国家財政を赤字家計に例えること自体が理論的に間違い

Xなどを眺めていると、またぞろ、「国家財政を家計に例えたら…」、といった趣旨のポストを見かけるようになりました。そもそも国家財政を家計に例えるのは議論の出発点からして間違っていますが、それだけではありません。この手のポストの特徴は、基本的な計算が間違っているのに加え、政府債務のみに着目し、政府資産の存在を無視していることにあります。なにより、政府債務は経済成長することにより負担を軽減することができるのですが、この経済成長という視点が完全に欠落していることもこの手のポストの特徴です。

減税反対派のトホホな言い分

これまで当ウェブサイトでは何度となく紹介してきた通り、いわゆる「減税反対派」の言い分は、たいていの場合、スタンダードな経済学の知識をもっていれば、十分に反論が可能です。

減税反対派などの言い分のうち、よく聞かれるものを改めてまとめると、だいたい次の7項目があると思います。

減税反対派などの言い分の例
  • ①国の借金はGDPの2倍で財政再建が必要
  • ②日本は毎年度財政赤字で減税の余裕はない
  • ③基礎控除引上げには複雑な制度変更が必要
  • ④国の借金はいつか全額税金での返済が必要
  • ⑤国の借金を国民1人に換算すると一千万円
  • ⑥多くの著名財政学者が減税に反対している
  • ⑦一度下げたら再び上げるのが政治的に困難

©新宿会計士の政治経済評論

このうちの⑦についてはごく最近出てきたものです(『石破茂首相は「下策」である現金給付ですら諦めたのか』等参照)が、正直、「国民経済が減税を必要としている」という命題に対し全く答えていないばかりか、国民を愚弄しているとしか言いようのない主張でもあります。

また、⑥についても同様に、理論性は皆無です。

科学・論理の世界は多数決ではなく「客観的証拠と正しい思考ロジック」により正解が決まるからです。仮に「多数の著名財政学者が減税に反対している」というのが事実だったとしても、そのことは「減税してはならない理由」にはなりません。

すでに準備している「反論テンプレート」

いずれにせよ、上記①~⑦のうち、「その⑥」と「その⑦」については反論すら必要ない程度に低レベルな主張ですが、その一方、①~⑤についてはいずれもXなどでの議論をベースに、あるいは当ウェブサイトにおける過去記事などをベースに、大雑把に反論できるよう、こんな具合のテンプレートを用意しています。

その①「国の借金はGDPの2倍で財政再建が必要」
  • 国家の債務を個人の債務を同じ感覚で論じるな
  • 負債の額だけで議論するな、資産を無視するな
  • 自国通貨国債の発行可能額は資金循環で決まる
  • 経済成長でGDPが2倍になれば良いのでは?

→『【総論】「国の借金」説は、どこがどう誤っているのか』等参照

その②「日本は毎年度財政赤字で減税の余裕はない」
  • 一般会計は少なくとも2009年以降剰余金を計上
  • 7~8兆円税収減とする主張の根拠自体乏しい
  • 減税で乗数効果により経済成長し税収も増える
  • 財務官僚が主張する「税収弾性値1.1」は間違い

→『財源論者に不都合な事実…来年度税収見通しは過去最高』等参照

その③「基礎控除引上げには複雑な制度変更が必要」
  • 基礎控除引上げるだけなら計算ロジックは不変
  • 源泉徴収票のフォーマット変更なども必要ない
  • 法改正は所税法と地税法の2条文と甲欄表のみ
  • この手の変更であれば民間の負担は非常に軽い

→『否が応でもSNSと付き合わなければならない時代到来』等参照

その④「国の借金はいつか全額税金での返済が必要」
  • 自国通貨建ての政府債務は基本的に借換が可能
  • 政府には寿命がないため半永久的な借換も可能
  • 経済成長でGDPが拡大すれば返済負担も軽減
  • 国債は必ずしも税金「だけ」で返す必要はない

→『減税巡るショボすぎる自公案…国民に喧嘩売った財務省』等参照

その⑤「国の借金を国民1人に換算すると一千万円」
  • 政府債務の返済義務があるのは国民でなく政府
  • 返済には増税だけでなく借換や資産売却も可能
  • 企業債務も「従業員1人あたり」で評価しない
  • 銀行の債務も「従業員あたり」で議論する気か

