<用語集>日韓通貨スワップ協定
目次
「通貨スワップ」の定義
- 民間金融機関・企業間などで締結されるデリバティブ取引
- 国家(中央政府・中央銀行)間で締結される通貨交換取極
ここでは、上記(2)、すなわち「国家間の通貨交換取極め」について言及する。
日本とアジア諸国との通貨スワップ
チェンマイ・イニシアティブ(CMI)による二カ国間通貨スワップ(BSA)
1997年~98年のアジア通貨危機を受けて、主に日中韓の三カ国とASEAN加盟国の間で締結された通貨スワップ協定。日本の場合、特にASEAN諸国に対し、CMIに基づき、個別に「二国間通貨スワップ協定」を締結している。財務省ウェブサイト上確認できる協定は次の通り。
相手国 | 種別 | 限度額 | 備考 |
---|---|---|---|
シンガポール | 自国通貨(SGD/JPY)と米ドル | SGD⇒USD:30億ドル JPY⇒USD:10億ドル | 2015年5月21日に更新 |
フィリピン | 自国通貨(PHP/JPY)と米ドル | PHP⇒USD:120億ドル JPY⇒USD:5億ドル | 2014年10月6日に更新 |
インドネシア | 自国通貨(IDR/JPY)と米ドル | IDR⇒USD:227.6億ドル JPY⇒USD:なし | 2013年12月13日に更新 |
(出所)財務省「CMI報道発表等」
チェンマイ・イニシアティブ・マルチ化協定(CMIM)
CMIを多国化(マルチ化)した協定。日中韓(香港含む)とASEAN各国が参加しており、通貨危機等の際には多国間で資金を融通し合う仕組み。ただし、全額を引き出すとIMFが介入することとされており、また、IMFの介入がない限度額(IMFデリンク)の上限は原則として引出可能額の30%とされている(2014年7月現在)。
日本と韓国との通貨スワップ
日韓間の通貨スワップ協定の経緯は次表の通り。
時点 | 出来事 | 合計額 |
---|---|---|
2001年7月4日 | 日本から韓国への一方的スワップの提供が開始 | 20億ドル |
2005年5月27日 | 日韓中央銀行同士でのスワップ協定(30億ドル)が発効 | 50億ドル |
2006年2月24日 | CMIに基づく20億ドルの一方的スワップを双方向スワップに改定し、限度額も20億ドルから100億ドルに増額 | 130億ドル |
2008年12月12日 | リーマン・ショック直後にCMIに基づく日韓スワップ限度額が200億ドルに増額される | 300億ドル |
2010年4月30日 | リーマン・ショック直後に増額された日韓中央銀行同士のスワップ協定(200億ドル)が30億ドルに戻る | 130億ドル |
2011年10月19日 | 野田政権が中央銀行スワップを30億ドルから300億ドルに10倍増。これとは別に「野田スワップ」を300億ドル締結 | 700億ドル |
2012年10月19日 | 300億ドルの「野田スワップ」が失効 | 400億ドル |
2012年10月31日 | 中央銀行のスワップ増額が失効 | 130億ドル |
2013年6月24日 | 中央銀行スワップ(30億ドル)が失効 | 100億ドル |
2015年2月16日 | CMIスワップ(100億ドル)が失効 | 0ドル |
(【出所】財務省ウェブサイトより著者作成)
関連記事
人民元に関する関連記事
日韓スワップ等に関する関連記事
経済・金融に関する用語集
※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。
やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。
※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。
※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。
当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。
【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
関連記事・スポンサーリンク・広告