【読者投稿】「検査数と感染者数は比例する」は本当か

当ウェブサイトでは読者投稿を歓迎しており、読者投稿要領等につきましては『【お知らせ】読者投稿の常設化/読者投稿一覧』にまとめているとおりです。こうしたなか、例の「武漢肺炎」を巡り、これまでに7本の読者投稿を寄せて下さった「伊江太」様というハンドルネームの読者様から、第8稿目のご投稿を頂きました。さっそく読んでみましょう。

読者投稿につきまして

当ウェブサイトでは、2016年7月のサイト開設以来、「読んで下さった方々の知的好奇心を刺激すること」を目的に、おもに政治、経済の分野から話題を選んで執筆した論考を、日々、原則としてすべての方々に無料で提供しております。

こうしたなか、当ウェブサイトをお読みいただいた方々のなかで、「自分も文章を書いてみたい」という方からの読者投稿につきましては、常時受け付けています(投稿要領等につきましては、『【お知らせ】読者投稿の常設化/読者投稿一覧』等をご参照ください)。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

さて、本稿では久しぶりに、「伊江太」様というハンドルネームの読者様からの投稿を掲載したいと思います。

伊江太様からは次のとおり、過去に7本の論考をご投稿いただいているため、本稿は通算8稿目です。

伊江太様から:データで読み解く武漢肺炎

さっそく、読者投稿の第8稿目を読んでみましょう。

検査数と感染者数の関係

データで読み解く武漢肺炎 第8報

武漢肺炎という中国発の新型ウイルス感染症が急激に世界中に拡がる中、欧米諸国とのあまりにも異なる日本の感染の様相について、これを説明する私なりの説明を初めてこのサイトの読者投稿欄に寄稿したのが、3月のこの論考でした。

【読者投稿】武漢肺炎、なぜ日本で感染爆発しないのか

―――2020/03/23 11:15付 当ウェブサイトより

これ以後6編の投稿を新宿会計士さんのご厚意で掲載して頂きましたが、それらはそのときどきの流行状況に合わせて、いろいろな切り口から議論はしているものの、最初の論考で展開した「日本にはこの疾患の大規模な拡大を許さない条件が備わっている」という主題による変奏曲といった趣のものになっています。

図表1に見るように、今、流行拡大の第2波とも言える状況が続いている日本ですが、長期間数万人規模の感染者を出し続けている米国、インド、ブラジルといった国々、一旦終息に近づいたかに見えて、再び感染爆発の様相を呈するに至っている西欧諸国に比べれば、流行の規模は限られていると言い方も可能かも知れません。

図表1 3月以来の武漢肺炎の国内発生動向と死亡者発生状況との関係

(【出所】厚生労働省『新型コロナ感染症について-国内の発生状況』記載の数値データをグラフ化。PCRまたは抗原検査で陽性例(青)と死亡例(グレー)について、毎日の報告数を縦棒の長さ、7日間移動平均値の推移を折れ線で示す。グラフの左軸の目盛りは検査陽性数、右軸の目盛りは死者数を示す。両軸の縮尺比を20:1としているので、検査数に比較して、死者数の見かけ上の大きさは20倍に拡大されている。死亡者の増減が検査陽性者の動きから18日遅れて現れる点は、感染拡大第1波(4~5月)、第2波(7月~)に共通するが、死亡者/検査陽性者の値は、第2波の方が大幅に低くなっている。)

しかし、わたしがイメージする日本本来の抑制された流行の姿とは、本格的に流行が始まった2月~3月末、および5月上旬~6月末の期間に見られた、1日の感染報告がせいぜい数十人で、少数の死亡の報告がある日も、それすらない日もあるといった、そういう状態です。

そんな状況が人為的努力なしに実現することなどは無論あり得ない。日本でこれが可能であったのは、

  • ①日本人一般の生活・衛生習慣の下では、もともと武漢ウイルスの感染機会は限られているうえ、社会の警戒心も高まったことから、ウイルスの伝播速度はさらに低く抑えられている。
  • ②国民の医療へのアクセスの容易さから、発症者は比較的早期のうちに発見され、隔離・入院させられることで、周囲への感染拡大が低く抑えられている。
  • ③保健所制度という全国的に整備された公衆衛生システムによって、発症者周辺の濃厚接触者が迅速に調査、特定され、PCRなどの検査をおこない、陽性者にたいして発症者と同様の措置を行うことから、隠れたウイルス感染の連鎖的拡大の可能性を低く抑えている。

といった事情が大きい、というのがこれまでわたしが提示してきた考えです。

最大時、1日の感染報告数が700人に及んだ4月の流行拡大の第1波は、欧米の感染爆発に追われて大挙帰国した人達の検疫・隔離措置が遅れたことによるというのは、現在ではほぼ確定した事実として受け止められています。

事実、入国規制を強化するや、その2週間後から感染報告数は急速に減少し、5月初めには定常状態に戻りました。

それでは6月末から始まる第2波の流行拡大は?

