【速報】「韓国向け輸出管理を一部緩和」報道の意味』や『輸出管理の「部分緩和」を「譲歩」と勘違いする人たち』で「速報」的に報告しましたが、経産省は金曜日、レジストの韓国に対する輸出に、これまでの「個別許可」に加えて、「特定包括許可」という仕組みも使えるよう、通達を変更しました。ただ、これについて韓国政府、韓国メディアだけでなく、日本にも、今回の措置を「韓国に対する譲歩」だと勘違いしている人がいるようです。結論的にいえば、以前から一貫して報告してきたとおり、そもそも輸出管理適正化措置が日本政府による韓国に対する経済制裁ではない以上、今回の「緩和」とやらも、「対韓譲歩」ではあり得ません。

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「規制緩和」報道

経産省、金曜日に「特定包括許可」を導入

金曜日の『【速報】「韓国向け輸出管理を一部緩和」報道の意味』で触れたとおり、いくつかのメディアが「日本が韓国に対する輸出管理を部分的に緩和した」と報じています。

このうち、12月20日付けの日経新聞の報道によれば、

  • 経産省は20日付の通達でレジストを「特定包括許可」の対象とし、特定企業間であれば、最長3年間は1件ごとに許可を取る手間が省ける仕組みを使えるようにした
  • レジストの輸出許可実績が年6件に達した日韓両国企業間の継続的取引の場合、最長3年間は1件ごとに許可を得る必要がない包括許可を取れる
  • 輸出する日本企業にとっては事務手続の手間が省ける事実上の緩和措置となる

などとあります(といっても、記事本文中に使われている用語を見ると、経産省のウェブサイトに公表されているものとは多少異なっているようですが…)。

また、12月20日付けでロイターにも同じような記事が掲載されており、

  • 特定の日本企業から特定の韓国企業へ輸出されていたが、毎回、同じ内容の申請を繰り返し行う必要があった
  • 今回の見直しで、最大3年分を一括して許可申請することを可能にした

とあります。

以上、2つの記事を読む限りは、(若干怪しいものの)経産省が今年7月4日以降、個別許可制度に切り替えたレジストについて、個別許可以外に「特定包括許可」の対象にもした、と読めます。

韓国メディアはやっぱり「規制解除」と報道

一方で、以前から当ウェブサイトでは何度か触れて来ましたが、日本の対韓輸出管理適正化措置のことを、韓国政府や韓国メディア(さらには一部のわが国のメディア)は「輸出『規制』」だの、「貿易報復」だのと呼んできました。

具体的には、昨年10月30日の韓国・大法院(※最高裁に相当)が下した「強制徴用判決」(日韓請求権協定に反し、日本企業に対して自称元徴用工らへの損害賠償を命じた判決)に対する、日本政府なりの「経済報復」と受け取られているわけです。

そして、今回の経産省による措置も、その韓国では「規制の部分的な解除」と受け止められているらしく、その一例として、昨日は韓国メディア『中央日報』(日本語版)にも、次のような記事が掲載されていました。

韓日首脳会談を控え…日本、対韓国輸出規制を一部解除(2019.12.21 08:43付 中央日報日本語版より)

余談ですが、中央日報の記事は、次のとおり、冒頭から間違っています。

日本政府が7月に韓国に対する輸出規制を発表して以降、初めて規制を一部緩和する措置を取った。

といっても、輸出管理適正化措置のことを、中央日報は一貫して輸出「規制」と間違い続けているため、いまさら彼らが適切な用語を使っていないことについて、なにか「新たな発見」であるかのごとく指摘する必要はないのかもしれませんが…。

勝手なストーリーを作る韓国メディア

それはともかく、中央日報の記事でも、

日本の経産省は20日、韓国に輸出される半導体素材のフォトレジストに対する輸出審査承認方式を『個別許可』から『特定包括許可』の対象に変更すると明らかにした

という趣旨の内容が記載されています(※余談ですが、自然に考えて、「『個別許可』から『特定包括許可』の対象に変更する」のではなく、「『個別許可』に加えて『特定包括許可』の仕組みが使えるようにした」、という方が、表現としては正確ではないかと思いますが…)。

この発表がなされる直前、中央日報にはこんな記事も掲載されました。

青瓦台国家安保室第2次長「24日に韓日首脳会談…首脳が会えば進展あるもの」(2019.12.20 15:39付 中央日報日本語版より)

