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【読者投稿】アビガン解禁で、医療崩壊危惧は遠のいた

当ウェブサイトでは「読者投稿」を歓迎しており、投稿要領等につきましては『読者投稿要領と過去の読者投稿一覧(コロナ騒動等)』などでもまとめております。こうしたなか、『【読者投稿】武漢肺炎、なぜ日本で感染爆発しないのか』などで過去2回ご登場いただいた「伊江太」様というハンドルネームのコメント主様から、ご投稿の第3弾を頂きました。あわせていくつかの図表についても作成していたぢていますので、本稿ではこの投稿を紹介したいと思います。

読者投稿

以前から『お知らせ:読者投稿を常設化します』などでもお知らせしているとおり、当ウェブサイトでは読者投稿を歓迎しております。

投稿要領や過去の読者投稿一覧につきましては『読者投稿要領と過去の読者投稿一覧(コロナ騒動等)』などのページに記載しています。是非、これらのページをご参照のうえ、ふるってご投稿を賜りますと幸いです。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

さて、「伊江太」様というハンドルネームのコメント主様からは、過去に2回、次のような投稿をいたぢています。

こうしたなか、今回は仮題「データから読み解く武漢肺炎の特徴 第3報」を頂戴しましたので、基本的にはそのまま掲載させていただきたいと思います。

ただし、掲載に当たっては、一部、実名が入っていましたので(芸能人・著名人の方でしょうか?)、その部分を伏字にしています。

(※ここから先が「伊江太」様の投稿です。)

データから読み解く武漢肺炎の特徴 第3報

相変わらず、厚労省HPの新型コロナのページで毎日更新されているデータのウォッチを続けています。

ただ眺めているだけなら、ある期間にどれくらい増えた、減ったということが分かるくらいなのですが、それでも前2報で、そこから見える日本の武漢肺炎流行の特徴というか、その拡大を抑えている日本社会の力というのを抽出して、わたしなりの解釈をお示ししました。

もっとも前回は薄氷を踏む思いで公表したような部分もあったので、大外れならもうこうした投稿は自粛となっていたはずですが、その後の流行の経緯はまあ概ね予想の範囲内と認めて頂けるかと思い、懲りずにまた大して間も置かずに投稿させて頂きます。

今回論じるのはデータをグラフ化する際にちょっと細工を施せば、いろんなことが見えてくるというはなしです。知的好奇心の喚起という意味ではご興味をひくかも知れません。

ただしこうしたことをやると、データの一次資料としての価値を損なうことにも繋がります。書いた本人が言うのもなんですが、わたしが仕掛けたトリックに皆様を引き込むことにだってなりかねません。その点もお含みの上でお読みください。

前半は多分「それが本当なら大変結構なことだ」と思っていただける内容になっていると思います。後半部はさて、読む方のお考え次第としておきます。

中国型から欧米型に置き換わった日本の流行ウイルス

これまでのこのサイトに掲載頂いた投稿と今回分とのつながりを、3月4日以降国内で報告された武漢肺炎ウイルス感染者(PCR陽性者)の数をグラフにした図表1を使って、最初に説明しておきます。

図表1 国内の武漢肺炎新規感染(PCR検査陽性症例)報告数の推移

(【出所】厚生労働省『新型コロナ感染症について』のページに掲載されているデータに基づき投稿者作成)

2月以降3月20日過ぎまで、日本では毎日報告される感染者数が40~50人程度とほぼ一定でした。これは、「全く免疫をもたない集団へ侵入したウイルス感染症」としては、おおよそあり得ない不思議な状況です。

この点こそまさに、第1回目の投稿『【読者投稿】武漢肺炎、なぜ日本で感染爆発しないのか』でも論じた、「それを可能にするメカニズムがあるとしたらどういうものか」という着眼点なのです。

一方、3月25日から4月12日にかけて、感染数は急増し、その後、停止していますが、この点については第2回目の投稿『【読者投稿】それでも日本では感染爆発は起きていない』で焦点として論じたとおりです。

すなわち、

従来から国内で流行を続けていたウイルスの増殖/伝播力が突然強まった結果ではなく、欧米でこの時期始まっていた急激な拡大の影響が帰国者によるウイルスの持ち込みという形で及んだものであろう

というのが第2回目の投稿の推定なのですが、この推定は最近発表された国立感染症研究所によるウイルスのゲノム解析によって物的証拠が得られました。

新型コロナウイルスSARS-CoV-2のゲノム分子疫学調査

原文PDF版のダウンロード<<…続きを読む>>
―――2020年4月27日付 国立感染症研究所HPより

3月末に始まった感染拡大は4月12日にピークを付けて一転減少に向かいます。

ただ、このウイルスの潜伏期と医療機関を訪れた患者の感染がPCR検査によって確定し、また濃厚接触者の調査でさらなる感染者の洗い出しがおこなわれるまでの期間を考えると、実際の感染が統計に現われるまでには2週間程度の時間差が見られるはずです。

