「世界の通貨の数」について掲載されているウェブサイトが存在しないので、当ウェブサイトにおいて不正確なりにも実情を類推してみた。ただし、国連や外務省のウェブサイト等で一件ずつ調べたのではなく、あくまでも「基本的に1か国1通貨を使っている」という前提を置き、そのうえで、共通通貨・複数通貨について調整する方式を取った。その結果、世界の通貨の数は165個であると考える。
「世界の国の数は200」
「通貨の数」をカウントする前提として、世界に「国の数」がいくつかるかが問題となるが、ここでは暫定的に、「国の数」は200か国であると仮定する。その根拠は図表1の通り。
図表1 「世界の国の数は200」の根拠
区分 | 数 | 備考 |
①日本が承認している国 | 196か国 | 日本が承認している国のうち、バチカン、コソボ、クック諸島、ニウエは国連未加盟国 |
②国連加盟国 | 193か国 | 国連加盟国のうち、北朝鮮は日本が承認していない国 |
③その他 | 3か国 | 国としての実態はあるものの、国連未加盟であって日本が承認していない国は台湾、パレスチナ、ソマリランド |
(【出所】①②については外務省ウェブサイト(2015年5月15日時点)、③については著者調べ。ただし、ISISなど、これ以外にも独自の通貨を持つ「国」が存在する可能性もある)
「世界の通貨の数は165」
次に、世界の通貨の数をカウントする。基本的に「1か国1通貨」と仮定するが、次の通り、世界の通貨の数は「国の数」とは一致しない(図表2)。
図表2 世界の通貨の数は「国の数」とは一致しない
?パターン | 具体例 | 備考 |
---|---|---|
①複数国が単一通貨を利用しているケース | ユーロ、CFAフラン | ●ユーロ:19か国 ●CFAフラン:14か国が利用 |
②独自通貨を発行していないケース | 米ドル、ユーロを利用している国 | ●米ドル利用国:東ティモール、パラオ、マーシャル諸島 等 ●ユーロ利用国:バチカン、サンマリノ、アンドラ、モナコ 等 |
③単一国で複数通貨を使用しているケース | 海外領、植民地、特別行政区 | ●フランス海外領:CFPフラン ●中国特別行政区・香港(香港ドル)、マカオ(パタカ) |
④事実上、他国通貨が流通しているケース | マカオ、ジンバブエ、北朝鮮 | マカオではパタカと並び、香港ドルが事実上の通貨として流通。経済が崩壊したジンバブエや北朝鮮では外貨が流通 |
⑤事実上の複数通貨国 | ローカル通貨 | スコットランド、北アイルランド、ジブラルタル等で発行されている独自のポンド紙幣は英本国で事実上通用しないため、別通貨と考えるべき |
つまり、1か国1通貨と仮定しても、上記①~③を勘案すれば、通貨の数は165種類、と考えられる。
よって、①:▲31(=19+14-2)、②:▲7、③:+3
ただし、上記④の通り、法的には存在しているものの、事実上、通貨として機能していないものもあるし、また、上記⑤のように、法的には同一とされているものの、事実上は複数の通貨と見るべき項目も存在する。また、地域通貨等についてはここでは加えていない。