米FRBが9中銀との為替スワップを来年3月まで延長

本日の「速報」です。米国の中央銀行に相当する連邦準備制度理事会(FRB)は現地時間の29日、外国の中央銀行・通貨当局(FIMA)に対する2つの資金供給手段を来年3月31日まで延長すると発表しました。

該当するFRBのリンク

該当するプレスリリースのリンクは次のとおりです。

Federal Reserve Board announces the extensions of its temporary U.S. dollar liquidity swap lines and the temporary repurchase agreement facility for foreign and international monetary authorities (FIMA repo facility) through March 31, 2021

―――米国夏時間2020/07/29(水) 14:00付=日本時間2020/07/30(木) 03:00付 FRBウェブサイトより

今回延長するのは、次の2つのファシリティです。

  • 3月19日付で世界9ヵ国の中央銀行・通貨当局(FIMA)と締結した為替スワップ
  • 3月31日付で全世界のFIMAを対象に創設したFIMAレポファシリティ

このうち、FIMAレポの利用実績に関するデータはニューヨーク連銀ウェブサイトなどで見つけることはできませんが、いちおう、その概要については『FIMAレポは「為替スワップと並ぶ安全弁」なのか?』あたりで説明したとおりです。

為替スワップの状況

その一方で米ドル建て為替スワップについては、『「発売記念」あらためてスワップについてまとめてみる』などでも言及したとおり、金融市場にドル資金が足りなくなった際に、為替スワップ締結相手国のFIMAは自国通貨を担保に金融市場にドル資金を供給することができる、非常にパワフルなツールです。

今回のFRBのアナウンスメントにより、米FRBは世界14のFIMAと結んでいる為替スワップの状況をまとめておきましょう(図表1)。

米FRBとのFIMA為替スワップ
FIMA上限期限
日本、英国、欧州、スイス、カナダ上限なし期限なし(常設)
豪州、ブラジル、韓国、メキシコ、シンガポール、スウェーデン上限600億ドル2021年3月末まで
デンマーク、ノルウェー、ニュージーランド上限300億ドル2021年3月末まで

(【出所】)

そして、今回のコロナショックにより、金融市場におけるドル不足が発生したためか、この為替スワップについては韓国銀行を筆頭とする各FIMAが積極活用し、9つのFIMAに限定しても、借入残高が最も多かった5月中旬ごろには、トータルで500億ドル近い金額が引き出されていました(図表)。

図表 9つのFIMAによる為替スワップの引出残高

 

(【出所】ニューヨーク連銀の “Central Bank Liquidity Swap Operations” のページにあるエクセルファイル “U.S. Dollar Liquidity Swap – Operation Results” を参考に著者作成。なお、ブラジル銀行、スウェーデンリクスバンク、NZ準備銀行は引出残高なし)

為替スワップを延長した「狙い」

もっとも、この借入残高は徐々に減って来ており、NY連銀ウェブサイトに公表されている最新データ(7月23日)では、トータルで100億ドル少々に過ぎません。

当ウェブサイトとしては「事実上、FIMA為替スワップの役割は終わったのではないか」と申し上げて来たのですが、FRBはなぜ、このスワップファシリティの延長を発表したのでしょうか。

FRBの金融政策を決定する会合・FOMCのプレス・リリースを見てみると、狙いが明記されています。

Federal Reserve issues FOMC statement

The Federal Reserve is committed to using its full range of tools to support the U.S. economy in this challenging time, thereby promoting its maximum employment and price stability goals.<<…続きを読む>>
―――米国夏時間2020/07/29(水) 14:00付=日本時間2020/07/30(木) 03:00付 FRBウェブサイトより(※下線は引用者による加工)

要するに、米FRBとしては、この為替スワップは米国経済を下支えするツールのひとつである、と認識しているわけですね(このあたり、当ウェブサイトの『日米為替スワップは「日本が米国を助ける手段」なのか』で指摘した内容とも重なっている点でもありますが…)。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

もちろん、この流動性供給スワップは、基本的には通貨スワップではなく為替スワップですので(※ニューヨーク連銀ウェブサイトのURLも末尾が “fxswap” となっています)、一般的な通貨スワップとは異なり、通貨当局自身がドルを借り入れるというタイプの協定ではありません。

