習近平(しゅう・きんぺい)中国国家主席が明日から北朝鮮を訪問するそうです。これについて米WSJは「バーゲニング・ポジションを得るためだ」などと指摘しているのですが、どうも私には習近平氏が何らかの成果を見込んで北朝鮮訪問を決断したようには見えません。むしろ、習近平氏自身がそこまで有能なのかが疑問でならないのです。そんな習近平氏を解明する意外なカギが、日本にありました。それが、安倍晋三総理大臣です。

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習近平の唐突な北朝鮮訪問

発表時点が異例なら、訪問まで間がないのもまた異例

すでに複数のメディアが報じましたが、中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席は今週木曜日から2日間の予定で、北朝鮮を訪問します。

このタイミングで唐突に習近平氏の北朝鮮訪問が発表されたのも不思議であれば、北朝鮮訪問から実際に習近平氏が訪問するまでにほとんど時間がないのもまた不自然です。

また、北朝鮮の独裁者である金正恩(きん・しょうおん)は、これまでに外国首脳との間で10回の会談を行っていますが、昨年9月18~19日に北朝鮮を訪れた韓国の文在寅(ぶん・ざいいん)大統領を除けば、いずれも外国で会っています(図表)。

図表 2018年3月~2019年2月の金正恩の動き(表中敬称略、数字は面会回数)
時点会談相手面会場所
2018年3月26~27日習近平と1回目の会談中国・北京
4月27日文在寅と1回目の会談板門店
5月7~8日習近平と2回目の会談大連
5月26日文在寅と2回目の会談板門店
6月12日トランプと1回目の会談シンガポール
6月19日~20日習近平と3回目の会談北京
9月18~19日文在寅と3回目の会談平壌(へいじょう)
2019年1月8~10日習近平と4回目の会談北京
2月27~28日トランプと2回目の会談ベトナム・ハノイ
4月25日プーチンと1回目の会談ロシア・ウラジオストク
6月20日~?習近平と5回目の会談平壌?

(【出所】著者調べ)

つまり、文在寅氏以外の外国首脳との間で、「相手が北朝鮮を訪問する」という形での会談が行われるのは、今回が初めてです。

習近平の狙いとは「戦争回避」?

過去に4回行われた中朝首脳会談は、いつも金正恩の方から中国に出向く形で実施されて来ました。

それが、わざわざ「多忙な(?)」習近平氏自身が北朝鮮を訪問するというわけですから、その事実自体に、何か切迫した事情でもあるのではないかと感じてしまいます。

こうしたなか、ちょうどタイミングよく、昨日は『デイリー新潮』に、日本を代表する優れた韓国観察者である鈴置高史氏が最新論考を寄稿されています。

米国にとって北朝鮮は狂信的なカルト集団、“先制核攻撃”があり得るこれだけの根拠(2019年6月18日付 デイリー新潮より)

今回の論考も、ウェブページ換算で3ページという分量にも関わらず、読み終えてしまうのがもったいないくらい、あっという間に読了してしまいます。また、前回に続いて対話方式であり、旧日経ビジネスオンライン時代の大人気連載シリーズ『早読み深読み朝鮮半島』と、ほぼ同じ要領で読むことができます。

私の言葉でごく大雑把に要約すれば、最近の在韓米軍の動き(拠点の移転や一部部隊の撤収)は、北朝鮮に対して先制攻撃をするための準備である、と考えれば整合する、といったところですが、詳しくは、直接リンク先をご確認ください。

また、今回の鈴置氏の論考では、唐突な「習近平訪朝」について、まだ織り込まれていませんが、鈴置氏であれば、唐突な習近平氏の北朝鮮訪問を「戦争回避」と関連付けて議論されるような気がしてなりません。

このあたりについても、是非、鈴置氏の見解を読んでみたいところです。

最近参考にしているもう1つのサイト?

