【読者投稿】武漢肺炎で若年層も含めて超過死亡拡大か

あれでしょうか?結局のところ、「うがい、手洗い、マスク着用」を励行し、「集・近・閉(しゅう・きん・ぺい)」を回避し、普段から「早寝早起き・腹八分目」、「塩分・糖分・脂質控え目」、「積極的に体を動かす」を励行しなければならない、ということでしょうか?例の武漢肺炎を巡って、待望の第23稿のご寄稿をいただいたのですが、どうも武漢肺炎流行以降、「超過死亡」が増えているというのです。

読者投稿募集のお知らせ

読者投稿の募集と過去の読者投稿一覧』でもお知らせしている通り、当ウェブサイトでは読者投稿を受け付けております。これは、読者コメント欄だけでなく、当ウェブサイトの本文でもオピニオンや論考を発表する機会を、当ウェブサイトの読者の皆さまにも共有していただくための試みです。

ちなみに当ウェブサイトに読者投稿を寄稿していただく際の注意点について、簡単にポイントをまとめると、次の通りです(詳細については上記記事でも明示しています)。

  • ①最低限の条件は、「読んで下さった方々の知的好奇心を刺激する記事であること」
  • ②政治、経済系の話題であれば望ましいものの、基本的にジャンルは問わない
  • ③筋が通っていれば、当ウェブサイトの主張と真っ向から反する内容であっても構わない
  • ④多少のスラングや専門用語があっても良いが、できるだけ読みやすい文体で執筆してほしい
  • ⑤コピーではなくオリジナルの文章であり、著作権等を侵害していないことが必要
  • ⑥個人情報などを特定される内容が含まれていないこと

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

さて、過去に当ウェブサイトに優れた投稿の数々を寄せてくださっている「伊江太」様というコメント主の方から、武漢肺炎に関する23本目の読者投稿をいただきました。武漢肺炎以外のテーマを含めれば24本目です(過去論考については本稿末尾にまとめておきます)。

伊江太様によると、どうも最近になって、超過死亡が増え始めているというのです。いったいどういうことでしょうか。

これに関し、頂いた投稿を紹介します(漢字かな遣いなど、部分的に添削している箇所や、NHKへのリンクを削除しているなどの点はありますが、基本的に投稿の原文どおりです)。

~日本の武漢肺炎第23報~

『武漢肺炎死は高齢者限定のはなしじゃない!救いは「賢明な60歳代」の存在』

一昨年から昨年に掛けて、年をまたぐ頃始まった武漢肺炎ウイルスオミクロン株の流行は、それまでの都合5波の流行とは明らかに様相の異なるものでした。

前2稿(2023/02/27 08:00付『【読者投稿】オミクロン株の病原性は低下しているのか』、2023/05/30 08:00付『【読者投稿】「武漢肺炎」、警戒を緩めるにはまだ早い』)に書いた内容を簡単にまとめると、次の通りです。

  1. △国民のワクチン接種完了率(2回接種)が70%を超えた後に起きた流行である。▼しかし、以後の流行も含め、その規模はそれまでのいずれをも凌ぐものであった。
  2. △第5波以前に比べ、PCRまたは抗原検査で検知された感染者数のうち、入院を要するまでに悪化する症例の割合は、顕著に低下した。▼しかし、入院数そのものついてみれば、第6、7、8波と流行のたびに拡大し、最大値を更新し続けている。
  3. △入院を要した症例のうち、重症病床への収用にまで悪化した割合は顕著に減少した。▼しかし、入院者のうち、死亡に至る割合はワクチン普及前の流行を上回るほどに高くなっている。
  4. △武漢肺炎による死亡の圧倒的大部分は70歳以上の高齢者であり、それは季節性インフルエンザの強力な変異株が流行したときの状況と大差はない。▼しかし、2022年の1年間に10万人を超えるかつてない規模の超過死亡が生じている。公的に武漢肺炎によるとされている死亡に加え、それをはるかに上回る数発生した死亡が、流行と無関係に生じたとは信じがたい。またそのほとんどが高齢者層で起きているのか否かは、(前回投稿の時点では)不明である。

昨年起きた第6波から第8波までの流行のいずれを取っても、わが国が最初に経験した流行とは比較にならないスケールになっています。検査陽性者数で比較すれば、その規模は100~300倍にもなります。

いきなりそれくらいの規模の流行に不意打ちで襲われたのが、かつての欧米諸国なのですが、武漢肺炎とのファーストコンタクトによって生じた混乱は、日本でも状況はさほど変わらなかったと思います。

一般人が入手できる唯一の防御手段と考えられたマスクは、店頭から姿を消し、ネット上で目を疑う価格で販売される

周囲の目を恐れて、感染者は自宅に引きこもって感染の事実を隠し、感染者を受入れる医療施設の職員は、その家族まで含めて忌避、イヤガラセの対象にされる

隣県でクラスターが発生したとニュースが報じれば、他県ナンバーの車を入れまいと県境に自警団まがいの集団が現われる

…、等々、話半分にしたところで、大変な混乱が起きたわけです。

あとになって振り返れば、かかるパニック的反応は、暗がりで灯に照らされて映る己の影の大きさに怯えるがごとくにも見えますが、実際にその渦中にあっては冷静な判断を下すのはなかなかに難しいことでしょう。

社会、経済に及ぼしたネガティブな影響が大きかったのは確かですが、マスク着用習慣の定着、多人数宴会の自粛など、この疾患に対処しなければならないという覚悟を、われわれが一斉に抱く契機となったという点では、それなりに評価すべきかとも思うのです。

現在の社会の雰囲気はと言えば、まったく逆の状況と言えるかも知れません。

専門家と称する人の一部にも、武漢肺炎は今やインフルエンザに毛の生えたようなものに変化しているなどと、平気で言う人まで出て来る始末。その論拠といったら、上に挙げた4項目の前半部分にのみ依拠したもので、肝心の後段についてはほとんど触れません。

それこそ、正常性バイアスの極みというべきではないでしょうか。

先日、2022年分の人口動態調査の結果が厚労省から発表されました。前回投稿の時点では分からなかった、死因別、年代別の年間死者数がこれに掲載されています。これによって昨年発生したあの大きな超過死亡の中身がどんなものだったのか、探ってみました。

一番増えたのは心疾患、次いで老衰、そして脳血管疾患

最近の『人口動態統計月報年計』では、当該年度の死亡数を20の大項目に、更に100以上の項目に細分して公表しています。これらの死因について、2012~2019年(武漢肺炎流行以前)の間の経年変化が、2020年以後明らかに増加方向に振れたとみなせる6つの疾患を選び、図表1に示します。

