なぜ米国は「米韓同盟の堅牢さ」をやたら強調するのか

非常に不気味な兆候だと思います。わが国を代表する優れた韓国観察者である鈴置高史氏が執筆した名著『米韓同盟消滅』の内容が、少しずつ実現しつつあるからです。わが国では米韓同盟や日韓基本条約が不変のものだと勘違いした人々が、日韓関係だけを議論しているフシがあるのですが、現状では、米韓同盟はわが国の安全保障に大きな影響を与えます。

改めて読みたい名著『米韓同盟消滅』

鈴置高史氏といえば、日本を代表する優れた韓国観察者ですが、鈴置氏の仕事の画期的な部分というのものは、韓国を「米国との関係」で論じている点にあります。とくに、鈴置氏の著書『米韓同盟消滅』は、すべての日本人が読まねばならない「必読書」ではないかと思う次第です。

【参考】『米韓同盟消滅

(【出所】アマゾンアフィリエイトリンク)

では、なぜこれが「画期的」なのでしょうか。

それは、並み居る「韓国論」とは一線を画しているからです。

日本国内の韓国論

嫌韓論

これについて考える前に、世間に蔓延する「嫌韓論」について、少々触れておきたいと思います。

自称元徴用工判決問題や日韓GSOMIA破棄、火器管制レーダー照射や当時の国会議長による上皇陛下に対する侮辱発言など、韓国の日本に対する常軌を逸した振る舞いを見て、韓国が嫌いになったという日本人は多いのではないかと思います。

また、「日韓関係が壊れては困る」という立場の人であれば、「どうすれば韓国に正気に戻ってもらえるか」、「どうすれば日韓関係を壊さないで済むか」といった点から、「日本にできることは、いったい何があるのか」とやきもきしているのかもしれません。

こうしたなか、個人的な印象ですが、インターネット上ではとくに自称元徴用工判決の直後あたりから、ウェブ評論サイトや個人ブログ、あるいは動画サイトやSNSなどを中心に、「嫌韓」的なコンテンツが激増したのも事実でしょう。

これらの「嫌韓」的なコンテンツのなかには、「韓国は異常な国だ」、「こんなことをしている韓国は絶対に滅びるに違いない」などと叩いたり、「日韓断交だ!」、「韓国に対する経済制裁だ」、「倍返しだ」などと叫んでみたり、と、内容はさまざまでしょう。

(※余談ですが、韓国の行動が常軌を逸していることはたしかですが、だからといって差別的な用語を使って韓国を貶めるようなコンテンツはいかがなものかと思いますし、嫌韓が高じてフェイクニューズを発信するのは明らかに行き過ぎでしょう。)

韓国論の2類型

これらの「嫌韓論」的なコンテンツを見ていると、日韓関係を壊そうとする韓国の行動をもとに、韓国が主張する「日帝36年の蛮行」の捏造ぶりを糾弾するものや、「日韓関係の真っ暗な未来」を憂うものもある一方、単純に韓国を小バカにして楽しむようなコンテンツも見受けられます。

それらの典型例は、いまや世の中に腐るほど存在する「まとめサイト」です。

これは、某匿名掲示板に転載された韓国メディア日本語版(中央日報、朝鮮日報、ハンギョレ新聞など)や日本の左派メディア(朝日新聞、毎日新聞、東京新聞など)の記事や、それらに対する罵詈雑言を、そのまま転載したブログサイトのことです。

(※余談ですが、これらの「まとめサイト」について、「まとめサイト」管理人のまとめ方が巧みな場合は非常に興味深く読めるのですが、残念ながら、最近では、「他人が交わした議論を転載するだけ」、「PVを稼ぐために必要以上に過激なタイトルを付す」、といったものも多いようです。)

一方、こうした「嫌韓論」の裏返しにあるのが、「朝鮮半島生命線説」とでもいえば良いのでしょうか、「日本にとって韓国は地政学的にどうしても必要な場所だ」、などとする議論です。「韓国の行動は腹が立つが、日本は我慢しなければならない」、とする主張だと言い換えても良いでしょう。

たとえば、一般に「保守的」とされ、独自の視点が高く評価されている高名な某戦略家の方などは、「日米は中国を喜ばせすぎないよう、文在寅政権崩壊後の韓国に親日・親米政権が立つよう努力すべきだ」などと主張されています(『「日韓関係悪化は中国を利する」、その何が問題なのですか?』参照)。

また、とある著名な(自称)保守派の論客も、「韓国を敵陣営に回してはならない」、「安倍政権下で日本は蚊帳の外に置かれている」などと主張したほどです(『「日韓GSOMIA破棄は安倍外交の失敗」という珍説』参照)。

これらの主張に共通点があるとしたら、「朝鮮半島生命線説」とでも言えば良いのでしょうか、「韓国は日本に近い国だから、どんなコストを払ってでも、絶対に敵対国にしてはならない」という固定観念にとらわれているという点にあります。

すなわち、「韓国は腹が立つ国だが、日本の未来のことを考えたら無碍に扱うことはできない」、という発想ですね。

日韓関係だけを取り上げても意味がない

ただ、個人的な不満を正直に申し上げるなら、彼らがそういう行動を取ることについて、表層的なところをなぞるだけのサイトは、あまり参考になりません。なぜなら、これらについてはいずれも「日韓関係」のみに焦点を当てているのが特徴ではないかと思います。

しかし、外国との関係を論じる際には、必ず織り込まねばならない視点が2つあります。1つ目は縦軸、つまり「歴史」であり、2つ目は横軸、つまり「地理」です。

まずは「縦軸」です。

韓国は「半万年」の歴史を持つ悠久の国家だと自称していますが、その韓国、あるいは朝鮮半島は、歴史的には長い間中国の属国であり続け、自らの力で独立を達成していた時期はほとんどありません。だからこそ、自力で国を運営することはできません。

日清戦争で19世紀末に大清帝国から独立させてもらったにも関わらず、自力で国家運営ができなかったことは、その証拠でしょうし、日本が下手に朝鮮半島や大陸に関わると、やらなくて良い戦争に巻き込まれるというのが歴史の教訓だと思います。

