最近、当ウェブサイトに掲載した論考のうちいくつかが、読者の皆さまから、かなり高く評価して頂いているようです。やはり、読者の皆さまは当ウェブサイトに対し、「時事的な話題」だけでなく、「数字を使った議論」、「専門家ならではの意見」を期待されている、ということを実感しました。こうしたなか、本日はもう1つ、私自身の専門分野である金融規制のうち、「外為法」について、改めてじっくりと取り上げてみたいと思います。少し堅苦しい法令用語がたくさん出て来てしまいますが、できるだけわかりやすく、外為法第48条の仕組みを眺めていきたいと思います。

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ご愛読御礼

土曜日に掲載した『【速報】新日鐵住金巡る徴用工訴訟で原告側が資産売却へ?』や、日曜日に掲載した『「韓国経済崩壊」論、本当の脅威は株価暴落ではなく外貨不足』が、私が思っている以上に「参考になった」と思ってくださる読者の皆さまがいらっしゃったようです。

【速報】新日鐵住金巡る徴用工訴訟で原告側が資産売却へ?

「韓国経済崩壊」論、本当の脅威は株価暴落ではなく外貨不足

土曜日の記事は、新日鐵住金の在韓資産である合弁会社の株式を巡り、韓国側で「徴用工判決」を受けた資産差し押さえと売却の動きが見られることを巡って、「合弁会社、非上場株式の売却が著しく困難である理由」について解説したものです。

また、日曜日の記事は、「中央銀行の中央銀行」と例えられることもある国際決済銀行(BIS)が四半期に1度公表している統計(「国際与信統計」や「国際資金取引統計」など)をベースに、韓国の銀行や企業が外国からいくらのおカネを借りているのかについて検証したものです。

これらの記事を公表したあとの反応を見ていますと、やはり、読者の皆さまが当ウェブサイトに期待されているのは、「時事的な話題」だけでなく、「数字を使った議論」、「専門家ならではの意見」である、ということを実感しました。

現金なもので、やはり私も「せっかく執筆するならば多くの人々に読んでもらいたい」と思っていますが、そのためには「近道」などなく、結局のところ、「たくさんの人が『知りたい』と思っている話題を、自分ならではの観点から、愚直にしっかりと解説する」というスタンスでいくしかないという事実を、改めて確認しました。

いずれにせよ、読者の皆さまには、引き続きのご愛読に加え、ざっくばらんなご感想、批判的な意見でも結構ですので、どうかお気軽なコメントを書き込んで下さることをお願い申し上げたいと思います。

経済制裁の類型

経済制裁の「きっかけ」

さて、韓国の日本に対する不法行為が、とどまることを知りません。

韓国の国会の文喜相(ぶん・きそう)議長が天皇陛下を侮辱した問題で、同氏は韓国メディアの取材に対し、「むしろ謝るのは日本の方だ」という趣旨の発言をしたという話題は、昨日、『徹底的に日本を侮辱する韓国国会議長にどう対応するか?』で紹介したところです。

徹底的に日本を侮辱する韓国国会議長にどう対応するか?

この文氏の発言を当ウェブサイトで取り上げるかどうか、正直、私自身は少し迷ったのですが、それでも当ウェブサイトは私が注目しているテーマに関する「時代の記録」という側面があると(勝手に)考えているため、あえて取り上げたものです。

ただ、私がこの記事を取り上げる際に懸念していたのは、文喜相氏に対する感情的な罵倒が殺到することだったのですが、読者コメント欄を拝読する限りは、意外と皆さま冷静です(笑)

しかし、コメントが冷静だからと言って、皆さまが「怒っていない」というわけではないこともまた事実でしょう。おそらく私自身を含めた大多数の日本国民は、天皇陛下を侮辱されることを、絶対に容認しないからです。

本来、韓国に対する経済制裁を議論するのであれば、あくまでも冷静沈着に判断しなければなりません。

しかし、昨年のレーダー照射事件といい、「低空威嚇飛行」という「逆ギレ」といい、徴用工判決問題といい、慰安婦財団解散といい、韓国の司法、行政、立法、軍による日本に対する不法行為の数々は目に余ります。

