【読者投稿】これだけある!「検査至上主義」への疑問

当ウェブサイトでは読者投稿を歓迎しており、読者投稿要領等につきましては『【お知らせ】読者投稿の常設化/読者投稿一覧』にまとめているとおりです。こうしたなか、例の「武漢肺炎」を巡り、昨年末までに都合8本の読者投稿を寄せて下さった「伊江太」様というハンドルネームの読者様から、今回、第9稿目のご投稿を頂きました。本稿は、前稿での予測の「答え合わせ」のようなものでしょうか。

読者投稿につきまして

当ウェブサイトでは、2016年7月のサイト開設以来、「読んで下さった方々の知的好奇心を刺激すること」を目的に、おもに政治、経済の分野から話題を選んで執筆した論考を、日々、原則としてすべての方々に無料で提供しております。

こうしたなか、当ウェブサイトをお読みいただいた方々のなかで、「自分も文章を書いてみたい」という方からの読者投稿につきましては、常時受け付けています(投稿要領等につきましては、『【お知らせ】読者投稿の常設化/読者投稿一覧』等をご参照ください)。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

さて、本稿では久しぶりに、「伊江太」様というハンドルネームの読者様からの投稿を掲載したいと思います。

伊江太様からは次のとおり、過去に7本の論考をご投稿いただいているため、本稿は通算8稿目です。

伊江太様から:データで読み解く武漢肺炎

前回から2ヵ月ぶりにいただく投稿は、第9稿目です。

さっそく、読んでみましょう(※ただし、収録にあたっては、意味を変えない範囲で、原文の表現の一部を書き直している箇所があります)。

データで読み解く武漢肺炎 第9報

どう考えても変だ、最近の武漢肺炎の発生報告数

2ヵ月に掲載をいただいた前報『【読者投稿】「検査数と感染者数は比例する」は本当か』で、7月来の武漢肺炎の拡大が、4月に起きた「流行第1波」とでもいうべきものとは質的に異なっている、という私見を述べました。これは、

  • ①4月のケースと異なり、純然たる国内流行という形で感染が広がったこと、
  • ②それを抑制すべく強化されていくはずのウイルス保有者の発見と隔離というしくみがうまく機能せず、感染の増加が一旦ピークを越えたかに見えても、元の低値にまで戻ることなく、さらに次の増加に向かうったこと、

――という2つの点に注目してのことでした。

また、4月には十分有効に働いていた抑制のしくみが効かなくなった理由として、6月頃から無闇にPCR検査を増加させたからだ、とする仮説をあわせて提起しました。

これは、PCR検査の増加に伴い、偽陽性症例への対応に無駄な労力を割くことを余儀なくされて、感染者周辺の濃厚接触者の調査という保健所が担ってきた感染抑制の要のひとつが弱体化してしまったのではないか、というものです。

さて、この仮説に則って、図表1に示したわが国の感染報告数の推移を眺めてみましょう。

図表1 国内の武漢肺炎検査陽性者数と死亡者数の推移

(グラフ注記:検査陽性報告数(目盛り左軸)と死亡者数(目盛り右軸)、それぞれの7日間移動平均値の経時変化を、折線グラフにして示している。青色が検査陽性者数、グレーが死亡者数を表す。【出所】厚生労働省・新型コロナウイルス『国内の感染状況』のページ上、毎日更新されている表と、リンクするオープンデータに記載されるデータに基づき投稿者作成)

このグラフからは、「市中に存在するであろう、未発見のままウイルスを散布している者」の数が、11月に入って以降、保健所の活動で発見・隔離できる最大能力を超えてしまったと推測することもできます。その推測が正しければ、これからどうなるのでしょうか。

待っているのは、指数関数的、ねずみ算式の増加、いわゆる感染爆発の状況が現出するのではないか。そうした危惧を抱かざるを得ないかも知れません。一方で、日本と世界の武漢肺炎の流行状況をウォッチしてきた者の勘とでも言えばいいか、この日本が欧米のような状況に陥るとはどうしても思えない。

そんな中途半端な両論併記の形で、前稿を閉めました。

さて、12月に入って急増する感染報告数を見れば、すわ感染爆発か!と思ってしまいそうですが、へそ曲がりなわたしは、上の2つの可能性のうちのどちらを今採るかと問われたら、後の方、止めどなく感染が拡大するような事態は当面日本では起こらないという方推し、の思いをむしろ強めています。

もうしばらくデータを追って、自信が持てるようになったら、欧米の状況と比較しつつ、それを文章にしたいと思っていたのですが、ここに来て武漢肺炎を巡る日本の社会状況が急変しました。

年末年始を挟んだ感染報告数の激増を受けて、まず首都圏の1都3県、次いで関西圏、中部圏、福岡、栃木、沖縄と緊急事態宣言が再度発令されたのはご承知の通りです。

この時期に緊急事態宣言を出す必要があるのかどうかの議論はさて置き、その呼び水となった突然の感染報告数の増加、これはわたしの目から見てどうにも不可解なのです。それで、「それって本当のことなの?」という疑問を軸に、急遽9報目に当たる読者投稿をまとめてみました。

ちょっと違った目で現状を眺める

2つ以上の要素の変動具合を、比較のため同時にひとつのグラフに表示するという場面は、様々な分野で分析が行われる際にしばしば生まれます。問題はこの2つの大きさや変動幅が桁違いに異なっていた場合で、解決するには普通2様のやり方が使われます。

ひとつは、それぞれをひとつのグラフ内に、異なった尺度で収めていることを、約束事として明示することです。

図表1で、検査陽性報告数という1日数千人という大きさで出てくる値と、数十人という2桁も値が違う死亡発生数の変動を、50:1の比に設定した異なった尺度の左右軸の目盛りでそれぞれ表し、この目的を果たしているのもその例です。

もうひとつが、各要素のグラフ上の位置の決め方を、実際の値ではなく、その対数に変換するやり方です。これだと、例えば10に対して100万(10の6乗)という大きな差も、1を基準にしてわずか1:6の距離の違いで表されることになり、ひとつのグラフに同居させることも容易になります。ただし、対数による表示法は日常的な大きさの感覚とはかなり違ったものになるのは、仕方がないところですが。