ただし、一般にひとつの国が資金不足で破綻の危機に瀕する際は、たいていの場合、金融機関から外貨がなくなってしまうという現象が生じますので、この為替スワップは、こうした金融機関の外貨資金不足に対処するうえでは非常にパワフルなツールでもあります。

おそらくFRBとしては、現時点においてこれを終了させるのではなく、半年ごとにこれを延長するかどうかを判断する、ということなのでしょう。

読者コメント一覧

  1. 愛知県東部在住 より:

    この為替スワップの融資枠が600億ドルとなっているのは韓国・豪・ブラジル・メキシコ・シンガポール・スエーデンの6ヶ国なのですが、面白いことに韓国は米国債保有残高が約1170億ドルあるにもかかわらず、その半分ぐらいしか融資枠がないのです。

    翻って豪やメキシコなどはそれぞれ400億ドル・470億ドルと、保有残高以上の融資枠を得ています。
    これはいったい何を意味するのか、もちろん米国との貿易金額やプライオリティの順位なども考慮されるのでしょうが、それにしても米国債保有残価の約半分の枠しか無いというのは、日本の市中銀行でもちょっとあり得ないような冷淡さではないかとも思えます。

    このあたりに米国の韓国に対する本音が透けて見えるようで面白いと感じた次第です。

  2. だんな より:

    結果的にアメリカは、韓国の経済崩壊を助けてますよね。

  3. よし より:

    国も民間も借金漬け。
    税収入も所得も右肩上がりで増えたから
    それが永遠に続くと思っている下朝鮮。

  4. チャクナボジ より:

    初めて投稿させていただきます。
    スワップ延長、それで最近の韓国株の上昇の訳が解りました。
    アメリカはとことん韓国から搾り取るつもりですね(笑)。中国もアメリカも強欲さは良い勝負かな(笑)?

  5. 匿名 より:

    これで韓国の気が大きくなってさらに反日に邁進してくれることを願います

  6. イーシャ より:

    表向きは “using its full range of tools to support the U.S. economy” となっていますが、米中関係緊張に伴う将来の流動性不足をも視野に入れているのではないでしょうか ?
    韓国に対しては、どっちに文殴られるのがいいか、ゆっくり考えろということでしょう。最後は両方からオラオラかな ?

    1. めがねのおやじ より:

      イーシャ様

      笑笑!さすが〜上手いッ!『どっちに文殴られるのがいいか』(笑)。「ブン殴られる」より、気持ちがこもってます、両方からフクロにされるのを期待です。「オラオラ〜」ですネ。

    2. りょうちん より:

      >最後は両方からオラオラかな ?

      いやいやこれくらいは・・・。

      https://www.nicovideo.jp/watch/sm24088719

      無駄無駄だともっと長いのがあります。

  7. G より:

    もう新規のドル融資の入札は行っていないのでセイフティネットでしかないですね。
    残高ももうそろそろゼロになります。

  8. カズ より:

    今回の為替スワップは銀行が自行預かりの定期預金を担保に企業に運転資金を貸し付けるような行為。
    実態は諸国経済の救済ではなく、自国企業のキャッシュフローを確保するための措置なのでしょうね。

    「安易な黒字倒産は許さない!」との米国側の意志の強さを感じます。有無を言わさぬ延長なのでは?

  9. 愛読者 より:

    もう少し直近のデータで考えてみたいと思います。
    ます,アメリカの4~6月期のGDPの成長率は年率換算で-35%でした。これは,5~6月の日本からアメリカへの輸出が半減しているので,その程度の数字だと予想していました。7~10月期もほぼ同程度で推移すると思います。アメリカの株式市場にドルをつぎこんで株価を支えているのはトランプ氏の意向が大きいと思います。しかし実体経済を無視しているので,長続きはしないはずです。(日本のここ1.5ケ月の日経平均の官制市場も遠からず限界が来ると思います)
    スワップは海外初の事象でアメリカの金融危機が起きることの予防でしょう。でも,不良債権の増加がすごいので1~2年オーダーでは金融危機の可能性は非常に高いです。
    南沙諸島,コロナ第2波(日本とEU)など懸念材料だらけです。韓国や北朝鮮ネタで盛り上がれていた時代は平和でしたが,もうすぐ,そんなのびりした話題で暇つぶしできる時代ではなくなるかもしれません。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。なお、コメントに際しては当ウェブサイトのポリシーのページなどの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。