つまり、今月24日に中国・成都で開催が予定されている日韓首脳会談に先立って、日本政府側が、まずは輸出「規制」のうちの一部であるレジストに対する輸出規制を緩和することで、日韓関係改善に向けたメッセージを送った、というストーリーが、(韓国的には)成り立つのです。

もっとも、中央日報の次の記事によれば、当の韓国政府、韓国企業からは、この輸出「規制」の緩和は「不十分」「緩和措置があまりにも微少」との不満も出ている、としています。

日本、輸出規制7カ月ぶり一部緩和も、韓国政府・企業「不十分」(2019.12.21 10:18付 中央日報日本語版より)

端的に言えば、いずれも事実関係を無視した勝手な思い込みに基づく意見(あるいは願望)ばかりです。

事実に基づいた議論を!

韓国政府とやっていることは全く同じ

ただ、これに関しては韓国メディアをバカにすることはできません。

韓国側で「日本が規制を部分解除した」と大騒ぎしていることの裏返しでしょうか、さて、当ウェブサイトや他サイトの読者コメント欄でも、「日本政府が韓国に対する制裁を部分的に解除した!」「日本政府は何をやっているのか?」「アベちゃん(※)はやっぱりダメだな!」といったコメントが散見されます。

要するに、日本政府が韓国に対する規制を一部緩和したことで、韓国に対して誤ったメッセージを与えている、という不満ですね。しかし、法令や制度などの事実関係をよく調べないままに

対韓輸出『規制』を部分緩和した!許せない!

などと騒いでしまえば、事実関係を一切無視して、輸出管理適正化措置のことを「輸出『規制』」だの「貿易報復」だのと大騒ぎしている韓国政府・メディアと、やっていることの低レベルさでは、まったく同じです。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

結論から申し上げれば、当ウェブサイトとしては、そもそも7月1日に日本政府が発表した対韓輸出管理適正化措置・厳格化措置は、自称元徴用工問題とは全く無関係であると見ています。

単純に、「日韓間の信頼関係が著しく損なわれたこと」と、「韓国に関連する輸出管理をめぐり不適切な事案が発生した」ことから、厳格な制度の運用を行うことが必要だと日本政府が判断しただけの話です。

といっても、7月1日の報道発表文に含まれている「日韓間の信頼関係の毀損」という表現が、まるで自称元徴用工問題やレーダー照射事件などの一連の事件をさしているかのようにも見えるため、日本国内でも当初は「自称元徴用工問題などに対する意趣返し」との見方があったほどです。

さらに、保守、左派を問わず、「タイミングから見て、『強制徴用問題』(※自称元徴用工問題のこと)と関係していることは明らかだ」、などと決めつけている論者が、いまだに一定数存在しています。

そこで、あらためて事実関係をざっと振り返っておきたいと思います。

自称元徴用工問題の時系列

さて、当ウェブサイトが「輸出管理適正化措置と自称元徴用工問題が無関係だ」と判断する有力な根拠は、2つあります。

そのうちの1つは、「時系列」です。

改めて振り返っておくと、韓国で国際法違反の大法院判決が出たのは、昨年10月30日の新日鐵住金(現・日本製鉄)に対する1件の判決と、昨年11月29日の三菱重工に対する2件の判決、合計3件です。

日本政府はこれらの判決が出た直後から、韓国政府に対し、これらの判決が国際法違反であること、かかる国際法違反を韓国政府自身の責任において是正することが必要だとする警告を発し、また、3件の敗訴判決を受けた2社も、原告に対する損害賠償を行っていません。

もちろん、原告やその代理人である弁護士らは、繰り返し、これらの日本企業に対して判決に従うように要求していますし、また、両社に加え不二越の都合3社に対しては、在韓資産(日本製鉄と不二越は合弁会社株式、三菱重工は知的財産権)の差押えが実施されている、という状況にあります。

(※余談ですが、あくまでも一般論に基づけば、合弁会社株式の差押・換金は法技術的に極めて困難ですが(『時間もカネもかかる 非上場株式の競売が困難である理由』参照)、なぜかこの点について正面から指摘したメディア記事がほとんど見当たらないのは、謎というほかありません。)

