国の借金を問題視するわりに、なぜ資産を無視するのか
昨日の『新シリーズ「数字で読む日本経済」と「国の借金」理論』では、わが国のメディアなどに蔓延する「国の借金を圧縮せよ」とする主張を巡り、その議論の前提となる「金融負債の定義」などについて触れてみました。本日はいよいよ、「具体的な借金の返し方」のひとつである、「国有財産・公的資産」という論点について触れてみたいと思います。個人の借金の議論で、その個人が持っている財産について触れずに「年収と比べて数十倍の借金があるのは問題だ!」などと議論するとおカネの専門家の人たちからは「あなたは何を言っているのか」とたしなめられますが、同じ議論がなぜか「国の借金」では成り立たないのです。
2019/11/11 0:00 追記
シリーズ化に伴い記事の数がこれから増えていくものと考えられるため、本記事の末尾に「同一シリーズの記事リンク」を追加することにしました。どうぞ記事検索にお役立て下さい。(→2019/11/11 09:00付でさらにショートコードの修正を行っています。)
目次
新シリーズについて
「増税原理主義」で暴走する財務省の主張は、何が間違っているのか。
日本が長引くデフレから脱却するためには、何が必要なのか。
この問題意識は、じつは当ウェブサイトを開設した動機のひとつでもあります。
一昨日の『増税から1ヵ月 数字で読む「財政再建論の大間違い」』を執筆したあと、しげしげと自分自身で読み返し、一念発起して昨日から『数字で読む日本経済』を「シリーズ化」し、あわせてバックデートで一昨日の記事を「シリーズ第1回目」に変更することにしました。
初回と第2回では、日本が財政面で抱えている問題点、「金融負債の定義」などについて議論して来たのですが、本日はその続きで、「借金の返し方」について考えていきましょう。
さっそくですが、本編に突入します。
借金と収入の関係
おさらい:借りられる金額は?
さて、とても当たり前な話から始めましょう。
昨日の『新シリーズ「数字で読む日本経済」と「国の借金」理論』では、「借金の返済のしやすさとは、借りる人、使途、金利水準、期間などによってまったく異なる」、という議論を展開させていただきました。
一般にFPなどの世界では、「借金の返済に回せるのは年収の3分の1が限度だ」、と指摘されているようです。ということは、年収500万円の人がいたとしたら、この人が耐えられる返済負担は、約165万円だ、という理屈ですね。
(※ただし、日本の場合は所得税に累進課税が採用されていることや、社会保険料負担などの議論もあるため、現実には「単純に年収の3分の1」という話にはなりませんが、このあたりの詳細については本稿では割愛したいと思います。)
ということは、返還返済額が165万円になるように逆算すれば、「期間20年、金利1%、元利均等弁済型の住宅ローン」は3000万円まで借りられる一方、「期間3年、金利15%、元利均等弁済型の消費性ローン」は388万円までしか借りられない、ということです。
年収500万円の人が借りられる限界
- ①期間20年、金利1%、元利均等弁済の住宅ローン…3000万円
- ②期間3年、金利15%、元利均等弁済の消費性ローン…388万円
(【試算前提】返済負担が年収の3分の1となる借入元本)
つまり、①のタイプのローンだと年収の6倍分を借りることができますが、②のタイプのローンだと年収の78%までしか借りることができません(※昨日の設例とは前提が微妙に異なるため、数値が異なってしまって読み辛いという点についてはお詫びします)。
金融負債の返し方とは?
ただし、これは「借金を働いて返済する」という事例です。
じつは、借金の返済の仕方には、「働いて返済する」方法だけとは限りません。
個人が借りている住宅ローンの場合には、次のような返済の仕方が考えられます。
- ①債務者が亡くなったり、高度障害を負ったりした場合、団体信用生命保険(団信)から住宅ローンが返済される。
- ②年収が大幅に下がる、仕事を失うなどして、住宅ローンの支払いができなくなった場合には、住宅を売却してローンを返済する。
- ③住宅の売却代金がローン残高に足りないときには、債務整理などの交渉により債務減免に応じてもらえる可能性もある。
- ④民事再生法(第196条以降)にいう「住宅資金貸付債権に関する特則」(いわゆる住宅ローンの特則)を活用し、住宅を保有したままで、住宅ローン以外の債務残高を圧縮する。
(※ご注意:これはあくまでも「経済評論記事」であって、現在、住宅ローン債務の負担に苦しんでいらっしゃる方がローン残高を圧縮するための具体的な方法を指南する目的の記述ではありません。住宅ローンの債務減免を希望される方は、弁護士など、しかるべき法的な専門家にご相談ください。)
わかりやすくいえば、「働いて返す」だけでなく、「家を売って返す」、「法律などの仕組みを活用して借金を減免してもらう」などの仕組みのことですね。
ただし、「債務減免」という「飛び道具」については、本稿ではあえて議論しません。
ここで注目したいのは、「住宅を売却して借金を返済する」という考え方です。
資産を売却すればいいじゃない!