極度に大きさの違ういくつかの事象をひとつのグラフにまとめて扱うことができること以外にも、対数表示には見かけの不自然さを上回る別の利点があります。

図表2は1~5日ごとに2倍に増える量の変化が、実数表示(左)と対数表示(右)のグラフでどのように表されるかを見たものです。

図表2 指数関数的に増加する数を実数表示と対数表示のグラフで表すと…

(グラフ注記:倍加時間Tdが1~5日の割合で増える数をグラフにしている。左図では数値が実数目盛り、右図では対数目盛りに合わせて表示されている違いはあるが、どちらも同じ内容の増加を表現している。【出所】投稿者作成。)

違いは一目で明らかでしょう。

倍加時間Tdが1~3日の場合で見ると、時間が経過すると、どれもものすごい勢いで増えていると言えるだけで、増え方の違いなどほとんど分かりません。一方で、図に表示した時間経過の範囲では、倍加時間が4日以上となると増えていることすらよく分からない。

他方、対数表示を用いると、表示する値や時間の範囲をどれくらい拡げても、増え方(変化率)の違いはグラフ上の傾きの差となって、常に現われます。この対数表示の特性を活かして、最近の感染急拡大の「実相」を分析してみたいと思います。

医療崩壊は間近?あるいはもう始まっている?

図表3は、日々発生している感染者数(検査陽性報告数)と退院/療養解除者数の関係を示したもので、それぞれ7日間移動平均値で表しています。

図表3 入院/療養と退院/療養解除の発生状況

(グラフ注記:感染拡大第2波以来の、新規感染者(入院/療養)の発生数(オレンジ)と、回復者(退院/療養解除)の数(緑)を、7日間移動平均値で示したもの。この図の新規感染者数と図表1の新規検査陽性者数は概ね一致するから、実数表示のグラフと対数表示のグラフの見かけの違いが見て取れる。【出所】図表1と同じ)

図表1の検査陽性者数の動向と見比べると、実数表示と対数表示のグラフから受ける印象がずいぶん違っていることが分かると思います。この図からわかることは、感染と判定された人のほぼ全数が、それから10日~2週間程度で退院、ないし療養解除となっていることです。

それより前に発生していた感染は、数の上では退院/療養解除によって常にキャンセルされていることになり、したがって、各時点で存在している感染者の数は、直近10数日間に発生した感染の合計とほぼ同じということになります。

注目したいのは、12月以来の感染急拡大を受けて、日々の感染者の数も大幅に増えてきているのですが、一方で退院/療養解除者の数もこれを追うように増加しており、グラフ上でふたつの間には、一定の時間差をおいて重なり合う関係が、ずっと変わらずに見られていることです。

つまり、治療/観察→退院/療養解除という流れに遅滞は生じておらず、その限りでは、医療崩壊を窺わせる兆候は見られません。

図表4のA図には、入院/療養者の現数、そのうちの重症者数、そして当日死亡した人数の推移を、やはり7日間移動平均値を計算し、対数表示にして示しています。これらの数値が連動して変動することは容易に想像できますが、実際それぞれが描く曲線を上下に移動させると大体重なります。

図表4 国内の感染者数、重症症例数、死亡発生数の推移

(グラフ注記:感染者数(在院/療養中の者の合計;青)と、そのうちの重症症例数(オレンジ)、および死亡した者の数(グレー)の7日間移動平均値を対数表示のグラフに示す。左図に感染拡大第2波以来の推移、右図に昨年12月以来の傾向を掲げている。右図では、感染者数を表示する基準日(0日)を12月1日とし、重症症例数、死亡者数の表示ではそれを、それぞれ12月6日、12月10日にずらせて、表示している。グラフ上でほぼ直線をなして増加する3つの要素について、その増加率(倍加時間)を求めるために引いた近似直線(黒細線)も合わせて表示している。【出所】図表1と同じ)

12月以降の感染急増期については別にB図を設けています。ここでは指標の変動に現れる時間差を考慮して、12月1日、6日、10日をそれぞれの基準日(0日)として、以後の経過を表示していますが、どの項目も右上がりの直線、つまりきれいな指数関数的増加の様相を見せているのが分かります。

この状況で、収容可能な病床の逼迫、また医療的処置が重症患者に十分に届かなくなる、といった医療を巡る状況の悪化が懸念されるのは、当然と言えば当然なのですが、B図は、事実がむしろその逆であることを示しているように思えます。

グラフの傾きから計算すると、入院/療養患者の数が31.5日で2倍になる割合で増加しているのに対して、重症者数、死亡者数の倍加時間は、それぞれ48.5日、40.4日。つまり、感染者の中から重症化、死亡が発生する割合は日ごとに低下していく傾向にあるのです。

治療あるいは医療的ケアの質的、量的充実の結果なのか、感染と判定された人に軽症の割合が増加しているのか(わたしはむしろこちらではないかと疑っているのですが)、いずれにせよ、これらの指標からも医療崩壊で助かる人も助からないという状況を思わせる証拠は見いだせません。

気になるのは重症患者が死亡する割合がやや上昇する傾向にある点ですが、これはもっと以前から続いている傾向で、高齢者の感染割合が増え続けていることと関連した現象と考えているのですが、ここでは深入りしないことにします。

武漢肺炎の重症患者は、呼吸器内科や救急救命など特定の診療科に集中します。治療には、機器の取り扱いや患者の容態のモニタリングに習熟した多数のスタッフを必要とします。重症患者の増加は、特定の医療分野に猛烈な圧迫を加える。

これは間違いない事実です。

そうした現場から上がってくる悲鳴にも似た訴えは、決して大袈裟なものではないはずです。医療に限らず、システムというものはその一つのピースに破綻が生じたら、ドミノ倒しのように全体に被害が広がっていってしまいます。

それを防ぐために早め早めに手を打っていくのは、その維持に責任を負う人達にとって最重要の使命であり、そのためには、市民への協力の呼びかけもまた欠かせない仕事となるでしょう。

しかし、政府、自治体、アドバイザリーボードたる専門家集団、医師会などからこのところ発せられるメッセージが、客観的で正確を期したものかどうかについては、かなり怪しいという疑いが捨てきれません。

仮に実態以上に危機を煽ることで。国民に行動自粛を促そうなどと考えるなら、それは自ら狼少年の立場に堕していくだけだと思うのですが。

検査報告の数字は本当に正しいのだろうか?