時間もカネもかかる 非上場株式の競売が困難である理由

日本政府の4つの動き

ここで注目に値するのが、日本政府の「4つの動き」です。

具体的には、日本政府は今年1月に、「日韓請求権協定第3条」に従い、紛争解決に動きました。

「河野太郎、キレる!」新たな河野談話と日韓関係

この①~④には、きちんとした意味があります。

前提として、日韓請求権協定第3条読んでおきましょう。

日韓請求権協定 第3条

1 この協定の解釈及び実施に関する両締約国間の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとする。

2 1の規定により解決することができなかつた紛争は、いずれか一方の締約国の政府が他方の締約国の政府から紛争の仲裁を要請する公文を受領した日から三十日の期間内に各締約国政府が任命する各一人の仲裁委員と、こうして選定された二人の仲裁委員が当該期間の後の三十日の期間内に合意する第三の仲裁委員又は当該期間内にその二人の仲裁委員が合意する第三国の政府が指名する第三の仲裁委員との三人の仲裁委員からなる仲裁委員会に決定のため付託するものとする。ただし、第三の仲裁委員は、両締約国のうちいずれかの国民であつてはならない。

3 いずれか一方の締約国の政府が当該期間内に仲裁委員を任命しなかつたとき、又は第三の仲裁委員若しくは第三国について当該期間内に合意されなかつたときは、仲裁委員会は、両締約国政府のそれぞれが三十日の期間内に選定する国の政府が指名する各一人の仲裁委員とそれらの政府が協議により決定する第三国の政府が指名する第三の仲裁委員をもつて構成されるものとする。

4 両締約国政府は、この条の規定に基づく仲裁委員会の決定に服するものとする。

わかりやすくいえば、

  • ①何かトラブルが発生したら、まずは外交上で解決するように努力してくださいね。
  • ②外交で解決できないのなら、「仲裁委員会」を作って解決してくださいね。この「仲裁委員会」は日韓から1人ずつ、第三国から1人、合計3人で作って下さいね。片方の政府が「仲裁に付託するよ」と宣言したら、両国の仲裁委員は30日以内に選んでくださいね。
  • ③どっちかの国が30日以内に委員を選ばなかった場合は、さらに30日以内にそれぞれ第三国を指名して、もう第三国だけでやってもらいましょう。
  • ④いずれにしても、出た結論には従ってね。

というわけです。

日本政府が1月9日に申し入れたのは①、つまり「まずは外交で平和的、友好的に話し合いましょう」という手続です。

日本政府はこの申し入れをしてから、辛抱強く、じつに4ヵ月も韓国政府の反応を待ったのですが、結局、5月15日に韓国の李洛淵(り・らくえん)首相(※年内に辞任予定)が「韓国政府の対応には限界がある」と無責任なことを言って匙を投げてしまいました。

そこで、日本政府はこの手続の流れに従い、5月20日以降、韓国政府に対し、②、③を順番に突き付けて行ったのです。

輸出管理適正化措置発表は7月1日

つまり、自称元徴用工問題を巡り、日本政府は日韓請求権協定に従い、

「1月9日」→「5月20日」→「6月19日」→「7月18日」

と、4つの節目を粛々とこなして行った、というのが重要なポイントでしょう。

そして、安倍政権内でこれを担当している人物は、河野太郎外務大臣(※当時)でした。

この河野前外相の動きを見ていると、韓国政府に対しては十分な(時として「十分すぎるくらいな」)時間的猶予を与えながら、明らかに「国際法を踏み外さないように」、一歩ずつ必要な手続をこなしている、というものです。

ところが、輸出管理適正化措置が発表されたのは、三段階目(③第三国仲裁手続付託)の手続期間の真っ最中である、7月1日です。河野氏が、自身が管轄する日韓請求権協定第3条の手続が進行中なのに、これに関連した「経済報復」の手続を取るとは、あまりにも不自然です。

こうしたなか、論者らの頭脳からすっぽり抜けているのは、輸出管理適正化措置に絡む条文(外為法第48条第1項)を管轄しているのは、外務省ではなく経産省であり、河野(前)外相ではなく世耕弘成経産相(※当時)である、という事実です。

ちなみに、本件についても「安倍晋三総理大臣が裏で糸を引いていたに違いない」と言う人がいるのですが、このような人は日本の行政機構を根本から勘違いしています。というのも、日本の行政権は「内閣総理大臣」ではなく「内閣」に属するからです(日本国憲法第65条)。

もちろん、河野氏、世耕氏の両名が意見交換している可能性や、安倍総理が両名に要所要所で何らかの指示を下している可能性はありますが、基本的には日韓請求権協定に基づく要求をしているのは外相(当時は河野氏)であり、輸出管理を決断しているのは経産相(当時は世耕氏)です。

そもそも自称元徴用工問題と輸出管理適正化措置をつなげる発想に、かなりの無理があるといえます。

経済制裁ではありません

経済報復にしてはあまりにも弱すぎる!