ところで、このデイリー新潮とともに、私自身、最近になって参考にし始めたサイトがあります。

そのサイトとは、当ウェブサイト『新宿会計士の政治経済評論』です(笑)

というのは冗談で、より厳密にいえば、当ウェブサイトに読者の方から寄せて頂く書き込みです。

当ウェブサイトによくシャープなコメントを寄せて下さる「心配性のおばさん」様から昨日、こんなコメントを頂きました。

変なニュースが入って来ました。

在韓米軍の夜間通行禁止措置、9月17日まで暫定解除

アメリカンスクールのサマーホリディ中に、夜間(午前1~5時)通行禁止措置の暫定解除って・・・。

これに対し、「名無Uさん」からは、こんな返信がありました。

非常に奇妙なニュースですね…

在韓米軍の夜逃げ準備と考えるのが、普通でありましょう。しかし自分は、韓国から北朝鮮へ物資を送るための秘密トンネルが秘密裡に稼働していることを米軍が探知したのではないのかと、何の確証もない予想を立てています。

米軍が韓国領内を動けない夜中の1時から5時の間に、韓国ー北朝鮮間の秘密トンネルはこっそりフル稼働。そうはさせじ、と在韓米軍が現場を差し押さえるために動き出したのではないか、と…

もし、もしですが、その現場が押さえられ、その内容が公表されると大事件になります。韓国は安保理決議違反の大戦犯、アメリカは米韓同盟の崩壊まで決意しなくてはならなくなるでしょうね…

アメリカは米韓同盟崩壊の責任を、すべて韓国に押し付けることができるのですが、アメリカがそこまでのことを決意しているのかどうか…

当ウェブサイトは、サイト運営者である私自身を含め、基本的にはジャーナリストでも政治家でも官僚でもない、ごく普通の一般人が議論をするサイトです。しかし、ときどき、どなたかが目立たないが重要なニューズを拾ってきて、他の方がそれに対して解釈を示す、といった具合に、議論がどんどん広がっていくのです。

得てして世の中の激動の兆候は、ちょっとしたニューズ・ソースに出て来るものです。

米軍の動き、習近平の動きなどを踏まえると、何やらきな臭いものを感じてしまうのです。

(※なお、宣伝ですが、当ウェブサイトの場合は、読者コメント欄にこそ、読む価値があると思います。是非、読者コメント欄についてもご参照ください。)

習近平は有能なのか?

米国との関係では「バーゲニング・パワーの獲得」

ところで、習近平訪朝について、また少し視点を提供しているメディアがあります。

米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は習近平訪朝の狙いについて、中国が米国に対し、「バーゲニング・ポジションを得るためだ」と述べています。

China’s President Xi Jinping to Make First State Visit to North Korea(米国夏時間2019/06/17(月) 14:03付=日本時間2019/06/18(火) 03:03付 WSJより)

「バーゲニング・ポジション」( “bargaining position” )とは、わかりやすく言えば、「交渉するための有利・不利な状況」のことで、米中貿易戦争や華為(ファーウェイ)機器排除問題などで劣勢に立たされている習近平氏が米国に対する優位を確保するため、というニュアンスでしょうか。

WSJによると、習近平氏が北朝鮮を訪問するのは、中国首脳としては14年ぶりのことですが、これは来週、G20サミットにあわせて訪日する際、ドナルド・J・トランプ米大統領との米中首脳会談において「バーゲニング・パワー」の1つにしておく狙いがある、というのです。

つまり、トランプ氏と北朝鮮の独裁者・金正恩(きん・しょうおん)とのあいだで2月にハノイで行われた首脳会談が事実上の決裂に終わったことを受け、北朝鮮核交渉において、中国が北朝鮮に対する影響力を所持していることを見せつける、ということですね。

これについて、もしWSJの見方が正しければ、習近平訪朝の狙いは、米国に対するバーゲニング・パワーの獲得(つまり単なるパフォーマンス)と見るのが自然であり、一部のメディアの報道にあるような、「習近平氏が金正恩との間で核合意形成に向けて対話を進展させる」のは期待薄です。

