昨年秋に週刊ダイヤモンドに掲載された、「日韓のビジネスマン6000人に対するアンケート調査」によると、日本人ビジネスマンの8割弱が「嫌いな国」に韓国を挙げ、また、同様に8割弱が「韓国はビジネス上必要な国ではない」と答えました。これについて昨年、アメブロに記事を投稿したのですが、自分自身のウェブサイトを立ち上げたという事情もあるので、改めて議論を行っておきたいと思います。
※本文中「図表4」が、スマートフォンから閲覧すると途中で切れているという問題点があったため、内容を変更せずに表の形式だけ修正して8:09に再度アップロードしております。
目次
日本人の方が強い嫌悪感を抱く
私はアメーバ・ブログ(略して「アメブロ」)でブログ更新を続けてきたのですが、先月、こちらに自分自身のウェブサイトを立ち上げました。このウェブサイト、アメブロなどと比べると、図表を使った説明が簡単であるという長所があります。そこで、アメブロ時代に書き辛かったネタを、少しずつ再録していこうと考えています。
早速ですが、この「再録」第一弾として、昨年10月に自分自身の「アメブロ」で一度取り上げたことがあるネタを、こちらにてより精緻に分析しておきたいと思います。
昨年の秋、週刊ダイヤモンドに、「日韓のビジネスマン6000人に対するアンケート調査」という記事が掲載されました。記事の概要は、日韓両国のビジネスマン6000人を対象に、日韓関係についてのアンケート調査を行ったものです。
日韓両国でお互いの親近感をはじめとする調査は、公的・民間団体のものを含め、毎年多数行われています。しかし、この「ダイヤモンド」調査がほかの調査と最も異なる点は、母集団が「ビジネスマン」に限定されている点でしょう(図表1)。
図表1 ダイヤモンドのアンケート調査の母集団
? | 人数 | 年収 | 男女比 |
---|---|---|---|
日本側 | 5,000人 | 415万円以上 | 9:1 |
韓国側 | 1,000人 | 4050万韓国ウォン以上 | 8:2 |
いわば、実際に仕事をしている社会人を対象に、日韓関係の「ホンネ」を探る調査の一つです。ただし、調査の時期が昨年12月の「慰安婦合意」より以前であるなど、ややデータが古い点については了解しておく必要があります。
そのうえで、私個人的に強い興味を感じる調査結果が2つあります。一つ目は「嫌いな国・地域はどこですか?3つ選んで順位づけしてください」という質問、二つ目は「ビジネス上、韓国、あるいは日本は必要な国ですか?」という質問です。
まず、「嫌いな国・地域はどこですか?3つ選んで順位付けしてください」という質問について、です。日本側(図表2)、韓国側(図表3)それぞれの回答は次の通りです。
図表2 日本人ビジネスマンが嫌いな国・地域 トップ3
国 | 1位 | 2位 | 3位 | 合計 |
---|---|---|---|---|
中国 | 54.9% | 32.7% | 3.2% | 90.8% |
韓国 | 28.8% | 42.8% | 7.6% | 79.2% |
ロシア | 2.8% | 9.9% | 29.7% | 41.5% |
■図表3 韓国人ビジネスマンが嫌いな国・地域 トップ3
国 | 1位 | 2位 | 3位 | 合計 |
---|---|---|---|---|
日本 | 42.6% | 8.8% | 2.8% | 54.2% |
中国 | 12.9% | 17.7% | 6.7% | 37.3% |
ロシア | 5.6% | 10.1% | 9.1% | 24.8% |
いかがでしょうか?「嫌いな国・地域を3つ挙げてもらう」という質問項目に対し、韓国側で「日本」が合計して54.2%を獲得し、総合1位となっている点は、ある意味、私自身にとっても想定通りでした。しかし、日本側で「韓国」を挙げた人は実に79.2%に達しており、韓国側の数値を25%ポイントも上回っている格好です(ただし1位は「中国」ですが…)。いわば、「日本が嫌いな韓国人ビジネスマン」よりも、「韓国が嫌いな日本人ビジネスマン」の方が多いのが実情なのです。ただ、この結果について、私自身も「日本人ビジネスマン」の一人として、肌感覚としてはなんとなく理解できます(この点については後述します)。
週刊ダイヤモンドの記事には「調査対象のビジネスマンの年齢分布」が掲載されていないのですが、「年収415万円以上」という点で判断するならば、新卒数年目の社会人は調査対象に含められておらず、ある程度、会社でも「中堅層」以上の人々を対象としていると想定できます。つまり、「日本の社会の中核層」の約8割が、韓国に対して「嫌悪感」を抱いている、という格好です。
ちなみに「中国に対する嫌悪感」を抱いているビジネスマンは日本社会に9割も存在するのだそうです。しかし、日本人ビジネスマンが「軍事大国」で「共産主義国家」である中国に対して嫌悪感を抱いていることは想像できますが、「民主主義国家」で「資本主義国家」でもある韓国に対し、ここまでの嫌悪感を抱いているというのは、雑誌社であるダイヤモンド社を含めたマス・メディアの人々からすれば「不思議な現象」なのかもしれません。
日本人ビジネスマンの8割「韓国は不要」
私は先ほど、「肌感覚として、日本人ビジネスマンが韓国に抱いている嫌悪感が何となく理解できる」と申し上げましたが、その理由について説明する前に、もう一つ、調査結果を紹介しておきます。これは、日韓それぞれのビジネスマンに対し、「ビジネス上、相手国を必要としているか?」と尋ねたものです(図表4)。
図表4 ビジネス上、相手国は必要か?