一方、「輸出管理適正化措置と自称元徴用工問題が無関係だ」と判断する、2つめの根拠は、今回の輸出管理適正化措置が「経済報復」、あるいは「経済制裁」だと仮定すると、あまりにも弱すぎる、という点にあります。

一般に、「ヒト、モノ、カネ、情報」という観点からは、経済制裁にはざっくり7つのパターンがあります。

経済制裁・7つのパターン
  • ①相手国へのヒトの流れの制限
  • ②相手国へのモノの流れの制限
  • ③相手国へのカネの流れの制限
  • ④相手国からのヒトの流れの制限
  • ⑤相手国からのモノの流れの制限
  • ⑥相手国からのカネの流れの制限
  • ⑦情報の流れの制限

ただし、日本の場合は法制度が十分でないため、たとえば、「①日本国民に対し、韓国へ『渡航するな』と命じること」、「⑦日本から韓国に対する情報の流れの制限(インターネット回線の切断など)」は、経済制裁として実施することができません。

また、韓国から日本への直接投資残高はほとんど存在しないため、「⑥韓国から日本に対する直接投資や融資取引を禁止」することは法的には可能ですが、かりにやったとしても、経済制裁としてはほとんど効果がありません。

必然的に、もしやるならば②~⑤に限られるのですが、経産省の措置は、わかりやすくいえば類型②(日本から韓国に対するモノの流れの制限)です。

しかし、せっかく外為法第48条第1項や輸出貿易管理令の規定が存在しているにも関わらず、「(旧)ホワイト国からの除外」、「(たった)3品目に対する個別許可制度」とは、仮に経済制裁なのだとしたら、やっていることがあまりにもチマチマし過ぎています。

金額的インパクトで見るならば、2018年の実績ベースで見て、「元素及び化合物」の対韓輸出高は4295億円であり、日本の対韓輸出高全体(5兆7925億6247万円)のわずか7.41%に過ぎません。

だいいち、個別許可制度にしても「禁輸措置」ではありませんし、個別許可の対象とされた3品目についても、財務省の貿易統計等によれば、実際に韓国に対して輸出されていることが確認されています(経産省HP『8月の大韓民国向けフッ化水素輸出量について』等参照)。

(旧)ホワイト国の位置付け

ちなみに、日本政府が講じた措置のひとつが、韓国を輸出管理上の「(旧)ホワイト国」から除外するというものです。これもよく勘違いされるのですが、べつに日本が韓国を「ブラック国(?)」に指定した、という意味ではありません。

ちなみに「ホワイト国」という呼称自体は8月に「グループA」に改められ、あわせて「グループB」~「グループD」という概念が整備されましたが(図表1)、韓国は「グループA」から除かれたに過ぎず、引き続き、「グループB」という優遇対象国に含められています。

図表1 4つの輸出管理カテゴリー
グループ概要具体的な内容
グループA4つの国際的な輸出管理レジームに参加している日本以外の29ヵ国のうち、26ヵ国4つのグループで唯一キャッチオール規制が適用されないほか、一般包括許可の対象
グループB4つの国際的な輸出管理レジームのいずれかに参加している国一般包括許可が適用されず、特別一般包括許可、個別許可などが適用される
グループCA、B、Dのいずれにも該当しない国グループBと比べ、特別一般包括許可の対象品目が少ない
グループD懸念国11ヵ国(イラン、北朝鮮など)原則として、個別許可しか適用されない

(【出所】輸出貿易管理令および経産省『リスト規制とキャッチオール規制の概要』などを参考に著者作成)

ここで、「4つの国際輸出管理レジーム」とは、次の4つです(図表2)。

図表2 4つの国際輸出管理レジーム
レジーム名称規制対象品目発足と参加国数
原子力供給国グループ(NSG)①原子力専用品・技術、②原子力関連汎用品・技術1978年発足、48ヵ国が参加
オーストラリア・グループ(AG)①化学兵器(化学剤、化学兵器汎用製造設備)、②生物兵器(生物剤、生物兵器汎用製造設備)1985年発足、42ヵ国+EUが参加
ミサイル技術管理レジーム(MTCR)①大型のミサイル・無人航空機、②小型のミサイル・無人航空機、関連機材・技術1987年発足、35ヵ国が参加
ワッセナーアレンジメント(WA)①武器、②汎用品(先端材料、材料加工、エレクトロニクス、コンピュータ、通信関連 等)1996年発足、42ヵ国が参加

