当ウェブサイトでは「読者投稿」を歓迎しており、投稿要領等につきましては『読者投稿要領と過去の読者投稿一覧(コロナ騒動等)』などでもまとめております。こうしたなか、先月の読者投稿『百年前の書籍「流行性感冒」と、現代に生かすべき教訓』でご登場いただいた「ポプラン」様というハンドルネームのコメント主様から、ご投稿の第2弾を頂きました。本稿は2002年~2003年のSARSと比較することで、武漢肺炎の第2波を予測するという、非常に興味深い論考です。
目次
読者投稿
以前から『お知らせ:読者投稿を常設化します』などでもお知らせしているとおり、当ウェブサイトでは読者投稿を歓迎しております。
投稿要領や過去の読者投稿一覧につきましては『読者投稿要領と過去の読者投稿一覧(コロナ騒動等)』などのページに記載しています。是非、これらのページをご参照のうえ、ふるってご投稿を賜りますと幸いです。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
さて、「ポプラン」様というハンドルネームのコメント主様からは、先月、『百年前の書籍「流行性感冒」と、現代に生かすべき教訓』というご投稿をいただきました。
これは、今から約100年前に「内務省衛生局」が編著した『流行性感冒』という書籍(の復刻版)を読み込み、「100年前の教訓をどう現代に生かすか」、という問題意識から執筆されたものであり、かなりの好評を博したと思います。
本稿では2002年から2003年にかけて発生したSARSと、今回の武漢肺炎について、比較して論考をご執筆いただきました。いったいどのようなことが書かれているのでしょうか。
(※なお、ポプラン様からは図表の添付などもいただいているのですが、そのうち1枚については出所がよくわからなかったのと、ほかの2枚についてはとくに記載しなくても本文に影響はないと考えたことから、本稿ではこれらの図表を省略しています。また、文章については大意を変えない範囲で修整しています。)
ここから先がポプラン様の投稿です。
2002年と2019年、2つのSARS
2つのSARS
- SARS-CoVとSARS-CoV-2
- 2002年11月と2019年11月
- カルロス・ウルバニと李文亮
初めに
前稿『【読者投稿】百年前の書籍「流行性感冒」と、現代に生かすべき教訓』では、100年前に人類が初めて経験するタイプのウイルス感染症で何が起きたかということを、『流行性感冒』という書籍を通して考えてみました。
これについては折からの「ステイホーム」に加え、偶然、東洋文庫で書籍が無料開放(※)されていたという事情もあり、ステイホームで読んでいただけた方が沢山いたようで、ネット上や報道でも触れられるたびに名も知らない先輩たちの努力が評価されたと勝手に喜んでおりました。
(※新宿会計士注:無料開放期間は4月いっぱいだったようです。)
ただ、「スペイン風邪」については「人類が未経験の感染症」という意味で取り上げたのですが、じつは同じウイルスでもインフルエンザとコロナには違いがあります。具体的には、
- インフルエンザはRNA一本鎖マイナス
- コロナはRNA一本鎖プラス
という点で、両者は異なるウイルスなのです。
インフルエンザは、
- 「シベリアや中央アジアの水鳥が渡りで豚とアヒルとヒトのいる中国南部にやってきて、そこで突然変異を起こしている」
というのが通説です(明るく騒がしい田舎のイメージでしょうか)。
これに対しコロナウイルスは、「共通祖先」が紀元前8000年から存在していて、一部は5500万年以上前に遡ってコウモリとの長期的な共進化を示唆しているようなのです(その意味では暗く隠微な感じのイメージで、なにやらどこかのクラブを思い出すようなウイルスですね)。
また、コロナ系のウイルスの感染といえば、SARSとMERSがあります。
MERSは中近東でラクダのユッケ食べると発症するかもしれません。
また、SARSのウイルスは「SARS-CoV」、COVID-19のウイルスは「SARS-CoV-2」の名前で示されるように共通点が多いです。
毎年秋になると、私の県では天然真鴨を売りにする老舗が店を開きます。青首マガモの頸部を叩き込んだ鴨つくねが売りです。フレンチでもジビエは秋から冬にかけて美味しさが増します。
きっと蝙蝠やハクビシン・ジャコウネコも冬が近づいて栄養をため込んで美味しくなるのでしょう。
実際、野生動物由来のコロナウイルス感染症は北半球の秋11月に始まることが多いようです。
2002年11月に始まったのがSARS、2019年11月に始まった(そして現在でも終わっていない)のが武漢肺炎です。この2つのコロナ感染症はジビエの美味しくなる11月に始まり、中国人の大移動期、春運・春節と密接に関係しながら経過していきます。
ジビエが研究所から持ち出されたものであれ、野生のものであれ、2002年は世界的流行に至る前に食い止めることができたが、2019年は食い止めることが出来なかった。
何が同じで何が違ったのか。
その辺に注目しながら見ていきましょう。