すると、4月9日~12日に感染報告数が一段と急増した理由は、3月28日と予告された入国制限を嫌った駆け込み帰国ラッシュの影響とみることができます。そしてこの増加が突然止まった理由は海外から国内へのウイルス流入が断たれたことにあるのでしょう。

しかし、それだけでその後の感染者数が減少に向かうはずはありません。国内に入ったウイルスはなおも感染を拡げていく能力を間違いなく保っているのですから。

感染数を減少させたのは日本で感染拡大をずっと抑えつけてきた力、つまり早期に患者を診断し、その濃厚接触者の中から感染者を見つけて、社会から隔離していく、おもに医療システムに依存したこの能力が、欧米型に置き換わったウイルスに対しても有効に働くことを意味しているわけです。

政府が緊急事態宣言をだしたのが4月7日。

その効果が感染者数統計に現れ始めるのはその2週間後の4月20日くらいでしょうから、4月13日から20日あたりに観察された感染数の減少は、本来日本社会がもっている感染抑制力によるものと考えてよいでしょう。

実はわたしもこんなに大きな力だとは思っていませんでした。少しずつ減少させていく程度かと予想していました。

そういえば、図表1に見られる感染拡大の規模。それまでが低い値で推移していたせいで、何かものすごい勢いで増えたように見えますが、西欧諸国で報告される新規感染者数は、ようやく低下してきたかと言われる今でも毎日数千人の規模。全くスケールが違うのです。

目には見えないものの、3月下旬~4月上旬の期間でさえ。感染抑制力はずっとはたらき続けていたのだと思います。

なお、全体として感染拡大と縮小の傾向が顕著な期間でも、日々の報告数を見れば図表1の棒グラフは激しく増減を繰り返しています。

これは休日にはPCR検体の採取が少なく、それを補うように続く曜日に検体数が増加するという人為的な要因で生まれたもので、前報に書いた感染拡大・縮小の周期性とは関係ありません。

市中でどのように感染が起きているかをモニターするには、株式チャートの1週間移動平均みたいなのを使うのが良いのかも知れません。

グラフにちょっとした細工を施してみると

厚労省が公表している統計では、入院者数と併せて、ICUに収容されたり人工呼吸器が必要となったりしている重篤症例を、それぞれ当日の現数で表示しています。これをグラフにしたのが図表2(A)です。

図表2 武漢肺炎の入院患者数と重篤症例数の推移(グラフ左軸:入院者数、右軸:重篤症例数)

(【出所】厚生労働省『新型コロナ感染症について』のページに掲載されているデータに基づき投稿者作成。なお、(A)は元データの報告日に合わせた表示、(B)は入院日から重篤化までの日数を考慮した表示)

重篤症例は入院者のごく一部で、同じスケールにするとわかりにくいので、入院者を左軸、重篤症例の数についてはグラフの右軸の値で読んでください。

厚労省のデータでは、PCR陽性者、退院者、死亡者は日々新たに報告される数ではなく、過去からの累積数で示されています。これをそのままグラフ化したのが図表3(A)です。

図表3 武漢肺炎の累積感染者数と累積死亡数の推移

(【出所】厚生労働省『新型コロナ感染症について』のページに掲載されているデータに基づき投稿者作成。なお、(A)は元データの報告日に合わせた表示、(B)は入院日から死亡までの日数を考慮した表示)

死亡者については、重篤症例の場合と同じ理由で、右軸目盛りのスケールで表します。

PCR陽性者数の推移が、実際には同じデータでありながら、図表1の見かけとはずいぶん違っていることにお気づきと思います。この点については、前回の投稿でも触れ、それが流行の実態への誤解を生むひとつの原因ともなっている可能性を論じました。

今回は、この表示方法にも大きなメリットがあるという風に、これからはなしをもっていきます。

まず図表2(A)です。4月中頃まで退院者の数が非常に少なかったため、入院者数は図表1の累積PCR陽性者数とほとんど変わらない速さで病床を埋めていきました。

グラフ上では初め直線的に右上がりだったその推移が、PCR陽性者の急増にしたがって3月25日(黒矢印)を境に曲線が次第に傾きを増しています。

重篤症例の数も始め直線的に増えていきますが、それが変曲点を迎えるのはもう少し後、4月6日あたり(白矢印)になり、そこから少しずつ傾きを強めながらしばらく増えていきます。

そこで重篤症例の曲線をグラフ上で12日分左に移動してみたのが図表2(B)です。入院者数とのスケール比を3:35としておけば、入院者のデータでいえば4月6日分まで、重篤症例なら4月18日分までのグラフがぴたりと重なります。