ここで、住宅ローンの実務的な借り方について考えてみましょう。
日本人の特徴でしょうか、たとえば4000万円の物件を買うのに、4000万円ギリギリまでローンを借りるという人はあまりいません(※いないわけではありませんが…)。また、多くの金融機関も、「頭金」を準備するように要求して来ます。
たとえば、年収500万円のAさんが4000万円の物件を買うときには、1000万円の「頭金」を準備し、足りない3000万円を金融機関から「期間20年、金利1%、元利均等弁済」といった条件で借りる、といったパターンが一般的でしょう。
ここで、Aさんが5年後、リストラされてしまったり、勤務先が倒産してしまったりするなど、何らかの事情で住宅ローンが返せなくなってしまったら、いったいどうなるでしょうか。
このとき、住宅ローンの残高は約2300万円にまで減っていますので、4000万円で買った住宅を3500万円で売却することができれば、この人は借金を返し、さらに1200万円の現金を得ることができます(※ただし仲介手数料や登記費用など、売却にかかるコストは無視します)。
年収500万円のAさんが資産売却で住宅ローンを返済する場合
- 期間20年、金利1%、元利均等弁済の条件で3000万円を借りた
- 自分で頭金を1000万円用意して4000万円の住宅を買った
- 5年後に何らかの事情でローンが返せなくなった(※ローンの残債は約2300万円)
- このときこの人は住宅を3500万円で売って2300万円のローンを返せば1200万円余る
これが、「資産を売却してローンを返す」という選択肢です。
この「資産を売却してローンを返す」というパターンは、これだけではありません。
たとえば、Aさんは問題なくローンの返済を続けることができるものの、住んでいる家の値段が何らかの理由で値上がりし、6300万円になったとします。このとき、Aさんは6300万円で家を売って残債2300万円を返せば、借金がなくなり4000万円という現金を得ることができます。
また、Aさんが1億円の宝くじに当たったり、実家の財産を相続したりして、急におカネ持ちになることが考えられますが、このときもAさんは住宅ローンを返すのではないでしょうか。
Aさんが住宅ローンを返すパターンの例
- 自分が住んでいる住宅を売却する
- 宝くじに高額当籤してローンを返済する
- 思わぬ遺産が入りローンを返済する
つまり、借金を背負っていても、その借金を上回る資産を持っていれば、その資産を売ることで借金を返すことができるのです。
同じ年収500万円でも…
もっと極端なケースを考えましょう。
さきほどのAさんと同じく年収は500万円に過ぎないBさんという人がいたとします。
しかし、このBさんは、実家が資産家であり、Bさん自身も相続などにより鑑定評価額が10億円という土地を所有していて、この土地にこれから賃貸用ビルを建てようと思い、金融機関から3億円を借りたとしましょう(想定賃料収入は年間3000万円とし、税金などについては考慮しません)。
これだけを見ると、次の図式が成り立ちます(図表1)。
図表1 AさんとBさんの比較
項目 | Aさん | Bさん |
---|---|---|
年収(①) | 500万円 | 500万円 |
借金(②) | 3000万円 | 3億円 |
借金と年収の倍率(②÷①) | 6倍 | 60倍 |
(【出所】著者作成)
いかがでしょうか?
たしかに図表1だけを見ていると、AさんとBさんの年収は500万円で同額であるにも関わらず、BさんはAさんの10倍もの借金を負っていて(※しかも元金以外に金利を支払う必要もあるでしょう)、あきらかにBさんの財政は破綻していると勘違いしてしまいそうです。
しかし、実際にはAさんが借りた3000万円は資産価値4000万円の自宅を購入するための資金であり、Bさんが借りた3億円は鑑定評価額が10億円の所有地に3億円でビルを建てるための資金です。
無事にビルが完成すれば、Bさんには現在の500万円の年収以外に、ビルの賃料収入(目論みどおりならば年間3000万円)も得られるでしょうし、本当に3000万円の賃料収入が得られれば、3億円はその賃料の10年分に過ぎません(※ただし金利や税金については考慮していません)。
また、年間3000万円という目論みどおりの賃料収入が得られず、たとえば実際の賃料収入が年間2500万円に留まったとしても、キャッシュ・フローは潤沢ですし、何らかの事情で返済できなくなったとしても、いざとなれば土地・建物を売却すればよいだけの話です。
(※もちろん、土地や建物が現在の価値を維持しているという保証はありませんが、これについては「投資リスク」という別の論点の話になりますので、本稿では割愛します。)
つまり、「Bさんの財政状態が悪い」かどうかについては、年収と借金の比率だけで比べるのではなく、必ず資金使途や期間、金利、返済条件などに照らして判断しなければならないのです。
なぜ資産を無視するのか
国の借金を問題視するならば?