図表1 武漢肺炎流行の後、死亡率が増加した死因

(【注記】厚生労働省各年度『人口動態統計月報年計/死亡数・死亡率,死因簡単分類別死因別死亡率統計』記載のデータに基づき作成。死因ごとに2012~2019年のデータの分布の傾向に一致する指数関数を求め、それが描く軌跡をグラフ中の青色の曲線で示している。また、実際のデータの理論値からのバラツキの程度を表す標準偏差の2倍(±2SD)以内を淡青色の領域として図示している。個々のデータは、±2SD以内の場合は黒、それを超える値の場合は赤色のマーカーで示している。)

分析期間を2012年からとしているのは、その前年のデータが東日本大震災の影響で、例年と異なる傾向のものが多いことを考慮したのが理由です。

なお、武漢肺炎に関する諸種の調査で、死亡に数えられている症例は、すべて「特殊目的用コード」の項に配当されており、この節で採り上げているいくつかの死因と、重複して数えられていることはありません。

各グラフ上に点で示されているのが、2012年以降各年の死亡率(人口10万人当りの死亡数)です。

これらの値が規則的な傾向をもって経年変化していると仮定して、武漢肺炎出現以前、2019年までの死亡率の推移を指数関数、つまりある年数ごとに値が2倍に増大、または2分の1に縮小するような変化の数学的表現、で表したのが青色の曲線(ほとんど直線に見えますが)です。

実際の報告値に対応している各点は、曲線の上下に散らばるのですが、その乖離の程度を表す標準偏差を計算して、乖離幅が標準偏差値の2倍(±2SD)以内に収まる領域を淡い青色で示しています。

統計学の理論では、偶然による値のバラツキの95%は平均値からの乖離が±2SD以内に収まるとされますから、今の例で言えば、この範囲より大きい、または小さい値が、たまたま現われるとしたら、どちらも100年に2~5回、つまり40年に1回くらいの頻度です。

それが、2年も3年も続いたとするなら、それはもはや「たまたま」というものではなく、そこで明らかな傾向の違いが生じたことを意味するでしょう。

図表1に掲げた「悪性新生物(がん)」、「心疾患」、「老衰」、「脳血管疾患」、「腎不全」、「糖尿病」は、このような基準で報告のすべての項目の中からピックアップしたものです。

じつは、武漢肺炎流行以後、明らかに増加した死因として、もうひとつ「自殺」があるのですが、これについてはやや性格が異なると思いますので、後の節で別に論じます。

心臓、脳、腎臓。特別な関係などなさそうにも見えますが、これらの臓器に共通するのは、短時間でも機能停止すれば命取りになるという点です。

睡眠時には意識の部分の活動が低下する脳にしたところで、全身臓器の司令塔としての無意識領域の活動に夜昼はありません。疲れ知らずにはたらき続けるこれらの臓器には、常時その重量には不釣り合いなほどの大量の血液で酸素、栄養が供給されており、血流に不具合が生じれば、生命に危険が及びます。

がんもまた、多量の血液を要求する組織で、成長する過程で組織内に太い血管を呼び込みます。そして、栄養の要求が満たされなくなり内部に壊死が起きると、多量の出血によるショックで死に至るというのは、がん死亡の中で珍しくありません。

糖尿病も血管の劣化を招く慢性疾患であることはよく知られていますが、死因が糖尿病とされるケースのほとんどは糖尿病性昏睡のような代謝性のものでしょうから、上に挙げた血管の破断、血流障害といった物理的な原因と同一視していいのかは、ちょっと微妙なところ。

しかしどうやら、ここまでに挙げた死因は、武漢肺炎の感染が血管系のダメージを生じると仮定すれば、流行との因果関係は説明できそうです。

呼吸器症状から重度の肺炎へと一気に進む、従来の武漢肺炎のイメージと違って、感染からかなりの時間差をもって血管障害への影響が現われてくるとするならば、病状の顕在化で入院ということになった時点で、最早鼻咽頭の滲出液(しんしゅつえき)の検査にウイルスが引っかからなくとも、不思議ではないでしょう。

老衰。

これは人口動態調査の中では、「症状、徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの」という区分の下位項目として扱われています。

直接の死因と言えるものがなく、ただ衰弱が進んだ結果、とするしかないものを一括りにしているのですから、背後に気付かれない武漢肺炎の感染が潜んでいないとも断定は出来ません。

ただ、武漢肺炎が流行し始めた早い時期から、感染を恐れて自宅に閉じこもることで生じる、高齢者の筋力、気力、認知機能の低下のリスクが指摘され続けてきました。わたしもむしろそちらの方が老衰の増加の理由のように思います。

あとで根拠とする数字を出しますが、武漢肺炎の流行がなかったら2022年の死亡数はこれくらいという期待値に比べて、実際の死亡数は約13.5万人の超過。このうち4万人が武漢肺炎死と認定された人数で、加えて自殺の増加が5千人と見積もられますから、それ以外の死因は大体9万人前後ということになります。

図表2に示すように、2022年に6つの死因による死亡数が期待値から乖離した、つまり超過死亡の幅は、あわせると6万人分の死者数に相当します。

図表2 2022年の超過死亡 死因別発生状況
死因報告値期待値*超過死亡数増加率(%)
心疾患232,879210,23822,64110.8
老衰179,524162,32717,19710.6
脳血管疾患107,47399,1238,3508.4
悪性新生物385.787381,2274,5601.2
腎不全30,74026,3384,40216.7
糖尿病15,91713,9122,00514.4
(小計)(59,155)
自殺21,23816,2065,03231.0
武漢肺炎38,873

(【注記】武漢肺炎流行前の傾向を表す指数関数を、2022年にまで延長して適用し、求めた値。)

武漢肺炎そのものによる死に、これら6つの死因、さらに自殺の増加を合わせると、この年発生した例のない規模の超過死亡の4分の3は説明できることになるのですが、さて、それらすべてを、武漢肺炎のせいにできるのでしょうか?