これに気付いたときには驚きました。

患者の個々人について見れば、感染したあとてんでんばらばらな経緯をたどっているはずなのに、日本の医療機関の入院者という枠組みに一旦入ってしまうと、どうもその集団的性質は規則的で予測可能であると言えそうだからです。

当面の例について言えば、「患者の8.6%は必然的に入院から12日後に人工呼吸器を必要とするような重症に陥る」ということになります。「平均」ではとか「信頼区間」がどうとか「危険率何%以下の確かさで」とかいった但し書きは必要とせず。

性別、年齢、持病の有無といった患者の個人的属性の一切を捨象し、またいかなる具体的な個人とも結びつけずに、単なる統計上の「要素」として数の動きだけを追っていけば、そういう結論になるということなんですが、ちょっと説明がわかりにくいかも知れません。

(※本当のところ、わたし自身も意味を十分理解できているのかどうか自信はないのですが。)

こうした理論的(?)な面白さは別にして、図表2(B)は実際面で非常に有用な情報を与えてくれます。重篤症例の曲線は、4月7日の入院患者辺りからその増加ほどには伸びていかず、日を追って2つの曲線の乖離幅が拡がっていきます。

そして10日後には重症者数の増加がほぼ無くなっているかに見えます。入院者集団の中で発生する重症化の割合が急速に減少していっているわけで、例えば4月23日に入院した患者について退院時まで追跡してみれば、最終的な重症化率は3.0%にまで低下しているはずだということになるのです。

この推定が本当なら非常に喜ばしいと言えるでしょう。欧米諸国ですでに深刻化しており、日本でも近い将来起きるのではないかと心配されていた人工呼吸器の不足が、この傾向がさらに進めば問題化せずに済むだろうと予測できるからです。

次に死亡者数について。こちらは累積数のデータから作成した図表3(A)で見てみます。

実は厚労省データでは4月20日前後におそらく都道府県から上がってくるデータの処理に混乱があって、不連続に値が変動しているのですが、ここは頭の中でなめらかな曲線になるように補正してグラフを見てください。

重篤症例の曲線に見た変曲点が、死亡者のグラフでは4月15日あたり、つまり入院者に重篤化が起きるとした12日後よりさらに6日遅れた日付で現われています。

そこで累積PCR陽性者数と累積死亡者数の表示スケールを160:13に調整した上で、死亡者数を表す曲線をグラフ上で18日分左方に平行移動した図表3(B)をつくってみます。

ここでも初め重なっていた2本の曲線が、4月9日辺りから離れていくのが観察されます。つまりこういうデータ処理をしない限り見えないのですが、死亡率がこの時点から徐々に減少し始めていそうなのです。

気をつけて頂きたいのは、4月8日以前では、図表のスケール比から死亡率が実に8.1%もの値になると算定される点です。これが4月16日に入院したと見なす患者群になると、死亡率は5.9%にまで下がるのですが、これからどの程度にまで低下していくのか、大いに気になるところです。

厚労省のデータでは表の欄外に重篤な状態から軽中等度の病態まで軽快した人数も表記しているのですが、その数ががっかりするほどに少ない。5月4日現在の累計でわずか72名です。

ECMOの使用によって死地を脱したというようなケースが話題になりますが、そういう幸運な人はほんの一部、重篤な状態に陥った患者のほとんどは亡くなっているのです。

最後は図表4(A、B)に示した退院者数のデータです。

図表4 武漢肺炎感染後の生存者数の推移と、うち退院できた者の数

(【出所】厚生労働省『新型コロナ感染症について』のページに掲載されているデータに基づき投稿者作成。なお、(A)は元データの報告日に合わせた表示、(B)は入院日から退院までの日数を考慮した表示)

退院者の累積数を累積PCR陽性者から死亡者数を引いた値、つまりその時点で生存していた感染者数を比較しています。

こちらは実際の日付よりも、なんと27日分も前に(左方に)移動させて、やっと生存感染者と退院者のグラフが重なります。つまり、感染が確認され入院となると、ほぼ1ヵ月間病室に拘束されていたことになります。

退院者のグラフでは4月8日以降もまだ2曲線の乖離は見られません。最近の入院者数の動きから、おそらくそれが見られるまでにはまだ10日ほどかかると思いますが、その後は退院者数の増加は生存感染者の増加を大きく上回っていくはずです。

退院者数の伸びに遅れが生じたのは、この対象期間(4月8日~4月20日)、PCR検査の需要に対する供給が全国的に逼迫したせいでしょう。退院に必要なPCR陰性の確認検査にまでなかなか手が回らなかったということだろうと思います。

特異日4月7日の意味は?