国 | 必要である | (絶対必要) | (ある程度必要) |
---|---|---|---|
日本にとって韓国は | 22.6% | 4.3% | 18.3% |
韓国にとって日本は | 68.8% | 12.9% | 55.9% |
国 | 必要でない | 全く必要ない | それほど必要でない |
---|---|---|---|
日本にとって韓国は | 77.3% | 48.7% | 28.6% |
韓国にとって日本は | 31.2% | 9.6% | 21.6% |
先ほどの質問と比べると、さらに露骨です。韓国人ビジネスマン側は7割近くが「日本は韓国にとってビジネス上必要だ」と答えたのに対し、日本人ビジネスマンの8割弱が、「韓国は日本にとってビジネス上不要だ」と答えたのです(内訳は「全く必要ない」が48.7%、「それほど必要ない」が28.6%)。
先ほどの質問項目と合わせると、
- 韓国人ビジネスマンの5割以上が日本を嫌っているものの、7割近くが日本を必要としている
- 日本人ビジネスマンの8割弱が韓国を嫌っており、かつ、8割弱が韓国を必要としていない
ということです。これをどう考えるべきでしょうか?
韓国から見た日本は「嫌いだけど必要」
まず、調査結果を韓国側から眺めてみましょう。
- 韓国人ビジネスマンの5割以上が日本を嫌っているものの、7割近くが日本を必要としている
いわば、「日本のことは感情としては嫌いだけど、ビジネス上はやっぱり必要だよね」、というような心理でしょうか?韓国が歴史教育を通じ、あるいは報道を通じ、日本を必要以上に糾弾していることは、最近でこそ日本でも知られるようになった事実です。たとえば、週刊ダイヤモンドの同じ号でも、韓国人記者(東京特派員)が「韓国メディアが反日報道を垂れ流す事情」について対談を行っているのですが、韓国ではむしろマス・メディアが反日報道を好んでいる節があるようです。
韓国紙特派員が匿名大放談!反日報道が生まれる裏事情(2015年10月29日付 週刊ダイヤモンドより)
ダイヤモンドの対談に応じた記者(いずれも匿名)らは、たとえば、
「毎朝、3~3本のネタをソウルの上司に報告するんですが、結局、会議で通るのは反日モノばかり。日本に対して好意的な内容はほとんど採用されません。デスクが見出しを過激に変えることもしばしば。だから読者の目に触れる記事はどうしても反日的なものが多くなるんです。」
「反日教育の延長線上でしか事象を切り取れないから、しきりに反日記事を求めてくる」
といった具合に、韓国の本社側が反日的な題材を求めてくる事情を明らかにします。彼ら(東京特派員)、あるいはその上司らが、こうした「刺激的な反日記事」を求める理由は、「そうした記事を掲載すれば韓国内で売れるから」ではないでしょうか?ということは、やはり社会全体が、日本を貶めるような内容の反日記事を求めている、という証拠でしょう。
調査結果や韓国人記者の発言などを、私なりに要約すれば、韓国人の心理とは、
「日本は過去に韓国に対して酷いことをして来たから、感情としては日本のことは嫌いだけれども、やっぱり日本は先進国だし優れた国だから、日本が過去をきちんと反省するならお付き合いしてあげる」
といったところが、ほぼ正確な理解だと思います。
日本「韓国とは関わりたくない」
一方、日本では嫌いな国に「韓国」を挙げた人は合計80%近くに達しており、かつ、77.3%もの人が、「ビジネス上、韓国は必要ない」と答えています。
- 日本人ビジネスマンの8割弱が韓国を嫌っており、かつ、8割弱が韓国を必要としていない
これは重要な調査結果です。いわば、「日本人ビジネスマンは韓国と関わりたくない」と思っている、とでも言うのでしょうか?
