気がついたら、今日で令和元年・2019年もお終いです。当ウェブサイトではいつか手を付けようと思っていたテーマのひとつが、「日本政府が韓国に対する経済制裁を適用するとしたら、どのような形態が考えられ、その発動の名目は何か」、というものです。これについては議論し始めると『日本経済を客観的な数字で読んでみた結果を総括します』でも報告した「数字で読む日本経済」のようなシリーズものにしなければならないほど膨大ですが、本稿ではそのごく触りとして、来年に向けた論点のたたき台を自分なりに提示しておきたいと思います。
目次
年末の挨拶
早いもので、今年も今日でお終いです。
個人的には当ウェブサイトに書けないことも含め、怒涛のような1年が過ぎ去ったと思っていて、とくにこんな何もとりえもないウェブサイトであるにも関わらず、最大で月間400万ページビュー(PV)を頂いたのには驚きというほかないと思います。
最近でこそPV数は最盛期の半分くらいに落ちているものの、そのかわり、読者コメント欄には非常に秀逸なコメントが多数付くようになりました。ひとつだけ自慢させていただけると、当ウェブサイトにとっての最大の資産は、優れた読者コメントが大量に寄せられる点にあるのだと思います。
考えてみれば、類似のウェブ評論サイトには読者コメント欄がないケースもありますし、また、世の中の人気ブログサイト、まとめサイトなどにつく読者コメントを読ませていただいて「勉強になる」と思うことはほとんどありません。
しかし、『新宿会計士の政治経済評論』は、評論記事本文よりもむしろ、読者コメント自体に読む価値があるという意味で、非常に変わったサイトでもあります。この点だけは自慢したいと思いますし、また、日々読んで下さる読者の皆さま、コメント主の皆さまには御礼を言わずにはいられないのです。
韓国の不法行為
どうしても年内に始めておきたい
ただ、個人的には「今年を振り返る」「来年を展望する」といった気の利いたことができる人間でもありませんし、「ウェブサイトを運営することの意義」については、別稿で(おそらく明日あたりに)議論したいと思っているのですが、その前に、どうしても今年のうちに開始しておきたい議論が、ひとつあります。
それはズバリ、「韓国に対する経済制裁」です。
といっても、韓国に対する経済制裁について議論し始めたら非常に長くなってしまいますので、本稿ではそのごくさわりとして、来年に向けて、「日韓関係において見ておくべきポイント」を中心に検討したいと思います。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
もともと日韓関係は厳しい状況が続いていたのに、昨年秋口以降、韓国側から仕掛けられてきた「日韓友好に反した非合理な行動」については、結局、ほとんど解消されないままに年を越そうとしています。昨年秋口以降のものに絞っても、次のような事件がありました。
- ①旭日旗騒動(昨年9月頃~)
- ②自称元徴用工判決問題(昨年10月30日、11月29日)
- ③レーダー照射事件(昨年12月20日)
- ④天皇陛下侮辱事件(2月頃)
- ⑤日本による韓国向けの輸出管理適正化措置(7月1日発表)
- ⑥慰安婦財団解散問題(7月頃)
- ⑦日韓請求権協定無視(7月19日)
- ⑧日韓GSOMIA破棄通告(8月22日)
- ⑨対日WTO提訴(9月11日)
このうち⑤を除く各項目については韓国が日本に対して仕掛けて来たものですが、⑤だけは例外的に日本が韓国に対し、積極的に講じた措置です。ただ、日本政府がこの措置を講じるきっかけを作ったのは韓国ですので、やはり究極的には韓国の行動がすべての原因であるといえます。
日本の全面勝利に終わったGSOMIA騒動
さて、上記①~⑨のうち、⑧と⑨については、『韓国の「GSOMIA瀬戸際外交」は日本の勝利だが…』などでも述べてきたとおり、すでに事実上の「日本の全面勝利」で終わっています(といっても、これは「勝ち負け」の問題でもないのかもしれませんが…)。
もともとこの⑧と⑨は、⑤、つまり日本が韓国に対して講じた輸出管理適正化措置への対抗措置として取られたものです。おそらく文在寅(ぶん・ざいいん)政権の目論見としては、とくに⑧を打ち出せば、日本が慌てて輸出「規制」を撤回するに違いない、と勘違いしていたフシがあります。