それまで入院患者の一定割合に重篤化と死が付きまとい、幸い回復するにしても1ヵ月近い加療を要していた武漢肺炎の感染に、4月7~9日あたりを境に重症率、死亡率の低下が始まったというのが本当だとすると、それは何を意味するのでしょうか。

思い当たることといえば、4月7日の安倍首相の指示、本人の希望や病院の倫理委員会の了承という条件付きで、アビガンの使用を実質的に解禁したことでしょう。

指示の当日、その時点で3,500人超にもなっていた入院者の中に、直ちに目に見えるほどの効果があったとするなら、一体どれくらいの患者にアビガンが使用され始めたのでしょう。

お断りしておきますが、わたしは治療の現場のことは一切知りません。アビガンが非常な効果を発揮するらしいというはなしも、XXXXさんやXXXXさんなどの著名人がこれによって回復したというワイドショーネタとして知っているくらいです。

(※アビガンの単独使用だったのか、他剤との併用だったのか、ご存じの方に教えを請いたいくらいです。)

前節で使った分析方法は、回復か死亡かという治療の最終成績が把握できる段階に至った、治療開始から18日以上経った後に起きたことを回顧的に見るというものです。

ですから、4月7日からのアビガンの使用が事実だとしても、グラフに現われた結果を当日直ちにその効果が出ているという意味にはとらないでください。

また治療効果の改善が日を追って進んでいるように見えるのは、患者一人当たりのアビガンの服用回数の問題ではなく、その受益者数が増えている状況に対応していると考えればいいと思います。

ここまでが前半です。もっと短く切り上げるつもりだったのですが、思わぬ分量になってしまいました。

後半ではこの武漢ウイルスというのが、私たちが思っていたというか、そう思い込まされていたイメージよりもはるかに悪質なものであること。そして従来抱いていたイメージがいくつもの嘘、いやむしろ意図的なデマによって生じたものではないかという、わたしなりの推測(邪推)を書くつもりでした。

しかし、1投稿の分量の目安が最大8000字という規定の範囲に収めるのは無理そうです。厚かましくも続編掲載のお許しをいただけると期待して、死亡率の問題に絞って残りのスペースに当てます。

思っていたよりずっと悪質だった武漢ウイルス

ヨーロッパ、アメリカでの惨禍を目にした今では、このウイルスを殺人ウイルスと呼んでもさほど違和感はないでしょう。しかし、様々な報道、論評などを見ていていると、死亡者数は大いに強調されるものの、死亡率への言及は多くありません。

死亡率については国ごとの違いが大きすぎることに加え、統計の信頼性をも問題としなければならないため、下手をするとその国の医療衛生行政の評価にまで筆が及ぶことを恐れてのことかも知れません。

中国では世界の他の国に2ヵ月以上も先駆けて武漢肺炎の大規模な流行を経験しました。その実態をつぶさに見てきたということで、中国発の情報は貴重に思えました。しかし、それはどの程度正しいものだったのでしょう。

1月、中国の春節の頃だったでしょうか、武漢でのあの疾患の大流行が知られ始めた頃、中国はこの疾患の死亡率を3%程度と言っていたと思います。

その後武漢や湖北省の町々を封鎖し、その外でも流行が発生した頃になって、死亡率3%は医療崩壊に陥った武漢限定のはなしで、実際に死の危険性が高いのは持病がある高齢者くらい、それ以外の層にとってはせいぜいインフルエンザ程度の疾患であるかの如くに言い始めました。

日本での死亡者が500名を超えた今、この疾患で亡くなるのが持病もちの高齢者限定でないことをわれわれは十分に学びました。

それでは、死亡率は?

最近では感染者に対する死亡者の比は30:1くらいになっていますが、1ヵ月ほど前、この値は40:1程度でした。患者として発見されてから死亡するまでに18日という長い期間が経過し、その後に発生する感染者を含んで母数が大きくなるために、日本の感染状況では死亡率が実際より低く見えるのです。

それにしても、死者が異様に(故意に)少ないと(見せかけていると)諸外国から非難(?)を受けているこの日本で、入院から死亡までの時間差効果を補正してみると、死亡率が8%を超えるなんて聞いて驚かれませんか?

