「中国が北朝鮮制裁解除を提案」、とんでもない話だ

本稿では、昨日の『瀬戸際外交を無視されて困るのは、むしろ北朝鮮の側だ』の「続報」をいくつかお伝えしたいと思います。ひとつは、ロシアが北朝鮮出身労働者を続々と追放しているという公的なデータ、もうひとつは、中国がロシアと合同で国連安保理に対し、「▼朝鮮半島の非核化、▼米朝対話継続と6ヵ国協議の復活、▼対北朝鮮制裁の部分解除」という3つの内容を含む決議案を提出したとする話題です。北朝鮮が経済的に非常に困った状況に追い込まれていることは間違いなさそうですが、それと同時に、ここに来て中国が露骨に北朝鮮の非核化を妨害し始めたのは、じつに嫌な兆候です。

瀬戸際外交というインチキ外交

当ウェブサイトでは先日より、米朝の軍事的な緊張が2017年12月以来、再び高まっているという話題を紹介しています(たとえば、昨日の『瀬戸際外交を無視されて困るのは、むしろ北朝鮮の側だ』など)。

瀬戸際外交を無視されて困るのは、むしろ北朝鮮の側だ

ただ、あくまでも当ウェブサイトとしての見解ですが、北朝鮮が米国を本気で怒らせて、軍事的衝突に至る(というよりも米国による一方的な攻撃がなされる)というのは、可能性としては非常に考え辛いと思います。というのも、瀬戸際外交というものは、本当にギリギリのところで退くことで成立する外交だからです。

朝鮮半島国家による瀬戸際外交の典型例といえば、今年、韓国が『秘密軍事情報の保護に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定』(俗に日韓GSOMIA)を破棄すると通告してきた事例があります。

これは、日本政府が7月1日に韓国に対する輸出管理を厳格化する措置を打ち出したことを、韓国政府が勝手に自称元徴用工問題に対する報復と勘違いし(※)、そのさらに「報復」として打ち出した措置とみられます(※ただし、少なくとも多くの韓国メディアは、いまだにこの勘違いをしているようですが…)。

ただ、日本政府は「破棄したければ破棄すれば?」というスタンスで一貫しており(『GSOMIA破棄「残念」で終わらす日本に韓国逆ギレ』等参照)、待てど暮らせど、日本政府が輸出「規制」を撤廃する気配を見せません。

GSOMIA破棄「残念」で終わらす日本に韓国逆ギレ

それどころか、韓国政府が日韓GSOMIAを破棄すると宣言するやいなや、韓国政府の予想に反し、米国が韓国に対して激怒して来たのです(『もう日本は関係ありません、今後は米韓間で直接どうぞ』参照)。

もう日本は関係ありません、今後は米韓間で直接どうぞ

結局、韓国政府は日韓GSOMIAが効力を終了する6時間前の11月22日になって、土壇場で日韓GSOMIAの破棄決定の撤回に追い込まれましたが、これなどはまさに「瀬戸際外交」の本領発揮、といったところでしょう。

「譲れぬ一線」を示すことは、良いことなのか

こうした韓国政府による「GSOMIA騒動」を眺めていて気付いたのですが、結局、北朝鮮が5月以降に短距離弾道ミサイルの発射などを繰り返しているのも、朝鮮半島国家による典型的な瀬戸際外交ではないでしょうか。

彼らの傾向としては、相手の注目を集めるために、わざと危ないことをやる、という共通点があります。たとえば、自称元徴用工判決問題などで、差し押さえている日本企業の資産を「売却するぞ、売却するぞ、今度こそ本当に売却するぞ~!」と叫ぶのも、一種の瀬戸際外交のようなものでしょう。

たとえば自称元徴用工問題を巡っては、日本政府側としては「譲れぬ一線」として、「日本企業に不当な不利益が生じたら対抗措置を取る」ことを匂わせており、おそらく、韓国側で本当に資産の現金化がなされてしまう可能性は高くないと思います。

今回、米国は北朝鮮に対し、「譲れぬ一線」として、米国本土にも届くような長距離ミサイルを開発した場合には、その脅威を除去するために、軍事的オプションの行使も辞さないと述べています(※この点は2年前から同じです)。