しかし、とくに⑧(日韓包括軍事情報保護協定=日韓GSOMIA=の破棄)については、現実には日本政府は「残念だ」「韓国には賢明な対応を求めたい」の一点張りであり、待てど暮らせど「譲歩」しようとしませんでした(『GSOMIA破棄「残念」で終わらす日本に韓国逆ギレ』参照)。
それどころか、この措置が米国の極めて強い反発を招き(『もう日本は関係ありません、今後は米韓間で直接どうぞ』等参照)、最後には事実上の無条件撤回に追い込まれた格好です(『【読者投稿】GSOMIA「事実上の延長」の真否』参照)。
ちなみに『韓国政府「GSOMIAを3月まで暫定延長」』でも触れたとおり、韓国政府としては「日韓GSOMIAについては韓国側がいつでも破棄できる」と述べているようですが、非常に残念ながら、日韓GSOMIAを韓国がいつでも破棄できるという解釈は成り立ちません。
※余談ですが、この⑧や⑨については、「韓国や北朝鮮が仕掛ける瀬戸際外交には絶対に乗っかってはならない」という、非常に重要な教訓が得られたという意味では、間違いなく日本にとっては大きな収穫だったといえるでしょう。
軍事面では信頼関係が地に堕ちた
ただし、日本が韓国に対して講じた措置である⑤、それに対抗して韓国が講じた瀬戸際外交である⑧・⑨を除けば、ここに挙げた残りの問題については、未解決のままです。先ほどの9つのうち、⑤、⑧、⑨を除いたものを、改めて列挙しておきましょう。
- ①旭日旗騒動(昨年9月頃~)
- ②自称元徴用工判決問題(昨年10月30日、11月29日)
- ③レーダー照射事件(昨年12月20日)
- ④天皇陛下侮辱事件(2月頃)
- ⑥慰安婦財団解散問題(7月頃)
- ⑦日韓請求権協定無視(7月19日)
旭日旗騒動とは、私たちの国・日本で昔から使用されてきた旭日旗(真ん中の太陽から線が放射状に延びている意匠の旗)を巡って、韓国が「戦犯旗」だの、「ナチスの旗と同じ」だのと称して侮辱している問題のことです。
韓国政府は2018年10月の韓国海軍主催の観艦式で、日本の自衛艦にも招待状を発送しておきながら、自衛艦に旭日旗を下ろして航行するように要求し、日本は結局、観艦式に自衛艦を派遣しなかったというオチも付きました(『旭日旗騒動と観艦式の振り返り「全世界に恥をさらした韓国」』参照)。
一方、軍事面という観点からは、③のレーダー照射事件も無視できません。
これは、ちょうど1年前の2018年12月20日、石川県能登半島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内で、韓国海軍駆逐艦「広開土大王」がわが国の自衛隊機に火器管制レーダーを照射した事件のことです。
レーダー照射事件については、当ウェブサイトでは『レーダー照射事件がじつは「大した問題」ではない理由』など、さまざまな機会に議論して来たとおり、時と場合によっては明らかな戦闘行為見なされることもあるため、結論的には韓国を「準同盟国」と見なせなくなった事件だと考えれば良いと思います。
しかし、韓国政府がやらなければならなかったはずの、事件の全容解明と再発防止策の策定、責任者の処罰などについては、今日に至るまでいっさいなされていませんし、それどころか韓国政府は「むしろ日本が低空威嚇飛行を仕掛けてきた」というウソで日本に対抗している始末です。
ウソツキ国家の本領発揮
「ウソツキ」という意味では、④の国会議長による天皇陛下(現在の上皇陛下)に対する侮辱事件も無視できません。
これは、文喜相(ぶん・きそう)議長が当時の天皇陛下を「日王」、「戦犯の息子」などと侮辱したうえで、自称元慰安婦らへの謝罪を要求したという事件ですが、山東昭子参院議長から説明を求められ、結局は逃げたというオチも付きました(『やっぱりウソだった?文喜相国会議長「お詫びの手紙」』等参照)。
ちなみに文喜相氏は先日、自称元徴用工に対する基金の創設を柱とした法案を国会に提出しましたが、韓国国内でも強い反発を受けているほか、「あの」岸田文雄氏からも「韓国は約束を守らない」と言われてしまう始末です(『韓国の迷走眺めつつ、日本は経済制裁の準備に入るべき』参照)。
なぜなら、⑥、つまり韓国政府が日本の了解なく、慰安婦財団を解散してしまったからであり、これによって「韓国は約束を守らない国だ」というのは、もはや日本国民の共通認識のようになっていることは間違いないでしょう。