これが純然たる国内発生であることは間違いありません。しかも、はっきり特定できるようなきっかけもなく、流行の推移も第1波とは様相を異にしています。

連日4月を大幅に上回る数の感染者を隔離しながら、容易に減少させることができず、8月に入ってようやく流行拡大は収まったものの、感染報告数が流行第1波のピーク時くらいまで減少した後は、高止まりの状態が続いて、一向に本来の定常レベルに戻る気配が見えません。

このような予想外の現象が現われれば、武漢ウイルスの感染様式に対するこれまでの考え方がそもそも間違いであったのか、あるいはこれまで機能していた感染抑制メカニズムに破綻が生じたのか。そのいずれかを考えざるをえません。

本稿でわたしは、この流行拡大の第2波が従来日本の感染拡大を抑えてきたと想定している上記3条件のうちの③、すなわち保健所職員による発症者周辺の潜在感染者の発掘作業が、PCR検査の急増によって生まれた多数の偽陽性症例によって攪乱され、本物の潜在的感染者を発見する効率が低下してしまったのが原因、という仮説を提示します。

現行のPCR検査でどれくらいの偽陽性が出ているのか?

今次の流行再拡大に触発されて、すでに2報の論考を投稿しています。

【読者投稿】あまりに不自然な東京都のPCR検査結果

―――2020/07/23 05:00付 当ウェブサイトより

【読者投稿】武漢肺炎の死亡率はなぜ低下しているのか

―――2020/08/19 05:00付 当ウェブサイトより

先の方では当時感染の大部分を占めていた東京の入退院のデータをもとに、再検査してみれば陰性となる偽陽性例が相当数含まれているのではないかという疑問を呈しました。

後続の稿では、日本での第2波流行とほぼ同じ時期に世界の多くの国でこの疾患による死亡率の低下が見られることを指摘し、その原因について推測しています。

後の方はもちろんですが、偽陽性による感染者数の水増しによっても、見かけの死亡率は低下するわけですから、どちらも感染報告数の大きさに比べて第2波での死亡数が極めて少ないという不可解な現象を、視点を変えて扱ったことになります。

図表2は、死亡数のデータから実際の感染者数を逆算してみようと試みたものです。

図表2 死亡数データから逆算して推定する感染の動向

(【出所】検査陽性報告数のデータソースは図表1に同じ。死亡者数のデータが、18日前の検査陽性者のデータに含まれる実際の感染者の数の反映であるとして、死亡率を様々に設定したとき、死亡者数に対応した感染動向はどのように算定されるか、グレーの折れ線グラフで示している。値は死亡数の7日間移動平均値から計算している。推定感染者数は[死亡者数/想定した死亡率]の式によって求めているが、この値が検査陽性者数=図では青の太線で表示=を超えることはないはずだから、図からは1%以下の値を死亡率に設定することはできないことが分かる。上限に関する制限はこのグラフからは得られない。)

以前、感染者数の変動パターンは陽性判定が行われた日から18日経った後に死亡率に応じた比率で死者数の変動となって反映されるという観察を報告しています(『【読者投稿】アビガン解禁で、医療崩壊危惧は遠のいた』参照)。

【読者投稿】アビガン解禁で、医療崩壊危惧は遠のいた

死者数こそ武漢肺炎の流行規模の確かな目安と見なせるなら、その動きから18日前に報告されている検査陽性者のうちの「実際の」感染者の動向を推定できるかも知れません。今次の流行の死亡率が1%であるなら感染者数は死亡者として現われた数の100倍。2%なら50倍という具合に。

得られたグラフのパターンからは、死亡率を1%より低い値に設定すると感染の推計値が感染報告数の曲線からはみ出してしまうので、それはなかろうということになります。

一方、死亡率を3%というような高めの値にしてみると、今度は報告されている感染者数のデータは、そのほとんどが偽陽性だということになってしまいます。

図表3は、PCR検査に一定の偽陽性の発生が付きまとうならば、その発生率が報告されたデータにどれくらい影響するかを見たものです。

図表3 一定の割合でPCR検査に偽陽性が発生すると仮定したときの、真の感染者数の推定値

(【出所】PCR検査数と陽性症例数のデータソースは図表1に同じ。(A)PCR検査数と陽性報告数の推移。検査数は左軸、陽性者数は右軸の目盛りで表している。いずれも7日間移動平均値をグラフにしている。(B)偽陽性の発生率を0.5~2.5%の間の値に設定したとき、陽性報告数のうち、どれだけが実際の感染者の数となるかを示している。感染拡大の第1波では偽陽性による水増しが比較的少ないのに対して、第2、第3波の場合、その影響が大きい点ことが分かる。偽陽性発生率に大きな値を想定すれば、5~6月の流行が落ち着いていた時期には、水増し分を差し引いて算定される実感染者数が負の値になってしまうから、偽陽性発生率はたかだか2%以下であると推定できる。)