米中対立のタネをまいたのは習近平

一方で、習近平氏には非常に申し訳ないのですが、私自身、この習近平氏という人物が、中国の歴代国家主席と比べても、「際立って有能な人物」だとは思えません。

たとえば、トランプ政権は現在、中華通信メーカーである華為を5G規格などから排除しようとしていますが、その遠因の1つが、習近平指導部が2015年に発表した「中国製造2025」というビジョンにあったのではないでしょうか。

日経によると、このビジョンは、中国が「建国100年」を迎える2049年までに「世界の製造強国の先頭グループ」に入ることを念頭に置きつつ、まずは2025年までに10分野23品目で製造業の高度化を目指す、というものです。

中国製造2025とは 重点10分野と23品目に力(2018/12/7 2:00付 日本経済新聞電子版より)

共産党一党独裁国家である中国に5G通信規格などを支配されれば、全世界の人々は携帯電話やPC、スマートフォンなどからデータを抜き取られる恐れがある、などと警戒する人もいるのですが、こうした警戒もあながち「陰謀論」では片づけられないものがあります。

また、伝統的にアジアのインフラ金融を担ってきた国際開発銀行がアジア開発銀行(ADB)ですが、2015年12月には、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)と呼ばれる国際開発銀行が設立されました。

国際インフラ開発金融の豊富なノウハウを持つ日米両国が、いまだにこのAIIBに参加していないこと自体、日米両国がAIIBを「ADBに対する挑戦」と見ている証拠ではないでしょうか。

その意味で、昨今の米中対立のタネをまいているのは、実は、習近平氏自身ではないかと思えてならないのです。

中国異質論を自ら植え付けた独裁者

ちなみに習近平氏といえば、自身の「思想」を憲法に書き込んだ人物であり、また、中国憲法から任期を削除し、その気になれば「終身国家主席」となることも可能になりました。

習近平は「父の思い」覆し、独裁憲法に走るか/中国82年憲法、5度目の修正の行方(2018年2月14日付 日経ビジネス電子版より)
習近平氏、「終身」可能に 中国・全人代が憲法改正承認(2018年03月12日付 BBC日本版より)
「習近平思想」を憲法に明記へ 中国共産党2中全会閉幕(2018年1月19日21時07分付 朝日新聞デジタル日本語版より)

(※余談ですが、『ツイッターフォロワー1000人御礼と「議論拒否」の人たち』でも触れたとおり、日本共産党支持者を中心とする「アベは独裁者だ」と批判する人たちは、不思議なことに、なぜか習近平や金正恩、志位和夫ら明らかな独裁者のことを、絶対に批判しません。)

ツイッターフォロワー1000人御礼と「議論拒否」の人たち

それはさておき、この「習近平思想」なるものもよくわかりませんし、習近平氏が終身国家主席を目指すという野心についても理解が困難です。

こうしたなか、昨年3月にトランプ氏は、習近平氏を「終身国家主席」と称賛し、「米国でもいつか試したい」と述べました。

トランプ、習近平を「終身国家主席」と賞賛 「米国でもいつか試したい」(2018年3月5日(月)14時19分付 ニューズウィーク日本版より【ロイター配信記事】)

これについてロイターの記事では、

トランプ大統領が米大統領の任期延長について発言したものか、冗談だったのかは不明

としていますが、誰がどう聞いても、これはトランプ氏なりのブラックジョークでしょう。

いずれにせよ、「自身の思想を憲法に書き込む」だの、「終身国家主席に道を開く」だのといった、自由・民主主義社会ではあきらかにあり得ない行動が、「中国異質論」を自ら西側諸国に強く印象付けたことは間違いないでしょう。

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安倍晋三と習近平

習近平理解のキーワードは「安倍晋三」

皮肉なことに、習近平氏を理解するためにもっとも手っ取り早いキーワードとは、「安倍晋三」です。

安倍総理は2012年12月に「アベノミクス」「日本を取り戻す」を引っ提げて衆院選に勝利した結果、再登板した人物です。消費増税や特定秘密保護法、安保法制など、さまざまな政治的困難を乗り越え、都合、自民党は5回に及ぶ大型国政選挙に連続して勝利しています。