自称元徴用工問題のインパクト
ただ、これらの問題だけでも、通常の隣国関係であれば断交状態、あるいは交戦状態に陥っていても不思議ではありません。日本政府の我慢強さ、辛抱強さには驚きます(日本政府が辛抱強いということが「良いことだ」、という意味ではありませんが…)。
しかし、やはりインパクトが大きいのは、②と⑦です。
②については、細かい経緯などについて、いまさらもう一度詳細に議論する必要もないと思いますが、柱としては、次の2点です。
- (1)日韓間の過去のすべての問題は、1965年の日韓請求権協定において法的に完全に決着が付いており、それをあとになってから蒸し返すのは国際法違反である。
- (2)そもそも自称元徴用工問題を含めた「歴史問題」自体、その多くが韓国(や悪意を持った日本人)によるウソ、捏造のたぐいである。
もちろん、個人的には日本政府の対応には不満もあります。なぜなら、日本政府が問題視しているのはこのうち(1)の部分だけであり、(2)の部分についてはあまり触れていないからですが、それでも(1)の部分に関するハンドリングについては、歴代政権と比べればはるかに優れています。
安倍政権の主張は、こうです。
- 旧朝鮮半島出身労働者問題を巡る昨年10月30日と11月29日の大法院(※最高裁に相当)判決は、国際法違反である。
- 国際法は司法府自身をも拘束する。
- この問題を作り出した韓国自身が、かかる国際法違反の状態を解消しなければならない。
これらの点については、大変重要な認識であり、完全な正論です。
日本政府がこういう正論をちゃんと主張してくれていることは、過去のグダグダな日本外交を知る者にとっては「隔世の感」があります。
ただ、意外と認識されていないのは、⑦の問題点の大きさです。
これについては『輸出管理の「緩和」を「対韓譲歩」と勘違いする人たち』で詳述したので本稿では繰り返しませんが、韓国側が非合理かつ非友好的な行動により、一方的に生み出した国際法違反の状態を、日本政府が合理的かつ友好的・真摯に解決しようとして失敗した、という事件だからです。
その意味で、②よりもむしろ⑦の方が、日韓関係がまったく正常なものではなくなってしまった証拠なのです。
話してダメなら…
北朝鮮と戦争することができない国
さて、ひと昔前であれば、国同士で何かトラブルが発生したときには、得てしてすぐに「戦争だ!」などとなったものですが、当たり前の話ですが、現代社会ではなにか気に入らないことがあったからと言って戦争を始めるわけにはいきません。
改めて考えてみると、外国と何らかのトラブルになったとしても、わが国は軍事力を使ってそれらのトラブルを解消することが難しい、という事情があります。なぜなら、わが国には戦争や軍事力の保持を禁じた「日本国憲法第9条」などの規定が存在するからです。
ただ、日本が外国とさまざまなトラブルに巻き込まれる、ということは、わりと頻繁に発生しています。
1945年8月15日正午に「日本がポツダム宣言を受け入れる」とする玉音放送が流されたあとに限定しても、
- 旧ソ連による千島への軍事侵攻(※占守島への軍事侵攻は8月18日)
- 韓国による竹島の不法占拠と日本人漁民の不当拘束
- 北朝鮮による日本人拉致事件
- 中国公船による尖閣諸島周辺海域侵犯の常態化
など、いくらでも事例があります。
また、外国の政府や組織などの不法行為によって、日本人の生命や財産が脅かされるのは、これだけではありません。たとえば、海外で日本人がテロ組織、犯罪組織などに誘拐され、身代金を奪われるようなケースもしばしば発生しています。
さらには近年、新たなタイプの脅威も発生しています。米国や欧州などでは、外国人のテロリストが大都市でさまざまなテロ行為を発生させ、多くの人々に危害を加えるという事例も発生していますし、日本でも四半世紀前に、オウム真理教による地下鉄へのサリン散布テロが行われています。
わが国の場合は戦後体制のなかで、日本の方から戦争を仕掛けるということは非常に難しいのが実情です(といっても、日本政府には、日本国民を日本領土内から拉致・連行した北朝鮮に対しては、軍事侵攻し、金正恩を殺害してでも日本人を取り返す義務があるとは思うのですが…)。
経済制裁とは戦争に代わる紛争解決手段?