A図に示したように、武漢肺炎感染者の発見を目的に行われたPCR検査は4月の感染拡大時に大きく増加していますが、この期間の検査数は7日間移動平均値にすると最大時でも1日9,000件に届きません。それが7月以後急増して、今では15,000~35,000件ほどの検査が連日行われています。B図に見るように、検査にある割合で偽陽性が発生するなら、感染報告数に含まれるその水増しは、感染拡大第2波の方が、第1波のときよりずっと大きいはずです。感染報告数が1日数十件に留まっていた5~6月の頃のデータにも偽陽性分は含まれているはずですから、B図はまた偽陽性の発生率が2%を超えることはないということをも示しているでしょう。

死亡率とPCR検査の偽陽性発生率という2種類の数値。

後者はもちろんですが、死亡率にしても、その本当の値を知ることができれば、図表2に示した操作によって、感染報告数に含まれる誤判定による水増し分を推計する手段となり得ます。

死亡率と偽陽性発生率とは本来無関係の数値ですから、それぞれから計算によって導かれる「真の」感染者数がよく一致するなら、それを実態と見なして良いのではないか。そういう予測のもとに、死亡率、偽陽性発生率をいろいろ変えて、できるだけ近い結果が得られる組み合わせを検討してみました。

図表4に示したのがその結果です。

図表4 感染動向をもっともよく説明する偽陽性の発生率と死亡率の推計

(【出所】検査陽性報告数のデータソースは図表1に同じ。検査陽性の報告数から偽陽性数を引くことで得られる推定実感染者数と、設定した死亡率から計算される実感染者数という二様の推定値を、観察期間を通じて最も近接させることを目標に、それぞれの最適値を最小自乗法によって求めている。得られた偽陽性発生率1.4%、死亡率2.1%という値が意味する実感染数の動向を、それぞれオレンジ、およびグレーの折れ線で、厚労省報告のデータ(青)とともにグラフに示している。計算はすべて7日間移動平均値に基づく。)

死亡率を2.1%、偽陽性発生率を1.4%としたとき、それぞれから推定される感染動向がもっとも近接したパターンとなります。

死亡率、偽陽性発生率ともに期間中一定の値であるという、粗っぽい仮定に基づいての近似ですから、この値を正確なものとするのはどうかと思いますが、日々報告されているPCR陽性数のうちに相当数の偽陽性例が含まれると想定しない限り、「実際の」感染状況を反映しているはずの死亡者数の動向を説明するのは難しいという点については、了解頂けるのではないかと思います。

感染動向のデータに偽陽性例が含まれると何がマズいのか?

現在行われているPCR検査の偽陽性発生率が仮に1.4%程度のものとするなら、大した問題ではないのではと感じられるかも知れません。しかし、今のように連日2万件近い検査を続けていることを踏まえれば、誤判定は毎日300件くらい出ている計算です。

かつてのように何らの症状もない人まで入院させて、病床を塞ぐことこそ少なくなっていますが、それでも濃厚接触者の調査という防疫システムの要に余計な負担を掛けることに変わりはありません。

図表4を一見する限り、偽陽性の発生が感染報告数を実際より若干押し上げているくらいの印象しか受けませんが、それが実は深刻な意味をもつことを説明するのが図表5です。

図表5 PCR検査の結果に含まれる偽陽性が感染抑制に及ぼす影響

(【出所】陽性報告数のデータソースは図表1に同じ。PCR検査の1.4%に偽陽性が発生するならば、真の感染者がどれほどの効率で把握され、それによって実質的に社会から隔離したことになるのか、推定される実感染者数と検査陽性者数の比を計算し、比較することで、感染拡大第1波と第2~3波の期間の違いを示す。検査陽性者数(青)、偽陽性推定者数(グレー)、検査陽性者数に含まれる実感染者(検査陽性者数-偽陽性推定者数)の割合(オレンジ)をグラフにして示す。)

ここでは感染数の報告値に、各時点でおこなわれた検査の1.4%に当たる偽陽性が含まれるとして、4月と今次の感染拡大時の判定結果の「質」、つまり本当の感染者がどれくらいの割合を占めているかを比較しています。

4月の流行時のほぼ全期間、陽性判定を受けた人の60%以上は実際の感染者であったと推認されます。検査後におこなわれた隔離・入院措置は、目的とするウイルス散布者の集団からの除去を、十分な効率で成し遂げており、そのため海外からのウイルス流入が止まるや、速やかな感染収束が実現した理由と考えてよいでしょう。

一方、6月末、感染拡大直前の時点で感染者と判定されているのは、計算上ほぼすべてが偽陽性であってもおかしくないということになります。とすれば、この時期保健所職員によって行われた潜在感染者の発掘作業は、結果としてはほぼ無駄足だったことになるわけです。そして:

  • 流行の拡大が始まってしまい、実際の感染者が増えてきても、まだ偽陽性が相当の割合で含まれる状態では、それが真のウイルス散布者を除去する作業の足を引っ張り続ける
  • 実感染者の割合が陽性判定の70%を越えるくらいになって、ようやく除去効率は十分なレベルに達するが、このときには1日の感染報告数は、4月の流行の最大値に比べて、なんと2倍にもなってしまっている
  • その後感染報告数は、一旦は減少に転じるものの、陽性判定者中の偽陽性の割合が増えれば、その分ウイルス散布者を除去する効率が低下することに変わりはなく、実感染者の割合が40~50%まで低下した段階で、感染者の増加とウイルス散布者除去の相対的速度が釣り合った状態になって高止まりしてしまう

…。

これが、最初に指摘した感染拡大第2波の不可解な特徴に対する、わたしなりの説明です。

流行の抑制を保障する最大の要因は濃厚接触者の調査に投入できる人員の充足度

4月の感染拡大は海外からのウイルス流入を止めることによって、遅滞なく収束に向かったように見えますが、データを子細に眺めると、事態はそう単純なものではなかったようです。図表6に示した全国の感染動向で、感染報告数は4月下旬以降ほぼ直線的に減少しているのですが、ゴールデンウィークの頃その曲線に肩が現われています。

図表6 首都圏3都県に見られた感染収束の遅延

(【出所】全国のPCR陽性数のデータソースは図表1に同じ。各都県のデータについては、東京都新型コロナ対策サイト神奈川県新型コロナ対策サイト埼玉県新型コロナ対策サイトから得ている。感染拡大第1波の期間=3月下旬~5月中旬=、東京都と神奈川、埼玉両県の感染動向(黒実線)は国内他地域(黒点線)に比べてピーク時からの減少速度が緩やかで、5月初めには一時増加に転じている。全国の動向を示すグラフ(青実線)に見られる肩状の変曲点(矢印)はそれを反映したものであることが分かる。)

これは東京、神奈川、埼玉の首都圏3都県に限って見られた、一時的な感染拡大を反映したものです。この現象も含めて、この3都県の感染収束のペースは他地域に比べて明らかに遅くなっていたのです。

発症者のウイルス感染を確定する、そしてその濃厚接触者中に存在するウイルス散布者を発見するという、2つのフェーズでPCRなどの検査は必須のものですから、検査能力の不足は感染者の除去を遅延させる原因になります。

4月の感染の急拡大時にはその逼迫が大問題になったのは記憶に新しいところです。しかし、図表2のA図で見る限り、検査不足の問題は感染報告数がピークに達した時期には、基本的に解消していたと言っていいと思います。

上記3都県でおこなわれた過去の検査数をしらべてみても、この地域で特段検査能力の拡充がとくに遅れたとみる理由はありません。

それならば、なぜ首都圏でのみ感染収束の遅れが生じたのか?

例えば東京都の場合、流行のピークの頃には検査あたりの陽性率は30%超えの状況が続いています。その頃には実際の感染はすでに減少期に入っていたはずですから、発症者ひとりについて、その濃厚接触者の中から平均1名以上のPCR検査陽性者が出るとは考えがたい。

とすると、検査検体の30%もが陽性であったという事実は、保健所職員による濃厚接触者の調査が、対象者があまりに多くなり過ぎたために、その時期十分には行えない状況にあったことを意味すると思います。調査での取りこぼしが多くなれば、その分ウイルス散布者の排除が遅れるのは道理というものでしょう。

ここから教訓を汲み取るとすれば、流行を小規模に止め、速やかに収束させるためにやるべきことは、まず保健所の濃厚接触者調査能力を強化することが第一、なにより職員の増員が必須のはずです。

これなしに徒に検査数を増やせば、偽陽性症例に手を取られるという全くの無駄な負担が増加して、ただでさえ十全といえない保健所の調査能力の一層の低下を招くことになる。

流行拡大の第2波が起きた直接のきっかけは、新宿歌舞伎町辺りのクラスターの発生だったのかも知れませんが、それがこれほどまでに拡大し、容易に収束しなかった最大の理由は、4月の時なら効果的にウイルス散布者を排除した能力の毀損、火事に例えるなら、火元がどこであれすぐに駆けつけてボヤのうちに消して止めていたのが、いたずら電話の殺到で現場到着が遅れ延焼を防ぐことができなくなった、そんな状態にしてしまったことだと考えます。

いまや首都圏のみならず、京阪神、名古屋、福岡、札幌など大都市圏すべてがこうした状況に陥っているのではと危惧しています。

問題は検査の精度や数ではなく、検査対象の質

「日本のPCR検査能力は貧弱すぎる」、「これでは日本の武漢肺炎の状況は早晩悲惨なことになる」などとヒステリックな議論が喧しかったころ、声の大きさでの劣勢は否めないものの、無闇に検査数を増大させるのはむしろ有害という意見も確かにあったのです。