わたしには、どうにもほかに、理由が思い当たらないのです。

武漢肺炎禍中に減少した死因もある

明らかに2020年以降減少が加速した、あるいは増加が減速した死因もあります。図表3に示す「呼吸器系の疾患」と、「精神行動の異常」とされる死亡です。

図表3 武漢肺炎流行の後、死亡率が減少した死因

(【注記】データの取得、取り扱いと、グラフの表示形式は図表1に準ずる。赤色三角形のマーカーは、武漢肺炎流行前のデータの分布傾向を表す指数関数が指示する値から、対応するデータが標準偏差の2倍以上低い値であることを示す。)

武漢肺炎流行によって「呼吸器系の疾患」が減少したことは、かなりの確度で説明が可能でしょう。

前稿で、2020~21年にかけて学童の感染性胃腸炎が激減したことを紹介しましたが、小児の流行性疾患で武漢肺炎の流行とともにほとんど発生しなくなったものは、ほかにも多数あります。「呼吸器系の疾患」の減少は、その大人版と考えて良いでしょう。要するに「マスク、手洗い習慣」の功徳です。

それにしても、2020年の肺炎死の減少幅が2.3万人というのは大きな数です。

日本の総死亡数は、武漢肺炎の流行が始まったこの年に、従来の傾向から予測される数を、じつは4万人以上も下回っているのですが、呼吸器系疾患の減少は、その半分を説明することになります。

残炎ながら、この一時的な減少は、2022年には元の木阿弥に戻ってしまったのですが、このことも、感染性胃腸炎その他の小児の流行性疾患の状況が、2022年には旧に復している事実とよく整合するように思えます。

2020年の総死亡数の減少には、60歳代のがん死亡数の減少も大きく関わっていると考えられるのですが、これについては後の説で説明します。

「精神行動の異常」とは、統合失調症などの精神疾患による異常行動に加えて、アルコール中道、薬物過剰摂取による死なども入るようです。

図表の数値軸の表記は、人口10万人当りの死者数ですから、その総数はグラフから読み取る値の1,250倍。年間の死者が2万5千人というのはちょっとビックリですが、これが8年間で2倍にも増加していた計算です。

これにある程度歯止めが掛かったとするなら、良いことには違いないのですが、さて、一見何のつながりもなさそうな感染症の流行と精神行動の異常がもたらす死の間に、因果関係などはあるのでしょうか。

それまでのトレンドから標準偏差の2倍を超えるほどの乖離が、武漢肺炎流行期とぴったり重なるように、3年連続で起きたこと自体、まったくの偶然とは思えません。無理に両者を結びつける必要もないでしょうが、敢えて挙げるとするならば、これは老衰死の増加とコインの裏表のような関係にあるのではないでしょうか。

外出の自粛、親戚、知人、友人などとの接触機会の減少が、体力、気力の衰えを招き、老衰死の増加をもたらしたとするならば、これが人によっては、精神的衝動を受ける機会を減らすことで、むしろ心身にとってはセーフティな方向にはたらくことになってもおかしくない。

まあ、屁理屈に過ぎないと、わたしも思わないではありませんが、感染そのものでなくとも、その社会的影響が、この減少の背景にあることは十分に考えられるのではないでしょうか。

超過死亡の発生は、武漢肺炎流行とともに始まっていた

毎年公表される人口動態調査の付表のひとつに年齢階層別の死亡率があるのですが、その年齢区分は5歳刻みになっています。

ちょっと分析項目が多くなりすぎるので、各年の対応人口数(総務省統計局人口推計)と照合の上、区分を10歳区切りに改めて、再計算しました。

考え方は図表1~2に示した方法と同じです。武漢肺炎流行以前の8年間のトレンドから求めた死亡率の期待値から、2020年以降にどの年齢層で死亡率の乖離が起きているかどうかを判定するということです。

人口10万人当りの死亡数が10歳未満児では30人弱であるのに対して、100歳以上になると4万人超というように、年齢層ごとの死亡率には非常に大きな違いがあり、いくつもの年齢層のデータをそのままひとつのグラフに収めるには無理があります。

といって、多数のグラフを並べたのでは、説明が煩雑になる上、一目での比較が困難。そこで、各年齢層とも2019年の死亡率の期待値を1として、各年の値をそれとの比で表すという、ちょっと変則的な手法で示したのが、図表4です。

図表4 年齢階層別にみた武漢肺炎流行後の死亡率の変化

【注記】原データは厚生労働省が毎年公表する『人口動態統計月報年計/死亡率(人口10万対)の年次推移,性・年齢(5歳階級)別』によるが、グラフ化に当たっては、次の二段階の数値変換を行っている。

  • 5歳刻みになっている年齢階層別死亡率を、『総務省統計局人口推計』に報告された各年度の年齢別人口を参考に、10歳ごとの値に再計算した上で、年齢階層ごとに2012~2019年の経年変化を表す指数関数を求める。
  • 年齢階層ごとに、死亡率の経年変化を表す指数関数が示す2019年の値を1として、各年度の値をそれとの相対比で表す。この操作により、経年変化を表す指数関数やそれからの個別のデータの乖離の程度も、正規化された表現でグラフに表示される。

年齢階層ごとのデータ及び経年変化を表す指数関数が描く軌跡は、色分けして表示している。標準偏差の2倍の範囲を逸脱するデータについては、過剰値の場合は大きな径の円形、過少値の場合は三角形のマーカーで、それぞれ示している。

図表の左のグラフには、2019年以前に観察されていた死亡率変動のトレンドが、武漢肺炎流行開始以降、上昇に振れた年齢層、10~50歳代、および70歳代のデータを示しています。

色分けで年齢層を表した円形のマーカーは各年の実データ、同色の曲線は2019年以前の死亡率の推移を指数関数で表したものです。重なり合って見えなくなっているマーカーもありますが、これら年齢層の死亡率は、曲線からの乖離が標準偏差の2倍を超えて上昇しています。

(※なお、大き目のマーカーは曲線からの乖離が+2SD以上のデータを意味します。)

右のグラフに載せた年齢層では、大分状況が異なります。2020年には、10歳未満、60歳代、80歳代、100歳以上の層で、死亡率が-2SDの範囲を外れるほど期待値より低くなっています。そして、60歳代では翌年まで、10歳未満では2022年までこの低下傾向は持続しています。

前節で、「呼吸器系の疾患」の減少について論じた繰り返しになりますが、わたしは2020年に死亡率低下をみた年齢層は、武漢肺炎への警戒心がより強く、またそれに適切に対処した人が多かった分、いわば「余得」として、肺炎などの従来型の危険な感染症への罹患が少なくなったと、この現象を解釈します。

グラフ表示の特性上、10未満と100歳以上のデータの乖離幅が非常に大きく見えますが、前者はもともと死亡率が非常に低く、後者は人口の絶対数が少ないことから、実人数にすると全体の死亡への影響は大したものではありません。