純粋に民主的手続で長期政権を維持している安倍総理ですが、就任直後は、中国と韓国の両国に対してそれぞれ首脳会談の開催を呼びかけたものの、両国ともに日本との首脳会談にまったく応じてくれませんでした。

とくに、習近平氏が国家主席に就任したのは、第二次安倍政権発足の約3ヵ月後、つまり2013年3月のことですが、2013年(平成25年)における首脳レベルでの日中交流は、ほぼ断絶状態になっています。

外務省のホームページで確認すると、日中の要人の往来、会談は、次のたった4件しかありません。

  • 程永華(てい・えいか)駐日中国大使による岸田外務大臣表敬(平成25年12月20日)
  • 三ッ矢外務副大臣と顧朝曦・中国民政部副部長との会談(平成25年10月28日)
  • 中国の代表的企業首脳による菅官房長官表敬(平成25年9月25日)
  • 伊原アジア大洋州局長の北京出張(平成25年8月2日)

そして、安倍総理と習近平氏との間での初めての日中首脳会談が行われたのは2014年11月10日のことであり、それも北京APEC会合のサイドラインでのことです。

2014年11月10日の日中首脳会談

(【出所】外務省HPより)

安倍総理がどことなくひきつった笑いを浮かべた習近平氏と握手を交わしているものの、背景には国旗も何もありません。大変無礼です。

尖閣諸島、歴史はどうなった?

ただ、その後、不思議なことに、当初、習近平氏は安倍総理との日中首脳会談に「尖閣諸島の領有権問題が存在すること」、「靖国参拝をしないこと」などの条件を付けていたはずなのに、この2014年の首脳会談をきっかけに、その後、日中首脳は会談を重ねていて、徐々に回数も増えているのです。

外務省のホームページで「日中首脳会談」と調べると、2012年12月から昨年までに限れば、次の12の会議が出て来ます。

2012年12月以降、昨年までの日中首脳会談の相手と場所
  • 2014/11/10(月)…習近平(中国・APEC首脳会議)
  • 2015/04/23(木)…習近平(インドネシア・バンドン会議60周年記念式典)
  • 2015/11/01(日)…李克強(韓国・日中韓首脳会談)
  • 2016/07/15(金)…李克強(モンゴル・ASEM)
  • 2016/09/05(月)…習近平(中国・G20)
  • 2017/07/08(土)…習近平(ドイツ・G20)
  • 2017/11/11(土)…習近平(ベトナム・APEC首脳会議)
  • 2017/11/13(月)…李克強(フィリピン・ASEAN関連首脳会談)
  • 2018/05/09(水)…李克強(日本・東京)
  • 2018/09/12(水)…習近平(ロシア・ウラジオストック「東方経済フォーラム」)
  • 2018/10/26(金)…李克強(中国・北京)
  • 2018/10/26(金)…習近平(中国・北京)
  • 2018/11/30(金)…習近平(アルゼンチン・G20)

(【出所】外務省HP『中華人民共和国 過去の要人往来・会談』より著者作成。なお、会談相手については敬称略)

2014年に1回、2015年と2016年に2回ずつ、2017年に3回、そして2018年には4回もの会談が行われています。ちなみに最近の日中首脳会談では、後ろにちゃんと国旗が掲げてあります。

2018年10月26日の日中首脳会談

(【出所】外務省HPより)

別に安倍総理がこの間、「もう靖国神社に参拝しないと確約した」というわけでもなければ、「日中間で領土問題がある」と認めたわけでもないにも関わらず、なぜか日中首脳会談の回数が急増しているのです。

都合が悪くなれば擦り寄ってくる、ただそれだけのこと

あえて私の解釈を述べておきましょう。

習近平氏とは、タフな相手には擦り寄ってくる人物なのではないでしょうか。

習近平氏が原理原則を大切にする人物であれば、2013年12月26日に靖国神社への参拝を断行した安倍晋三氏は、「憎らしき相手」であり、「中華民族の不倶戴天の敵」であるはずです。