→『「SNSで財務省に誹謗中傷」自体が悪質なデマでは?』等参照

また、上記の反論に加えて、わが国がむしろ税社保の減免・引き下げを必要としているという点については、過去に何度となく、当ウェブサイトおよびXに投稿してきた通りです。

わが国が減税を必要とする理由

【総論】我々は給料からどれだけ「引かれている」のか

年収の壁巡って自公が国民民主案に少しだけ歩み寄りか

【総論】税と社保の詳説…人件費と年収と手取りの関係

人件費と年収と手取りの理不尽な関係

これらに関連し、とりわけ、人件費、年収、手取りという3つの概念の関係については、もっともっと多くの方々に知っていただきたいと思います。

ここで、自営業を営んでいる人が法人化し、自身が社長に就任して、会社から役員報酬をもらう、という形態に変えたとしましょう。このとき、この社長が手取り月額100万円となるように自身の給与を設定するとなれば、会社が支払う人件費はいくらになるでしょうか。

これについて逆算すると、次の通りです。

  • 毎月の手取り…100万円(①)
  • 所得税住民税…388,178円(※復興税、森林税を含む)(②)
  • 社保本人負担…147,848円(厚年、健保、介護を含む)(③)
  • 社保会社負担…155,564円(厚年、健保、介護を含む)(④)
  • この人の月給…1,536,026円(⑤=①+②+③)
  • 会社の人件費…1,691,590円(⑥=⑤+④)
  • 実質的な天引…691,590円(⑦=②+③+④)
  • ①÷⑥=59.12%
  • ⑦÷⑥=40.88%

つまり、手元に毎月100万円が残るような給与を受け取りたければ、この人は自身への給与を約153.6万円に、そして社保会社負担分とあわせた人件費を169万円に、それぞれ設定しなければならないのです(※厳密にいえば③と④の額に雇用保険が含まれるため、社長ならば、その分は節約できますが…)。

これなどまさに国家という名の泥棒の所業であり、搾取構造そのものです。

国民から選ばれていない、「四公六民」の財務省幕府

ちなみに実質的な天引き(会社が負担する人件費とこの人の手元に残る手取りの差額、あるいは上記⑦=②+③+④)が占める人件費に対する割合は40.88%であり、まさに「四公六民」、江戸時代もビックリの財務省幕府です。

ちなみに江戸幕府と財務省幕府の共通点は、「国民から選挙で選ばれていないこと」です。

財務省といえば、国家の財布の入口(国税庁)や出口(主計局)、さらには財源(外為特会や財政投融資など)を一手に握り、並みの国会議員や、下手をしたらときの政権すら上回るほどの実質的権力を持っている組織です。

選挙で選ばれた国会議員よりも、選挙で選ばれていない財務官僚の方が、はるかに大きな実質的権力を持ってしまうのは、どう考えても不健全であり、また、民主主義の精神に正面から挑戦するものです。

その意味で、財務省は実質的に見て、日本国憲法に反する存在である、という言い方もできるのではないでしょうか。

ワニの口という有名な詐欺グラフ

さて、それはともかくとして、その財務省が邪悪な存在であるという動かぬ証拠がいくつかあります。

ひとつはもちろん、「国家財政が危機的状況だ」という、明らかに虚偽のプロパガンダを、現在進行形で垂れ流していることです。

たとえば財務省ウェブサイトの『どのくらい借金に依存してきたのか』というページを見ると、こんなグラフが掲載されています(図表)。

図表 ワニの口

(【出所】財務省)

しかし、この「ワニの口」にはインチキがあって、支出側は「歳出」が掛かれているのに対し、収入側は「歳入」ではなく「税収」が書かれているのです。

なぜそれがインチキなのかといえば、歳出側には国債の元本償還や利払いが含まれているからです。

企業会計に詳しい方などであればおわかりかと思いますが、国債などの債務の調達や返済は、現金主義会計では「収入」「支出」を構成しますが、それ自体収益でも費用でもありませんので、本来ならば国家にとっての収益項目である税収と、費用項目ではない国債償還額を比べること自体が大間違いです。

しかも、国債は通常、借り換えが可能ですので、もし歳出側に国債の償還額を含めるのならば、歳入側には借換債の国債発行収入を含めなければなりません。

いずれにせよ、企業会計の立場から見て、この図表は「重要な虚偽記載」に該当することは明らかであり、もしまともな公認会計士または監査法人がこの図表の会計監査をするならば、間違いなく「不適正意見」を付すことになるでしょう。