前段が長くなりましたが、本題です。

図表5は12月以降に武漢肺炎の検査で陽性とされた症例数の推移です。

図表5 最近の検査陽性報告数に見られた一過性?の異常増加

(グラフ注記:昨年12月以降の新規検査陽性症例の報告数(7日間移動平均値)の推移を、実数表示のグラフで示す。旧年中、ほぼ倍加時間55日の増加曲線(点線)に沿う形で推移していた陽性症例数が、年明けとともに急増したことが分かる。【出所】図表1と同じ)

図表3、4と異なり、こちらは変動の幅を捉えやすい実数表示のグラフにしています。図中実線で示されているのが毎日の陽性報告数(7日間移動平均)、点線は12月1日の陽性者数が、それ以後倍加時間55日の指数関数的増加を示した場合に予想される値です。

12月末までこの実線と点線はほぼ重なっています。

点線で表した推移をベースラインとすると、実際の陽性報告数は年末にこれをやや上回った後、年明けから大きく離れていき、一時は2倍近い値にまで上昇するのですが、1月下旬にはその差は急速に収縮していきます。

これだけ大きな変動はグラフを対数表示にしたところで十分に見分けられるので、図表4に示した重症症例数、死亡数の動向にも影響が出ていておかしくないはずですが、とうに現われるだけの時間が経過した今となっても、それらしい増加は認められません。

むしろ、これから低下していくであろうという兆しまで見え始めています。その意味するところは明らかでしょう。年明け以来の感染者数の激増というのは、要するに重症化や死亡などの心配のない、無症候ないし軽度の症状を呈する人がほとんどだったというに他ならないのです。

この奇妙な感染拡大がなぜ起こったかについて、スパッと割り切れる説明をするのは難しいのですが、関係していそうな事柄を挙げることならできそうです。

図表6は7月以降に行われたPCR検査数と陽性率の推移を示したものですが、11月まで2つの数値は大まかに連動して増減していたところが、12月になると検査数が急増する一方、陽性率はほぼ一定に留まっています。

図表6 国内で武漢肺炎向けに実施されたPCR検査数と陽性判定率の推移

(グラフ注記:PCR検査数(青)と陽性症例の割合(オレンジ)を、それぞれ左軸と右軸に記した目盛りに合わせて、実数表示にしたグラフに示す。【出所】図表1と同じ)

検査陽性の報告数はこの2つの数値を掛け合わせたものですから、12月に入っての感染拡大はまるで検査数の増加だけで説明できるように見えます。

このことも十分に変だと言えば変なのですが、より奇妙なのは、年末年始の検査機関の休業期間に検査数の減少を補うように陽性率が跳ね上がり、その後検査数が回復すると、また一段と上昇している点です。

これが12月以来の感染拡大基調が年末年始の期間も衰えず、正月明けからそれがさらに加速した、図表1に見られる感染激増の正体です。しかもその多くは疾患としての実体を伴わないような。

検査陽性率に現われた2段階のジャンプはいかにも不自然で、実際の感染状況の反映というより、何か人為的な要因の関与を考えたくなります。

図表7はこの間に行われたPCR検査数を実施機関のカテゴリー別に示したものですが、年末から1月にかけての異常な検査陽性数の増加と関係していそうなのは、中でも医療機関から提出されたデータではないかと疑われるのです。

図表7 武漢肺炎向けに実施されたPCR検査の実施機関別内訳

(グラフ注記:検査実施機関のカテゴリー分類は厚生労働省の基準に準拠している。民間検査会社(青)、医療機関(オレンジ)、地方衛生研究所・保健所(紫)、大学等(緑)、検疫所(グレー)で行われた検査件数を左図に、総件数に占めるそれぞれの分担割合(百分率)を右図に、色分けして示す。【出所】図表1と同じ)

施設ごとの陽性率のデータなどわたしには入手できないので断定はできませんが、仮にすべての増加分をそこだけに求めるとしたら、一時は扱った検体の30%超を陽性と判定していたことになります。

その大部分が偽陽性だったのか、あるいは従来なら陰性判定されていたほどのごく微量のウイルス核酸まで、これらの施設では検出されるほど検査感度が上昇した結果なのか。

後の可能性が事実だとしても、その後の感染動向を見る限り、そのような辛うじて検出される程度のウイルスが、さらなる感染拡大のタネになることはなさそうですから、実用上はこれもやはり、感染状況のモニタリングにとって有害な事象ということになるでしょう。

それにしても、特定の検査施設からいきなり高い率の陽性症例が出始めたら、報告する側も、またそれを受け取る側もおかしいとは思わなかったのかという疑問がわきます。

感染拡大が急速に進んでいるという先入主があれば、案外不思議とも思わないこともあるかも知れませんが、医療機関というカテゴリーに分類されるところで行われた検査が主犯というのであれば、次のような理由も考えられそうです。

ネット上に『東京PCR衛生検査所:無症状者・海外渡航者を対象とした自費診療の 新型コロナウイルスPCR検査実施医療機関・病院・クリニック一覧』というのが見つかりますが、リストに載っているのは、繁華街やオフィス街のビルなどでよく見かけるクリニックといったところがほとんどのようです。

検体の採取はやってくれるが、実際に検査している施設は別。感染した人の治療に当たらないし、また治療先からの情報のフィードバックもない。そういう背景があってのことではないでしょうか。

