「韓国経済崩壊論」を金融面から検証する
昨日、「なぜ韓国政府は日本とのスワップを結びたがっているのか?」という疑問に対する論考を掲載しましたが、その原稿を執筆する時に韓国銀行から韓国の資金循環統計のデータを取得。これを読み込むと、韓国経済の「慢性病」が明らかになってきました。おりしも、インターネットでは「韓国経済崩壊」、「韓国経済破綻」などの過激なキーワードの検索も増えているようです。そこで、本日は「金融面から見えてくる韓国経済の基本的な三つの問題点」を解説します。(※)なお、昨日の記事で、「通貨危機時の韓国からの資金流出額は円換算で40兆円程度か?」と記載しましたが、その後、きちんと計算しなおすと、「円換算で30兆円程度」でした。お詫びして修正申し上げます。大変申し訳ございませんでした。
目次
最初に訂正
昨日、私は「韓国から見た日韓スワップの必要性」の中で、「通貨危機時の韓国からの資金流出額は40兆円相当か?」と述べましたが、本日の原稿できちんと集計範囲を特定したところ、実際には「30兆円相当」である可能性が高いと考えられることがわかりました。お詫びして訂正いたします。大変申し訳ございませんでした。
通貨論の専門家が「韓国経済崩壊」説を検証
というわけで、本日の記事は、昨日掲載した「韓国側から見た日韓スワップの必要性」の続きです。私の専門は「金融・通貨論」でもあるため、私はこれまで当ウェブサイトで、「日韓通貨スワップ」に関する専門的な記事をいくつか掲載して来ました。
日韓通貨スワップ協定について
- 2016年10月13日: 韓国から見た日韓スワップの必要性
- 2016年10月7日: 「日韓通貨スワップ協定」深掘り解説
- 2016年9月30日: 日韓スワップ「500億ドル」の怪
- 2016年9月17日: 専門知識解説:「日韓通貨スワップ協定」
人民元が「主要通貨」「国際通貨」であるかどうかについて
- 2016年10月12日: SDRとは?
- 2016年10月9日: SDRと人民元と「国際通貨」
- 2016年10月2日: 人民元「主要通貨」報道のウソ
- 2016年9月7日: 人民元のハード・カレンシー化という誤解
ハード・カレンシーについて
- 2016年9月14日: <保存版>ハード・カレンシーとは?
その結果でしょうか、当ウェブサイトは、開始してからまだ3か月が経過していないにも関わらず、そこそこの件数のアクセスを頂戴しているようです。やはり、「人民元が主要国際通貨になった」とか、「日韓スワップ」とか、そういった専門的な領域について、「通貨論」という専門的な(あるいはマニアックな)知識・観点からきちんと解説している記事が、世の中に少ないという証拠なのでしょうか?
ただ、その一方で最近、私が気になっている検索キーワードがあります。それは、「中国経済崩壊」「韓国経済崩壊」など、「どこかの国の経済が崩壊(破綻)する」、といった主張です。私はもともと、金融商品会計基準などの専門家でしたが、そこから金融規制、さらには金融そのものに興味の範囲が広がってきたという経歴があります。必然的に、不良債権問題などについては極めて詳しくなってしまうのですが、昨日の記事でたまたま韓国の資金循環統計を調べたため、本日は韓国について、「金融」という観点から、「韓国経済崩壊」(あるいは「韓国経済破綻」)といった「過激な検索キーワード」が増えている背景を探ってみたいと思います。
韓国の銀行の問題点は欧州と類似
最近の韓国経済といえば、何かと世界を賑わせています。しかも、その多くは、たとえば韓進(かんしん)海運の経営破綻やサムスンのスマートフォンの大型リコール事件など、企業不祥事が極めて多いような印象を受けます。ただ、ある国の経済を分析する際には、やはり、「金融」を見るのが一番重要です。個別の銀行の財務諸表を分析するという手法もあるのですが、やはり経済全体を見るのであれば、韓国銀行のウェブサイトで公表されている同国の「資金循環統計」を入手し、分析することが一番手っ取り早い方法だと思います。