さて、上記の議論はあくまでも個人の借金という話でしたが、似たような議論は、部分的には「国の借金」論にも成り立ちます(※正しくは「国の借金」ではなく「中央政府の金融負債」ですが、ここではあえて「国の借金」と言う用語を使います)。
さて、「国の借金論」では見過ごされがちな論点のひとつが、「借金を返す手段は年収だけではない」、という事実です。
個人のケースで
「年収500万円の人が1000万円の借金を負っている!これは問題だ」
などと主張すれば、金融機関関係者やFP、あるいは税理士などの「おカネの専門家」の人たちからは、
「あなたは何を言っているのですか?」
と呆れられるのが関の山だと思います。
なぜなら、借金の返済負担については、その資金使途や期間、金利、返済状況などによって、まったく条件が異なってくるからであり、年収と借金の比率だけで過大かどうかを判断することなどできないからです。
ところが、同じ議論が「国の借金」論では成り立たず、
「GDP500兆円のわが国が1000兆円の借金を負っている!これは問題だ!」
という短絡的な主張が、なぜか日経新聞をはじめとする日本のマスメディアや、日本を代表する大企業の経営者の口から展開されているのです(ちなみに絶望的に経済のセンスがない経営者のネタについては、『経済をぶっ壊して増税する セイレーンの誘惑とは増税』あたりもご参照ください)。
中央政府の金融資産は200兆円超!
では、ここでいつも引用している日銀『資金循環統計』のデータから、中央政府の金融資産・負債バランスをチェックしておきましょう(図表2)。
図表2 中央政府の金融資産・負債の状況(2019年6月末時点、金額単位:億円)
項目 | 金額 | 備考 |
---|---|---|
金融資産合計 | 2,386,280 | |
うち、現金預金 | 253,611 | 外貨預金が122,420 |
うち、株式等 | 539,375 | 政府系団体への出資金? |
うち、対外証券投資 | 1,189,511 | 外貨準備の一部? |
金融負債合計 | 11,242,604 | |
うち、国庫短期証券 | 959,340 | いわゆる短期国債 |
うち、国債 | 9,402,444 | 財投債を含まない |
(【出所】日銀『データの一括ダウンロード』のページより『資金循環統計』データを入手して加工)
図表2で見ると、国債と短期国債の発行残高は合計で1036兆円ですが、これに対して金融資産側には25兆円の現金預金、54兆円の出資金、そして119兆円もの対外証券投資が存在しており、これらの資産を差し引いた債務の純額は886兆円です。
もちろん、資産側に存在しているのは、外貨準備の一部であったり、政府系団体(おそらくそれらの多くは天下り関連法人)に対する出資金であったり、と、すぐに換金できないものも多数含まれていることは間違いありません。
また、これらの金額を控除しても、純債務が900兆円近くに達しているということは事実であり、「中央政府の純債務がGDPの2倍近い水準にある」という点については否定できません。
隠れ資産はまだまだあるぞ!
ただし、先ほどの図表2は、先日の『増税から1ヵ月 数字で読む「財政再建論の大間違い」』で指摘した「国債発行残高(時価ベース)」と比べると、金額が100兆円ほど少ないことに気付いた方はすごいと思います。
じつは、国債を発行しているのは中央政府だけではありません。
資金循環統計上は「公的金融機関」の一部に位置付けられる「財政融資資金」も国債を発行しているからです(資金循環統計の区分上は「財投債」と表現されていますが、金融市場では国債と財投債は同一のものとして認識されています)。
そして、公的金融機関には資金量が100兆円を超える「財政融資資金」以外にも、「政府系金融機関」などが金融資産を保有しており(図表3)、これらについては図表2に含まれていないという点については、意外と報道されていない事実でもあります。
図表3 公的金融機関の金融資産・負債の状況(2019年6月末時点、金額単位:億円)
項目 | 金額 | 備考 |
---|---|---|
金融資産合計 | 2,394,697 | |
うち、公的金融機関貸出 | 2,143,204 | |
金融負債合計 | 2,443,093 | |
うち、財投債 | 1,007,362 | 国債と同一物として流通 |
うち、株式等 | 333,062 | 出資金? |
うち、政府関係機関債 | 275,698 | いわゆる政府保証債? |
(【出所】日銀『データの一括ダウンロード』のページより『資金循環統計』データを入手して加工)
さらには、日銀の「資金循環統計」には、国が保有する莫大な国有地については計上されていませんし、連結集団内に金融資産だけで1兆円を超える財産を溜め込んでいるNHKなどの団体の状況についても、資金循環統計などの公的統計では判明しないのです。
大金持ちのNHK
ついでに、以前、『NHKこそ「みなさまの敵」 財務的には超優良企業』などでも議論した、NHKという組織についても振り返っておきましょう。