絶対に数字のトリックだとロジックの穴を探しておられる方も多いかも知れません。

わたしだってこの値が出たときにはびっくりしました。この値が本当なら、その凶悪さはSARSと同等、加えてはるかにしつこく、制圧が難しいウイルスということになります。

イタリア、スペイン、フランスなどでは、爆発的な流行が始まった当初から死亡者/感染者数の比は10分の1を超え、日本とは桁違いの状態が続いていました。わたしははじめ、あまりの感染者の急増に検査が間に合わず、感染者の数が過少に報告されているのだろうと思っていました。

今では、いや、あの死亡率は間違ってはいないだろうと考えています。武漢肺炎による死亡とカウントされている人は、PCR検査で陽性判定を受けている人だけで、過小評価されているとすれば、感染数、死亡数の両方なんでしょう。

なぜ早い時期から本来の死亡率が出ていたかといえば、日本のケースより重症化した段階で感染が判明し、日本ほどのケアが受けられずに、亡くなる方はすぐに亡くなっていたということではないかと思います。

日本、台湾、タイなどでの感染の拡大が緩やかで、死者も少なかった頃、ヨーロッパ、次いでアメリカで恐ろしい勢いで流行が起きたことから、ウイルスに比較的おとなしい弱毒型と、毒性、伝播力ともに強い強毒型があるという説には一定の説得力はありました。

しかし、前述したとおり、ウイルス型の置き換わりが日本で生じても、重症化率や死亡率に何らの変化も観察できませんでした。

RNA型のウイルスには流行を続けていくうちに様々な遺伝的変異を蓄積した地域型が必然的に生じてきますが、これが短期間のうちに病原性の違いとなる例をわたしは聞いたことがありません。

武漢ウイルスには2系統があり、ひとつはベトナムから輸入されたセンザンコウに感染していたウイルスが起源、もうひとつは軍人オリンピックで武漢を訪れた米軍が持ち込んだものだ

という、ひところ中国が世界に広めようとしていた妄説の補強材料として、強毒型/弱毒型併行流行説が産み出されたのが真相だとわたしは考えています。

そのはなしの露払いと思われるのが、以前遠藤誉さんが紹介していた、結局プレリリースのままお蔵入りになったらしい論文で、センザンコウ産ウイルスが日本に、アメリカコウモリ産ウイルスがヨーロッパに伝わったと匂わせるようなことが書かれています。

新型コロナ日本感染ルーツとウイルスの種類:中国のゲノム分析から2020年3月10日(火)11時55分付 ニューズウィーク日本版より)

ひとつ検討しておかなければならないのはダイヤモンドプリンセス号の事例です。

PCR陽性者672人中亡くなった方が13人(1.9%)、未だ入院中の方8人を加えても3.1%にまでしか届きません。

高齢者の比率が高く、持病のある人も相当数いたクルーズ船でなぜこれほど死亡率が低かったのか?

これについては、感染ルートの問題を論じる際に改めて取り上げますが、普通市中で生じている感染に比べて、からだに取り込まれたウイルス量が著しく少なかったのが理由だろうというのがわたしの考えだと、一応ここで書いておきます。

「人から人への感染はない」と偽ったという従来からの非難に加えて、今回の論考でわたしは、

  • ①死亡リスクが高いのは持病のある高齢者
  • ②強毒型と弱毒型という2種類のウイルスが流布している、
  • ③弱毒型ウイルスの毒性はインフルエンザ並み、

という、「事実とはまったく異なる(とわたしが判断した)情報」が中国から流されてきたことを指摘しました。

お気づきのはずですが、終盤から文章は敢えて客観性、中立性を放擲した書き方になっています。ですから、お読みくださる方には、この点を十分に勘案された上で、わたしの主観に引きずられないよう、ご自身での判断をお願いします。<了>

読後感

いかがでしょうか。

前2回の投稿で伊江太様は、「日本の社会が武漢肺炎の感染爆発を許さない地力を備えている」という点を指摘されたのですが、それと同時に伊江太様に言わせれば、「感染者を医療機関に入院させ、社会から隔離するという、ある意味弥縫的な手段に依存する」のです。

このため、「欧米からの帰国者のウイルス持ち込みによって起きた感染の急増が、医療面の対応を逼迫させる状況を招いてしまった」というのが伊江太様の問題意識だそうです。

また、本稿の事実認定については、あくまでも伊江太様の意見ということではありますが、もしこの見解が正しいのであれば、やはり「加害国」である中国から偽の情報がなかば意図的に流されているのではないか、という疑いすら生じて来ますね。

なお、今回の記事のタイトルに「アビガン解禁」という表現を使ったのは、伊江太様の主張の要点の前半部分を当ウェブサイトなりに表現したものであり、伊江太様の希望ではないことを申し添えておきます。

いずれにせよ、今回も貴重な論考をご投稿賜りましたことを、伊江太様には深く御礼申し上げたいと思う次第です。

【参考】コロナ関連読者投稿

末尾に、コロナに関連する過去の読者投稿の一覧を掲載しておきます(ボックス内でスクロールします)。

これらの執筆者は、次のとおりです。

  • ①、②、⑥、⑪は現役医師の「りょうちん」様
  • ③、④、⑧、⑩は理系研究者の「ケロお」様
  • ⑤、⑭は工学研究者の「イーシャ」様
  • ⑨は現役医師の「とある福岡市民」様
  • ⑫、⑮、⑰は元微生物関係研究室勤務者の「伊江太」様
  • ⑯は整形外科を専門とされる現役医師の「ポプラン」様
  • ⑦、⑬は大人気『在韓日本人が見た』シリーズでも知られる「韓国在住日本人」様