このように考えていくと、相手国からなにか非合理なことを仕掛けられ、それを解決しようにも相手が話し合いに応じないのならば、無理やりにでもそれを解決する(解決しないならば相手に償いを支払わせる)必要があります。
さて、日本は不法行為を仕掛けられています。しかし、日本がその不法行為を戦争という手段で解決することは非常に難しいです。そうなった場合には、いったい何をしなければならないのか――。
はなしは非常に簡単で、「経済的手段によって相手を締め上げる必要がある」のです。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
これに関連し、今年、当ウェブサイトでは「ヒト・モノ・カネ」という観点から、経済制裁についてはずいぶんと議論して来ましたが、「経済制裁」とは、いったい何でしょうか。
あらためて概要を申し上げておけば、「ヒト・モノ・カネ・情報」の流れを制限することにより、相手国に対し経済的な打撃を与えることであり、理論的には、たとえば次の7つの類型が考えられます。
- ①自国から相手国へのヒトの流れの制限
- ②自国から相手国へのモノの流れの制限
- ③自国から相手国へのカネの流れの制限
- ④相手国から自国へのヒトの流れの制限
- ⑤相手国から自国へのモノの流れの制限
- ⑥相手国から自国へのカネの流れの制限
- ⑦情報の流れの制限
ただし、日本の場合、①については、「日本政府が日本国民に対し、相手国への渡航を制限・禁止する」、ということはできません(※外為法第48条第1項などに基づき、技術者が相手国で技術を提供することを制限することは可能ですが…)。
また、⑥については、とくに韓国の場合、もともと韓国から日本への投資(カネの流れ)は非常に少なく、これをわざわざ禁止するにしても、あまり効果はありません(効果が皆無というわけではありませんが、コストと効果のバランスが取れていません)。
さらに、⑦については、日本国内にスパイ防止法などがないため、情報の流れを完全に遮断することはできませんし、また、韓国のことが気にくわないからといって、インターネット回線を遮断してしまうということもできません。
必然的に、韓国に対する経済制裁として有効なものは、②、③、④、⑤に限られてくるのです。
それぞれの経済制裁について
さて、それぞれの経済制裁のパターンのうち、②、③、④については、当ウェブサイトではすでに議論しています。
- 経済制裁全般:『総論:経済制裁について考えてみる』
- ヒト(④):『「韓国に対する経済制裁」のうち、「ヒトの流れの制限」とは?』
- モノ(②):『外為法第48条の研究:韓国に対するモノの流れの制限とは?』
- カネ(③):『過去記事を訂正し、改めて外為法の金融制裁を解説します』
(※余談ですが、その過程で、条文を思いっきり読み間違えた事実誤認記事を公表してしまうという失態を犯しましたが(『外為法第16条の研究:韓国に対するカネの流れの制限とは?』参照)、本件については大変にご迷惑をおかけしたことを、改めておわび申し上げたいと思う次第です。)
ちなみに日本政府が外為法第48条第1項に基づく輸出管理適正化措置を発表したのは今年7月1日のことですが、当ウェブサイトでは少なくとも3月の時点で外為法第48条に基づく措置(いわゆるホワイト国等を含む)について議論していたのはここだけの話です。
また、⑤(韓国から日本へのモノの流れの制限)については「関税の引き上げ」「通関手続の厳格化」などが考えられるのですが、残念ながら韓国の輸出産業にとって、日本の輸出先としての重要性はそこまで大きくありません。
したがって、日本政府が韓国経済に打撃を与えるつもりで④をやろうとしても、効果はかなり限定される、とだけ申し上げておきたいと思います。
経済制裁の名目とは?
さて、経済制裁としては、大きく②、③、④があることがわかりますが、もうひとつ重要なのは、それを発動するときの「名目」です。
わかりやすいのは「韓国の不法行為に対して経済制裁を発動する」と宣言する「(1)積極的経済制裁」ですが、これについては『「伝家の宝刀」の欠陥 韓国に対する経済制裁を整理する』などでも整理したとおり、自由貿易のルールに抵触しないようにしなければならないなど、なにかと制限があります。
このように考えていくと、仮に日本が韓国に経済制裁を適用するならば、「なにか他の名目」があった方がやりやすいです。そこで出て来るのが、次の3つの類型です。
- (2)サイレント型経済制裁(なにか他の名目を見つけて来て、「経済制裁だ」と宣言することなく、実質的に経済制裁と同じ経済効果をもたらすこと)
- (3)協調型経済制裁(日本だけが悪者になることを防ぐために、米国など第三国と協調して韓国に対して経済制裁を発動すること)
