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【読者投稿】それでも日本では感染爆発は起きていない

当ウェブサイトでは武漢コロナウィルスSARS-CoV-2蔓延を巡り、「その道の専門家」の皆さまから、非常に冷静で秀逸な論考の数々をご投稿いただいて来ました。こうしたなか、4週間ほど前に『武漢肺炎、なぜ日本で感染爆発』と題する論考を寄稿して下さった、「伊江太」様というハンドルネームの読者様から、今回、再び優れた論考をご投稿いただきました。本稿では伊江太様からいただいたメッセージとともに、それらについて掲載したいと思います。

2020/04/20 22:22追記

末尾の著者一覧に誤りがありました。イーシャ様、ご指摘ありがとうございました。

読者投稿

読者投稿要領等

昨年の『お知らせ:読者投稿を常設化します』でもお知らせしたとおり、当ウェブサイトでは読者投稿を歓迎しております。投稿要領や過去の読者投稿一覧につきましては『読者投稿要領と過去の読者投稿一覧(コロナ騒動等)』にまとめておりますので、ぜひ、ご参照ください。

さて、大変ありがたいことに、当ウェブサイトでは武漢コロナウィルスSARS-CoV-2の蔓延に関連し、専門家の方々からこれまでさまざまな読者投稿を頂いて来ました(過去投稿の一覧につきましては、本稿末尾に示しておきますので、是非、ご参照ください)。

なかでもこの「武漢肺炎」シリーズで、「なぜ日本では感染爆発していないのか」と題した論考を寄稿して下さったのが、元微生物関係研究室勤務者でもある、「伊江太」様というハンドルネームの読者様です。

【読者投稿】武漢肺炎、なぜ日本で感染爆発しないのか(2020/03/23 11:15付 当ウェブサイトより)

そんな伊江太様から、読者投稿とともに、メッセージを頂きました。

このメッセージ自体、が非常に示唆に富んでいるため、伊江太様の個人情報などを含んでいないことから、少し長いのですが、本稿ではあえてこの部分から紹介したいと思います(伊江太様、勝手に私信を開示してしまい、申し訳ありません)。

伊江太様からのメッセージ

4週間前、拙文『武漢肺炎、なぜ日本で感染爆発しないのか』を掲載いただいた伊江太です。

そこで論じたように、この疾患の日本での流行が落ち着いた様相で推移していれば、もうあれ以上ものをいう必要はないと思っていたのですが、皮肉なことに掲載直後から急激な感染数の増加が生じました。それで改めて、わたしが考えているこの国の武漢肺炎の流行像について、一文をしたためました。

本文中で述べているように、わたしはこの感染拡大がそれまで隠れていた市中のウイルス散布者によって引き起こされたものとは考えません。欧米での急速な感染拡大、これに追われるように帰国した人達、およびそれによって持ち込まれたウイルスが周囲に感染したものであり、その急激な感染増加は、これまで日本での感染爆発を抑えてきたメカニズムによって、徐々にではあるものの、すでに目に見える形で収縮する方向に向かっているというのが、わたしの判断です。

このような見方が当を得たものであるかどうか、検証できるまでにはまだ1ヵ月程度は必要であるとわたし自身思っております。しかし、どうも座視することのできない危急の問題が生じてきているように思います。

厚労省専門家会議の一委員が、放置すれば重症感染者85万、死者40万人以上などという、わたしからみれば途方もない数値を挙げて危機感を煽り、マスコミは挙げて無批判にこの話を垂れ流す。さらには自らの政治的存在感を示したいのか、国の政策に圧力を加えて、国民の自覚的抑制と言いつつ実質的都市ロックダウンを促す、小池東京都知事にような動きも見られます。国民の側からの検証もないまま、このような状況が進行していけば、この社会、経済に長期的に回復できない深刻な被害が発生する恐れなしとはしないと思えます。

もとより個人的な意見であり、いくらサイト主さんの意見とは異なるものであっても、自由闊達な議論のためにオープンな意見表明の場を用意するという立場をとられているとはいえ、世の風潮に逆らうこのような意見を掲載されれば、それなりのリスクが生じかねないことは承知しております。ご一読の上、それでも読者投稿欄への採択をお許しいただければ幸甚に存じます。

…。

非常に危機感に満ちた、しかし、非常に力強いメッセージでもあります。

そこで、本稿では伊江太様からの投稿を画像付きで、基本的には原文に沿って掲載させていただきたいと思います(ここから先が、伊江太様からの投稿本文です。ただし、大意を変えない範囲で適宜、日本語表現を変更している箇所や、小見出しなどを追加している箇所などがあります)。

日本では感染爆発は起きていない

それでも「わたし」が日本では感染爆発は起きないと言う理由

3月も残り少しとなった頃から国内の武漢肺炎患者の数が急増し始めました。これに伴い、「都市封鎖といった強力な感染防止策を執るべきだ」、といった議論が、勢いを得ています。

この「都市封鎖」、もともとは中国が1月から開始したものですが、いまやアメリカ、ヨーロッパの国々も追随している、一種の強力な感染防止策でもありますが、それと同時に社会の活力を大幅に減衰させるものでもあります。

それを実施したとき日々の生活に何が起きるか、皆様とうにご承知のことと思いますが、そういう状況下に実際に暮らす方の比較的冷静なレポートを見つけましたので、引用しておきます。

新型コロナ「ロックダウン」(都市封鎖)が起こるとどうなる?ドイツ首都ベルリンの現状から

新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、いわゆるロックダウン(都市封鎖※注)が日本でも行われるのではないかと、話題になっています。実際にロックダウンが行われると、どのような生活になるのか、不安の声も聞かれます。<<…続きを読む>>
―――2020/04/01 08:15付 Yahoo!ニュースより(※注:著者によると「『ロックダウン(都市封鎖)』という言葉には厳密な定義はないが、外出禁止など、対象とするエリアの人の移動を制限したり企業活動を禁じることを指す」との注記あり)

サラッと書かれていますが、これを1ヵ月、あるいはひょっとしたらそれ以上も長く続けたら、社会に何が起きるのでしょうか?

もちろん命を守るためには、必要ならやるしかないでしょう。でも本当は必要のない措置であったなら?