では、いったいなぜ、日本人の多くが「韓国と関わりたくない」と思うようになったのでしょうか?そもそも、「韓流ブーム」で日韓は仲良くなったはずだったのでは?など、様々な疑問がわきます。実は、これらのテーマについては、大手メディアが正面から取り上げてこなかった問題でもありますし、簡単に論じるべきテーマでもありません。本日は自分自身の体験を2つだけ、紹介しておきたいと思います。
一つ目は、前職(会社名も業界名も申しあげられません)に在籍していた頃の話です。ある理由があって韓国の某社と関わったことがあります。インターネットの掲示板(いわゆる「2ちゃんねる」など)では韓国の悪口が書かれていることを知っていましたが、現実に彼らと関わってみると、実はインターネットで書かれている悪口の内容が、わりと事実に近いということに気付きました。
二つ目は、自分自身の相続の話です。以前から申し上げている通り、私自身は母親(故人)が在日韓国人でした(生前に日本国籍を取得済み)。ただ、私自身は日本人の環境で育ったため、韓国人社会を体験的に知っているわけではありません。こうした中、数年前に祖母(在日韓国人一世)が辞世した際の遺産相続で大いにもめたのですが、事情を知っている叔父どもが話し合いをする場から逃げ出すという椿事が発生。どうしようもなくなり、結局、日本国の裁判所という公権力を活用して事態を無理やりに打開した、という経験をしました。
この二つの経験から、韓国人が
「大言壮語ばかりする割に、肝心なところで逃げ出してしまう」
という特徴を有していると思うようになりましたが、韓国と関わったことがある複数のビジネスマンに話を聞いても、似たような話ばかり聞くような気がします。限定的にしか韓国と関わったことがない私でさえこうなのですから、ビジネス上、韓国と密接に関係する人であれば、なおさら「韓国人との接し方」で苦労しているのではないでしょうか?
つまり、私の仮説では、日本人の対韓感情が悪化した理由は、「日本人が韓国を知らないから」ではなく、むしろ逆に、「日本人が韓国を深く知るようになったからだ」、というものです。
ただ、「なぜ日本人ビジネスマンの大部分が韓国を嫌っており、かつ、韓国をビジネス上必要としていないのか?」という理由の分析としては、私自身の2つのエピソードだけでは不十分です。もしかして、ほかにも、インターネットが普及したことで、日本人が気軽に韓国メディアの日本語版の報道を読むことができるようになったという事情も関係しているのかもしれません。ただ、その要因を深く分析するには少々時間が足りません。本日はここを深く議論するのはやめておきましょう。
社会の中堅層が「韓国と関わりたくない」
いずれにせよ、重要な事実は、「昨年10月までに、年収415万円以上の日本人ビジネスマン5000人に対して実施された調査」で、「韓国を嫌いな国に挙げた日本人ビジネスマンが8割弱に達した」という点と、「韓国をビジネス上必要ではないと考える日本人ビジネスマンが8割弱に達した」という点です。
もちろん、その後、昨年12月には「慰安婦問題」を巡る「日韓合意」もありましたし、今年の秋口には朴槿恵(ぼく・きんけい)韓国大統領の訪日が実現するかもしれません。今この瞬間、同じ調査を行うと、日本人の対韓感情が好転している可能性は否定できないでしょう。ただ、私の「日本人が韓国を深く知ることにより日本人の対韓感情が悪化した」という仮説が正しければ、日韓の相互理解が進めば進むほど、むしろ「韓国とは関わりたくない」と考える人が増えるののではないかと思います。
社会の中堅層は、いずれ、社会の指導層となります。官僚・公務員であれば事務次官・局長といった要職に就く可能性もありますし、会社員であれば役席に就き、場合によっては経営幹部となっていくでしょう。ベンチャー企業の経営者であれば、中には上場するなどして社会的に成功する人もいるかもしれません。
この社会の中堅層の8割が「韓国が嫌い」で、同様に8割が「韓国をビジネス上重要な相手であるとは見ていない」という状況にあるということは、日本社会も数十年、いや、早ければ数年で、社会の各所で、韓国との関係を切断するという意思決定が行われていく可能性がある、ということです。
余談ですが、私自身、昨年起業したばかりであり、本当であれば仕事が欲しいところです。しかし、韓国とのビジネスを行うつもりは一切ありません。そして、韓国をビジネス相手としている某氏とパートナーシップを持ちかけられているのですが、私は彼に対し、「韓国ビジネスをすべて清算するか、他人に譲渡するのでなければ、貴方とパートナーシップを組むつもりはない」と宣言しています。彼が韓国ビジネスを畳んで私のビジネスに合流するのであれば歓迎したいと思いますが、さて、どうなることやら。
2016/10/14追記:もっと読みたい方は…
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