【総論】4種類のスワップと為替スワップの威力・限界
ここ数日、国際金融協力の世界における通貨スワップ(BSA)に関して、「為替スワップとの違いがよくわからない」、「デリバティブの通貨スワップとの違いがよくわからない」、といった読者コメント等をよくいただくようになりました。そのきっかけは、『速報:米FRBが9つの中央銀行と為替スワップを締結』などでお伝えした、「米国と外国中央銀行との為替スワップ協定」にあります。当ウェブサイトでは過去に『総論:通貨スワップと為替スワップとは?』などでこれらのスワップについて簡単な解説をしたこともあるのですが、本稿では「総論」として、ニュースを読むために必要な、最低限の「4つのスワップの違い」について、改めて触れてみたいと思います。
目次
「4種類のスワップ」
昨日の『韓国、米韓為替スワップに続き日韓通貨スワップに期待』では、米FRBが現地時間3月19日付で急遽復活させた、韓国銀行を含めた9つの中央銀行・通貨当局との為替スワップ協定を巡って、韓国メディアが相次いで「通貨スワップ」と誤報した、と紹介しました。
ただ、調べた限り、今回のスワップを「為替スワップ」と正しく報じているメディアは皆無で、韓国メディアだけでなく、日本のメディアも含め、ほとんどのメディアが「通貨交換」、「通貨スワップ」などと報じています。
しかし、通貨スワップと為替スワップは、本来、まったく異なる代物です。
そもそも論ですが、一般に「スワップ」と表現されるものには、4種類のものが存在しています(図表)。
図表1 スワップの一般的な表現
区分 | 通貨スワップ | 為替スワップ |
---|---|---|
民間におけるデリバティブ取引 | Cross Currency Swap | Foreign Exchange Swap |
通貨当局同士の国際金融協力 | Currency Swap Agreement | Liquidity Swap Agreement |
(【出所】著者作成)
デリバティブ
デリバティブとしての為替スワップ
企業で財務を担当されている方や金融機関に勤めている方であれば、為替ヘッジ手段としての「通貨スワップ」や「為替スワップ」という言葉を聞いたことがある、という方は多いでしょう。
これらは、広い意味では「金利スワップ」、「ベーシス・スワップ」などと同じ「スワップ取引」に属するデリバティブですが、これについて説明し始めると、書籍が1冊書けてしまいます(※実際書きました)。
このうち、「為替スワップ」とは、「直物外国為替取引と先物外国為替取引の組み合わせ」のことであり、バーゼル銀行監督委員会などの金融規制当局は “Foreign Exchange Swaps” と呼称していますが、わが国では俗に「バイセル」、「セルバイ」などと呼ばれています(あえて略すならばFXSでしょうか?)。
この為替スワップの典型的な事例は、「ドル円のバイセル取引」でしょう。これは、たとえば、
- スポット(現時点)で1ドル=100円で円を売り、ドルを購入する取引
- フォワード(たとえば3ヵ月後)で1ドル=99円でドルを売り、円を買い戻す取引
という2つの取引を同時に実施する、というものです。
この企業は、1ドル=100円で円を売却してドルを購入しますが、3ヵ月後に1ドル=99円でドルを売却して円を購入するという取引の予約をするので、たとえば3ヵ月後にスポットが1ドル=80円のような円高状態になっていても、現在予約した1ドル=99円で確実にドルを売ることができます。
つまり、企業にとっては、為替スワップを使えば為替リスクを避ける(ヘッジする)ことができるため、ヘッジツールとしてはとても一般的に利用されています。また、金融商品取引法上はデリバティブ取引ではありませんが、法人税法上と企業会計上はデリバティブ取引に位置付けられています。
デリバティブとしての通貨スワップ
一方、為替スワップと経済的な性格がそっくりな取引が、通貨スワップです。
一般に “Cross Currency Swap” と呼ばれていて、個人的には「CCS」と略すことが多いのですが、このうち「直先フラット型通貨スワップ」とは、
- 現時点の為替相場(スポットレート)で両国の通貨を交換し(たとえば相手方に円を渡してドルを受け取り)、契約満了時に同じ相場で両国の通貨を逆交換する(たとえば相手方にドルを渡して円を受け取る)
