米韓同盟消滅危機を受け「見捨てないで」と哀願する中央日報
以前、『名著「米韓同盟消滅」でレーダー照射問題を読み解いてみる』で、日本経済新聞社元編集委員の鈴置高史氏が執筆し、昨年10月に刊行された『米韓同盟消滅』(新潮新書)をベースに、日米韓3ヵ国連携は「誰がやめると言い出すか」というゲームになっている、という説を紹介しました。こうしたなか、『オピニオン誌『正論』の鈴置説 そして議論の流儀』などで紹介した「鈴置説」そのままの呆れた社説を、韓国の「保守系」(?)のメディアである『中央日報』(日本語版)に発見しました。自分で米韓同盟を危機に追いやっておきながら、いざ見捨てられそうになったらこうやって哀願するのでしょうか?
中央日報の呆れた社説
この期に及んで、いったい何を甘いことを言っているのでしょうか?
私が呆れているのは、土曜日に韓国メディア『中央日報』(日本語版)に掲載された、次の社説です。
【社説】「終戦」に言及の米国、韓米連合体制は保証すべき(2019年02月02日10時23分付 中央日報日本語版より)
「米韓同盟の終焉が視野に入っている」という兆候については、「韓国観察者」である鈴置高史氏の論考を含め、当ウェブサイトでもずいぶんと紹介して来ました。
中央日報は韓国を代表する「保守メディア」(?)なのだそうですが、その中央日報が堂々と米韓同盟終了を懸念する社説を掲載したというのは、時代の変化の兆候といえるかもしれません。
内容を私の文責で簡単に要約し、箇条書きにしておきましょう(※日本語表現は適宜修正しています)。
- (米国務省のスティーブン・)ビーガン北朝鮮担当特別代表は金曜日の公演で、「トランプ大統領は朝鮮戦争を終わらせる準備ができており、北朝鮮侵攻や政権転覆を追及しないはず」「北朝鮮が核廃絶を完了し、制裁が解除されれば、米朝平和条約が締結されるだろう」と述べた
- ビーガン代表は、今回の交渉が失敗すれば軍事オプションを含む米国の重要な対応(コンティンジェンシープラン)が避けられないとも述べたものの、米国はFFVD(包括的で完全に検証された北朝鮮非核化)と引き換えに終戦宣言と経済支援パッケージを準備していると明らかにした格好だ
- 仮に終戦宣言が実現した場合、在韓米軍駐留の名分は薄れ、米韓同盟は大幅に弱まる。米下院が先月30日に「米韓同盟支持法」を発議したのは、北朝鮮の考える朝鮮半島非核化は在韓米軍撤収までも念頭に置いているからだ
- 北朝鮮が米国の提示した目標に復帰する流れは幸いだが、北朝鮮の非核化には懐疑論も強い。したがって、韓国政府は米朝核交渉に韓国の立場を積極的に反映する外交的な努力をしなければならず、北朝鮮の非核化が完了するまでは米韓連合防衛体制が揺れるようなことがあってはならない
現状認識はだいたい正確
この中央日報の社説については、最後の下りを除けば、現状認識としてはだいたい正確な記事だと思います。
北朝鮮のCVID(※)方式による非核化は日米を中心とする国際社会の強い目標でもありますが、昨年6月12日の米朝首脳会談以降、北朝鮮の非核化にはほとんど進展がない状況にあります。
(※「CVID」とは、「完全な、検証可能な、かつ不可逆な方法での廃棄」(Complete, Verifiable and Irreversible Dismantlement)のこと。)
こうしたなか、まだ公開されていない国連報告書をベースに、先月、日本の複数の大手メディアが「北朝鮮が核開発を続けている」などといっせいに報じましたが(おそらくリーク元は日本政府だと見ています)、これも北朝鮮が核開発を諦めていない証拠と見て良さそうです。
また、ビーガン氏を巡っては、先週は『ワシントンタイムズ』(※名前が似ている『ワシントンポスト』とは無関係のメディア)が「日米欧・韓国などが基金を拠出する」という案を報じています(『「北朝鮮の核放棄に日米欧が数十億ドル」という奇妙な記事』参照)。
北朝鮮が核放棄に応じるかどうか、米国が北朝鮮の核武装を認めるかどうか、といった観点からは、おそらく、今月末に予定されている2回目の米朝首脳会談までに、虚実ないまぜで何度もメディアに登場するはずです。
ただ、1つだけ間違いないのは、少なくとも文在寅(ぶん・ざいいん)政権下の韓国で、米韓同盟が消滅の危機に瀕しているという点でしょう。