他方、60歳代の死亡数の減少は、2020,2021年にそれぞれ5.3万人と3.5万人、80歳代では2020年に限ればその減少幅は1.3万人と算定されます。結局これが、他の年齢層では武漢肺炎の流行と共に始まっていた超過死亡の発生が、2022年まで表に出なかった理由です。

カウンターバランスとしての60歳代の神通力は、2022年になるとかなり薄れています。

それでも、他年代に比べると、相変わらず武漢肺炎の影響が極小化されている。団塊世代と第2次ベビーブーマー世代に挟まれたこの年代。あまり世代論という観点で注目されてこなかったような気がするのですが、この目を引く武漢肺炎への抵抗力はどこから来ているのでしょうか。

まったくの個人的見解と読み流して頂きたいのですが、60歳代は勝手気ままの個人主義に染まったより若い世代と異なり、まだ集団の規範を重視する旧来の気風を残している最後の世代。

そしてわたしたち団塊世代が受けた粗製濫造の教育ではなく、もう少しましな教育の恩恵を受けて、自分の頭で必要な物事の判断ができる。そういう人がこの年代に豊富なのが、この結果を生んでいるというのは、的外れな見方でしょうか?

超過死亡の問題は、若年層の方がより深刻

さて、図表4を眺めて気が付くのは、(年齢の重心がより高齢方向に漸進している)100歳以上を除き、すべての年齢層で、2019年まではコンスタントに死亡率が低下し続けていたことです。

人口の高齢化が進み、年間総死亡数は増加の一途ですが、人が「歳のわりに」死ににくく、つまりより長く元気を保っているというのも、一方の事実なのです。

現在の50歳代の死亡率を、近似曲線に沿って40年ほど遡ってみると、今なら60歳代くらいの値になります。

人口動態調査が今のような形で公表されるようになったのは平成9年からですから、実際の数値と照らし合わせることは出来ないのですが、40年前と言えば、昭和50年代の後半あたり、すなわちサラリーマンの定年が55歳だった時分です。

いまは60~65歳で定年退職、その後数年は、なんやかんやと仕事は続けるというのが普通でしょうから、大体感覚的には合っています。つまり一般の日本人は、4つ歳を重ねる間に、肉体の老化は3年分しか進んでないといえそうです。

この流れが続けば、半世紀後には70歳代になってもまだ高齢者とは呼ばれず、いまだ生産人口。その代わり、年金受給年齢は75~80歳まで上がっている…。

まあ人間、そんなに長くはたらいていやにならないかという問題はあるでしょうが、いまの高齢化社会の議論の中で、この手の指摘は希薄であるような気がします。

その流れが、2020年を境に明らかに変調を来しています。とくに比較的若い年齢層で、順調に低下していた死亡率が5年分以上も過去に巻き戻したような増加が見られます。

近い将来、この禍々しい疫病が地上から姿を消せば、この変調がただちに旧に復するのなら、一過性の災厄で済ませることができるでしょうが、わたしには、どうもそうはいかないんじゃないかという気がするのです。

いちどついてしまった疵は、長く日本人の健康や寿命に悪影響を及ぼし続けるのではないか?

そうした懸念については、稿を改めて書いてみたいと思っています。

図表5に、昨年どれほどの超過死亡が発生したのか、年齢層別に見積もりを示します。

図表5 2022年の超過死亡 年齢階層別発生状況

(【注記】武漢肺炎流行前の傾向を表す指数関数を、2022年にまで延長して適用し、求めた値。)

数にすると全体の9割以上を70歳以上の高齢者の分が占めるのですが、武漢肺炎の流行がなかったならこれくらいという期待値と、比率でもって増加の程度を示せば、10~50歳代の年齢層の方がむしろ大きいのです。

年代別死亡の統計には、公的に武漢肺炎死とされた数もそれぞれの年齢層に含まれていますが、それが高齢層に圧倒的に多い事実を踏まえるならなおさらのこと、これまでに論じてきた公的統計では武漢肺炎死とされていない超過死亡の問題は、むしろ若年層でこそ深刻という言い方ができると思うのです。

医療の進歩の成果を台無しにした武漢肺炎の流行

人口動態統計には死因別に各年齢層の死亡数(率)を算出した表が付随しています。

ただし、掲載されているのは各年齢層の上位5位までの死因に限られるので、分析できたのは、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患、肺炎、老衰の5つです(図表6、またこれらが死因の上位に現われる年齢層だけが対象になります)。

図表6 年齢階層別にみた武漢肺炎流行後の各種死因の死亡率の変化

(【注記】用いたデータは、各年度『人口動態統計月報年計/死亡数・死亡率(人口10万対),死因簡単分類別』より取得している。年齢階層を10歳ごとの区分とし、2019年の死亡率の期待値を1として正規化表現する方法は、図表4の脚注の通り。過剰値、過少値の表示方法も、図表4と同じ。)

図表6でもっとも目を引くのは、ほぼ全対象年齢層で、老衰を除いた死因の死亡率が、2019年まで一貫して低下し続いていた事実です。健康習慣の普及という要素もあるでしょうが、医療面の着実な進歩がその一番の理由であると思います。

同じ死因の死亡率を図表1のグラフで見ると、脳血管疾患以外は年々増加していることが分かります。医療の進歩と、加齢と共に加速度的に上昇する死亡率のせめぎ合いが、こうした正反対の見掛けを生むのですが、平均寿命が伸長する一方で、死者数も増加し続けている日本の現状を反映しています。

血栓溶解剤治療の急速な普及が主な理由でしょうが、脳血管疾患が全体数でも減少したのは、その意味で、じつにスゴいことだったんだと改めて感じます。将来、効果が高く、からだへの悪影響が極小の、画期的な抗がん剤が登場したら、がん死亡についても同じことが期待できるのでしょう。

図表6が語るのは、そういう医療の進歩によって得られたはずの成果の数年分が、武漢肺炎の出現以降、すでに吹っ飛んでしまっているということです。

武漢肺炎、あるいはそれとの関連が疑われる疾患で、すでに亡くなった方については、今更どうしようもない話ですが、問題は、その背後に少なくとも数倍規模の、健康被害は受けたが亡くなってはいない人口が生じているはずだということです。

急速に高齢化に向かう現在、予測される弊害を少しでも低減するには、成員の「健康寿命の延長」は大きな柱のひとつでのはずです。武漢肺炎の流行は、想像するよりずっと大きな、それへの阻害要因となるのではないか、そういう危惧を抱きます。

ところで、図表6に掲げたグラフの中に奇妙に感じるデータが混じっています。

がんによる死亡率が60歳代では2020年以降、顕著に低下しているのです。

以前のトレンドから求めた期待値より、2020、2021、2022の3年間に、それぞれ1.7万人、2.2万人、2.2万人の低下。「武漢肺炎流行の影響がなかった」なら、まだ分かるのですが、武漢肺炎が却ってがん死亡を減らすなんてことがあるのでしょうか?