- 契約期間中は両国の通貨の金利を交換する(たとえば3ヵ月ドルLibor+アルファを支払い、3ヵ月円Liborを受け取る。なお、この「アルファ」部分がプラスの場合、このαを「ネガティブ・ベーシス」などと呼ぶことが一般的)
という、一定期間の両国通貨の貸借取引のようなものです。
先ほどの為替スワップとの違いは、大きく次の点にあります。
- 契約期間中に金利の交換がなされるため、直先フラット型契約の締結が可能であること
- 金融機関同士が通貨スワップ取引するためには、一般に国際スワップデリバティブ協会(ISDA)が定めるマスターアグリーメント(デリバティブに関する包括契約書)と担保契約(CSA)が必要であること
- 金商法に定めるデリバティブ契約に相当するため、一定条件に合致する場合には証拠金規制(マージン規制)が適用されること
- 担保契約の存在を前提とするため、理論上はいくらでも長い期間での契約締結が可能であること
ちなみに、企業会計上、「ヘッジ会計」の適用を考えるならば、為替スワップと比べ、時期先フラット型通貨スワップの方が容易である、などの特徴もあるのですが、このあたりの事情は本論とあまりにも関係がないため、割愛します。
BSAあれこれ
国際金融協力の世界における通貨スワップ
さて、この「通貨スワップ」と紛らわしいのが、国際金融協力の世界における「通貨スワップ」で、両者は似て非なる概念です(取引主体同士が通貨を交換するという意味では、「まったく似て非なるものだ」、というわけではありませんが…)。
そもそも論ですが、国際金融協力の世界における通貨スワップにはいくつかの種類があり、いちばん一般的な協定が「自国通貨(ローカル通貨)建ての二国間通貨スワップ協定」と呼ばれるもので、英語できちんと表現すれば、 “Bilateral Local Currency Swap Agreement” のことです。
また、隣国のメディアから頻繁に出てくる「通貨スワップ待望論」でいうスワップは、「二国間で基軸通貨(たとえば米ドル)を交換する協定」のことであり、米ドルを交換するスワップを敢えて英語で表現すれば、 “Bilateral US Dollar Swap Agreement” といったところでしょうか。
もっとも、多くのケースでは「ローカル通貨建ての取引」と「基軸通貨建ての取引」を特段区分せず、 “Bilateral Currency Swap Agreement” などと表現されることが多いです(ちなみにわが国の財務省は「BSA」と略しています)。
さらに、通貨スワップには「多国間協定」というものもあり、たとえばアジア諸国の場合は日中韓+香港+ASEAN10ヵ国が参加する「チェンマイ・イニシアティブのマルチ化協定」(CMIM)と呼ばれるものがその代表例です。
多国間通貨スワップ協定を敢えて英語で表現すれば “Multilateral Currency Swap Agreement” 、略して「MCSA」または「MSA」とでも言えば良いのかもしれませんが、あまりこの「MSA」という言葉を聞いたことはありません。
以上をまとめると、図表2のとおりです。
図表2 国際金融協力における通貨スワップあれこれ
区分 | 英語表現 | 特徴 |
---|---|---|
二国間のローカル通貨建ての通貨スワップ | Bilateral Local Currency Swap Agreement | A国とB国の通貨当局同士がお互いの通貨を融通し合う協定 |
二国間の基軸通貨建ての通貨スワップ | ドルの場合は Bilateral US Dollar Swap Agreement | A国とB国の通貨当局同士が外貨準備などから基軸通貨を融通し合う協定 |
多国間の基軸通貨建ての通貨スワップ | Multilateral Currensy Swap Agreement | 多国間が参加する、おもに基軸通貨(米ドルなど)を融通し合う協定 |
(【出所】著者作成。なお、国によっては “Agreement” の部分を “Arrangement” と表現しているケースもある)
ドル建てBSAが最も有益
いずれにせよ、通貨スワップ(「CCS」ではなく「BSA」の方)は、通貨当局が相手国から通貨を引き出すことができるという協定のことであり、たとえば自国通貨が暴落している局面でBSAを発動し、得た外貨を国内金融機関に貸し出したり、外為市場で通貨防衛に使ったりすることができます。
ちなみにこれらのなかで、多くの国が欲しがるスワップは、何といっても「基軸通貨建ての通貨スワップ」であり、実際、わが国が外国(インド、インドネシア、フィリピン、タイ、シンガポールの5ヵ国)に対して提供している通貨スワップは、すべてこの「基軸通貨建ての通貨スワップ」です。
