通貨・為替スワップに関する雑学:人民元建てスワップの伸長
先日、『ブレグジットの混乱で日英為替スワップは発動されるのか?』で、日本と英国の為替スワップが発動される可能性を議論しました。この通貨スワップ、為替スワップなどの論点は、当ウェブサイトで継続的に追いかけているテーマの1つですが、英欧為替スワップについて取り上げたついでに、日本以外の国の主な通貨スワップや為替スワップについても調べたくなりました。そこで、本日は「米墨通貨スワップ」や人民元建ての通貨スワップ、為替スワップなどについて、その概要を眺めておきたいと思います(※なお、日本には全く関係ない話ですが、本稿の末尾では中韓通貨スワップの「中国から見た使い方」についても記しておきます)。
目次
為替スワップの発動
当ウェブサイトでは先日、英国の欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)に備えて、欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(BOE)が先月、英欧間のスタンドバイ為替スワップ協定を発動した、という話題を紹介しました(『ブレグジットの混乱で日英為替スワップは発動されるのか?』参照)。
この英欧為替スワップ(英ポンド・ユーロのスワップ)は、英国の銀行が市場の混乱に備えてECBからBOEを経由して直接、ユーロの借り入れができるという制度であり、実際の借入条件は1週間物レポ取引(債券貸借取引)形式で行われます(つまり借入期間は1週間)。
ただ、先日もお伝えしたとおり、現時点においてユーロを借り入れた英国の銀行はそれほど多くないらしく、BOEのサイトによると、引き出し額も3週間経過時点でわずか1500万ユーロに過ぎません(第1週で1000万ユーロ、第2週で500万ユーロ、第3週は貸出なし)。
さらには、米英為替スワップ(つまり米ドル・英ポンドのスワップ)に至っては、2009年11月25日の1300万ドルを最後に、現時点まで一切発動されていません。金融市場は意外と冷静さを維持している、という証拠の1つです。
ただ、今後、仮に市場が混乱した場合には、英国の銀行が米ドルやユーロといった外貨の借入を増大させる可能性は十分にありますし、場合によっては日本銀行との間の「日英為替スワップ」も発動されるかもしれません。
スワップあれこれ
世界の通貨スワップ、為替スワップは?
ところで、通貨スワップや為替スワップなどの「スワップ」とは、いったい何でしょうか?
当ウェブサイトでは『通貨スワップと為替スワップについて、改めて確認してみる』など、いくつかの記事の中で説明したとおり、簡単にいえば、「中央銀行などの通貨当局どうしが通貨を融通しあう協定」のことです。
といっても、スワップにはいくつかの種類があります。大きく分けて、
- ①二ヵ国間ドル建て通貨スワップ
- ②二ヵ国間自国通貨建て通貨スワップ
- ③二ヵ国間為替スワップ
- ④多国間通貨スワップ
の4種類です。
このうち、もっとも基本となるのは①の契約です。
これは、日本など外貨準備を豊富に持つ国が、外貨不足に悩む国に対し、相手国の通貨を担保に米ドルを貸し出す、というものであり、その代表例は日本が主導する形で、2000年5月、タイ・チェンマイの「ASEAN+3」会合で成立した「チェンマイ・イニシアティブ(CMI)」にあります。
ただし、CMIは④で述べる「CMIマルチ化協定」(CMIM)に発展的に解消したため、現在、アジア諸国で残っている米ドル建てのスワップ取引は、図表1のとおり、その多くは日本が提供するスワップです。
図表1 日本が外国と締結する通貨スワップ(BSA)
相手国 | 日本から相手国へ | 相手国から日本へ |
---|---|---|
インドネシア | 227.6億ドル | なし |
フィリピン | 120億ドル | 5億ドル |
シンガポール | 30億ドル | 10億ドル |
タイ | 30億ドル | 30億ドル |
インド | 750億ドル | 750億ドル |
合計額 | 1157.6億ドル | 795億ドル |
(【出所】財務省『アジア諸国との二国間通貨スワップ取極』および日本銀行HPより著者作成)
