルを直接に入手するスワップは存在していません。また、カナダとの間では期間・金額無制限の「為替スワップ協定」が存在していますが、これは「通貨スワップ」ではありません。

さらに、中国とのスワップ(3600億元)は、人民元自体がソフトカレンシーであることに加え、2017年10月10日で失効済みであり、韓国の当局者が「延長に口頭で合意した」と「口頭で」述べただけであるため、韓国が通貨危機に陥った際に発動できるものとは限りません。

通貨スワップ論を無すれば、結果的に「意図せざる経済制裁」に

以上の議論をヒトコトでまとめると、

お人よしの日本は、今度こそ韓国から距離を置け

です。

もちろん、以前から当ウェブサイトの、『「カネ」から眺めた日韓関係:日本にとって韓国は2%の国』や『通貨スワップと韓国経済の「黒字倒産」リスクについて考える』などで議論しているとおり、韓国は短期的な対外債務が1000億ドルを超えていて、「突然死」リスクと無縁ではありません。

「カネ」から眺めた日韓関係:日本にとって韓国は2%の国

しかし、もう少し正確に申し上げるならば、今後のあらゆる韓国との交渉は、極力、国際的なルールに従い、オープンベースで高い透明性を確保しながら行うべきであり、くれぐれもかつての密室道徳外交に戻るべきではありません。

徴用工判決問題に対する仲裁手続移行の遅れ、なぜ?』でも申し上げたとおり、韓国との間でのトラブルは基本的に国際ルールに従い、まずはオープンベースでの交渉、次に仲裁手続(場合によっては国際裁判)を経て、最後は国際的ルールに従って処理するのが適切です。

徴用工判決問題に対する仲裁手続移行の遅れ、なぜ?

この点、日韓請求権協定第3条第2項に基づく仲裁手続がなかなか取られないことに対しては、当ウェブサイトとしては強い懸念を示してきたのですが、今月20日に日本政府がやっと韓国政府に対し、仲裁手続の付託を通告したことで、日韓関係は晴れて正式に「オープン外交」のベースに乗りました。

そして、今後、韓国の政治家、中央銀行、経済団体、マスコミ関係者などからは、折に触れて「日韓通貨スワップ必要論」が出て来ると思いますが、日本政府がやるべきことは、「日韓通貨スワップ再開論」を徹底的に無視することです。

額賀氏のごとき「親韓派議員」が「日韓通貨スワップ再開」に言及し、それを政府が黙殺する(あるいは麻生総理あたりが「日韓スワップ?ないない」などと発言する)のも良いかもしれませんが、無視するだけでも十分な効果はあるでしょう。

そうすることで、国際社会は「日本は本当に韓国を救済しないつもりだ」ということを正確に理解するからです。つまり、日韓通貨スワップは「無視する」だけで、結果的に「意図せざる経済制裁」効果が生じる、ということなのかもしれません。