逆に、国際的な通用度が低い「ソフト・カレンシー」同士のスワップは、金融危機・通貨危機を全世界にばら撒いてしまうというリスクがあります(『弱小通貨同士の通貨スワップの「融通手形」説』、『韓国経済に「弱者連合スワップ」で一息つく余裕はない』等参照)。
ついでに非常に細かいことを言えば、現在、わが国が提供している通貨スワップのうち、インドとの750億ドル相当の通貨スワップ(BSA)を除けば、いずれも米ドルだけでなく、日本円で引き出すことも可能です。
その意味で、現在のわが国が提供している二国間通貨スワップは、「ローカル通貨建てのBSA」と「基軸通貨建てのBSA」のハイブリッドのようなものだ、という言い方をしても良いかもしれません。
(もっとも、日本円自体、国際的な市場においては立派な「ハード・カレンシー」でもあるため、「準基軸通貨だ」という側面もあるのですが…。)
BLAあれこれ
国際金融協力の世界における為替スワップ
最後に、「国際金融協力の世界における為替スワップ」というものがあります。
これは、デリバティブでいう為替スワップと表現としては同じですし、通貨当局同士の通貨交換という意味では通貨スワップ(CCSではなくBSAの方)と同じですが、これらとは似て非なる協定です。
為替スワップとは、一般に “Bilateral Liquidity Swap Agreement” や “FX Swap Agreement” などと表現されますので、敢えて略せば「BLA」でしょうか(ただし、日本銀行は為替スワップを “Bilateral Local Currency Swap Agreement” と表現するなど、若干の表記の揺れもあります)。
この為替スワップ(※「FXS」ではなく「BLA」の方です)、金融市場の専門家の方なら “Liquidity” という表現でピンとくると思いますが、民間金融機関同士の資金繰りに関わる協定であり、これについて理解するためには、前提条件として、通貨当局の役割について理解しておくことが必要です。
昨日の『米FRB為替スワップの解説と「中国へのメッセージ」』でも説明しましたが、一般に通貨当局(中央銀行)は「最後の貸し手」であり、少なくとも「管理通貨制」を採用している通貨当局の場合は、自国通貨であれば自由に発行することができます。
したがって、自国の金融機関が流動性不足(資金不足)に陥っている場合、中央銀行が「救済が必要だ」と判断すれば、その金融機関に対しておカネを貸すことができる、という次第です。
しかし、いかに中央銀行といえども、基本的に外国通貨を自由に発行したり、印刷したりすることはできません(例外的に外国紙幣を印刷している国といえば、北朝鮮くらいでしょうか)。
だからこそ、この為替スワップは、「A国の中央銀行がB国の中央銀行を通じ、A国の通貨をB国の民間金融機関に供給する」、という使い方をします(※『通貨スワップと為替スワップを混同した産経記事に反論する』等でも説明したとおり、その典型例は、「日中為替スワップ」でしょう)。
そして、今回の米FRBによるスワップも、まさに「相手国の民間金融機関に対して短期流動性を供給する」という意味で、この「為替スワップ」にほかならないのです。
日銀はいつから「為替スワップ」と言い出したのか
さて、日本銀行のウェブサイト『海外中銀との協力』のページによれば、日本が外国の当局と保持しているスワップ協定については、「通貨スワップ」と「為替スワップ」は明確に分けられています。
先ほども申しあげたとおり、CMIMを除く「通貨スワップ」については、日本の財務省は「BSA」と呼んでおり、これを締結している相手国は5ヵ国に過ぎません(※インドが750億ドルで最大、ほかに227.6億ドルのインドネシアなど)。
これに対し、「為替スワップ」(当ウェブサイト的には「BLA」)については、期間・金額無制限のものが米、英、欧、瑞、加の5ヵ国との間で設けられているほか、中国、シンガポール、オーストラリアの3ヵ国の中央銀行・通貨当局との間でも設けられています(それぞれ金額・期間の上限あり)。
ただ、日銀はこの「為替スワップ」について、英語版のウェブサイトでは “Bilateral Local Currency Agreement” と表現しています。これは、諸外国では一般に「(ローカル通貨建ての)通貨スワップ」に対応する訳語であり、非常に紛らわしいです。
