韓国が現在、自称元徴用工問題などを巡り、日本に対してさまざまな不法行為を仕掛けていますが、日本政府としては韓国に対して確たる対抗措置、制裁措置などを取っていません。その理由については昨日の『「米中からの往復ビンタ」、過去の失敗に学ばない韓国』の末尾で、「米国とタイミングを合わせているからなのかもしれない」、という視点を提示しました。本稿では、これについてもう少しじっくりと考えてみたいと思います。
目次
韓国の失敗
韓国が現在、自称元徴用工問題を筆頭に、さまざまな不法行為を日本に対して仕掛けて来ている点については、読者の皆様としても、今さら細かく繰り返す必要はないと思います。
ただ、ひとつ不思議な点があるとすれば、あれだけのことをされていながら、日本政府がいまだに韓国に対する実効性のある対抗措置、報復措置、あるいは経済制裁措置などに踏み切っていないことです。
これをどう考えるかについては、以前から気になっていたのですが、この際、本稿で少し整理してみたいと思います。
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さて、昨日の『「米中からの往復ビンタ」、過去の失敗に学ばない韓国』などを含め、ここ数日、当ウェブサイトでは韓国という国の「過去の失敗」にフォーカスを当てた論考をいくつか掲載して来ました。
ここでいう「韓国の失敗」とは、昨日述べたとおり、「中国に近付きすぎるあまり、本来、自国にとっての味方であるはずの日本と米国を、最大限、苛立たせるような行動を取ってきたこと」です。
韓国という国は、建国以来、軍事的には米国に守ってもらい、経済的には日本に助けてもらうことで、世界の最貧国水準から、一気に世界的な先進国水準にまで発展した国です。
これには韓国自身の努力があったというよりも、明らかに日米の全面的なバックアップがあったからこそ実現できたものであり、少々言葉は悪いのですが、日米同盟に「タダ乗り」してきた結果だ、という表現が妥当でしょう。
その意味で、韓国が常に意識せねばならないのは、自分たちが日本と米国によって「生かされている」という事実であり、また、そのことに関して日米両国に感謝することです。
それなのに、韓国政府は少なくとも日本に対し、公式に「感謝する」というコトバを述べたことはほとんどありませんし、それどころか「過去の歴史を反省し、謝罪せよ」、「被害者と加害者の地位は一千年経っても変わらない」などと述べるなど、日本に対しては被害者コスプレに必死です。
(※余談ですが、「被害者、加害者」という意味では、竹島の不法占拠の件にせよ、虚偽の歴史問題にせよ、むしろ韓国の方が「加害者」であり、日本の方が「被害者」です。)
そして、韓国はこれまで、米国に対してはある程度配慮して来たのですが、文在寅(ぶん・ざいいん)政権が成立したころからでしょうか、もう「反米」の実態を隠さなくなり始めました。
新しい宗主国は、中国ですか、それとも北朝鮮ですか
かわって現在の韓国が近寄っている相手が、「世界のならず者国家」である北朝鮮であり、究極的には「万年宗主国」である中国です。
これについてよく勘違いする人がいるのですが、韓国が中国に近付き始めたのは、べつに文在寅政権になってからのことではありません。というよりも、1992年の中韓国交正常化以来、韓国の歴代大統領が中国に対し、露骨に敵対的な行動を取ったというケースは、ほとんどありません。
日本に対しては金泳三(きん・えいさん)大統領(当時)が1995年11月に訪韓した江沢民(こう・たくみん)中国国家主席を迎えた席で、
「日本の『ポルジャンモリ』を叩き直してやる」
などと述べたエピソードは、あまりにも有名です(※「ポルジャンモリ」とは目上の立場の者が目下の立場の者を叱りつけるときの罵倒語だそうです)。
また、朴槿恵(ぼく・きんけい)前大統領が日本を念頭に置いて、
「被害者と加害者の関係は千年経っても変わらない」
などと言い放ったのも、形を変えた日本に対する侮辱です。
さらに、李明博(り・めいはく)大統領(当時)に至っては、天皇陛下(現在の上皇陛下)を口汚く罵り、日本領である島根県竹島に不法上陸するなどの侮辱行為を行い、野田佳彦首相(当時)の親書を郵便で送り返すという無礼まで働きました。
不思議なことに、韓国大統領は日本に対するこうした無礼を、中国に対しては一切働いていないのです。
そして、昨日も報告しましたが、韓国の中国傾斜が加速したのが、まさに「保守派」だと見られていた朴槿恵前大統領の時代だったことを踏まえるならば、韓国では保守派が政権に就こうが、親北派が政権に就こうが、「中国」という大国の引力から逃れることはできないのではないかと思わざるを得ません。
「米国は地味に怒っている」?