おそらく、こういうことではないかと思います。

がんそれ自体、あるいは抗がん剤治療がからだの免疫能を大きく損なうため、がん患者の治療に感染症対策は重要です。肺炎菌その他の感染で体調が急激に悪化し、死への転帰をたどったとき、進行性のがんを抱える患者なら、死因が「がん」とされるケースが相当数あるのではないか。

そのため、先に推定したこの年代の武漢肺炎流行後の「感染症罹患率の低下」が、がん死亡とされる数の減少に結びつく、そういう可能性です。

若年層の自殺の問題

最後に、自殺増加を考えてみます。この問題は武漢肺炎流行が始まってかなり早い時期から指摘されていたように思います。

わたしの知る限りでは、多くは若者、とくに女性の自殺増が深刻という、ニュアンスで報じられることが多かった気がするのですが、実際のところはどうだったのか、これまでにやったと同様の手法で調べてみました。

図表7は10~29歳の年齢層の自殺率の推移を男女別に見たものです。

図表7 武漢肺炎流行後に生じた若年者の自殺増 男女間の比較

(【注記】若年層(10~29歳)の男女の自殺率の推移は、『人口動態統計月報年計/死亡数・死亡率(人口10万対),死因簡単分類別』および『総務省統計局人口推計』記載のデータをもとに、計算し求めている。経年変化を表す指数関数と標準偏差の算定法、またグラフ上のデータ表示方法は図表1の脚注に同じ。)

女性(右図)の方は、それまで一定だった自殺率が、2020年以降、10万人当り3~4人ほど、急上昇したことが一目で明らかです。

一方、男性(左図)の方は、過去10年くらいの平均値と比較すれば、武漢肺炎流行期に目立った自殺者の増加はないという結論は、一応は引き出せます。しかし、順調に低下していた男性自殺率が、武漢肺炎の流行を契機に増加方向に転じたと見做すことも、同時に可能です。

その見方を採れば、死亡率の上昇幅は10万人当り3~4人。女性の場合と変わらないことになります。

もう少し長いスパンで自殺率の推移を見たのが、図表8です。

図表8 昭和期中葉以降の自殺者数、および失業率の推移

(【注記】自殺者数は『警察庁自殺統計』より取得。失業率のデータは『世界経済のネタ帳/日本の失業率の推移』(出典:IMF WORLD ECONOMIC OUTLOOK DATABASES)による。)

ここでは全年齢層の自殺数を対象としますが、男性の自殺数が常に女性の数を圧していること、また増減の変動幅が大きいことがわかります。

男女の自殺数の差が最も大きく開いたのが、就職氷河期からリーマンショックに掛けての時期だったことは、男性の自殺に経済要因が大きく関わることを示唆するでしょう。図表8のグラフに失業率の年次変動を加えてみると、その相関の強さは明らかに見えます。

武漢肺炎の流行による経済諸活動の突然のフリーズで、2020~21年にかけて、失業率の上昇が見られました。それなら、この時期男性の自殺率が上昇しているという見方を採るにしても、それは経済的要因に帰せばよい、ということになるのでしょうか?

わたしは、そうではなかろうと思うのです。

失業率が上がればただちに自殺率に反映されるというほどに、両者が密接に連動しているようにはどうも見えない。わたしはむしろ、1998~2010年の男性の自殺数が2万2千人前後に高止まりしていた期間、2003年に限ってその数が2万5千人になっている点に注目します。

この年に何があったかといえば、思い当たるのはあのSARS重症急性呼吸器症候群が世界を震撼させたことです。疫病の流行が何か特別な不安感を引き起こし、自殺衝動に繋がることがあるのかも知れないと思うのです。

もしそうであるなら、発生後半年で終息に向かい、国内で確認された発生はなかったSARSですら、統計学的に有意な増加をもたらしたのです。規模の面で比較にもならぬ、期間にしてももう3年以上続いている武漢肺炎が、多数の自殺者を発生させるのは、むしろ当然と言えるのではないでしょうか。

ウィズコロナなんて澄ましていて良いのか?

心疾患、老衰、脳血管疾患、がん、自殺など、2020年以降、それまで保たれていた傾向を逸脱して、明らかに増加したこれらの死因が、武漢肺炎ウイルスの感染、あるいはその流行がもたらした直接的な帰結だという見方に立ってはなしを進めてきました。

科学的、実証的観点からすれば、それが何らのエビデンスも伴わぬ憶測の域を出ないものであることは、お断りしておかねばなりません。わたしが気付いていないこの疾患以外の要因が、こうした現象を引き起していると、明白な証拠に基づいて明らかになれば、雲散霧消してしまうレベルのはなしではあるのです。

そんな不確かなはなしを、かくも長々と書いたのかと、お叱りを受けても仕方がないのですが、もしこれが当たっているなら、平均寿命や健康寿命といった、いのち暮らしに直結している重要なファクターが、武漢肺炎によってすでに深く傷付けられ、このまま放置すれば更に大きくなるだろうことが、容易に予測できる――。

やはりそれは言っておきたかったのです。

前々から書いていますが、武漢肺炎に感染するのは不可抗力ではないと考えます。

大勢が行き交い、出入りする場所では、常時マスクで口を覆い、飲食などで外さねばならぬ際には、まず十分手洗いするか、手指の消毒をおこなう。自宅に戻っても、マスクを外すのは、手洗いの後。これくらいのことを家族ぐるみで厳格にやっていれば、感染の恐れは極少化できると思っています。

小学校でこれを半強制的にやらされた10歳未満の年齢層で、超過死亡どころか、死亡率の減少まで生じていることは、偶然とは思えません。

「賢明な60歳代」、この年齢層にそうした予防習慣を守る人が飛び抜けて多いなどという証拠を提出することは出来ませんが、そうした年齢層が存在すること自体、武漢肺炎は人為的努力で制圧できることを証しているのではないでしょうか。

ウィズコロナ?