いずれにせよ、財務省・財務官僚は、①国民の選挙によらずに実質的な権力を握り、②その実質的権力を悪用し、③無茶な増税、不要な増税などを通じて日本経済を破壊してきた―――という意味において、間違いなく邪悪な存在です。

スタートから間違っているポスト

ただ、非常に残念なことに、Xを眺めていると、定期的に、こんな趣旨のポストがタイムラインに表示されるのです。

  • またしても野党が減税を唱え始めた
  • しかし日本の財政を家計に例えたら、借金まみれの状態なのにご馳走を食べようとする無責任さだ
  • 日本の国債発行残高は1100兆円、GDP比で250%と世界最悪レベル
  • この状況で、「減税で景気が良くなる」とは絵空事だ

…。

いちおうまじめにツッコミを入れておきますが、スタートから間違ってます。

①国家財政を家計に例えるのは不適切

家計と国家財政は似て非なるものです。個人には寿命がありますが国家には寿命がなく自国通貨建て国債は半永久的な借換が可能です。もちろん、適正な国債発行量はその国が置かれた経済や資金循環構造にも依存しますが、少なくとも現在の日本では国内の資金余剰は国債を消化するうえで十分です。

②計算が間違っている

広義の国債(普通国債+TDB+財投債)の発行残高は時価ベースで2024年12月末時点で1213兆円。これに対し名目GDPは620兆円(2024年第4四半期)であるため、国債GDP比率は200%を割り込んでいます。

また、政府資産は少なく見積もって800兆円(外貨準備194兆円、財政融資資金126兆円、社会保障基金運用残高393兆円、天下り法人などへの出資金84兆円など)、よって政府純債務は400~500兆円程度に過ぎず、公的債務残高GDP比率は実質的に100%を割り込みます。

③乗数効果を無視するな!

経済学には乗数効果というものがあります。たとえば減税額(ΔT)は政府の歳入を減らす効果がありますが、それと同時に人々が消費を増やすことで経済全体が底上げされる効果がもたらされます。

閉鎖経済の前提だと乗数効果は(1-MPC)の逆数(MPCは限界消費性向)分だけ増えるため、仮にMPCが0.6であれば、GDP押し上げ効果は

ΔY=1÷(1-0.6)ΔT=2.5ΔT

仮にΔTが10兆円ならΔYは25兆円、つまり名目GDP成長率は約4.8%です。

これに税収弾性値3を乗じれば、税収は14.42%、つまり約10兆円増えるため、減税しても「行って来い」で税収が増えるのです(※ただし、現実には日本は開放経済であるため、金利上昇、円高などにより乗数効果は部分的にかき消されますが…)。

経済成長による債務負担軽減を無視している時点で論外

なによりこの問題のポスト、政府債務の負担を軽減する手段として、経済成長を完全に無視している、という特徴があります。

実際のところ、毎年2%ずつ経済成長していけば、日本経済は35年で倍になります。つまり、これから毎年2%成長が続けば、2060年には名目GDPが1200兆円を超えるのです。

また、経済成長率が2%ではなく3%なら約23.4年後(つまり2048年頃)に、5%なら約14.2年後(つまり2039年頃)に、この「GDP1200兆円」を達成します。

あるいは、広義の国債残高が1200兆円の状態で、仮に国債を600兆円増発して経済成長を加速させ、年5%経済成長を達成すれば、22.5年後の2047年にはGDPが3倍の1800兆円となり、やはり公的債務残高GDP比率は100%を割り込みます。

どうして「緊縮財政」「国債を減らせ」と主張する人から、こうしたマトモな経済学に基づく主張が出てこないのでしょうか。経済成長による債務負担軽減を無視している時点で論外でしょう。

ちゃんとした知識で理論武装しよう!

