ロシアのインフレ率上昇は一時的だが制裁の継続は必要

高血圧治療と同様、即効性はなくとも追及を緩めてはならない

ロシアで消費者物価指数の前月比上昇率が7.61%に達したと報じられています。前年同月比だと16.69%です。これはたしかに凄まじいインフレであるようにも見受けられますが、物事はそこまでシンプルではありません。今回のCPIの急騰も西側の制裁の影響と考えられるものの、もともとロシアはインフレ体質の国であり、また、ロシアが「内に籠れる国」であるという事情を踏まえれば、このCPIを「ロシア経済崩壊の兆候」と単純に考えるべきではありません。

要約

  • ロシアはもともと高インフレ国であり、CPIが前年同月比で16.69%といっても、これを「経済制裁の影響でロシア経済崩壊の兆候」と見るのはやや短絡的
  • ロシアは「内に籠れる国」であり、西側諸国の経済・金融制裁はロシア経済に短期的に大きな打撃を与えることができても、長期的な影響は薄まる可能性がある
  • ただし、高血圧治療と同じで、西側諸国の制裁に「意味がない」わけではなく、むしろ「考えられる措置」については講じるのが正解
  • 西側諸国のウクライナに対する武器供与は大変に有効であり、今後の焦点はウクライナ側が「どこまでやるか」、つまりドンバス、クリミア半島の回復までを視野に入れているかどうかにもかかってくる

ロシアのインフレをどう見るか

ロシアのCPI、前月比7.61%に!

ロシア政府統計局(Rosstat)から先週金曜日に発表されたロシアの2022年3月における消費者物価指数(CPI)が、前月比7.61%の上昇を記録したそうです(前年同月比では16.69%)。

Russian inflation accelerates to 7.61% m/m in March, highest since 1999

―――2022/04/09 01:42付 ロイターより

ロイターの報道によれば、前月比の上昇率としては1999年1月以来最大のものだそうです。また、品目によっては上昇率が40%を超えているものもあるらしく、具体的には砂糖の価格が2月と比べて44%上昇したほか、玉ねぎは50%、洗濯機は46%といった具合です。

こうした状況についてロイターは、「ロシア経済が西側諸国による経済・金融制裁や通貨・ルーブルの下落によって大きな打撃を受けた」、「2月24日の『特殊軍事作戦』の開始以降、ルーブルが史上最安値を更新したなかで、インフレがここ数週間で加速した格好だ」、とも述べています。

一部品目では不足も生じているようだが…

ただ、著者自身、このインフレがロシア経済破綻の兆候なのかと言われれば、そこは微妙だと考えています。西側諸国による一連の経済・金融制裁は、たしかに非常に厳格なものではありますが、こうした制裁を通じてロシアが「国家破綻状態」にまで追い込まれるかどうかは微妙だからです。

もちろん、品目によっては砂糖のように、すでに不足し始めているものもありますし、また、マクドやスタバ、コカ・コーラやペプシコーラを含めたさまざまな「美味しい(?)食品」がロシアに提供されなくなっていることは、ロシア国民を地道に苛立たせる効果があることは間違いありません。

しかし、『意外としぶとい?ルーブル「紙屑化」の可能性を考える』などでも議論してきたとおり、ロシア自身は世界有数の穀物等の生産国であるとともに資源国でもありますので、その気になれば「内に籠る」ことができてしまいます。

実際、「デフレ国家」に暮らす私たち日本人にとって、CPIが前月比で7.61%、前年同月比で16.9%と聞くと驚きますが、ロシアの2月のCPIは前年同月比9.15%だったという点を忘れてはなりません。つまり、ロシアはもともと、少なくとも日本と比べてインフレ率が非常に高い国なのです。

したがって、インフレ率だけで「ロシア経済破綻の兆候」、などと決めつけられるものではありません。

政策金利も20%→17%に引き下げ

さらには、今回のインフレが一時的な現象に過ぎないという証拠は、ほかにもあります。

先ほど紹介したロイターの記事にも記載されているとおり、ロシア中央銀行は先週金曜日、政策金利を20%から17%に引き下げる決定を下している、というのがその典型例でしょう。