私が以前から引用する「鈴置説」も参考にして考察すれば、米国は米韓同盟を北朝鮮との核交渉のカードにしていて、ありていに言えば、「米韓同盟」「日米韓3ヵ国連携」を破棄することを、北朝鮮の核廃絶との交換条件にするという可能性もあると思います。
以前、『名著「米韓同盟消滅」でレーダー照射問題を読み解いてみる』で、日本経済新聞社元編集委員の鈴置高史氏が執筆し、昨年10月に刊行された『米韓同盟消滅』(新潮新書)をベースに、日米韓3ヵ国連携は「誰がやめると言い出すか」というゲームになっている、という説を紹介しました。
また、「韓国の保守派」を自称する中央日報が「米国さん、出て行かないで!」と哀願するような社説を掲載したこと自体、『オピニオン誌『正論』の鈴置説 そして議論の流儀』などで紹介した「鈴置説」そのままであり、思わず苦笑を漏らしてしまそうです。
自分で米国の信頼を破壊しておいて、よく言うよ
それにしても、自分で米国の信頼を破壊したくせに、よくいけしゃあしゃあと、「韓米連合防衛体制が揺れるようなことがあってはならない」などと言えたものです。
戦時統制権の返還問題(『韓国が「ツートラック外交」追求のうちに米韓同盟は破綻へ?』参照)にしても、平昌冬季五輪での開会式問題(『【速報】米韓同盟を破壊した文在寅』参照)にしても、韓国側がむしろ積極的に米韓同盟を破壊するような動きに出ていたことは間違いありません。
ちなみに私がこんなふうに韓国の「保守派」(?)を批判すると、おそらくこんな答えが返って来るのではないでしょうか?
「現在、韓国の政権を担っているのは、保守派ではなく親北派の文在寅(氏)だから仕方がない。」
ただ、こうした見解は、おそろしく間違っています。
韓国が米国の信頼を裏切る動きを見せていたのは、文在寅氏の前任の朴槿恵(ぼく・きんけい)政権時代も同じだからです(たとえばAIIBへの参加事件や2015年9月3日の「天安門軍事パレード閲覧事件」など)。
私たち日本人にとってみれば、韓国は日本に対してさまざまな挑発を仕掛けてくる国ですが、米国の視点に立てば、米国に対してもさまざまな不快な行為を仕掛けて来ているのであり、その意味で、もう日米はともに韓国との関係を清算したがっているのではないかと思うのです。
最悪のシナリオとは?
いずれにせよ、米韓同盟が廃棄されれば、日韓関係も何らかの形の清算を余儀なくされるでしょう。というのも、文在寅氏はおそらく北朝鮮との赤化統一にしか興味を抱いておらず、「米韓同盟(や日韓関係)を断絶に追い込みかねない」という点についてはまったくの無頓着だからです。
最近、当ウェブサイトで私は「文在寅氏には韓国大統領としての任期を全うしてほしい」などと申し上げているのですが、これは、「結果として日本が大手を振って韓国との友好関係を終わらせることができる」、との期待の裏返しでもあるのです。
ただ、私がここ数日、ひそかに恐れている「最悪のシナリオ」があります。
それは、文在寅氏が軍事クーデターや暗殺など、何らかの手段で排除され、後任大統領に「親米反日派」が就任することです。
もし「親米反日派」が韓国大統領に就任した場合、彼(または彼女)は真っ先に米国との関係修復に動くことで、米韓同盟廃棄の流れがいったん止まってしまうことが懸念されます。なぜそれが「懸念」なのかといえば、私に言わせれば、韓国のような「無能な味方」を切り捨てる絶妙な機会を逸するからです。
こうした懸念が当たるかどうか。
半島情勢からはまだまだ目が離せない展開が続きそうです。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
親米反日派という勢力を、内輪もめしか出来ない韓国人達が仮に大統領選を戦えるまで集約出来たとしても、中国の影響を超えて大統領を立てることができるんでしょうか?甚だ疑問です。
更新お疲れ様です
>何らかの手段で排除され、後任大統領に「親米反日派」が就任することです
ヤッパこれが一番、嫌な展開ですよね
嫌な予感って当たるんだよな〰
朝もお早い日常の御様子ですね
睡眠負債は結構、ヤバイらしいです
御身体をお大事に労って下さい
「親米反日」の大統領が生まれて、韓国との発展的な関係解消の機会が失われる…。
確かに懸念される展開ですね。
もしこれが日本であれば、土壇場で踏みとどまって破滅回避が可能なように思えます。
ですが、破滅に向かっているのは日本ではなく、韓国ですからねぇ。
最悪のタイミングで最悪の選択をする韓国に、そんな逆転劇が可能でしょうか?