また、確認してみたところ、日銀が「為替スワップ」という用語を使い始めたのは2011年前後のことであり、それ以前は為替スワップについては単に「中銀間スワップ」などと表現していたようです。
たとえば2009年6月26日付の『中銀間スワップ取極の延長について』という資料では「米ドル・スワップ取極および米ドル以外の通貨供給を目的としたスワップ取極」と表現されていますが、2011年12月21日付の報道発表では「為替スワップ」という表現が出てきます。
このため、「流動性供給スワップ」という意味で「為替スワップ」を用いるのは、一種の「日銀用語」なのかもしれませんね。
為替スワップの威力と限界
さて、数日前から議論しているのが、「そもそも通貨スワップと為替スワップの使途はどう違うのか」、「為替スワップは危機に際して役立つのか」、です。
日銀やその他の中央銀行等の説明を読めばわかりますが、この「為替スワップ」については、いずれも「通貨当局同士が為替相場の安定を目的に締結したもの」ではありません。あくまでも「民間金融機関に対する流動性供給」を目的に締結したものです。つまり、通貨スワップと為替スワップには、
- 通貨スワップ(Bilateral Currency Swap Agreement)…外貨不足に備えて通貨当局同士が通貨を交換する協定
- 為替スワップ(Bilateral Liquidity Swap Agreement)…民間金融機関の外貨流動性不足に対応するための流動性ファシリティ
という、厳然たる違いがあるのです(※この点が、とっても重要です)。
この点、たとえば日本が中国と結んでいる「日中為替スワップ」(「通貨スワップ」ではありません!)は、日本の金融機関がオンショア市場などでの人民元不足に見舞われた際に、日銀が中国人民銀行から人民元を引き出して融資する、という威力が期待されています。
ただ、韓国が2017年にカナダとの間で締結した期間・金額無制限の「加韓為替スワップ協定」については、危機に際して役立つとは思えません。なぜなら、韓国の銀行がカナダドルで多額の資金調達をしているわけではないからです。
しかし、米FRBとの為替スワップについては、威力は絶大です。
通貨スワップと異なり、為替スワップではFRBからドルを調達して為替介入に使う、ということはできませんが、それでも「金融機関が短期債務の更改を拒絶され、流動性不足で金融システム全体が突然死するリスク」を避けることはできます。
なぜなら、多くの国の民間金融機関は大なり小なり米ドルで資金調達を行っているからであり、現在のような「流動性クランチ」という局面においては、FRBから直接、ドル資金の貸し出しを受けることができるというのは、多くの民間金融機関にとっては本当に助かります。
ただし、ドル建ての為替スワップは「流動性不安を解消することで金融市場の緊張をほぐす」ということには絶大な威力を発揮するものの、ダイレクトに通貨の暴落を食い止める使い方はできませんので、その点では為替スワップには限界もあるといえるのかもしれません。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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通貨スワップと為替スワップの違いを人に説明するとき、
・通貨スワップ … 通貨(ほとんどの場合ドル)のストックを補うもの
・為替スワップ … 通貨のフローを補うもの
くらいの例えをしてもいいでしょうか ?
国際金融協力の世界におけるスワップの話です。
新宿会計士さま
制度としてのBSAとBLAの違いは何度か説明頂いて何となく理解できるのですが、BLAについて分からないのは運用上のことです。私の理解では、BLAの運用には以下の5つのプロセスがあると理解しています。
① 韓国の民間銀行がドルの流動資金不足に陥り、韓国の中央銀行に訴える。
② それを受けて、韓国の中央銀行はFRBにBLAを申し出て、ドル資金の貸付を受ける。
③ 韓国の中央銀行は、民間銀行にドル建ての貸付をおこなう。
④ 一定期間が経過した後、民間銀行は中央銀行に返済をおこなう(国内の民間と中央銀行との間のことなので、このプロセスは無限に引き延ばすことも可能な気もしますが)。
⑤ 韓国の中央銀行はFRBにドルの返済をおこなう。
FRBが関与できるのは、韓国の中央銀行との②と⑤だけで、あとは韓国国内のやり取りに過ぎないのではないのでしょうか?