実は、昨日も「韓国の目から見てなぜ日韓通貨スワップが必要なのか?」を議論した際に、韓国銀行から資金循環統計を入手しているのですが、その詳細な分析をしていくと、色々と韓国経済の問題点が出てきます。特に、金融機関の姿が、バブル崩壊直前の日本やリーマン・ショック直前の欧州の姿と非常に良く似ているのです。
※なお、最近の為替相場は、厳密には「1円=約11ウォン」程度ですが、本稿では円換算するにあたり、「1円=10ウォン」と仮定しています。また、韓国銀行から取得した資金循環統計データはいずれも「10億ウォン単位」で表記しています。ざっくり10分の1にすれば日本円の金額のイメージが掴めるでしょう。
銀行セクターはオーバーローン気味
では、資金循環統計から、まず「銀行セクター」の状況を抽出しておきましょう(図表1)。
図表1 銀行セクターの状況(2016年6月末時点)
金融資産 | 金融負債 | ||
---|---|---|---|
現金預金 | 105,195 | 預金 | 1,375,160 |
債券等 | 300,963 | 債券等 | 328,858 |
貸出金 | 1,534,509 | その他 | 702,391 |
その他 | 465,742 | ― | ― |
合計 | 2,406,409 | 合計 | 2,406,409 |
(※集計対象は「預金取扱機関」中の「銀行」、つまり国内銀行+特殊銀行の合計)
昨日の議論では「預金取扱機関」全体を集計対象に加えて、「韓国の預金量は日本のメガバンク2行分だ」と述べましたが、集計対象を「銀行だけ」に限定すると、預金量はまさに日本のメガバンク1行分です。それはさておき、韓国の銀行は、預金が1375兆ウォン(約137兆円)に対し、貸出金が1534兆ウォン(約150兆円)(!)にも達しています。専門用語で「預金と貸出金の比率」を「預貸率(よたいりつ)」と呼びます。
預貸率=貸出金÷預金
そして、銀行の預貸率が100%を超えている場合を、よく「オーバーローン状態」だと称しますが、これは銀行が預かっている預金以上の金額を企業や家計に貸し込んでいる状況です。経済が健全で、貸出金も焦げ付いていなければ、全く問題ではありません。しかし、得てして預貸率が100%を超えている国では、住宅ローン・バブルなどが問題になることも多く、実際に日本では1990年代後半から2000年代前半にかけての金融危機の際、不良債権の焦げ付きで当時の都銀を含めた多くの銀行が経営破綻しています。
ちなみに、全銀協のデータによれば、日本の銀行の預貸率(海外勘定を含む)は、2016年3月末時点で73.41%(うち都銀が68.78%、地銀が74.65%、第二地銀が76.62%)であり、100%を超える水準にはありません。というよりも、日本の銀行経営者は長年にわたり、貸出金が伸びなくて悩んでいるほどです。こうした日本の銀行業から見ると、韓国の銀行は貸し出す先が多くて羨ましいと思う半面、本当は貸すべきではない先(特に要管理先以下のレベルの債務者)にも相当お金を貸し込んでいるのではないかとの疑念は払拭できません。
また、韓国の銀行の特徴は、預金だけでは足りないため、債券等で資金を調達している、という点にもあります。これは金融危機直前/直後の欧州にも見られた状況です。本来、金融機関は一般の人々から受け入れた預金を貸すことで金融仲介機能を果たしているのですが、韓国の場合、お金を「貸し過ぎている」がために、債券を発行せざるを得ない状況に追い込まれていると見るべきでしょう。
外債
