現状で韓国ウォン暴落は生じていないが、リスクは残る

韓国からのキャピタルフライトは現時点において生じていない――。これが当ウェブサイトの現在のとりあえずの見解なのですが、その一方で、経済失政、外交失政に加え、コロナ失策で国民からの不満が高まる文在寅政権が、「起死回生策」として妙な反日・反米政策に踏み切り、その結果、キャピタルフライトが一気に現実化する、という可能性は否定できないと思います。

感染者激増

先ほどの『ウィルス騒動巡り「検査し過ぎている国」がある?』でも触れましたが、韓国で新型コロナウィルスの感染者が連日、激増しています。手元メモによると次のとおり、19日に31人だった感染者数はわずか1週間で一気に40倍に増え、4ケタの大台に乗せた格好です。

  • 19日→31人
  • 20日→104人
  • 21日→204人
  • 22日→433人
  • 23日→602人
  • 24日→833人
  • 25日→977人
  • 26日→1261人

これについて、感染者数が23日に600人の大台を超えた時点で、もし「セルコリア」という状況が発生するとしたら、それはどのような現象なのかについて、簡単な予想を行いました(『感染者数が日本の6倍に 「セルコリア」は続くのか?』参照)。

感染者数が日本の6倍に 「セルコリア」は続くのか?

簡単にいえば、韓国の場合は為替相場の許容レンジ(当ウェブサイト風に言えば「ハビタブルゾーン」)が1ドル=1100ウォン~1200ウォン程度と非常に狭く、1ドル=1200ウォンを超えてつるべ落としのようにウォン安になれば、韓国からのキャピタルフライトも想定できる、とするストーリーでした。

キャピタルフライトは発生せず、

しかし、その答え合わせをしておけば、翌日付の『昨日時点で「セルコリア」の明確な発生はなかったが…』でも報告したとおり、結局、韓国ウォンについては「キャピタルフライトに伴うつるべ落とし」という状況にはなりませんでした。

昨日時点で「セルコリア」の明確な発生はなかったが…

もちろん、株式市場はそれなりに売られていて、昨日の終値は2076.77ポイントで、これは先週末の2162.84ポイントと比べれば4%下落しています。しかし、韓国に限らず、株式市場では数営業日で数パーセント価格が変動することは、べつにおかしな話ではありません。

繰り返しになりますが、いまからちょうど1年前の『「韓国経済崩壊」論、本当の脅威は株価暴落ではなく外貨不足』で示したのが、「株が売られてもその国の経済が崩壊するというものではなく、むしろ外貨建債務の借り換え(ロールやリファイナンス)ができなくなる場合に注意」、という考え方です。

「韓国経済崩壊」論、本当の脅威は株価暴落ではなく外貨不足

したがって、とくに韓国のように外国から1000億ドルを超える外貨建短期債務を調達している国の場合だと、為替相場が下落し、短期債務を調達している企業の借り換えができなくなる事態に警戒が必要であり、その意味で為替相場が注目に値するのです。

もっとも、その後も為替相場をチェックしているのですが、昨日、為替介入らしき動きも垣間見えたものの、あからさまな「ワロス曲線」は観測できず、韓国の為替相場は1ドル=1210~1220ウォンの状況で踏みとどまっています。

言葉は悪いのですが、意外と「しぶといな」、というイメージです。

先行き不透明

もっとも、日韓関係の悪化、米韓同盟の悪化、中国経済の減速、世界的な半導体価格下落、といった状況に加え、このコロナウィルス・ショックです。

これに加えて文在寅(ぶん・ざいいん)大統領は、この4月に行われる総選挙の動向を気にしなければならない状況にあるのですが、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に昨日掲載された記事によれば、韓国国内では文在寅氏に対する弾劾という声が強まっているようです。

「文大統領弾劾」青瓦台の国民請願が20万人超(2020.02.26 08:14付 中央日報日本語版より)

もちろん、韓国の憲法上、「青瓦台(=韓国大統領府)の国民請願」で署名が集まったからといって、大統領の弾劾が始まるというものではありませんが、それでも有権者の声という意味では、文在寅氏を含めた政権関係者に対しては、それなりのプレッシャーとなり得ます。

自称元徴用工問題を巡る日本企業の資産売却、日本の輸出管理適正化措置撤回要求、日韓GSOMIA破棄問題など、日韓間には韓国側が「このままだと日韓関係を破壊するぞ!」と一方的に脅しているネタがいくつかあります。

もちろん、これらは単なる「瀬戸際外交」だと思いたいのですが、それでも経済失政や外交失政に加えて「コロナ失策」が響けば、文在寅氏が「魔法の切り札」としての反日カードを切ってくる可能性は否定できません。

資産売却なら日本政府が、GSOMIA破棄なら米国政府が、それぞれ対抗措置を発動するでしょう。さらには、これまでの韓国の行為に不満を抱いた米国が、総選挙前のタイミングを狙い、韓国を「通貨でお仕置き」する、という展開も排除し切れません。