NHKの『平成30年度連結財務諸表』などの開示資料によれば、NHKは企業集団内に、およそ1.1兆円の金融資産を溜め込んでいます(図表4)
図表4 連結決算上の金融資産等(2019年3月末基準)
勘定科目 | 金額(百万円) | 記載箇所 |
---|---|---|
①現金及び預金 | 129,631 | 連結B/S・流動資産 |
②有価証券 | 303,901 | 連結B/S・流動資産 |
③長期保有有価証券 | 129,871 | 連結B/S・固定資産 |
④建設積立資産 | 170,729 | 連結B/S・特定資産 |
⑤年金資産 | 408,493 | 退職給付関連注記 |
合計 | 1,142,625 |
(【出所】NHKの『平成30年度連結財務諸表』より著者作成)
もちろん、これらの金融資産は、NHK職員等の退職給付に充てられるための4000億円という非常識に高額な年金資産なども含めた金額ですが、少なくとも国民から高額な受信料を事実上、半ば強制的に集金しておきながら、これほどまでに巨額の資産を溜め込んでいることは事実なのです。
また、NHKが所有している資産は、金融資産だけではないはずであり、なかでもとくに評価額が大きいと考えられるのは不動産です。
NHKは物件明細を開示していないため、NHKがどれほどの不動産を保有しているのか、実態はよくわかりませんが、少なくとも渋谷の一等地にある放送センターの敷地は82,645平米です(※2016年8月30日付NHK『放送センター建替基本計画の概要』参照)。
国税庁が公表する路線価(平成30年基準)によれば、NHKの土地の路線価はざっくり平米あたり180万円だそうですが、これに82,645平米を掛けると1484億円(!)です(ちなみにNHKの単体財務諸表上、土地の帳簿価額は486億円に過ぎません)。
NHKは全国各地の一等地に土地や建物などの優良不動産を大量保有していると想定されますが、彼らが保有するこれらの不動産を時価に引き直せば、やはり兆円単位の資産を保有しているのではないかと疑われます。
そして、それらのなかには放送事業に使用するものだけでなく、当然、NHK職員様たちのための超豪奢な社宅、レクリエーション施設、宿泊施設などが含まれているのではないかと疑うのが当然でしょう(※NHKがそれらに関する情報を開示していない以上、私たち庶民の側にもそれを疑う権利はあります)。
増税前に、やることがあるでしょ!
以上の議論から、あえて申し上げるならば、「財政再建のために増税をする」という理屈を立てるならば、「増税をする前に、やることがある」はずです。
「借金を返す手段」は税収だけではありません。使っていない資産を洗い出し、それらをできるだけ高額で売却することでも十分な収入は得られるからです。
たとえば、大金持ちのNHKを解体し、余った財産(金融資産、不動産、映像権等)を国庫に返納するように命じれば、それだけで軽く数兆円の収入は得られるはずです。
次に、財務省が外為特会で管理している外貨準備(2019年6月末時点で142兆円)を日銀に移管させれば、それだけで96兆円の短期国債を返済することができるだけでなく、40兆円を超える剰余金を生み出すことができます。
さらには、NHKや民放各局がタダみたいな値段で使っている電波利用権を「電波オークション」などによって競売にかければ、それによって大きな利益が得られるかもしれません。
(※このあたりについては、もしかすると読者の皆さまにも、「そういえば国が保有しているアレを売ればカネになるんじゃないか」、といった心当たりをお持ちの方がいらっしゃるかもしれませんね。)
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
さて、本日は「国の借金を減らす方法」について、「前半部分」を議論しましたが、じつは、「国の借金」(正しくいえば「公的債務残高GDP比率」)を圧縮する方法は、資産売却だけではありません。
経済成長とインフレにより、公的債務残高が名目GDPに占める比率を減らす、という方法が考えられるのです。ただし、この論点についてはまた別途議論する必要があるため、本稿では触れませんでした。
また、「増税せずに実質的な国の収入を増やす方法」というものもあるのですが(たとえば社会保険料の徴収漏れをなくす、など)、これについても議論するとそれなりの分量になるはずです。
したがって、「インフレと経済成長による公的債務残高の実質的な圧縮」、「広義の税収の徴収漏れをなくすことによる歳入増」という2つの論点については、別稿にて議論したいと思います。
参考:過去リンク
2021/08/07 05:00 :
2021/05/11 09:30 :
2020/10/25 05:00 :
2020/10/24 05:00 :
2020/10/23 05:00 :
2020/10/22 05:00 :
2020/10/21 05:00 :
2020/10/20 05:00 :
2020/10/19 08:00 :