次に「横軸」に関して。

朝鮮半島は歴史的に、中国という超大国と、海を隔てた日本という大国に挟まれ、両国の緩衝地帯のような役割を果たしてきたという側面がありますが、現代でもその構造は基本的に変わりません。

韓国は38度線で北朝鮮と接する陸の孤島であり、米国に独立させてもらったという経緯もあるため、日米との関係が強くならざるを得ないという性質を持っているのですが、それと同時に黄海と北朝鮮を挟んで隣り合う中国から大きな圧迫を受け続けているという国でもあります。

当然ながら、地理的、歴史的に見て、韓国は中国を取るか、日本(と米国)を取るか、という「二者択一」を迫られる立場にありますし、長い目で見て中国というブラックホールに吸い込まれていくことも、仕方がない話なのかもしれません。

そして、韓国を無理やり私たち日米の陣営に留めようとしたら、私たち・日本も中国に吸い寄せられる可能性もありますし、経済規模が大きな日本が不法侵略を続ける中国と下手にくっつくと、東アジア全体の不安定化につながりかねません。

だからこそ、私たち日本としては、もしも韓国がいずれ中国に呑まれるのならば、それに備えて日本に被害が及ばないように準備をしなければならないのであり、その準備は待ったなしなのです。

米韓同盟消滅が現実化?

鈴置氏の画期的な部分

以上の議論は、わが国に蔓延する「嫌韓論」や「朝鮮半島生命線説」には根本的に欠落しています。

つまり、相手が日本と同じような価値観を持ち、同じような行動原理に立脚しているという「勘違い」が、問題を複雑化しているのです。

だからこそ、日韓関係からいったん離れ、少し俯瞰的な目でこの半島を見てやる必要があるのですが、これこそ冒頭で申し上げた、鈴置論考が画期的だったという部分なのです。

(※肝心の『米韓同盟消滅』の内容については、当ウェブサイトでは『名著『米韓同盟消滅』でレーダー照射問題を読み解いてみる』などでも少しだけ触れているものの、詳しくは実際に同著を購入するか、図書館などで借りるかして、是非とも読んでいただきたいと思います。)

この点、当ウェブサイトが好んで用いる「縦軸」、「横軸」、「朝鮮半島生命線説」などの用語が鈴置氏の議論で出てくるわけではありませんが、いずれにせよ、鈴置氏の議論を当ウェブサイトなりに解釈した結果、韓国について論じるときには必ず「日米同盟」という視点がなければならないと思い至った次第です。

そして、この「米韓同盟消滅」という不気味な予言が、少しずつ成就し始めているように思えてならないのが気になる点です。というのも、最近、米韓同盟に関し、看過できない記事がいくつか出て来ているからです。そのひとつが、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に掲載された、次の記事です。

米国防長官「韓国は中国に対抗する同盟国」

マーク・エスパー米国防長官が16日(現地時間)、「韓国は米国と共に中国に対抗する同盟国」と述べた。18日に就任予定の徐旭(ソ・ウク)新国防部長官と初めて会う韓米定例安保協議(SCM)を控えてだ。<<…続きを読む>>
―――2020.09.17 15:55付 中央日報日本語版

これは、マーク・エスパー米国防長官が現地時間の16日、米シンクタンクのランド研究所が主催した講演会で、「韓国は米国とともに中国に対抗する同盟国だ」と発言した、とするものです。

中央日報がやや「書きすぎ」かもしれないが…

中央日報によると、エスパー長官は18日に徐旭(じょ・きょく)新国防長官と初めて会い、米韓定例安保協議(SCM)に臨みます(※徐旭氏は退任した鄭景斗(てい・けいと)国防長官の後任です)が、この報道が事実なら、これは明らかに中国に対してというよりも、韓国に対する牽制でしょう。

中央日報が報じたエスパー氏の発言は、次のようなものです(日本語としてやや意味が通じ辛い部分もありますが、基本的に原文のままで抜粋しています)。

中国が米国と潜在的な葛藤を考える時、単に米国だけを考慮してはいけない。米国と日本、オーストラリア、韓国、シンガポールなども考えなければならない。多くの欧州のパートナーもこの戦区(theater)に該当するかもしれない」。

もっとも、これについて、米国防総省のウェブサイトに掲載されている “Secretary of Defense Speech at RAND (As Delivered)” のページをチェックしてみたのですが、「韓国は米国の同盟国」という発言は確認できませんでした。

このため、「韓国を名指しした」という中央日報の報道は、もしかすると「勇み足」という可能性はありますので、注意が必要です(といっても、質疑応答のセッションなど、米国防総省HPには掲載されていない部分で、そういうやりとりがなされていたのかもしれませんが…)。

ただ、エスパー氏の講演内容は、「インド太平洋が米国にとって最も優先して力を入れるべき地区」とするものであるため、「米国の同盟国は米中対立局面で米国の側に着いてほしい」というニュアンスが含まれていることは間違いないでしょう。

いや、もう少し正確に言えば、こうした発言は、「この局面で米国ではなく中国の側に着くというのがどういう意味か、わかっているだろうな」という脅しだ、と見るべきでしょう。

クアッド=アジア版NATO?

さらに、中央日報は次のようにも述べます。

トランプ大統領が再選される場合、米国の対中国安保包囲網の『クアッド』(Quad、インド太平洋戦略の核心となる米日豪印4カ国の安全保障協議体)に対する参加要求がさらに強まるという見方も出ている。

この「アジア版NATO」は、まことに僭越ながら、当ウェブサイトではかなり以前からしばしば言及しているものであり(たとえば『鈴置論考「共通の敵のない同盟の存在意義は薄い」』等参照)、潜在的には対中・対露包囲網としての性質を持ちます。

あるいは、「クアッド」だけでなく、いわゆる「ファイブアイズ」に日本を加えて「シックスアイズ」(『中国共産党が恐れる「シックスアイズ」こそ日本の進路』等参照)などの同盟が重層的に積み重なることも、日本にとっては決して悪いものではありません。

ただし、このような構想が動き出したときに、慌てるのが韓国です。なぜなら、当たり前の話ですが、米国にとっては高いカネを払って守ってやっている同盟国が、自国と中国を値踏みするような動きを取れば、黙ってはいないと思われるからです。