また、最後にSARSの第2波を確認し、やがて来るであろう「武漢肺炎の第2波」についても考えてみたいと思います。
理解のための用語集
春節
- 中国・中華圏における旧暦(時憲暦)の正月(旧正月)。中華圏で最も重要とされる祝祭日であるが、明治以降の日本は太陽暦を採用しているため、毎年日本の正月とはズレており、また毎年春節の日や春節の休暇は太陽暦では異なる日となる。
春運
- 中華人民共和国で春節と呼ばれる旧正月のころに交通量が非常に多くなる現象。旧正月の前の15日から後25日頃までの約40日。春運期間に移動する旅客の延べ人数は中国の人口を超えており、「毎年起こる人口移動」としては人類最大と言われる。
感染症流行の規模を表す言葉①endemic エンデミック(地域流行)
- 特定の人々や特定の地域において、「regularly (ある程度の割合、ポツポツと)」見られる状態。地域的に狭い範囲に限定され、患者数も比較的少なく、拡大のスピードも比較的遅い状態。「流行」以前の段階。風土病もエンデミックの一種にあたる。
感染症流行の規模を表す言葉②epidemic エピデミック(流行)
- 特定のコミュニティ内で、特定の一時期、感染症が広がること。特に突発的に規模が拡大し集団で発生することを「アウトブレイク(outbreak)」と呼ぶ。
感染症流行の規模を表す言葉③pandemic パンデミック(汎発流行)
- 流行の規模が大きくなり国中や世界中で感染症が流行すること。世界流行、世界的流行とも言う。
WHOインフルエンザパンデミックフェーズ(2005年版)(2002年と2019年を比較して扱うため、旧版を使用します)
フェーズ 特徴 対策の目標 フェーズ1(前パンデミック期) ヒトから新しい亜型のインフルエンザは検出されていないが、ヒトへ感染する可能性を持つ型のウイルスを動物に検出 世界、国家、州、県、都道府県、コミューン、市区町村のレベルで、パンデミック対策を強化 フェーズ2(前パンデミック期) ヒトから新しい亜型のインフルエンザは検出されていないが、動物からヒトへ感染するリスクが高いウイルスが検出 ヒトの感染拡大のリスクを減少させ、仮にヒト感染が起きたら、迅速な検知、報告が行われる体制を整備する フェーズ3(パンデミックアラート期) ヒトへの新しい亜型のインフルエンザ感染が確認されているが、ヒトからヒトへの感染は基本的に無い。 新型ウイルスを迅速に検査診断し、報告し、次の患者発生に備える フェーズ4(パンデミックアラート期) ヒトからヒトへの新しい亜型のインフルエンザ感染が確認されているが、感染集団は小さく限られている 隔離など物理的な封じ込め対策を積極的に導入し、ワクチンの開発と接種などを事前に計画し、準備した感染症対策の実施に必要な時間的猶予を確保するために、最大限努める フェーズ5(パンデミックアラート期) ヒトからヒトへの新しい亜型のインフルエンザ感染が確認され、パンデミック発生のリスクが拡大、より大きな集団発生がみられる フェーズ4での目標と同じ フェーズ6(パンデミック期) パンデミックが発生し、一般社会で急速に感染が拡大している 後パンデミック期 パンデミックが発生する前の状態へ、急速に回復している 対策の目標:パンデミックによる多方面への影響を評価し、計画的復興と対策の改善を実施する ただし、この分類は、本来はインフルエンザに対して用いる用語分類であり、コロナウイルス感染症に適用するのが正しいかどうかという議論もあるかもしれません。しかし、政府もインフルエンザの対策を焼き直して使用しているので、本稿ではこのまま使用します。
SARS 2002年~2003年
ここでは、2002年から2003年にかけてのSARSについて振り返っておきましょう。
はじまり
はじまりは2002年11月16日(Day 0)で、まずは中国広東省仏山市で農民指導者の男性が発症します。上記図表でいう「フェーズ3(パンデミックアラート期)」ですね。
2002年11月27日にはWHOの「早期警戒網GPHINサーチ」が感知します。ちなみにGPHINはカナダのインターネットメディア監視機構で、中国での『インフルエンザ流行 flu outbreak』を検知してWHOに報告しています。
2002年12月5日、WHOは中華人民共和国に問い合わせ、2002年12月11日に繰り返すも返答無し。
感染拡大
2003年1月31日、中国広州省中山市孫文記念病院に入院した魚屋海鮮商人から、病院スタッフ30人に院内感染が発生します。広州の海鮮市場ですから、「野生動物」を取り扱っているというのは、いわば、世界の常識でしょう。
2003年2月21日、院内感染した孫文記念病院の医師が結婚式列席のため春節休みを利用して香港に向かいます。香港ホテルメトロポールの911号室に宿泊し、体調不良を押して結婚式に出席する以外はホテル内で過ごしたようですが、彼が「インデックスケース」となりました。
2003年2月23日、ルームクリーニングで感染拡大。トイレ掃除の道具から感染が広がります。ここから宿泊客16人に感染拡大して「フェーズ5(パンデミックアラート期)」へ。