2020/10/18 05:00 :
2020/10/17 05:00 :
2020/10/16 05:00 :
2020/09/25 05:00 :
2020/07/31 05:00 :
2020/07/30 05:00 :
2020/07/15 05:00 :
2020/07/03 05:00 :
2020/07/02 08:00 :
2020/07/01 16:00 :
2020/06/27 09:00 :
2020/06/25 17:00 :
2020/05/10 09:00 :
2020/03/29 05:00 :
2020/02/03 05:00 :
2020/01/18 08:00 :
2020/01/17 16:30 :
2019/12/27 05:00 :
2019/12/23 05:00 :
2019/12/19 05:00 :
2019/12/07 05:00 :
2019/12/05 05:00 :
2019/12/04 05:00 :
2019/12/03 05:00 :
2019/12/01 05:00 :
2019/11/29 05:00 :
2019/11/28 05:00 :
2019/11/26 13:15 :
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2019/11/14 05:00 :
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2019/11/12 05:00 :
2019/11/11 05:00 :
2019/11/10 05:00 :
2019/11/09 05:00 :
2019/11/08 05:00 :
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
↓以前の投稿コメントを再投させて頂きます。
国債発行残高を圧縮する方法の一つとして、所有者不明地の活用に注目しています。
現在、日本の国土のうち約20%、九州に匹敵する広さが該当しているとのことです。
これが、2040年には北海道に匹敵する広さに拡大する可能性があるんだそうです。
https://www.homes.co.jp/cont/press/rent/rent_00628/
生産性のない土地を遊ばせておく手はありません。
「所有者不明・固定資産税納税実績なし」を要件に経過措置を経たうえで国有化(時効取得?)すればいいのではないでしょうか?
取得した土地は、国が自己利用してもいいし、民間に販売してもいい。新しい所有者が確定すれば、固定資産税も自治体に納付されます。
ま、そのほとんどは、地方の山間部にある林野や耕作放棄地なんでしょうけどね。
資産には売却可能な資産と,事実上売却不可能な資産があります。極端な例としては,公務員宿舎は入居者に退去してもらえば,売却可能です。他方,同じ不動産でも道路は売却不可能です。道路を売却しようとしても,地目が道路から変更できないのでは経済価値がありませんし,道路を宅地や工場にしたら,アクセス手段がなくなり,その土地の不動産価値時代が激減してしまいます。国有の山林も売却できないものも多いでしょう。
これはジョークとしても,公的金融機関貸出から考察してみましょう。公的貸出は多くの場合民間が貸してくれない借り手に貸し出されます。当然貸し倒れが多いですね。その価値は額面通りでしょうか。
次に株式を考えてみましょう。NTTやJRのように売却可能だった株式もあります。でも,政策上,あるいは現実的価値の問題で売却不可能な株も多いですね。
対外債権(外貨準備)は経済だけでなく,安全保障上の問題で,容易に大量売却できるものではありません。そもそも,保有していること自体に意義があるのです。
別の見方として,優良企業は福利厚生用の,直接収益に関係しない土地でも売却せずに,借金をしますね。ある程度遊休資産があったほうが,経営上安全で,経営戦略の自由度も高いからでしょう。
公務員の福利厚生条件の悪化(実際には天下り制限のほうが大きいでしょうか)が,新規採用公務員の質の低下につながっているとすると,世の中,綺麗事では済まないこともわかると思います。
新宿会計士様、いつも勉強になる記事をありがとうございます。
韓国絡みの記事に比べるとコメント数は少なめですが、私は金融や財政の記事の方を楽しみにしてます。これからも専門知識や経験を発揮した記事をお待ちしております。
投稿お疲れさまです。
仰るとおりですね。言わば、国家財政に複式簿記に基づく会計(基準)を導入すればよい、ということでしょう。P/L(損益計算書)だけではなく、B/S(貸借対照表)をキチンと表示すれば、実は日本政府(地方公共団体はともかく)は優良企業並であることが白日の下に晒されるのではないでしょうか。
財務省がそれを一向に推進しようとしないのは、それをしてしまうと増税不要論が国内で蔓延してしまうのが解っているからなのか、などと勘ぐってしまいます。