(【出所】経産省『リスト規制とキャッチオール規制の概要』を参考に著者作成)

このすべてに参加している国は、日本を含めて30ヵ国あります(※いずれも日本は発足年から参加)。

このうち日本を除く29ヵ国のうち、従来はトルコとウクライナを除く27ヵ国が「(旧)ホワイト国」に含められていましたが、今回は韓国が除外されたため、現在の「グループA(旧ホワイト国)」は26ヵ国というわけです。

非ホワイト国でも、輸出の包括許可が出なくなるわけでもない

ただ、韓国は「(旧)ホワイト国」から除外されただけの話であり、引き続き、グループBという優遇を受けています。そして、経産省によれば、「包括許可」にはいくつかの種類があるのですが、韓国に対する輸出管理を考えるうえで重要なものを経産省のウェブサイトから3つ拾っておくと、次のとおりです(図表3)。

図表3 包括許可のうち主なもの
種類概要備考
一般包括許可貨物・技術の機微度が比較的低い品目などの条件を満たした場合に、(旧)ホワイト国に限って包括許可を出す制度(有効期限は最大3年)一般包括許可は(旧)ホワイト国(具体的には輸出貿易管理令別表3に列挙されている26ヵ国)にしか出されない
特別一般包括許可貨物・技術の機微度が比較的低い品目などの条件を満たした場合に、(旧)ホワイト国だけでなく、一定条件を満たす国に対しても、包括許可を出す制度(有効期限は最大3年)特別一般包括許可は非ホワイト国も対象となっているが(懸念国は除く)、取得条件が一般包括許可と比べて厳しく、担当官の実地調査が求められることもある
特定包括許可継続的な取引関係を行っている同一の相手方に対する輸出を包括的に許可する制度(有効期限は最大3年)非ホワイト国であっても特定包括許可の対象となる品目がある

(【出所】経産省『包括許可』、『仕向地マトリックス』、『包括許可取扱要領』等を参照に著者作成)

緩和も厳格化もあり得るのは当たり前

7月1日に日本政府が発表した措置に伴い、韓国に対する輸出許可から「包括許可」が削除されたのは、結局、フッ化水素酸、フッ化ポリイミド、レジストの3品目(とこれらに関する技術の移転等)に限られています。

輸出管理の課題、韓国の誤解、首脳会談への過大な期待』や『「物資横流し疑惑」が事実なら、対韓経済制裁も視野?』などで報告してきたとおり、経産省の措置は自然に考えて、あくまでも単なる輸出管理上の措置に過ぎません。

当然、韓国の輸出管理状況や日本企業による輸出実績などに応じ、もし「より一層の厳格化が必要だ」と日本政府が判断すれば、個別許可の対象品目は拡大されるでしょうし、逆に「緩和しても構わない」と日本政府が判断すれば、レジスト以外の2品目にも包括許可が適用されるかもしれません。

いずれにせよ、日本政府による対韓輸出管理適正化措置が、韓国国内では「貿易報復」と広く勘違いされていることは事実ですが、実態は貿易報復でも輸出規制でも何でもなく、単なる輸出管理上の運用の変更に過ぎません。

「韓国に対する報復であってほしい」と願う人が多い気持ちもわからなくはないのですが、「韓国憎し」のあまり、事実関係を無視して「7月の日本政府の措置は韓国に対する制裁だ」と決めつけ、金曜日の措置を「制裁の部分的な解除だ」と勝手に勘違いするのは、いかがなものかと思います。

シミュレーション

ただし、当ウェブサイトとしては、以上までの「事実関係に基づく推論」以外にも、もうひとつの可能性を邪推しています。

それは、7月1日に日本政府が発表した措置は、来たる将来に日本政府が韓国に対する経済制裁を適用した場合の「シミュレーション」としては、非常に興味深いものである、という仮説です(日本政府がそれを意図したのかどうかはわかりませんが…)。