2003年2月25日、「春運」終了。メトロポールの16人はそれぞれ香港から出国していきます。
フェーズ6(パンデミック期):カナダ・トロント、台湾、シンガポールそしてベトナム・ハノイへ
2003年2月26日、ベトナム・ハノイ・フランス病院に肺炎患者入院。急速に重篤化スタッフにも感染拡大。
このとき、WHO職員としてベトナムで寄生虫対策をしていたカルロ・ウルバニが、急速に重度化する肺炎を従来にないものと判断して新疾患として認定し、ベトナム政府との粘り強い交渉を繰り返したすえ、早期に対処することを可能としました。
ちなみに当時、WHO西太平洋地域事務局にいたのが押谷仁先生で、押谷先生は今回新型コロナウイルス感染症対策専門家会議構成員でコロナウイルスクラスター対策班メンバーでもあります。
2003年3月11日、カルロ・ウルバニが国際学会出席のためタイ・バンコク渡航直後に発症。
2003年3月12日、WHOが「グローバルアラート」。
2003年3月15日、WHOが広東省・香港への渡航自粛を勧告。
2003年3月29日、カルロ・ウルバニ タイ・バンコクで死亡(享年46歳)。
このときの経緯は『NHKスペシャルSARSと闘った男~医師ウルバニ27日間の記録~』で紹介されていますが必見です(涙が出ます)。
2003年4月以降は中国国内で広東省の鍾南山、北京の蒋彦永らによる活動で沈静化が進行していきます。鍾南山は指導部のいう事を聞くので現在も活躍中ですが、蒋彦永は天安門事件での学生弾圧に含むところがあるらしく、現在は自宅で軟禁状態のようです。
2003年7月5日、WHOによる封じ込め宣言。
…。
いかがでしょうか。
SARSのときには、カルロ・ウルバニという医師の尽力もあり、「フェーズ6(パンデミック期)」のインデックスケースが出現してから17日目にベトナム政府が折れてWHOが介入し。グローバルアラートを宣言し、一気に渡航自粛まで踏み込んでいったことがわかります。
ちなみにこのカルロ・ウルバニ、46歳の時点で医師としてすでに約20年のキャリアがありましたし、「国境なき医師団」のイタリア代表から学位取得してWHO職員となったという経緯もあったためか、発展途上国政府高官に対する説得能力があったのでしょう。
またSARSのときは、春運は「フェーズ4(パンデミックアラート期)」の時点で始まったものの、「フェーズ6(パンデミック期)」に至る前に終了したため(※)、国内外での感染拡大が最小限で済んだともいえます。
- 2003年1月17日…2003年の春運始まる
- 2003年1月31日…「フェーズ4(パンデミックアラート期)」に入る
- 2003年2月23日…「フェーズ6(パンデミック時)」に入る
- 2003年2月25日…2003年の春運終わる
(※新宿会計士注:「フェーズ6に至る前に春運が終わる」という表現はほぼ原文どおりです。)
なにより当時と現在では、「春運」で運ばれる人数がまったく違います。ここでは、SARSの1年前の2002年時点における輸送人員と、現在手に入る最新データである2018年の輸送人員について、比較しておきましょう(図表)。
図表 春運の輸送人員
時点 総人員 航空機 2002年(A) 17億人 725万人 2018年(B) 29.7億人 6541万人 (B)÷(A) 1.75倍 9.02倍 武漢肺炎(COVID-19)
さて、ここからは武漢肺炎(COVID-19)についての、現在判明している情報を分析しておきましょう(※もっとも、武漢肺炎自体が現在進行中の疾患であり、これとは異なる情報が判明する可能性には留意が必要かもしれません)。
はじまり
2019年11月22日、武漢市海鮮卸売市場関係者に原因不明のウイルス性肺炎。これが「フェーズ3(パンデミックアラート期)」です。
2019年12月8日、武漢市保健機関は原因不明の肺炎発生を上部機関に報告。
2019年12月30日、武漢市中心医院救急科艾芬ウイルスレポート公開。『コロナウイルス陽性』として、眼科・李文亮が医学部同級生のSNSで「7人のSARS感染者が確認された」と公表。
2019年12月31日、李文亮に公安局から呼び出しを受け、WHOに最初の報告がなされる。
2020年1月1日、武漢市公安局が武漢市中央医院の医師8名を呼び出し、自己批判文を要求。
2020年1月3日、武漢市公安局が李文亮に訓戒処分。アメリカ合衆国へ新型ウイルス情報伝達
2020年1月6日、武漢市で両会が開催されるも、1月10日まで感染者公表せず。
2020年1月7日、新型コロナウイルスの発表。
2020年1月8日、李文亮が眼科手術患者の結膜炎・肺炎発症に気づき感染拡大に驚く。「フェーズ6(パンデミック期)」に。
2020年1月10日、李文亮発症。春節(1月25日)に向けて春運前半(大型連休)開始。
2020年1月11日、湖北省で両会開催も、1月17日まで感染者公表せず。
2020年1月17日、習近平がミャンマーを訪問。
2020年1月19日、習近平が雲南省を訪問(1月21日まで)。
2020年1月20日、国家衛健委会長の鍾南山が「ヒトヒト感染」の事実を公表