この①のタイプのスワップを、一般に “Bilateral currency Swap Agreement” と呼び、「BSA」と略すこともあります。
ローカル通貨建てスワップ
ただし、図表1においてインド以外とのスワップについては、相手国は米ドルでも通貨を受け取ることができることに加え、日本円でも通貨を受け取ることができます。このように米ドル以外の二ヵ国間通貨スワップのことを、「二ヵ国間自国通貨建て通貨スワップ」と呼びます。
つまり、インドネシア、フィリピン、シンガポール、タイの4ヵ国については、米ドルだけでなく、日本円でも外貨を受け取ることができるのです。ただ、日本円だと米ドル、ユーロと並ぶ世界的なハード・カレンシーですが、なかには受け取ってもまったく使い物にならないスワップもあります。
ここで、「二ヵ国間自国通貨建て通貨スワップ」を締結している国の例として、インドネシアを挙げましょう。図表2のとおり、インドネシアが締結しているスワップの多くは、自国通貨(ルピア)と引き換えに、相手国の通貨を受け取る、というものです。
図表2 インドネシアのスワップ相手国の例(自国通貨建てスワップ、日本以外)
相手国 | 交換条件 | 上限額 |
---|---|---|
オーストラリア | 豪ドルと尼ルピアの交換 | 100億豪ドル・100兆ルピア相当額 |
中国 | 人民元と尼ルピアの交換 | 2000億人民元(300億ドル相当額) |
韓国 | 韓国ウォンと尼ルピアの交換 | 10.7兆韓国ウォン・115兆ルピア |
シンガポール | Sドルと尼ルピアの交換 | 95億S$・100兆ルピア |
(【出所】インドネシア中央銀行ウェブサイト、シンガポール通貨庁ウェブサイト等より著者作成)
このように、ローカル通貨建てのスワップを、 “Bilateral Local Currency swap agreement” と呼びますが、BSAのように3文字で略すならば、さしずめ「BLC」、といったところでしょうか。
インドネシアが通貨危機に陥った場合、使い物になるスワップは、図表1に示した日本との227.6億ドル相当のスワップと、図表2に示したオーストラリアとの間の100億豪ドル相当のスワップ、シンガポールとの95億Sドルのスワップの3つです。
これに対して、中国の通貨・人民元も、韓国の通貨・ウォンも、国際的な金融市場で使い物にならず、正直あまり役に立ちません。いや、それどころか、中国が通貨危機に陥った場合には中国から、韓国が通貨危機に陥った場合には韓国から、それぞれ通貨を引き出されてしまうかもしれません。
とくに、中韓が通貨危機に陥った場合、相手国はインドネシアからルピアを引き出したら、それを目いっぱい、外為市場で売却してドルに換え、自国通貨の防衛に使うかもしれません。そうなれば、市場の薄いインドネシア・ルピアは、あっという間に米ドルに対して暴落するリスクがあるといえるでしょう。
これを「ローカル通貨」と呼べるのか?
余談ですが、「自国通貨建て通貨スワップ」については、米国も「NAFTAスワップ」というものを保持しています。といっても、カナダとのスワップは事実上、期間・金額無制限の為替スワップに置き換えられたため(後述)、現時点で米国が保持する通貨スワップは、メキシコ相手のものだけです。
米国が保持する通貨スワップ
- 相手国:メキシコ
- 上限:90億米ドル
しかも、あまり報じられていませんが、この米墨通貨スワップは、昨年10月17日に上限額がそれまでの30億ドルから3倍の90億ドルに引き上げられました。米国とメキシコといえば、「国境の壁」建設などで関係が悪化している、というイメージもあるのですが、現実には金融協力は進んでいるのです。
ただし、当ウェブサイト的には、これを「ローカル通貨建てスワップ」と呼ぶべきなのか、「米ドル建てスワップ」と呼ぶべきなのかが悩みどころです(※ま、どっちだって構わないのですが…)。
為替スワップ
本論に戻りましょう。
一方、これらの通貨スワップと異なり、「民間の銀行に対しておカネを貸すこと」を目的としたスワップが、「為替スワップ」です。その代表例が、先日から紹介している主要国同士の協定です。
主要先進国同士の為替スワップ
- 参加国・銀行…米連邦準備制度理事会(FRB)、カナダ銀行(BOC)、イングランド銀行(BOE)、日本銀行(BOJ)、欧州中央銀行(ECB)、スイス国民銀行(SNB)の6銀行