※本文は以上です。

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    桜を見る会の「もりかけ問題」化にどう対抗するか (38コメント)
  • 2019/12/04 05:00 【数字で読む日本経済
    数字で検証する、「対韓輸出規制が日本経済に打撃」説 (18コメント)
  • 2019/12/03 22:00 【時事|韓国崩壊
    USDKRWが再び1190ウォンの大台超過 (16コメント)
  • 2019/12/03 12:30 【時事|韓国崩壊
    順調にデフレ化する韓国経済 (32コメント)
  • 2019/12/03 10:00 【マスメディア論|時事
    流行語大賞と「表現の自由」と「批判の自由」 (23コメント)
  • 2019/12/03 06:00 【時事|韓国崩壊
    ネセサリーロスで読む 日経世論調査と日韓関係の未来 (14コメント)
  • 2019/12/03 05:00 【数字で読む日本経済
    貿易統計をじっくり読むと浮かぶ、日本経済の意外な姿 (18コメント)
  • 2019/12/02 12:30 【時事|韓国崩壊
    上皇陛下侮辱の国会議長が「ゴミ法案」を強行するわけ (32コメント)
  • 2019/12/02 10:45 【時事|金融
    韓国政府「人員の5割増」だけでは問題は解決されない (28コメント)
  • 2019/12/02 06:00 【マスメディア論
    社会が健全ならウソツキは淘汰される それだけのこと (16コメント)
  • 2019/12/02 05:00 【韓国崩壊
    中国向け輸出低迷 韓国の輸出が12ヵ月連続で不振に (5コメント)
  • 2019/12/01 08:00 【時事|韓国崩壊
    土曜日の「鈴置論考」と金融市場の急変の怖さ (31コメント)
  • 2019/12/01 05:00 【韓国崩壊|数字で読む日本経済
    いま話題の日韓関係、「数字」でじっくりと読んでみた (28コメント)
  • 2019/11/30 12:00 【読者のページ
    読者雑談専用記事 2019/11/30(土) (118コメント)
  • 2019/11/30 08:00 【RMB|日韓スワップ|金融
    スワップは信頼と友好の証 最も重要な隣国と締結を! (19コメント)
  • 2019/11/30 05:00 【韓国崩壊
    韓国が輸出規制と誤る限り、措置撤回は不可能 (47コメント)
  • 2019/11/29 16:30 【マスメディア論|時事
    朝日新聞社、単体の中間決算は営業赤字に転落 (17コメント)
  • 2019/11/29 12:10 【時事|韓国崩壊
    時事通信「文喜相案巡り日本政府内に期待」、本当に? (29コメント)
  • 2019/11/29 06:00 【時事|金融
    香港人権民主主義法の本質は「対中輸出管理の強化」? (33コメント)
  • 2019/11/29 05:00 【数字で読む日本経済
    日本経済を客観的な数字で読んでみた結果を総括します (14コメント)
  • 2019/11/28 17:30 【時事|韓国崩壊
    ついに対韓ビール輸出がゼロに!そのインパクトとは? (28コメント)
  • 2019/11/28 11:15 【時事|韓国崩壊
    文喜相氏の「解決策」を絶賛する中央日報社説 (39コメント)
  • 2019/11/28 06:00 【韓国崩壊
    硬派メディア、「安倍総理が文喜相氏の基金案に共感」 (21コメント)
  • 2019/11/28 05:00 【数字で読む日本経済
    貿易統計に見る「意外と貿易依存度が低い日本」の現状 (8コメント)
  • 2019/11/27 18:30 【時事|国内政治
    立民、桜を見る会に対抗しシュレッダーを見る会を開催 (40コメント)
  • 2019/11/27 14:00 【時事|韓国崩壊
    輸出管理の本質は「政策対話から3年半逃げる韓国」 (35コメント)
  • 2019/11/27 12:00 【読者のページ
    読者雑談専用記事 2019/11/27(水) (80コメント)
  • 2019/11/27 10:15 【時事|韓国崩壊
    韓国国会議長による自称元徴用工問題「解決」策が判明 (27コメント)
  • 2019/11/27 05:00 【韓国崩壊
    オプション理論から見る米韓関係 (36コメント)
  • 2019/11/26 17:40 【時事|韓国崩壊
    鈴置氏「GSOMIA後の米韓関係」に関する最新論考 (23コメント)
  • 2019/11/26 13:15 【数字で読む日本経済
    「消費税20%」で日本をぶっ壊す!悪の組織・財務省 (22コメント)
  • 2019/11/26 10:45 【時事|韓国崩壊