結局のところ、国を動かしているのも人間ですから、案外、「韓国に対する経済制裁」に踏み切る最後の背中を押すのも、「感情」なのかもしれません。

基本は「ヒト・モノ・カネ」の停止

もちろん、私は「感情に任せて韓国への経済制裁を発動せよ」と申し上げるつもりはありません。

「伝家の宝刀」の欠陥 韓国に対する経済制裁を整理する』でも申し上げたとおり、本当に経済制裁を発動する場合、感情に任せて「抜きどころ」を間違えてしまうと、制裁の狙いはまったく外れてしまう可能性もあるからです。

「伝家の宝刀」の欠陥 韓国に対する経済制裁を整理する

したがって、現在は「経済制裁があるとしたらどのような形態なのか」、「経済制裁は何をきっかけに発動されるのか」について、じっくりと考察すべき局面ではないかと思います。

おそらく、日本政府としては「現行法のもとでできる対抗措置(あるいは経済制裁)」について、その内容をすでに検討しているはずです。しかし、「日本政府が検討している経済制裁の内容」については、不思議なほど、まったく表に出て来ません。

したがって、あくまでも「想像」するしかないのですが、基本的に経済制裁といえば、「ヒト・モノ・カネ」の流れの制限と、資産凍結がセットです(次の①~⑦)。

  • ヒトの流れの制限
    • ①(韓→日)入国ビザの厳格化、就労・就学ビザの制限 など
    • ②(日→韓)日本人の韓国渡航の制限
  • モノの流れの制限
    • ③(韓→日)輸入関税の引き上げ、通関手続の厳格化 など
    • ④(日→韓)特定品目の輸出の差し止め
  • カネの流れの制限
    • ⑤(韓→日)韓国から日本への投資の禁止
    • ⑥(日→韓)日本から韓国への支払の禁止
  • 資産凍結
    • ⑦韓国政府、韓国企業、韓国国民が日本に保有している資産、銀行口座等の凍結
  • その他の措置
    • ⑧韓国が困っているときに、わざと助けない
    • ⑨韓国が日本企業を排除するような行動に出るという、いわゆる「セルフ経済制裁」に期待する

ただし、この①~⑦を眺めていると、まったく実効性のない措置もあります(例:⑤)し、現行法ではどうにも対応が難しい措置もあります(例:②、⑦)。

とくに、②の日本国民に対して「韓国に渡航することを禁止する」などとする命令を出すことは、法令上も実務上もきわめて困難です。せいぜい、「海外安全ホームページ」で警告を出すのが関の山でしょう(※ただし、外務省にはせめてレベル1以上の警告くらいは出してほしいところですが…)。

また、⑦の韓国政府などが日本国内に保有している資産の凍結措置についても、法令が未整備であり、あまり現実的ではありません。さらにはそもそも韓国の対日投資自体が大した金額ではないため、⑤の韓国から日本への投資制限についても、あまり意味のある規制とはいえません。

結局、やるとしたら①(韓国人に対するビザの制限)、③(韓国から日本への輸入制限)④(日本から韓国への輸出制限)、⑥(日本から韓国への支払制限)を中心に検討するのがもっとも現実的ではないでしょうか。

(※なお、「⑧韓国が困っているときにわざと助けない」、「⑨韓国によるセルフ経済制裁に期待する」という項目については、本稿では取り上げませんが、非常に大事な視点でもあります。このため、今後も別カテゴリーとして改めてじっくりと議論していきたいと思います。)

名目がとても大事

また、経済制裁を加えるとしたら、その「名目」も、非常に大事です。

最近だと、「徴用工判決に対する対抗措置」、「慰安婦合意の事実上の破棄に対する対抗措置」、「レーダー照射事件に対する対抗措置」、「文喜相氏の天皇陛下侮辱に対する対抗措置」など、名目はいくらでもありそうですが、私が注目するのは、やはり「セカンダリー・サンクション」です。

昨日、『トランプ政権の「対北朝鮮融和論」、米議会で警戒相次ぐ』で紹介しましたが、米議会では最近、「韓国が北朝鮮の核武装を事実上、幇助している」との認識が出現し始めています。