ところで、以前から報告しているとおり、韓国と北朝鮮の外交にひとつの共通点がひとつあるとしたら、それは「インチキ外交」だと思います。

南北朝鮮の「4つのインチキ外交」
  • ①あることないこと織り交ぜて相手国を揺さぶる「ウソツキ外交」
  • ②国際社会に対してロビー活動をして、ウソを交えつつ「相手国の不当性」を強調する「告げ口外交」
  • ③国際協定や国際条約の破棄、ミサイル発射などの不法行為をチラつかせる「瀬戸際外交」
  • ④主要国間でバランスを取る「コウモリ外交」

韓国の場合、昨年12月に発生したレーダー照射事件では、このうちの①と②を駆使しましたし、今回の輸出管理適正化措置に対しては①②に加え、『秘密軍事情報の保護に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定』(俗に日韓GSOMIA)破棄などの瀬戸際外交を仕掛けて来ました。

一方で、北朝鮮は米国に対し、核交渉を巡って「ICBMというクリスマスプレゼント」という瀬戸際外交を仕掛けて来ていますが(『「中国が北朝鮮制裁解除を提案」、とんでもない話だ』参照)、これなども朝鮮半島国家でインチキ外交が駆使されているという証拠でしょう。

なにより、南北朝鮮はこれらのインチキ外交を駆使することで、自分たちの実力以上のことをやっています。

仮に日本が韓国に対し、本格的な経済制裁を発動することがあった場合には、「GSOMIA騒動」以上のさまざまなインチキ外交を打ち出して来るに違いありません。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

もっとも、しょせんは「インチキ外交」です。

初めてこうした「インチキ外交」を喰らうと戸惑いますが、結局、詐欺師の手口はワンパターンであるのと同じであり、パターン学習してしまえば、過度に恐れる必要はありません。

そして、今回のGSOMIA騒動などを通じて、彼らが手の内のかなりの部分を日本に晒してしまったことは間違いないでしょう。

その意味では、北朝鮮に対して日本人拉致問題の解決と核・大量破壊兵器の完全な廃棄を強制するためには、日本政府としては、7月1日以降の韓国政府のやりくちをじっくりと研究するのが近道のひとつであるように思えてならないのです。

※本文は以上です。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました!

当ウェブサイトからのお知らせです。昨年、当ウェブサイトに掲載した『数字で読む日本経済』シリーズを書籍化しました。株式会社ビジネス社より『数字でみる「強い」日本経済 』が刊行されました。詳細につきましては『【宣伝】いよいよ『数字でみる「強い」日本経済』発売』などもご参照ください。また、もし当ウェブサイトを通じてすでに本書をアマゾンなどでご注文いただいたという方がいらっしゃれば、ぜひ、レビューを執筆して下さると助かります(高評価をつけていただく必要はありませんが、忌憚のない意見、ご感想などを寄せて下さる方がありがたいです)。