韓国の資金循環統計上、債券の形で外国から借りている資金は「外債」として計上されています。外債の状況は次の通りです(図表2)。
図表2 「外債」の保有主体
?主体 | 金融資産 | 金融負債 |
---|---|---|
中央銀行 | 100,309 | ― |
預金取扱機関 | 23,432 | 70,150 |
保険会社 | 58,848 | ― |
非金融法人企業 | 4,221 | 47,255 |
国内その他 | 6,589 | 23,956 |
外国 | 141,362 | 120,327 |
合計 | 261,688 | 261,688 |
まず、この「保有主体別の金融資産・金融負債の状況」の見方について解説しておきます。資金循環統計では、「誰かの資産は他の誰かの負債」であり、「国全体と外国の金額を足せば、必ず資産と負債は一致する」という法則があります(法則①)。もう一つの特徴は、外国との取引に関しては、「外国」が「金融資産」として保有している金額は、「国内の全経済主体全体」が「金融負債」として負っている金額の合計と一致します(法則②)し、「外国」が「金融負債」として負っている金額は、「国内の前経済主体全体」が「金融資産」として保有している金額と一致します(法則③)。これをまとめたものが図表3です。
図表3 資金循環統計の法則
?法則 | 概要 | 備考 |
---|---|---|
法則① | 金融資産と金融負債の総額は必ず一致する | 図表2の例でいえば、金融資産の合計金額は261,688で、これは金融負債の合計額261,688と一致している |
法則② | 国内の全経済主体が保有する金融資産の合計額は、外国が負っている金融負債の金額と一致する | 図表2の例でいえば、国内の経済主体が金融資産側で保有する外債の合計金額は120,328で、外国が負っている金融負債側の外債120,327と一致する(ただし、四捨五入の関係か、1だけズレが生じている) |
法則③ | 外国が保有する金融資産の合計額は、国内の経済主体が負っている金融負債の合計額と一致する | 図表2の例でいえば、外国が金融資産側で保有する外債の合計金額は141,362で、国内の経済主体が負っている金融負債側の外債の合計金額141,361と一致する(ただし、四捨五入の関係か、1だけズレが生じている) |
これを踏まえたうえで、図表2を改めて眺めてみましょう。
図表2(再掲)
主体 | 金融資産 | 金融負債 |
---|---|---|
中央銀行 | 100,309 | ― |
預金取扱機関 | 23,432 | 70,150 |
保険会社 | 58,848 | ― |
非金融法人企業 | 4,221 | 47,255 |
国内その他 | 6,589 | 23,956 |
外国 | 141,362 | 120,327 |
合計 | 261,688 | 261,688 |
中央銀行が保有する外債は100兆ウォン(約10兆円)ですが、これは外貨準備として保有する米国債などの外国の債券であると推定され、そうだとすれば、特段の違和感はありません。しかし、韓国の場合は、「国内の経済主体が資産として保有する外債」よりも、「国内の経済主体が負債として負っている外債」の方が大きな問題です。
韓国では、預金取扱機関(つまり銀行など)が70兆ウォン(約7兆円)、非金融法人企業が47兆ウォン(約5兆円)の外債を発行しています。つまり、外国からトータルで141兆ウォン(約14兆円)のお金を借りていて、これを運転資金や設備資金として使っているようなのです。まずはこの14兆円相当の金額が、韓国の「外貨ポジション」の一つであり、仮に韓国が通貨危機に陥るなどしたときには、企業や銀行が少なくとも14兆円分の外貨不足に陥る可能性がある、ということです。
「その他の外国債権」って何者?