ただ、個人的には、韓国や北朝鮮に対して「譲れぬ一線」を示すことが正しいのかどうかはよくわかりません。なぜなら、それを示してしまうことで、却って彼らはその「譲れぬ一線」の手前で大騒ぎして相手国を揺さぶる、という行動に出る可能性があるからです。

「譲れぬ一線」を設定することは構わないのですが、それは自分のなかに留めておいて、相手に対しては明示せずに曖昧なままにしておくという考え方もあると思います。

たとえば、自称元徴用工問題を巡っても、日本政府は「彼らがどこまでやれば経済制裁に踏み切るか」という「手の内」を明らかにせず、実際に彼らがその一線を踏み越えた時点で、おもむろに経済制裁に踏み切るのが正解ではないかと思えてなりません。

同じことは、米国についてもいえます。現時点で北朝鮮は短距離弾道ミサイルなどを発射しまくっていますが、実は、ミサイル自体が国連安保理制裁決議違反でもありますので、ただちに北朝鮮攻撃に踏み切ったとしても、理屈はいかようにも付けられると思います。

北朝鮮が焦りを感じる理由

さて、昨日の『瀬戸際外交を無視されて困るのは、むしろ北朝鮮の側だ』でも少しだけ触れたのですが、現在、北朝鮮出身の労働者が、順調にロシアから追放されているようです。

「マネロンに関する作業部会」(FATF-GAFI、本部:パリ)は今年12月、ロシアに関するマネロン取締の実施状況レポートを公表しています。

Russian Federation Mutual Evaluation Report(※PDF、大容量注意)

リンク先レポートP21には、次のような記述があります。

In terms of context for proliferation financing, Russia shares a border with the DPRK, and the two countries share a long-standing bilateral relationship focused on trade. In previous years, over 30 000 workers from the DPRK resided in Russia. As of March 2019, less than 4 000 DPRK workers continued to be employed in Russia and are expected to be repatriated in due course.

つまり、一時期は3万人を超える北朝鮮人労働者がロシアで働いていたが、2019年3月時点では4000人にまで減少し、引き続き、北朝鮮人労働者の追放は続いている、と評価しているのです。

北朝鮮が全世界に最大で何人の出稼ぎ労働者を送り込んでいたのかに関する報道はいくつかあるのですが、このなかで参考になるのが、英ガーディアンが2017年7月に報じた次の記事です。

‘Guest workers’: the North Korean expats forced to feed the regime(2017年7月5日付 The Guardianより)

これによると、北朝鮮労働者はロシアと中国(あわせて4万人)、中近東と東南アジア(3万人)、さらには東欧やモンゴルに派遣されており、最大で毎年23億ドルの外貨を北朝鮮にもたらしているとされています。

どんなテロ組織、犯罪組織であっても、資金を断てば干上がってしまいます。

北朝鮮にとってもそれは同様であり、出稼ぎ労働者という外貨獲得源が絶たれれば、北朝鮮はかなりの資金源を失うものと考えられます(北朝鮮に残された外貨獲得源といえば、麻薬や覚醒剤、贋札などでしょうか?)。

やっぱり中国が出てきた!

北朝鮮が現在行っている瀬戸際外交も、視点を変えれば、彼らが資金的に干上がることを極度に恐れるあまりに行っているものであり、いわば北朝鮮の「焦り」の象徴です。

ただ、米国が北朝鮮攻撃を実施した結果、万が一、北朝鮮の体制が動揺し、金正恩(きん・しょうおん)がクーデターなどで倒されてしまった場合は、朝鮮半島がさらなる混乱に陥りますし、万が一、北朝鮮で親米政権が出来上がれば、それはそれで中国にとっては脅威です。

こうしたなか、昨日は韓国メディア『中央日報』(日本語版)に、こんな記事が掲載されています。

中国、6カ国協議議長国の経験掲げ韓半島に本格介入か(2019.12.18 17:48付 中央日報日本語版より)