こんな大問題を市井の一個人に過ぎない私のような者が論じるのは、僭越極まりないのは確かです。しかし、それなら誰にその資格があるのでしょう。

安倍首相にしても、加藤厚労相にしても、さらには厚労省が招集した専門会議の方々にしても、予言者ではありません。私たち日本人の一人一人が真剣に考え、そして結論を出さなければいけない問題だと思います。

4週間前に、幸いにしてこのサイトでの掲載をお許し頂いた『武漢肺炎、なぜ日本で感染爆発しないのか』と題した拙稿。もうあれで止めておくつもりでした。しかしどうも状況が急変したようです。またも公開されている数値データだけでものを言おうというムシのいい話です。

前回は皆さまご興味をお持ちのはずで、多分不思議にも思っておられると考える、「いつまで経っても日本で感染爆発が起きないのはなぜか」という、そういう見方もあるかもね、で済まして頂けそうなものでしたが、今度のはかなり毒があります。

おかしいと思われたら遠慮なく叩いてください。反論できればいたしますが、安楽椅子探偵を気取っていたのが、あえなく床に転げ落ちることになるかも知れません。そのときはもって瞑すべし、潔く白旗を掲げるつもりです。

北海道の事例

私事ですが、札幌と名古屋にときどきメールをやりとりする友人がいます。最近ではやはり武漢肺炎の話題になりますが、つい先日まで北海道は全都道府県中最大の感染発生地、名古屋市も国内発生数の10分の1くらいを占めていた流行地でした。

友人にはあの数がドンドン増えているのは不気味だろうが、身の周りからウイルスをばらまく可能性のある人間を隔離して除いていった数と考えれば、見方も変わるだろうと話しています。それで、この2つの地域の感染発生の様子から始めたいと思います。

図表1は北海道放送のHPの新型コロナウイルス道内情報から採ったものです。

図表1 道内の検査人数、陽性累計、死亡累計(1月28日~3月25日)

(【新宿会計士注】著作権関係が確認できなかったので、当ウェブサイトでは北海道庁のウェブサイト『北海道 新型コロナウイルス感染者情報のグラフ』から取得しており、グラフに収録されている期間と本文で言及されている期間にズレがあります。また、図中、検査陽性者発生の波を示すⅠ~Vのローマ数字は投稿者記入を参考に新宿会計士が記入しています)

グラフに示されている期間中、北海道では4回の感染の増減があったことがわかります。1月28日にぽつんと1例、離れて発生しているのは中国人観光客の女性、以後は日本国籍の感染者のようです。

PCR陽性症例報告数の第Ⅰ波はさっぽろ雪まつり(1月31日~2月11日)関連とみていいでしょう、以後の波は順繰りに第2次、第3次の感染が繰り返されることで形成された塊み見なせると思います。

なかでも第Ⅱ波が最大で、ピークとなった2月26日には15人のPCR陽性者が見いだされ、2月28日にイベント、週末外出の自粛要請と休校措置を中心とした道知事の緊急事態宣言が出されるに至りました。

また3月4日から政府の要請による同様の措置が始まっていますが、このグラフはその効果を見る上でも興味深いものです。第Ⅰ波と第Ⅱ波、第Ⅱ波と第Ⅲ波の間の谷にはこれらの措置はかかわっていないはずです。

それでも感染の増加がその都度一旦は収束するかに見える理由は、先の投稿で提示した、集団内の感染の増加が、発症者の発見とその結果あぶり出された濃厚接触者の隔離・入院によってキャンセルされているとするモデルで、よく説明できると考えます。

感染増加のフェーズと隔離・入院のフェーズはウイルスの潜伏期を考慮すれば位相がずれるはずですから、増減の波として現われるのも当然といえるでしょう(この点は後でもう一度議論します)。

しかし、発症のサイクルが継続するなら観察されるはずの第Ⅴ波が現れなかったのは、緊急事態宣言発出の効果と言えると思います。

名古屋の事例

名古屋市のケースを見てみましょう。図表2は市のホームページに掲載されているものです。

図表2 新型コロナウイルス検査陽性件数(日ごと)

(【出所】名古屋市ウェブサイト『市内の新型コロナウイルス発生状況』より投稿者作成。伊江太コメント:3月末~4月上旬の増加が東京、関西圏に比べて小規模だったのは、中部国際空港の路線がアジア、オセアニアが中心で、米、欧米便が少ないことが理由と考える。)

こちらも増減の波らしきものは観察できるのですが、北海道のものほど分離は明確ではありません。名古屋では市内のデイサービス施設とスポーツジム発の2つの大きな感染クラスターが見つかっており、それらが重なったせいだと思われます。

時間軸を合わせて北海道のグラフと比較してみると、北海道で現われなかった第Ⅴ波相当の波がここでは出現しているが、そのあとのものは出ていません(4月の波については次項以下で)。活動自粛や休校の効果があるとしても、その現われ方には地域差があるようにもみえます。

ともかく、この二つの自治体の事例は、感染源との接触の機会を自粛要請くらいの緩めの措置ででも制限すれば、効果はあることを示しているのではないでしょうか。休校措置の方は、効果が出るとしたら両方で同じでなければおかしいでしょうから、やや疑問かも知れません。

大阪府と兵庫県の事例

行動自粛や休校措置より一段強い、隣県との間の「移動制限」にまで踏み込んだ内容で注目された、大阪府知事の記者会見を記憶されている方は多いと思います。図表3は大阪府、兵庫県がそれぞれ発表している毎日のPCR検査陽性症例の推移を積み重ね棒グラフで示したものです。

図表3 新規PCR陽性症例の推移・大阪府と兵庫県の合算

(【出所】大阪府『新型コロナウイルスに関連した患者の発生等について』、兵庫県『新型コロナウイルスに感染した患者の発生状況』に基づいて投稿者作成。休日の検査数減少の影響で7日ごと(矢印:月曜日)に極端に値が少ない日が出現する点に注意)

3月初めから14日までの2週間、両府県合わせての感染状況は一貫して増えていたことがわかります。

これを見れば自治体の長として、危機意識を持つのは当然でしょうし、大阪府知事にとくにその感が強く、通勤の足まで止めることは出来なくとも、3月20日から22日の3連休の期間くらいは両地域間の往来を控えましょうと呼びかけたことは理解できないではありません。