これらの投稿はおしなべて冷静であり、現在読み返してみてもきわめて有益です。是非、改めてご参照賜りたいと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (72)

  • 何かホッとします、文章を読み終わって。
    日曜日の昼間、相変わらずTVでは、芸人さんや元知事芸人さんが
    データーを基にしない論評で、政府の悪口に終止しています。
    芸人さん、自称コメンテーターなど、いつもの反政府TV。

    明日からまた、ハイリスクグループの患者さんを診る人間にとって。
    最近ちょっと怒りを感じる、TVチェックする方が悪いけどねw。

  • 伊江太様の投稿ならびに新宿会計士様の掲載ありがとうございます。

    生データで読み辛い動きでも、日数補正を掛けると読みやすくなります。
    (識者の場合、状況変化の平均日数が頭の中にあるので、暗黙の内に正しい状況を把握しているかも知れません)
    死亡率については、年代別で崖みたいな差はないと踏んでおりましたが、Nが増えて来ると50代辺りからリスクが高くなってくる事が顕著になり、ある意味一般の呼吸器疾患と大した違いはないのかなと考えております。

    今シーズンの流行はこのまま行動抑制が持続すれば今月中には収束の傾向が見えてくるという認識です。またワクチンによる本格的な免疫体制が構築されるまで、次の流行の山に対する備えは続ける必要があるかと存じます。

    詳細な治験結果については流れてきませんが、新たに投入した薬剤の効果が顕在化したのは心強い援軍であり、また効果に応じた備蓄増を推進する事が大事であると考えております。特にアビガンについては明確な治験結果が確認できる前から増産に向けた動きが開始されており、ある意味博打かという認識でしたが、もうしばらくすると結果が出そうですので、見守りたいと思います。
    (現場レベルではもう既に感触は掴んでいるでしょう)

    アビガンにかなりの効果があるという各国での共通認識が広がったら、かの国はどうするのか楽しみです。日本としては、宗主国へギブミーして欲しい所。

    • ボーンズさま
      K防疫が、国際標準になると言ってる国は、アヒガンが入って来ると完結しません。
      人の命より大事なものが、多い国ですから、日本にねだって来る事は無いと思います。

      • そのK国モデルも日本がこのまま収束すれば
        検査数の違いが、防疫の決定的な差ではないことを教えてやる!となっちゃいますね。
        収束するまでに検査数を増やさないと困る勢力が、収束方向にあっても検査ガーをさらに大きくし、インタビューを求めても反対の方向に捏造したり、根拠が外国に比べてとか、必死ですね。

        いずれにしろK国モデルとは関係なしにアビガンが承認され、制限なく(副作用を考慮して)処方されれば検査能力の拡充をはかり敷居を下げるか、インフルエンザのような簡易キットで院内で完結させるのもありかなと思います。

    • だんな 様

      間違っても散々ディスったアビガンをくださいなどとは、国民情緒法が許さないでしょう。
      魔法の薬として宗主国からプレゼントされるたも知れませんけど。
      (当然交換条件が付いてくる)

      • だんなさんへ
        ボーンズさんへ

        甘いなぁ~。
        ある時を境に『アビガン寄越せ』と喚き出しますよ、朝鮮半島全土で。

    • >アビガンにかなりの効果があるという各国での共通認識が広がったら、かの国はどうするのか楽しみです。日本としては、宗主国へギブミーして欲しい所。

      要求されて拒否するのは、やめてほしいなと個人的には思います。
      ただし、歓迎する国に優先するのは、当然のことだと思いま。
      そこに変な力が働いてほしくないと思うのは、皆の思うところだと思います。

      >間違っても散々ディスったアビガンをくださいなどとは、国民情緒法が許さないでしょう。

      ごもっともでございます。ぜひそうあって欲しい。

      • 奇跡の弾丸 様

        >要求されて拒否するのは、やめてほしいなと個人的には思います。

        積極的拒否はしないが、優先度は最低で宜しいのではないかと。
        必要としている国はいっぱいあるのだし、感染予防の先進国なんですし。
        次の波に備えなきゃならないので、計画以上の消費も今はできません。

  • 伊江太様
    読者投稿、ありがとうございました。
    今回も一気読みでした。
    前回、欧米型の流行が、ハッキリしていない時から、断言していましたよね。
    現実に起こっている事を正しく認識して、分析すると正しく未来が予測出来るという事を、実証されているように思います。
    今更ですが、読者投稿される皆さんの、知識、論理構成力を尊敬します。