それなのに、習近平氏がAIIBを設立し、一帯一路構想やシルクロード基金などを立ち上げて以降、とくに日中首脳会談の回数が増えているという事実を見れば、「思いどおりにいかない経済構想を巡って日本の協力を求めている」と考えるのが自然な発想でしょう。

それだけではありません。

今年5月、わが国では令和に改元されるとともに天皇陛下が御即位されましたが、トランプ米大統領は諸外国の国家元首のなかで、最初に国賓として日本を訪問し、天皇陛下と面会しました。こうした日米蜜月は、もはや誰の目にも明らかです。

(なお、『トランプ訪日成功に慢心するな 次の一手は日台通貨スワップ?』で触れたとおり、だからといって私は慢心して良いとは思っていませんが、これについては別のテーマなので本稿では触れません)。

トランプ訪日成功に慢心するな 次の一手は日台通貨スワップ?

一方の習近平氏といえば、米中貿易戦争やそれに付随するさまざまなフリクションでは、あきらかに劣勢に立たされています。

習近平氏は、いや、中国の国家主席というものは、原理原則よりも、その場の交渉の方がはるかに大切な人たちなのではないでしょうか。

安倍総理というフィルターを通すことで、そのことを痛感せざるを得ないのです。

世界は中国共産党と共存できない

中華プロパガンダ

さて、当ウェブサイトでは以前、『世界は中国共産党と共存できるのか?』のなかで、「中国共産党が全世界のメディアにカネをばらまき、中国をほめそやすためのプロパガンダキャンペーンを展開している」とする話題を紹介しました。

世界は中国共産党と共存できるのか?

これは、英ガーディアンが報じた ‘Inside China’s audacious global propaganda campaign’ という記事に「中国は少なくとも30の外国新聞に4~8ページ程度の中国を宣伝する中折冊子を挿入している」と書かれていた、というものです。

その配布先と毎月の配布冊数は次のとおりです。

  • ニューヨーク・タイムズ(New York Times)…170万部
  • ウォール・ストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)…130万部
  • ロサンゼルズ・タイムズ(Los Angeles Times)…160万部
  • ワシントン・ポスト(Washington Post)…91万部
  • 毎日新聞(Mainichi Shimbun)…660万部
  • エル・パイス(El Pais)…29万部
  • ル・フィガロ(Le Figaro)…32万部
  • ハンデルスブラット(Handelsblatt)…13万部
  • ニューヨーク・タイムズ国際版(New York Times International edition)…24万部

とくに、毎日新聞の部数は公式でも200~300万部程度に過ぎないはずですが、その毎日新聞が毎月、660万部も中国のプロパガンダ冊子を配っているということですから、おそらく、毎月2、3回はそれを実施している、という意味でしょう。

民主主義国家と独裁国家の違い

考えてみれば、中国は共産党の一党独裁国家です。

中華人民共和国成立以来、中国を支配しているのが中国共産党です。一方で、「万年与党」として日本を長らく「支配」している政党が自由民主党ですが、諸外国のメディアを含めて、しばしば、中国共産党と自由民主党を対比する者がいます。

しかし、こうした理解は、大きな間違いです。

中国では、見かけ上は全国人民代表大会(全人代)という「議会」が設けられていて、法的には中国における最高意思決定機関とされていますが、これは事実上、単なる「ゴム印を押すだけの機関」であり、民意を得ておらず、日本などの民主主義国家における国会とは似て非なるものです。

そして、全人代は事実上、日本の国会としての権限を発揮することはできませんし、たとえば「中国人民が全人代議員を選び、その全人代議員の総意により習近平(しゅう・きんぺい)国家主席や李克強(り・こっきょう)首相らを辞めさせることができる」、というものでもありません。

(※もちろん、政治局の内部的な政争の結果、国家主席や首相らが解任されることはあるでしょうが、それはあくまでも「共産主義国家内の政争」であり、「民意によって解任される」というものではありません。)