それこそ『鈴置論考が示唆する「日韓関係破綻」の在り方』などでも触れたとおり、米国は中立を嫌いますし、中立国を明確に「敵」と位置付けるでしょうし、もしかしたら中立国に「金融締め上げ」という「サイレント型経済制裁」を加えるかもしれません。

同盟の意義を強調するわけ

さて、本稿で取り上げたものは、いわば、「氷山の一角」であって、米韓同盟の堅牢さを示す発言が、米国側から相次いでいることは気になります。ただ、もし本当に米韓同盟が堅牢なのだとしたら、どうして米国はそのようなメッセージを出すのでしょうか。

おそらくその理由は、米韓同盟が消滅の危機に瀕していることを米国側もしっかりと認識しているからなのだと思います。つまり、米韓同盟が消滅の危機に瀕しているからこそ、わざわざ「同盟は堅牢だ」と主張するのでしょう。

いずれにせよ、もし本当に、近い将来、米韓同盟が消滅するのであれば、米韓同盟や日韓基本条約の存在を前提とした日韓関係は、もはや維持できません。そのことを、果たしてどのくらいの人が理解しているのかは、はなはだ怪しいものがあります。

だからこそ、当ウェブサイトを継続しなければならないのかもしれませんね。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

このエントリーをはてなブックマークに追加    

読者コメント一覧

  1. ちかの より:

    同感です。
    なぜ「堅牢だ」と強調するのか?
    堅牢じゃないから、ですよね。

    1. だんな より:

      ちかのさま
      K牢ニダ。

  2. だんな より:

    新宿会計士さんらしい、良く纏まったお話だと思います。
    韓国論については、嫌韓、知韓、笑韓、呆韓、親韓など、様々なバリエーションが有りますので、二つに区分する事は出来ないと思います。
    朝鮮半島生命線説は、大日本帝国時代に朝鮮併合を行う元になりました。当時は必要だったかも知れませんが、そのコストパフォーマンスが悪く、今では、過去の常識を工作員が、利用している面が大きいと思います。
    日本は、もっと良い方法で、国防全体を考え直す必要が有ると思います。
    日韓関係は、米韓、日米関係の変数で、中国まで変数に加わってきます。その為、日韓二国間だけを見て評価しても、意味が無い点に共感します。
    日韓二国間の葛藤の多くは、両国の価値観が、ほぼ正反対に乖離している事が原因だと思います。
    日本人が、かく有るべきと考える常識は、韓国のかく有るべきという思想、妄想に覆されて来ました。
    QUAD構想は、米中対立の進展と共に、それが必要だと考える国によって構成されていくでしょう。
    アメリカは、韓国に加わるように言っていますが、同盟という関係上、声を掛けているだけだと思います。
    そろそろ、韓国の二股外交にアメリカのストレスが、高まっていると思います。それでも韓国は、最大限の利益を追求する為に「二股外交」を止める事は、無いと思います。
    アメリカに付くフリをして、何かを要求する事はあれど、信頼できる米韓関係になる事は、無いでしょう。
    かと言って、米韓同盟が破棄になるには、韓国内の反米が、プロセスとして必要です。
    真田、鈴置両先生が言う、アメリカが韓国を殴る時が先に来ないと、起こらないと思います。

  3. より:

    昨年来、アメリカとしては何度も「踏み絵」を用意してきましたが、韓国は事実上すべてスルーしてきました(GSOMIAの一件を除く)。ことここに至っては、アメリカとしても韓国抜きでの戦略を考えざるを得ません。おそらく、防衛ラインが対馬海峡まで下がった場合についての検討はすでに済ませているものと思われます(自衛隊も同様)。そして、同盟の実質的空洞化が進んでいるからこそ、アメリカは「強固な同盟」を語っているのだという見立てには全面的に同意します。
    ただ、アメリカ側から米韓相互防衛条約を破棄することはおそらくないと思います。というのも、全6条からなるこの条約は、以下を除いて、ほとんど実質がない条約だからです(下記URL参照)。

    第4条: アメリカ軍が韓国に駐留する権利を許与すること。
    第6条: 無期限であること。ただし一方が廃棄を通告した場合、1年後に失効する。

    アメリカにすれば、わざわざ廃棄するほどのものではありません。この条約によってアメリカは韓国に軍を配備する権利を得ましたが、何の義務をも負っていないからです。(あとは「協議する」とか「努力する」とか)

    アメリカは韓国とこの条約を利用できる限りは利用しようとするでしょうが、どこかの時点で効果的に「在韓米軍撤退カード」を切ってくるような気がします。

    参考: https://worldjpn.grips.ac.jp/documents/texts/docs/19531001.T1J.html

    1. りょうちん より:

      >第6条: 無期限であること。ただし一方が廃棄を通告した場合、1年後に失効する。

      あれえ。じゃあ毎年のように「米韓同盟はいつでも解消できる」とか言わなくちゃw

      1. 門外漢 より:

        りょうちん 様へ
        その為には、一旦廃棄を通告して、然る後にそれを凍結する、という「鮮やかな手続き」が必要なんじゃありませんか?wwww

  4. 横田無線 より:

    はじめて書き込みます。皆様よろしくお願いします。

    さて、韓国の話題で出ておりました。米国の対中国安保包囲網の『クアッド』(Quad、インド太平洋戦略の核心となる米日豪印4カ国の安全保障協議体)については。
    菅義偉首相は『クアッド』には参加しない意向だと産経新聞の報道ですが。
    やはり親中度合いの強い公明党とのシガラミなのでしょうかね ?
    菅首相は「敵、味方を作ってしまう恐れがある」と主張しておりますが、米国は中立を嫌い、中立国を明確に「敵」と位置付けるとするなら。
    安倍路線を引き継ぐと考えていた私らは少々不安を覚えますよね。

    ・菅氏、アジア版NATO「反中包囲網にならざるを得ず」 自民党総裁選候補が公開討論会
    https://www.sankei.com/politics/news/200912/plt2009120053-n1.html

    1. 阿野煮鱒 より:

      > アジア版NATOは石破氏が提唱する構想。

      これが全てでしょう。石破氏に外交・安全保障で権限を持たせたら何をしでかすかわからない。でも面と向かって「お前は信用ならん」とは言いにくいので別の口実を使った、と。

      ただし、ご懸念どおり二股外交を宣言するようで米国の心証が悪いでしょうね。記者会見では万全の管さんですが、討論は今ひとつキレがないように感じてしまいます。

      「NATOは軍事同盟である。憲法九条の制約下にある日本は、多国間の軍事紛争に巻き込まれる可能性のある軍事同盟には慎重であるべき」とかいっておけばパヨチンも喜ぶと思います。(棒)

    2. インド太平洋構想 より:

      正式なものとしてのクアッドやアジア版NATOに否定的であるのは自由で開かれたインド太平洋構想の概念とは違った枠組みであるからです。ここに親中とか媚中とかは一切関係ありません。そもそもですが包摂的であるインド太平洋構想は中国を排除していません。菅さんの発言は安倍政権の認識と同じものです。もちろん、今以上に情勢が悪化すれば集団的自衛権の枠組みが必要になると思いますが、インド太平洋構想の推進強化というベースもなし出来るものではありません。

      補足になりますが、公開討論において、菅さんが石破さんに質問していたのは「集団的自衛権」としてのアジア版NATOについてであり、石破さんがいっていたアジア版NATOは国連と同じで「集団安全保障」としての構想です。ですので、石破さんに対して信用ならんとかで否定したわけではなく、菅さんが集団安全保障というものを理解していなかったのか(石破さんが今までにしっかり説明してなかったのかも)、またはNATOは集団的自衛権と集団安全保障の2つの面がありますが一般的には集団的自衛権として認識されているために、アジア版NATO議論を反中包囲網形成論としたくないために見える形で否定したかな、と思われます。当方は石破酸の中露を排さない集団安全保障としてのアジア版NATOにも反対です、といか成立しないです。

      インド太平洋構想は簡単にいうと、「法の支配を含むルールに基づく国際秩序の確保、航行の自由、紛争の平和的解決、自由貿易の推進といった自由主義的秩序の諸原則の追及を前提に、アジアからアフリカ、太平洋とからインド洋を繋ぐ地域を国際公共財として位置付け、そのダイナミズムを利用して世界成長のエンジンとするもの」です。であるからこそ、対中依存の大きいドイツも参加しようとしていますし、中国の影響の大きい東南アジアも太平洋島嶼国も賛成するわけです。中国は明確な脅威ですが、安易な対中包囲網形成はインド太平洋構想を破綻させてしまいます。中国の脅威の対処は日米同盟の強化で対応するべきです。ファイブアイズとも今まで通り連携強化で十分で、正式なシックスアイズにしてしまうことは米国に不信感の強い仏独との連携の支障になりますし、米EU、英EUの仲立ちを日本が行うことを困難にしてしまいます。日、米、欧、の結束に加え、インド、東南アジア、インド太平洋島嶼国がゆるく連携できれば中国にインド太平洋地域を独占されることはなくなり、世界に開かれた市場となり、地域も平和的に発展していきます。

      1. 横田無線 より:

        インド太平洋構想 さま 

        詳細な解説を賜りありがとうございました。
        包摂的であるインド太平洋構想は中国を排除しておらず。
        菅義偉首相の発言は安倍政権の認識と同じものとのことで少しばかり安堵致しております。

        ただ、自由で開かれたインド太平洋構想(以後、FOIP構想と記載)ですが。
        中国としては、日本のFOIP構想を対中封じ込めの戦略として捉えて強く警戒していると思います。
        日中のセキュリティ・ジレンマです。

        そして今、米中間の緊張は危険な領域に達し、南シナ海などで米中軍事衝突がいつ勃発しても不思議ではない状況です。
        そうなれば米国の同盟国として日本は米中の軍事衝突に無関係を装うことはできません。

        また、最近の中国艦船の尖閣諸島周辺での航行や越権行為・人民軍の活発化といった現状からも。
        日中間での衝突さえも有り得ないとは言い切れないと思われます。

        ですから日本の取るべき道は、FOIP構想内の地域秩序に拘らず。
        国際秩序全体の在り方について中長期的な観点から再考すべき時期ではないかと思うのです。

        菅義偉首相は「敵、味方を作ってしまう恐れがある」と主張しますが。
        ・米国が日本の中立を嫌い、中立国は明確に「敵」と位置付けるとしたなら。
        ・中国が日本のFOIP構想を対中封じ込め戦略として捉えて警戒しているなら。

        日本がFOIP構想の執着して曖昧な立ち位置であろうとすると、却ってインド太平洋の地域秩序を乱し国際秩序に混乱が生じます。

        日本は『クアッド』や『シックスアイズ』に積極的に参加することこそが日米同盟の進化でもあり、中国への一番の抑止力ではないのでしょうか。

        更に日本の立ち位置次第で「中国への抑止力」が構築されるとするなら。
        それがインド太平洋の地域秩序にとどまらず、中国を含めた国際秩序全体にとっての平和と利益を齎すとも考えます。

        やはり菅義偉首相には、お茶を濁さずに日本の対中戦略はハッキリと示して欲しいと思う次第です。
        菅義偉首相を応援する国民は皆、安倍首相以来ハッキリとした毅然とした対外姿勢を望んでいるのですから。

        1. インド太平洋構想 より:

          横田無線さんの言われることも理解できます。

          その上で、【1、日本の仮想敵国は中国であると明言すること及びその対策をすること】【2、対中包囲網を形成すること】を分けて考えないといけないのかなと思います。この2つは似ているようで全く異質のものです。

          1は純粋な抑止力で、国家安全保障戦略に中国は脅威だと記載する(未だ出来ていない)、自衛力を高めつつ日米同盟も強化する(その最中ですね)、クアッド概念や準同盟国との関係を強化する(ACSAや共同訓練等で)、ファイブアイズ+日仏独の枠組み(サイバー関連でやってますね)などなどです。これに関しては迅速に対応強化していくべきかと思います。日本のための軍事的な対中抑止力は基本的にコレで問題ありません。周辺国の紛争の対応も周辺事態に該当するかどうかだけなので同じです。