その意味では、コロナの裏で、隣国のキャピタルフライトリスクという不気味な予感がしばらく残りそうな気配です。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. クロワッサン より:

    更新ありがとうございます。

    >もちろん、これらは単なる「瀬戸際外交」だと思いたいのですが、それでも経済失政や外交失政に加えて「コロナ失策」が響けば、文在寅氏が「魔法の切り札」としての反日カードを切ってくる可能性は否定できません。

    アニメやマンガでは自分の血で魔法陣や呪印で書くシーンもありますし、血判状という文化もあります。

    「生贄をより捧げれば見返りも大きい」と考え、「手首を切り、自分の血による呪いを込めた外交カードを切る」のは、韓国としては意外と「アリ」だと思うのです。

  2. だんな より:

    最近ウォンの動きで気になるのは、アジア時間で売られている所です。欧米時間では、それほど動いていません。
    前は、アジア時間は辛抱して、欧米時間で抜かれるパターンだったのが、変わっている様に思います。
    という事で、今は韓国人のウォン売り、ドル買いが有るのではと妄想しています。

  3. イーシャ より:

    ウォン暴落の時期については2日ほど前から仮説が浮かびつつあるのですが、うまく表現する言葉が見つかっていません。
    表現できるようになったら、夜にでもコメントとして投稿します。

    1. だんな より:

      イーシャさま
      それは楽しみなのです♪

  4. めがねのおやじ より:

    更新ありがとうございます。

    韓国がこのままの追い詰められた状態なら文大統領は、4月の総選挙に勝たねば政権運営が難しくなる。その為、日本には自称強制徴用工問題で、日本企業資産の売却を「超法規的手段」で強行し、GSOMIA破棄を言い出して米国の不興を買う、というのはあり得ますね。

    このコロナウイルスが「文・進歩派の背中をちょっと押す」伏線になるかもしれない。そうなると一気に韓国は無政府状態になる。見てるだけなら面白ですね。

  5. ピークを過ぎたソフトエンジニア より:

    既にいくつかの導火線に火が付いていて、それを消すのが最優先のはずなのに、自分から火を点けなきゃ危険のないGSOMIAや資産売却という導火線にライターの火を近づけながら、日本に「どうにかしろ」と瀬戸際外交を仕掛けるイメージです。
    いやいや、そんなことしてると、本当に間違って火がついちゃうよ、という。

  6. だんな より:

    KOSPIは、外国人投資家の資金が引き上げられています。
    韓経:外国人投資家「韓国証券市場脱出」…3日間で2.4兆ウォン売った
    https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200227-00000005-cnippou-kr
    以下引用します。
    26日のKOSPI指数(韓国総合株価指数)は26.84ポイント(1.28%)下落の2076.77で取引を終えた。外国人投資家が8839億ウォン相当を売り越して指数を引き下げた。この日の売り越し規模は2013年6月13日の9551億ウォン以来の水準だった。24日から3日間の累積売り越し額は2兆4343億ウォンに達する。外国人は投資家サムスン電子とSKハイニックスなど大型半導体銘柄を中心に大挙売りに出している。
    引用ここまで。
    外国人投資家は、今週毎日800億円位ずつ抜いているようです。
    韓国株式の市場規模が、約70兆円ですので、まだまだでしょう。

  7. H より:

    おまえはもうすでに死んでいる、状態かも
    足掻くだけ足掻いて突然死がふさわしい

    それまでの時間差に何が起こるか楽しむ
    トランプも何が起こるか見てみようと
    予告していたような…

  8. だんな より:

    ウォンが1217まで行きましたが、少し戻ってます。
    KOSPIは、朝の2060に戻ってます。

  9. 非野阿礼 より:

    >>言葉は悪いのですが、意外と「しぶといな」、というイメージです。

    韓国人全員がコロナウイルスに感染し、マスクなしの低賃金で働き続けて「利益」を出して行けばキャピタルフライトどころか資本注入(当然日本も)は続くのでは無いでしょうかね。

  10. 心配性のおばさん より:

    パラサイトでしたっけ、アカデミー賞受賞した韓国映画です。
    自虐ネタでは、あの国の右に出る者はありません(笑)。
    それに、トランプ大統領がいたくご立腹とか。

    韓国には舌も出してはいかんということらしいです(笑)。
    そんなに正直で大丈夫?と思ってしまいます。

    嘘つき。裏切者。とみなしている文在寅大統領個人への嫌悪感が、”坊主憎けりゃ・・”の”袈裟”である韓国映画にも波及してしまいました。それでも、在韓米軍撤収をギリギリ踏み止まっているというのは危うい景色です。

    あの国の有事は、日本にとって迷惑以外の何物でもありませんので、できれば、難民という元気もなくなる形で終焉して頂きたいです。あら、嫌だ。はしたない(恥)。

    1. 山田内膳 より:

      心配性のおばさん様

      内藤陽介氏のパラサイト論評をYou Tubeで見ましたが、社会面から鋭く分析していました。一見の価値アリです。
      私は映画を見る予定はありませんが...