これに対し、私たちの日本という国では、国民が選んだ国会議員が構成する国会が国権の最高機関であり、安倍晋三総理大臣は、まぎれもなく私たち日本国民が選んだ行政の最高責任者です。

人々が安倍政権を倒したければ、2009年8月にやったように、単純に選挙に行って、自民党に投票しなければよいだけの話です。

しかし、中国の場合、中国人民が中国共産党に対して不満を抱いたとしても、「選挙によって政権から放逐される」ということが、絶対にあり得ないのです。この点こそが、きわめて重要です。つまり、中国の人々が習近平政権を倒したければ、それこそ命を懸けて革命でもするしかないのです。

中国共産党は弱体化させるのが基本戦略

つまり、現在はトランプ政権の出現や日米蜜月などによって、中国は確かに追い込まれているのかもしれませんが、それと同時に民主主義国である日米と異なり、中国は独裁国家です。

トランプ大統領は、来年任期満了を迎えますし、再選されても4年後の2024年には退任します。

安倍総理も、もし自民党の党則に変更がなければ、自民党総裁としての任期が満了する2021年には退任するでしょうし、もし自民党の党則を変更して4期連続して総裁を務められるようになったとしても、それでも任期は2024年までです。

これに対して習近平氏は、それこそ中国共産党の不透明な支配体制を続けることができれば、理屈の上では寿命が来るまで独裁者として君臨できます(もっとも、習近平氏がそこまで優秀かどうかは別の論点ですが…)。

これこそが、民主主義国と独裁国家の最大の違いです。

そして、世界最大の人口を抱え、GDP規模でも米国を追い抜くことを目標にしている国が、前近代的な独裁主義国であるという事実を、世界はもっと重く見なければなりません。

おりしも当ウェブサイトでは、『香港の自由を守るために、私たち日本には何ができるのか』のなかで、香港や台湾の「自由」を守るためには、私たち日本にもそれなりの覚悟が必要だ、とする議論を提示したばかりです。