こんな疫病と末長いお付き合いなど、わたしはまっぴらです。<了>

過去論考

…。

またもや、期待にたがわぬ力作でした。

山手線の駅名を冠した怪しい自称会計士自身は医学に関しては基本的に素人ですが、それでも「うがい、手洗い、マスク着用」「集近閉(しゅう・きん・ぺい)の回避」といった基本的な生活態度が、感染症を含めた疫病を遠ざける、といった趣旨の主張には、同意せざるを得ません。

それとも、あれでしょうか。

「早寝早起き、腹八分目」、「塩分・糖分・脂質控え目」、「積極的に体を動かす」、といった生活態度を続けることが、結果的には健康寿命を延ばすことにつながる、というのとでしょうか?

なんだか毎年人間ドックや健康診断でお医者さんから指導される、ごく当たり前の内容に見えてなりません。

いずれにせよ、伊江太様からの継続的なレポーティングには期待したいところですし、続編のご投稿がいただけるのであれば、是非ともお願いしたいと思います。

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さて、ここから先は、宣伝です。出版社の皆さま、「データで読み解く武漢肺炎」シリーズ、是非とも商業出版されませんか?

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本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

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読者コメント一覧

  1. 埼玉県民 より:

    1年目ワクチン接種開始前の超過死亡はマイナスでした。 大規模ワクチン接種開始後に血栓に起因する超過死亡が増えたのもタイミング的には一致します。

  2. 陰謀論者 より:

     このウイルス、ヘルペスウイルスのように感染後、人体に潜伏する可能が指摘されているのに、いまだはっきりしてないんですよね。状況証拠のつみあげで個人的には黒と判断しておりますが。
     ヘルペスウイルスとの違いは、潜伏状態でもとてつもない悪さをして、健康や日常生活に悪影響があるらしいことで、いわゆるその結果のコロナ後遺症みたいなものが不治の病なのだとしたら、人類にとって悪夢としかいいようがありません。

  3. CRUSH より:

    門外漢の野次馬として3年間データを眺めてきた身ですが、最近の超過死亡の増加(プラス)は、とくに着目せねはならないとは思いません。

    ①新型コロナ流行スタート直後のマイナスと、最近のプラスとが、相殺しているように見えなくもない。

    手洗いうがいを励行して部屋から出なければ、本来なら死んでた老人たちが死ななかっただけ、なのかも。
    当たり前ですが、永遠に生きることは不可能。
    本来ならとっくに死んでるはずなのに延命してた人たちが最近ようやく死にはじめたのだとしたら、そりゃプラスにもなりますわな。

    ②死亡者は老人ばかりで、傾向は変わってない。
    こんなもん、高齢者医療や福祉の領域でハンドリングすべきであって、全国民に網をかけて一斉に行動規制するようなスジの話では、断じて違う。

    ③増税は経済成長へのブレーキであるのと同じ意味で、新型コロナへの過剰な対策は、経済成長へのブレーキです。
    「今それ必要なの?」
    岸田と同じくらいナンセンスかと。

    私的妄想ですが、共産党中国政府は経済運営の失策を隠すためのツールとして、パンデミック対応で社会を抑えつけているように思います。
    (わかりやすく言えばクーデター予防)

    その茶番をもっともらしく引き立てるために、日本でも
    「コロナは今でもたいへんだあ!」
    というムーブメントを掻き立てようとしてるような?

    自国内の政策はお好きになさればよろしいが、日本がそんなもんにお付き合いする必要も義理もありませんからね。

    1. 星のおーじ より:

      人口動態統計の10万人あたり死亡率を見ていると、過去は概ね前年比2%増の線に沿っていますが、2019に対しての2020減少分は2021で相殺増加していて、2022は異常に増加していると思います。(伊江太様の前回(5/30)考察の図表5,6など)
      その理由については、小生は医学的知識に乏しく解析できなかったのですが、本報告が大変参考になりました。

      念のため2016以降の死亡率数字で小生推定を下記します。
      (A)総数:全人口での死亡率(=人口10万人あたり死亡者数)
      (B)推定値: 2016の10万人あたり死亡数x1.02^(年数)

      (A) (B) A-B
      総数 推定値 差分
      2016 1,046 – –
      2017 1,076 1,067 8
      2018 1,097 1,089 8
      2019 1,116 1,110 6
      2020 1,113 1,133 -20
      2021 1,173 1,155 17
      2022 1,286 1,178 107

      2016年の死亡率 1046人/10万人=> 人口1.25億なので略130万人超死亡
        2022年は2016年に対し1.02^6=1.126倍、1178人の計算に対して
        更に1.09倍 (1286/1178)にも増加している。
        ぞして107x 125=>13万人超の顕著な増加が見られる、と思います。

       

      1. CRUSH より:

        >ぞして107x 125=>13万人超の顕著な増加が見られる、と思います。

        それらの増減は、新型コロナの陽性者数や重症患者数の増減とリニアにリンクしていますか?
        後続のコメントにあるように、運動不足など「コロナ対策」の副作用が死因に近い可能性はありませんか?

        青少年や働き盛りが死んでますか?
        要するに、最初期から今でも、
        「老人しか死なないなら、老人だけが恐れおののけばよい」
        のではないのですか?

        新宿さんのところに相応しい表現をするならば、
        「老人たちの健康の万全を期すために、若年層を殺している」
        のではないのですかね?と。
        (たしかケインズも同じことを言ってたような。)

        デフレとか円高とかは、年金生活者への利益誘導です。
        新型コロナへの施策も、老人層の利益が最優先(に見える)。
        老人ばかりが投票し、若者が投票してないから、かな?(笑)

        トリアージ的な考え方をするならば、
        「老人層より若年層が生き残れる施策を!」
        と僕には思われるのですよね。

        1. 星のおーじ より:

          小生が先の返信をさせて戴いたのは「新型コロナ流行スタート直後のマイナスと、最近のプラスとが、相殺しているように見えなくもない。」に対して、相殺しているとは思えない、という点でした。

          >それらの増減は、新型コロナの陽性者数や重症患者数の増減とリニアにリンクしていますか?
          これが小生にはとても難しいです。次数を追うに従って、補足されない罹患者の比率が増えていたり、死亡者が重症者として検出されていなかった例が増えたりして、数字の上の連感度は下がっていっていると思います。
          (そういう考え自体も明確に検証できない状態だと思います。)
          波形の概形としてはリンクしているが、次数毎の比例計数が動いている(小さくなっている)ようです。
          いずれにしても、2022年後半以降、特に冬季の死者増は異様で、新型コロナの影響は大変大きいのだろうと思います。