          2は抑止力に加えて、中国を排除する意図。中国を排除する意図がどう映るかは各国の対中認識や依存度で異なります。1であればどの国家でも理解してくれると思いますが、2の場合はそうはいきません。現状においては1で充分であり2は過剰な対応として映ってしまいます。また、自由民主主義は普遍の概念ではなく、そうではない国家では極端な言い方ですが米国中心の帝国主義の押し付けにしか映りません。すでに多極化の時代になっています。その証拠に米国の同盟国である韓国ですら米国の押し付けに抵抗しています。この時代に米国の「押し付け」でアジア版NATOなどの広範な対中包囲網を形成するなどは不可能に近いです。

          >米国が日本の中立を嫌い、中立国は明確に「敵」と位置付けるとしたなら

          まず前提として、日本は中立など選択するべきではありません。当たり前のように米国側に付くべきです。菅政権が中立を選択することもないです。また、対中包囲網に反対したからといって米国は日本を敵視するようなことはありえません。ビーガンさんがクアッドプラスについて発言した際に「中国の脅威や中国からの潜在的な挑戦に対応するだけでは(クアッドプラス等の)十分な推進力にはならない」と発言していますから、米国もそういった対中包囲網形成に無理があることは自覚しています。ですので、小さい形からはじめるのだと思いますが、それがどう映るのかは前述の通りです。何でも米国が正しいのではありません。米国のいない日本は中国にタコ殴りされますから中立を選択しようもない日本をあえて敵国認定して最も重要な同盟国を失い覇権国から完全に滑り落ちるのは米国自身ですので何のメリットもありません。

           ビーガンたん発言
           https://www.state.gov/deputy-secretary-biegun-remarks-at-the-u-s-india-strategic-partnership-forum/

          >中国が日本のFOIP構想を対中封じ込め戦略として捉えて警戒しているなら

          自由で開かれたインド太平洋構想は、本音では既に赤く染まった海をなるべく青く戻す戦略なんですよね、建前は自由と経済繁栄なのですが。それは欧州、東南アジア、島嶼国も理解しています。当然、中国も理解していますから何の問題もありません。「可能であれば共存する、害があれば追い出す」と「はなから敵だと皆で決めつけて封じ込め」は違う概念です。

          >日本がFOIP構想の執着して曖昧な立ち位置であろうとすると、却ってインド太平洋の地域秩序を乱し国際秩序に混乱が生じます

          国家安全保障戦略で中国を仮想敵国扱いすれば良いだけです。インド太平洋構想と何ら矛盾しません。基本的に島嶼国や途上国は米中両方(ついでに日も)から利益を得たいと考えます。当然だと思います。インド太平洋地域そのものが曖昧な国家戦略な国家だらけなので日本が曖昧だから秩序に混乱が生じるといったことはありえません。むしろ中共の進出が現地の秩序を崩壊させています。それに日本人も加担していたりしていて恥ずかしい限りです。

          >日本は『クアッド』や『シックスアイズ』に積極的に参加することこそが日米同盟の進化でもあり、中国への一番の抑止力ではないのでしょうか

          おっしゃる通りです。激しく同意します。とはいえ、抑止力獲得と同時に大切な何かを失うかもしれませんね。正式なクアッドが成立したとして日本が攻撃されても応援に来れるのは米国だけです。インドや豪州に十分な外征力はありません。ということは概念としてのクアッドとなんら変わりないということです。リスクだけ抱える形ではないのでしょうか。シックスアイズも正式化して6カ国が一体になれば、確実にEU(仏独)との温度差が更に開きます。英国がEUを離脱したことで米EUの仲介役ができなり、唯一可能であった日本もいなくなります。英国は傲慢な態度で離脱し、その後も同じ態度で交渉をしていますから信頼低下していますし、日英貿易交渉を早期にまとめたことで日本もばっちりを受けている最中だったりします(日本は何でも良いのか?的な)。この状態でのシックスアイズ正式化は西側諸国を分断します。仏独も引き込まないとインド太平洋構想は成功しません。日米の負担が大きすぎるからです。中国VS6Eでは軍事的にも勝てない時代が来るかもしれませんが、中国+その他VS日米英加+EU+インド+東南アジアであれば経済規模で圧勝なので紛争にすら発展しません。完勝です。戦う必要すらありません。

          ■米国の行動をどのようにコントロールするかの話

          自国で全てを賄える米国はいつかもっと自国に引きこもろうとすると思います。であれば何をすれば米国をアジア太平洋地域に留めることができるのかということです。今、中国の脅威はあるからと一緒になって包囲網まで形成して中国と敵対するのが米国をインド太平洋地域にとどめることに繋がるのでしょうか。そうは思いません。インド太平洋地域が米国にとって魅力的な場所であれば引きこもることは無いでしょう。広範な対中包囲網の形成などは米国にとって余計に負担だけが増すだけです。

          ■いま必要なのは島嶼国や途上国支援

          米国はパラオに軍民共用の施設建設を計画しています。日本もODAを通じて各国に関与しています。とはいえ、全く足りていないのです。仏にいたっては仏領ポリネシアも満足に管理できておらず中共が跋扈しているようです。既に太平洋島嶼国は真っ赤かなので、キリバスが台湾と断交しましたよね。島嶼国では中国の進出により不正と犯罪が横行しています。日本も無関係ではなく被害を受けています。日米豪が関与しなくなった隙をついて中国が入り込んだということです。島嶼国の広大なEEZも、中国が、島嶼国、アフリカ諸国と結託し、中国の都合よい概念に変更してしまうかもしれません(そういう兆候があるのです)。そうなれば被害を受けるのは日本や東南アジア諸国です。【これこそ秩序の破壊で、確実に紛争になります。】今後人類が食料問題を抱える以上、EEZの概念はシビアな問題になっていくのだと考えています。そういう隙を与えないために積極的にエンゲージしていくべきでしょう。その際に単純な対中包囲網は邪魔になります。前述のように島嶼国や途上国は米中両方(ついでに日も)から利益を得たいと考えているからです。軍事同盟的な枠組みも少なくともそういった国家に配慮したものであるべきでしょう。例えば、日米英豪仏の軍事的な連携同盟が成立したとして、同じその枠組みで島嶼国や途上国支援を行うような。つまり、その地域に根ざし理解されメリットがあるような枠組みでなれけば何の意味もないということです。ビーガンさんはこのあたりのことを理解して言っているのかもしれませんね。