トランプ政権の「対北朝鮮融和論」、米議会で警戒相次ぐ

米国の大統領といえば、日本の総理大臣よりもかなり強い権限を持っている、という印象を抱く方も多いかもしれません。しかし、米国は三権分立国家であり、残念ながら、「アメリカ合衆国大統領ならば何でもできる」、というものではありません。

(※余談ですが、ドナルド・トランプ米大統領と金正恩(きん・しょうおん)が今月末のハノイでの米朝首脳会談で何らかの合意に達したとしても、議会がトランプ政権の動きを止めようとすることはあり得るでしょう。)

そして、米国の動向次第では、「北朝鮮核開発を間接的に幇助している」として、韓国の主要な銀行や企業が米国内のドル資金口座の凍結措置に遭うかもしれませんし、そこまで行かなくても、「韓国と北朝鮮は同罪」とする論調が米国内で強まる可能性はかなり高いといえます。

わが国も、韓国に対して何らかの制裁措置を講じるのならば、「北朝鮮の支援を行っている」という名目を使うのが手っ取り早いような気がしてなりません。

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外為法

軍事転用可能資産の輸出禁止措置

こうした私自身の感覚は、別に現実離れしたものではありません。実際に、上記④(つまり日本から韓国への輸出の制限)に関する議論が出て来たからです。

その証拠が、数日前の日経電子版に掲載された、次の記事です。

元徴用工問題、河野氏が資産売却に懸念 日韓外相会談(2019/2/16 0:00付 日本経済新聞電子版より)

現地時間の土曜日にドイツのミュンヘンで開かれた安全保障会議に出席するためにドイツを訪問した河野太郎外相は、その前日の15日午前、韓国の康京和(こう・きょうわ)外交部長官(※外相に相当)と約50分間会談。

日経によると、この河野外相はその席で「元徴用工訴訟の原告側による資産売却の動きに懸念を伝え、韓国側の適切な対応を求めた」ものの、康長官は「綿密に検討する」と「従来の見解を繰り返」すに留まったそうで、日経は「日韓関係を冷え込ませている諸問題の協議は平行線をたどった」と評しています。

ただ、私がそれよりも気になったのは、次の下りです。

実際に資産売却手続きが進む場合、さらなる対抗措置も現実味を帯びる。自民党外交部会では駐韓大使の召還や防衛に関わる物品の韓国への輸出規制を求める声も出ている。韓国側からこのまま回答がない場合、第三国の委員を交えた仲裁委員会の設置申し入れも検討している。」(※下線部は引用者による加工)

文章の後段にあるのは、当ウェブサイトでも先週、『徴用工判決問題に対する仲裁手続移行の遅れ、なぜ?』で紹介した、日韓請求権協定に基づく仲裁措置のことを意味しているのだと思います。

徴用工判決問題に対する仲裁手続移行の遅れ、なぜ?

ただ、前半にある「防衛に関わる物品の韓国への輸出規制」については、いわゆる外為法に基づくモノの輸出規制のことを意味していて、このことが自民党の部会の場であるとはいえ、公然と議論されるようになったこと自体、隔世の感があります。

外為法の規定とは?

ここで、日経の記事に出てきた「防衛に関わる物品の韓国への輸出規制」とは、いったい何を指しているのでしょうか?

当ウェブサイトでもこれまでときどき説明して来た、『外国為替及び外国貿易法』という法律があります。よく「外為法」と略し、一般に「がいためほう」と発音することが多い法律ですが、この法律の第48条第1項を眺めてみると、こう書かれています。

外為法第48条第1項

国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める特定の地域を仕向地とする特定の種類の貨物の輸出をしようとする者は、政令で定めるところにより、経済産業大臣の許可を受けなければならない。(※下線部は引用者による加工)

これが、外為法に基づく「リスト規制」と呼ばれているものです。

といっても、法律は国会で決議されるものであるため、あまり細かい品目を法律に書き込むわけにはいきません。そこで、細かい規制品は、政令や経済産業省令などに委任されています。