- (4)消極的経済制裁(韓国が困っているときにわざと助けないことで、実質的に経済制裁を適用したのと同じ経済効果を達成すること)
ちなみに、当ウェブサイトではかなり早い時期から「(5)セルフ経済制裁」、つまり、「韓国の自業自得により、結果的に韓国が経済制裁を喰らったような状態に陥ること」という概念を提唱して来たのですが、面白いことに、最近、こうした「セルフ経済制裁」の事例は頻発しているようですね。
その典型例は『【速報】セルフ経済制裁?日本企業が韓国からの事業撤退発表』や『セルフ経済制裁?「韓国航空業界が輸出規制で危機に」』、『韓国訪問日本人の急減は「セルフ経済制裁」の可能性』ですが、具体的にはそれぞれのリンクをご参照ください。
輸出管理適正化措置の本当の意味
こうしたなか、日本政府がこれらの経済制裁を、①果たして発動するのかどうか、②発動するならばいつ、どのような名目で発動するのか、については、来年以降、当ウェブサイトが追いかけたいと思っている重要なテーマのひとつです。
ただ、韓国政府や韓国メディア、あるいは日本の一部メディア、一部の国民は、日本政府が今年7月に講じた措置を、(おそらくは自称元徴用工問題に対する)「経済報復」だの、「貿易報復」だのと呼んでいますが、これについてはどう考えるべきでしょうか。
結論的に申し上げれば、『自称元徴用工問題巡る、日韓両国の絶望的な認識の差』で詳述したとおり、そもそも輸出管理適正化措置自体、とうてい「経済制裁」や「報復」と呼べる代物ではないうえ、輸出管理適正化措置については、自称元徴用工問題とは、おそらくまったく無関係です。
ただ、それと同時に、日本政府が7月1日に輸出管理適正化措置を打ち出したところ、これに対して韓国政府がどういう反応を示したかについては、日本政府としては良い勉強になったのではないでしょうか。
というのも、南北揃って得意技とする「4つのインチキ外交」を使って、全力で揺さぶって来たからです。
韓国と北朝鮮の「4つのインチキ外交」
- ①あることないこと織り交ぜて相手国を揺さぶる「ウソツキ外交」
- ②国際社会に対してロビー活動をして、ウソを交えつつ「相手国の不当性」を強調する「告げ口外交」
- ③国際協定や国際条約の破棄、ミサイル発射などの不法行為をチラつかせる「瀬戸際外交」
- ④主要国間でバランスを取る「コウモリ外交」
その意味で、日本政府が7月1日に発表した措置は、経済制裁の予行演習として役だったのではないでしょうか(※日本政府がそれを意図していたかどうかは知りませんが…)。
やるなら(2)~(4)で
以上より、仮に日本政府が来年以降、韓国に対して何らかの経済制裁を適用するのだとしたら、その発動名目は、
- (2)サイレント型経済制裁
- (3)協調型経済制裁
- (4)消極的経済制裁
のいずれか(あるいはそれらのミックス)であるべきだと考えます。
いちばん極端なものは、「韓国は北朝鮮を支援する国である」という名目で、米国などと協調し、北朝鮮に対するヒト、モノ、カネの経済制裁を韓国にも拡大適用する、ということですが、これは同時に韓国の経済的焦土化を念頭に置いたものです。
もちろん、日米両国が現段階で韓国の「経済的焦土化」までに踏み切ると断言するつもりはありません。
しかし、冒頭に掲げた「韓国の日本に対する不法行為」と、文在寅政権が「反日」ではなく「反米」である、という考察を組み合わせるならば、やはり北朝鮮の「CVID」方式による非核化を達成するためには、いずれ韓国に対する経済制裁が選択肢に上がってくる可能性はあると思います。
※「CVID」は「完全な、検証可能な、かつ不可逆な方法での廃棄」(Complete, Verifiable and Irreversible Dismantlement)の略。
もちろん、来年は米大統領選であるため、米国がどこまで決断するかはわかりません。
しかし、それと同時に、トランプ氏ならば「東京オリンピック(7月24日~8月9日)・パラリンピック(8月25日~9月6日)」が終了した直後から大統領選(11月3日)までの短い期間で、北朝鮮攻撃を決断することもあり得なくはありません。
いずれにせよ、日韓問題とは、米韓問題、北朝鮮核問題、米中貿易戦争などの従属変数でもあるため、これらの動向については来年以降も目が離せない展開が続きそうです。
View Comments (40)
*私たちは、かわいそうだから施されなければならない。
*感謝は負い目を作る行為でしかないからしない。
↑今更なのですが、彼らの自意識過剰と勘違い気質は「どんな難癖をつけても解決してくれる」との厚い信頼〔甘え?〕のうえに基づくものであり、そのメンタル醸成の責任の一端は日本にもあると思うのです。