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  • 2020/08/02 13:00 【時事|韓国崩壊
    日韓GSOMIA破棄と撤回は新たな風物詩になるのか (31コメント)
  • 2020/08/02 10:00 【時事|外交
    トランプ「10月サプライズ」は北朝鮮攻撃? (26コメント)
  • 2020/08/02 05:00 【韓国崩壊
    8月4日が到来しても、恐らく「現金化」は実現しない (62コメント)
  • 2020/08/01 12:00 【読者のページ
    読者雑談専用記事通常版 2020/08/01(土) (104コメント)
  • 2020/08/01 09:00 【マスメディア論
    ウェブ評論家が新聞・雑誌に進出する時代が到来した (19コメント)
  • 2020/08/01 05:00 【韓国崩壊
    経産相発言から読む:韓国のWTO提訴は悪手中の悪手 (35コメント)
  • 2020/07/31 16:45 【マスメディア論|時事
    公共放送論とNHKが公共放送騙れるかどうかは別問題 (28コメント)
  • 2020/07/31 10:00 【時事|韓国崩壊
    日本の国民感情を積極的に傷つけることで墓穴掘る韓国 (89コメント)
  • 2020/07/31 05:00 【数字で読む日本経済
    「国の借金・財政破綻」論は天動説と同じトンデモ論だ (39コメント)
  • 2020/07/30 12:30 【時事|韓国崩壊
    韓国のWTO提訴は成績不良な学生の裁判のようなもの (38コメント)
  • 2020/07/30 10:10 【時事|金融
    米FRBが9中銀との為替スワップを来年3月まで延長 (11コメント)
  • 2020/07/30 06:00 【時事|韓国崩壊
    裏目に出るか?WTOがパネル設置=対韓輸出「規制」 (42コメント)
  • 2020/07/30 05:00 【数字で読む日本経済
    3要件で見る、「日本国債は絶対にデフォルトしない」 (39コメント)
  • 2020/07/29 22:22 【雑感オピニオン
    ビジネス社様、正論編集部様、ありがとうございました (3コメント)
  • 2020/07/29 13:45 【時事|韓国崩壊
    日本の対韓輸出「規制」、本日にもWTOパネル設置か (26コメント)
  • 2020/07/29 12:00 【読者のページ
    読者雑談専用記事通常版 2020/07/29(水) (152コメント)
  • 2020/07/29 10:45 【時事|経済全般
    消費税減税こそ、衆院選の争点として相応しい (59コメント)
  • 2020/07/29 05:00 【韓国崩壊
    鈴置論考が示唆する「日韓関係破綻」の在り方 (51コメント)
  • 2020/07/28 14:14 【時事|韓国崩壊
    安倍総理謝罪像巡り官房長官「日韓関係に決定的影響」 (82コメント)
  • 2020/07/28 10:30 【時事|国内政治
    旧民主党系の政治家に政権担当能力なし=アエラドット (33コメント)
  • 2020/07/28 05:00 【韓国崩壊
    Q&Aで読む、「韓日は対話で破局を避けよ」の間違い (36コメント)
  • 2020/07/27 17:00 【時事|外交
    「我々はG11やG12を必要としていない」=独外相 (24コメント)
  • 2020/07/27 12:00 【読者のページ
    読者雑談専用記事通常版 2020/07/27(月) (96コメント)
  • 2020/07/27 11:30 【時事|韓国崩壊
    中央日報「日本が対韓金融制裁カードを検討」 (26コメント)
  • 2020/07/27 07:00 【韓国崩壊|国内政治
    政党名大喜利~韓国編~ (29コメント)
  • 2020/07/27 05:00 【マスメディア論
    イメージダウンするのは被告企業ではなく新聞社では? (18コメント)
  • 2020/07/26 05:00 【韓国崩壊
    韓国に対する経済制裁?共同通信の「ビザ厳格化」報道 (71コメント)
  • 2020/07/25 22:00 【時事|韓国崩壊
    【速報】「政府が韓国のビザ厳格化を検討」=共同通信 (11コメント)
  • 2020/07/25 12:00 【読者のページ
    読者雑談専用記事通常版 2020/07/25(土) (103コメント)
  • 2020/07/25 09:00 【時事|韓国崩壊
    三菱重工で新たな訴訟…感情に訴えるのは理がない証拠 (55コメント)
  • 2020/07/25 05:00 【外交
    食い逃げ、ウソツキ…中国もしょせんインチキ外交の国 (81コメント)
  • 2020/07/24 05:00 【マスメディア論
    「大物司会者のテレビ降板」はCM激減と関係あるのか (30コメント)
  • 2020/07/23 12:00 【時事|金融
    韓国シンクタンク「通貨スワップ資金を証券会社にも」 (20コメント)
  • 2020/07/23 05:00 【読者投稿
    【読者投稿】あまりに不自然な東京都のPCR検査結果 (84コメント)
  • 2020/07/23 00:00 【雑感オピニオン
    コロナ関連読者投稿一覧 2020/07/23版 (2コメント)
  • 2020/07/22 15:00 【時事|韓国崩壊
    改めて思い出したい「韓国のベネズエラ化」という議論 (42コメント)