    韓国メディア「感情対立煽るな、韓日お互い自制せよ」 (49コメント)
  • 2019/11/26 05:00 【韓国崩壊
    韓国「日本が輸出規制を1ヵ月で撤回すると言った!」 (49コメント)
  • 2019/11/26 05:00 【雑感オピニオン
    お詫び:「数字で読む日本経済」シリーズについて (3コメント)
  • 2019/11/25 12:36 【時事|韓国崩壊
    菅官房長官、「政府として韓国に謝罪した事実はない」 (43コメント)
  • 2019/11/25 10:30 【時事|韓国崩壊
    月曜の韓国メディアの反応と「ウソツキ国家への対応」 (50コメント)
  • 2019/11/25 06:00 【韓国崩壊
    GSOMIA後の文在寅氏は「水に落ちた犬」なのか? (26コメント)
  • 2019/11/25 05:00 【数字で読む日本経済
    数字で見る、「在留外国人数」とわが国のグローバル化 (6コメント)
  • 2019/11/24 21:45 【時事|韓国崩壊
    韓国政府、「安倍は良心の呵責はないのか!」と逆ギレ (49コメント)
  • 2019/11/24 13:15 【マスメディア論|時事
    朝日出身者「支持率下がらないのは国民の側にも問題」 (64コメント)
  • 2019/11/24 05:00 【韓国崩壊
    土曜日の鈴置論考とGSOMIA騒動の「本当の教訓」 (75コメント)
  • 2019/11/23 16:00 【読者投稿
    【読者投稿】GSOMIA[事実上の延長」の真否 (45コメント)
  • 2019/11/23 14:00 【読者投稿
    【読者投稿】在韓日本人が見た、韓国の教育の実態 (28コメント)
  • 2019/11/23 12:00 【読者のページ
    読者雑談専用記事 2019/11/23(土) (75コメント)
  • 2019/11/23 10:10 【時事|韓国崩壊
    さっそくGSOMIA問題を曲解報道する韓国メディア (55コメント)
  • 2019/11/23 05:00 【韓国崩壊
    韓国の「GSOMIA瀬戸際外交」は日本の勝利だが… (42コメント)
  • 2019/11/22 22:41 【時事|韓国崩壊
    【資料】GSOMIA等を巡る日韓両国政府の発表内容 (40コメント)
  • 2019/11/22 18:38 【時事|韓国崩壊
    韓国政府の「GSOMIA条件付き延長」をどう見るか (84コメント)
  • 2019/11/22 17:15 【時事|韓国崩壊
    韓国政府、GSOMIA破棄を「条件付き撤回通告」? (49コメント)
  • 2019/11/22 16:15 【時事|韓国崩壊
    【速報】韓国「GSOMIAパッケージディール」提案 (18コメント)
  • 2019/11/22 14:30 【時事|韓国崩壊
    GSOMIA特集 「困ったら逆ギレ」の黄金パターン (22コメント)
  • 2019/11/22 11:22 【時事|韓国崩壊
    中央日報「韓日両国首脳が目を覚ますことを望む」 (28コメント)
  • 2019/11/22 09:45 【時事|韓国崩壊
    米国防総省、「朝鮮日報は米軍一部撤収報道の撤回を」 (20コメント)
  • 2019/11/22 05:00 【数字で読む日本経済
    数字で見る、「日本人はどこの国に居住しているのか」 (10コメント)
  • 2019/11/21 17:40 【時事|韓国崩壊
    GSOMIA終了前提?聯合ニュース、続々記事配信中 (35コメント)
  • 2019/11/21 12:00 【時事|韓国崩壊|金融
    「GSOMIA後」、大量格下げと金融不安も焦点に (41コメント)
  • 2019/11/21 10:00 【時事|韓国崩壊
    中央日報「安倍総理が徴用工財団案評価」、本当? (27コメント)
  • 2019/11/21 06:00 【経済全般
    訪日旅客減少はむしろ観光客の中韓依存を是正する好機 (21コメント)
  • 2019/11/21 05:00 【数字で読む日本経済
    数字で見る、「中韓は日本経済にとって不可欠」の真相 (8コメント)
  • 2019/11/20 12:22 【時事|国内政治
    「裏取りを軽視」?ここまで来ると怪文書の類いでは? (28コメント)
  • 2019/11/20 12:00 【読者のページ
    読者雑談専用記事 2019/11/20(水) (97コメント)
  • 2019/11/20 10:00 【時事|韓国崩壊
    文在寅氏「GSOMIA巡り最後の瞬間まで努力する」 (48コメント)

  • 著者のコンタクト先:info@shinjukuacc.com

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