彼らの独り立ちを応援し、日韓関係の改善を真に望むのであれば、日本の責務としてゴネ得の連鎖は断ち切らなけばなりません。
*改善を望まなくても断ち切らなけばならないんですけどね・・。
*****
日々に、私の知的好奇心は満たされています。
これからも、変わらぬ矜恃での執筆をよろしくお願いします。
カズさま
*私たちは、かわいそうだから施されなければならない。
*感謝は負い目を作る行為でしかないからしない。
いずれも、「偉そうな乞食」の発想で、そういう民族だと思います。
> 彼らの独り立ちを応援し、日韓関係の改善を真に望むのであれば、日本の責務としてゴネ得の連鎖は断ち切らなけばなりません。
これはとても重要な視点です。彼らのごね得とは自分たちはこんなに愛されているという自己チューな誤解と言い換えることができます。ハッピー思考回路の本質です。このたびの輸出管理適正化により、日本産業日本経済べったり姿勢が、自国の存続を数年以内に危機に瀕しせしめる得ることをようやく認識し、自立を目指す施策を慌てて今更始めたとの報道。瑞穂國は非韓三原則すなわち、教えない・助けない・関わらないを墨守し、彼らの卒日姿勢を遠く離れて寡黙に眺め、そして真に友好的な善隣関係を唄うよき友邦とだけ交際すればよいのです。基幹3物資の輸出先はそのような友邦国にだけ限るとそのように国民全体が納得する日があるのなら、淡々と実施してみせようではありませんか。
会計士さま、一年ありがとうございました。
文大統領、「本質を議論すれば、さらに問題が難しくなる。」
安倍総理も、はっきり言って良かったとおもいます。
「日本人は、嘘が嫌いです。
レーダー照射の時、悪天候と政府発表がございました。
日本人との関係で、嘘を言う言わないという本質は、信頼、関係の上でとても大切です。
その嘘をつかないという本質を無視して信頼関係を続けるというのは、私は受け入れられないですし、国民のほとんども受け入れられないと感じています。」
少し前までは腹がたっていましたが、今は少しチャンスだとおもっています。
鈴置さんのおっしゃる、最悪軍事のゴタゴタが半島にあった場合、関係を薄めることは日本にとって大事なことだとおもいます。
この一年で関係が薄れたことは、前進だとおもいます。
韓国は、日本を巻き込みたくてしかたないと感じています。
民族同士の問題です。
アメリカも早く、手を引いたほうが良いとおもいます。
国際社会対半島問題で、日本は国際社会の中の一つの国として、対応してほしいです。
ホワイト国も、国際社会が認めれば、日本も認めるという立場で十分だとおもいます。
重箱の隅をつつくようなことを言って申し訳ありませんが、菅官房長官は「国際条約は行政・立法・裁判所含む司法といった国のあらゆる機関を拘束するのが大原則だ」と言っています。
これは、「条約法に関するウイーン条約第26条」の「効力を有するすべての条約は、当事国を拘束し、当事国は、これらの条約を誠実に履行しなければならない。」の規定を指しており、条約は締結国の行政府同士で合意した後、締結国の立法府の批准により効力を生じるもので、締結過程で司法府の判断を経る必要はないが、締結された条約は司法府をも拘束するという意味です。
その理由は、例えば、甲・乙二国が「甲が乙に対し、〇〇〇の補償として10億円を支払う。」という条約を締結し、その後、乙国の最高裁判所が「10億円は間違いで100億円が正しい。」と判決し、一方、甲国の最高裁判所が「10億円は間違いで1億円が正しい。」と判決し、甲・乙両国とも「三権分立を尊重し、司法府の判断に従う」と主張すれば、収拾がつかなくなるばかりか、世界各国は条約締結が不可能になるからです。
したがって、本文中の「国際法は司法府自身をも拘束する。」という表現は、「国際条約は司法府自身をも拘束する(というのが国際法である)。」というのが正しい表現だと思います。
本年後半から、毎日拝読させていただいております。
制裁の第一歩としては、
(4) 相手国から自国へのヒトの流れの制限
が適切かつ必要と考えます。
隣国の脆い経済構造と、自国を建て直そうとせず海外への逃避を目指す国民性から、
経済危機に伴い、日本への大量の難民流入が懸念されるからです。
経済制裁の名目としては、WTOで日本勝訴が確定したバルブ課税への報復が考えられます。
それ自体は大した影響がなくても、隣国が怒り狂って再びセルフ経済制裁に突き進む可能性が大きいでしょう。
最後に興味深い情報を。
12/30 の韓国紙<毎日経済>に、「デフレというのに…スーパーの物価は急上昇」という記事がありました。
あちこちで囁かれていたスタグフレーションが、隣国で始まっているのかもしれません。
具体例は思いつきませんが、これを後押しする方法があれば、効果的な制裁となるでしょうね。
①~⑨の項目を眺めていると、溜息が出てきます。