- 金額・期間…無制限
また、日本の場合、米・英・欧・加・瑞の5ヵ国以外との間でも、オーストラリア、シンガポール、中国の3ヵ国と為替スワップを締結しています。これをまとめると、図表3のとおりです。
図表3 日本銀行が外国銀行と締結する為替スワップ
相手国・通貨 | 日本円(上限) | 相手国通貨(上限) |
---|---|---|
米国(米ドル) | 上限なし | 上限なし |
ユーロ圏(ユーロ) | 上限なし | 上限なし |
英国(英ポンド) | 上限なし | 上限なし |
スイス(スイスフラン) | 上限なし | 上限なし |
カナダ(カナダドル) | 上限なし | 上限なし |
オーストラリア(豪ドル) | 1.6兆円 | 200億豪ドル |
シンガポール(Sドル) | 1.1兆円 | 150億Sドル |
中国(人民元) | 3.4兆円 | 2000億元 |
(【出所】日銀『海外中銀との協力』のページより著者作成)
こうした為替スワップは、諸外国でも締結しています。たとえば、米国はカナダ、英国、日本、欧州、スイスと為替スワップを結んでいますし、英国はカナダ、日本、欧州、米国、スイスとスワップを結んでいます。
日本以外の主要国の場合も、図表4に示したとおりです。
図表4 日本以外の為替スワップ契約
契約当事者 | 交換条件 | 上限 |
---|---|---|
米、加、英、日、欧、瑞 | 各国の通貨 | 無制限 |
カナダと韓国 | 加ドルと韓国ウォン | 無制限 |
ECBとスウェーデン | ユーロとスウェーデン・クローナ | 100億ユーロ |
(【出所】BOC、ECBウェブサイト等より著者作成)
ただし、この為替スワップ協定は、一般に金融活動が活発な国同士で締結されるものです。
たとえば、北欧・スウェーデンは欧州連合(EU)加盟国であり、かつ、貿易面でもユーロ圏との結びつきが強く、いくつかの国際的な銀行を抱える国ですが、ユーロには加盟していません。このため、スウェーデンはECBとの間で為替スワップを結ぶことで、金融の安定を図っているのです。
これに対してカナダと韓国は2017年秋に為替スワップを締結しましたが、正直、カナダに進出している韓国の銀行や、韓国に進出しているカナダの銀行が、それほど多いとも思えません。このため、「加韓為替スワップ」は事実上、有名無実化していると考えて良いでしょう。
世界に広まらない、CMIMの仕組み
一方、これらの「二ヵ国間」の枠組みと異なり、「多国間」の通貨スワップ協定もありますが、その代表例が「チェンマイ・イニシアティブ・マルチ化協定」(CMIM)です(図表5)。
図表5 CMIM
国 | 拠出額 | 引出可能額 |
---|---|---|
日本 | 768億ドル | 384億ドル |
中国(※) | 768億ドル | 405億ドル |
韓国 | 384億ドル | 384億ドル |
インドネシア、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン | 各 91.04億ドル | 各 227.6億ドル |
ベトナム | 20億ドル | 100億ドル |
カンボジア | 2.4億ドル | 12億ドル |
ミャンマー | 1.2億ドル | 6億ドル |
ブルネイ、ラオス | 各0.6億ドル | 各3億ドル |
合計 | 2400億ドル | 2400億ドル |
(【出所】財務省・2014年7月17日付ウェブサイト「別添2」。ただし、中国については香港との合算値。また、香港はIMFに加盟していないため、中国の引出可能額に占める「IMFデリンク」の額は他の国と異なる)
この仕組みは、多国間で作るものであり、いずれかの国で通貨危機が発生しそうになったときに、加盟国全部で助ける、というものです。
ただ、この「多国間通貨スワップ」について色々調べてみたのですが、ECBのレポート “Central Bank Swap Lines” によると、どうも現状で見る限り、世界にはCMI以外に主だった仕組みは存在しないようです。
どうしてこの仕組みが世界に広がらないのかについては謎というほかありません。
人民元≠国際通貨
人民元建てのスワップが増えている!