いずれにせよ、もし税制などを論じるのであれば、マスコミ報道や財務省の宣伝などを鵜呑みに信じるのではなく、基礎統計に加え、マクロ経済学・会計学・金融などの知識を持つことが大事です。

もちろん、当ウェブサイトの場合はいわゆる「自国通貨建て国債ならいくら発行しても問題ない」式の立場を取りませんが(あえていえばリフレ派に近い立場だと思います)、少なくとも現在の日本経済が国債増発による税・社保減免を行う余力もあり、また、それをすることが必要であることは間違いありません。

当ウェブサイトは、ちゃんとした知識で理論武装するための材料を提供してきたつもりですし、これからもそうするつもりです。

最近、某財務省系の方々も当ウェブサイトをご覧いただいているようなのですが、財務省関係者を含め、ひとりでも多くの方が「国民生活や日本経済を壊してでも税・社保をかき集める」式の日本の財政のあり方のおかしさを認識してくださるならば幸いだと思う次第です。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 愛知県東部在住 より:

    えーと、久々に投稿します。

    そもそも、我々生身の人間の家計、すなわちせいぜい60年から80年或いはひょっとして運よく90年ぐらいしか生きられない寿命の生命体のミニマムな経済(というかせいぜい大福帳あるいは家計簿程度)と、その数十倍か或いは数百倍も生き残るであろう国家の巨大でマクロな経済とを同列に並べることが、如何にに愚劣なロジックであるか、ぐらいは我々も自覚しておいたほうがいいかと思います。

    それに加えて国家という組織は、徴税権やら貨幣発行権という我々個々人には絶対に持ち得ない特権を有しているのです。これらの特権を有しており、尚且つ世界トップクラスの純資産を保有している日本が、軽々に「財政破綻」を起こすなどという、どこかの財務なんとか省の妄言を受けて、石○逃げるとかが国会でワケのわからないことを口走っているのがいやでいやで、国会中継を見なくなって幾久しくなりました。

    やれやれ・・・。

  2. CRUSH より:

    素朴な疑問ですが、
    「新型コロナ対策で三年で百兆円」
    これは、どさくさになし崩しで実行されていますが、財務省はなにか楯突いたのかな。

    主に老人世代を助けるために、社会を停めて物流を止めて大盤振る舞い。
    「若い世代に負担を負わせるな~」
    「財政破綻する~」
    とか寡聞にして耳にしたことないですよ。

    103万円の壁を178万円にするための7兆円ぽっちでグダグダ言ってるのに、なんにも言わずにポンっ!と百兆円ですわ。

    ゼロゼロ融資で貸しただけ?みたいな百兆円なのかなあ。
    よくわかりませんが、帳簿の上での扱いはさておき、ばら蒔かれたのは確か。
    で、財政破綻とか金利や国債の乱高下とかなんにもなかったですよね。

    予定調和な世界でウソの説明をしてると、予定外の突発事態があると矛盾が露呈するものです。
    なんだかな~、と。

  3. 農民 より:

     微妙に新しくなったんですね。

    >借金まみれの状態なのにご馳走を食べよう

     特に目新しいココ、意味不明ですね。国債を発行して無駄な政府所有のハコモノにでも浪費するのであれば妥当かもしれませんが、これ減税の事を言っているのですよね?(ひとまず借金という表現を使うとして)「借金まみれなので、ごちそうで体力をつけてしっかり働けるようにする」のが減税目的=経済成長ですし。返済能力を上げる(あるいは返済額面を減らす)事の何が贅沢なのか?
     あと個人や家計に例えて且つ精神論で良いのならば、あえてのごちそうで労働意欲を高めるなんて事だってありますし。”貧すれば鈍する”、体感済みです。天候で赤字の年はマジでIQ下がって感じる。「儲からなかったから節約して体力下げよう」なんて愚策。
     どのみち借金表現を用いる時点で、借金とやらの主体を理解していないか誤魔化しているかの証左にしかなっていませんが。

  4. sqsq より:

    もしも家計にたとえるとしたら:

    毎月30万稼ぐ旦那さん、家計には10万しか入れない。毎日いいもの食べて晩酌しているのだから(社会福祉)専業主婦の奥さんはもっと入れてくれればいいのに(増税)と思っている。
    毎月赤字。到底足りないので旦那から借金を続けている。その金額が積もり積もって720万円(年収の2倍)
    これ旦那が外から稼いでいる限り続けられる。
    ヤバイのは奥さんが「だって旦那がいい顔しないんだもん」と言って外から借りること。

    1. 悪徳銀行員 より:

      ちょっと理解しづらい例えなので教えてください。
      旦那さん…国民(=差額20万円が手取り?)
      奥さん…財務省(=家計収入と支出を握り、差が赤字家計?)
      旦那さんからの借金…国債などなど
      という認識でよいんでしょうか?

