華々しいAIIB、実態は「鳴かず飛ばず」
中国が主導するAIIBを巡り、「加盟国が80カ国に増えた」などの報道が独り歩きしていますが、実態は極めてお粗末です。
目次
AIIB総会と各国
AIIB総会に冷ややかな視線送る日本
中国が主導する国際開発銀行(MDB)であるアジアインフラ投資銀行(AIIB)の第2回総会が、昨日まで韓国の済州島(さいしゅうとう)で開催され、新たに3カ国(アルゼンチン、トンガ、マダガスカル)の加盟を承認。総会で金立群(きん・りつぐん)総裁は「開放性、透明性と説明責任」(openness, tranparency and accountability)に言及しました。
Opening Address Meeting of the AIIB Board of Governors President Jin Liqun June 16, 2017 As Prepared for Delivery(2017年6月16日付 AIIBウェブサイトより)
AIIBに参加すると表明し、承認された国の数は80ヵ国にも達しており、これらの全てが加盟すれば、日本が主導するアジア開発銀行(ADB)の加盟国数(67ヵ国)を大きく上回る見通しです(※ただし、後述の通り、現時点のAIIBの加盟国は56ヵ国に過ぎません)。
この、一見すると華々しいAIIB総会に、招待状を受け取っていながら参加しなかった国があります。それが日本と米国です。
アジア投資銀総会が韓国で開幕=日本は招待断る(2017/06/16-19:38付 時事通信より)
時事通信の報道によると、AIIB総会の招待状は日本にも届いたのだそうですが、日本政府は
「非加盟国なので出席の理由がない」
として招待を断ったのだとか。5月に中国で開催された「一帯一路フォーラム」に自民党の二階俊博幹事長が参加したのとは対照的です。日本政府もたまには良い仕事をしますね。
余談ですが、同じ時事通信は以前、「日本がAIIBに参加する」、「日本が一帯一路構想に参加する」などの虚報を垂れ流してきましたが、もしかして時事通信などのメディアは、中国政府から賄賂でも受け取っているのかもしれません。時事通信は国民に対し、これらの虚報についてきちんと説明する責任があるでしょう。
「日本は慎重姿勢を崩さない」のか?
さて、日本は今のところ、AIIBから距離を置く姿勢を明らかにしていますが、AIIB総会に招待状を受け取っておきながら参加しなかったことは、こうした姿勢の表れと見て良いでしょう。
それでは、今後の日本はAIIBに参加するのでしょうか?これについて産経ニュースは、「日本政府内には冷ややかな見方が多い」と報じています。
AIIB 慎重姿勢を崩さぬ日本政府 気がかりは米国のはしご外し(2017.6.16 22:41付 産経ニュースより)
産経ニュースはある外務省幹部が
「日本が得をする案件に限って、日本主導のADB(アジア開発銀行)を絡めて参加すればいい」
と述べたと報じていますが、非常に真っ当な発想です(余談ですが、以前『ADBとAIIBの「役割分担」の時代』で述べたとおり、私は「リスクの高い案件はAIIBに押し付け、ADBは高付加価値案件に特化するのも一案だ」と考えています)。
また、安倍総理、麻生副総理ら政権幹部も、AIIBに対してはたびたび、ガバナンスの欠如などに不信感を示しています。仮にAIIBに参加するとなれば国民の貴重な血税を投じるのですから、日本としても意思決定プロセスの透明化と情報開示の徹底を求めるのは当然のことです。