          小生自身が60代半ばなので、罹患したらやっぱり危ないと思うので、自分は自衛手段として人込みを避ける、人が多い所ではマスクをする、手指消毒・手洗いの励行、を継続しています。
          若い人に強い規制を掛ける必要もないと思いますが、日本的な衛生の常識の範囲でマスクエチケットとか手洗い励行されるのが良いと思います。
          それで若い人は自由に生活しても、運が悪い人だけコロナ後遺症で苦しむ程度だと思います。図表5に示されるとおり、年寄に比べれば桁違いに死者が少ないのも事実なので。

  4. nekodama より:

    伊江太様の考察にはいつも感心させられます。今回も興味深く拝読させて頂きました。

    武漢ウイルス感染症は、実に厄介な感染症であり、日本社会にも大きな傷跡を残しました。
    そして、ご指摘のように今なおその影響は続いており、不便な生活を強いられているように思えます。

    日本社会には、というよりは報道各社には、或いは政府においては、こうした総括をしたうえで方針を決定するシステムが欠落しているように思えてなりません。
    未だにマスク社会から抜け出せないという現状には苛立ちを覚えますが、一方で咳をしているのにマスクをしていない人が公共交通機関を利用する様子を見るとより苛立ちを覚えます。この数年間の経験は一体どう活かされたのかと。

    マスクの有無は、個人の判断に任されているわけですが、咳エチケットくらいは守って欲しいし、手洗いやうがいなどの徹底というのはやはりすべきだと思います。せめて、小中学校のうちにはしっかり指導して、生活習慣として身につけるべきではないかと、そんな風に思いました。

  5. さより より:

    伊江太様の投稿論文を拝読したのは、今回と前回の2回分です。
    この2回での共通の結論は、
    「感染」を防ぐということが、コロナとその他の疾患の罹患を防ぐことの大きな要因であろう、ということ。
    そして、その予防方法は、先ず第一番に手洗いである、こと。
    この手洗いは、コロナやインフルエンザなどに限らず、その他の疾患にも大きな抑止効果がある、こと。
    肺炎やノロウイルスによる胃腸障害に限らず、その他の疾患に於いても、細菌やウイルスの増殖による人体の抵抗力・免疫力の(相対的)低下による疾患の憎悪を防ぐことができる、こと。
    手洗い以外にも、マスクの着用やうがい等も、感染を防ぐ方法として有用であること。

    以上のようなことを読み取りました。

    この論考の結論のポイントは、「感染」ということですね。
    又、「感染症」という言葉もあり、「感染」の結果は、「感染症」だけだろうと思ってしまうと、この論考の意味する所の【『感染』ということの『恐さ』】の範囲を狭めてしまいます。

    この論考の主旨は、「人体の抵抗力・免疫力を超える、細菌・ウイルスの増殖を防ぐ」ということです。

    その為には、先ず手洗いを励行して、手指に付着した細菌・ウイルスが、口や鼻腔を通って人体の喉粘膜で増殖することを防げ、ということです。(マスクや喉のうがいも、一定の効果は有り得る。)
    細菌・ウイルスが人体の抵抗力・免疫力を上回ってしまうと、特別な治療が必要になってきます。
    特に、手術後やお産後の極端に体力が落ちている時、寝不足などによる体力低下などの時にも、細菌・ウイルスに対する抵抗力が落ちている時です。
    そういう時は、殺菌・消毒に特に留意しなければならない時です。

    ここで話は飛びますが、人類の病気や疾病との闘いは、「感染」というものに気が付いた時に、大きな転機を迎えたと思われます。
    この「感染」というものに気が付いてから、産後の産褥熱による、妊婦の死亡は画期的に減少したとも言われています。

    「60歳」に関する考察も、なかなか示唆に富んだものであると思います。
    つまり、病気に対する人間の「対抗方法」の結論のようなことだからです。

    その対抗方法とは、
    1.健康に留意した生活(食事・運動・生活サイクル)による体力(抵抗力・免疫力)の維持・強化
    2.細菌・ウイルスの人体への侵入を防ぐ「衛生に留意した習慣=手洗いの励行・清潔習慣」

    つまり、「体力」と「衛生」ということになりますね。
    以上、伊江太様の論考の理解とそれによる解説を書かせて頂きました。
    (理解が間違っていなければいいのですが)

    伊江太様、大変に勉強になりました。この啓蒙的な論考は、理系的に説得力のあるものです。左翼的な論理も理論もハチャメチャな内容が多いマスコミの記事を読んだ後には、頭を正常に戻す効果があります。

    1. さより より:

      この論考の中で見つけられた「特異点」としては、「60歳代」があるようです。

      この特異点の背景として、
      >>この目を引く武漢肺炎への抵抗力はどこから来ているのでしょうか。
      まったくの個人的見解と読み流して頂きたいのですが、60歳代は勝手気ままの個人主義に染まったより若い世代と異なり、まだ集団の規範を重視する旧来の気風を残している最後の世代。
      そしてわたしたち団塊世代が受けた粗製濫造の教育ではなく、もう少しましな教育の恩恵を受けて、自分の頭で必要な物事の判断ができる。そういう人がこの年代に豊富なのが、この結果を生んでいるというのは、的外れな見方でしょうか?

       この考察に一つ抜けているかな、と思われるのが、
      2020年に60歳になる人は、1960年生まれであることです。そして、1960年は、日本の高度成長期が始まり、世の中に物資が豊富に行き渡り出す年です。勿論、食べ物も栄養豊富なものが出回り始めます。母乳よりも粉ミルクで育てることが始まりました。
      このような基礎栄養がしっかりしたもので生育することは、生育過程での体の組成がしっかりしたものになるのでは?
      そして、この栄養豊富な食糧で育ち始めるという身体面と、
      >>まだ集団の規範を重視する旧来の気風を残している最後の世代
      という、高い規範意識の気風がある精神的。

      これから始まる、栄養豊かな身体形成と、これから失われ始める規範精神の、
      最期の交差する年代、というように捉えてみると、何かそれらしい説明が付くかな、と。

      つまり、50歳代・40歳代の身体が優位な年代、と、70歳代・80歳代の精神面が優位な年代の間に挟まれた、二次曲線の変曲点に相当する年代が、60歳代、ということでしょうか?
      つまり、60歳代は、歴史的社会的な経緯の中で自然と、心身の調和がとれた「特異」な年代、ということでしょうか?