香港の自由を守るために、私たち日本には何ができるのか

中国がこれからどうなるのかはわかりませんが、少なくとも自由を愛する私たちの世界は、中国共産党と共存することはできません。

中国共産党については弱体化させることこそが、人類の利益にかなうのではないでしょうか。

※本文は以上です。

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  • 2019/07/07 12:45 【マスメディア論|時事
    朝日新聞の「自己紹介記事」?そして図書館で見た新聞の未来 (46コメント)
  • 2019/07/07 07:07 【日韓スワップ|韓国崩壊|金融
    日韓スワップは藪蛇スワップ? (48コメント)
  • 2019/07/07 05:00 【読者投稿
    【読者投稿】韓国GDP粉飾疑惑を2008SNAで検証する (13コメント)
  • 2019/07/06 12:00 【読者のページ
    読者雑談専用記事(2019年7月6日版) (152コメント)
  • 2019/07/06 05:00 【時事|韓国崩壊
    フッ酸輸出規制と「対韓セカンダリー・サンクション」論 (132コメント)
  • 2019/07/05 18:30 【時事|韓国崩壊
    対韓輸出規制開始の一方、中央日報は「不適切な事案」を分析 (54コメント)
  • 2019/07/05 11:45 【時事|韓国崩壊
    「仲介してくれない米国」に焦る韓国メディアの動揺が酷い (66コメント)
  • 2019/07/05 10:15 【時事|韓国崩壊
    今これをやるか!? 慰安婦財団解散の衝撃 (48コメント)
  • 2019/07/05 06:00 【韓国崩壊
    これから本格化する経済制裁論を予想する (59コメント)
  • 2019/07/05 05:00 【読者投稿
    【読者投稿】在韓日本人「昔の韓国は暮らしやすかった」 (27コメント)
  • 2019/07/04 22:00 【時事|韓国崩壊
    待望の鈴置論考:日本は韓国経済を潰す気なのか (52コメント)
  • 2019/07/04 12:00 【時事|国内政治
    参議院議員通常選挙と「国民の敵」 (18コメント)
  • 2019/07/04 10:30 【時事|韓国崩壊
    恩を仇で返してきた国がCPTPPを望む滑稽さ (49コメント)
  • 2019/07/04 06:00 【韓国崩壊|金融
    本日から韓国へのフッ酸などの個別承認措置が開始 (78コメント)
  • 2019/07/04 05:00 【時事|韓国崩壊
    韓国の「韓日フォーラム」、16人も寄ってそれですかい? (12コメント)
  • 2019/07/03 17:30 【時事|韓国崩壊
    東京新聞の「蚊帳の外」論を嬉々として報じる中央日報 (37コメント)
  • 2019/07/03 13:30 【マスメディア論|時事
    朝日新聞が「頭を冷やして報復を撤回せよ」と要求 (66コメント)
  • 2019/07/03 10:45 【時事|韓国崩壊
    加害者が「経済戦争避けねばならない」とは、滑稽な主張だ (48コメント)
  • 2019/07/03 06:00 【マスメディア論
    「ATM」の現状と、毎日新聞の苦境伝えるダイヤモンド記事 (36コメント)
  • 2019/07/03 05:00 【読者投稿
    【読者投稿】韓国在住日本人が見た「韓国人のタイプ」 (63コメント)
  • 2019/07/02 18:00 【時事|韓国崩壊
    自称元徴用工側の言い分は、まるで北朝鮮そっくり (46コメント)
  • 2019/07/02 14:30 【時事|韓国崩壊
    官房長官「韓国がG20までに解決案持ってこなかった」 (55コメント)
  • 2019/07/02 06:00 【韓国崩壊
    経産省措置は「韓国セカンダリー・サンクション」の走り? (104コメント)
  • 2019/07/02 05:00 【韓国崩壊
    まだやってたの? 自称元徴用工の株式売却は破滅への道 (4コメント)
  • 2019/07/01 14:30 【時事|韓国崩壊
    西村副長官「対抗措置ではない」→そうか、そういう狙いか! (187コメント)
  • 2019/07/01 11:30 【時事|韓国崩壊
    対韓対抗措置を経産省が正式発表、そして韓国の反応 (32コメント)
  • 2019/07/01 10:00 【時事|韓国崩壊
    米朝会談、「韓国は蚊帳の外」を認めたがらない韓国メディア (22コメント)
  • 2019/07/01 06:00 【韓国崩壊
    フッ酸輸出規制は「経済制裁」としては不十分だが… (14コメント)
  • 2019/07/01 05:00 【外交
    板門店での米朝首脳会談、韓国こそが「蚊帳の外」 (29コメント)
  • 2019/06/30 14:45 【時事|韓国崩壊
    外為法第48条の制裁措置、ついに発動か? (64コメント)
  • 2019/06/30 11:17 【時事
    超速報 産経新聞『半導体材料 対韓輸出を規制』 (67コメント)
  • 2019/06/30 06:00 【韓国崩壊