          ■書きなぐったので適当な部分もあると思いますがニュアンスだけは伝わるのではないかと思います。クアッドやアジア版NATOを全面否定するつもりはありません。中国は脅威です。怖いです。だからこそ冷静にならないといけません。怖いからといって感情的になれば負けます。参考として気に留めていただければ幸いです。

          ■あと、公開討論での発言は以下のリンクで該当部分から始まります
          https://youtu.be/mafy4vJ4kR8?t=2361
          当該の内容は4分間ほどですのでサクッと見れます

        2. インド太平洋構想 より:

          横田無線さんの言われることも理解できます。

          その上で、【1、日本の仮想敵国は中国であると明言すること及びその対策をすること】【2、対中包囲網を形成すること】を分けて考えないといけないのかなと思います。この2つは似ているようで全く異質のものです。

          1は純粋な抑止力で、国家安全保障戦略に中国は脅威だと記載する(未だ出来ていない)、自衛力を高めつつ日米同盟も強化する(その最中ですね)、クアッド概念や準同盟国との関係を強化する(ACSAや共同訓練等で)、ファイブアイズ+日仏独の枠組み(サイバー関連でやってますね)などです。これに関しては迅速に対応強化していくべきかと思います。日本のための軍事的な対中抑止力は基本的にコレで問題ありません。周辺国の紛争の対応も周辺事態に該当するかどうかだけなので基本的に同じです。国会では事前にしっかえいと議論しておくべきでしょう(台湾有事、南シナ海有事)。

          2は抑止力に加えて、中国を排除する意図。中国を排除する意図がどう映るかは各国の対中認識や依存度で異なります。1であればどの国家でも理解してくれると思いますが、2の場合はそうはいきません。現状においては1で充分であり2は過剰な対応として映ってしまいます。また、自由民主主義は普遍の概念ではなく、そうではない国家では極端な言い方ですが米国中心の帝国主義の押し付けにしか映りません。すでに多極化の時代になっています。その証拠に米国の同盟国である韓国ですら米国の押し付けに抵抗しています。この時代に米国の「押し付け」でアジア版NATOなどの広範な対中包囲網を形成するなどは不可能に近いです。形成するためには押し付けではない何かしらの動機付けが必要なのです。

          >米国が日本の中立を嫌い、中立国は明確に「敵」と位置付けるとしたなら

          まず前提として、日本は中立を選択するべきではありません。当たり前のように米国側に付くべきです。菅政権が中立を選択することもないでしょう。また、対中包囲網に反対したからといって米国は日本を敵視するようなことはありえません。ビーガンさんがクアッドプラスについて発言した際に「中国の脅威や中国からの潜在的な挑戦に対応するだけでは(クアッドプラス等の)十分な推進力にはならない」と発言していますから、米国もそういった対中包囲網形成に無理があることは自覚しています。ですので、小さい形からはじめるのだと思いますが、それがどう映るのかは前述の通りです。何でも米国が正しいのではありません。米国のいない日本は中国にタコ殴りされますから中立を選択しようもない日本をあえて敵国認定して最も重要な同盟国を失い覇権国から完全に滑り落ちるのは米国自身ですので何のメリットもありません。

           ビーガンたん発言
           https://www.state.gov/deputy-secretary-biegun-remarks-at-the-u-s-india-strategic-partnership-forum/

          >中国が日本のFOIP構想を対中封じ込め戦略として捉えて警戒しているなら

          自由で開かれたインド太平洋構想は、本音では既に赤く染まった海をなるべく青く戻す戦略なんですよね、建前は自由と経済繁栄なのですが。それは欧州、東南アジア、島嶼国も理解しています。当然、中国も理解していますから何の問題もありません。日本側の公開資料ですべて理解できますので。また、「可能であれば共存する、害があれば追い出す」と「はなから敵だと皆で決めつけて封じ込め」は違う概念です。

          >日本がFOIP構想の執着して曖昧な立ち位置であろうとすると、却ってインド太平洋の地域秩序を乱し国際秩序に混乱が生じます

          国家安全保障戦略で中国を仮想敵国扱いすれば良いだけです。包摂的なインド太平洋構想と何ら矛盾しません。基本的に島嶼国や途上国は米中両方(ついでに日本も)から利益を得たいと考えます。当然だと思います。インド太平洋地域そのものが曖昧な国家戦略な国家だらけなので日本が曖昧だから秩序に混乱が生じるといったことはありえません。むしろ中共の進出が現地の秩序を崩壊させています。それに日本人も加担していたりしていて恥ずかしい限りです。

          >日本は『クアッド』や『シックスアイズ』に積極的に参加することこそが日米同盟の進化でもあり、中国への一番の抑止力ではないのでしょうか

          おっしゃる通りです。激しく同意します。とはいえ、抑止力獲得と同時に大切な何かを失うかもしれませんね。正式なクアッドが成立したとして日本が攻撃されても応援に来れるのは米国だけです。インドや豪州に十分な外征力はありません。ということは概念としてのクアッドとなんら変わりないということです。リスクだけ抱える形ではないのでしょうか。シックスアイズも正式化して6カ国が一体になれば、確実にEU(仏独)との温度差が更に開きます。英国がEUを離脱したことで米EUの仲介役ができなり、唯一可能であった日本もいなくなります。英国は傲慢な態度で離脱し、その後も同じ態度で交渉をしていますから信頼低下していますし、日英貿易交渉を早期にまとめたことで日本もばっちりを受けている最中だったりします(英国は国際法に違反してるのに日本は何でも良いのか?的な雰囲気)。この状態でのシックスアイズ正式化は西側諸国を分断します。仏独も引き込まないとインド太平洋構想は成功しません。日米の負担が大きすぎるからです。中国VS6Eでは軍事的に勝てない時代が来るかもしれませんが、中国+その他VS日米英加+EU+インド+東南アジアであれば経済規模で圧勝なので紛争にすら発展しません。完勝です。戦う必要すらありません。