それだけではありません。

外為法第48条第2項と第3項では、第1項の場合以外でも、経済産業大臣による許可を受ける義務を課すことができるとされています。

外為法第48条第2項

経済産業大臣は、前項の規定の確実な実施を図るため必要があると認めるときは、同項の特定の種類の貨物を同項の特定の地域以外の地域を仕向地として輸出しようとする者に対し、政令で定めるところにより、許可を受ける義務を課することができる。

外為法第48条第3項

経済産業大臣は、前二項に定める場合のほか、特定の種類の若しくは特定の地域を仕向地とする貨物を輸出しようとする者又は特定の取引により貨物を輸出しようとする者に対し、国際収支の均衡の維持のため、外国貿易及び国民経済の健全な発展のため、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行するため、国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、又は第十条第一項の閣議決定を実施するために必要な範囲内で、政令で定めるところにより、承認を受ける義務を課することができる。(※下線部は引用者による加工)

このうち、下線で示した「外為法第10条第1項の閣議決定」とは、「わが国の平和と安全を維持するためにとくに必要な場合には、閣議で対応措置を決定することができる」とする、非常に強力な規定を意味しています。

外為法第10条第1項

我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があるときは、閣議において、対応措置(この項の規定による閣議決定に基づき主務大臣により行われる第十六条第一項、第二十一条第一項、第二十三条第四項、第二十四条第一項、第二十五条第六項、第四十八条第三項及び第五十二条の規定による措置をいう。)を講ずべきことを決定することができる。

つまり、外為法では、

  • ①国際的な平和と安全の維持
  • ②国際収支の均衡の維持
  • ③外国貿易・国民経済の健全な発展
  • ④わが国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行するため
  • ⑤国際平和のための国際的な努力にわが国として寄与するため
  • ⑥平和と安全を維持するための閣議決定を実施するため

という、じつに広範囲な輸出規制に関する規定が設けられているのです。

これを有効活用しないわけにはいきません。

「リスト規制」とフッ化水素の禁輸騒動

ところで、先ほどから「政令」「政令」という言葉が出て来ますが、これは『輸出貿易管理令』と呼ばれる政令です。この『輸出貿易管理令』を読むと、基本的に「別表第1」に列挙されている製品を輸出するためには、経済産業大臣の許可が必要とされています。

この「別表第1」の製品はとてもたくさんあるのですが、私の文責で簡単に要約すると、銃砲や爆発物、核物質、ウランなど、本当にさまざまな品目が列挙されています(図表)。

図表 輸出貿易管理令の「別表第1」第1~3項
貨物対象地域
銃砲、爆発物など18品目全地域
核燃料物質、六フッ化ウランなど約60品目全地域
フッ酸を含む、経済産業省令で定める品目(数百品目以上)全地域
3の2、4~15数百品目以上全地域(「ホワイト国」の場合は部分的な緩和規定も設けられている)
16(省略)「ホワイト国」を除く全地域

(【出所】輸出貿易管理令「別表第1」より著者作成)

こうしたなか、昨年10月ごろ、日本から半導体製造用のフッ化水素(フッ酸)の輸出が停止した、という話題を紹介したことがあります。

以前、『レーダー照射事件がじつは「大した問題」ではない理由』でも紹介したとおり、この件は(おそらくは)単なる輸出関連書類の不備で一時的にフッ酸の輸出が止まっただけのものだったという可能性が高いと思います(※ただし経産省に取材して確認したわけではありませんが…)。

しかし、フッ酸など、さまざまな物質が「リスト規制品」に含まれていることは事実ですし、実際に一時的にフッ酸の韓国向けの輸出が止まっただけでも、韓国国内でフッ酸価格が高騰したという報道もありました(『フッ酸禁輸報道の真偽 資本財輸出を止めれば韓国産業壊滅も』参照)。

フッ酸禁輸報道の真偽 資本財輸出を止めれば韓国産業壊滅も

このことから、極論すれば、経済産業大臣(つまり世耕弘成氏)の権限で、「韓国がこれらの物資を軍事転用している疑いがある」と認定すれば、韓国に対するさまざまな品目の輸出を止めてしまうことができる、ということでもあります。

ホワイト国とは?