この点、産経ニュースは「米国がはしごを外して電撃的にAIIBに参加する」ことへの警戒が必要だとしていますが、私はそこまで懸念する点ではないと考えています。というのも、米国は世界銀行グループなどを通じて世界のインフラ金融に強い影響力を保持しており、米国が自ら世銀の影響力を削ぐようなことをするとは考え辛いからです。
もっとも、「考えが浅いドナルド・トランプ大統領が目先の利権に釣られてAIIBに参加してしまう」というリスクについては、十分に警戒する必要はあるでしょう。そうならないように、日本は普段から米国との意思疎通を密にすべきでしょうし、万が一米国がAIIBに入ってしまったら、その時に改めて日本はAIIBへの対処を検討すべきです。
ただ、現状では日本はAIIBから距離を置くのは非常に正しい選択肢なのです。
自滅に走る韓国
一方、これとは真逆に、「自滅」にひた走っているように見受けられた国が韓国です。
韓国は今回の「第2回AIIB年次総会」の主催国となり、また、文在寅(ぶん・ざいいん)大統領はAIIB総会で、
- 「韓国は主要メンバーとしてAIIBに貢献する」
- 「南北が鉄道でつながる時、新しい陸上・海上シルクロードの完全な完成となる」
などと発言しました。
もちろん、韓国が米国の意向に反してAIIBに参加したことは、朴槿恵(ぼく・きんけい)前大統領の決定です。また、済州島でAIIB総会が開催されると決まっていたのも文氏が大統領に就任する以前の話です。その意味で、「韓国がAIIBに参加したこと、そのAIIB総会を韓国で開催したこと」自体に対する政治責任は、文氏にはありません。
しかし、後継者たる文在寅氏が、こういう発言をしてしまうことの影響は深刻です。
おりしも、現在の米国世論は「ワームビア事件」により沸騰しています。この「ワームビア事件」とは、北朝鮮当局により拘束されいてた米国人大学生が脳に重傷を負って帰国したという問題であり、これを受けて米国は政府、議会関係者、世論がともに激怒している状況にあります。
米国ではドナルド・トランプ大統領がコミー前FBI長官の解任を巡って、政治的に窮地に立たされています。国内での政治的な苦境を打破するために対外的な戦争に踏み切るのは米国の政権の常套手段ですが、私は、今回の「ワームビア事件」を受けて、ますますトランプ氏としては対外戦争に踏み切りやすくなったと考えています。
こうした中で、文大統領が「北朝鮮を支援する」かのような発言が、米国の逆鱗に触れた可能性は否定できません。その意味で私は、どうも韓国が自滅への道をひたすら走っているようにしか見えないのです。
※なお、米韓同盟の先行きについてはAIIBとテーマが外れるため、明日以降、別途議論したいと思います。
AIIBという「走れないバス」
「加盟国が80ヵ国」はウソ
ところで、いくつかの報道で「AIIBの加盟国は80ヵ国に増えた」という情報がありましたが、これは本当でしょうか?
ここで、加盟する意思を表明した国と実際の加盟国の推移を確認してみましょう(図表1)。
図表1 AIIB加盟国数の推移
(【出所】AIIBウェブサイト)
AIIBのウェブサイトから調べてみると、たしかに「加盟する意思を表明し(て加盟が認められ)た国」は今回の総会で80ヵ国に達しました。しかし、AIIBは「加盟する意思を表明し、AIIBから加盟を認められる」だけでは「加盟した」ことになりません。その後、国内の批准(ratification)を済ませ、資本金を払い込んで、初めて「加盟した」ことになります。
その意味では、現時点の「加盟国」の数は56ヵ国に過ぎません。
さらに、「創業メンバー」(Founding Member)でありながら、まだ最終的な批准が終了していない国も4カ国あります(ブラジル、南アフリカ、スペイン、クウェート)。これでは「看板に偽りあり」ではないでしょうか?