しかし、新聞報道によれば、この知事の判断にはどうも見逃せないミスリードがあったようなのです。

大阪知事「事態を重く受け止めた」、兵庫知事「大阪はいつも大げさ」…往来自粛

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、吉村洋文・大阪府知事と井戸敏三・兵庫県知事が19日に打ち出した大阪―兵庫間の往来自粛。決断の背景には、最悪の場合、2週間後には両府県の感染者が3300人に達するとの「試算」があった。<<…続きを読む>>
―――2020/03/20 10:48付 読売新聞オンラインより

これは非公開の試算のようですが、国が派遣した専門家は

大阪、兵庫両府県では19日までの1週間で感染者が約80人増加。試算では、このまま放置すれば今後の1週間で最悪の場合、感染者が586人に増え、さらに1週間後には3374人に達する

と知事に説明したようです。

図表3からは「80人増加!」の意味がくみ取れないと思いますので、ここで、図表3を書き換えた図表4をお示しします。

図表4 厚労省専門家会議が「最悪ケース」として示したとされる予測値

(【出所】投稿者作成。データソースは図表3と同じだが、縦軸の値が過去からの累積数になっている。3月末以来の感染者急増が一段落した後も、マスコミを通じて感染爆発の危険を喧伝し続けている識者のほとんどが、こちらの表示方法をもとに議論している点に留意いただきたい。)

図表3との違いは、縦軸が日々新たに見つけ出された感染者数ではなく、過去からの累積数になっている点です。これなら増えることはあっても減ることはありません。

ちなみに厚生労働省が毎日更新している国内の感染者数(PCR陽性症例数)についても、形式は累積数表示になっています(いちおう、前日比も併記されてはいますが…)。

実際がどうであったかはグラフにご覧いただけるとおり、「大阪はいつも大げさ」と言った兵庫県知事の現実感覚の方が正しかったことになりそうです。

ただし、今回については、責めは吉村府知事ではなく、国が派遣した専門家の方が負うべきでしょう。どうも国の専門家会議は、この疾患の流行は日本でも初期には指数関数的(ねずみ算式)なものになるはず(べき)だという牢固たる信念を持っているとしか思えません。

意地の悪い見方ですが、実際の流行が一向にそういう姿を見せない中、鬱々としていたところに、そうなるかもという例を大阪、兵庫に一時的に現われた感染者増加を見つけて、息せき切って駆けつけてきたなんて言ったら、言い過ぎでしょうか。

それについては後出しじゃんけん的な批判になっているかも知れません。しかしもし本気で感染爆発を心配しているなら、それを防ぐのに連休中の行楽を控えましょう程度のアドバイスで済ませた、そのセンスをこそ問題にすべきだと思います。

3月27日以降の感染者の急増については、次の東京の事例の項に譲ります。

東京の事例(プチ感染爆発?)

今般の武漢肺炎について、もっともホットな話題は東京都で急激に増加した感染数でしょう。

都のホームページに掲載されているグラフ(図表5)で見ても、これがいかに突発的なものであったかがわかります。

図表5 東京都新規PCR陽性者数

(【出所】東京都『陽性患者数』より投稿者作成。伊江太コメント:保健所を経由しないPCR検査の結果が1週間遅れで加わるようになって、東京での発生動向が掴みにくくなっているが、4月11日以降の感染拡大は頭打ち、ないし収縮に向かっていると判断する。少なくとも指数関数的増加がないのは確実である)

そのかなりの部分は、都下の4つの大型病院に由来する巨大感染クラスターのもので、こういう事態が生じるのは決して予期されていなかったものではないのですが、やはり疾患流行の際の病院発の感染拡大の怖さというのが実感されます。

しかし、巨大な人口を抱えながら奇跡とも言うべき感染数の少なさを保ってきた東京で、いきなりその増加が来たのにはまたそれなりの理由があるはずであり、羽田・成田という国際空港の存在を考えれば、欧州、米国で感染爆発に理由を求めるのが自然でしょう。

欧米での感染者の激増を横目に入国規制を行う3月末まで、空港検疫だけの対応に留めた結果、多量のウイルスが東京に流れ込んだということだと考えられます。

とくに、3月23~25日に起きたアメリカからの入国規制を嫌った駆け込み帰国の影響は、新規PCR陽性者数が4月8日以後、一段と増えたパターンに対応していると思います。

ウイルスの出所が海外であるなら、既知の国内の感染クラスターとつながりがない、いわゆる市中感染が多数を占めるのは当然のことといえるでしょう。

ともあれ、これまで国内では観察されてこなかった巨大な感染塊の発生はようやく峠を越し、この後指数関数的増加は起こっていないように見えます。留意して頂きたいのは、時間的に見て今般の政府緊急事態宣言の効果は、直近の感染拡大の停止には関係していないはずだということです。

前の投稿で、

日本における新規感染者数が一定の値に収っている状態は、外部からのウイルス流入の増加によって破られる可能性はある

と、一応の逃げは打っておいたものの、この東京の感染報告数の急増を見て、しくじったと思わなかったと言えば嘘になります。とりあえずのピークアウトないしは頭打ちを見届けた上でなければ、この続編もお目に掛ける気にはなれなかったでしょう。

後出しじゃんけんだという自分への批判はここでも認めなきゃいけませんが、敢えて言うなら、今回の流行の波がひとまず鎮静化した事実は、流行の拡大を抑えている日本の防疫システムにまだかなりの潜在的余力があるはずだという、前回投稿中に記した推定の傍証になっており、極めてシビアであったストレステストに満身創痍となりながらも一応は耐えたことになっていると思います。

これまでの他自治体の事例で見たように、ある程度の規模の次の波が来ることはおそらく確実だとは思います。しかしそれはこれほど大きくなることなく収束するでしょう。海外からのウイルス流入という蛇口は、とりあえずは閉めたのですから。

市中感染の増加はなにを意味するのか

ウイルスの出所が知れないいわゆる「市中感染」が増加すれば、感染拡大が避けられないフェーズに入ったと考えなければいけないという、一見もっともらしい学説が以前から言われています。

ちょっと待ってください。

発症者が出たらその濃厚接触者を探す、保健所によっておこなわれるこのプロセスは、犯罪捜査のような徹底したものじゃありません。そこから漏れるのが一定数あるのは当たり前でしょう。その人が発症すればその時点で「市中感染例」として把握されるだけ、それがこれまでの姿だったはずです。