もう一つ、韓国の資金循環統計を眺めていて腑に落ちない点は、「その他の外国債権」という項目の存在です。原文では
Other Foreign Claims and Debts
となっています(ちなみに日本の場合は「その他対外債権債務」という勘定科目です)。本来であれば、債券でも借入金でもない項目がここに計上されるべきなのですが、どうも韓国の場合、この金額が非常に大きいため、たとえば邦銀が韓国企業などに融資をしたときに、その金額が「外国からの借入金」ではなく、この「その他の外国債権」に含まれているのではないか、との疑念が生じます。
実際の金額を見てみましょう(図表3)。
図表3 「その他の外国債権」の保有主体
?主体 | 金融資産 | 金融負債 |
---|---|---|
中央銀行 | 374,232 | 580 |
預金取扱機関 | 142,184 | 112,305 |
一般政府 | 65,574 | 2,402 |
非金融法人企業 | 3,728 | 42,019 |
国内その他 | 18,074 | 8,566 |
外国 | 165,873 | 603,793 |
合計 | 769,665 | 769,665 |
これを見てみると、「金融資産」として圧倒的に大きな部分を保有しているのは中央銀行です。金額は374兆ウォン(つまり37兆円)と、同国の経済規模に比べると極めて巨額であり、もしかして、外貨準備として報告している金額の大部分がここに紛れているのではないでしょうか?裏を返して言えば、「外国」が「金融負債」として負っている金額の604兆ウォン(約60兆円)とは、いわば韓国が外国に貸し付けている金額ということですが、そのうちの6割以上は中央銀行である韓国銀行が貸し付けている計算です。
一方で、「外国」が「金融資産」として保有している166兆ウォン(約17兆円)は、韓国から見れば「外国から借りている金額」です。この「その他の外国債権」という項目自体、正直、正体不明なのですが、もしかすると、外国の銀行(例:日本のメガバンクなど)から借りている資金が、この「その他の外国債権」の項目に紛れてしまっているのかもしれません(※あくまでも憶測ですが…)。仮にそうだとすると、韓国は外国から知られたくない項目について、全てこの「その他の外国債権」勘定を使って統計を粉飾している可能性があります。
そして、金融負債として負っている金額は、預金取扱機関が112兆ウォン(約11兆円)、非金融法人企業が42兆ウォン(約4兆円)ですが、これを先ほどの図表2と合わせてみると、図表4が出来上がります。
図表4 韓国の国内が外国からいくら借りているのか?
?主体 | 外債 | その他の外国債権 | 合計 |
---|---|---|---|
預金取扱機関 | 70,150 | 112,305 | 182,455 |
非金融法人企業 | 47,255 | 42,019 | 89,274 |
国内その他 | 23,956 | 11,548 | 35,504 |
国内合計 | 141,361 | 165,872 | 307,233 |
韓国の経済主体がそれぞれ、外国からどの程度のお金を借りているのかについては、色々と統計上の不透明さもあるものの、「通貨危機で逃げてしまう可能性のあるお金」は、少なく見積もって307兆ウォン(約30兆円)と算出できます。
【重要】訂正について
なお、昨日、私は、これに外国人が保有する韓国の国債など100兆ウォン(約10兆円)を足し合わせて「最大40兆円が資金流出する可能性がある」と述べましたが、この10兆円相当額は韓国ウォン建ての債券であり、厳密には「外貨流出」とはいえないため、「40兆円」は「30兆円」に訂正させていただきます。ご迷惑をお掛けしました。
いずれにせよ、預金取扱機関(つまり銀行など)や非金融法人企業(メーカーなど)、韓国国内の経済主体が外国から何らかの形で30兆円を超える金額を調達していることは間違いありません。
株式は売られても問題ない
国際金融を見るときに間違いやすい論点が、「どの通貨でお金を借りているか」、という論点です。たとえば、昨日も私自身がミスをしたように、外国が韓国に対して保有している債券の中には、韓国ウォン建てのものが、約88兆ウォン(約9兆円相当額)含まれていますし、韓国の株式などを422兆ウォン(!)、つまり日本円で約42兆円相当保有しています。
市場で「外国人が韓国から資金を引き揚げる」という表現をするときには、実は二つの意味合いがあります(図表5)。
図表5 「外国人が韓国から資金を引き揚げる」の意味
区分 | 概要 | 結果 |
---|---|---|
パターン① 韓国ウォン建ての資産を売ること | 韓国ウォン建ての国債や株式などの資産を韓国の市場で売却して外貨に換金して国外に持ち出すこと | 株式・債券・外為の各市場での「トリプル安」が発生し、株価が下がり、金利が上がり、ウォンが安くなるなどの効果が発生する |
パターン② 外貨建ての貸付を更新しないこと | 韓国の企業が外貨で借りている債券や融資の期限が到来したときに、外国の銀行などがこれをロール(更新)してくれないため、外貨を返済しなければならない | もし外貨建ての債務を返済することが出来なければ、ただちに債務不履行(デフォルト)が発生する |
いずれの場合も深刻ですが、パターン①の場合、外国人が韓国ウォン建ての資産を売却するだけの話であり、実は必ずしも韓国にとっては致命的な事態になりません。というのも、別に企業の株価が下落したところで、その企業が経営難に陥るわけではありませんし、また、債券などは一時的に金利が上昇するものの、市場から韓国ウォンが消滅するわけではありませんから、金利が上がれば市場原理に従い韓国ウォン建ての資産を買う人が再び出現するだけの話です。
しかし、パターン②の場合は、韓国の危機に直結します。仮に外貨を借りているのが企業だった場合、その企業は資金繰りがつかずに倒産してしまいますし、倒産した企業が銀行だった場合には、ただちに金融システムが大混乱に陥ります。
つまり、日韓通貨スワップの目的は、パターン①というよりも、パターン②の事態を防ぐためのものなのです。このあたり、誤解をしないようにする必要があります。
韓国は「経済危機」なのか?