融資案件の多くは「亀の歩み」
次に、肝心の融資案件の一覧についても確認してみましょう(図表2)。
図表2 AIIBの融資案件
区分 | 件数 | 融資総額 |
---|---|---|
承認済み案件 | 13件 | 21.75億ドル |
未承認案件 | 13件 | 22.73億ドル |
合計 | 26件 | 44.48億ドル |
(【出所】AIIBウェブサイト)
AIIBが署名式典を終えてから2年が経過するにも関わらず、現時点までに承認された案件は13件、検討中の案件は13件に過ぎず、AIIBの融資予定額は合計しても45億ドル程度です。さらに、これらの案件の多くは世銀やADBなどとの協調融資案件です(図表3)。
図表3 AIIBの案件構成
区分 | 承認済PT | 未承認PT |
---|---|---|
世銀との共同案件 | 6件 | 5件 |
ADBとの共同案件 | 2件 | 2件 |
EIB等との共同案件 | 2件 | 1件 |
AIIBの単独案件 | 3件 | 5件 |
合計 | 13件 | 13件 |
ここからわかることは、AIIBは華々しく登場した割に、融資案件の多くは世銀やADBの「おこぼれ」にあずかっているというケースが多く、単独案件は非常に少ない、という事実です。ということは、案件を引っ張ってくる力(ソーシング力)が根本的に欠落していると見て良いでしょう。
AIIBにはG7諸国から日米を除く全ての国が参加していますが、これらの国の多くは欧州諸国であり、アジア太平洋地域におけるインフラ投資案件を引っ張ってくるだけの能力を持っていません。AIIB参加国が80ヵ国に達したのは事実かもしれませんが、アジア太平洋地域におけるインフラ金融の大国である日本が参加しない以上、「烏合の衆」に過ぎません。
ガソリンとエンジンがないバス
ところで、日本経済新聞は一昨日、こんな記事を掲載しています。
アジア投資銀総裁、日米に参加呼び掛け 「ドア開き続ける」(2017/6/17 19:41付 日本経済新聞電子版より)
日経によると金立群総裁はAIIBへの参加を見送っている日米両国に対し、
「我々はこれからもドアを開き続ける」
と加盟を呼び掛けたそうですが、いわば「日米が乗り込むまでドアを開き続けるバス」のようなものでしょうか。
考えてみれば、日米両国はこの手のMDBに「ガソリン」ないしは「エンジン」として参加しています。例えば、日本が参加しているMDBとしては、ADBだけでなく国際復興開発銀行(IBRD)や国際金融公社(IFC)、欧州復興開発銀行(EBRD)、さらにはアフリカ開発銀行(AfDB)などの地域銀行も含まれています。そして、アジア太平洋地域では既にADBが存在する訳ですから、これに「屋上屋を架す」ような存在であるAIIBに、日本がわざわざ参加しなければならない筋合いなどありません。
一昨年の日経社説の検証
ところで、日経はかつて、こんなトンチンカンな社説を掲げた前科があります。
中国が主導するインフラ銀に積極関与を(2015/3/20付 日本経済新聞電子版より)
日経がこの社説を掲載したのは今から2年以上前の事ですが、日本国内でもいまだにAIIBへの加盟論がくすぶっているようです。そこで、検証の意味も込めて、この日経の社説を検討しておきましょう。
「中国主導で創設するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、欧州の主要国が相次いで参加意思を表明した。日本はどう向き合うべきか。欧州の先進国が加わり、広がりのある国際金融機関がアジアに誕生する以上、目をそむけ続けるわけにはいかない。」
欧州の先進国が加わっている割に、融資案件数は伸びず、また、AIIBの単独融資案件はそれほど多くありません。地理的に遠い欧州各国は、AIIBに加盟していたとしても「烏合の衆」の一部を構成するに過ぎません。
「AIIBの現時点の構想は、意思決定の仕組みや審査基準などに不透明な点が多い。資本金の過半を拠出する中国が強大な発言力を持ち、巨大なインフラ需要に応える資金の流れに支配的な影響を与える可能性もある。」
AIIBの不透明さについては、今でも全く変わっていません。確かにアジアで巨額のインフラ需要が生じていることは事実ですが、逆に「中国が巨大な発言力を持つ」という状態を作り出さないためにも、AIIBから距離を置くのが正解でしょう。