この政策金利については、ロシアの中央銀行は(おそらくはインフレ退治に加えて通貨防衛の目的も兼ねて)2月28日に20%へと引き上げられていたものです。

それが一気に3ポイントも引き下げられたというのは、ロシア中銀としては通貨防衛やインフレ抑制などの必要性が薄まったと判断した可能性を示唆しています。

もちろん、金利が「20%」だ、「17%」だといわれても、長年のゼロ金利ないしマイナス金利に苦しんできた日本からすれば、どちらも信じられない水準ではあります。

ただ、『数字で読む:欧米金融制裁がもたらす「ルーブル不安」』などでも触れたとおり、2月28日の20%への利上げ前も、ロシアの政策金利は9.5%という水準だったことを忘れてはなりません。

そして、一般に高インフレ国では高金利となるのが通例であり、例外といえば、独裁色が強い大統領が中央銀行に圧力をかけた結果、高インフレ下にも関わらず利上げを拒否したトルコ(『トルコリラ「預金補償」で乱高下』等参照)くらいなものでしょう。

ルーブル安は一巡し、侵攻前の水準に戻りつつある

さらには、ロシアの通貨・ルーブルの対米ドル相場(USDRUB)については、3月上旬には史上最安値となる1ドル=150ルーブル前後にまで下落していましたが、現時点では1ドル=80ルーブル前後と、ロシアのウクライナ侵攻直前の水準近くにまで戻ってきています。

この点、ルーブルの為替相場が回復しているからといって、「ロシア経済が堅調である証拠」とみなすことはできません。『ガスのルーブル決済大統領令、さながら「経済戦争」に』でも紹介した、「非友好国に対する天然ガスのルーブル決済」といった材料も、ルーブルの価値を安定させている可能性があるからです。

ただし、その原因が何であれ、今のところは「ルーブルが無限に下落していく」という状況に陥っていないことだけは間違いなく、こうした状況も、ロシア経済を見るうえでは重要な手掛かりのひとつです。

いずれにせよ、現時点における暫定的な結論は、西側諸国による経済・金融制裁が一時的にロシア経済に大きな打撃を与えたことは間違いないにせよ、こうした「初動」の影響は徐々に薄らいできている、ということで良いと思います。

やはり、「内に籠ることができる国」であるロシアを、経済制裁「だけ」で破綻に追い込むことは、大変に困難なのでしょう。

経済制裁は高血圧の治療と似ている

欧米諸国にとっては「セルフ経済制裁」も!

しかも、問題は、それだけではありません。

欧米諸国では現在、ロシアからの石油、石炭、天然ガスなどの輸入を制限しようとする動きも生じていますが、こうした動き自体、「ロシアに対する制裁」であるだけでなく、欧米諸国に対する「セルフ経済制裁」という意味合いも持っています。

とくに欧州においては、ロシア産の安価な天然ガスなどが入って来なくなれば、その分、電気代などが上昇せざるを得ず、結果的に欧州経済自身に対してむしろ大きな打撃をもたらすからです。

また、ロシアにとってこれらの資源は、欧米諸国が買ってくれなくても、欧州ではなく中国やインドなどに売りつけても良いわけですし、昨今のエネルギー価格の高止まりは、むしろロシア経済を潤すことにつながるでしょう。

さらには、ロシアは西側諸国からハード・カレンシーの外貨準備の凍結を喰らっていますが、中国はこうした対露制裁には加わっておらず、したがってロシアにとっては人民元建てで貿易をすれば、何食わぬ顔で西側諸国からの金融制裁を回避することができてしまいます。

(※問題は、『外貨準備で人民元の存在感高まる一方で「落とし穴」も』などでも述べたとおり、人民元自体が国際通貨として大変に使い勝手の悪い通貨である、という点ですが、このあたりの事情はとりあえず脇に置きたいと思います。)