資金循環統計自体は、万国共通の統計であり、比較的昔にまで遡れるという長所もあるため、私は興味を持った国の資金循環統計を入手して研究するということを行っています。ただし、中国のように、統計自体が信頼できない国の場合は、資金循環統計を見ても意味がないことがありますし、韓国のようにOECD加盟国であっても、重要な指標を粉飾している可能性があるため、注意が必要です。
ところで、冒頭で述べたとおり、最近、「韓国経済は破綻の危機にある」、あるいはもっと過激な表現だと「韓国経済は崩壊している」、といった言葉を見かけることもあります。しかし、昨日と本日眺めてきたとおり、韓国経済は確かにいくつかの問題を抱えていることは事実ですが、これは一種の「慢性病」(あるいは構造的な問題)であって、今に始まったものではない、ということも事実です。
人体に例えて言えば、高血圧症の人が、明日すぐに死ぬ、というものでもありません。しかし、高血圧を治療しなければ、長期的には心筋梗塞のリスクが高まると言われています。これと同じで、経済にとっての資金は人体にとっての血液のようなものであり、資金循環統計を眺めてみれば、韓国が抱えるいくつかの「致命的な慢性病」が浮き彫りになるのも事実です(図表6)。
図表6 韓国経済が抱える「慢性病」
問題点 | 概要 | 備考 |
---|---|---|
高すぎる家計債務比率 | 家計が負っている金融負債は、家計が保有する金融資産に対して45%にまで達している | 家計債務が不良債権化すれば、銀行セクターの経営危機問題にも直結しかねない |
高すぎる預貸率 | 銀行セクターの預貸率(貸出金残高÷預金残高)は100%を超えている | 金融危機に見舞われている欧州などでも、銀行セクターの預貸率は軒並み100%を超えている |
脆弱な外貨調達構造 | 外貨建ての債務(あるいは外貨建てと疑わしい債務)は日本円に換算して約30兆円に達している | 韓国銀行の公式統計上の外貨準備は日本円換算で40兆円とされるものの、流動性が低い資産などに化けている可能性が高い |
※ただし、これらのうち「家計債務の問題」については、昨日の記事で触れたものであり、本日の記事で直接の言及はありませんのでご注意ください。
もちろん、韓国は現在、韓進(かんしん)海運の経営破綻やサムスンの巨額リコール事件など、多くの企業不祥事を抱えています。また、韓国は大企業の経済に対する寡占率が日本よりもかなり高く、サムスン・グループの連結売上高が韓国のGDPの2割に達するほどですから、こうした不祥事は一企業のものにとどまらず、韓国経済全体にジワリと悪影響を与えかねません。
ただし、図表6に挙げた問題点は、いずれも企業経営の問題ではなく、金融の問題ばかりです。そして、人体にとって血液が止まれば死に直結するのと同様、韓国の場合は外貨での資金調達が止まれば、直ちに国全体の金融危機に直結します。その意味で、本当のリスクは韓進海運の破綻でもサムスンの不祥事でもなく、本当のリスクは金融システムの突然死であり、そのリスクを理解しているからこそ、韓国政府はプライドを捨ててまで日本に通貨スワップの再開を依頼したのだと考えれば、辻褄が合うのです。
もっと読みたい方は…
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
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