しかし、今回東京や大阪で観察されている「市中感染」割合の大幅な増加は、そんなものではないと「わたし」は見ます。

これは気づかれないうちに市中で拡がっていた感染を背景にしたものではなく、海外から入ってきた、つまり既知の国内の感染クラスターとはつながりがあろうはずのない感染、それが今回の感染増大の大きな部分であるとしか考えられないと思うのです

そうすると、あの「夜の街」云々の話も、また別の見方ができるのではないでしょうか。

つまり、そこで働く彼女(?)たちは、ウイルスの増幅者の役割を果たしてきたのではなく、欧米の武漢肺炎の流行に追われて安全な日本に逃げ帰れてほっとした開放感から、夜の街に繰り込んだ帰国者達の置き土産の犠牲者、そんな見方も可能ではと思うのです。

でなければ、多くの帰国者にとって単なる通過地である東京、大阪でだけ、これほど大量の「夜の街」の感染がいきなり発生するのは不可解です。少なくとも「夜の街」のウイルス汚染の影響が本当に出てくるとすれば、それはまだこれからのはずです。

わたしの考える日本の流行像・その楽観面と暗黒面

図表6がわたしの考える日本での武漢肺炎の流行の模式図で、このパターンが崩れない限り感染爆発は起こらないとする理由です。

図表6 武漢肺炎の流行の模式図

(【出所】投稿者作成)

これを文章にすると、つぎのとおりです。

  • ウイルス感染者の一部は潜伏期(5~14日)の後発症者として発見され、その濃厚接触者とともにPCR陽性症例の報告数を増加させる。
  • それは同時に集団からのウイルス感染者の排除に繋がり、感染者数は一時減少に向かうが、発見を免れた感染者から散布されたウイルスが再び集団中の感染数を増加させ始める。

文章にすると面倒ですが、図を見ていただけると直感的にニュアンスは伝わるかと思います。

北海道の例で見たように一定の地域で観察すると周期性が確認できますが、全国でバラバラにそれが繰り返されている感染の増減を総合すると、前回の投稿で言ったようなほぼ一定のペースで新規PCR陽性数が報告されるということになるだろうと推定するわけです。

こういう流行像が実現するためには、

  • ①ウイルスの集団中での伝播速度が十分に低い
  • ②集団の成員の医療へのアクセスが十分で発症は直ちに発見される
  • ③医師、保健師、検査技師など防疫システムにかかわる要員の質的量的能力が十分に高い

という3要件が必須で、これを満たせるのは多分日本くらいだろうというのも、前回論じたとおりです。

この流行の抑制効果が今でも生きているなら当面大丈夫と言えるかとなると、そうはいかないでしょう。図表6は、発見された感染者をとりあえず医療セクターに移し、ウイルス散布者として市中に残さないことを意味するに過ぎません。いわば問題の棚上げないし先送りです。

感染症指定病院への移入速度が治療によって退院する速度を大きく上回っている現状では、患者は溜まる一方になっています。すでに大都市圏では患者数は収容能力を上回る状況になっていると聞きます。

さすがに軽症患者をホテル等の隔離施設に移すといった措置が執られることになりましたが、予測されるその効能については、わたしなんかがどうこう言うより、もっとふさわしい知識をお持ちの方々がこのサイトのコメンテーターの中に大勢いらっしゃるでしょう。

さらに問題になると思われるのが、すでに欧米で深刻になりつつある医療従事者への感染です。

武漢肺炎の治療の最前線で精力的にはたらいている人ほどそのリスクが高く、感染によって生じる損失がそれだけ大きいわけですから、それを防ぐ対策が現在もっとも緊急度が高い課題のはずです。また感染者と医療機関をつなぐ保健所職員の負担も限界に近づいています。

感染爆発のような事態が来なければ、だらだら先延ばししても大丈夫とは言えないのです。今求められるのは、まだ余裕のある地方から東京への医師、保健所要員の短期集中的な応援派遣ではないでしょうか。

厚労省専門家会議に言いたいこと

専門家会議は武漢肺炎の流行パターンは感染症論の基本通り、初期には指数関数的な拡大になると決めてかかっているようです。先日の東京都知事の緊急会見の際にチラッと出てきた今後を予測した数値を見てもこれは間違いないでしょう。

わたしが正しくって専門家会議の方が間違っているなんて不遜なことは申しません。

指数関数的拡大にしたところで、y = ae^kt(y:感染者数、t:時間、e:自然対数の底、a, kは係数)の式でkを極度に0に近い値に設定すれば、なかなか感染爆発にならないように(つまり先頃までの日本の状況に合うように)形の上でもっていくことは出来ます。

まあ嫌みを言わして頂ければ、大阪や東京の時のように、直近に報告数の急増があれば、それに合わせて係数をいじっているらしいのが透けて見えるところなんですが。

わたしがもっと問題だと思っているのが、図表7で表されている専門家会議の感染爆発防止策です。

図表7 「接触を避けることによる流行拡大抑止効果」

(【出所】厚生労働省『新型コロナウイルス感染症対策専門家会議』)

赤色の線が市中で発生している目に見えない感染数、青色の線がその結果遅れて観察される発症者の数です。

点線は感染拡大の抑止策を講じた場合の予測値です。放っておけば歯止めがかからない状況になるから、途中で介入をおこなって大事にならないうちに収束させるという、まあなんとなく納得させられるようなはなしではあるんですが、さて、急激に立ち上がった感染拡大をあるポイントで一気に逆転させるって一体どういう措置なんでしょう。

わたしには、これを実現するにはテレワークの推進、不要不急の外出自粛なんて生やさしいものじゃない、強制力を伴った全住民の終日外出禁止くらいしか思いつきません。首尾良く感染が下火になるほどに、抑制措置も段階的に緩めていくようなニュアンスの曲線になってはいます。

しかし、効果が見えてくるのは対策を始めて2週間近くも経った後、それまで発症者数は増え続けなきゃいけません。発症者の増加が止まったのに気づいても、身の周りに患者が大幅に増えた状況で、もうそろそろ対策を緩めようなんて意見が通るでしょうか。