2020年1月23日、武漢封鎖。
2020年1月31日、WHOが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言。
2020年2月6日、李文亮が死亡(享年33歳)。
2020年2月28日、WHOが世界規模での流行する危険性について「非常に高い」(最高レベル)。
2020年3月11日、WHOがパンデミック相当の表明。
その後の世界を覆いつくすコロナウイルス感染症については言葉を失います。
SARSとCOVID-19の2つのケースにおいて、2人の医師・カルロ・ウルバニと李文亮の名前を挙げていますが、比較をする気はありません。
李文亮は2004年に7年制の武漢大学臨床医学部に入学し、COVID-19の時点で卒後8年目に過ぎない眼科医でしたので、彼にウルバニのような政治交渉力や働きを期待するのは酷です。
ウルバニには、医師・WHO職員としての責任と個人として責任のみ圧し掛かりますが、李文亮には医師としての責任と中国共産党という、通常ならあり得ないほどの圧力を有する組織が圧し掛かります。あり得ないほどの権力の下にあることを意識しなければいけないのです。
また2020年は春節が1月25日、春運の開始が1月10日であったため、「フェーズ5(パンデミックアラート期)」から「フェーズ6(パンデミック期)」へ移行するあたりに春運がはじまったという不運もあります。
後生の歴史家の視点で、「この悲劇は変えられなかったのか?」と考えてみます。
よくSFでいわれる「歴史改変点」は、2019年12月30日の艾芬と李文亮のSNSを中国共産党がキャッチした瞬間から2020年1月10日の春運開始日までの12日間ですね。
「エセ現代国家」の中華人民共和国なら人的移動手段である鉄道や航空を一方的かつ瞬時に停止することが可能です。物流以外の移動停止をしてSARS-2の評価検疫を行う、武漢封鎖の全国版を行い感染拡大の遅滞戦術をとれたはずです。
日本には移動の自粛のお願いしかできませんが中国ならできる。
そこに人類が持つ残り少ない全体主義国家のメリットがあるのです。
何故それをせずに放置して、どうしてミャンマーや雲南省に遊びに行けたのだろう習近平閣下?
COVIDの第2波第3波
次に、2002年~2003年のSARSの「第2波」について調べてみましょう。
これについて、信用度と確認が容易なのは、我が国の資料でした。具体的には、厚生労働省ウェブサイトに掲載されている、『重症急性呼吸器症候群(SARS)関連情報』というページです。本稿では他の資料からも肉付けをして提示しますので、オリジナルは上記URLから御確認ください。
2003年7月5日、WHOが最後のSARS伝播確認地域である台湾の指定を解除し、SARSの終息を宣言。終息宣言までに感染者数8,098名、死者774名が発生。終息宣言後、実験室内感染等により以下のとおり14名のSARS 患者が報告されています。
(1)シンガポール研究生(2003年9月9日)
- シンガポール国立大学の微生物研究室で研究を行っている27歳のシンガポール人研究生(男性)が、実験室内でSARSコロナウイルスに感染し発病。学位のためなら命もいらぬとは言えないよなあ院生さん。
(2)台湾の研究者(2003年12月17日)
- 台北の國防大学予防医学研究所で研究を行っている44歳の台湾の研究者(男性)が、実験室内でSARSコロナウイルスに感染し発病。軍医殿、感染は恥です。
(3)広東省のテレビ・プロデューサー(2004年1月5日)
- 中国広東省広東市の32歳テレビ・プロデューサーが、SARSコロナウイルスに感染し発病。感染源は現在までのところ不明。消化の悪いゲテモノか危険なチャンネーに触れたか肩掛けセーターさん。
(4)広東省の女性(2004年1月17日)
- 広東省で野生動物を扱う飲食店に勤務する20歳代女性がSARSに感染し発病。感染源は確定されていないが、勤務する飲食店にあるハクビシンの檻からSARSコロナウイルスが検出されたとの報道も。
(※ハクビシンについてはその他資料でジャコウネコと言う記載もあり、コピア・ルックの話→猫鍋の話につながりました。広東省のゲテモノ屋さんで感染が起きた症例ですね。)
(5)広東省の男性(2004年1月31日)
- 広東省で40歳の開業内科医の男性が、SARSコロナウイルスに感染し発病。感染源は現在までのところ不明。接触者に異状は認められていない。家族に許してもらえそうな労災扱いできる感染。
(6)北京市・安徽省事例9名(2004年4月23日~5月18日)
- 4月23日に中国の国立ウイルス学研究所で研修を受けた大学院生(26歳・女性)がSARS確定例であることが中国政府により発表される。その後、同研究所の研究者(31歳・男性)や、大学院生との接触者等、計8名のSARS確定例が確認されたが、接触者の健康監視等により発生が終息し、5月18日にWHOの終息宣言に至る。研究所内の相関関係というか相姦関係が明らかになり家庭内争議や研究所内人事の騒乱が予想されますね。
…うん?