      これが、この論考の中で、60歳代について述べたかったことかな、とより詳しく推定してみました。

  6. 人工知能の中の人 より:

    疫学的見地の他にコロナ禍以後は医療機関の許容限界と経済的原因による健康悪化は必ずあるでしょうからねえ。
    よく超過死亡はワクチンのせいという反知性主義の主張のため、単語自体NG扱いにしていたのですが今回分かりやすい解説のおかげで認識が改まりました、お礼申し上げます。

  7. すみません、匿名です より:

    電車で通勤すると、本数の減少か出社勤務に戻ったのかラッシュが復活。
    鉄道の決算では、まだ完全に通勤定期利用は元に戻っていないとのこと。

    >増えたのは心疾患、次いで老衰、そして脳血管疾患

    対策として、やはり運動して減量・筋肉維持・免疫をつけなければ。
    電車通勤は強制的に往復の歩行運動(暑いだろうが、眠たいだろうが強制)と社内歩行。
    適度なストレス(会社に行くのがストレスだと言う方もいると思いますが)も必要。
    在宅はプライベートな時間が増えますが、長い目で見ると病人続出で健康組合が赤字になりそう。

    まだまだまだまだ夜のカラオケで歌を披露するのは無理ぽいですね。
    そろそろ一人カラオケに挑戦しようかな・・・、勇気がいるなあ。

  8. はにわファクトリー より:

    自分より若い世代はポンコツなのかも知れないと薄々そう気が付いていたので、説得力があると思いました。49歳生涯独身世界級ソフトウェア技術者が心筋梗塞であっさり逝ってしまってもう言葉もなくて。

    1. さより より:

      やっぱり、座りっぱなしでポテチむしゃむしゃ、は身体に悪い感じですね。せめて、野菜沢山食べれば良いのだろうけれど、野菜じゃ閃きが産まれないかな。

    2. はにわファクトリー より:

      大手通信会社のトップ技術者だった彼は高給取りでマンションを買い職場では自転車通勤をしていました。ですが生活パターンがまるで大学生のときのままであるいは当人もいつかああなると覚悟(自分で病院に行ったらしい)していのかも知れない。著名企業ですので従業員の健康管理は水準以上のはずでも実態はこうです。
      通勤電車を使うと自然に階段上り下りをするので筋肉量維持には大変効果があります。いわゆる成人病はクルマ社会生活をしている地方のほうがむしろひどい。大学教授をやっている知人は成人病のかたまり。日々歩くのは自宅玄関先までと大学駐車場から居室までです。院生時代のがりがりの彼を知っているので、たいがいにしたほうがと思うのですが職務がそれを許さないのです。

    3. さより より:

      今の時代、健康、運動、食事、に関する研究は、夫々、かなり研究されていると思います。
      ただ、研究学問の特性なのですが、どうしても、それらの研究成果は、専門特化してしまい、応用という面になると、総合的な適用・活用が出来ていないことが課題です。

      健康の為には、バランスの取れた食事と適度な運動が必要なことは明らかなことです。
      では、どうやってそれを、忙しい日常生活の中で実現していくか?となると、これは、本人任せ、となっているのが現状です。
      運動の時間が取れない、炭水化物と脂肪と糖分は、人間の味覚にとって魔物で、何と言っても幸せ気分に浸れますから、その誘惑には負けてしまいがちです。

      長々と書いても仕方がないので、一つの対処法を記してみます。

      運動に関しては、ウォーキング、ジョギング、トレーニングジム、などは、時間がかかります。時間を掛けないで、効果がある方法は、
      都会では、ビルの階段の昇降、田舎では、インターバル速歩がいいのではないかと思います。これらを、1回30分、週に4回程度やればいいのかなと思います。階段昇降は、段数を目標にしてもいいです。毎日ちょこちょこやるのもいいです。
      階段昇降は、体の中の筋肉量が一番多い、大腿筋の量を増やし、いろんな動きが楽になります。インターバル速歩は、やってみればその効果はすぐに分かります。

      食事に関しては、カーボンレイターの食事の仕方を、これは、習慣付けることです。
      カーボンレイター(Carbon Later)とは、炭水化物系の食べ物は後の方で食べるということで、先ず、野菜や肉などの非炭水化物(というか実際は糖質系)を後の方で食べるということです。この食べ方では、食事量を減らすことを気にしなくても良くなります。

      夫々の詳しいことは、ご興味があれば、ご自分で調べてみて頂ければと思います。

      要は、現代人の生活様式と欲望に沿った方法でやって行かなければ、長続きしないということです。
      当然、やらなければ、何の効果も生まれて来ないです。

      企業も、こういう実生活に合った所まで検証して社員に生活指導を行えばいいのですが。特に、IT系は、座りっぱなしの仕事で、時間に追われる毎日になりがちですから、健康管理を自己管理に任せても中々実際に行えないと思います。
      技術者の養成は時間が掛かりますから、優秀な技術者個人は、会社の資産とも言えます。
      生きた資産の管理にも十分な注意を払うべき時代になってきていることを、企業も強く認識するべき時代かもしれません。
      会社が自分を健康面まで含めて大事にしてくれていると実感できれば、外資のヘッドハンティングにもそう簡単には応じなくなるかもしれません、ね。

  9. 元雑用係 より:

    納得です。
    読みながら思いつく疑問等は本文を読み終えるまでにほぼ網羅されていて申し上げることもありません。
    読後感としては結論感はあまりなく、パズルのピース、知的好奇心の種をたくさんいただいた感。答え合わせは今後時間をかけて。

    ウィズコロナが何を意味するか人によって違うと思いますが、政府が採るべき施策として経済活動の抑制とのバランスをどこに置くべきかは正直私にはわかりません。
    とはいえ、人の密集地ではマスク装着率は高いですし、あちこちに設置された消毒アルコールはそれほど減っていません。うがい手洗いをする習慣がどの程度維持されているかは?ですが、大した手間ではないですし続けてる人は多いのではと思います。
    私自身に見える範囲のことでしかありませんが、社会は既に新常態に移行したのではないかとも思います。

  10. だいごろう より:

    コロナ以外の死因による超過死亡が増えた理由としてあり得る仮説は、医療の逼迫により助けられたはずの命が助けられなくなったのではないか、というものです。
    5類移行後の医療体制も逼迫しつつあるようですので、さらに超過死亡が増えるかもしれないですね。

    https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/6a6e56c66a95c8f6c39b7d95cf762d8d0dcf6b35

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