    首脳会談なしに逆ギレ・現実逃避の韓国と「本当のリスク」 (30コメント)
  • 2019/06/30 05:00 【マスメディア論|時事
    朝日新聞ネタ:G20で大阪城をバックに写真撮影 (17コメント)
  • 2019/06/29 12:00 【読者のページ
    読者雑談専用記事(2019年6月29日版) (98コメント)
  • 2019/06/29 06:00 【時事・過去記事|韓国崩壊
    韓国の市民団体、日韓首脳会談見送り受け日本政府に逆ギレ (58コメント)
  • 2019/06/29 05:00 【時事|外交
    G20も初日が終了、安倍総理の会談相手をまとめておく (6コメント)
  • 2019/06/28 12:00 【時事|韓国崩壊
    文在寅氏のG20冷遇ツアー始まる (83コメント)
  • 2019/06/28 09:45 【時事|外交
    G19?開幕 安倍総理が習近平氏に「人権」突き付ける (18コメント)
  • 2019/06/28 06:00 【時事|韓国崩壊
    自称元徴用工らの脅しに屈しない、日本企業の毅然とした姿勢 (13コメント)
  • 2019/06/28 05:00 【読者投稿
    【読者投稿】在韓日本人から見た韓国 (115コメント)
  • 2019/06/27 22:30 【時事|外交
    18ヵ国プラスアルファ、安倍総理が会談した相手国は? (9コメント)
  • 2019/06/27 16:30 【政治
    すでにG20は事実上開幕 会談相手は19ヵ国以上か? (29コメント)
  • 2019/06/27 14:30 【時事|韓国崩壊
    あえて「戦犯国家」と言うなら、それは韓国のことだ (25コメント)
  • 2019/06/27 12:00 【時事|韓国崩壊
    日本の経済界にとって、いまや韓国は北朝鮮と同等? (11コメント)
  • 2019/06/27 10:15 【時事|韓国崩壊
    法の不遡及を堂々と無視する韓国は無法国家だ (27コメント)
  • 2019/06/27 05:00 【マスメディア論
    NHKこそ「みなさまの敵」 財務的には超優良企業 (10コメント)
  • 2019/06/26 22:30 【時事|韓国崩壊
    「日本が韓国を観艦式招待せず」は残当 ほか (8コメント)
  • 2019/06/26 15:00 【時事|韓国崩壊
    周回遅れどころじゃない、日韓通貨スワップ待望論 (42コメント)
  • 2019/06/26 10:30 【時事|韓国崩壊
    いまや北朝鮮以下の韓国 会談見送りは「マネージ」の一環? (26コメント)
  • 2019/06/26 05:00 【時事|外交
    「イラン攻撃中止に日本が関与」説を提示してみる (12コメント)
  • 2019/06/25 21:30 【時事|韓国崩壊
    「報復合戦」を韓国側がお望みならば、それもひとつの手だ (19コメント)
  • 2019/06/25 15:30 【時事|外交
    謎の上から目線 「米中首脳会談希望なら譲歩しろ」 (6コメント)
  • 2019/06/25 11:00 【時事|韓国崩壊
    日韓首脳会談見送り報道に「ざまみろ韓国」と言えない理由 (34コメント)
  • 2019/06/25 06:00 【時事|外交
    米中貿易戦争と日本、そして習近平の危うさ (78コメント)
  • 2019/06/25 05:00 【読者投稿
    【読者投稿】医療費抑制の試み、その課題(後編) (21コメント)
  • 2019/06/24 16:15 【時事|韓国崩壊
    武藤正敏氏、文在寅外交は「行き当たりばったり」 (24コメント)
  • 2019/06/24 11:00 【時事|韓国崩壊
    安倍発言を意訳すれば「文在寅氏と会う価値はない」 (19コメント)
  • 2019/06/24 09:30 【時事|国内政治
    経済をぶっ壊して増税する セイレーンの誘惑とは増税 (14コメント)
  • 2019/06/24 06:00 【時事|韓国崩壊
    周回遅れの韓国メディア、謎の「上から目線」 (24コメント)
  • 2019/06/24 05:00 【読者投稿
    【読者投稿】医療費抑制の試み、その課題(前編) (12コメント)
  • 2019/06/23 13:00 【読者投稿|政治|お知らせ
    お知らせ:読者投稿を開始します (31コメント)
  • 2019/06/23 07:00 【韓国崩壊
    「北朝鮮分割」と無責任国家・韓国の現実逃避 (34コメント)
  • 2019/06/23 05:00 【読者投稿
    【読者投稿】なぜ医療費は増えるのか (84コメント)
  • 2019/06/22 12:00 【読者のページ
    読者雑談専用記事(2019年6月22日版) (62コメント)
  • 2019/06/22 07:00 【時事|国内政治
    消費増税はほぼ確定 それでも希望は捨てるな! (36コメント)

  • 著者のコンタクト先:info@shinjukuacc.com

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