  • 2020/07/22 12:00 【読者のページ
    読者雑談専用記事通常版 2020/07/22(水) (95コメント)
  • 2020/07/22 11:30 【時事|国内政治
    「政策は後回し、さっさと合流を」=立憲民主・福山氏 (12コメント)
  • 2020/07/22 07:00 【時事|金融
    デタラメ判決出す国が金融センター?冗談もほどほどに (20コメント)
  • 2020/07/22 05:00 【雑感オピニオン
    早いもので、ウェブ評論を始めて10年が経過しました (41コメント)
  • 2020/07/21 16:30 【時事|韓国崩壊
    日本企業撤退と日韓関係崩壊は韓国経済崩壊への道 (40コメント)
  • 2020/07/21 10:30 【時事|国内政治
    買い物10%アップ署名運動で商店街は再生するのか? (30コメント)
  • 2020/07/21 07:00 【時事|外交
    全方位にケンカを売る中国の外交 (48コメント)
  • 2020/07/21 05:00 【韓国崩壊
    イラン外務省が韓国に対して「約束を守れ」と要求 (29コメント)
  • 2020/07/20 17:30 【時事|韓国崩壊
    敵基地攻撃議論を「爪を見せ始めた」と批判=中央日報 (30コメント)
  • 2020/07/20 12:00 【読者のページ
    読者雑談専用記事通常版 2020/07/20(月) (80コメント)
  • 2020/07/20 11:30 【時事|外交
    製造業の脱中国が加速しても日韓関係は深まらないのか (25コメント)
  • 2020/07/20 07:00 【マスメディア論|時事
    亡くなった方の実家に押し掛けるから「マスゴミ」 (20コメント)
  • 2020/07/20 05:00 【金融
    非上場株式の売却、「法治国家では」とても難しい (28コメント)
  • 2020/07/19 12:00 【マスメディア論|時事
    毒水流すインフラ屋、法で裁けずとも社会的制裁は可能 (32コメント)
  • 2020/07/19 05:00 【外交
    入国拒否:日本育ちでも「帰化していなければ外国人」 (48コメント)
  • 2020/07/18 12:00 【読者のページ
    読者雑談専用記事通常版 2020/07/18(土) (95コメント)
  • 2020/07/18 08:00 【日韓スワップ|韓国崩壊
    韓国が人民元経済圏に入れば日韓通貨スワップは不要に (21コメント)
  • 2020/07/18 05:00 【RMB|日韓スワップ|金融
    「発売記念」あらためてスワップについてまとめてみる (7コメント)
  • 2020/07/17 17:00 【日韓スワップ|時事|韓国崩壊
    細かいミス目立つデイリー新潮「韓国とスワップ」論考 (8コメント)
  • 2020/07/17 11:00 【時事|韓国崩壊
    WTO事務局長選で韓国人候補が日本の支持確保に自信 (46コメント)
  • 2020/07/17 07:00 【政治
    韓経「日本の輸出規制で今月末にWTOパネル設置へ」 (26コメント)
  • 2020/07/17 05:00 【時事|国内政治
    「速やかに回答せよ」立憲民主党の高圧的で無礼な提案 (43コメント)
  • 2020/07/16 11:30 【時事|外交
    出版しただけなのにキャンキャン吠える中朝韓 (30コメント)
  • 2020/07/16 11:00 【マスメディア論|時事
    もりかけ問題で倒れるのは、安倍政権でなく新聞業界か (12コメント)
  • 2020/07/16 07:00 【時事|国内政治
    民主党復活?立憲民主党が「両党解散・新党結成」提案 (24コメント)
  • 2020/07/16 05:00 【韓国崩壊
    韓国メディア「日韓の戦略的利害はもはや一致しない」 (38コメント)
  • 2020/07/15 17:00 【読者投稿
    【緊急速報】読者投稿特別編 ネコの動画を観るネコ (23コメント)
  • 2020/07/15 15:15 【時事|韓国崩壊
    【二股外交】中央日報「懸案ごとに米中を選択すべし」 (24コメント)
  • 2020/07/15 12:00 【読者のページ
    読者雑談専用記事通常版 2020/07/15(水) (127コメント)
  • 2020/07/15 11:11 【RMB|時事|金融
    香港ドルペッグ問題と「人民元の国際化」という空論 (11コメント)
  • 2020/07/15 07:00 【マスメディア論
    新聞と新聞紙は別物:「インクなし新聞紙」の衝撃 (30コメント)
  • 2020/07/15 05:00 【数字で読む日本経済
    【宣伝】いよいよ『数字でみる「強い」日本経済』発売 (14コメント)
  • 2020/07/14 15:30 【時事|外交
    防衛白書、「韓国との防衛協力と連携」をバッサリ削除 (41コメント)
  • 2020/07/14 11:00 【時事|韓国崩壊
    「徴用工は韓国政府が補償すべき」の真意をどう読むか (58コメント)
  • 2020/07/14 08:00 【マスメディア論
    朝日新聞ですらメディア部門が営業赤字に転落する時代 (20コメント)

  • 著者のコンタクト先:info@shinjukuacc.com

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