何かの間違いで幸運が舞い込んだとしても、その運を生かせるかどうか。
この時期、アメリカとの拙速な関係修復は、中国との摩擦を生まざるを得ないので。
北朝鮮に常に米国の傀儡と罵られていた韓国。
朝鮮半島の「正統性」競争で劣位の韓国は「民族自決」を選択。
米国・日本を遠ざけようと推進中。
文政権は自分のケツは自分で拭く覚悟(できるとは言っていない)のある自立志向。
「親米反日派」路線回帰は「正統性」競争に敗れることを意味するため
韓国にはその選択肢はないのでは。
更新ありがとうございます。
もう米韓同盟、日韓関係に『知った事か』と無頓着なフリして、統一朝鮮にしか興味のない文在寅には、とことん韓国経済、軍事力、国民を疲弊させて貰いましょう。北は、今は文を潰すことは無いはず。
韓国保守や軍人か辺りが、多少気になりますが、大した度量の人物もいなさそうで、ボロボロになるまで執権しそうです。日本にとっては、あまりズタボロになるのは諸刃の剣ですが、極力復興には関知しない、赤チームでシコシコやってくれ、で良いと思う。
韓国が今後どうなるにせよ、距離を置く、と言うのが基本になるのでは無いかと思います。日本国民としては、国内の反日勢力若しくは政権を倒すだけか、自己保身しか興味の無い勢力や議員、メディアを見極めて、冷静な判断をする事が大事かと思います。
いつも知的好奇心を刺激する記事の配信ありがとうございます。
興味深い最悪のシナリオですが、もっと下のシナリオもございます。
朝鮮半島がまるごとアメリカの支配に入って半島の人間がアメリカ国民として現在の要求をエスカレートする事です。
アメリカ政府は虚構の要求を行う自国民と真実を主張する他国とどちらを信用するでしょうか?
前者に決まっています。
つまり日本はエスカレートするアメリカの無理難題を受け入れざるを得ません。
おそらく、それ以外でも旧満州は朝鮮のモノとか沿海州は朝鮮のモノ等周囲に無理難題を突き付けるアメリカ帝国に国際社会は対応を迫られることになります(笑)。
このシナリオは朝鮮半島の人間には事大主義の典型的成功例ですが(笑)。
下には下が有りますね。
以上です。駄文失礼しました。
パーヨクのエ作員様
>朝鮮半島がまるごとアメリカの支配に入って半島の人間がアメリカ国民として現在の要求をエスカレートする事です。
心配性のおばさんですが、さすがにそのシナリオはなかったです。
中国、ロシアがそれを、傍観するとは考えづらいし、なにより、アメリカがそこまで彼らを信頼できるとは思えない。
おばさんの最恐シナリオは、北朝鮮の核廃棄ができないまま、半島統一がされる。というものです。
半島は、周辺の国々に信頼されていませんから、民主主義陣営にも、社会主義陣営にも席がありません。
そうなると、彼らの自爆テロ気質から、思う付くままの行動に出るでしょう。
願わくば、そうなる前に、世界中の国々がそれを阻止できることを、お祈りします。
心配性のおばさん様
当方の駄文にコメントを賜り有り難うございました。
心配性のおばさん様>中国、ロシアがそれを、傍観するとは考えづらいし、なにより、アメリカがそこまで彼らを信頼できるとは思えない。
普通に考えればそうですが、当方のシナリオにアメリカの国益になりそうな事が浮かぶので列挙いたします。
妥当か否かは皆様のご判断で。
・半島の人間は日本人より平均的に愚かな為コントロールをしやすい。
・歴史的にアメリカは韓国を通じて日本を間接支配を行使しています。それを引き続き行う事が可能です。
・アメリカはアジアに直轄の国土を持ちたいと考えている可能性が有ります。北アメリカには文字通り特大の爆弾が導火線に火が付いた状況です。
その爆弾の名はイエローストーンカルデラと言います。