このように考えていくと、やはり西側諸国がロシア経済に打撃を与えようと思っても、おのずからその効果には限界がある、というわけです。

高血圧の治療と同じで、「考えられる措置」は講じるべき

もっとも、「対露経済・金融制裁の効果は限られている」ことは事実ですが、だからといって、「そんなことをやっても意味がない」、という話でもありません。考えられる措置は講じるべきであり、その意味では、高血圧などの成人病の治療とよく似ています。

一般に高血圧の治療法は、「塩分を控えること、食べ過ぎを避けること、酒を飲み過ぎないこと、よく運動すること」――、などであるといわれますが、これらの治療法でも高血圧を簡単に治すことができないこともまた事実でしょう。

ここから、「塩分を控えても、食べ過ぎに注意しても、飲み過ぎに注意しても、運動不足に注意しても、高血圧の治療には意味がない」、などと短絡的に考えてはなりません。これらの注意点を無視すれば、高血圧はより悪化する(かもしれない)からです。

ロシアに対する制裁も、これとよく似ています。

国際社会は初動として、ロシアに対して外貨準備の凍結、起債禁止措置、SWIFTNetからの遮断などの措置に加え、ロシア政府高官の資産凍結措置、ロシアに対する貿易規制などを矢継ぎ早に打ち出しましたが、これらの措置も、ロシアにとっては中・長期的に見れば、いくつか回避が可能な項目も含まれています。

ただ、「これらの制裁を加えてもロシアは結局回避してしまう(かもしれない)」からといって、これらの制裁がまったく無意味である、ということにはなりません。やはり、西側社会が一致団結してロシアの動きを監視していれば、ロシアとしても動きが取り辛くなることは間違いないからです。

このあたり、北朝鮮のように吹けば飛ぶほど小さい国だと、国際社会の目をごまかして、瀬取りだの、暗号資産窃盗だの、米ドル紙幣の印刷だのといった犯罪行為に手を染めることもできなくはありませんが、ロシアほど図体が多きければ、大々的な制裁逃れは難しいのが実情です。

ロシア経済に地味な打撃を与えるハンバーガー制裁

これに加えて著者自身、西側諸国の贅沢品を制限する措置は、意外とロシア国民に地味な打撃を与えるのではないか、と想像しています。

著者自身は金融評論家・エクセル評論家であるとともにハンバーガー評論家でもありますが、やはり世界で売れているハンバーガーやコーラーといった商品が、北朝鮮やイランと並び、ロシアでも提供されなくなったことは、同国内のハンバーガー評論家の方々の憤怒を買っているはずです。

この点、以前の『マクドロゴが転倒し「イワンおじさん」に華麗に変身?』でも取り上げたとおり、マクドロゴを90度転倒させた「イワンおじさん」(ロシア語で “Дядя Ваня” 、発音は「ジャージャ・ヴァーニャ」だそうです)なる奇妙な代物を紹介したところです。

この「ジャージャ・ヴァーニャ」なる店舗が営業を開始したとして、そこで何らかのハンバーガーまたはその類似品が提供されるのか、それとも時事通信が3月30日付で報じた「マクドの水ギョーザ屋化」構想が実現するのかはわかりませんが、いずれにせよ、「あの味」を再現することができるかは微妙でしょう。

ロシア議長、外国企業に翻意促す マックの「水ギョーザ屋」化も

―――2022年03月30日13時32分付 時事通信より

個人的に、ロシア式水ギョーザというものを初めて知りましたが、少し食べてみたいという気もする反面、ハンバーガーと水ギョーザでは製法も必要となる設備もまったく異なるであろうと想定されることから、経営的には居抜きで引き継げるならば、水ギョーザではなく、やはりバーガーの方がやりやすい気がします。お節介ですが。