SARSは抑制されたパンデミックだったとしてもこれだけ?
スペイン風邪の時のような死亡率が上がった第2波はどこ?
SARSの第2波は
- ウイルス研究者
- 医師
- ゲテモノ屋さんを代表とする野生動物扱者
に限られていたのです。
COVID-19が世界に拡散された感染症だとしても
- ウイルス研究者
- 医療従事者
- 野生動物取扱者
- 国内に残ったウイルス保因者からの感染
- 感染状況の把握できない国家からの来訪者
以外に危険があるのかという疑問が生じました。国内のウイルス保因者は、これから発生するクラスターの追跡から発見することができるでしょう。
国外からの流入は、鎖国の必要はなく先ずはビザの復活と審査に少なくとも2週間以上かけて不要不急の入国を防止し、そのうえで日本入国後の2週間検疫滞在施設入所を義務付けることで防げます。
これを数年繰り返していると落ち着くように思います。
ちょっと、オリンピックは無理ですが。
とここまで書いてきてあれ今の中国入国のやり方に似ていますね。
このようにスペイン風邪のようにならない楽観的な予想もできるのですが、今後も中国発の感染症は継続するでしょうから、産業の国内回帰、とくに医療や生活物資の調達には「国内優先」を、(法匪とも言われる優秀な官僚さん)貿易協定に引っ掛からない範囲でお願いしたいです。
もしトランプ大統領がその気になって中国と戦争して北京特別軍事法廷で習近平以下の中国共産党を人道に対する罪で起訴する(ニュールンベルク、東京に続く北京裁判)場合は、検察官に是非とも聞いてもらいたいことがあります。
『2019年12月30日武漢中心医院の救急室で艾芬は眠れぬ夜を過ごしていました。李文亮も感染症と共産党の圧力に悩みながら自室で過ごしていました。習近平被告、貴方は中南海の快適な部屋で何を思い?何をしていたのですか?12月30日から1月10日までに貴方と中国共産党が為すべき事を為さなかったために人類は数百万の人々を失い今も苦しんでいるのです。』
<了>
読後感
正直、この一連のコロナ関連投稿のなかでも、とくに現役の医師の方々によるご投稿については専門的な用語も多く、私たちのように医学の専門知識を持たない一般人が、すんなりと理解できるわけではありません。
それでも、今回のポプラン様の論考は、個人的には非常にすっきりと読みやすいと感じました。なんといっても具体例が非常に多く、また、「日付」「日数」という客観的な基準に加え、「カルロス・ウルバニと李文亮」という2人の医師を鮮やかに対比させることで、2つの事態の違いを際立たせているからでしょう。
敢えて本稿を要約すれば、前回のSARSと比較して、今回のCOVID19がここまで拡大した理由は、単純に「タイミングが悪かった」というのもありますが、中国の経済発展にともない飛躍的に多くの人々が移動をするようになったことと、WHOが機能しなくなったことが挙げられると思います。
ドナルド・J・トランプ米大統領風に言えば、「WHOが中国によって機能不全に陥った」、ということでしょうか。
あくまでも仮説ではありますが、今回の武漢肺炎も「①中国の衛生観念を欠いた市場取引文化がコロナウィルスを人間界に蔓延させる原因になっていること」、「②その中国が経済発展により世界に影響力を拡大していること」が原因だ、ということかもしれません。
そして、この仮説が正しければ、今回のような「中国発の人類全体を脅威にさらすような深刻な流行病」が蔓延するのも、時間の問題だったのかもしれません。
なお、本稿につきましては約1週間前に受領していながら、本日まで掲載が遅延したことにつきまして、ポプラン様には深くおわび申し上げる次第です。
【参考】コロナ関連読者投稿
末尾に、コロナに関連する過去の読者投稿の一覧を掲載しておきます。
過去の読者投稿(COVID19関連)
- ①【読者投稿】新型肺炎、日本は「いつもどおり」で良い(2020/01/31 10:30)
- ②【読者投稿】コロナウィルス、まだ慌てる時間じゃない(2020/02/06 05:00)
- ③【読者投稿】理系研究者の新型コロナウイルス考察(2020/02/10 12:00)
- ④【読者投稿】「安心より安全を」理系研究者の緊急提言(2020/02/16 22:00)
- ⑤【読者投稿】工学研究者の武漢肺炎考(2020/02/17 16:45)
- ⑥【読者投稿】行政の観点から考察するウィルス騒動(2020/02/19 06:00)
- ⑦【読者投稿】在韓日本人が見たコロナウイルス協奏曲(2020/02/23 12:00)
- ⑧【読者投稿】PCRは本当に大変!地方衛生研に感謝を(2020/02/24 05:00)