検査至上主義に対する疑問

公衆衛生の要である保健所制度は、日本人の命がまださまざまな感染症、とくに結核の脅威にさらされた時期につくられました。

結核予防法という法律が平成18年に感染症新法に統合された後も、結核はとくに社会に危険を及ぼす疾患として二類感染症に位置づけられ、患者が発生すれば、保健所によって濃厚接触者とその感染の有無を調べる調査が行われます。

武漢肺炎を対象に保健所がおこなってきた活動は、この手慣れた結核対策の手法をそのまま転用したものと言えるでしょう。ただし、現状で武漢肺炎に対結核戦略をそのまま当てはめるには重大な難点があると思います。

症状がなかなか表に現われてこない結核患者がもっともよく発見されるのが、事業所、学校に年1回の実施が義務づけられている定期健康診断に含まれる胸部X線間接撮影です。毎年受診されてきた方なら、一度くらいは「要精密検査」の判定を受けたことがあるんじゃないでしょうか。

そう判定されると、医者を訪ね、問診とX線の再検査を受け、いよいよ怪しいとなれば、喀痰検査、生菌培養、PCRなどの手法で結核菌の感染を確定させ、さらに周囲への感染拡大の恐れがある排菌感染者だと、そこまで確かめられて初めて、患者本人には入院勧告、そして保健所の調査活動の開始となるのです。

翻って武漢肺炎の場合について見れば、PCRまたは抗原検査一発で感染が確定してしまいます。胸のX線写真に陰影らしきものがあれば、即結核患者にしてしまうようなものだと言えるでしょう。1日に10万件近くも検査をやっている現状では、いくら精度が高い検査でも偽陽性の発生数は半端ではない。

それが保健所の調査余力を枯渇させてしまい、感染者削減の効力を著しく減弱させたことが、今われわれが見ている感染拡大の原因ではないかという考えを前稿で提示したのですが、今回はまた、仮に一過性の現象であったにしても、精度に問題がある検査が増えたことで感染統計にまで歪みが出てしまった疑いが浮上してきました。

武漢肺炎を二類感染症扱いにするのがそもそもの間違いで、五類感染症としてしまえば問題解決という議論があるようです。

わたしはそれには絶対に反対です。この疾患は五類感染症並に扱っていいような生やさしい疾患ではないと思っています。結核と同様、無症候の感染者が多いこの疾患は、積極的に潜在患者の掘り起こしをやらなければ、いつの間にか際限なく拡がってしまっていることになりかねない。

ずっと日本というありがたい国に暮らしているわたしたちには、人通りの絶えた街に、重症患者を運ぶ救急車の警報音だけがひっきりなしに響くという、ニューヨーク、パリ、ロンドンの市民が味わった恐怖を肌身で感じたことがない。それが本末転倒した議論を生む素地だと考えます。

それならどうすべきか。結核に対する定期集団検診時の胸部X線検査に相当する手段が開発されていない現状では、来院した患者に武漢肺炎の疑いありと医師が判断すれば、確定診断のためにPCR(抗原)検査をおこない、その結果に基づいて保健所が動く。

要するに以前の形態に戻すしかないと思います。追い込まれた末の苦渋の決断ということでしょうが、神奈川県がこの体制に戻すとアナウンスしたようです。その通り実行されれば、この自治体の感染動向に今後どういう影響が出てくるか、注目したいところです。

図表4に掲げた、重症症例数、死亡者数という、武漢肺炎の動向をまず確実に反映していると見られる指標に、2ヶ月弱で倍加するほどの増加が見られるのですから、現在の状況が座視して良いものでないのは明らかです。

増加速度がずっとこのままというのであれば、遠からず医療崩壊という状況に至るのもまた間違いないでしょう。

誤解のないようお願いしたいのですが、今回の投稿の趣旨は、そうした危惧に対して、異を唱えようというのではありません。

感染拡大を抑制するために採られた対策の効果を、客観的に評価するためには、前後の感染動向をきちんと把握しておくのが不可欠ですが、そのために最も重要な、日々の感染発生数という指標が極めて怪しいものになっているということを指摘したいのです。

実際に感染が発生した時点からそれが統計上の数値となって現われるまでには、2週間ほどのタイムラグがあるのは仕方がありません。隔靴掻痒の感はあっても、検査陽性症例数の増減は、それでも感染動向の変化を最も速く知りうる重要指標です。

その数値に、検査の数、その実施元、検査精度など、何らかの要因のブレによって、無視できない歪みが生じてしまっているのなら、そんな数値に依拠して、実効再生産指数がどうのこうのと言ってみたところで、意味がないことになってしまいます。

ましてや、それが緊急事態宣言の発令やその解除といった、社会に多大な影響を及ぼす判断の根拠として用いられることになるのなら、「おいおい、ちょっと待ってくれよ」と言いたくなるのです。<了>

読後感

以上が、伊江太様からの投稿です。

前回でもそうでしたが、正直、このような論考は専門家の方でなければ書けません。

ただ、データを並べて、「扱った検体の30%を陽性と判定していた機関が存在している可能性がある」という推論から、「検査報告の数字は本当に正しいのか」という疑問を提起するあたり、まことに僭越ながら、金融評論家としての「国債のデフォルトはあり得ない」などの推論と通じるものがあるような気がします。

(そういえば某野党の重鎮議員の方は、「国民全員に今すぐPCR検査を実施しろ」と主張していらっしゃるようですね。野党がいつまで経っても野党のままだという理由の片鱗を見る思いがします。)

なお、武漢コロナ、武漢肺炎等については、過去に専門家などの方々からずいぶんと論考を寄せていただきましたが、これらについては『読者投稿の募集と過去の読者投稿一覧』のページにまとめておりますので、ぜひともご参照ください。

伊江太様、今回も本当にありがとうございました。

読者コメント一覧

  1. イーシャ より:

    伊江太 様
    丁寧な観察と深い洞察に基づく論考、ありがとうございます。
    伊江太様の論考は、後に検証可能な未来予想を含んでいて、いつも興味深く拝見しています。

    > 検査陽性率に現われた2段階のジャンプはいかにも不自然で
    私ならバイデンジャンプと書いてしまいそうです。
    いえいえ、基数から2倍、3倍になっているからで、どこかの大統領選挙を想起してのことではありません。
    冗談はこれくらいにして。