さて、この「外為法」を巡っては、最近、インターネット上で誤解を受けている規制があります。それが「ホワイト国指定」です。先ほどの図表にも「第16項」の部分に「ホワイト国」という言葉が出て来ましたが、これは、『輸出貿易管理令』別表第3に指定されている諸国のことです。

輸出貿易管理令「別表第3」に指定されているホワイト国

ルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、大韓民国、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、アメリカ合衆国(※下線部は引用者による加工)

シレっと韓国が「ホワイト国」に指定されていますね。

以前、『「キャッチオール規制」上のホワイト国から韓国を外すべき?』でも説明したとおり、大人気インターネット番組『真相深入り!虎ノ門ニュース』で、青山繁晴参議院議員が「韓国をホワイト国指定から外すべきだ」と主張されていたことを紹介したことがあります。

ところで、この「ホワイト国」という用語には、少し誤解があることも事実です。というのも、「ホワイト国」が規制対象から除外されるのは、「キャッチオール規制」だけであり、たとえホワイト国であっても「リスト規制」にはバッチリ引っかかるのです。

先ほど紹介した「別表第1」(とくに第1項~第3項)については、「日本から輸出する場合」には、たとえ「ホワイト国」相手であっても適用除外されません。だからこそ、フッ化水素を韓国に輸出する際に、韓国が「ホワイト国」であるにもかかわらず、承認が必要とされているのです。

何より、韓国を「ホワイト国」から指定除外するためには、政令改正が必要となりますし、このご時世ですから、「『輸出貿易管理令』の『別表第3』から韓国が外されるらしいぞ!」となれば、メディアにも大騒ぎされるでしょうし、そのこと自体が韓国を刺激することも間違いないでしょう。

それに、わざわざ韓国を「ホワイト国指定」から外さなくても、まずは「リスト規制」に指定されている品目については、「軍事転用の疑いあり」として、日本からの対韓輸出を止めてしまうことが可能です。

このように考えていくと、「韓国をホワイト国から外す」ことも結構ですが、やはり、韓国に対して現実的な経済制裁を加えるためには、まずは政省令の改正を伴わずに、既存の規制をうまく使うことを検討するのが本筋ではないかと思います。

(※もちろん、「韓国をホワイト国から外すべきだ」という議論を行うこと自体が有意義だと思います。)

議論することが大事

さて、昨年12月20日の韓国海軍艦艇による自衛隊機に対するレーダー照射事件を巡っては、産経系のウェブメディア『zakzak』が先月、「今月中(つまり1月中)に韓国に対する制裁措置の発動を決断する」と報じました

この記事については『韓国側の主張に呆れるが、「月内に制裁発動」の可能性は低い』でも紹介しましたが、そのときに私は、「レーダー照射事件を契機に、月内に対韓経済制裁が発動されるという可能性は少ない」と申し上げましたが、この私の予想は的中した格好です。

日本に対する韓国の最近の不法行為に腹が立ち、「韓国に対して鉄槌を下してほしい」という気持ちを持つ日本国民が増えていることは事実かもしれませんが、だからといって、そうした希望が先行するあまり、近視眼的になるのはいかがなものかと自戒を込めて申し上げたいと思います。

もっとも、私自身にもこの『zakzak』の記事を批判する資格がありません。

当ウェブサイトでは以前、「徴用工判決問題」を巡っては、「順調にいけば4月中旬には韓国の国際法違反状態が確定する」と申し上げたのですが(『徴用工判決問題の節目は4月12日か 日本政府の狙いとは?』参照)、『徴用工判決問題に対する仲裁手続移行の遅れ、なぜ?』で申し上げたとおり、私の予想に反し、現時点までに日本政府は「次のステップ」に移行していないからです。

日本政府はここに来て、韓国に対する追及の手をいきなり緩めてしまった(かに見える)のです。日本は日韓請求権協定に基づく仲裁手続を諦めてしまったのでしょうか?それとも何か「別の狙い」でもあるのでしょうか?