中央日報によれば、中国政府外交部の耿爽(こう・そう)報道官は17日の定例会見で、中国がロシアと合同で国連安保理に対し、「▼朝鮮半島の非核化、▼米朝対話継続と6ヵ国協議の復活、▼対北朝鮮制裁の部分解除」という3つの内容を含む決議案を提出したと述べたそうです。

まったくとんでもない話です。

北朝鮮制裁を部分解除したら何が発生するかについては、歴史が教えてくれます。北朝鮮にはクリントン政権もブッシュ政権も騙され続けたわけであり、今さら米国(や英国、フランス)が制裁の部分解除と6ヵ国協議への回帰を呑むとも思えません。

ただ、中国がこんな決議案を出して来たということは、言い換えれば、中国政府が米国による軍事オプション行使を恐れているという間接的な証拠だともいえるでしょう。

なにより、ここで「6ヵ国協議」を持ち出したのは、今それをやれば、「米国+日本」対「中国+ロシア+北朝鮮+韓国」という構図が出来上がります。中国にとっては北朝鮮に恩を売るのに加え、韓国を今度こそ自国陣営に引き込むという目的がありありです。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

一方で韓国にとっては、米国との駐留経費5倍増問題が年内に決着しないと見られるなど、米韓同盟がますます形骸化していくなかで、今後、ますます「米国チーム」に留まるのか、「大陸方向」に行くのが、隠れたテーマといえるかもしれません。

(とはいえ、韓国はなかなか大陸側に行く様子を見せませんが…。)

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 匿名 より:

    アメリカ軍が韓国から撤退するつもりはないようです。

    在韓米軍に関しては北朝鮮の脅威をにらみ、現行の2万8500人を下回る人数に削減することを禁じる条項が盛り込まれた。北朝鮮による弾道ミサイル発射も改めて非難した。(https://www.sankei.com/world/news/191218/wor1912180009-n1.html)

  2. だんな より:

    中ロは、北朝鮮の制裁緩和を言い出しても、安保理で合意される事が無いのは、分かっている筈です。中国が六カ国協議の実績を出して来たのは、話を尤もらしくすら為で、本当の目的は、違うのではないかと思います。
    まずは、アメリカによる北朝鮮への軍事行動の牽制です。
    中ロは、北朝鮮と国境を接しており、北朝鮮からの難民流入を危惧しているでしょう。一方で北朝鮮の核保有には、反対だと思います。
    つぎには、新宿会計士さんが書いている「米国+日本」対「中国+ロシア+北朝鮮+韓国」という構図を、東アジア情勢で固定化したいと、考えているのだと思います。
    韓国は、元々制裁緩和派ですが、安保理では何の権限も有りませんので、「中国とロシアが味方ニダ」と、喜んでいる事でしょう。もう韓国を日米から引き離すのは、ちょろいもんなのでしょう。
    今日からビーガンさんが、予定外の中国へ訪問するようです。韓国内で北朝鮮との対話を呼びかけていたのを、諦めて日本に来ていました。日本とは話が付いたので、中国と話をしに行ったのでしょう。北朝鮮朝鮮制裁の継続を要求すると思いますが、軍事オプションの際の事前調整も、有るかも知れません。

  3. めがねのおやじ より:

    更新ありがとうございます、

    この期に及んで、北朝鮮の窮状に手を差し伸べるとは、中国、ロシアは自由主義民主主義に徹底的に楯突く国家です。

    制裁緩和を提議するなど、枢軸側の帝国主義とやり方は同じ。正直言って、国連の組織など設立70数年で、疲労を起こしている。

    必要無いではないか、という憤りを感じますが、国際連盟時のように日本が率先して席を立つような愚は起こさず、【共同歩調で】組織の解体或いはグループの再編成に持って行く方が宜しいかと存じます。

    つまり弾き出すのは北東アジア4か国と中東の一部、南米、アフリカの一部をあぶり出して、グループ内の浄化をやるべしと存じます。そうなれば火砲を交える危険性が高まる可能性はあります。しかし、現状の組織は、あまりに狡猾な民族、国家に甘い・抜け穴アリと思います。

  4. りょうちん より:

    米国が、なかなか軍事オプションを取らないのは、

    1.軍事費がかかるわりにリターンが少ない・ロスが少ない
    2.せっかく出稼ぎ労働者金氏いや禁止まで仕込んだのに、北朝鮮が死ぬほど困窮するのを見てからでないとスッキリしない。

    という理由なんじゃないでゲスかね。
    イラク・アフガン戦争のように、不合理な戦争を始めるには、1940年のFDR、311直後のブッシュのような「狂気」が必要なのに、トランプは発言ほどは狂っていないとも言えます。

    1. 心配性のおばさん より:

      りょうちん様

      >トランプは発言ほどは狂っていないとも言えます。

      トランプ大統領はハチャメチャキャラを演じて?いますが、ことお金のことになると正気になるタイプだと存じます。たとえば、半島や大陸で軍事行動を取るとして、誰かがその費用を持ってくれるのであれば、簡単にGOサインを出すと思いますわ(笑)。

      彼は清々しいほどに自分ファーストな人間です。なので、自分という範囲が守られれば、人権とか平和とかはどうでもいい人間かと存じます。

  5. 自転車の修理ばかりしている より:

    平和条約協議の直前に根室の漁船を拿捕するロシア、米朝緊張の中で北鮮規制緩和を言い出す中国。まず踏み込んで相手をぶん殴っておいて、その踏み込んだ位置を交渉のスタート地点にする。彼らのいつもの手口です。交渉の中でもし譲歩したように見えても、元の立ち位置まで戻るだけで損のないようにしておくのですね。バザールでの値切る・値切られる前提での価格設定と同じです。韓国のよくやるダメ元作戦とも一脈通じるものがあります。それにしても日本の隣国はロクデナシかゴロツキばかりですね。

    逆に考えれば、ヤクザな先方が強気に出てくる(ように見える)時は、現状の位置では押し負けると相手が考えているということの証左でもあります。中露は本気で北鮮を守ろうとしているのではなく、取引材料としての見かけの価値を上げるために粉飾に勤しんでいるという見方もあり得るかと思います。

  6. 心配性のおばさん より:

    先日のNewsUSさんの論考で、第一次日米貿易交渉の結果(合意)について述べていたことに注目しました。

    まだ、サインはされていないのでなんとも言えませんが、100%中国側の負けと分析しています。結果(合意)発表の内容が、アメリカ側から中国側に要求されたもののみだったからです。中国側からアメリカ側に要求したものは一つとして結果(合意)内容にありません。

    米中の第1段階合意は中国の完敗だった!? 事実上の不平等条約?その理由は?
    https://news-us.org/article-20191218-00164714995-china

    NewsUSさんの論考は、わざとでしょうが、ワトソン君などのおバカキャラを登場させて、論考の内容をごまかしており、内容を読み取るのが少し難しい(笑)。が中国の状況を知らせる一つの指標になると思いましたので、今回はそのままご紹介させていただきます。

    今回、Web主様がご紹介された中露による北朝鮮制裁緩和案の発議ですが、発議したとして決議されることはありません。むしろ、今回のNewsUSさんの論考と同様に現在の中国の状況の指標と見るべきかと存じます。

    蛇足ながら付け加えると、韓国メディアの自己中報道や北朝鮮のミサイルショーは、そのままの評価分析も必要ですが、その裏側を観察して彼らの現状分析をすることも有意義だと存じます。おや、Web主様やこちらの方々には釈迦に説法といったものでした。失礼いたしました。

  7. ピークを過ぎたソフトエンジニア より:

    瀬戸際外交はこういうものだ、と決めつけるのは思考停止に繋がって危険ですが、Web主様のように分類してさらに疑問を提示し続けるというスタンスなら毎回考えさせられていいと思います。

    GSOMIAの時は、仮に韓国がそのまま破棄したとしても構わない、という好条件がありました。実際に破棄していた場合どうなっていたかはわかりませんが、日本にとっては相手が強硬手段に出ても具体的な行動をしなくて済む、いわば他人事に近い対応でした。