- ⑨【読者投稿】学術論文から見た「入国規制に意味なし」(2020/02/25 05:00)
- ⑩【読者投稿】日本政府の対応はシナリオに沿っている(2020/02/29 05:00)
- ⑪【読者投稿】専門家と素人、そして有害な自称専門家(2020/03/15 05:00)
- ⑫【読者投稿】武漢肺炎、なぜ日本で感染爆発しないのか(2020/03/23 11:15)
- ⑬【読者投稿】コロナ狂想曲の続報と「韓国のいま」(2020/03/27 12:00)
- ⑭【読者投稿】武漢肺炎:「しゅうきんぺいを避けよう」(2020/04/08 08:00)
- ⑮【読者投稿】それでも日本では感染爆発は起きていない(2020/04/20 05:00)
- ⑯百年前の書籍「流行性感冒」と、現代に生かすべき教訓(2020/04/26 13:00)
- ⑰【読者投稿】アビガン解禁で、医療崩壊危惧は遠のいた(2020/05/10 12:00)
- ⑱【読者投稿】武漢肺炎で中国はわざとウソを流したのか(2020/05/17 09:00)
- ⑲【読者投稿】SARSの経験で読む「武漢肺炎第2波」(2020/05/24 12:00)
これらの執筆者は、次のとおりです。
- ①、②、⑥、⑪は現役医師の「りょうちん」様
- ③、④、⑧、⑩は理系研究者の「ケロお」様
- ⑤、⑭は工学研究者の「イーシャ」様
- ⑨は現役医師の「とある福岡市民」様
- ⑫、⑮、⑰、⑱は元微生物関係研究室勤務者の「伊江太」様
- ⑯、⑲は整形外科を専門とされる現役医師の「ポプラン」様
- ⑦、⑬は大人気『在韓日本人が見た』シリーズでも知られる「韓国在住日本人」様
これらの投稿はおしなべて冷静であり、現在読み返してみてもきわめて有益です。是非、改めてご参照賜りたいと思う次第です。
View Comments (57)
新宿会計士 様
いつもお世話になっています。
今回も御手数をおかけしました。
南米の感染が猖獗を極めるこの時期に少し楽感的過ぎるとお叱り受ける覚悟です。
文責は私ポプランにあります。
ポプラン様
新宿会計士様
とても分かり易い記事をありがとうございました。読み易かったです。文章手馴れてますね。小生の様な素人にも良く理解できました。
ポプラン様、投稿ありがとうございます。
インフルエンザに代表される呼吸器疾患のウイルスが中国地域内で抗原シフトにより人への感染力を獲得し、渡航者によって世界へ拡散されるという様式の延長に今回のコロナウイルスの拡散もあると理解しております。
ある意味、海外への影響力に見合った国内の体制整備と施策が行われなかった事が中国が持つ最大の問題かと考える事ができます。
自分が考えるに、「経済」「軍事」「公衆衛生、保健医療」の3つがうまくバランスしていないのかも知れません。
(あるいは、2つまでしか自由にコントロールするのが困難)
軍事と経済で存在感を示している国は公衆衛生あるいは保健医療に脆弱性があるし、経済と公衆衛生、保健医療でうまく行っている所は軍事的な存在感は薄いように感じます。
(敢えて国名は記しませんが、容易に想像が付くかと考えております)
「経済」「軍事」「公衆衛生、保健医療」の三つのうち、実は二つしかなりたたないのでは。
「経済」「軍事」を優先するのであればが「公衆衛生、保健医療」犠牲になるし、(アメリカの場合)、「経済」と「公衆衛生、保健医療」を優先するのであれば、「軍事」が犠牲になる(日本の場合)。
新型コロナウィルスの感染拡大にもかかわらず、最小限の犠牲と混乱ですますためには、高度な「公衆衛生、保健医療」の力を持つ必要があるが、そのためには「軍事」を犠牲にするしかないかもしれません。
徳島県 様
他国の状況を見ると、この条件が大体当てはまります。
(当てはまらないケースでは、いずれのパラメーターが小さい場合)
そういや中国はしっかりした社会保険体制があったんだけど、経済優先に舵を切った際にデグレードさせております。
これも、SARSから続く感染症拡大に影響があるかも知れません。
皆様
ありがとうございます。
医療体制は、基本的に社会の写し鏡でしかないように思います。
皇帝独裁で一部貴族と奴隷という世界には皇帝貴族のための医療は
用意されますが、奴隷は極端な減少をきたさない限り問題対象には
ならないのではないでしょうか。
上海列車事故のあった昭和63年に勤務していた病院でその事故の話
をしていたら直前研修旅行で中国渡航していた先輩は、
共産党幹部用の病院は欧米並みの水準なのだが全体的な水準が、
とだけ言って黙ってしまいました。
それ以前の文化革命当時の宣伝材料が「はだしの医者」でしたから