これについては正直、私にもよくわかりませんが、日本政府が徴用工判決問題でも、天皇陛下侮辱発言問題でも、レーダー照射問題でも、北朝鮮の瀬取り幇助疑惑でも、このまま韓国に対して沈黙を守るとは思えません。

やはり、今月末の米朝首脳会談と、来月1日の「100回目の独立節」というイベントとは無関係ではなさそうですが、いずれにせよ、注目し続ける必要はありそうです。

※本文は以上です。

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    韓国政府「人員の5割増」だけでは問題は解決されない (28コメント)
  • 2019/12/02 06:00 【マスメディア論
    社会が健全ならウソツキは淘汰される それだけのこと (16コメント)
  • 2019/12/02 05:00 【韓国崩壊
    中国向け輸出低迷 韓国の輸出が12ヵ月連続で不振に (5コメント)
  • 2019/12/01 08:00 【時事|韓国崩壊
    土曜日の「鈴置論考」と金融市場の急変の怖さ (31コメント)
  • 2019/12/01 05:00 【韓国崩壊|数字で読む日本経済
    いま話題の日韓関係、「数字」でじっくりと読んでみた (28コメント)
  • 2019/11/30 12:00 【読者のページ
    読者雑談専用記事 2019/11/30(土) (118コメント)
  • 2019/11/30 08:00 【RMB|日韓スワップ|金融
    スワップは信頼と友好の証 最も重要な隣国と締結を! (19コメント)
  • 2019/11/30 05:00 【韓国崩壊
    韓国が輸出規制と誤る限り、措置撤回は不可能 (47コメント)
  • 2019/11/29 16:30 【マスメディア論|時事
    朝日新聞社、単体の中間決算は営業赤字に転落 (17コメント)
  • 2019/11/29 12:10 【時事|韓国崩壊
    時事通信「文喜相案巡り日本政府内に期待」、本当に? (29コメント)
  • 2019/11/29 06:00 【時事|金融
    香港人権民主主義法の本質は「対中輸出管理の強化」? (33コメント)
  • 2019/11/29 05:00 【数字で読む日本経済
    日本経済を客観的な数字で読んでみた結果を総括します (14コメント)
  • 2019/11/28 17:30 【時事|韓国崩壊
    ついに対韓ビール輸出がゼロに!そのインパクトとは? (28コメント)
  • 2019/11/28 11:15 【時事|韓国崩壊
    文喜相氏の「解決策」を絶賛する中央日報社説 (39コメント)
  • 2019/11/28 06:00 【韓国崩壊
    硬派メディア、「安倍総理が文喜相氏の基金案に共感」 (21コメント)
  • 2019/11/28 05:00 【数字で読む日本経済
    貿易統計に見る「意外と貿易依存度が低い日本」の現状 (8コメント)
  • 2019/11/27 18:30 【時事|国内政治
    立民、桜を見る会に対抗しシュレッダーを見る会を開催 (40コメント)
  • 2019/11/27 14:00 【時事|韓国崩壊
    輸出管理の本質は「政策対話から3年半逃げる韓国」 (35コメント)
  • 2019/11/27 12:00 【読者のページ
    読者雑談専用記事 2019/11/27(水) (80コメント)
  • 2019/11/27 10:15 【時事|韓国崩壊
    韓国国会議長による自称元徴用工問題「解決」策が判明 (27コメント)
  • 2019/11/27 05:00 【韓国崩壊
    オプション理論から見る米韓関係 (36コメント)
  • 2019/11/26 17:40 【時事|韓国崩壊
    鈴置氏「GSOMIA後の米韓関係」に関する最新論考 (23コメント)
  • 2019/11/26 13:15 【数字で読む日本経済
    「消費税20%」で日本をぶっ壊す!悪の組織・財務省 (22コメント)
  • 2019/11/26 10:45 【時事|韓国崩壊
    韓国メディア「感情対立煽るな、韓日お互い自制せよ」 (49コメント)
  • 2019/11/26 05:00 【韓国崩壊
    韓国「日本が輸出規制を1ヵ月で撤回すると言った!」 (49コメント)