    民間検査会社による PCR 検査の急増には、私も疑問を感じています。
    以前、ソフトバンクの孫氏が大量の検査キットを確保したという話を聞きましたが、自分が損しないために素姓が怪しい検査キットを売り捌いているといった疑念が払拭できません。

    死亡数は実際に増加しているようですが、これについても、毎年冬になると肺炎による死亡数は増加します。武漢肺炎の感染があった場合には、通常なら他の死因に分類される死者も武漢肺炎による死亡にカウントされている可能性が高いと感じています(この辺りは、現場に詳しい方の指摘を待ちたいと思います)。
    また、昨年一年間、日本の超過死亡数が大幅なマイナスになった結果、肺機能が弱り例年なら肺炎で既に死亡していたであろう方が、後ろ倒しになってカウントされている可能性も十分に考えられます。

    神奈川県が以前の検査体制に戻すという話は初めて知りました。
    結果が現われるのを待ちたいと思います。

    ところで、昨日、緊急事態宣言の延長が発表されました。
    経済活動への影響を考えるとき、とりわけ飲食店や観光業を営む方々には申し訳ありませんが、春節の時期に中国人が大挙して押し寄せるという去年の轍を踏まずに済むことだけは、歓迎したいと思います。
    ラムザイヤー論文で「慰安府は売春婦」と暴露されて怒り狂う韓国人を、閉め出したままにできることも。

    1. namuny より:

      イーシャ様

      バイデンジャンプというのは間違ってないかもしれませんよ。
      正確には、今度はバイデンフォールかもしれませんが。

      最近Ct値の話が増えてきています。高いほど検知率が高く、誤検出も増え、低ければ見逃しが増えます。
      https://my-life-hack.com/pcr-test-ct-value-japan/
      日本の一般的な検査では40くらいが標準の様ですが、検査サービス機関ではCt値が45とか50と高めに設定されているという話もあります。
      私は、年末年始に一気に増えたのは、帰省前のタイミングで一斉にサービス機関に検体が送られ、高いCt値の検査結果が一気に増えたからだと思っています。結果、誤検出が増加したのが今回のピークでしょう。

      そして、バイデンフォールですが、バイデン氏の就任直前にWHOがCt値を下げるよう勧告を出しました。
      これで、誤検出が減って感染者数が減るのか、見逃しが増えて本当の感染者が一気に増えるのか。フォールかジャンプか、どちらになるでしょうか。

  2. りょうちん より:

    「際限なく広がってしまう未来」はいつかやってきてしまうと最初から確信しています。
    持病持ちですので、まだそれほどの年齢でなくても感染したら私は重症化で死ぬかもしれません。
    経済を犠牲にして1年でなんとかワクチンの開発、重症化を防ぐ薬品の選定は少し進みましたが、二年目、三年目もこの社会体制が続けられるとも思えません。
    なんとか対応というより適応をしないといけないのでしょう。

    1. 成功できなかった新薬開発経験者 より:

      「際限なく広がってしまう未来」

      こうなりそうもないことに困惑しています。
      伝染力の強い呼吸器感染症なら、
      1.流行初期
       少数の感染者から周囲の非免疫保有者に伝染し、指数関数的増加を見せる。
      2.ピーク期
       感染者の周囲に免疫保有者が増え、感染速度が衰える。
      3.収束期
       感染者の周囲には非免疫保有者が少なくなり収束に向かう。

      インフルエンザの流行曲線は日本ではこのモデルで説明されると思います。
      (米国のような大国では地方による生活様式の違いが大きいので、単純ではない。)

      感染者数(陽性者数)の推移を見ると、春、夏、冬のすべての場合で、
      途中、Td値の増加が観測され、ヒヤッとさせられると、その後減少に向かう。
      単純な数理モデルに従っているとは思えないのです。

      特に根拠はないのですが、今想定しているのは、
      春の流行は、暖かくなるのに伴い、冬風邪が収束。
      夏の流行は、梅雨の時期、体調を崩す人が増えると同時に、冷房による密室効果により
       感染者が増加。
       秋の好気候と冷房不要により収束。
      冬の流行は、冬風邪が流行。
      暖かくなるにつれ、冬風邪が収束(今、ここ)。

      希望的観測ですが、日本では今後も地獄は来ないでしょう。

      変異株が懸念されていますが、札幌医科大のデータベースに基づけば
      米欧でTdの顕著な増加はなさそう。

  3. 武漢肺炎パンデミックを生き延びれるかわからない匿名29号 より:

    パンデミックは武漢肺炎で終わりではありません。むしろ始まりであって、これからは数年に一度はこの規模のパンデミックが襲来すると考える方が自然です。
    今回の武漢肺炎は検疫、検査統計、専門病院の体制、ワクチン開発のスピード等々についてパンデミック時にはどうすれば被害を最小限に抑えられるかについての問題点を明らかにしてくれたと思います。武漢肺炎が一段落したら、おそらく世界中の政府は次のパンデミックに備えて医療体制、政策を変えてゆくでしょう(でも、日本政府というより世間は 喉元過ぎれば熱さを忘れるのでやや不安)
    伊江太様の優れた分析も次回のパンデミックに備える一助になることを願っています。

    (個人的にはマスコミが政府批判に絡めて因果関係の不明確な煽り報道を自粛して、各方面の事実を淡々と報道するにとどめたならば、もっと粛々と対策は進んだと思っています)

    1. 普通の日本人 より:

      サーズを20年ほど前現地で経験した者として感じるのは、”武漢肺炎は感染症の恒久的な対応システム構築の好機です”
      医師会の”たいへんだ~、たいへんだ~”だけの会見を見て危機対応の見直しが絶対に必要だと思いました。
      新たに感染症専門病院とか、既設病院を緊急の感染症専門とするとか、人員の融通を保健所と医師会が責任を持って融通するとか、医療機器を融通するとか。
      そのような前向きな対応を期待します。
      残念ながらメデアは煽り報道だけで(当然夜盗も)怒りを通り越し諦めの境地です。
      とにかく世界で成功支度にはありません。
      治療法が確立するまで試行錯誤を繰り返すしか無いと思っています