しかし、検査数の大幅な増加と軌を一にするように、流行が再拡大し、その終わりも見えない事態になっている今、こうした意見は却って目にしなくなりました。

検査拡大有害論のほとんどは、偽陽性例の増加、あるいは無症候ないし放っておいても自力で回復する程度の軽症例を掘り起こすことが医療崩壊につながる、というのをその論拠としていたからかも知れません。

重症化率の低下という僥倖に助けられた面はありますが、検査数の増大にもかかわらず、予言されたような医療崩壊は起きていないのですから、それ見たことかにはならないんでしょう。

とはいえ、検査数を増やしたことが感染拡大第2波の発生、およびその遷延化に大きく関わっているという推測が間違っていないなら、それを選択した悪影響は深刻と言わねばなりません。

第1波の流行時の死者約900人に対して、今次の死者数はすでに600人に達し、このままのペースで推移すれば年内に1,000人を軽く超えてしまいそうです。伝えられる快復後に残る後遺障害の深刻さを考えれば、武漢肺炎をインフルエンザと大差がない疾患などと見くびることは決してできないはずです。

実際の感染者が増加すれば、それに応じた数の検査が必要なのは当然のことで、何が何でも検査数を減らせというのではありません。図表5で見たように、検査対象とする集団の「質」こそが、真の問題だと思うのです。

4月の段階ではなぜあれほど良質の、実感染者が高い割合で含まれる集団を検査対象することができていたのか?

答えは、保健所、帰国者接触者相談センターという、検査を必要とするか否かを判定する関門が、十分に役割を果たしていたからだと思います。

しかし、あれはマスコミ受けが悪かった。「こんなにひどい症状に苦しんでいるのに、いくら訴えても保健所が相手にしてくれない」といった患者(?)自身、あるいは診察した医師からの抗議が、連日報道されました。

本当は感染していたのに検査を拒否されたという事例が皆無だったとは言いません。しかし、あのときの流行の速やかな収束を考えれば、そんなケースが山ほどあったともまた考えにくい。当時の流行収束の速度は諸外国との比較で、同等以上のものだったことは第5報で論じています。

【読者投稿】武漢肺炎「6ヵ国データ」を比較してみた

―――2020/05/30 09:00付 当ウェブサイトより

こうした事実は、マスコミはなぜか報じません。

可能な限り広範に検査を行えば、隠れた感染者が発見され、迅速な流行抑制に繋がるという見方は、一見常識に合致するだけに受入れられやすい。政府の武漢肺炎対策に挙げられている項目には、検査能力の拡充というのがいつも必ず入っています。

無闇に検査数を増やせば却って流行抑制が妨げられるなどという、逆説的な議論が同意を得るのは確かに難しいでしょう。しかし、PCRに限らずどんな方法を使うにしても、たった1回の検査で診断を確定してしまう怖さは、もう少し深刻に考えるべきだと思います。

投稿に当たっての追記

これまでの記述に、11月に入って明らかになった第3波の感染拡大への言及が欠けていることは、お気づきのことと思います。

実はこの原稿は1ヵ月近く前に書き上げ、投稿しようとしていた矢先に感染拡大の萌しが見えてきたために、その帰趨を見極めようと先延ばしにしておりました。

未だピークを過ぎたと断じることはできないものの、ほぼ直線的に増加していた感染報告数が、一旦落ち着きを見せたこのタイミングで、投稿することにしました。

改めて読み直してみて、上の論旨はそのまま第3波についても当てはまると判断し、あえて手を入れておりません。ただし、図表につかったデータは、直近のものに更新しています。

第3波の期間、検査対象から漏れて感染が確認されないままになっている人数は、第1波はもちろんのこと、第2波に比べても大幅に増えているのは明らかでしょう。

「その潜在感染者が散布するウイルスから何日か後にあらたな発症者、検査陽性者が生まれ、報告数を押し上げていく」。これこそ、第3波の規模が、1日の新規感染数2,000人を超えるところまで大きくなってしまった最大の理由だと思います。

恐れるべきは、明らかな病徴もないままウイルスを撒き散らす、こうした潜在感染者の数が保健所の調査能力の上限を超えてしまう事態です。そうなれば、感染の拡大はこれまでの直線的なものから、何日かごとに倍々に増えていく、幾何級数的なものに変容していくのは避けられないかも知れません。

東京、大阪をはじめいくつかの大都市圏では、すでにそうしたステージにさしかかっているかも知れないという、嫌な予感を抱きます。

一方でわたしは、西欧諸国が今陥っている1日に数万人の感染者、数百人の死者が出るような状況が日本にも当てはまるとも思っていません(多分に願望が混じっているのかも知れませんが)。

私が住む政令指定都市でもある地方都市では、電車、バスの車中、街路を行き交う人々は皆、真夏の時期でもマスクを着用し続けていたし、百貨店、スーパーマーケット、その他人が大勢で入りする場所では、まず例外なく入り口に置かれた消毒液を手に擦り込むのを怠っていません。

