産経FNN調査で国民民主支持が高齢層にもジワリ浸透
これは、ある意味でわかりやす過ぎる結果が出てきたのではないでしょうか。産経・FNNの4月分の合同世論調査で、消費税の減税に賛成する割合が7割近くに達し、とりわけ若年層でそれに賛同する割合が高かったというのです。また、個人的に注目したいのは、参院比例で国民民主党に投票すると答えた割合が、じわり、高齢層にも広がっているという点です。
目次
人件費、税社保、手取りのふざけた関係
この数ヵ月間、当ウェブサイトではずいぶんと議論して来ましたが、現在の日本では若年層、勤労層、現役層が負担する税、社保の額が、正直、耐えられないほどに重くなってしまっています。
『【総論】税と社保の詳説…人件費と年収と手取りの関係』などでも紹介した、こんな図表がわかりやすいと思います(図表1)。
図表1 人件費、年収、手取りの関係(年収600万円の場合)
©新宿会計士の政治経済評論/出所を示したうえでの引用・転載は自由。また、試算の前提については本稿末尾参照
これは、会社で働く年収600万円の人、そしてその人を雇っている会社が支払っている税金や社保をわかりやすく示したもので、会社は人件費として年間700万円近くを負担しているのに、本人の手取り460万円ほどしかない、というものです。
年収600万円の場合、会社は人件費を700万円負担している。
会社が人件費700万円を負担していても、本人の手取りは500万円に満たない。
これ、誤植ではありません。
れっきとした、現在の日本の制度に基づいて表現した図表です。
社保は2回取られていて、年少扶養控除も存在しない
しかも恐ろしいことに、社保は2回取られています。会社負担分として1回、本人負担分として1回ですが、これも誤植ではありません。紛れもなく、現実の制度に基づいた一覧表です。
また、結婚し、お子さんがいる人の場合は、各種控除が効いてもっと税額が安くなるのではないか、などと思う人もいるかもしれませんが、残念ながら配偶者控除の適用要件は厳しく、また、民主党政権時代に年少扶養控除は完全に廃止されてしまっています。
正直なところを申し上げれば、年収水準によっては「児童手当など要らないので、年少扶養控除を復活してほしい」と思う人もいるのではないでしょうか。
しかも、税金や社保を搾り取られたあとの手取り部分でも、私たちは非常に重い税金(あるいは「税と名乗らない税」)を負担させられています。
最も重いものは消費税ですが、それだけではありません。
ガソリンにはガソリン税、電気代には再エネ賦課金、テレビにはNHK受信料、といった具合に、多くの人々が支払う意義に疑問を覚えている「税」(または「実質的な税」)がたくさん存在します。
結局のところ、税があれば徴税利権が生じますし、また、税を財源として、それを「配ること」も権力の根源となります。
財務官僚が国民から選挙で選ばれたわけでもないくせに、あたかも自分のポケットからおカネを出すように「頑張って予算を付けてあげます」などとのたまっているのを見ていると、本当に腹が立つという人も非常に多いのではないでしょうか。
しかも、かつてと異なり、現代社会にはSNSが存在します。
SNSを通じて財務官僚や総務官僚、NHK、あるいは自民党税調といった者たちに対する人々の強い不満が表明されるようになり、それらのポストが数万件もの賛同を得て拡散する時代となったわけですから、これも大きな時代の変化でしょう。
消費税の減税に「賛成」が68%=産経・FNN
こうしたなかで、ある意味でわかりやす過ぎる結果が出てきたのではないでしょうか。
産経・FNNが19日と20日に実施した合同世論調査で、消費税の減税を巡って「賛成」が68.0%となり、「反対」の28.0%を大きく上回ったというのです。
消費税減税「賛成」68% 世代で傾向くっきり 若年層は9割が賛成、70歳超は6割
―――2025/04/21 12:17付 産経ニュースより
支持政党別にみると国民民主党の支持層では賛成が9割近くに達したほか、年代別には18~29歳で87.0%、30代で72.5%など、若年層ほど賛成が多いという傾向が鮮明に出たのだとか。
これなどまさに、勤労層が減税を強く支持しているという間接的な証拠のひとつでしょう。
比例投票先では引き続き国民民主が堅調
ちなみに同じ世論調査では、こんな話題もありました。
参院選の比例投票先で国民民主の勢い続く 13%で2位 自民が首位、立民は3位
―――2025/04/21 16:35付 産経ニュースより
こちらの記事では、今夏の参院選の比例代表での投票先を尋ねた結果を掲載したもので、自民党が前回調査時(3月)と比べ4.4ポイント増えて23.7%と最多だったものの、2位に国民民主党が前回比で1.3ポイント増えて13.3%だった、というものです。
ただ、それ以上に興味深いのは、年代別の上位3位でしょう(図表2)。
図表2 参院選比例代表の投票先(産経・FNN・2025年4月分調査)
年代 | 国民 | 自民 | その他 |
18~29歳 | 20.1% | 17.7% | 立民4.3% |
30歳代 | 13.4% | 14.8% | 立民6.8% |
40歳代 | 18.3% | 19.5% | 立民4.2% |
50歳代 | 16.0% | 14.1% | 立民8.6% |