嘘を付くことに抵抗のない民族と日本人がうまく付き合えるわけがありません。
同じ価値観を共有していない半島民とは、距離を置くことが重要だと思います。
半島に入れ込んでいる企業の経営層は、これだけの情報が既に出回っているわけですから、近い将来に起きるであろう混乱は、自分たちで受け入れる覚悟をお持ちください。間違っても、日本政府に泣きついて助けてもらおうなどと考えてはいけません。日本国民は、マスゴミみたいには(あなた方に)甘くありませんよ。
トランプ大統領が、本来が平原の軍隊である米陸軍海兵隊に、人的損耗が大きな朝鮮半島での山岳戦を戦かわせますかね。補給線が大変な事になります。🐧
陸軍や海兵隊が侵攻して行って、拠点に一つづつ星条旗を立て言っても、それに対する補給線は全て道路もまともにないであろう山岳地帯であるので、非常な無理があります。🐧(師団単位の補給はヘリコプターでは出来ません)
占領統治しようにも、そこに居るのは朝鮮人、食い物や金で吊ってもハナから信用出来る手合ではないので、朝鮮半島を完全に占領しようとしたら、とんでも無い大作戦になってしまいます。🐧
そんな事をすれば、人民解放軍がお出ましになるでしょう。🐧
それよりも、特殊部隊による斬首(ミサイル誘導でも良い)もしくは誘拐作戦(かなり難しいと思います。何処か広い場所で金豚の警護だけを殲滅し、低空を低速で侵入して来るヘリコプターかオスプレイで金豚を拉致、映画でも無理)と、空爆や戦術ミサイルによる要所(ミサイル基地を含む軍事施設・行政機関・ダムや堤防などの日帝積弊)の破壊により、平壌の都市機能(電気・水道・物流)及び統治・軍事能力(指揮系統)の剥奪を行うのではないでしょうか。🐧
その様にすれば、後は勝手に殺し合い自滅するでしょう。🐧
その際に、韓国側が何か動いたら(文在寅一味が何か一言吐かせば)、わざわざ戦線を拡げなくとも、単に日干しにすれば良いのかと思います。🐧
その様になれば、在日も晴れて敵国民、各都道府県警・機動隊・自衛隊が総浚いに(悪質な大部分の抵抗が考えられるので、大変残念ながら見せしめの為射殺もやむを得ない)した後、熨斗を付けて半島に送り返せば(輸送機にペイロード一杯積込み半島上空で後部扉を開けて、戦闘機動すれば一番良いのかと思います。)良いと思います。🐧
妄想はここ迄で、文在寅政権が日韓基本条約を、これ以上の無視をすれば、条約は韓国側に破棄されたと見做す事も可能(私は既に韓国により破棄されたと考えてます)ではないでしょうか。🐧
日本は、国際社会にそれをアピールしながらなら、都合の良い時に会計士様の言われる制裁の他、日本の請求権も北朝鮮の分を含め(日韓併合以前の状態に原状回復する事が目的ですので、大人気ないエゲツない金額を請求・第一次世界大戦後のドイツが天国に見える位)行使出来るのではと考えます。🐧
ハゲ親父さま
在韓米軍は、地上戦への関与は、最低限にしたいと考えているでしょう。空爆と斬首作戦が楽しみですね。
更新ありがとうございます。
またPV数も順調に推移されてるようで、マニアックな人以外にも広く世人に認められるようになったものと確信しております。
本日の記事【 韓国に対する経済制裁を議論する】は、改めて議題にされると、はて?今まで何度したっけ、と思うのですが、むしろその場面、事案発生時にはコメントも自分も投稿し、皆様のコメントも沢山拝読しましたが、年末に改めて話をする機会は、ありそうで無く、貴重と思います。
日本が外国と何らかのトラブルになっても、「日本国憲法第9条」などの規定がある為、軍力に頼れない。
しかし、友邦とは名ばかりの敵性国韓国の他、金三代のゴロツキ国北朝鮮、世界制覇を描く中国、灰色熊で狡猾なロシア等、日本海側は「ディンジャラス ゾーン」です。今のところ、この極悪同盟以外は、日本に面と向かって楯突く国は、思いつきません。
日本が改憲すれば別ですが、現実はこれら北東アジア諸国に囲まれた、経済的には世界2位、3位の大国なのに、チンピラ国に挑発されるという情けなさです。
日本のストロングポイントは、国防に関しては質的に高い陸海空海兵部隊人員と、優秀な火器、探索力、つまり総合的な打撃力です。
一方、経済力も他国を圧倒する財政。武力を使えない(使い難い)現代においては、敵を経済的に締め上げるのが有効です。
さて、今現在日本のそばにウロついている煩わしい民族は韓国です。日本の正面敵は中国ですが、それは傍に置いといて、この半島の「腐れ外道」を衰退させるか、滅亡させねばなりません。
韓国がギャアギャア喚いている「輸出管理適正化措置」は、「経済制裁」や「報復」ではない。そこが全く無理解な為、「輸出管理適正化措置」を自称元徴用工判決と、すぐくっつけてしまう。それは一部日本のマスゴミも同じです。