レベルは低かったのでしょう。
今でも共産党員と一部富裕層向けの医療、それも都会中心でしょうから。
全体的な水準は上がらないでしょうね。
でも、ひとつだけ世界で数でも質でも一番なのは、法輪功信者を
提供源とした臓器移植があって、移植の世界では
『世界に冠たる中華人民共和国』らしいですね。
あのね。病気の発生については、野生動物の生息域を有する国であれば、中国であれ、アメリカであれ、あり得ることです。(研究所からの流出説については、この際、忘れることにいたします)
ただ、そこからの隠蔽・感染拡大については、はっきりとした犯罪です。それを、直近でも2回、中共は犯しました。1回目のSARSについては、胡錦濤さんでしたっけ、中共は世界に陳謝しました。
今回、それを開き直っているのみならず、医療品の買い占めなどで、いまだに諸外国を攻撃しています。アメリカのトランプ大統領でなくても怒り心頭ではありませんかしら。
そこをグッと堪えて、茂木外相は「言いたいことは山のようにあるが・・」とWHOへの当面協力を続けることを表明しました。このコロナウイルス感染症の封じ込めには世界中の協力なくては果たせないからじゃありませんかしら。封じ込め・・できないかもしれないですが、感染コントロールぐらいは果たしたいですよね。
そして、トランプ大統領じゃありませんが、これ以上の中共の犯罪を許してはいけません。大袈裟かもですが、人類が滅亡してしまいます。
心配性のおばさん 様
中共と言ういい方は中国共産党ということですか?
感染症が発生するのは何でも食べて清潔に留意しない中国人だから。
拡大を防げないのは独裁政権の中国共産党だから。
という考え方もあるのですが、アメリカ合衆国やブラジルを見ていると
拡大を防げないのは、もっと基本的な生き方の違いのような気もします。
子供の頃に言われた
『ご飯の前には手を洗ってきなさい』
『直箸はダメ』
『食事中は黙って食べなさい』
まあ当然
『家に上がる時は靴を脱ぎなさい』
ですよね。
今自民党が選挙にでれば負けるでしょうし、次期総裁は厳しい立場なので
安倍さんに責任背負わせて死に体といわれる来年9月までこのままで
防疫体制を維持できれば、良いのにと個人的には思います。
まあ安倍さんの病気が悪化しないことが条件です。
ポプラン 様
基本的な生き方の違いには「他人に迷惑をかけない」ということも大きいと思うのです。
マスクひとつ取っても
日本:自分がウィルスに感染するのを防げなくても、自分が感染していた場合に他人にうつさないため
他国:自分がウィルスに感染するのを防ぐため
のような、基本的な部分で意識が異なるようです。
自分一人が感染しないためではなく、他人に感染させないためという思いやりが、小さな行動の差を生み、積もり積もって、社会全体の大きな力になっているような気がします。
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
スレ違いで申し訳ございません。
本日の『そこまで言って委員会NP』を見てですが、日本国民の中には、
新型コロナウィルス感染対策として「私権制限をしなければ出来ない対策
を、私権制限せずにやること」を、求めている人がいるのではないでしょ
うか。また、「新型コロナウィルスへの不満を(ウィルスは目に見えない
ので)目に見える安倍総理に、ぶつけている」のではないでしょうか。
駄文にて失礼しました。
引きこもり中年 様
それが政権担当者という事なのでしょうか。
私権制限がこれだけ少なく、感染者も死亡者も抑え込めているのに
文句を言うのは不思議です。
ポプラン 様の、
正確さを追求する筆致から、
これまでの経緯に対する静かな怒りと
これからの予想される出来事に対する悲しみが、
(まだまだ、家族の悲しみが)
溢れ出すようで、心を打たれました。
理外ノ理 様
個人的にはイタリアにお住いであろうウルバニさん御家族が
お元気かどうかが心配です。
ウルバニさんはちょうど自分の3歳上、李文亮さんは息子の3歳上と
身内に起きた不幸のように感じていました。
英雄が必要な時代、英雄が出現してしまう時代と言うのは
不幸な時代かもしれないと思います。
ポプランさま
読者投稿、有難うございました。
いつも思いますが、皆さん優秀だなぁと、尊敬します。
東京オリンピックは、難しいかも知れませんね。
だんな 様
ワクチンができようが、治療薬が出来ようが、東京オリンピックは
まず無理と思っています。
オリンピックは、世界が平和で平穏な時に開催するものだと思います。
東京2020が延期されて、東京2021でも開催できない時に
北京2022が開催できるのでしょうか?