さて、世界の金融システムの脆弱さを突く形で、近年、急激に伸びているのが、人民元建ての通貨スワップと為替スワップです。
中国はECBや英国、オーストラリアなどと2000~3500億元という巨額の通貨スワップを締結しているほか、マレーシア、インドネシアなどの一部のASEAN諸国ともスワップを保持しています。
これについて、相手国の中央銀行などの情報源から調査し、「銀行に対する流動性供給」という文言が確認できたものを「為替スワップ」、それ以外を「通貨スワップ」に分類した結果が次の図表6と図表7です。
図表6 主な人民元建ての通貨スワップ
契約当事者 | 人民元の上限 | 相手通貨と上限 |
---|---|---|
英国(BOE) | 3500億元 | 英ポンド(上限不明) |
スイス(SNB) | 1500億元 | 210億フラン |
カナダ(BOC) | 2000億元 | 300億加ドル |
豪州(RBA) | 2000億元 | 400億豪ドル |
ニュージーランド準備銀行 | 250億元 | NZドル(上限不明) |
マレーシア国立銀行 | 1800億元 | 1100億リンギット |
ロシア連邦中央銀行 | 1500億元 | ルーブル(上限不明) |
インドネシア銀行 | 2000億元 | ルピア(上限不明) |
ブラジル中央銀行 | 1900億元 | 300億レアル |
アルゼンチン中央銀行 | 1300億元 | アルゼンチンペソ(上限不明) |
韓国銀行 | 3600億元 | 64兆韓国ウォン |
(【出所】ブラジル以外についてはいずれも各国中央銀行ウェブサイト。ただし、スイス(SNB)、カナダ(BOC)、ブラジル、韓国の各国については、すでに失効している可能性あり。)
図表7 主な人民元建ての為替スワップ
契約当事者 | 人民元の上限 | 相手通貨の上限 |
---|---|---|
ECB | 3500億元 | 450億ユーロ |
香港金融管理局 | 4000億元 | 4900億香港ドル |
シンガポール通貨庁 | 3000億元 | Sドル(上限不明) |
日本銀行 | 2000億元 | 3.4兆円 |
(【出所】各国中央銀行ウェブサイト)
1元=16.6円で計算すると、1000億元といえば約1.66兆円です。
図表6と図表7に掲載した通貨スワップと為替スワップは、中国人民銀行が締結しているものを網羅したものではありませんが、ここに挙げたものだけを合計すると約3.4兆元(つまり約56兆円)にも達している計算です。
ちなみに、英国とのスワップについては「通貨スワップ」なのか「為替スワップ」なのかよくわかりませんが、BOEのウェブサイト上、「銀行に対する流動性供給」という文言がなかったので、ここでは「為替スワップ」ではなく「通貨スワップ」として扱っています。
また、スイス、カナダ、ブラジル、韓国については、古いプレスリリースしか残っておらず、現時点では失効している可能性が高いと思いますが、「失効している」という文言が現時点で確認できなかったため(※これは私の調査不足です)、いちおう、図表には掲載しています。
元建てスワップで使い物になるのは為替スワップのみ
ただ、中国は積極的に人民元建てスワップ戦略を活用しているように見受けられるものの、正直、「人民元建て通貨スワップ」は国際金融市場で使い物になりません。
その理由は簡単で、ある国が通貨危機に陥った際に、中国との通貨スワップを発動しても、得られるおカネは米ドルではなくて人民元だからです。その人民元を市場規模の小さい香港などのオフショアで米ドルに両替しようとすると、おそらくオフショア人民元市場がパンクしてしまいます。
しかし、為替スワップとなると、話は別です。
通貨スワップは通貨当局が外貨を得るための手段ですが、為替スワップは「民間銀行が」人民元を得るための手段だからです。人民元にはマトモな市場が存在しないため、民間銀行が人民元の資金ショート状態に陥った際に、為替スワップがあれば人民元を得ることができます。
たとえば、中国本土で支店を開設し、銀行業務を営んでいる日本の民間金融機関にとっては、閉ざされた中国という資本市場で、「何か大変なこと」が発生した際に、日銀が直接、中国人民銀行から最大2000億元を引き出して民間金融機関に貸し付けることができるのです。
これは非常に大きな効果でしょう。
一応、私が調べた限りでは、主要国で中国と為替スワップを締結しているのは、ECBと日銀を除けば、香港金融管理局(HKMA)とシンガポール通貨庁(MAS)だけのようです。
ただし、図表6上、英国、スイス、カナダ、豪州、ニュージーランドの5ヵ国の場合は、「通貨スワップ」のカテゴリーに区分していますが、これらの国が通貨危機に陥るという可能性はそれほど高くありません。なぜなら、いずれの国の通貨も「ハード・カレンシー」と呼ばれている、国際的に広く通用する通貨だからです。
このため、これらの5ヵ国とのスワップは、事実上、「通貨スワップ」というよりも「為替スワップ」としての性質があると考えた方が良いのかもしれません。
(※なお、図表6と図表7は暫定のものであり、今後、私自身が調査を進める中で、図表を修正する可能性があることについてはお含みおきください。)
中韓通貨スワップは消滅?存続?