          ■米国の行動をどのようにコントロールするかの話

          自国で全てを賄える米国はいつかもっと自国に引きこもろうとすると思います。であれば何をすれば米国をアジア太平洋地域に留めることができるのかということです。今、中国の脅威はあるからと一緒になって包囲網まで形成して中国と敵対するのが米国をインド太平洋地域にとどめることに繋がるのでしょうか。そうは思いません。インド太平洋地域が米国にとって魅力的な場所であれば引きこもることは無いでしょう。広範な対中包囲網の形成などは米国にとって余計に負担だけが増すだけです。

          ■いま必要なのは島嶼国や途上国支援

          いま米国はパラオに軍民共用の施設建設を計画しています。日本もODAを通じて各国に関与しています。とはいえ、関与が全く足りていないのです。仏にいたっては仏領ポリネシアも満足に管理できておらず中共が跋扈しているようです。既に太平洋島嶼国は真っ赤かなので、キリバスが台湾と断交しましたよね。島嶼国では中国の進出により不正と犯罪が横行しています。日本も無関係ではなくサイバー犯罪など被害を受けています。日欧米が関与しなくなった隙をついて中国が入り込んだということです。島嶼国の広大なEEZも、中国が、島嶼国、アフリカ諸国と結託し、中国の都合よい概念に変更してしまうかもしれません(そういう兆候があるのです)。そうなれば被害を受けるのは日本や東南アジア諸国です。【これこそ秩序の破壊で、確実に紛争になります。】今後人類が食料問題を抱える以上、排他的経済水域の概念は問題になっていくのだろうと考えます。そういう隙を与えないために積極的にエンゲージしていくべきでしょう。その際に単純な対中包囲網は邪魔になります。前述のように島嶼国や途上国は米中両方(ついでに日本も)から利益を得たいと考えているからです。軍事同盟的な枠組みも少なくともそういった国家に配慮したものであるべきでしょう。例えば、日米英豪仏の軍事的な連携同盟が成立したとして、同じその枠組みで島嶼国や途上国支援を行うような。つまり、その地域に根ざし理解されメリットがあるような枠組みでなれけば何の意味もないということです。インド太平洋構想を上手くできなければ効果的な包囲網は形成できないのです。南シナ海や島嶼国エリアでの寄港地がなければ何もできません。また、島嶼国は広大なEEZを全く管理できてませんので、米沿岸警備隊や、今は法的に難しいのですが海上保安庁や海上自衛隊の直接の協力も必要かなと思っています。ミクロネシア3国に巡視船の供与なんかはやっていますね。もっと関与すべきだと政府に提言している学者さんたちもいますので、これから進むのだと思います。

          ■書きなぐったので適当な部分もあると思いますがニュアンスだけは伝わるのではないかと思います。クアッドやアジア版NATOを全面否定するつもりはありません。中国は脅威です。怖いです。だからこそ冷静にならないといけません。怖いからといって感情的になれば負けます。参考として気に留めていただければ幸いです。

          ■あと、公開討論での発言は以下の動画のリンクで該当部分から始まります
          https://youtu.be/mafy4vJ4kR8?t=2361
          当該の内容は4分間ほどですのでサクッと見れます、ソースは誰よりも見てる大丈夫。

          ■ついでに、安部政権下での自由で開かれたインド太平洋構想については人によって認識に差があり過ぎるので以下の資料をご覧いただければ、本当の姿を理解できると思います。
          http://www.nids.mod.go.jp/publication/east-asian/pdf/eastasian2020/j07.pdf
          191~197ページを参照
          安倍さんは別に中国とガチンコ対決しようとしているわけじゃないよ、もちろん最悪のケースは考慮して同盟強化やインド太平洋構想に取り組んできたのではあるけど。

    3. ケロお より:

      皆様
      菅氏が、「アジア版NATO」について「反中包囲網にならざるを得ない」との理由で否定的な発言をしたとして注目をしていますが、きちんと発言の内容を吟味する必要があると思います。マスコミは多くの場合、自社の理念に沿って発言を切り貼りしたりして印象操作をします。
      ちょっと探した範囲では下記のリンクが最も詳細です。
      https://news.yahoo.co.jp/articles/4299649cec78064c6dac5e244dde8ba543ca05b5

      該当部分を以下に抜き出します。前後と略した部分は各自確認をお願いします。
      菅氏「もう一つ、石破さんに安全保障の件で質問をしたいと思います。石破さんよく提唱してますアジア版NATO、これについて質問したいと思います。引き続きNATO型の同盟が機能しているヨーロッパの状況と現在のアジアの状況では大きく異なっていると思います。特に米中が対立する中で、アジア版NATOというのは、どうしても反中包囲網にならざるを得ないのではないか。
       これは日本外交が目指してます戦略的外交から比較をすると正しくはないのではないかなというふうに思います。国益を資する外交を進めていく観点から、このアジア版NATOについての意義を、ぜひご説明いただければと思います」
      (中略、石破氏の発言)
      菅氏「アジア太平洋地域というのは、欧州と比較して域内の国がまだ発展段階、あと政治的、経済的、安保上も、これいずれも大きく異なっているんじゃないかなというふうに思います。このアジア版NATOの創出というのは、この域内に敵味方、そうしたものを作ってしまう、そういうおそれがあるというふうに思ってます。
       わが国が目指すべきは、まず日本外交の基軸たる日米同盟を基本として、自由で開かれたインド太平洋、ここを戦略的に推進することが私は大事なことじゃないかなというふうに思います。このアジア版NATOには、アジアのASEANの国々が、なかなか私は参加もできないのじゃないかなというふうに思います」
      (以上引用終わり)
      私には、菅氏は石破氏の言うところの「アジア版NATO」は否定し、安倍政権で推進していた「自由で開かれたインド太平洋」を強く肯定しているようにしか読めません。

      要は「ソース読め」ということです。

      1. 団塊 より:

        ケロお さんへ

        書き起こしありがとうございます。
         誰かさんの文が長過ぎて読めやしないし邪魔なだけでしたが、お陰さまで立候補した菅長官が石破を否定した話なだけと分かりました。
         ソースのご提示ありがたいです。ありがとう。