    それに対して米国の北朝鮮への対応は、レッドラインを踏み越えたら何か行動を起こす必要があるはずです。何もしなければ沽券にかかわります。つまり、北が強硬手段に出て一線を踏み越えることは、米国にも一線を踏み越えることを強要することになる、お互い様のチキンレースです。
    この場合、米国に覚悟があるのは当然として、日本が有事にどのように対応するつもりなのか、そういったことを国会で議論してもらいたいですね(既にされているなら探します)。

  8. カズ より:

    ポーダーラインを明示することは、そこまでなら容認できるとの意思表示でもあるのかもですが、その反面で「報復発動の名分」を得られる訳なのですから、悪いことばかりではないと思います。

    最悪なのは、ポーダーラインを踏み越えたにもかかわらず報復の名分も得難い事態だと考えるからです。

    中国が真に恐れてるのは、核廃棄されないままでの米朝接近〔ありえないですけど・・。〕なのではないのでしょうか?
    北朝鮮が自国に与するのでなければ核廃棄自体には異論はなく、むしろ積極的に推進したい立場なのだと思います。

    韓国は、どちらの陣営に留まりたい訳ではなく、のらりくらりと損得勘定のみを行動原理として存在し続けるのだと思います。

    大陸陣営に与しそうでしないのは、中国から「求めてまでもは欲しくない『要らない国』」だと再通告されたからなのかもですね。

    「捨てられるのなら拾うか」ぐらいの認識で陣営入りを許されたところで、最下層の扱いしか得られないですものね。

    繰り広げられるは主従の再開
    与えられるのは序列の最下位

    ・・です。

  9. 引きこもり中年 より:

     独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。

     中国が北朝鮮制裁解除を提案した理由の一つには、今後も続く米中貿易
    交渉を見据えた、アメリカへの嫌がらせがあると思います。ただし、これ
    により北京や上海を狙える核ミサイルが北朝鮮に配備され、中国への潜在
    的脅威になる危険性が出てきます。
     どうやら、目先の危険性のために、先々の危険性を軽視するのは、『人
    間の性』なのでしょう。

     駄文にて失礼しました。

  10. 愛読者 より:

    中露関係は微妙ですが,北朝鮮に関しては,中露ともに北朝鮮に恩を売ってより自分の言うことを聞かせたい。中国は北朝鮮がロシア側に行くのはいやだし,ロシアも北朝鮮を中国から遠ざけたい。それで,中露ともに北朝鮮に対して「自分がアメリカから北朝鮮を守っている」ということをアピールしたいのでしょう。制裁緩和については中露の意見が一致するわけです。中国は北朝鮮が核実験をするのは困るが,ミサイルは許容範囲内。ただし,北朝鮮のミサイルの目標地点としては,ロシアより中国のほうが危険性は高い。ロシアは北朝鮮のミサイルが自国に飛んでくることはないという確信を持っている。北朝鮮が(中露に対する)交戦能力を持っていない,という分析は中露とも同じ。
    アメリカの北朝鮮制裁は,金正恩に関係する口座を押さえるのに成功して,金正恩の使えるお金を減らすことには成功しています。でも,民間の密貿易は中露韓台もろもろの抜け道があって,密貿易で財をなしたお金持ちも北朝鮮内に増えているらしいですね。普通の市民も人民元などの外貨をこっそり沢山蓄財しているという報告もあります。北朝鮮ウォンの給料や配給を頼りに生活している人達は悲惨でしょうが,いずれにせよ,北朝鮮全体が飢えているわけではないので,核・ミサイル開発余力は十分あるでしょう。アメリカが経済制裁を目指しても実効性が十分でないとすると,中露牽制の意味でも,安保理決議なしでも限定的軍事攻撃(核施設や軍地基地へのピンポイント攻撃)は可能性としてそれなりに高いと思います。トランプ氏も弾劾騒ぎから国民の目を海外に向けたいかもしれません。
    北朝鮮人民軍がそれを機に,韓国を略奪して回らないか心配ですが(古代の軍隊じゃないですが)。ウソか本当か知りませんが,北朝鮮はミサイルを沢山持っていると宣伝していても,メンテナンス(整備)をきちんとしていない(できない)ので,使えるミサイルは僅かだと言っていた専門家もいました。

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