日本政府の対応は「ロシア≒北朝鮮」

また、『「ルーブル建ての輸出品目の拡大を」=ロシア下院議長』でも取り上げたとおり、日本政府はすでにロシアに対し、一定の奢侈品の輸出を規制しています。

経産省のニュースリリースのページによると、規制対象品目としては、次のようなものがあります。

酒類、たばこ製品、香水類、化粧品、革製品、毛皮、衣類、履物、帽子、絨毯、宝飾品、陶磁製品、ガラス製品、ダイビング用機器、乗用車、バイク、ノートパソコン、時計(貴金属を使用したもの)、グランドピアノ、美術品、骨董品、紙幣、金貨、金の地金

このあたり、日本政府が2006年11月に発動した北朝鮮向けの輸出禁止措置の対象品目と比べると、品目数が微妙に減っているように見受けられるのは気になります(たとえば、北朝鮮向けの禁輸品目に含まれている牛肉やまぐろのフィレが、ロシア向け禁輸品目には含まれていません)。

牛肉、まぐろのフィレ、キャビア・その代用品、酒類、たばこ、香水、化粧品、革製バッグ・衣類等、毛皮製品、じゅうたん、クリスタルグラス、宝石、貴金属、貴金属細工、携帯型情報機器、映像オーディオ機器・ソフト、乗用車、オートバイ、モーターボート・ヨット等、カメラ・映画用機器、腕時計等、楽器、万年筆、美術品・収集品・骨董品

ただ、北朝鮮とロシアは現在、「日本からの奢侈品の輸出が禁止されている」という意味では、同じようなステータスを共有している格好です。

やはり武器供与が有効

そして、やはりロシアの戦争遂行能力を根本から奪うためには、こうした「高血圧の治療」スタイルの地道な経済・金融制裁に加え、ウクライナに対する武器の供与も重要な要素であることは間違いありません。

もちろん、ウクライナが西側諸国にとって信頼に値する国なのかどうかという問題はありますが、現在進行形でロシアからの違法な軍事侵攻を受けている以上、自由と平和を愛する西側諸国ができる範囲でウクライナを助けるというのは、ある意味では合理的な話です。

ジョンソン首相のウクライナ訪問は流れを変えるのか?』でも議論したとおり、現地時間土曜日のボリス・ジョンソン英首相による電撃的なウクライナ訪問は、ウクライナに対する武器供与自体の「流れ」を変えた可能性があります。

この点、英国防衛省のツイートによれば、ロシア軍の占領地域・戦闘地域は、いまやドンバス地域を中心とする東部、黒海沿岸を中心とする南部、それからクリミア半島・セバストポリ市付近に限られています。

キーウ近郊からロシア軍を追い払ったウクライナ軍が、今後、兵力をこれらの地域に振り向け、その際に西側諸国から提供される最新鋭の武器を活用するのであれば、場合によってはこれらのロシア軍も潰走するかもしれません。したがって、残るは「ウクライナがどこまでやるつもりか」、という論点でしょう。

もしもウクライナが本気でクリミア半島まで回復する意思を持っていて、西側諸国がそれを支援するのであれば、現在の勢いを維持すれば、場合によってはクリミア半島からロシア軍を追い出すこともできるかもしれません。

そうなれば、ロシアにとっては2014年3月の「戦果(?)」のひとつを、今回のウクライナ侵攻によって失うという結果に終わるかもしれず、そうなれば、ウラジミル・プーチン大統領自身に対し、ロシア国内での逆風が生じるかもしれません。

ただ、ゼレンスキー大統領らが繰り返し強調している、「ロシアからの再軍事侵攻の可能性を大幅に低下させるような国際的な保証メカニズムを伴った平和」という最低ラインを達成するためには、やはりドンバスやマリウポリ周辺からのロシア軍の放逐は必要でしょう。

したがって、経済・金融制裁でロシアに地味に打撃を与えつつ、武器供与を通じてウクライナでロシアの戦力を消耗させる、というのが、おそらくは5月9日に向けての西側諸国の基本戦略となるのではないかと思う次第です。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 古いほうの愛読者 より:

    些細な話題ですが,ハンバーガーとコカコーラの考察です。旧ソ連時代に,ソ連国内では,あまりハンバーガーを見かけませんでした。ソ連邦が崩壊し,資本主義経済が導入されると,ロシア人経営のハンバーガー店が沢山現れました。味もまあまあだった記憶があります。マクドナルドやコカコーラの味は,ロシアが欧米の知的所有権を無効化してしまえば,すぐに遜色ないコピー商品が現れると思います。昔の中国もコピー商品から始まって,独自の工夫や技術を開発し,西側諸国を脅かす水準まで上昇してしまいました。権威主義でもインセンティブさえ適切に与えれば,経済や産業は発展するようです。むしろ,自動運転やドローン技術のように,規制が少なくて,人命尊重もほどほどでよいと,自由主義諸国より発展が速い場合もあるようです。
    ウクライナ東部と南部ですが,もともとロシア系住民の人口比率が高い地方の場合,ウクライナからみて「奪還」というより「侵攻」に近い軍事展開になるので,武器だけではなかなか勝てないと思います。マウリポリの場合,ロシアはウクライイナ住民を支配する,というより,一度徹底破壊して無人化し,その後にロシア人を移住させよう,としているように見えます。そういう戦術だと,ウクライナの防戦も難しいでしょう。

    1. バシラス・アンシラシスは土壌常在菌 より:

      自動運転兵器と言えば
      今年のドラえもんも自動運転兵器が大量に出てくる話ですね
      原作では「人間は信用できない」と独裁者が発言していた
      PCIAという名前も凄いけど

  2. sqsq より:

    マックは閉店しているかもしれないが「バーガーキング」は営業しているそうです。
    閉店できない理由は契約上の問題で、具体的には「フランチャイズ契約」のためだそうです。
    ロシアのマックはおそらく直営なんでしょうね。

  3. 匿名 より:

    ロシアへの経済制裁の狙いの一つに、ロシア国内で武器・兵器を製造しにくくすることがあると思っています。ロシア製の武器・兵器の部品や材料の7~8割は輸入品であり、特に半導体や合金素材が入手困難で戦車やミサイル等の製造においてかなりの制約となっている模様。

    G7やEUが結束して経済制裁を掛けることはロシアにとって相当に嫌がる事であり、継続する事自体圧力となります。そしてそれをチャイナが見ています。

  4. 攻撃型原潜#$%&〇X より:

    経済制裁はロシア国民の生活へ思うような打撃となっておらず、ロシア国内のスーパーでは値上がりしたものの普通に食料、生活用品が買えているそうです。一方、制裁を課した側の国民生活もインフレ・物不足に苦しみ青色吐息です。
    ウクライナにおける戦闘がもし早期に終わったとしてもプーチン大統領の支持率は高止まりして大統領の座に居座るかぎり制裁は続きそうな気配であり、これはロシア対西側+日本の国力を掛けた総力戦になりそうです。どちらも疲弊して共倒れになり、日和見の中国・インドが笑うことにならねばよいですが。そうさせないために英米がいう「制裁に参加しない国々にも制裁範囲を広げる」と、完全に制裁する側が先に倒れてしまいます。
    いずれにせよ、ソ連崩壊後の30年あまり続いてきた経済のグローバリゼーションが逆回転を始めて各国とも国際分業より自国生産を重視する政策に戻るような気がします。

    1. バシラス・アンシラシスは土壌常在菌 より:

      懐かしの大陸封鎖令ですね
      ヒトラーが出現する前はナポレオン=悪魔というのが、ヨーロッパの常識だったように
      今回の戦争でヒトラーが過去のものになるかも

  5. より:

    ウクライナがクリミア「奪還」を図り、実際にクリミアへの「侵攻」を行おうとした場合、ロシアが戦術核で「反撃」する可能性が高いだろうと思います。どこが標的とされるのかはわかりませんが、ロシア系住民があまりいないウクライナ西部の手頃な街あたりが有力かもしれません。以前からプーチン大統領は「ロシア存亡の危機に際しては核の使用を辞さない」と明言していますので、十分可能性があると考えます。すでにロシア軍はさんざん悪評を蒙ってますから(それに値するようなことをやらかしているようですけれども)、今さら躊躇う理由はないでしょう。
    そこまで織り込んだ上で「クリミアを奪還せよ」と煽るのであれば、どうぞご自由にとしか言いようがありません。まあ、どうせ傷つくのはウクライナの国土と国民だけですしね。

    1. バシラス・アンシラシスは土壌常在菌 より:

      実は東京がウクライナよりさらに危険だけどね
      白人の国に核兵器落としたら(それが戦争中のウクライナでも)欧米は黙ってないが、日本に落としても非難はするが欧米としてはロシアに軍事報復する義務も義理も無いから非難だけで終るのは請け合い
      地方都市なら見せしめにならないから、東京と大阪に核兵器落とすのは普通に有り得る展開
      それを恐がって日和見したら、今度は日本が欧米から経済制裁受けて秒で経済破綻するから、日本が経済制裁に参加しない選択肢は無いけど

  6. 元ジェネラリスト より:

    ジョンソンの会見で支援に対艦ミサイルが入っていて、オデッサあたりを狙っている海軍艦艇を意識しているのか、あるいはクリミアまで意識したものなのか、ちょっと気になっています。
    もし南東部の戦況が好転して、ウクライナがクリミア奪還に動き出したときに、今の流れだと西側諸国は止めない・止められないと思います。
    なぜなら、クリミア併合を認めていませんから。
    そうなってほしいとも思います。

  7. くろだい より:

    >もしもウクライナが本気でクリミア半島まで回復する意思を持っていて、

    そもそも、ウクライナの戦争継続に関する意思決定者は誰なのでしょうか。
    ゼレンスキーはもともと、停戦合意の履行に積極的だったのに、民族派が拒否したという経緯もあります。

    (ポピュリスト大統領の思惑)
    https://www.jiji.com/jc/v4?id=20210419world0003

    ウクライナの「非武装化」を求めるロシアによる侵略開始後は、ウクライナ軍は軍組織としての存亡の危機に直面し、血気盛んになっているでしょう。
    停戦に向けては、ロシアとの交渉も難しいでしょうが、ウクライナ軍を相手とした難しい調整にも直面しそうです。

    それだけに、ゼレンスキーは停戦交渉において「国民投票が必要」と言っているのではないでしょうか。

    (クリミア半島「露主権」に国民投票 ゼレンスキー氏、一定の譲歩示唆)
    https://www.sankei.com/article/20220322-HDVMPO5GOBJ3XNEGU32C7VDGLM/

    1. バシラス・アンシラシスは土壌常在菌 より:

      戦争中にどうやって国民投票するのだ?

  8. へちまはたわしのみに非ず より:

    ロシアは制裁を持久できる読みで短期侵攻で正当化、もって制裁の形骸化を目論んでいたものと思います。短期侵攻が失敗に終わったなら、後は制裁に持久できないことを示すのが今後戦争に踏み切る国の抑止となります。

    ヨーロッパを自国資源でチョークし経済の相互性の否定したことが戦争の引き金なら、経済の相互性を認めることがロシアの敗北です。逆に経済制裁の失敗は核ある資源国は抑制不可との証明でもあり、それを避けるためロシアは崩壊することになるのでしょう。
    プーチン大統領の後釜を懸念されますが、強いソビエトロシアの夢想に耽る同じ性質の政治家が続かないためにも互いにタマを握り合っている状態の確認は重要ということです。

    別件ですが、ウクライナは二次大戦で戦車戦が頻発した地域です。
    携帯対戦車兵器の有効性には疑問があり、ORYX(*1)で歩兵戦闘車BMP-3を例に写真を調べると鹵獲を除く破壊33両の被害状況は以下の通りでした。
    住宅 08、森林 16、平原 08、不明 01