「さらに安全保障上の警戒感もあり、日米両国は参加に否定的だ。だが対中貿易・投資の実利を追う英国、ドイツ、フランス、イタリアの加入で主要7カ国(G7)のうち4カ国が構想支持に回り、先進国の日米欧と中国が対峙するという構図は完全に崩れた。」
その欧州では英国が欧州連合(EU)から離脱を表明し、ユーロ圏各国経済は「ドイツの一人勝ち」状態で苦しんでいる状況です。欧州各国がAIIBに加盟したのは、「国内経済が苦しい中で、インフラ投資の分け前にあずかる」という邪な目的以外にないでしょう。
「流れが変わった以上、現実的な目線で中国の構想と向き合うべきではないか。AIIBの否定や対立ではなく、むしろ積極的に関与し、関係国の立場から建設的に注文を出していく道があるはずだ。/AIIBを「中国の銀行」ではなく中立性の高い「多国籍機関」に導いていく努力を、怠るべきではない。創設メンバー国となる欧州各国やニュージーランドは、内部から透明性の確保を働きかけていく構えだ。中国側も新銀行が国際的な信認を得るために、耳を貸さないわけにはいかない。」
では日経さんに逆に聞きますが、AIIBは「中国の銀行」から「多国籍機関」に脱皮しましたか?欧州各国が参加したところで、現段階でも透明性のある中立性の高い組織になったとは到底言えない状況ではないでしょうか?
「欧州各国が中国陣営に取り込まれ、G7に亀裂が入ったとの見方はある。だが、AIIB設立協定の締結に向けた協議や設立後の運営への発言権を確保し、内外からAIIBへの関与が可能になったと考えることもできるはずだ。/好むと好まざるとに関わらず、AIIBは年内に発足する。中国の独走を防ぐためには、まず公平で透明な統治の機構を設計することこそが肝要である。そのための条件が満たされるならば、日本が資金を拠出して構想に参加する選択肢も排除すべきではない。」
私は少なくとも、安倍政権がこうした日経の戯言に騙されず、AIIBから距離を置き続けていることを、高く評価したいと思います。
「AIIBが中国の意のままに動く銀行となり、環境に配慮しないインフラ開発や持続不能な事業への融資が横行するのではないかとの疑念も広がる。」
実際そうなっていると思います。
「非参加国の企業が入札に加われないなど、不利な条件を恐れる日本企業も多い。AIIBを健全に育てるためにも、日米中心のアジア開発銀行(ADB)は資金力を増やし、競争と協調の両面で関与を深めるべきだ。」
日経は「AIIBがアレンジする案件から日本企業が排除されてしまう」ということを懸念しているのだと思いますが、この点については懸念に値しません。そもそもAIIBがアレンジする案件の数自体が少なく、むしろ逆に、ADBや世銀がアレンジする案件にAIIBが混ぜてもらっている状況にあるからです。
日本はAIIBとどう関わるべきか?
以上、本日はAIIBの現状についての最新情報をアップデートしてみました。
AIIBを巡ってはいろいろツッコミどころも多く、例えば格付の問題があるため、民間金融機関からお金を集めることが困難です(このあたりの詳細については『「AIIBにカナダが加盟」?だからどうした!』あたりもご参照ください)。
「AIIBは加盟国が増えた」という、一見すると華々しい報道が相次いでいますが、その実態は極めてお粗末であり、また、肝心の融資実績もほとんど積み上がっていないに等しい状況にあります。
いずれにせよ、「日本はAIIBに参加すべきだ」と主張している、日経を初めとするメディアの虚報に騙されず、私たち日本国民はAIIBという怪しい組織の正体をしっかりと認識し、私たち国民の税金が日本の国益を毀損することに使われないように、行政とマス・メディアをしっかりと監視し続けることが必要でしょう。
その意味で、この「AIIB問題」も、結局は私が普段から申し上げている、
「有権者一人ひとりが賢くならなければならない」
というテーマと同じ問題なのです。その事を、私は改めて強く主張したいと思います。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。
ツイート @新宿会計士をフォロー
読者コメント一覧
※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。
やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。