      国が一つになる事が大切です。
      独裁国家は人権を無視した強制力がありますが、自由民主主義国家は基本的に「お願い」しかないことも我々は理解する必要があります。

  4. 市井の内科医 より:

    アカデミズムとは縁遠い現場の人間としては、崩壊と言っていいかどうかは別にして、患者の転送先が見つけにくくなったのは実感してます。
    そもそもが、保険診療報酬の設定が、ベッド稼働90%超えないと黒字にならない業界で、いくら病床数が世界的に見て潤沢であっても、非常時に融通できる病床数は決して多くありません。また、勤務医の劣悪な労働条件と、いまだ根強い実質開業医の利益代表団体である医師会の政治力から、開業医ほうが相対的にまだしもQOLがマシである、といった理由で、私のような経営の力の欠如した阿呆以外は、働き盛り、ゴリゴリの臨床どんとこい世代の医者ですら、さっさと開業して、病院から逃散するようになって久しい。昨今「医療者に感謝を」とかほざいているが、ついこの間まで、事故をミスだと報道し、医療者のモチベーションをダダ下がりにしたのは誰あろうマスゴミで、さらに、医者は儲けすぎだとミスリードし、勤務医の労働条件を放置したままで診療報酬を削り続けた厚労省も同罪で、どうせコロナが落ち着いたら手のひらを返すのは必定ですから、使命感を持って滅私奉公している一部の医療者はなんてお人好しなんだと思いますが、かといって頑として既得権を擁護し続ける医師会も大嫌いです。
    今回はコロナ程度だからまだよかったですが、エボラ級のヤバい疾患だの、大規模災害に対して、現状の医療体制では全く対処不能であることは明らかなので、早々に憲法改正をはじめとした法整備を行うべきと思います。病床や医療スタッフの(嫌ですけど)強制徴用なども想定しとかないと、ほんと有事には対応できないと思いますが、迷王星 さまいうところの「言霊教徒」の日本人には無理なんだろうなあ。

    1. りょうちん より:

      新型コロナのせいで、医療機関の収入ががた減りなのはなにか補償してくれるんでしょうかねw
      「同情するなら金をくれ!」
      は、現代でも金言。

      1. 市井の内科医 より:

        りょうちん さま

        その通りだと思います。
        医者は経営者じゃないですから、俺らに文句言われても困りますよね。
        経営者が「割に合う」と思えば、医者や看護師説得してでも引き受けようとするでしょうから、経営者が「喜んで!」というくらいの金を積むのが大前提で、経営者が俺らを「うん」と言わせられるかどうかは、次の段階です。
        なにせ「うん」と言った挙句に給料やボーナス減らされた事例が多発している以上、今後は、いくら世間知らずの医療従事者も簡単に「うん」というとも思えません。その辺のケアが今んとこ、政府関係は「ゼロ」ですし、一般の方も大多数は、感謝してると言う分には「タダ」だからいくらでも言うけど、自分の腹は痛めたくない、というのが日本人ですよ。
        あほくさいから、今後は面従腹背で行きたいんですがねえ。

  5. たか より:

    >武漢肺炎を二類感染症扱いにするのがそもそもの間違いで、五類感染症としてしまえば問題解決という議論があるようです。
    >わたしはそれには絶対に反対です。この疾患は五類感染症並に扱っていいような生やさしい疾患ではないと思っています。結核と同様、無症候の感染者が多いこの疾患は、積極的に潜在患者の掘り起こしをやらなければ、いつの間にか際限なく拡がってしまっていることになりかねない。
    ———–以上引用————————————
    この点は同意できません。というか専門家でないのでよくわかりません。我が国の場合、超過死亡数はマイナスなのでそれほど警戒するべき疾病なのか、疑問なのです。

  6. 新宿会計士 より:

  7. Naga より:

    伊江太様、
    論考をありがとうございます。
    武漢コロナというのは一般的名インフルエンザと比べて怖いのでしょうか?
    武漢コロナにかかった人の話をメディアで見ることがありますが、それによるとインフルエンザよりきつい感じがしますが。
    インフルエンザでも亡くなる人はいるわけで、その人はどのようになくなるのでしょう。やはりエクモとか使用するのでしょうか?
    使用するとすればインフルエンザで医療崩壊とか言われないのは重症化する人が武漢コロナに比べて少ないのか、指定感染症の指定が2種で色々な手間等がかかって大変だからなのか、その両方なのか素人には分からないところです。
    いずれにしてもインフルエンザが劇的に減ってインフルエンザとコロナを合わせた死亡者が、以前のインフルエンザの死亡者より少し少ないとかの話を聞くと大騒ぎし過ぎに感じます。

    1. りょうちん より:

      新型コロナで死ぬのは想像できてもインフルエンザで死ぬのは想像できないというのは、なかなかこの問題の本質を突いていると思います。

    2. 伊江太 より:

      Naga様

      実はわたしは、同じウイルス性の感染症ということで、武漢肺炎をインフルエンザと並列的に考える時点で、両者の明らかな違いに目を奪われるあまり、一種の思考停止に陥るのではないかと以前から考えています。

      インフルエンザは周囲で流行し始めれば、どう気を付けているつもりでも、感染を防ぐことは難しい。誰も彼もが罹患するわけでないのは、季節性のインフルエンザに対してはたいていの人が、強弱はともかく、過去の感染で身につけた免疫をもっているからだろうと思います。

      一方で武漢肺炎は、今でもまだほとんどの人が、一度も触れたことの病原体によって引き起こされる疾患です。まだまだ、拡がっていく十分な余地があると思います。少なくとも効果的なワクチンが十分に普及するまでは。

      ところで、季節性のインフルエンザの発生は、毎年、数百万人のレベル。関連死の範囲をそう拡げなければ、死者数は3千人程度。対して武漢肺炎はと言えば、発生後一年経って感染者数が40万人(わたしは本当の感染者はそれほどいないんじゃないかと思っているのですが、それはともかく)、死者数が6千人。単純に死亡率だけを考えれば、武漢肺炎の方が圧倒的に高い。