「わたし」の現状認識に立つならば、今の日本でそこまで強力な措置を執るのは、良性腫瘍の患者に、もっとも強い、それだけ副作用も大きい抗がん剤を処方するようなものだと思えます。

不可解なのは、どう考えても今次の感染急増の大きな原因であるはずの欧米からの帰国者によるウイルス持ち込みについて、政府も専門家会議もほとんど触れない点です。

入国規制が遅れたとの非難を恐れているとするなら、それは責める方が間違っています。この感染症は拡大に気づいた時点で「当たり前の国」なら、すでに対策が手遅れの段階に至っているのですから。

やれコロナ疲れだ、三連休で浮かれ歩いただ、夜の街だなどと、ここまで感染爆発を不断の努力で抑えこんできた国民に、あたかも愚か者であるかのごとき物言いで責任転嫁を図るのは、お門違いだと「わたし」には思えます。

本文を人目にさらすのは時期尚早であるのは百も承知です。自分自身でさえここで論じた事柄の当否について自信をもって言えるようになるには、なお1ヵ月程度の観察は必要だと思っています。

それでも、政府に緊急事態宣言の自粛要請を超えたさらに強硬な措置を求める声がある中、一国民としての立場で言うだけのことは言っても罰は当たるまいと考え、この文をしたためた次第です。<了>

読後感

…。

以上が、伊江太様からの投稿です。

本文中で伊江太様が何度も言及されているとおり、これはあくまでも現時点における伊江太様の考察に基づく論考であり、今後、この論考と矛盾する事象が発生するという可能性があることには、十分な注意が必要である、という点については、伊江太様のおっしゃるとおりでしょう。

しかし、あくまでも「科学的なアプローチに基づく観察と考察」をベースにした議論であれば、その考察が結果として誤っているかどうかは問題ではありません。現在進行形の事象については、さまざまな仮説なり、考察なりが提示され、それらのすべてが正しいわけではないことは当たり前だからです。

むしろ、私たち一般国民が必要なのは、「判断するための材料」であり、「唯一絶対の正解」ではありません。

というよりも、普段から当ウェブサイトで展開しているさまざまな議論についても、

現時点では(A)は発生しない可能性が高いと考えられる

と主張しておきながら、結果的には(A)が発生してしまった、という事例など、いくらでもあります。

たとえば、当ウェブサイトでは3月18日ごろまで、「米国が韓国などと為替スワップを結ぶことは考え辛い」などと主張していましたが、実際には『速報:米FRBが9つの中央銀行と為替スワップを締結』で報告したとおり、米FRBは3月19日に韓国と為替スワップを締結すると発表しました。

したがって、当ウェブサイト的には「知的好奇心を刺激するような仮説」であれば大歓迎ですし、伊江太様の今回の論考でも、「根拠なしに断定している」と思しき箇所はいっさいありません。

いずれにせよ、伊江太様には今回もすばらしい論考を寄稿して下さったことに感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

【参考】コロナ関連読者投稿

コロナに関連する過去の読者投稿の一覧を掲載しておきます。

これらの執筆者は、次のとおりです。

  • ①、②、⑥、⑪は現役医師の「りょうちん」様
  • ③、④、⑧、⑩は理系研究者の「ケロお」様
  • ⑤、⑭は工学研究者の「イーシャ」様
  • ⑨は現役医師の「とある福岡市民」様
  • ⑫、⑮は元微生物関係研究室勤務者の「伊江太」様
  • ⑦、⑬は大人気『在韓日本人が見た』シリーズでも知られる「韓国在住日本人」様

これらの投稿はおしなべて冷静であり、「これを1月~3月の時点で主張していたのか」と感動するような論考も多く、現在読み返してみてもきわめて有益です。

また、これらの論考のなかには、『某有名人からのご要望「140字にまとめてほしい」』などでも触れたとおり、科学的知識も考察も無視し、ひたすら不安を煽っている自称保守系の某論客が「140字以内で要約して」とキレたものも含まれています。

(※もっとも、この「140字でまとめて」と注文を付けたご本人が、過去に「140字で言いたいことは言えない」とつぶやいていたという、まことにお粗末なオチがついているのがおもしろいですね。)

【参考】「細かいことは140字では語れません」&「140字で要約して」(クリックで拡大)

(【出所】ツイッターの画面キャプチャを合成)

いずれにせよ、「科学的知見に基づく冷静な議論が必要だ」というのは、今回の武漢コロナ騒動に限られず、およそ自由・民主主義社会を運営するためには絶対に欠かせないものでもありますし、左右を問わず、科学を無視して大騒ぎする者が有害であるという点については、改めて確認できたのではないでしょうか。

新宿会計士:

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  • 台湾の研究者が日本の新型コロナ感染拡大を試算、5万人感染で「第二の湖北省になる」と警告 - 野嶋 剛 (ジャーナリスト)
    https://wedge.ismedia.jp/articles/-/19371

    新型コロナによって日本が第二の湖北省化する恐れがあると研究者が指摘した
    日本の累計感染者総数が、5万人に達する可能性がある試算になったという
    感染拡大を前提に、被害を最小限にとどめる「減災」の措置が必要だと述べた

    「悲観的シナリオ」としては、日本の感染者数のピークは4月26日前後になり、日本全体の累計感染者総数は5万人に達する可能性があるという試算となった

    • 台湾では先週、新規感染者がゼロになる日が3日あるなど、現在までアジアで最も効果的にコロナを押さえ込んでいることで世界から注目

      日本と台湾は2月から3月にかけて、同じように、感染者は低いレベルを維持していました。しかし、3月下旬から現在まで、日本の感染者数は大幅に増加

      日本は3月下旬の春分の日の三連休など休日の外出が制限されたなかったことと、大きな関係があるのではないでしょうか。

    • 感染は爆発しようが、しなかろうが、年単位で付き合ってゆかざるを得ないのです。

      経済活動を止めても、死者は増え、企業も死にます。

      教えて!ニュースライブ 正義のミカタ 2020年4月18日
      https://www.youtube.com/watch?v=je0cpB1er2I
      15分ごろから