    ミサイルで兜割された戦車はともかく、ミサイルに不適な住宅街や森林で装甲車・トラックのHEATの射孔からすると近接した歩兵に始末されたことが伺えます。米軍はイラクでIEDに苦慮しましたが、千台以上の被害を被ったロシア兵はそれ以上の敵意に晒された訳です。
    これを短期決戦できると読んだロシアはやはりどうかしていたのでしょう。

    ORYX:写真によるロシア兵器の破壊検証
    https://www.oryxspioenkop.com/2022/02/attack-on-europe-documenting-equipment.html

  9. 普通の日本人 より:

    チェチェン紛争時、ロシアは国内アパートを爆破し300人を殺害した。
    これをチェチェン人がやった! と広報した。
    ロシア軍の地雷原突破方法、農民を歩かせる。
    人権意識がここまで無い文化の国なら成る程。と関心します。
    これでは我々の常識で判断は危険です。間違います。
    やはりロシアは軍事力で攻めるほかは無いと思います。
    人権無視文化の国なら解体が答えです。
    プーチンが次々と出て来ます。
    困難な未来が見えます。
    中国が後ろから見ています。

  10. 元ジェネラリスト より:

    ロシアの総司令官の任命(おらんかったんかい)の映像ですが、3,4秒あたりで、プーチンに敬礼して話す表情に、「任務に忠実な鬼」を感じました。
    詳しくないのですけど、軍人の顔というんでしょうか。

    ロシア軍“侵攻司令官”にドボルニコフ将軍・・・「民間人多数死傷」シリア軍事作戦を指揮
    https://www.youtube.com/watch?v=xlLyHe59zbQ

    ロシア軍の並以下の下手な動きが減るのか、単に焦土化を淡々と進めるだけなのか、どんな変化があるのでしょうかね。

  11. 元ジェネラリスト より:

    キーウでの戦闘で何があったのか、まとめ的な記事がありましたので。

    キーウが生き残れた理由、ウクライナ軍の工夫とロシア軍の不手際
    https://grandfleet.info/european-region/the-reason-why-kyiv-survived-the-ingenuity-of-the-ukrainian-army-and-the-inadequacies-of-the-russian-army/

    元ネタ
    FT:キーウがウクライナの創意工夫とロシアの過ちによってどのように救われたか
    https://www.ft.com/content/e87fdc60-0d5e-4d39-93c6-7cfd22f770e8

    元のFT記事より上の解説記事のほうが地図などもあってわかりやすいと思います。

    >ウクライナ軍兵士は夜間に1.5ポンド/約243円の発泡マットを被って接近、これでロシア軍は無人機の赤外線センサーでウクライナ軍兵士の接近を察知できなくなりジャベリンやNLAWの餌食になった
    >ウクライナ軍はドニエプルの水門を破壊して森林地帯を湿地帯に変えてしまった
    >ウクライナ軍は侵攻開始直後、Telegramに「STOP Russian War」というアカウントを開設して国民からロシア軍の動きについて情報を収集、国民は見かけたロシア軍の位置、撮影した写真、知りうる限りの情報を入力して送信

    まあ、こんな感じのことが述べられています。
    「創意工夫」とありますが、多くのウクライナ人自身が知恵を出したのだろうと思います。不利な状況での危機感と士気の高さの故ではないかと思います。

    小国は大国に操られる傀儡であるかのような表現も見かけますが、「当事者の意思」を過剰に無視すると結論を間違えると思います。北朝鮮だって中国の言いなりというわけでないですしね。
    ウクライナの今回の出来事は、サプライズが多いです。

    1. とある福岡市民 より:

      元ジェネラリスト様

       ご紹介の記事、おもしろかったです!ありがとうございました。
       ウクライナ側の戦い方はまるで「七人の侍」みたいでした。

      1. 元ジェネラリスト より:

        近いうち、七人の侍を見ようかと思います。
        (実は見たことがない;)

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