日本中どこに行っても大体同じようなものでしょうが、何らの強制も監視の目もなしに、こんな状態が実現できる国はまずないといっていいのではないでしょうか。

この稿の冒頭に挙げた日本で武漢肺炎の発生が低く抑えられている3つの要素、その①については今も保たれているはずです。なにやら麻生太郎氏がまた民度云々を講演で話したそうですが、その意見についてはわたしも同意します。

政府新型コロナウイルス感染症対策分科会の会長が「個人の努力に頼るステージは過ぎた」なんてコメントを出していましたが、せっかくうまく機能していた公的な感染抑制メカニズムを台無しにしてしまった今になって、何をか言わんや、という思いです。

こうなってしまったからには、もはや個々人が感染し拡げることがないよう、一層気を引き締める以外に途はないと、わたしは思うのですが。<了>

参考情報等

以上が、伊江太様からの投稿です。

武漢コロナ、武漢肺炎等については、過去に専門家などの方々からずいぶんと論考を寄せていただきましたが、これらについては『読者投稿の募集と過去の読者投稿一覧』のページにまとめておりますので、ぜひともご参照ください。

なお、今回は採用に当たり、原文にあった外部情報源を一部削除していますのでご了承ください。

また、拙稿で恐縮ですが、『「PCR検査を全国民に実施せよ」を数学的に論破する』では、とある優れたユーチューバーの方の動画をもとに、「PCR検査をやみくもに拡大すれば良いとは限らない」という議論を紹介しておりますので、ご興味のある方は是非ご参照ください。

「PCR検査を全国民に実施せよ」を数学的に論破する

伊江太様、本当にありがとうございました。

読者コメント一覧

  1. 匿名 より:

    表題の
    >「検査数と感染者数は比例する」は本当か
    比例はするでしょう、但し
    ・検査数が主で感染者数が従、即ち検査をすればするほど感染者数が掘り起こされる。
    ・感染者数が主で検査が従、感染者数が増えるから必要な検査が増える。
    とでは意味が違います。
    感染が、広く全体に均一に分布する状況なら前者。
    感染の疑いが濃い人間、濃厚接触者、クラスター内の人間に検査を絞っている場合は後者となります。
    コロナ感染の初期には日本は後者の対応をしていたのに前者の理屈を振り回すコメンテーターが少なくありませんでしたね。
    同じ比例でも本質を見誤ると正しい対処が出来なくなります。

  2. りょうちん より:

    PCR法以外にも、商機だとばかりに、SmartAmp法だとか、いろんな簡便検査が開発・商品化されています。
    知り合いの先生の病院で「うちでもPCR検査やるんだ」という話をよく聞いてみると、「節子、それPCRとちゃう」ということがありましたw
    いろんな商品が出て、どういうファクターになるのか・・・。

  3. 成功できなかった新薬開発経験者 より:

    伊江太様 

    論考、ありがとうございます。

    知るところが少ないのですが、
    ・ 無症状の濃厚接触疑惑者に検査を広げれば偽陽性が増加
    ・ 免疫が低下した癌患者の死因もコロナ死にあてれば、コロナ死者が増加

    公表されるデータの信頼性が落ちる一方の印象です。

    信頼性に疑問を呈しながら言うのもなんですが、
    12月に入ってから、新規感染者の7日移動平均は足踏み状態。

    過度に心配する必要はないと思っています。

  4. 匿名 より:

    スマホに入れるコンタクトラッカーアプリってどれぐらい普及しててどれぐらい効果があるのかの検証結果ってまだ出てないんですかね?

  5. 農民 より:

    伊江太 様
     ご投稿有難うございます。
     毎度ながら唯々諾々と感心するばかりですが、
    >いたずら電話の殺到で現場到着が遅れ延焼を防ぐことができなくなった
     数字、理論を提示しつつ、こういった秀逸な例えはやはり理解の助けになります。「全国民PCR検査」などは、いたずら電話とは言わずとも、火事が流行っているからといって「うちは火事じゃないです」まで全員通報しろというようなものですね。
     根拠はないがGoToがいかんとか言っちゃうエラい人やら世田谷のエラい人にもこういった頭があれば良かったのですが…

  6. だんな より:

    伊江太さま
    今回も読者投稿、ありがとうございました。
    何度か読んでいて、コメント遅れましたm(__)m
    分かったかと聞かれたら、良く分からないというのが現状です。
    私は公衆衛生学的に統計解析する、アプローチする知識が、足らないんだろうなと思ってます。
    今興味が有るのは、現時点でどれ位の人が免疫を獲得していて、ワクチンがそれを増やすのにどれくらい寄与して、いつ頃コロナウイルスが、社会的に、問題無い範囲に収束するのかですね。
    この辺は、愛読者さんあたりが、得意分野かもしれません。

  7. 青黴 より:

    日本ではCt値設定40以上などという基準でPCR検査をやっているのですから、ほとんど偽陽性だと考えて差支えないはずですよ。

    1. りょうちん より:

      https://www.thermofisher.com/blog/learning-at-the-bench/qpcr-basic37/
      「Ct値」「解離曲線」って何? リアルタイムPCR解析で用いられる用語まとめ

      https://www.niid.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/2523-related-articles/related-articles-485/9765-485r09.html
      患者病日とリアルタイムPCR Ct値の相関について

      PCRは素人なので勉強しました。日本の基準は異常なのですね。

    2. 匿名 より:

      以前(3月頃だったか)ここで紹介してもらった手順だと、RT-PCRで陽性判定が出たあと、流してサイズを確認するか配列を読んで確定するってことで、PCRだけで判定してなかったと思ったんですけど、手順変わったんですかね?