そうなると、例えば①の要請が無くても、韓国の中央銀行がFRBにBLAを要求して得たドルを元に、通貨防衛に転用することは出来るではないのでしょうか?
FRBとして①が確実にあり、③がおこなわれたということを確認しながら運用できる仕組みになっているのか、上記のようなことをしても期限付きの貸付なので一時しのぎに過ぎないだけなのか、といったところが、よく分からないので、機会があれば、その辺りの説明を頂ければ嬉しいです。
>>通りすがり様
3月22日
韓国、米韓為替スワップに続き日韓通貨スワップに期待 | 新宿会計士の政治経済評論
https://shinjukuacc.com/20200322-02/
の読者コメント中、
迷王星さま(2020/03/22 at 18:59)のコメントはいかがでしょう。
ななしさま
返信ありがとうございます。
私もご指摘いただいたコメントを読んだ時には、その仕組みなら通貨防衛に使うことは難しいと理解しました。ただ、本文中にも為替スワップは、
> 「A国の中央銀行がB国の『中央銀行を通じ』、A国の通貨をB国の民間金融機関に供給する」
> という使い方をします。
と記載されています。
そして、そもそもの為替スワップが、中央銀行同士の Agreement であることを考えると、上記のコメントに記載した中央銀行を介した流れになるのが自然ではないかと現時点での私個人の理解は落ち着いています(間違っていたら指摘ください)。
現段階での私の理解では、為替スワップで得たドルは、流動資金不足の際の一時しのぎを目的とした期限が厳密に決められている短期の貸付で、期限が来たら必ず返さないといけないものなので、数カ月にわたるような長期の通貨防衛には利用しづらい(短期の通貨防衛には流用可)というものであるという理解に落ち着いています。
この理解が正しいのか、ご指摘いただいた迷王星さまのコメントのような、もっと厳密な通貨防衛に利用できない仕組みがあるのかを知りたいのです。
通りすがりさんへ
今回のアメリカが勝手に始めた為替スワップ(ドル流動性スワップ)
は
非常時のもの。昔の日米英瑞加欧の本物の為替スワップとは別物。
日米英瑞加欧の為替スワップは、文字通りのスワップ(交換)であり通貨そのものに市場価値があるハードカレンシー同士のスワップ(交換)。
万が一、踏み倒されたら
スワップ(交換)して預かった通貨(ハードカレンシー)を売ってチャラ。という極めて安全なスワップ。
今回アメリカが始めたドル欠乏貧乏国への為替スワップという名の一時しのぎお助け、スワップして預かった紙屑通貨など売るに売れない。
今回のはアメリカが、ドル欠乏貧乏国に短期間ドルを貸し付ける緊急避難、
それも貧乏国のうち米国債保有国に限定したもので、米国債を売らずにドルを確保できる一時貸し付け。
満期がくれば、元利合計で返済しなければならない。
↑
↑←為替スワップと気取っているが、単なる貸し付けであり借りる国からすれば純粋なドル借金。
為替スワップ(ドル流動性スワップ)と言っているが、アメリカが預かった貧乏国の通貨は市場価値ゼロの紙屑であり踏み倒されたら売却不可能。
故に、NY連銀がいつでも瞬時に没収できる米国債が担保であり踏み倒したら外貨準備金の米国債没収。
通貨スワップ(ドルと紙屑通貨のスワップ)
は
おそらく今現在実施しているのは日本だけ。
地球上唯一我が国の政府が、嘗て統治していた国々の政府の緊急時に通貨スワップと称して莫大なドルを貸し付ける、それも紙屑通貨を担保に。←踏み倒し前提条件で貸してますね。
訂正です。
X 非常時のもの。昔の日米英瑞加欧の本物の為替スワップとは別物。
○ 非常時のもの。昔からの・・・・の本物の為替スワップとは別物。
これは為替スワップという日銀用語が悪いとしか。素直に流動性供給スワップにすればいいのに。
しかしそれを使って民間銀行にウォン買介入させてこそ韓国。明博なら目をつむってもらえたけど、流石に今回は無理だろうな。それで日韓通貨スワップスワップ言ってるんでしょう。
>(例外的に外国紙幣を印刷している国といえば、北朝鮮くらいでしょうか)
シレっと言ってますけど….