60歳代 | 14.8% | 24.9% | 立民13.9% |
70歳~ | 不明 | 38.5% | 立民12.0% |
(【出所】産経ニュース)
前回・3月の調査と比べると、国民民主党に投票すると回答した割合は総じて減っていますが、それでも興味深いのは、18~29歳の若年層では依然として国民民主党が投票先のトップであることに加え、今回の調査では(なぜか)50歳代で国民民主党がトップに立ったことです。
もちろん、世論調査の結果など実施する社によって、あるいは実施するタイミングによって揺れ動くものですので、この結果をもって今夏の参院選で自動的に国民民主党が圧勝し、自民党が惨敗するに違いない、などと決めつけるべきではありません。
しかし、国民民主党が70歳代で支持率上位3位に入っていないという事実などを見ると、やはり国民民主党がSNS層を中心に支持されている、という濃厚な状況証拠でもあります。
国民民主の支持率は高齢層にもジワリ広まる
もっとも、前回調査(図表3)を持ち出すと、興味深い点に気付きます。
図表3 参院選比例代表の投票先(産経・FNN・2025年3月分調査)
年代 | 国民 | 自民 | その他 |
18~29歳 | 19.5% | 13.1% | れ新8.2% |
30歳代 | 23.8% | 14.8% | 共産4.9% |
40歳代 | 14.8% | 12.5% | れ新11.5% |
50歳代 | 9.0% | 13.4% | れ新7.0% |
60歳代 | 8.9% | 25.8% | 立民11.1% |
70歳~ | 不明 | 28.5% | 立民16.6% |
(【出所】産経ニュース)
前回は極端に若年層に偏っていた国民民主党の支持層が、徐々に50代や60代などにも広まり始めていることです。
むろん、世論調査など実施する社によって、また実施するタイミングによって、その結果は大きく変動するものですが、それでも昨今の「年収の壁」騒動などが高齢層にも広まっているという可能性は、非常に濃厚なものでもあります。
いずれにせよ、参院選自体はべつに「政権選択選挙」ではありませんし、今夏の参院選では自公合わせて50議席も取れば、とりあえず参議院側で連立与党が過半数を制し続けられます。
しかしながら、国民民主党が参院選での候補擁立を積極化させているとの報道もありますし、また、あくまでも「一般論」ではありますが、同党が自民でもない、立民でもない受け皿として機能するのは、国民にとっては悪い話ではありません(『国民民主が候補積極擁立…選択肢が増えるのは良いこと』等参照)。
この点、重すぎる税・社保の負担と給付を適正化することは、経済的に強い国づくりにもつながる話ですし、いい加減、どこかの非常に近い段階で、税社保の負担と給付の適正化が実現しなければならないことだけは間違いないといえるでしょう。
試算の前提
なお、図表1に示した人件費、年収、手取りの関係を導くための試算の前提は、次の通りです。
【※試算の前提】
- ①被用者は40歳以上で東京都内に居住し、東京都内の企業に勤務している
- ②被用者は給与所得以外に課税される所得はなく、月給は年収を単純に12で割った額でボーナスはないものとする
- ③配偶者控除、扶養控除、ふるさと納税、生命保険料控除、配当控除、住宅ローン控除などは一切勘案しない
- ④月俸が88,000円以上である場合は厚年、健保、介護保険に加入するものとし、その場合は東京都内の政管健保の令和7年3月分以降の料率を使用するものとする(※ただし計算の都合上、「標準報酬」を使用していないため、端数処理などで現実の数値と合致しない可能性がある)
- ⑤雇用保険の料率は本人分が1000分の5.5、雇用主分が1000分の9とし、便宜上、少しでも収入が発生したら自動的に雇用保険料が発生するものとする
- ⑥「社保本人負担分」とは厚年、健保、介護保険、雇用保険の従業員負担分合計、「諸税」とは所得税、復興税、住民税の合計とし、住民税の均等割は5,000円(森林税含む)、住民税の所得割は10%とする
- ⑦「社保雇用主負担分」とは厚年、健保、介護保険、雇用保険の雇用主負担分と「子ども・子育て拠出金」の合計とする
- ⑧本来、住民税は前年の確定所得に基づき翌年6月以降に課税されるものであるが、本稿では当年の所得に完全に連動するものとし、かつ、年初から課税されているものと仮定
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
![]() | 日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
健康保険料が高いのは事実だろう。労使で標準報酬の10%近い負担。標準報酬には通勤費も含まれる。
一つ聞いてみたいのだが「健康保険への加入が強制ではなく任意だったら抜けますか?抜けて自分で民間の保険探して入りますか、あるいは無保険でいますか」
保険料の半分は雇用主が支払い現役世代は医療費の3割負担。しかも扶養家族が何人いても保険料は同じ。(基準は収入だけ)
さらに高額医療費制度で月額医療費には一定の限度がある。
医療以外では長期病休で給与が支払われなくなった場合は給与の3分の2が18か月健康保険から支払われる傷病手当金という制度がある。最近は精神を病む人が多いからこの制度使ってる人多いんじゃないかな?