  11. だんな より:

    今日も、アジア時間で売られて、今戻しています。
    ウォンを売っているのは、韓国人に思えてなりません。

  12. イーシャ より:

    昨日予告した、ウォン暴落時期についての考察です。
    会計士様に許可いただいたので、元記事 (自分のブログ) へのリンクも張っておきます。
    元記事の方は、誤字脱字の修正や、説明不足な部分があれば追記することがあります。

    私のブログ記事 “ウォンドルが飛んでゆく時期を考察する” より転載。
    ===
    1USD=1200W を越えた後、なかなかの粘りを見せているウォンドルが飛んでゆくには、
    しばらく時間がかかりそうです。
    それには、2つのパターンがありそうです。
    いずれのパターンも、韓国政府による為替介入のための外貨準備が尽きることを前提としています。

    1. 実需による場合
     コリアエクソダスによるウォン売りがきっかけとなる場合。
     これは、いつ起こるか予想できません。
     そもそも、韓国当局が発表している外貨準備高そのものが、信頼できないものですから。

    2. 意図的に仕掛けられる投機的なウォン売りがきっかけとなる場合
     投機筋のウォン売りに提灯[ちょうちん]がつき、一気にウォン売りが加速する場合。
     これが起きるには、ウォン売りが美味しそうに見える必要があります。
     今は、世界の株式市場など流動性が大きな市場でボラティリティが非常に大きくなっており、
     そちらに注目が集まっています。
     そんなご馳走があるなか、わざわざ蝙蝠を餌にする必要はありません。
     これでは提灯はつきません。
     投機筋が韓国ウォンに目をつけるには、まだ時期尚早だと思われます。
     ハゲタカが蝙蝠に狙いをつける時期としては、2つの可能性が考えられます。
     (1) ご馳走を食い尽くし、他に餌がなくなるとき
       武漢肺炎騒ぎとその余波がある程度収まれば、大部分の市場は落ち着きを取り戻すでしょう。
       そのとき、弱り切った蝙蝠は、絶好の餌として食い散らされるでしょう。
     (2) 蝙蝠が香ばしい匂いを放つとき
       ・GSOMIA が破棄される
       ・日本企業の資産が売却され、日本が韓国に経済制裁を加える
       ・米韓駐留費交渉が決裂し、米軍が韓国を見捨てる
       ・格付け機関が韓国国債や韓国企業を一斉に(大幅に)格下げする
       など、注目を集める事態が発生すれば、蝙蝠は他に先立って食い散らされるでしょう。

    1. だんな より:

      イーシャさま
      読ませていただきました。
      色々な話の、公約数的な内容だと思います。
      もっと無責任な妄想が、欲しかったです。

      先程、コスピが1990で、ウォンが1217です。
      私は、今回のコロナウイルスの影響だけで、風が吹いて倒れそうな気がして来ました。
      まだまだ世界的な株安は、収まる気配が有りません。
      この流れが、一ヶ月も続けば、元々体力の弱い国から、倒れていくと思います。
      それ以外にも破綻要因は、ウォン安、株安、デフォルト、家計債務、企業の業績悪化による連鎖倒産、マンションバブルなど盛り沢山で、何処から火がつくかは、分かりません。 
      一旦火がつけば、爆竹のように、連鎖すると思います。

      1. イーシャ より:

        だんな 様

        つまらなかったニカ?
        ウリはこれに気付いてウォン相場を見るのをやめたニダ。

        「提灯がつく」という表現を初めて知ったニダ。

        1. だんな 晩酌中 より:

          イーシャさま
          ウォンとコスピが1500になれば、もうダメでしょうから、見た方が良いと思います。
          今の私の妄想は、韓国人がウォンを売って、外国人が株を売って、ウォンをドルに変えるのは、欧米時間という事です。また、今日もこの時間にウォンが少し戻ってますので、いつものウォン安と違うと思います。月末に1200に戻せないとKIKOも有ります。
          また今回は、ウォン安、株安で普通に逝くんじやないかなと、願っています。 
          まだ始まったばかりですよ。
          この時期に選挙だからといって、現金化してみなさい、馬鹿、大爆発と笑うでしょう。

  13. だんな より:

    コスピが、2000を割りました。

  14. 愛読者 より:

    韓国は政府や年金の買い支えて下げ幅は少ないですが,アメリカのダウの下げのほうがすごいですね。でも,投資家から見ると,ダウや日経平均のように素直に下げてくれたほうが,利益が出しやすいです。上でも下でも,大きく動いてくれれば(事前の方向予想を間違えなければ)容易に利益が取れます。韓国のように動かない相場はダメです。

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