富士山の噴火はせいぜい関東の一部が壊滅する程度ですが(笑)、富士山の位置でイエローストーンカルデラが爆発すると日本国内の人間が確実に全員死亡するそうです(怖)。安全な国土をアジアに持ちたいと考えてもおかしくないと思います。
・民族自決の美名でアメリカの領土を増やす以外に安全保障上中国から取り上げたい場所が有ります。
チベットです。将来、宇宙空間の軍事覇権を得る為にチベットは重要な役割を果たすと思います。
チベット高原はスキージャンプ宇宙空母地球号にリニアカタパルトを設置するのに最適な場所の一つですから。
蛇足ですが、某宇宙世紀アニメでラサやアマゾンのジャブローを地球の重要拠点と設定したガ○ダムの考証チームは凄いと思います。
脱線の上、どれも根拠は一切ありませんが、最初の一点で十分半島の人間を利用する価値があると思います。
切り捨てるネタはバンバン提供する連中ですから(笑)。
以上です。駄文失礼しました。
いつも読ませていただき、参考にしております。
親日米大統領が最悪のシナリオは、与野党の支持率が接近してきた記事を読んで、思いつきました。
ここで疑問だったのは、親日的な政策が行われた際、韓国人の反発で政権を維持できるかどうかです。
日本人も何らかの譲歩なしに、関係改善する空気ではありません。
もう後戻り出来ないレベルまで、到達してるような気がします。
親米反日大統領が登場する可能性はありそうだね。要するに反米から親米に代わるだけのこと。反日は韓国人の生きる糧だからこれは変わりようがない。ただ、以前のような状況には戻らないわな。今回の一連の騒動で米国が日本に我慢を強要することが難しくなったからだよ。ハリスが韓国政府に出向いて何をしたのか?そりゃぁ怒鳴りまくったんだと思うね。あれからおとなしいだろ。背筋が凍り付あたんじゃねぇのかな。
>韓国のような「無能な味方」を切り捨てる絶妙な機会を逸するからです。
というより、「裏切りの体質を持つ味方?」でしょうね。
このことは、日米のみならず、世界中が頭に刻み込まねばならないことです。それは、半島内でどのような動きがあり、どのような結果(政権誕生?半島統一?)であっても、おそらく変わらない。
そのことを世界中が認識し確認するのに、2018年における韓国の動きは、貴重なものでした。(中国、ロシアには周知の事実でしょうけど)
そして、その裏切り体質の根底にあるのは、半島の地政学的なものというより、彼の国の人々が持っている強いコンプレックスです。
それは、助けてくれた相手を、助けてくれたゆえに恨む。というほどのものです。それは、彼の国の歴史に根差すものであり、彼の国の自縛でもあります。
まあ、それは、他人(他国)である私たちがどうすることもできないし、する義理もない。(どうかすることができると考えるのは傲慢だとも思います)
世界は、特に日米は、彼の国の裏切りから、自国を防衛するという認識に立たなくてはならない。ということです。
いつもブログを拝読させていただいております。
最後に「韓国のような「無能な味方」を切り捨てる絶妙な機会」とのコメントは私も同意するものです。
一方、中国、ロシア側にとって、「無能な味方」が陣営に加わることは果たして喜ばしいことなのでしょうか?
ブログを読みながら、アメリカ、中国、ロシアが韓国という「無能な味方」の押し付け合いをしている図が思い浮かびました・・・。
別に南朝鮮の政治家に興味はないが、親米半日の政治家って誰?
クーデーターが起こっても現ソウル反米反日市長が立ち上がって内戦になるだけだろうしw
ワシントンタイムスは、世界日報の英語版で、同じ経営です。
勝共連合とか、Moonies(統一教会)と根っこが同じですよ。