産休中も給与の3分の2が支払われる(最高14週間)。この2つは収入の高い人(つまり保険料の高い人)はそれだけ給付も高いということ。
こんな有利な保険ないんじゃない?
日本人の平均寿命は84.55歳、皆保険のないアメリカの平均寿命 77.43歳との差は歴然。
イギリスにはNHSがあるが制度疲労を起こしていて国民の不満は大きく政権交代の理由の一つになっている。その平均寿命は82.06。
これを可能にしているのは高い保険料を我慢して払っている人、激務、高学歴の割に安い給与の医療従事者、下がっていく薬価でも我慢して薬を開発製造している製薬会社。
サービスの享受と対価の負担、全方位イイ案配とはナカナカにイカンモンで…
所得階層間格差に世代間格差が絡み合いクンヅホグレツの中庸探しにシレッと外国籍がサシコミ入れてくる…
らいくあろーりんぐすとーんでんな
知らんけど
石破政権が通勤手当にも税を徴収する方向で検討とありましたが、これ手当とついているからですよね。
石破を初めとした政治家は通勤をしないので手当というから税が取れると思っているようです。本当にバカですよね。
このように隙あらば税を課そうする自民を応援する国民が信じられないです。
旅費交通費は経費でっからなぁ
イッソノコト源泉徴収を廃止して皆に確定申告させやし
マイナンバーもe-taxもソノタメちゃいますん?
DXDXDXDXれっつDXでっせ!?
給与所得控除も廃止して基礎控除を最低賃金に連動させたらよろしやん??
まー仕組みに手ぇ突っ込んでゴワッとガチャガチャしょう思たら自公主導のママぢゃあ無理やな知らんけど
高市サンの出目も消えてもたで
知らんけど
手品師が右手を見ろ!と言ってる時は、左手を見てほしくない時、なのですな。
減税するか?しないか?
とか仲良しメディアにリークしながら綱渡りしている時には、注目してほしくないなにかがあるんだと思います。
つまるところ、財源ガー!財源ガー!と叫び続けてるけども
「それは何に使ってるの?」
「使った効果はあったの?」
という質問から話題を反らし続けてますよね。
よくわからんODAや女性活用基金とか、まずは効果を説明するべきですわな。
効果がないならするなとまでは言いませんが、少なくとも効果はないけど(減税とか補助金なんかより優先して)やらせてほしい!と争点にして社会合意の上でやるべきですわ。
怪しい歳出は、ポッケナイナイの温床にしか見えませんがね。
そーゆー意味ではトランプはんの支出大ナタ切りは使てた連中にソノ支出の適否を説明させるウマイ手かもシレマヘナ、知らんけど
年金とか医療費とか高齢者の負担も増加傾向です。若い人にこれ以上集るのは難しくなってきたからなのかも知れませんが。
また、自分の子や孫の負担増を見過ごせ無くなってきたのかも知れませんし、馬鹿の一つ覚えのように現金給付しか能が無い石破政権に対する嫌悪感が増しているのかも知れません。
次の選挙で懲らしめてやろうと思っている人は多そうです。
産経FNNの調査といえば、先月は30代のれいわ支持率が14%なんて、特異値と思われるような数値がでてましたね。少数党の支持率測定は難しいんでしょうな。
消費税減税は働く層だけじゃなく、高齢層も住民税非課税層もみんな喜ぶので、自民としても覚悟するならやっちゃうかもしれないですね。
「1年限り」とか縛り付くかもしれないですけど。(笑)
話題ずれですが、ちょっと国民民主と立ち位置が擦ってるガソリーヌ菅野、
「3年以内に全家庭に子育てケアマネを実現」とかぶち上げて炎上中です。
「うちは子育て中だけどそんなもんいらん。税金下げろ。」と。
NPOと連んでるようで。
国民民主は今後はこういう手合いをきちんとフィルターをかけていくんでしょうかね。
路線変更だと思うんですよね。
といってた側から・・・
https://www.chunichi.co.jp/article/1056688
書いてる最中に送信してしまいました。再度。
【独自】山尾志桜里氏が国民民主党から出馬意向固める 今夏の参議院選挙比例代表、近く会見へ
https://www.chunichi.co.jp/article/1056688
あははは。
自民食堂が割れた方がかえって客の目線に沿った店が出来る予感。
「赤い羽根募金」もほぼ税金となっています
私のところは地区費用として集められますがその中に「赤い羽根募金」の項目があり
今年はいくらと提示されるそうです
地区ではなじみの方が徴収に来られますので拒否をするのは勇気が要ります
結果。だれも拒否しません
是非赤い羽根募金について内情を知らせていただきたい
募金は任意なのにねえ