  • 各国の致死率があまりにも違いすぎることに違和感を覚えていましたが、それを解明する手がかりが見えてきたように思います。各国の統計は取り方が同じでない上に、いわゆる瞬間風速的な計算をしているのでバラバラなのかも知れあせん。

    難しいことを分かりやすく解説してくれていますが、それでも自分の錆び付いた頭にはムズいです。要は、感染発覚から、発病、死に至るまでのタイムラグを考慮し計算しなおすと、致死率は案外同じになると理解しました。

    イタリアの致死率が突出して高いのは医療崩壊が起きたからだとマスコミでは言われていますが、本当にそうなんですか。 免疫が全くないウィルスに対して、治療は対症療法しかない筈で、対症療法でそんなに致死率に違いが出るものなのか、また人工呼吸器を着けた方の9割近くが助からないとのことですが、そんなに助けることのできない人工呼吸器が何万台も必要だとか、素人には訳のわからないことだらけです。

    その上にTVでは芸人が政治評論やら、本当か?というテキトーなことを言うもののだから、ますます混乱しています。専門家でさえ意見が別れているのに、トウシロは黙れと言いたいですね。

  • アビガンですが、企業主導・第3相試験は遅れが出ています。
    プラシーボ群が設定されているので、患者さんが治験を希望したがらず、目標値に届き難い。
    治験審査委員会は大規模な大学病院が拠点となっておらず、治験施設の構成も気になる。

    厚労省が通常承認に拘る理由の一つとして挙げられるのが、再生医療製品に対する承認案件が薬害オンブズパーソン会議などから不透明性を問いただされてきた経緯、なかなか早期承認に踏み切れないでしょう。
    条件付き早期承認案で纏まりそうですが、iPSの中山先生が表に出てきていたことも頷けます。

    それを言い出すと、特別承認のレムデシビル、中国や米国の治験論文からみて如何でしょうかね。
    全くの推論ですが、ハズレの危険性大ですし、副作用で揉めそう。

    • すでにインフルエンザで承認されているので有効性の確認だけでも良いと思います、その有用性も商用目的なら有効性がはっきりするまで薬として承認しないことも当然ですが、この緊急事態に可能性が少しでもあるなら期間限定で仮承認すればよいと思うのは素人の浅はかさですかね。

  • 仲田洋美医師のツイッターから窺うには、厚労省の本音としては、今回のコロナウイルスにアビガンの本格投入は避けたいらしいのだけど、どこまで本当なんだろうか。理由は、薬害発生への懸念もあるがそれ以上に、本命の高毒性鳥インフルエンザ(H1N1)パンデミックへの切り札と取っておくため耐性ウイルスの出現を避けたいとのことらしい。それなら、世界に配ったりするのは愚策だし。(中国がアビガンのゾロで効果を上げたことを論文に発表した時点で、日本が門外不出にするのは国際的に持たないかもしれないけど)

    一方では、アビガンの作用機序から、耐性ウイルスは出現しにくいとも聞きますし、本当のところどうなのでしょうか。私はこの方面はまったく疎いので、詳しい人に期待しています。

    • > それなら、世界に配ったりするのは愚策

      患者が服用したフリして実は服用せず、アビガンを地下に流す様な国があると、それが日本や先進国の裏社会に還流して薬禍を起こす可能性が考えられます。

      外国に提供するなら、監視員もいっぱい付けて、闇間に消えるアビガンが1錠足りとも発生しない万全の体制が必要カモ?

      過去に日本から輸出した物が、闇に消えた事のある国には、提供しない等のガイドラインが不可欠でしょう。

      しかし、中国製のジェネリック薬品のアビガンがバラ撒かれたら、日本が対策しても無意味カモ知れませんが。

    • タミフルなどの抗インフルエンザ薬に耐性のインフルにもアビガンは有効で、かつ現時点でアビガン耐性のインフルが確認されていないという意味で、アビガン耐性のインフルエンザウイルスの流行リスクが低いというだけです。
      アビガンに耐性のウイルスが生じにくいと断ずることは現時点でできません。大規模に使用されてみないとわからないところです。

      厚労省としては、耐性インフルに対する切り札として温存しておきたいと言うのはおそらく事実だと思いますが、切り札は使わないと価値がないということで、政治判断で解禁されたという推測は正しいと思います。