  • 2019/11/26 05:00 【雑感オピニオン
    お詫び:「数字で読む日本経済」シリーズについて (3コメント)
  • 2019/11/25 12:36 【時事|韓国崩壊
    菅官房長官、「政府として韓国に謝罪した事実はない」 (43コメント)
  • 2019/11/25 10:30 【時事|韓国崩壊
    月曜の韓国メディアの反応と「ウソツキ国家への対応」 (50コメント)
  • 2019/11/25 06:00 【韓国崩壊
    GSOMIA後の文在寅氏は「水に落ちた犬」なのか? (26コメント)
  • 2019/11/25 05:00 【数字で読む日本経済
    数字で見る、「在留外国人数」とわが国のグローバル化 (6コメント)
  • 2019/11/24 21:45 【時事|韓国崩壊
    韓国政府、「安倍は良心の呵責はないのか!」と逆ギレ (49コメント)
  • 2019/11/24 13:15 【マスメディア論|時事
    朝日出身者「支持率下がらないのは国民の側にも問題」 (64コメント)
  • 2019/11/24 05:00 【韓国崩壊
    土曜日の鈴置論考とGSOMIA騒動の「本当の教訓」 (75コメント)
  • 2019/11/23 16:00 【読者投稿
    【読者投稿】GSOMIA[事実上の延長」の真否 (45コメント)
  • 2019/11/23 14:00 【読者投稿
    【読者投稿】在韓日本人が見た、韓国の教育の実態 (28コメント)
  • 2019/11/23 12:00 【読者のページ
    読者雑談専用記事 2019/11/23(土) (75コメント)
  • 2019/11/23 10:10 【時事|韓国崩壊
    さっそくGSOMIA問題を曲解報道する韓国メディア (55コメント)
  • 2019/11/23 05:00 【韓国崩壊
    韓国の「GSOMIA瀬戸際外交」は日本の勝利だが… (42コメント)
  • 2019/11/22 22:41 【時事|韓国崩壊
    【資料】GSOMIA等を巡る日韓両国政府の発表内容 (40コメント)
  • 2019/11/22 18:38 【時事|韓国崩壊
    韓国政府の「GSOMIA条件付き延長」をどう見るか (84コメント)
  • 2019/11/22 17:15 【時事|韓国崩壊
    韓国政府、GSOMIA破棄を「条件付き撤回通告」? (49コメント)
  • 2019/11/22 16:15 【時事|韓国崩壊
    【速報】韓国「GSOMIAパッケージディール」提案 (18コメント)
  • 2019/11/22 14:30 【時事|韓国崩壊
    GSOMIA特集 「困ったら逆ギレ」の黄金パターン (22コメント)
  • 2019/11/22 11:22 【時事|韓国崩壊
    中央日報「韓日両国首脳が目を覚ますことを望む」 (28コメント)
  • 2019/11/22 09:45 【時事|韓国崩壊
    米国防総省、「朝鮮日報は米軍一部撤収報道の撤回を」 (20コメント)
  • 2019/11/22 05:00 【数字で読む日本経済
    数字で見る、「日本人はどこの国に居住しているのか」 (10コメント)
  • 2019/11/21 17:40 【時事|韓国崩壊
    GSOMIA終了前提?聯合ニュース、続々記事配信中 (35コメント)
  • 2019/11/21 12:00 【時事|韓国崩壊|金融
    「GSOMIA後」、大量格下げと金融不安も焦点に (41コメント)
  • 2019/11/21 10:00 【時事|韓国崩壊
    中央日報「安倍総理が徴用工財団案評価」、本当? (27コメント)
  • 2019/11/21 06:00 【経済全般
    訪日旅客減少はむしろ観光客の中韓依存を是正する好機 (21コメント)
  • 2019/11/21 05:00 【数字で読む日本経済
    数字で見る、「中韓は日本経済にとって不可欠」の真相 (8コメント)
  • 2019/11/20 12:22 【時事|国内政治
    「裏取りを軽視」?ここまで来ると怪文書の類いでは? (28コメント)

  • 著者のコンタクト先:info@shinjukuacc.com

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