      現実は、旦那(家計)が保有する金融資産は過去最高を更新しており、奥さんが外から借りる理由は何もないとゆーことですね(「いい顔しない」のはお隣さん家への体面を意識してでしょうか?)
      ただやっぱり個人の赤字会計に例えるのは、そもそも無理筋ですね。

      1. sqsq より:

        お読みいただきありがとうございます。

        要は所詮家庭内(国内)のことにすぎないということのたとえのつもり。
        奥さん(国、財務省)は10万円の予算では家計を運営できない。足りない分は旦那から借金(国債発行)している。本当は月々10万円ではなく15万円家に入れてほしいと思っているが(増税)言い出せない。旦那は自分の貯金がある。旦那が稼いでいる(経常収支の黒字)あいだ、旦那の貯金がある間は続けられるが借金の残高は旦那の年収360万円の2倍の720万円になってしまっている。(GDPの2倍)
        まあこんな感じ。

  5. 引きこもり中年 より:

    国家財政を赤字家計に例えれば、自分が理解しやすい、ということではないでしょうか。

  6. カズ より:

    財政法第4条は、国の歳出の財源について、原則として公債または借入金以外の歳入で賄うべきと規定する条文

    例えば、「国債発行税(税率100%)を自らに課す!」ってのはどうだろうか?

  7. 元雑用係 より:

    >減税反対派などの言い分の例
    最近の財政再建派の言い分には、「国債の利払い増」が目立つようになった気がします。
    日銀の金融緩和見直し以降、国債金利の上昇と連動して利払費が跳ね上がっているんですよね。2024年度は7.6兆→9.7兆で2兆円増で、国債費の規模と比較しても無視できない大きな額です。国債金利はまだ上昇過程ですし、国債の借り換えも相まって、利払費はまだまだ増えていくと思われます。
    財務省:
    https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/005.pdf

    ただこれも、先日AIを叩きながらいろいろ試算してたのですが、経済成長率(による税収増)と金利の関係で持続可能な条件は整いそうではありました。
    税収弾性値1.1に拘る限りはこの条件は満たせないですけどね。

    ただ、一般にはこの論を速攻否定するような言葉は見かけた記憶がなく、財務省対策としては必要なんじゃないかなーと思う今日この頃です。

    1. カズ より:

      仮に、利払い費のうち、日銀保有割合(47%)に対するものを、その他53%の決済原資として充填すれば、実質負担は・・?

      A=9.7兆円×(0.53-0.47)
      実質負担額=5820億円

      みたいに思ってしまうのは私だけ・・?

      1. 元雑用係 より:

        国債利回りの財政への負荷の正味は、日銀からの政府への還流分も加えないと正確には分からない、ということですね。
        日銀から政府への還流分が国債の収支に含まれないのはある意味”ワニの口”みたいなものかも知れませんね。

      2. 匿名 より:

        日銀保有の国債に対する利払いは、ほとんどそのまま金融機関が日銀に預けている貯金に対する利払いになるので国の負担は軽くなりませんよ。

        1. 事大の騎士 より:

          そもそも、日銀当座預金に利息がついていることが意味不明ですね。
          日銀以外の銀行では、当座預金には利息が付かないんですから。

          第2次安倍政権で、日銀当座預金に金利がついているため、銀行が企業に貸し出すよりも日銀に預けているほうが有利なため、日銀当座預金にブタ積みしていたのをマイナス金利にして、市中にカネが回るようにしたのですが、またぞろ金利をつけ始めたので、日銀当座預金の利率をゼロにしたほうがいいですね。
          銀行は金利上昇で儲かっているんですから。

        2. 三門建介 より:

          日銀の予算の中に日銀当座預金の利払いが計上されているのと違いますか?

          帳簿上は国債の利払いは収入に計上されて日銀当座預金の利払いは当初予算から支払われている。が見やすいですね。

          持ち国債の利払いを当年度収入に組み入れているとすれば予算上、収入を見込んで当座預金の利払いしていれば国の収支としては下がっているわけで下がっていないと言い張るならば収入が計上できるのでないでしょうか?