徴収漏れを圧縮する、という有力な方法も確かに残されており、組織再編によりさっさと「歳入庁」でも創設し、滞納国税に加えて地方税や社会保険料の滞納処分もまとめて行えば、徴収率は飛躍的に上がります。それだけ国税の徴収職員とそれ以外の組織の徴収担当との能力の差は顕著ですし、全体の徴収コストも組織スリム化で圧縮出来ます。ついでにその歳入庁は財務省から分離すれば、財務省の弱体化に繋がります。
新宿会計士様の別稿を心待ちにしております。
正しくは「国の借金」ではなく「中央政府の金融負債」、と書いておられますが、このことを広く国民に理解いただくことが、実りある議論のための第一歩だろうと思います。
念のために、財務省は一応「なんちゃって複式簿記」で財務書類を作成しています。また、官僚が複式簿記を作成したくないのではなく、議員の方々が複式簿記を読めないので多くの報告が単式にならざるを得ない、と思われます。
新宿会計士様は当然にご存じの上で、会計基準の専門的な議論になりかねないので本ブログでは敢えてお触れにならない、と推測しています。公的財務諸表基準の論議は他の場所でと考えられておられましょう。別の会計基準ですが、たまにIFRSを批判するコメントを拝見いたしますね。
平成28年度「国の財務書類」等を作成しました
財務省平成30年1月30日
https://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2016/20180130houdouhappyou.html
【政策会議日記6】国の会計は複式簿記?(財政制度等審議会)
土居丈朗 |慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所上席研究員
2014/1/29(水) 9:54
https://news.yahoo.co.jp/byline/takerodoi/20140129-00032057/
情報ありがとうございます。
政府はかなり前から、不完全なから複式簿記により作成していたのですね。私のリサーチ不足でした。
皆さんご指摘のように、国の会計制度は長らく明治以降)単式簿記・現金主義会計を導入し、現在も続いていますから企業会計やおカネの専門家的な視点で国家財政を十分に見せていません。
国会議員の多くが複式簿記を理解できない、政策はより分かりやすくポンチ絵等で示す必要がある、騙すには単純なロジックを繰り返し唱えた方が効果的などなど、色々な理由があると思います。
会計制度もそうですが、国の法令は古臭くて時代にそぐわないとか、無理があるものが多く(個人的には憲法も)どんどん改正していただきたいものですが、簡単にはいきませんね。
阪神大震災で、国民は見る筈の無いものを見てしまった。
倒壊したコンクリート塊の中から、軍手、木片、ペール缶等々、出て来る筈の無いものが沢山出て来た。
橋桁の中の鉄筋は、貫通して居らず、煙管だったし、数も設計より少なかった。
伝聞情報で、確度は???だが、大手ゼネコンの関係者が語った話として、「震災さえなければ、露見する事なく終わった話なのに。」(「終わった」とは「60年を乗り切る」という意味ではないかと推測される)
即ち、建設国債で建てられたコンクリートには、帳簿上や見た目では存在するが、実はハリボテで価値の無いものが沢山ありそうな雰囲気。
資産の話を始めると、こういう幻の資産に話が及ぶのは必至なので、遺産の話をしたくないのでは?。
P.S.
右にも左にもコンクリートに巣くう政治家が居るので、幻の資産の話はしない事で合意し易い???
個人の、まして低所得なサラリーマン感覚では、住宅を取得するのに3000万円を借りいれたら3000万円が消えて無くなる、という感覚ですからね。ほかの売却可能資産で充当などという資産と発想はありませんし、(減価はともかくこの時点では)3000万円の債務と3000万の資産を得るという発想を持っていません。ましてや家計収入を増やすなど考えもしませんから、経済政策に投入して歳入を増やしてGDP比率を改善するなど思いつきもしないかもしれません。借りたら最後ただただジリ貧と感じてしまうのでしょう。
財政、とくに「国の借金とやら」を大衆にカンタンに説明するのには、メディアがよくやる「資産をあまり持たない一般大衆の家計」を例えに用いるのは不適切ではないかと思います。今回の新宿会計士様のような視点から具体的・多様な状況をあてはめてやるのであれば正確になるのですが…昼間の番組を視るおっちゃんおばちゃんらがついてこれるかどうか。
メディアや財務省はこのあたりわかってて借金ガーと煽り立てていると思います。
マスコミは書き立ててる人間が本当に無知っていうのもあるでしょうが。
農民 様
老齢のおっちゃんおばちゃん から 一言
毎日テレビをながめていますが、皆様が言うほど信用して
視ているわけではありません。でなければ新宿会計サイトで
一言など・・。
もうすこし おっちゃんおばちゃんを見直しいただきたいと
思います。
だから 令和の時代に日本は大きく変わると信じています。
(ただし 私は年取りすぎ・・・少し残念)
失礼しました。