本日以後、日本が韓国に「お仕置き」するなら、以下の制裁がやはり宜しいと思います。
(2)サイレント型経済制裁
(3)協調型経済制裁
(4)消極的経済制裁
(5) セルフ経済制裁
特に最近流行りの「セルフ」は、勝手に落ち込んでくれてるようで、このまま訪日客なり自動車なり、ビールなり、好きなものを辞めて頂ければ、自然と己に帰って来ます。
(3)は各国との足並み合わせに多少時間がかかる、それ以外は韓国を一発では倒せないが、ボディブローでダメージは絶大と思います。直ぐに出来る事として、是非ビザ免除プログラムの短縮または廃止、渡航安全情報に「不急の場合、行かない方が良い」と記入、在韓邦人の脱出勧告等、行っていただきたい。
それから金融制裁ですか。これをやったらイチコロだろうな、、。
今年一年、とても貴重な情報源の一つとして活用させていただきました。
来年も引き続きよろしくお願い致します。m(__)m
経済制裁のお題ですが、個人的には以前から変わらずソフトランディングを希望しています。もちろん、隣国の行為に対応する正当な報復まで反対するわけではなく、金融破綻のような膨らんだ風船が破裂するような状況は日本の売掛金全損のような被害を伴い、痛み分けになりかねない、という理由からです。
また、サプライチェーンの問題で代表的なのは、DRAMのシェア7割を現状握られているリスクが健在で、これがいきなり止まるような制裁は国際的非難を浴びて一気に日本が悪者になるため、これだけ見てもハードランディングは非常に困難です。
今の韓国は、例えるなら既に船底に穴の開いた船のようなもので、砲撃しなくても沈むとしか思えません。この状況で救助する気が無いのであれば、巻き込まれないように距離を開ける(優遇の完全撤廃、スパイ防止、国防の強化含む)べきです。経済界も縮小する市場には冷淡なので、あからさまな反日集団以外は文句を言わないはずです。
輸出管理の適正化処置により、制裁と言えないものを制裁と言わせて自滅させる方法についても理解できました。今後はこの方法を確立して、誘導していくのが上策と思います。
> 穴の開いた船のようなもので、砲撃しなくても沈むとしか思えません
仰せのとおりと同意いたします。ただ、悪者にされるやもと恐れる必要はありません。いいひとでありつづけたいなどと思う心こそ自らを苛む心の病につながりかねないのですから。よき刑事よき警察官のふりをする必要などないのです。優れた外交官という職業もこの世には存在しません。鍋根性に満ちた韓国面とはまるで一切の関わりを持たず、宗主国どの忠実な手下へ戻っていく国を2020年を通して冷たく冷静に見守っていこうではありませんか(棒)
はにわファクトリー 様
コメントありがとうございます。
どちらかと言えば、極めて冷淡かつ合理的に日本の国益だけを考えて韓国を扱う方法が「砲撃をしない」ことだと思うわけです。それで何があっても撃たない国だと思われるのもダメなので、まあ成り行き次第ですね。
>宗主国の忠実な手下
宗主国は民主主義と敵対心を破壊して完全服従を求め、フルボッコ状態になるだけなのに、何故戻りたいんでしょうね(虚空への問いかけ)。
> 何故戻りたいんでしょうね(虚空への問いかけ)
事実上の島国として「海洋勢力のよきメンバー」として世界経済体制の一翼を「責任感を持って」担うからこそこんにちの繁栄(と給料)がもたらされている現実をないがしろにし続ける不審行動不規則発言数々、当方も不思議でなりません。これはおそらく仮説に過ぎませんが、米中協議のもと半島が南北一体で再占領され、朝鮮新総督府が築造の運びとなり、初代総督としてハリス大使が全世界の承認をうけて就任することあるならば、それにはスジが通らず脆い自尊心が苛まれるから、と推察もいたします。
与太話です。
駐韓米国大使館周辺での「ハリス大使のひげ抜きパフォーマンス」の記事を見て思ったものです。
「米国がくしゃみをしたら日本が風邪をひく」って言葉がありましたよね。
韓国は日本の比ではないほどの依存体質なのに、こんな外交無礼を働いてただでは済まないはずなんですけどね。
不謹慎なのかもですが、「ハリスの風邪」の威力を見てみたい気もしています。
m(_ _)m
>したがって、日本政府が韓国経済に打撃を与えるつもりで④をやろうとしても、効果はかなり限定される、とだけ申し上げておきたいと思います。
というとこの、「④」は、「⑤」の誤記だとおもうのです♪
朝鮮半島の情勢が不安定になったときに大量の難民もどきが入ってくるのを懸念するのです♪
だから、韓国→日本への人の移動の制限だけでも、経済制裁とかじゃなくて、自国の安全保障とか社会防衛のために、やって欲しいのです♪
せっかくノージャパン運動で航空便が減ったことだし、その定着・更なる推進するのはもちろん、入国審査の厳格化くらいは、今からでもできそうだと思うのです♪