犯罪と例外の違いは、為替スワップと通貨スワップの違いよりも遥かに大きいのでは(wwwwww
500円硬貨にそっくりな硬貨を発行している国があったような気が・・・
まあ、「例外」ですね。
紙幣が日本のより一ミリずつ大きい国ですね。わかります。
本日の上念司チャンネルで上念さんが
中央銀行同士のスワップは為替も通貨も同じようなものなので
それほど区別する必要はないと言っていました。
プログ主様の説明でわかったようなつもりでしたが、
また混乱してきました、
上念さんは本当はわかってないのでしょうか
それとも、そんなに区別する必要はないのでしょうか
どなたかご教示ください。
長政様
素人考えですの、間違っている可能性の方が高いのですが、あえて私見を申し上げます。
(むしろ間違いを指摘して頂けると幸いです。)
・上念さんの意見は、国際資金協力としての価値は変わらない。
・新宿会計士様の意見も、国際資金協力としての価値は変わらない。
ただし、為替スワップでは、通貨の暴落を防止する為には使用することが出来ない。
ではないでしょうか?
新宿会計士様は嫌韓でデフォルトを期待している発言かなと。。。
私も、昨年の韓国の反日行動で、このサイトを知ったので、人のこと言えませんが、
オールドメディアの洗脳が強く左翼思想が抜けないので、、、まあ140字文字みたいな人もいますし。是々非々で判断していければと思っています。(説得力がある嘘というのもいっぱいありますしね)
・知的好奇心という意味で、このサイトはとても素晴らしいですよね。
>通貨スワップ…外貨不足に備えて通貨当局同士が通貨を交換する協定
>為替スワップ…民間金融機関の外貨流動性不足に対応するための流動性ファシリティ
>今回の為替スワップについては、たしかに韓国の金融機関などが抱えている短期債務のロールオーバー(借換)ができなくなった際に、その流動性不安を解消するという意味では絶大な効果を発揮しますが、だからといって通貨の暴落を完全に防止するという効果はありません。
奇跡の弾丸様
解説ありがとうございました。
これからも宜しくお願い致します。
上念さんの言うとおり
生真面目な日本じゃないのだから、為替スワップも通貨スワップと同じようにドルを為替介入に使ってますね。
アメリカが約200億ドルも大韓民国の市中銀行に貸してくれなきゃ、大韓民国政府は債務不履行すれすれの市中銀行にドル供給しなければならなくなり、為替介入のドルは枯渇していたことでしょう。
解説ありがとうございます。
通貨スワップは為替の安定に使えるけど、
為替スワップは民間銀行のショート防止用で
為替の暴落には使えないって感じですかね。
解説をありがとうございます。
数回読んで、やっと理解が追い付いてきたような気がします(錯覚かも?)
気になったのが為替スワップに関する日本銀行の英文表記の揺れだったので、興味半分で実際に日本銀行のHPから探して見てみたところ、Liquidity、Bilateral Local Currency swap、Enhanced Bilateralが混在されて表記されていました(Enhancedが通貨スワップでしょうか?)。日本語の表記では為替スワップ一本なのに、確かにこれは分かりづらいですね…。FRBを見ると今回の第三国とのスワップもLiquidity表記で一本化されているのに、なぜ日銀は誤解を招きやすい表記を採用するのでしょうね?
いずれにしても非常に楽しく拝読いたしました。改めて御礼申し上げます。
主様、スワップの4通りの整理、ありがとうございます。昨日、デリバティブとしての為替スワップの略称にFFXとしましたが、先物に引っ張り過ぎの表記ですね。バーゼルのFXSをやんわりと(笑)示されました。懲りずに日本語で「民間の直先外為取引」はいかがでしょうか。
意図して混用する、禍の国やマスコミや「専門家」がケシカランのは当然ですが、混乱を惹起させるような紛らわしい表記をBOJが行うのは何故でしょうかね。是非とも、これからの著作やセミナーなどでも「4種類のスワップを整理」とご発表いただき、世の中に正確な理解が広がるよう期待申し上げます。
ちなみに「FRBが締結したのは為替スワップではなく通貨スワップだ」、というコメントを頂きました。為替スワップや通貨スワップについての記事を執筆していると、だいたい千件に1件くらいの割合で、この手の事実誤認コメントを頂きます。よって、しばらくの間、この記事のリンクをトップページに張っておきたいと思います。