※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。
※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。
当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。
コメントを残す
【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
日経の中国関連の記事については大甘で頓珍漢なものがあります。中国担当の記者達の質の問題もあるのでしょうが、日経内部で検証システムができてないのでしょう。
製造部門の企業なら事故やクレーム情報の社内共有を徹底し、再発防止対策を行います。新聞社では過去に発した記事が正確であったか、現実と照らし合わせればわかるはず。誤報が見つかったなら、どうして間違えたか原因を調べ、問題点を社内で共有しないと、同じことを繰り返す。日経はこのような検証システムがないのか、誤報が多すぎるように思う。
日経ばかりでなく時事も先日、菅官房長官から「もっと勉強しなさい」と女性記者が叱られていた。こんな記者の発する情報が地方新聞に載るかと思えば恐ろしいものです。どれだけ間違えたことを伝えても、ほとんど検証されることもなく、放置されるのが新聞社の実態と言えます。
製造企業でクレームや事故を放置したならすぐに倒産してしまうが、新聞社では誤報が放置されてもなかなか倒産しない。新聞社内で検証システムがなく、社会も誤報に寛容なのがこの状態を作り出している。
その代わりに、このコラムのようにネットが新聞社の検証システムになれると私は期待しています。
すみません、本題と関連の薄いことを述べてしまいました。
AIIBは習近平の国内向けのアドバルーンです。ADBが本当の投資銀行に対し、AIIBは町金にすぎません。投資案件のリスクを鑑みながら、投資判断を決めるノウハウがADBにはある。投資判断などお構いなしに高利で貸し付け、貧乏国から資源をむしり取るのがAIIBです。
スリランカの港湾施設造成を中国が援助したが、利息を払うことが出来ず、ほぼ無原則で中国側に使用されているとインドが非難している。これと同じことがAIIBの形で行われ、高利貸の悪徳商法が世界に認知され、いずれは消えてしまうでしょう。しかし習近平はそんなことお構いなしです。国内でAIIBを成立させた実績をアピールし、実権を強固に出来さえすれば目的は達成される。習近平は秋の党大会さえ乗り切れればよいと考えているでしょう。
2年も経つのに、AIIBの融資は未承認も含めて、たったの45億ドル!単独の承認案件が3件!完全に中国の国際金融政策はドツボに嵌りましたね。ADBや世銀の上に行きたいのに、日米が悪だくみにのらなかった。失礼ながら欧州、アフリカ、南米は中国とは遠隔地で直接の利害関係が薄いし、「用中」の狙いもある。それは理解できても隣の敵性国、南鮮が、なけなしの金800億ドル(不確実ですが)も融資するとか。どこまでも金魚のフンですね。米国がAIIBに手のひら返しで出資する可能性は、私も低いと思います。もし米国がAIIB入りし、あと締め出されたら、これもこれでヨシ。完全に日本中心、アジア中心のインフラ融資機関になれます。文大統領は「北南が線路で繋がれば」とか親北親中で日米を軽んじているが、近いうちにブーメランが来そうです。こりゃ任期持ちませんな(笑)。
ネットで今知ったのですが、ムーディーズが AIIB に対して Aaaa を付与したそうです。時事通信が
嬉しそうに伝えています。 しかしムーディーズは今年の5月にシナの国債を A1 に下げたばかりです。
所詮格付け会社などリーマンショックのときを思い出せば、当てに出来るものではないのですが、
これで又朝日を始めマスゴミは早く参加をしないと遅れると騒ぐのでしょうね ,,
unagimo3 様
貴重な情報を賜り、大変ありがとうございます。
今回のニュースのインパクトは結構深刻です。詳しい議論は先ほど上梓した『【速報】AIIBが最高格付取得の意味』に記載のとおり、日本の銀行等金融機関がAIIB債を大量に買ってしまうという可能性ですが、これについてはさらに後日、稿を分けて議論したいと考えております。
引き続きのご愛読、何卒よろしくお願い申し上げます。