      封鎖なし「スウェーデン」異色の緩い対策のワケ
      https://toyokeizai.net/articles/-/344114

      感染者や死者は出ますが、人口の57%の人々が抗体を持てば、重篤化しやすい人々も救いやすくなる
      「自制心」と「責任感」という2つが重要視されており、1人1人が自身に対して、そして社会に対して責任を負うという考え方が浸透しています。なので、政府の打ち出す政策に対しては、「大人の対応」で臨むことが当たり前

      日本は日本で折り合いをつける以外に方法はないとおもうのですが

    • スウェーデンの死者が急増!?データを正しく理解する方法をForbes Japanの記事と共に解説
      2020/04/15
      https://www.youtube.com/watch?v=_gBY83GQykk

      新型コロナ対策で独自路線を貫くスウェーデン その理由と現在地
      2020/04/14 20:00
      https://forbesjapan.com/articles/detail/33790

      4月14日現在近隣のデンマークやノルウェーと比べると死者数は確かに多いが、国としてのスタンスを変えるつもりはないようだ。

      休校措置は問題の先送りにしかならない

      スウェーデンは長い歴史のなかで政府と国民との間に信頼関係を築いてきた。
      政府はトップダウンではなく、「要請」という形で国民に呼びかけ、国民は自主的に行動するという形がこの国では最善策であるようだ。

      会社を倒産させて失業保険で予算を使うのか、補償という形でお金を使うのか
      補償という形選んだと推測

      正義のミカタでは長期間にわたる為、もし感染爆発が冬に起これば、他のインフルエンザなどと重なり
      より、医療資源が不足する。

      その為、徐々に感染者を増やしておく必要があるとのことでした。

      • 北欧諸国はヴァイキングの国のせいか、死生観が違います。
        胃瘻なんか作りませんし、無駄な気切もしません。
        「ヴァルハラでまた会おう!」というノリなのかも。

  • >「今次の感染急増の大きな原因であるはずの欧米からの帰国者
    によるウイルス持ち込み」

    「政府も専門家会議もほとんど触れない」が把握はしていて、
    隔離・治療している。
    彼らが回復すれば、緊急事態宣言の効果と相まって収束に向かう。

    ということでしょうか?

  • 帰国者の感染リスクについては、早期に議論されており、不確定要素の内数にしているのではないかと考えております。
    (リスク低減策としては、帰国者の検疫と2週間の自主待機要請)
    また母国へ帰るな…というのは、先進国としては困難な選択です。
    (本当に早期にやらなければならなかったのは、アフリカなどの南半球の途上国)

    感染者の増加に波がある内は、結果的にコントロールできている内に入るというのは同意します。

  • 新宿会計士 様

    伊江太様の論考に対するコメントではなく申し訳ありませんが、2点指摘させて下さい。

    (1) 標記ミス
    冒頭部分に「こうしたなか、4週間ほど前に『武漢肺炎、なぜ日本で感染爆発』と題する論考を」とありますが、『』内は最後の5文字が欠落しており、「武漢肺炎、なぜ日本で感染爆発しないのか』の誤植ですね。

    (2) 「読者投稿要領と過去の読者投稿一覧」との不一致
    一週間ほど前にも、雑談スレで指摘させていただいたのですが、「読者投稿要領と過去の読者投稿一覧(コロナ騒動等)」が更新されておらず、本稿の最後に記されている「コロナに関連する過去の読者投稿の一覧」と一致しておりません。
    前者も更新していただければ幸いです。

    • 新宿会計士様

      追記:
      「これらの執筆者は、次のとおりです。」の表中、
      ⑧ と ⑪ が2度記載され、一方 ⑨ と ⑩ が欠落しています。

  • 前の投稿でもそうだったのですが、申し訳ありませんがこの方は毎回重要な観点を見落としているように感じられます。
    ・ウイルスが変異した可能性
    そもそも新型コロナは全て海外からの流入なんですから、欧米から入ってきたので突然感染経路を追えなくなったという理屈は理解しにくいです。それより、欧米経由で入ってきたウイルスが元のものより感染力が強いもので追いづらくなったと考えるべきではないでしょうか。

    ・検査数の限界
    例の人達が煽りまくってるのであまり強く言いたくはないですが、この影響もそれなりにあります。特に東京の3/25(オリンピック延期発表)前後は顕著でした。最近でも医療人員や設備の消耗が激しくこれ以上受け入れられない病院が出てきており、グラフだけを見て収縮に向かっていると判断するのは安直すぎるのではないでしょうか。

    あと波状グラフの説明なんかも気になりましたが長くなるのでこの辺で。確かにそろそろ緊急事態宣言の効果が出てくる時期であり、収縮に向かう可能性も十分ありますが、それにしてもこの方の説明は納得できない部分が多いです。長文失礼しました。

    • 下記サイトの検査人数推移が正しいとすれば、今のところ日本の検査体制は検査能力内でコントロールされているように見えます。
      https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/

      仮に検査数を意図的にコントルールしているならこれほど見事に日々の検査がランダムに変化することもありません。
      検査人数=濃厚接触者、感染の疑いがある軽症者、がコントロールされている今は、読者投稿者の主張には説得力がありそうです。
      但し、今後、感染拡大に伴い、濃厚接触者や感染の疑いがある人間が多くなり、検査能力を超えるようなことが起これば、天井に張り付いたような推移のオーバーキャパシティー状態になり、濃厚接触者や感染の疑いがある人間をコントロールできなくなり、感染爆発となりかねません。

      そのための対策としてドライブスルー検査等で検査能力の向上を図っているようです、もちろん検査による院内感染を防ぐ意味も半分はあるのでしょう。

      ケンサーズなマスコミは、感染拡大で検査対象者が増えたことに対する対応と説明せず、ようやくという言葉で報道してます(笑)。

      • 曜日、定休日という要素は置いておくとして、このデータの「東京都の新規PCR検査数」を見ればここ1ヶ月横ばいなのがハッキリわかりますね。
        全国的に見ればまだ余裕があるので検査数も増加していますが(それでも感染者数ほどは増えてない)、すでに東京などの一部地域はキャパが限界に達しており、感染者数のデータが意味をなさなくなってきています。ですのでこういった楽観論は非常に危険だと思いますよ。