      インフルエンザによって起こる肺炎患者に、人工呼吸器やエクモを使用するかというはなしは、わたしは医師ではありませんから、本当のところは知りません。しかし、たいていの場合、現場の医師はやらないだろうなと思います。健常人は、喉や気道に常在している細菌が肺に入って増えたりしないように、それを抑えつける強い免疫力をもっているものですが、高齢者などではその力が衰えた結果、そうした肺炎が起きるのですから、無理矢理延命措置を施したところで、そこから回復させる結果はまず得られないと判断されると思います。

      わたしが武漢肺炎にこれだけ興味を持つのは、死亡率云々は、どちらかといえば、二の次の問題です。免疫という観点から見れば、ウイルスにとって処女地と言っていいこの日本で、この疾患はこの先どこまでも拡がっていく可能性がある。一方で、欧米諸国と比較すれば、驚くほどその増加速度は低い。昨夏の酷暑の中でも、ほとんどの人はマスクをして街を歩き、公共施設、飲食店、スーパーマーケット、その他、入り口に消毒液が備えられている場所では、手を消毒してから入場する。そういう日本人のほとんどが理解している予防意識が、この欧米とのちがいの真因であろうと考えています。

      武漢肺炎の問題は、どこまでも拡大しようとするウイルスと、これを許すまいとする社会力の間の綱引きと見ることができるだろう。インフルエンザのようにおおよそ世界共通の顔をもつ疾患と違って、この疾患を追及していけば、大袈裟に言えば、日本という社会の文化論的な特異性みたいなものが、見えてくるんじゃないか。多少こじつけみたいな言い分ですが、そんなことを考えるのが、不謹慎な言い方かも知れませんが、この疾患にわたしが惹かれる理由なんだと思っています。

      1. Naga より:

        伊江太様

        ご丁寧にありがとうございます。
        当面ワクチンを使用しつつ、この病気に対する集団的な抵抗力を獲得するまで頑張るしかないということですかね。
        また、従来、マスクの繊維の間隙はウィルスのサイズに比べて圧倒的に大きいので気休めでしかないということは日本でも言われていましたが、人の口や鼻からウィルス単体で飛散するだけではないので、効果があるという認識が広まって良かったと思います。またマスクをしていると暖かい空気を呼吸できるのも良いのかと思います。
        集近閉を避けるという認識が広まった事も良かったと思います。これで今後、インフルエンザも少なくなれば全体的には良いのではないかと思います。

      2. 成功できなかった新薬開発経験者 より:

        伊江太様

        「まだまだ、拡がっていく十分な余地がある」

        4月初めには、私もそう考えて大いに心配しました。
        しかし、緊急事態宣言の前にピークを越えていた様子。
        自然収束。

        7月からの流行は宣言なしに収束。
        12月からの流行も宣言前にピークを越えていて、自然収束。

        米欧と違い、日本では季節性の風邪と同様な挙動。

        武漢風邪と季節性風邪の違いは、
        肺炎に至りやすいことと、血栓症などを引き起こしやすいこと。

        米英の路上の画像を見ると、肥満の人ばっかり。
        日本人、スリムで健康的体形を維持するのが一番の対処法では。

    3. 市井の内科医 より:

      Nagaさま

      思っていたよりはタチが悪い、というのが率直な印象です。
      感染が成立した後、ワンテンポ遅れてから急激に悪化する症例が一定割合でいます。そうなると、かなりヤバい。原因はサイトカインストームがどうとか言われてますが、じゃあなぜ、その症例でそれがおきたのか?ってことはさっぱりわかりません。アビガンも、意外に効かねえなあ、というのが率直な感想です。Nagaさまが少なくともインフルエンザにおけるタミフル的な存在だと思われていたのであれば、まったくそういう感じはしません。使うタイミングを選ぶのかなあ、という印象はありますが、まだ経験不足です。
      ただ、インフルエンザなども新興感染症であった頃は、やはりこういうものだったのかもしれません。梅毒なども、日本に入ってきた当初は今よりかなり強毒性であったようですし、パンデミックを繰り返す過程で、人とウイルスの折り合いがうまくついていないだけで、単に我々の世代では経験がないため、COVID19が悪質に錯覚している、という可能性もあるでしょう。

  8. たっくん より:

    なかなか興味深い内容で一味違うPCR検査についての分析、ありがとうございます。この1年間、コロナ対策をいろいろ実施されてきました。感染者が減ったのは、緊急事態宣言の時だけです。PCR検査を全国民にと主張する人たちは、ワクチン接種より、緊急事態宣言より、感染者が減らせるよ!と必ず結果が出るという具体的資料を出しなさい。PCR検査の方が効果があるのなら、ワクチン接種に反対しなさい。

  9. 通りすがり より:

    伊江太さま

    面白い考察ありがとうございます。
    論考を読ませていただいて、気になったところを一点指摘させていただきます。
    図表4の感染者数がTd=31.5となっていますが、
    これは1月に入っての急激な増加を含めた数値だと思います。
    一方、図表4の陽性者報告数では
    急激な増加が始まる前までの期間で評価されTd=55日とされています。

    図表4の説明では重傷者数、死者数に関しては1月に入ってからも
    感染者数のような急激な増加は見られないとの考察もあります。
    そこで、図表5と同じ期間で評価しても重傷者数、死者数のTdは、
    図表4の数値と変わらないと考えると、12月中のTdは、
    (陽性者報告数)=50日>(重症者数)=48.5>(死者数)=40.4
    となり、医療機関がひっ迫されている効果がある程度表れているようにも感じます。

    医療崩壊を起こしていると言うほどでは無いにしても
    実際にコロナと対している医療機関への負担は、
    12月に入り、それなりにひっ迫し出しているのかなとも感じました。

    ただ、実際にコロナ対応にあたっている医療機関と、
    検査を積極的におこなっている医療機関やクリニックが全く別であり、
    医師会は後者の利益団体だということを耳にして、そこは問題だと思います。