更新ありがとうございます。駄文で失礼します。
私は、新築販売価格3,440万円、3LDK、15階の12階、専有部分75平米、別棟地下駐車場付きのマンションを頭金800万円、残金2,640万円を期間30年、金利4%、元利均等弁済という条件で借りました。
今では考えられない金利ですが、当時は阪神大震災の後で、住宅事情が逼迫しており、耐震・免震構造の新基準のマンションローン(金融公庫含む)は、そんなものでした。
収入はご容赦ください(笑)、呑気に「20年、悪くても25年で返せる」と軽く見てました。
入居5年ぐらいから前倒し返済や金利を低率に買い替えました。でも、一番の衝撃は給与が下がり始めた事です。定年まで今のまま上がるとは思いませんが、50歳前から下降線(笑)。教育費も嵩み、大変でした。
でも、残りローンが1,000万円になった時、兄弟に借りて、全額返済。計算すると、2,640万円に対して5,000万円弱、支払った事になり、馬鹿らしくなりましたね。
もちろん兄弟には返済を直ぐにしました。借金返済の為にでも、生活の質は落とせませんが、子供らが就職を期に、高い高い生命保険を解約しました。
だってもう要らない(笑)。親の役目果たしたから。これで生活はかなりラクになりましたよ。あとは葬式代程度の保険のみ(ガン保険含む)。
金を借りるのはもう嫌だし、今の物件売ってまたローンで新築に移る、という気は今はありません。(もうトシでローン組めないか)
*本当はもっと交通の便が更に良い、JR快速、私鉄特急急行停車駅の駅前立地、新幹線駅まで1本、空港まで1本など贅沢な夢が希望なんですが(笑)。 失礼します。
精神疾患の一症状に「貧困妄想」というのがあります。
ご興味があれば一度ググってみてください。
マスコミは「国債を国の借金」と言いますが、
ソフトバンクなどの、多額の借り入れがある企業に対して
「(株主ではなく)社員一人あたりの借金」と表現したことを聞いたことがありません。
なぜなんでしょうかね……?
国有資産のうち、現金預金に関するものや日銀が保有する国債残高は、中央政府の国債発行残高と相殺されて然るべき性質のものだと考えられるので、1000兆円超の発行残高だけを捉えて「国民一人当たり○○○万円の・・。」との主張はおかしいんですよね。
ただ、国有資産のうちモノについては、帳簿価額が取得原価のまま〔土地は含み益あり・施設は減価償却していない〕だったり、現金化不可〔社会インフラは売却できない?〕だったりして適正な評価算定は難しいのかもしれません。
実質的には対外融資の増加分だけ、量的緩和による国債の市場買付を実施していれば、インフレによる通貨信用の毀損を発生させることなく財政状態を改善できるのではないでしょうか?
円の通貨信用を担保にした歳出拡大も、日本人が「勤勉でまじめ」な気質を損なわない限り、特に問題視することもないと思うんですけど・・ね。
私は、カネ勘定は得意でなく、サラリーマン時代にはいつも経理部門の人に怒られてばかりいました。なので、この記事のような話題にはなかなかついていけません。とはいえ、貧乏人にとっては、お金は命の次くらいに大事ですから、努力して関心を持つようにしたいと思っています。なので、このシリーズ記事は、読むのに努力がいりますが、読めば大変参考になります。
ところで、これに似た議論は、「行財政改革」として以前にも聞きましたよね。民主党時代の、事業仕分けとかはどこに行ってしまったのでしょうかね?この行財政改革については、今の安倍政権は余り熱心ではなさそうに見えます。それが私にとっては、安倍政権に対する唯一の不満な点です。
いつも興味深い話題をご提供いただきましてありがとうございます。何度か本サイトに投稿させていただいておりますが、今回のテーマは私も関心の高いものですので、私見を投稿させていただきます。
政府債務残高の議論をするには、政府と日銀、通貨のもつ意味を理解する必要があり、それには連結ベースの企業に例えるのが有益だと思います。
日銀を含む政府全体を「日本国グループ」、政府を親会社、日銀を金融子会社、国債を親会社である政府が発行する社債に例えます。親会社である政府が社債(国債)を100億円発行し、金融子会社である日銀が親会社の社債(国債)を80億円、市場で購入すれば、日本国グループとしては連結財務諸表上の社債発行残高は、100億円-80億円=20億円となります。
財務省のこれまでの議論は、親会社である政府の単独決算ベースでの社債残高が100億円である、今年の親会社の年間売上高(税収又は名目GDP)が50億円しかないのに社債残高が2倍の100億円あって大問題だ、という話です。しかし、連結ベースでは、社債残高20億円は年間売上高50億円の40%にすぎません。企業会計と同じように政府の会計も連結ベースでみることが重要です。IMFでも最近、中央銀行を含む政府全体ベースでの債務残高・名目GDP比率の国際比較統計を発表しており、日本の比率はアメリカより良い数値となっています。