    • 匿名 さま

      私も専門家ではないのですが、確か塩基対の1つが変異しているのが確認されています。ただ、それで大きくウイルスの性格が変わるとかいう話ではないのでは、と、ウイルス学の方の先生は言ってました。コロナウイルス自体、変異しにくいウイルスに属するそうです。SARS-CoV-2はわりと塩基対が短いそうなので、変異があれば、専門家筋が見逃す可能性は低そうですが、公式に変異で毒性があがったという報告があったのでしょうか?
      検査については、初期には症状の有無にかかわらず陽性者は入院、という方針でしたので、ある程度、有症状者に限って検査をしていたのは多分実感としても間違いないと思います。ただ、現在は、少なくともCT上典型的な肺炎所見があれば、検査を断られることはないです。無症状なのに「心配だから検査してくれ」という阿呆は、我々の段階で却下してます。少なくとも公費や保険で賄うべきものではありませんので。全額自費でいいから検査してほしい、というリクエストを受けたことは現時点ではありません。
      無症状、あるいは軽症の方を検査する必要があるか、は微妙です。ご存知の通り、PCR検査の結果が出るのには数日かかりますので、その間、おとなしくしていただけなければ、どちらにせよアウトですし、偽陰性の場合、かえって感染を広げるリスクすらあります。
      信じていいかはともかく、総じて軽症者の感染力は高くはなさそうだとWHOは言ってますので、軽い感冒症状では、検査のためであっても出歩いて感染リスクを増すより、家でおとなしくしているべき、という方向性は案外間違ってないように思います。どっちにしても、効く薬もありませんし。
      むしろ、退院者が少ないのが問題です。
      医療崩壊の原因は、患者数の増加でhなく退院数の伸びがあまりに少ないことです。
      しつこいようですが、高齢者に無差別に濃厚治療を行うべきではありません。

      • 同意します。
        毎日ヤフーの、感染者、回復者を見ていますが、あまりにも回復者が少ないです。
        北海道のニュースで、治療にあたったお医者様が、アビガン、シクレソニドは効いてる感じがする。
        とおしゃっておりました。
        国をまとめてる方は、情報をまとめ、今できる最善の治療を標準化してほいとおもいます。
        それは毎日、失敗はあっても良い方にアップグレードして欲しい。
        このまま回復しない患者が増えると、医療崩壊、経済崩壊につながるとおもいます。

        • Jさま

          回復者が少ないのは、おそらく、回復の見込みがない患者にも濃厚医療を行っているから、でしょう。
          そんなことをしていれば、アビガンを使おうが使うまいが、早晩、行き詰るのは目に見えています。
          医療崩壊を避けたければ、重症合併症保持患者、高齢者にはECMO/レスピはつけない、ICU管理にもしない、と明確に線引きするしかありません。

      • 匿名様、市井の内科医様、J様

        「ウイルスが変異した可能性」

        これは懸念するところなので、公表されたデータを確認しているのですが、
        患者数、死者数の推移からは立証できません。

        「可能性の否定」は悪魔の証明なので、可能性ではなく、強毒化したという
        事実を指摘してほしいと思っています。

        • この方の投稿で出た「欧米からの帰国者によって感染が拡大した」という理屈だけでは「経路不明の感染が増えている」という現状を説明できていないのです。外から入ろうが発症した人を調査すれば最終的に経路を見つけることはできます。
          単に感染者の絶対数が増えて経路が複雑化しているだけ/感染力が強い型が出現し感染機会が増えた/言えないような場所でクラスターができている等いくつかある説のうち「型が違う」というのはかなり可能性の高い論です。

        • 匿名様 方

          結局、強毒化していることは立証できない、

          それでいいでしょうか。

      • 返信ありがとうございます。
        私も特段詳しいわけではないですが、変異でなくとも、もともとこのウイルスにはいくつかの型があると言われています。再陽性(これについては誤診の可能性もある)など怪しげなワードもいくつか出てきており、実際どうなのかは後にならないとわからない話ではありますが、「別の型の可能性」はあってもおかしくない程度には考えられる事象です。

        検査については、単純に増やせば良いという話ではないので増やせとは言いませんが、実際東京等ではほぼ増えてないのでこれを基に発表される感染者数をそのまま受け取って収まりつつあると考えるのは危険じゃないかという意見です。

        ただ、今の政府は私たちが手にできるより遥かに多くの情報を持っており決断力もありますから、もし感染が爆発的に増えているようなら無理やりにでも企業を交通を全部止めて都市封鎖(や命の選別)を行おうとするでしょう。それをせず10万円がどうのこうの言いながら時間を潰してるということは、現状手遅れなほどには広がっておらず、緊急事態宣言の成果を待ちつつ次の1手を思案している段階なのだと私は考えています。

  • 更新ありがとうございます。

    図表6での説明、分かり易かったです。
    感染者数のグラフの縦軸が新規か累計かの見分けも大事ですね。
    医療に従事していない一般人としては、不要不急の外出を控えつつ手洗いなどを意識して行って感染しないよう気をつけたいと思います。

  • この様な楽観的な考察を考える方がいる限りは感染拡大が続く事になるだろう。
    完全なる強制力と罰則化するロックダウンを行えない日本だけが、経済で長期間の奈落の底に落とされる。
    その覚悟が必要になるだろう。

    • 2020/04/20 at 07:27に投稿の匿名様

      >この様な楽観的な考察を考える方がいる限りは感染拡大が続く事になるだろう。
       このご指摘についてはどうなるか私にはわかりませんが、必ずしもそうではないように思いますが。

      >完全なる強制力と罰則化するロックダウンを行えない日本だけが、経済で長期間の奈落の底に落とされる。その覚悟が必要になるだろう。

       西側陣営で都市閉鎖が行えないのは日本だけのようですから、このご指摘は事実でしょう。しかし現段階でそこまで必要かなと言う気もします。もう少し東京の感染者推移を見てから判断しても良いのではないでしょうか。実際3月17日の特異点を無視すれば東京では徐々に感染者数が減っており、4月19日もかなり少ない感染者数になっています。緊急事態宣言の効果が出ているのかもしれません。それであれば今回は都市閉鎖までは必要ないかもしれません。

       しかし、それはそれとして日本では憲法の問題でいかに感染が酷かろうと都市閉鎖を行うことができませんと宣言するのは如何なものでしょう。できるように法制を整え、必要であれば憲法も改正しておくべきでしょう。今回都市閉鎖を行わなくても次回の都市閉鎖の必要な場合に備えておくことは悪いことではないと主ますが。「ロックダウンを行えない日本だけが、経済で長期間の奈落の底に落とされる。その覚悟が必要になるだろう」で済ますのはよろしくないと思います。