    3. 別の匿名 より:

      コメ主様の話は、「感染力のある」ウイルスをPCRでは検出できないということですね。感染症なので、「いる、いない」が重要なのにPCR検査だと「いた、いない」の検査になっていることが問題なのかと
      https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65910480W0A101C2CE0000/
      ですので、その後工程で云々以前かと思います。
      3月の時点ではCTスキャンから検査を始めていたかと思いますが、メディアの扇動で全国PCR運動によって国も動きましたから罪のない人が「感染者」扱いになり自宅謹慎あるいは休店、終いには廃業やクビに追い込まれているという状況は笑い事では済まされません。

  8. 奇跡の弾丸 より:

    伊江太様 

    いつも興味深い論考ありがとうございます。
    今回は話が難しく、結論がわかりにくい点もありましたが、いつもながらに勉強になります。

    尾見会長への苦言ですが、尾身会長自身、色々言いたいこと山ほどあるのだろうと推察する次第です。
    コロナ対策と経済対策の両立を計っていかざるを得ない状況での尾身会長の提言は感染爆発を抑えるのに最良のタイミングであったとのではと感じています。
    むしろ政府の保健所や病院、地方への財政面での後押しが足りていない点が、最大の問題点ではないかと感じる次第です。

    いずれにしても提言一つで活動を抑制する日本国民はすごいですね。

  9. 市井の内科医 より:

    COVID19の後遺症については、全て真に受けるべきか、臨床医としては疑問を持ってます。勿論回復困難なダメージを呼吸器などに負えば当然後遺症は残りますが、あたかもCOVID特有の後遺症が存在するかのような報道には正直違和感しかありません。特に、易疲労感に代表される症状には結構な割合で精神疾患が紛れ込んでるように思えるのは、内科医失格でしょうか。
    追伸:どう考えても感染症には門外漢の医者が「コロナ後遺症専門外来」と称して集患に励んでいるのを報道で見ました。なんだかなあ。

  10. 奇跡の弾丸 より:

    ところで皆さんワクチンうちますか?(現状の情報で)

    正直、現状の日本だと打ってコロナになる確率と、打たないでなる可能性、どちらの方がリスクが高いか微妙ではないですか?

    1. 福岡在住者 より:

      奇跡の弾丸 様

      不安はありますが、私は打ちますよ。 それで、日本の現状はより良くなると思います。 インフルエンザワクチン接種後に、体調不良になった経験はありますが、でも、未知の分からない新種ウィルスですから、、、。 (インフルエンザワクチンは打っていません-笑)

      新型インフルエンザ対策が世界の常識になっている以上、ワクチン接種とかが無い限り、自国の経済V字回復は無いと思います。 ある意味、早い者勝ち的要素があると思うのです。 ご意見多々あると思うのですが、私はこちら側の人間です。 

    2. 市井の内科医 より:

      今のところ、打つつもりです。
      幸いイギリスが人柱になってくれるようですし。

    3. 欧州某国駐在 より:

      ワクチン接種始まりましたねえ。当該病院の前はものものしいです。個人的には正直言って打つならだ~いぶ後がよいなあと。隣の老夫婦ですが、ご婦人(70代)の方は「高齢者優先というけれど私はもっと後でいい」と言うし、ご主人(80代)の方は「さっさと打ちに行こう」と。ここへきてギクシャクしてしまっているお二人でした。

    4. わんわん より:

      打ちたくはありませんが同調圧力により打たざるを得なくなるかと思います

    5. 門外漢 より:

      副作用があろうとなかろうと、効こうが効くまいが、ワクチン接種が一種の免罪符になるのですよ。これなくして経済活動再開はあり得ません。(福岡在住者様と同意見になるのでしょうか?)
      世界中がそういう認識なら、日本だけが躊躇していてはバスに乗り遅れます。個人的にも「俺はワクチン接種済だ」ということで自信をもって社会復帰できるでしょう。

      私は接種しますよ、タダらしいですから(せこっ)。

    6. りょうちん より:

      職場の関係上、なんか強制的(同調圧力的に)に受けさせられる感じです。

    7. まんなっか より:

      無論打ちます。
      コロナウイルス患者受け入れ医療機関勤務でして、感染は身近にありますので。
      旭川のクラスターは自分たちには他人事ではありません。
      衛生回りからの集団感染リスクは恐らくゼロにするのは不可能でしょう。

    8. 奇跡の弾丸 より:

      福岡在住者様、市井の内科医様、欧州某国駐在様、わんわん様、門外漢様、りょうちん様、まんなっか様

      返信ありがとうございます。

      なるほど経済のこと考えたらうった方がよさそうですね。

      うちの会社も強制的にうたされそう。(もっともパワハラ的にですがw無知で予防接種のリスクとか理解できない可能性が高い(泣

      自分と専業主婦の家内と子供たち、それぞれのリスク考えながらしばらく悩むことになりそうです。後遺症の件も悩みどころ。

  11. 普通の日本人 より:

    衛生観念の違い。これは明確に分ります。
    風呂、シャワーは週1度、トイレ後に手を洗わない。
    これが普通の国は多いです。(工場立ち上げ経験あり)
    夜の街のきれいなお姉さんは週1度し風呂に入って居ないんだ! と感心?したものです。
    握手後は手を洗っていました。(その後現地化しましたけれど)
    文化の違いは恐ろしい

  12. 愛読者 より:

    この前,実際の感染者割合についてのロバスト推定の話をしたのですが,この方法を日本に適用しようとすると,若干,矛盾する結果が出るので,いろいろ検討が必要だと思っていました。ポイントは「感染して発症しても抗体を作らない人の割合(50%で推定している)」「感染しているがPCR検査陰性の人の割合(30%で推定している)」「ウイルスに暴露して保菌しているが感染はしていない人の割合(これが全然わからない)」について,前提とする数値によって,シミュレーション結果が結構変わってきますが,なかなか現実と一致しません。
    イギリス,イタリア,スペイン,フランの場合は,国民人口に占める感染者の割合が高いので,今後の予測が容易です。ドイツ,アメリカ,ロシアの場合は,少し予想が難しくなります。東アジア諸国の場合は,日本を含めて難しくて,感染者以外からの感染の割合がかなり高くないと,現実をうまく説明できません。でも,感染していないのに保菌している人に関する十分な研究結果がないのです。

  13. 愛読者 より:

    追伸ですが,The New England Journal of Medicine に掲載された以下の論文はご存知ですか?
    SARS-CoV-2 in the U.S. Military ? Lessons for Civil Society
    18~31歳の軍事大学入学者1848人での調査ですが,結局感染しても症状が出る人は1割程度しかいないという結果です。この数字自体は,私が以前から統計的に推定していた数字と大体一致します。ですから,PCR検査数を増やせば無症状感染者がより多く発見できます。
    2週間自宅隔離していても,その後も大学内で隔離しても2~3%の人はその後PCR検査で陽性になるのですから,どうしようもないですね。

    1. 奇跡の弾丸 より:

      >その後も大学内で隔離しても2~3%の人はその後PCR検査で陽性になる

      なんとなく伊江太様の論考を読んだ後では偽要請の可能性では?と思ってしまいました。
      ちなみに高めに出ているのは(論考では3%だと乖離してしまうといっていましたが)日本の場合、検体の採取を含めた検査制度のLvも高い可能性を感じてしまいました。

  14. 愛読者 より:

    pしつこく投稿してすいません。
    新型コロナウイルスは鼻の粘膜や唾液中(そこにいるとPCR検査で検出できる)だけでなく,腸内などにも寄宿できると考えている研究者はいて,いくつかの間接的証拠はあるようです。Gutにそれを示唆する論文があったような気がします(鼻の粘膜では陰性だったのに大便からウイスルが検出された話)。そこにしかウイルスがいないと,現在のPCR検査では検出できません。
    ここからは統計の話ですが,以下,話を簡単にするために,PCR陽性者を「感染者」(無症状でも),症状が出た人を「発症者」,体のどこかに保菌していてもPCR検査陰性の人を「保菌者」と呼ぶことにします。若い人の場合,発症者が感染者の1/10くらいなのは,上にも書きましたし,過去にも複数回話ました。ここからは,日本を含み東アジアと欧米で話が異なるのですが,東アジアの場合,保菌者が感染者の何倍もいないと,感染モデル(のシミュレーション)が現実と一致する結果になかなかなりません。首都圏の場合,人口の半分以上はコロナウイルスに暴露されているはずだ,と推計している先生も結構いますが,モデル的には同じで,暴露されても非常に低い割合でしか感染しないし,発症するのは氷山の一角,ということです。別の言い方をすると,ウイルスのかなりの割合は健康な人から感染してくるということです。まだ,エビデンスはありませんが,統計的にはそういうモデルでないと説明が難しいということです。
    個人的には首都圏はヨーロッパの西のほうくらい安定していると思いますが,現在は,地方や田舎のほうに感染拡大しているところで,そちらは免疫力の関係で首都圏以上の被害が出る可能性があります。首都圏でのクラスター対策や,軽症感染者のホテル等への隔離は,ほとんど効果がなくなっていると思いますよ。集団免疫はかなりできている気がしますが。地方では,クラスター対策と隔離は,まだ有効でしょう。

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