また、日銀の債務超過を心配する意見もありますが、私は心配ないと考えます。日銀が国債を買い入れる際に対価として支払うお金である日本銀行券は、無期限・無利息の支払手形に類似したものであり、日銀に国債を売った市中銀行等の相手方は日本銀行券を受け取るしかないという強制通用力もありますので、理論上は日銀はいくらでも国債を購入できますし、対価の日本銀行券もいくらでも発行できます。唯一の問題点は、日本銀行券を発行しすぎるとインフレ率が高くなり最後はハイパーインフレーションになってしまうということですが、現在の日銀は20年続く長期デフレから2%のインフレ率を目標に経済をインフレに変えようと努力している最中ですので、実際のインフレ率が安定的に2%を超える状況になったときに金融緩和をやめればいいだけの話で、当面はその心配はありません。
また、日銀の貸借対照表上、日本銀行券は負債の部に計上されていますが、日本銀行券の無期限・無利息の支払手形という性質は、いわば無利息の永久劣後債というべきで、事実上返済することはない、という意味で負債とはいいつつも自己資本に含まれます。日銀の貸借対照表である営業旬報2019年10月31日現在をみますと、負債及び純資産総額575兆円のうち、日本銀行券の発行額である「発行銀行券」107兆円、引き出された際に「発行銀行券」に振り替えとなる「当座預金」410兆円であり、「発行銀行券」と「当座預金」合計で517兆円となりこれに政府当座預金、純資産である資本金と準備金・計3兆円を加えて、合計520兆円が日銀の自己資本になりますので、自己資本比率は520兆円/575兆円で91%となります。今後、日銀が国債を買い増ししたとしても、買入れ額と同額の「発行銀行券」が増え、自己資本が同額増加するだけですし、将来的に国債価格が暴落したとしても満期まで保有すれば元本割れはなく(満期保有目的債券)、満期になっても政府が日銀を相手として国債を借り換えればよく、日銀が債務超過になることはあり得ないこととなります。
また、普通の市中銀行であれば、預金者全員から預金引き出しを要求されれば、それに応じるしかなく、当然資金が足りなくなって倒産する(いわゆる取付騒ぎ)となってしまいますが、仮に日銀に当座預金を預けている市中銀行が日銀に全額の当座預金引き出しを要求したとしても、日銀は「発行銀行券」である日本銀行券を同額発行して市中銀行に渡せば済むので、資金ショートは有り得えません。
したがって、日銀の債務超過や資金ショートといった経営上は何の問題もない、ということとなります。
また、名目GDPの伸び率と租税収入の伸び率をみると、名目GDPが1%伸びれば租税収入は2%~3%伸びています。
以上をまとめると、財政の健全性は、中央銀行である日銀を含めた政府(いわゆる「統合政府」)の連結ベースの純債務残高と名目GDPとの比率でみるのが適切であること、日銀の債務超過や資金ショートは心配する必要がないこと、財政再建は名目GDPの成長を図り税収の増加により達成すべきであり逆にそれしか方法がないことです。
最後に、財政拡大をめぐる最近の議論について述べますと、デフレ脱却のための日銀の異次元金融緩和がその必須条件であることに異論はないかと思いますが、それに財政拡大策を併用すべきかどうかが論点となっています。歴史的低金利を生かして財政拡大を併用すべし、という点でリフレ派とMMT派は同意見ですが、無制限に赤字を拡大していいか、という点については、インフレ率2%程度まではいいが、それ以上は経済拡大効果よりインフレ率昂進の弊害の方が大きいというのがリフレ派で、問題ないというのがMMT派であると理解しています。個人的には、財政赤字の無制限拡大は、日銀の国債買い入れを通じた通貨発行の無制限拡大につながり、ベネズエラやジンバブエのようなハイパーインフレーションとなるのが必然かと思います。理由は、MMT派の議論からすると、財政赤字の無制限拡大ができるのであれば、所得税・法人税・相続税・消費税といった税金をすべて廃止して財政収入を全額国債発行で賄ってもインフレーションが昂進しないから問題ないという結論になりますが、それは正しいのでしょうか。
数年前に、日銀がいくら異次元金融緩和をしてもインフレにはならず、デフレ脱却はできないというのは正しいのか、という議論がありました。この議論を考える際の思考実験として、この議論ではインフレになるか、ならないのかの二つしか結論はないので、例えばインフレにならないのが正しいとして、政府が国債を無制限に発行し、市場から日銀が国債を無制限に買入れ、代金として通貨を無制限に発行する場合を考えると、政府は租税を廃止してすべての財政収入を国債発行で賄うことができるので、理想の無税国家が成立することになるが、本当にそうなると思いますか、ということを考えた場合、そのような夢物語はあり得ない、とたいていの人は答え、それが常識的な考えでしょう、そうなるとインフレにならないという結論は誤りということになり、正解はインフレになるのが正しい考えです、ということがありました。いわゆる「バーナンキの背理法」という考え方ですが、私は今回のMMT派の議論もそれと同様だと思いますが、いかがでしょうか。
駄文・長文、失礼しました。