          日銀の予算に含めれば、日銀支出が減るのでOKですが特別会計も含めないとわからないから公表しましょうとなると思いますよ。

    2. 元雑用係 より:

      岸田政権以降、日銀審議委員が金融緊縮派に入れ替わり続け、時期尚早にも金融緩和を終了する方向に動いていますが、財務省としては、”財政ファイナンス”で資金繰りができてしまう状態は困るんでしょうね。なぜなら、増税の仕組みを増やせなくなるから。利権はあらゆるところに分散して仕組まないと。

      総選挙後、基礎控除の引き上げを迫られてからの、基礎控除4段階化、所得税・地方税の分離という複雑化は焼け太りと思っています。生存権に基づく”聖域”の破壊。裁量権の拡大。事務負担増大。聖域無き増税路線。
      「ショボい減税で一歩後退しても時間が経てば再反攻の足がかりになる」そんな損得勘定かも。

  8. CRUSH より:

    通貨供給量についての例え話。

    1)血液
    血液は、心臓から身体に対する借金だ。
    返せ!と言われたら兌換せねばならない。
    だから、もっと血液を増やせ!と言われても、返せないほどまでに血液総量を増やすのは危険だ。
    そのツケを将来世代に先送りするだけだ。

    2)麻雀牌
    麻雀牌は、店から客に対する借金だ。
    返せ!と言われたら兌換せねばならない。
    だから、もっと台をを増やせ!と言われても、返せないほどまでに麻雀卓台数を増やすのは危険だ。
    そのツケを将来世代に先送りするだけだ。

    3)ボイント
    どちらも「返せ!」なんて絶対に言われないし、金本位制度をやめてからは「兌換せねば!」という考え方は強迫神経症に近い症状に思われますね。

    通貨供給量は、なにか違うもっとスマートな指標を根拠に、コントロールすればよろしいかと思いますな。

  9. さば より:

    国債の性質を考えると、家計に例えるよりも銀行口座に例える方が、しっくり来るのではないでしょうか。口座にお金を預けるというのは、言い換えれば、銀行にお金を貸している状態ですから。

    家計であれば、借金が増えすぎると破綻しますが、
    銀行であれば、口座の解約(=銀行の借金が解消)が増えすぎると破綻。ですよね?

  10. はるちゃん より:

    「国の借金」を個人の借金に例えるというのは例えが悪いというよりも悪質な印象操作ですね。
    本当にそう思っているなら頭悪過ぎですし。
    私には、省益優先の国民を愚弄した行為にしか思えませんが。

  11. 名無しのPCパーツ より:

    > 企業債務も「従業員1人あたり」で評価しない

    うーん、確かに。

  12. foo より:

    >日本の国債発行残高は1100兆円、GDP比で250%と世界最悪レベル

    この状況を作ってしまったのが、自民党と公明党ということです。
    税金を集めたいだけ集めて、ばら撒きたいだけばら撒きをし、世界最悪レベルにしてしまった。
    自覚が無いのにも程があって、更には票集めのばら撒きを画策するなど、これまた下卑ているにも程がある。篩に掛けられるのも至極当然。
    世界最悪レベルにしてしまった政党など必要ありません。

  13. 三門建介 より:

    ⑦一度下げたら再び上げるのが政治的に困難

    ⑦は逆も言えるんですよね。
    余ったから、簡単に下げられる(必要なくなったら減税)ならば、不足したら簡単に上げられる(新たな必要な税金を徴収する)。

    といえるのでないかね?
    1970年代から下げることをしないから信用なくして増税しかしていないと思われているだけだと言えませんかね。

    財務省も国会議員もGDPの何%の予算で抑える等の言葉の意味が解ってないと言えそうですね。
    防衛費の1%で言った場合、この30年で海外から購入する金額が倍になったわけですね。
    米国はGDPが倍になってますから、単価が倍ですね。でも日本はGDPがほとんど上がってないので購入力は半減して当たり前なんです。経済発展をしてこなかったために税収が上がらなかった証拠ですが築いていないように見えます。そのぐらいは解る公務員や議員に変わってほしいと改めて思います。

  14. 貧乏人 より:

    現在国債の利息への支払い額は、9.7兆円/年、今後長期金利が2%に上がればあっという間に20兆円になる。
    アメリカでは、国債の投げ売りが起こって株式市場にも動揺が広がった。
    日本の国債残高は既にアキレス腱になっている。
    日本国債が投げ売られない保証はない。投げ売りが起こった時どう対処するのか?

    1. 匿名 より:

      日本には関税騒動起こすトランプはいないので国債は投げ売られない
      というか、過去記事読め

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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
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