    本旨と違った指摘ですいません。

    1. りょうちん より:

      >ただ、実際にコロナ対応にあたっている医療機関と、
      >検査を積極的におこなっている医療機関やクリニックが全く別であり、
      >医師会は後者の利益団体だということを耳にして、そこは問題だと思います。

      医師会活動を真面目にする様な医師が、コロナ検査を積極的に行うなんてことはないと思うので、間違った捉え方だと思います。

    2. 伊江太 より:

      通りすがり様

      よくデータを読み込んでおられることに感心しました。

      Tdについてのご指摘ですが、図表4で感染者数としているのは、各時点で入院中および療養中の方を合わせた数を示しています。NHKやYahooなどが一般向けにネット報道しているのと同じ数字です(集計時刻が異なるので、厚労省発表のものと必ずしも一致はしませんが)。まあ、実際のところは、武漢肺炎が日本で発生して以来の検査陽性者数の累計から、退院・療養解除者の累計と死亡者の累計を差し引いただけの数字なんですが。

      重症者数、死亡者数と比較の対象にするのに、日々の入院者数の統計があれば、そちらを採用したいところですが、多数の医療機関の入退院について、日々の動きをきちんと把握するのは無理なのでしょう、そういう数字は入手できないようです。

      一方で、図表5に載せている数字は、毎日報告される新規の検査陽性者数です。本文の中でも触れましたが、図表4の感染者数は、この新規陽性者数の10数日分くらいに相当します。ですから、図表4と図表5の縦軸の目盛りをご覧になると分かりますが、値は一桁違っています。

      例えば図表4にこの新規陽性者のデータを加えてみたら、対数目盛であっても、もっと1月に入って急に跳ね上がるような曲線が描かれるのですが、感染者数の曲線の方は、ご覧の通り、角の取れたもっとなだらかなものになっています。それでも感染者の曲線への近似直線は、他の2つの要素に比べて、明らかにずれが大きくなっています。

      ご指摘のように、感染者のデータは12月中と1月に入ってからでは増加の速度が違っています。それを込みにしての近似直線の傾きがTd=31.5日ですから、これをそういうギャップを含まない重症者、死亡者の増加曲線と比べていいのかという疑問に対して、明確にお答えは出来ないのですが、わたしが意図したのは、むしろ後の方の要素には、出てくるなら遅くとも1月中旬~下旬には現われるはずの、そういうギャップは見られないという観察の方だったので、医療崩壊云々の記載は、ちょっと余計だったかも知れません。そういう事態が深刻であれば、感染者が増加する以上に、十分な治療を受けられずに重症化~死亡する人数が増えてくるはずだが、そうなってはいない、くらいに止めるべきだったかと思います。

      十分かどうかもうひとつ自信はありませんが、とりあえずできる範囲での答えといたします。

      1. 通りすがり より:

        伊江太さま

        本論から外れた指摘に対して丁寧な返信ありがとうございます。
        私も伊江太さんと同じように大晦日から1月に入っての感染者数の公表値に対して違和感を覚えていました。もう少し詳細なデータが公表されれば、色々な解析が出来るのにと常々思っていますが、その中で、よく調べられているので、とても興味深く読ませていただきました。

        本論の論旨とは外れてしまいますが、図表4の感染者数のフィットが1月以降の数値に引っ張られているように見えたので、12月の増加率だけを考えるとフィットの数値は過大(Tdが小さめに)に評価されていると感じ、先のコメントになりました。ただ、同じ基準で重症者数や死者数も評価しているわけでは無いので、私の論評も客観性があるとは思っていません。なのに、生意気な論評をして、すいません。

        ただ、これも感覚的な問題なのですが、私は医療崩壊というか、医療機関のひっ迫はある程度起こっていると思っています。原因は専門病棟を夏以降増やしていなかったことと、大阪のように専門病棟を作っても、そこに充てられる専門医が不足していることなどが言われています。

        りょうちんさま

        マスコミなどでは政府への不作為に焦点を当てて報道していますが、政府としては第2次補正予算で、そのための予備費を用意していました。今の政治の建付けだと政府に出来ることは予算を手当てすることと、地方自治体や医師会などからの要求に対して用意した予算を配分することだけです(現場の責任まで中央政府が負う大きな政府論もありますが、今回の内容に関する限りは中央政府にはそこまでの権限はありません)。専門病棟数を増やすことに対して、実際に動かなかったのは現場への責任を有している地方自治体や医師会などの民間の医療機関だったと思っています。

        医師会のメンバーは開業医が主で(その中にはPCR検査を推進している人も含まれています)、実際のコロナ対応にあたっている勤務医の意向は殆ど入らないとも聞いています。その医師会がデータに基づかない主観的な意見でGoToを止めさせろなどと言っていたのには違和感があったので、先の投稿になりました。

  10. ポプラン より:

    伊江太様
    今回もありがとうございました。
    日常に追われて出遅れました。
    いつもコロナウォッチャーとして勉強させて頂いています。
    現在は細かいデータが手に入るのが良いです。
    「流行性感冒」のデータは御頭が切れているので当てになるのは死亡率だけです。
    現状を南関東の片隅から見ていると2月下旬から3月上旬まで緊急事態宣言
    しておけば、まずまずの所まで行きそうに思います。
    春から夏は、コロナも大人しくしているでしょうから東京五輪も無観客なら
    何とかできるかもと思うぐらいまでにはなりそうですね。
    秋口からはまた、コロナが少し暴れるでしょうから2022北京をどうするか
    でしょう。
    東京だけダメで、中国がドヤ顔で世界最初にコロナを乗り切ったオリンピックと
    いうのでは、WWⅡ以上の死者に顔向けが出来ないとアメリカの面子丸潰れ。
    女性団体が森元首相の女性差別を攻撃して2021東京
    人権団体が中国共産党の人権侵害を攻撃して2022北京
    両方ともセットで開催中止になれば、アメリカと中国の面子も立ちますか。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。