      • ケロおさま

         わかりやすく解説どうもありがとうございました。

  • 伊江太 様

    大切なことなのに気づきにくい実情を、解りやすくまとめてくださりありがとうございました。

    油断は禁物なのでしょうが、まずは一安心できそうです。

    *ダイヤモンドプリンセス号関係者の死亡率の件については、感染前から全員が観察対象者であったことも要因の一つだと思っています。

    専門家としての気づきだけでなく、解りやすく伝えることの難しさ・・。
    投稿者の皆さん流石です。レベルが高いだけなら、最後まで読めません。

  • 伊江太様

    論考、ありがとうございます。

    「クルーズ船でなぜこれほど死亡率が低かったのか」
    「からだに取り込まれたウイルス量が著しく少なかったのが理由」

    発症後の症状の軽重と取り込まれたウィルス量依存性は一般的に認められ
    たものでしょうか。
    あるとは思っていたのですが、資料を見つけられませんでした。

    もう一つ、

    結構、長期間、同じ船内にいたので、取り込まれた量は著しく多かったのでは。
    それでも、死亡率が小さかったのは「もともと凶悪でない。」
    そう考えていました。

    今後も研究が必要なウィルスのようです。

    もう一度、ありがとうございました。

    • 私はもっと単純に、一般社会では確定診断を受けずに治癒する感染者が確定診断者より一桁多く存在するだけだと思いますよ。実際の感染者が仮に10倍いれば死亡率は10分の1程度に下がって0.8%程度になるはずです。ダイヤモンドプリンセス号では、乗員乗客の大部分が感染疑い者と言うことになったので、一般社会で確定診断対象とならない人も診断されて真の感染率に近い数字が出てきたので、死亡率が一般社会より低いということです。

      まあ、実際には逆で、ダイヤモンドプリンセス号でのデータから「診断対象者にならない人もふくめると、確定診断者より一桁多い感染者数になる」という仮説が得られたわけですが。
      そして、そこから考えると「確定診断数をいくら増やしてもほとんどの感染者を診断することができないのは明らかなので、診断数を増やして感染者を隔離する戦略は全く効果がない」という当たり前の結論が得られているわけですね。

      • ケロお 様

        仰る通りかもしれません。

        とかく、実験室で再現できる発想になりますが、
        感染は、ある意味、社会科学的な事象。

        誰を対象に何を基準に、

        そのあたりからして、実験室的取り扱いとは違いそう。

  • 伊江太様

    投稿ありがとうございます。
    一気に読んでしまいました(その割にコメントが遅いですが)。ウイルスは中国型から欧米型に置き変わった、、。この文章と分かりやすいグラフも理解出来ました。貴重な論考を拝見しました。ありがとうございます。

  • 伊江太 様
    新宿会計士 様
    いつも知的好奇心をかきたてられる内容ありがとうございます。
    SARSの死亡率が9から11%と言われていたので8%は十分理解
    できる数字ですね。低下分は日本や現代医療の頑張りかもしれません。
    「4月8日から4月20日の退院者数の伸びに遅れが生じた」
    のはアビガン投与が大量に始まると、投与が入院前提条件だから
    という可能性はありませんか?(全くの妄想です)
    私の県でも第1波は終息方向にありますが、紫外線や気温という要素が
    どこまで生きてくるかで終息時期と第2波への準備期間が決まります。
    仰られる様に10日から14日というところでしょうか。
    中国とその走狗であるWHOですがいかがなりましょう。
    中国でワクチンが使用されている形跡がないので完成された生物兵器
    ではないと思います。
    ただ研究段階のモノが漏出した可能性はあると思います。
    コロナウイルスが集近閉に有効なウイルスであることが証明されたので
    中国は主敵アメリカ合衆国に比較して劣る海軍力(艦艇の集近閉性は不変)
    に対する作戦として極めて有効であることを理解したでしょうが、
    アメリカ海軍も気づいてしまいました。
    ここでも「真人不露相、露相不真人」ですね。
    WHOは解体と再編。
    中国には敵国条項適応して米国債収用ですか。(本当にできるのですか?)

    • ポプラン様

      >中国には敵国条項適応して米国債収用ですか。(本当にできるのですか?)

      実際にできるかどうかはわかりませんが、かなり納得のいく理由でなければ、将来的に米国債の信用低下には繋がる気がします。
      いつ名義の書き換えを勝手にされるかもしれないわからない国の国債を買うのは怖い。

      • 80562人 ですよ、
        アメリカ国内の死者が
         支那生物兵器(武漢ウィルス)攻撃で殺されたアメリカ人が、80562名。
         これだけ殺られて報復しないほうが世界中から舐められませんか。
         米国国民を80562人殺した共産支那保有米国債凍結は当たり前と思うでしょうね、米国債を買うような世界中の大金持ちは米国民大量殺戮しないから。
         まあ、共産支那への報復が米国債凍結か否かは米国しだいなのも当たり前ですね。

         ヨーロッパはアメリカの倍Chinaウィルスに殺されている。白人(超大金持ち)は、共産支那の米国債凍結と共産支那人の資産凍結に喝采して米国債を買いまくるんじゃありませんか。

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