当然中国はメンツにかけても開催しようとするでしょうね。
アメリカ合衆国はその時参加するのでしょうか?
2年経っても落ち着いていなければ参加することは無いでしょう。
羽生君は最後のオリンピックですが、どうすべきでしょうか。
どうしても参加するなら、黒尽くめの衣装に曲はレクイエムでしょうか。
2024東京
2026北京
が落としどころのような気がします。
ポプランさま
ご丁寧な返信をいただきまして、誠にありがとうございます。
北京五輪のアメリカ不参加の件は、私も想像していました。羽生選手の事までは、考えてませんでした。
オリンピックの4年先送りは、多くの選手が、機会を失う事になりそうで、残念ですね。
ただし、来年無ければ、再来年も無いようには思います。
日本も、やりたがると思いますよ。
ジビエって日本での狩猟解禁が11月に多いから日本では11月がジビエの旬と言われるだけであってフランスやイタリアは9月から始まります。
例えば、日本だとハクビシンと似たような大きさのアナグマが11月以降に出まわりますが、中国ではそんな決まりないのではないでしょうか。
ハクビシンは猫、アナグマは犬ですが。
広東料理ではコウモリを食べますが、美味しいから食べられる以外にも珍味として食べられるようで季節はあまり関係ないのではないでしょうか。
また、猫、蛇も漢方で身体を温めるといわれ冬の風物ですが、最近食べられないようで珍重されます。蛇は食べられます。
気になったものですみません。
ひろた 様
御教示ありがとうございます。
>2020年1月10日の春運開始日までの12日間ですね。
個人的には2019年12月8日~30日の方が気になるな。
何も動きがなかったのか、情報隠蔽してたのか。
名無しのPCパーツ 様
気になりますか?
そうなんです、私も気になっています。
GOARNが機能しているのでPhase3が拡大していく段階を必ず把握
していると思うのです。現在は2002年より多言語に対応しているので
期待できたはずなのです。
GOARNは
グローバル・アウトブレイクアラートと対応ネットワーク、
は流行を捉える公衆衛生機関、研究所、NGOなど、他の組織
で構成されるネットワークです。
GOARNは、世界保健機関(WHO)と密接に連携している。
その目標は、疾患の調査と研究、特定の疾患がもたらすリスクの評価、
および疾患に対処するための国際的な能力の向上です。
(英語版Wikipediaより翻訳して要約)
なのですが、WHOの所属機関ではないのでここから真実が漏れてくれば
面白いと思います。
アメリカの情報機関はここらを突破口にしそうに思います。
ポプラン様 いつも素晴らしい投稿ありがとうございます。
毎日発表される東京都の感染者数に一喜一憂している引き籠り爺です。
今日は14人とか。昨日一昨日と良かったのにと思いながらも少ない人数と思います。
専門家会議の先生方や医療関係者の方々の尽力に感謝する毎日です。
新型コロナウイルスが中国の最大最悪の輸出品と化した今、一日も早く医療、生活必需品の中国依存からの脱却を目指してほしいものです。
閑居小人 様
バイジャパニーズと叫んでも難しいので、
厚生労働省、診療報酬基金、医療サイドが妥協するためには
医療材料を日本製に変更すると診療報酬が上がるような仕組みを
作らないと無理でしょう。
例えば、日本製認定団体の証書が貼ってある医療材料を使用すると
診療報酬が数パーセント上がるとかしないと変わりません。
でもそうすると、必ず日本製であることを確認証明するための
天下り組織が出来て官僚丸儲けになるのですが。
そこまでお約束の日本です。