  5. めがねのおやじ より:

    更新ありがとうございます。

    わざわざ「韓国は米国の同盟国だ」と言わなければならないほど、「ヨソ見んな!」と韓国を脅してるんでしょうね。でも米国からは韓国の「カ」の字も出てない(失笑)とか。豪、日らと並べて呼んで欲しい、、中央日報の妄想ですね。

    もう、米韓は全然信頼関係は無いでしょう。海軍演習にも参加しなかったようだし、中国のポチです。

    とりあえず役立たずの味方のフリする韓国には、一切マル秘情報は渡せないが、米国としたら朝鮮半島でキナ臭い事が起きるのが、一番良いのではないでしょうか。大陸や日本で起きて貰うより、ずっとマシ。最悪、日本がイージスになってくれる(笑)。

    米韓同盟が無くなれば、日韓基本条約も裏書きしてくれる国はありません。ガチで敵になりますな。日本が戦後賠償したもの、すべて計算し直して請求しようぜ!

  6. カズ より:

    ①まだ自国企業の債権回収が終わっていないから。
    ②まだ在韓米軍の撤収準備が整っていないから。
    ③彼らの足下にある脚立は自分で蹴飛ばして欲しいから・・。

    それ以外の理由はあるのでしょうか?

    最終的にはTHAADの追加配備を強力推進すれば、韓国も立場を決めざるを得なくなるような気がします。

    1. 門外漢 より:

      カズ 様へ
      私もそう思います。
      「お前は死んでいる」と言う時は、既に殺してしまっているので、それまでは「生きている」と思わせておけば良いのです。

  7. 東京カモノハシ倶楽部 より:

    ブログ主様
    以前、「対韓経済制裁論と鈴置論考「韓国の核武装中立」の衝撃」でご紹介いただいた「誅韓論」もよい書籍だと思います。
    対韓国を考えるうえでこの2冊は必須かと思います。

  8. 豆鉄砲 より:

    ふふふ。

    米中対立と米韓同盟消滅の土壇場を利用してスムーズに竹島の韓国軍を追い出せそうですね。

  9. 自転車の修理ばかりしている より:

    韓国は米国の遣り口をわかっていません。米国の隷下にある状況も自覚できていません。不安定な軍事同盟を米国が甘受すると思っているのでしょうか。あるいは寝返りを笑って見逃すとでも?金正恩暗殺計画(斬首計画)が取り沙汰されていますが、その前に文在寅の首が政治的にか物理的にか飛ぶ可能性もあると思っています。米国政府は試案としてなら検討しているでしょう。テロリズムは韓国の称揚するところですから、下手人候補者には不足はありません。トランプ大統領は個人的にはそういう濡れ仕事を嫌うと感じますが、「同盟国が敵側に寝返るのを許した」という失点を許容できるかというと、判断に苦しむのではないでしょうか。

    ただ、その実施後の推移が米国の思い通りに行くかというと、それも難しそうです。イラクでちょっかいを出した挙句の大混乱としくじりを思い出さずにはいられません。

    韓国が樹木だとすると、いきなり根こそぎに倒れてもらうのは日本にとって都合がわるいのです。徐々に枯死してくれることを願っています。米国の匙加減は如何なんでしょうか。

    1. れんげ草 より:

      自転車の修理ばかりしている 様

      >徐々に枯死してくれることを願っています。

      賛成です。願わくば枯死した後も中共などの巨木が生い茂ることができないように只そこに存在してくれれば…と思っています。
      花も咲かない実も成らない枯れた樹木が近くにあるのは殺風景ではありますが、近くで巨木が生い茂ってしまうと日本の陽当たりが悪くなりますから。
      日本への陽射しが遮られれば日本も枯れてしまいます。
      韓国は枯死したまま只そこで存在してくれればよいです。

  10. ひろた より:

    先週ポンペオ長官がインタビューでこれからは二国間同盟より他国間同盟を重視するとの発言がありましたのでエスパー長官の発言もこの流れなのだと思います。
    韓国の新聞記事は国内向けにちょっとだけ付け足したのではないでしょうか。チラッと言ったのを大きく取り上げたという可能性もあります。
    いずれにしてもアメリカは韓国にプレッシャーをかけ続けて行き、韓国は国内向けの発言に終始するパターン。
    もしトランプが負けちゃうと大変なことに。

  11. 匿名希望の平民 より:

    韓国国防長官『日本軍から国を守ったニダ!誇らしいニダ!』
    https://news.v.daum.net/v/20200918143118688

     韓国の国防部長官が交代しました。退任するチョン・ギョンドゥ長官は退任の演説で、
    在任中の功績として『日本の哨戒機が韓国海軍艇に脅威飛行をしたが、
    危機対応で、追い払ったニダ!』と、述べた。
     レーダー照射で、日本の自衛隊機を撃退したと誇らしげに話す韓国の前国防部長官。  

     反日活動の休止は、束の間だったようです。
    また、韓国のうんざりする反日活動が再開されたのでしょうか??

    無かったことにしようとしてるけど、レーダー照射で敵対行為をしたのは韓国軍。謝れ。

  12. おとら より:

    「米韓同盟は強固」というアメリカ兄貴の発信は、そのまま素直に受け取ってまちがいない。

     ポイントは、韓国 と 文政権 とは切り離すべき、じゃないかな。「なぜあんな人が大統領に」というトランプの発言・これは率直な感想だと思うが、文政権は不要だが、韓国そのものは、まだまだアメリカにとって重要なものだ、ゆえに同盟は強固である、というわけだ。
     さらにいえば、同盟を破棄する場合、それはアメリカが決めることで、韓国ではない、ましてや文政権ごときがあれこれするようなものではない、という気配も感じるね。
     この同盟構造は日米安保条約もおおむね同じ。アメリカが帝国、日本や韓国は朝貢国さ。その席次が、日本が上席なのが韓国はおもしろくないんだろう。しかし、唐の玄宗皇帝のときも日本が↑、新羅が↓と決められた。韓国もいいかげんに自己肥大妄想から脱皮しないとね。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

匿名希望の平民 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
関連記事・スポンサーリンク・広告