       どさくさに紛れて憲法改正など行うことは共産党の見解では火事場泥棒だと騒いでいますが、共産党のように何でもかんでも日本を破壊しようという行動こそが火事場泥棒ならぬ平時の泥棒のようなものではないでしょうか。理由があって異論を唱えるのは問題ありませんが、天皇制を含む日本の全ての精神的担保事項までを否定するというのであれば、他の国に行って騒いだら如何なものかという気がしますが。

    •  いや、武漢ウィルス蔓延国は支那朝鮮だ、我が国ではない。
       欧米の武漢ウィルス死者もすさまじい。
       心配するならアメリカを心配してあげなさい、
      武漢ウィルス死者合計40000人越え、
      武漢ウィルス1日の死者2000人というアメリカを。

      日本

      武漢ウィルス死者合計約250人(米国の160分の1)
      武漢ウィルス1日の死者数10~20人くらい(米国の200分の1~100分の1)

       警告したいなら我が国でなく我が国の百倍以上も武漢ウィルス死者を出しているアメリカに警告してあげたほうが良いですよ。

    •  支那朝鮮は、強制力と罰則があってもどうしようもない、そうなんでしょう

       我が国は、支那朝鮮とは違う、時の総理に自粛要請されれば、誰しもそうしなければならないことと分かる。自粛する。
       命令(強制)しないからこそ上手くいく。そういう人種。支那朝鮮奴隷人種とは全く違う自由な人種。

       経済不振の警告は、何もかもが破産倒産寸前朝鮮半島にしてあげなさい。
       焼け野原から超大国に返り咲いた我が国への警告は笑い種、母国に帰って経済浮揚してあげれば

  • >完全なる強制力と罰則化するロックダウンを行えない日本だけが、経済で長期間の奈落の底に落とされる。

    検査ガーの次はロックダウンガーですか

    事あれば強件発動すべしって考えの方が
    私はおっかないです

  • 首都圏・関西圏限定の話ですが,感染拡大の原因となるのは,検査にひかかっていない無症状感染者がいて,普通の生活をしていることも大きいです。ダイヤモンドプリンセスのデータで考えると,日本では,発表されている感染者数の4~5倍くらい,検査にひかかっていない感染者がいると推定されます。この人達は隔離されていないので,普通の生活の中で他人を感染させる確率があります。日曜に書いた最近の感染拡大率7.3%の場合には,1人の感染者が感染可能期間中に2人弱を感染させます。この人数が1人未満にならない限り,感染終息の方向には向かわないわけです。
    「感染爆発」の定義が問題なのですが,考えられる定義としては。(1)「累積感染者数が指数関数で非常によく近似できる状態である」, (2)「病院等の医療機関が新規患者を受け入れるのが困難になりつつある」などが考えられます。現在の日本は残念ながら(1), (2)の両方に該当しています。感染者数は 1.073^x にほぼ比例しています。ただ,1.073 が一時の欧米の数字 1.155 より小さいというだけです。(2)はマスコミ報道の通りです。図表6は,むしろ「冬になると感染拡大が再発生する」と読み直したほうがいいと思います。
    放置すれば,通常感染者数はロジスティック方程式 dN/dt = rN(1-N/K) にほぼ従って増加します。この方程式の解は感染拡大率 r が一定ならば,
    N(t) = N(0) K exp(r t)/(K - N(0) + N(0) exp(r t) = K/(1+(N/N(0)-1)exp(-r t)) です。
    ただ,前にも書いたように,r と K の値がよく分かっていないし,r が一定でなくて変動しているため,予想は結構はずれます。今後の r の変動が予想でき,K の値の見積もりができれば,逐次近似で方程式の数値解は得られます(私のPCにプログラムは作ってあって瞬時に解ける)。
    ただ,r の値を小さくする努力をしない限り,欧米のデータから計算できる K の値あたりまで,感染者数が増加します。(K の値が国毎に大幅に異なっているという厄介は現状はあります)

    • すいません。重大なタイプミスです。ロジスティック方程式は解は,正しくは以下の通りです。
      N(t) = N(0) K exp(r t)/(K - N(0) + N(0) exp(r t) = K/(1+(K/N(0)-1)exp(-r t))

    • 愛読者さま

      「ダイヤモンドプリンセスのデータで考えると,日本では,発表されている感染者数の4~5倍くらい,検査にひかかっていない感染者がいると推定されます。」

      毎回こう主張されていますが、どういう計算なのでしょう?

  • 伊江太様、御考察、拝見させていただきました。
    伊江太様の論旨の要点は、『日本では果たして指数関数的に感染者が拡大するのか、またはそうでないのか?』というところですね。
    専門家会議の方々は、日本でも指数関数的に感染者が拡大する懸念を強めています。だが伊江太様は、『果たしてそうなのだろうか』と疑念、または懐疑を提示しています。
    どのような凡人であろうとも、物事を懐疑する心の動きを妨げることはできません。
    『我思うゆえに我あり』は陳腐ですが、懐疑する心を失えばそれは人間ではないし、同時に信じる心を失えばそれもまた人間ではないでしょう。

    わからない、としか言いようがありません。
    医療開発者ですらわからない。未知の感染症だから、現在研究している。まして感染症とは専門分野以外の医療関係者ならもっとわからない。医療とはなんの関係もない人々なら無知そのものです。

    ただ、専門家会議の方々がどうして伊江太様が懸念するような考え方をするのかは想像できます。
    イタリアなど欧州諸国、そしてアメリカのような国々のニュースに触れ、その惨状を見てしまった者は誰しもがこう思うでしょう。
    『先進諸国ですら、こんな酷い有り様になった。日本も無事で済むはずがない』
    そのとき震えあがらずに、なんの恐怖心も感じなかった人がいたならば、その人は人間であるのかを自分はまず疑ってしまうでしょう。
    今や『正しく恐れよ』なんて言っている者は皆無の状況です。
    専門家会議の方々も人間ですから、当然、恐怖心を感じたはずです。そこから強硬とも言える様々な対策を講じたとしても、自分は責めたいとも思いません。

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