ところで、先ほどの図表6、図表7を眺めると、中国が外国と締結しているスワップのなかで、金額で見て最大のものは香港(HKMA)との4000億元・4900億香港ドルの為替スワップですが、2番目に大きなものは、韓国銀行との3600億元・64兆ウォンの通貨スワップです。
この3600億元は、ECBや英BOEとのスワップ(各3500億元)を上回るものであり、米ドルに換算すれば536億ドルという巨額に達しています(※ただし1ドル=6.7122元で計算)。
図表8 韓国が外国と締結しているスワップ
相手国 | 交換条件 | 米ドル換算額 |
---|---|---|
インドネシア | 115兆ルピア/11兆ウォン | 81億ドル |
マレーシア | 150億リンギット/5兆ウォン | 37億ドル |
スイス | 100億スイスフラン/11.2兆ウォン | 100億ドル |
オーストラリア | 100億豪ドル/11兆ウォン | 71億ドル |
通貨スワップ 計(除く中国) | 289億ドル | |
中国 | 3600億元/64兆ウォン | 536億ドル |
通貨スワップ 計(含む中国) | 825億ドル | |
CMIM | 384億ドル | |
カナダとの為替スワップ | 無制限 | 無制限 |
(【出所】各中央銀行の報道発表等をもとに著者作成。ただし、米ドル換算にあたっては2019年4月3日時点のWSJの各通貨終値を利用)
韓国ではいまだに、「中国との通貨スワップについては消滅しておらず、継続している」と信じられているようですが、そう信じたい理由は、何となくわかる気がします。というのも、中国との通貨スワップは昨日の相場で換算して536億ドルと、韓国全体の通貨スワップ(含む中国)の65%に達しているからです。
このスワップが失効したのは2017年10月のことですが、当時、韓国の企画財政部長や中央銀行総裁などが「中韓両国は口頭で通貨スワップ協定延長に合意した」などと述べて、全世界から「そんなわけあるかい!」などとツッコミを喰らっていたのは微笑ましい思い出です。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ただ、考え様によっては、中国としては韓国が通貨危機に陥った際には「そんな協定は存在しない」とスワップの引出を拒絶し、自国が通貨危機に陥った際には「口頭で延長に合意した中韓スワップに従ってウォンを明け渡せ」と命令する、ということも考えられます。
すなわち、中国が自国の通貨危機を回避するために、韓国からウォンを引き出して即座に国際金融市場で売却し、500億ドル近い米ドルを手にして為替介入原資にする、ということです。当たり前ですが、このようなことが行われれば、韓国は通貨暴落に直面するでしょう(日本には関係のない話ですが)。
※もっとも、中国ほどの経済規模だと、500億ドル少々のスワップなど焼け石に水かもしれませんが…。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
記事全文が見えています。『(さらに・・・)』ボタンをお願いします。
中韓通貨スワップの存在を中国側が明確に否定しない理由が良く解りました。
*****
インドネシアの通貨スワップで下記の状況は、あり得ますか?
① 中国・韓国:自国の通貨防衛のために「ルピア」を売却
② インドネシア:自国の通貨防衛のために「円」を売却
つまり①の通貨救済のため間接的に「円」の通貨力が利用される。
ま、普通に考えたら経済規模からみても
①インドネシア:自国の通貨防衛のために「円」を売却・・の順となるんでしょうけどね。
こうしてみると日中間スワップは、韓国に対する間接的制裁としての機能もありますねえw
額として日本の経済がどうこうなるレベルのものでもなし、中国で元が調達できないような事態の時に中国を助けられる様な額でもなし、冷静に考えれば日中間スワップはそれほど悪いものではありません。
ローカル通貨同士のスワップでは、相手国通貨を為替介入に使うという事は、まず無いと思います。おそらくは、それを協定で禁じている場合が多いと思いますし、もしした場合は、全く同じ事を相手国にやり返される可能性があります。
それに、スワップで得た通貨は数カ月後(長くて1年以内)には返す必要がありますし、外貨が枯渇しかけて入手した、なけなしの外貨を自国通貨買いに使ってしまうのは、うまくいけば良いですが失敗する危険性も高く、相当なギャンブルです。言ってみれば、生活費のために借りた金をギャンブルにつぎ込んで一発逆転を狙うようなもの。
まあ、中韓は普通では考えられない事をやる場合もあるし、可能性はゼロでは無いですが。実際韓国は米韓スワップでこれをやってアメリカが激怒し、以降スワップを結べなくなったという話を聞いたことがあります。