ただ、文在寅政権以前とそれ以降で大きく異なっているのは、韓国の「反日」、ではありません。
「反米」です。
昨年7月に、日本政府が韓国に対する輸出管理の適正化措置を発表し、これに対して韓国政府は8月に入り、『秘密軍事情報の保護に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定』(いわゆる「日韓GSOMIA」)の破棄通告で答えました。
これは、表面上は日韓関係の悪化に見えますが、実態はおそらく米韓関係の悪化の証拠と見るべきでしょう。
実際、この日韓GSOMIAは、失効する直前の11月22日の夕方になって、韓国政府が突如として事実上の撤回に追い込まれましたが(『韓国の「GSOMIA瀬戸際外交」は日本の勝利だが…』参照)、その背景には、韓国政府に対する米国からのかなり強い圧力があったことが間違いありません。
また、米韓間のいさかいは、この日韓GSOMIA破棄騒動だけではありません。
在韓米軍の駐留経費負担の問題や、文在寅氏が提唱した「韓国国民の北朝鮮への個人旅行」を巡る米国側の警戒(『韓国に対する「日米同時経済制裁」はあり得るのか?』等参照)にあるとおり、米韓関係はきわめてピリピリしている状況にあります。
もっとも、現在のところ、米国は、表面的には「日米韓3ヵ国連携が大事だ」などと言い続けていますし、また、米韓同盟の破棄を伴った在韓米軍の撤収については、公式には否定し続けています。
しかし、それと同時に、現実には米韓両軍の合同訓練のうち、主要なものが昨年、相次いで中止されましたし、『米韓未来連合司令部の創設と「米韓同盟消滅」の足音』でも報告したとおり、米国は、早ければ文在寅氏の任期が満了する2022年までに、戦時作戦統制権を韓国に返還します。
こうした現実の動きを見る限りでは、米国が「韓国を切り捨てる」ための準備を密かに進めているのではないか、といった疑いを抱くのは当然といえるでしょう。
米国が韓国を「切り捨てる」際の具体的行動
こうしたなか、個人的に昨年夏ごろから強く意識し始めたのが、「米国が韓国を切り捨てるならばいかなる行動を伴うか」、という論点です。
その前提となる、「米国が韓国を切り捨てるかもしれない」、という論点については、日本を代表する優れた韓国観察者である鈴置高史氏が、すでに一昨年の秋の時点に出版された『米韓同盟消滅』のなかで、
「北京・天安門上で自ら望んで独裁者に囲まれた朴槿恵。露骨な親北政策を展開する文在寅。二人の大統領に共通するのは、国際情勢を自国の都合で手前勝手に解釈した、国力に見合わない『妄想外交』だ。反米反日自我肥大を昂進させている韓国の『中二病』的世論の支持を得ても、その帰結は『米韓同盟の消滅』と『中国の属国』への回帰に他ならない」
と指摘しています。
(※余談ですが、鈴置氏の議論の恐ろしいところは、日韓関係が急速に悪化し始める以前の段階ですでにこれを指摘していたという点であり、また、現在のところ、確かに鈴置氏の指摘どおりにことが運んでいるという点です。リンク先の著作は、日本人であれば一読の価値があります。)
ただ、ここでもう一歩踏み込んで考えておきたいのが、仮に米韓同盟の消滅が実現するならば、その前に米国がいかなる行動を取るか、です。
考えてみれば、現在の韓国は、国民ひとり当たり3万ドルを超えるGDPを誇り、世界の半導体やスマートフォンなどの生産においても非常に大きなシェアを占めています。この状態で万が一にも朝鮮半島が再発し、韓国が焦土になろうものなら、全世界のサプライチェーンに大きな影響が生じかねません。
いわば、韓国は現在、全世界の産業を人質に取っている格好であり、だからこそ日米ともに韓国をむやみに切り捨てることができないという事情があるのです。
どうして日本は韓国に経済制裁しないのか
言い換えれば、韓国の産業が世界のサプライチェーンに占める重要性を失えば、日米両国としては韓国を切り捨てやすいという状況が出現する、ということでもあります。
その具体的な手段とは、韓国の経済的焦土化です。
これには、本当の意味で「物理的に」攻撃する、という意味でなくても構いません。
いや、むしろ正当な経済競争の体を装って、経済、金融の両面から韓国の弱体化を図る、というのが現実的な流れではないでしょうか。
さて、ここでひとつ、提示しておきたい考察が、「なぜ日本政府が韓国に対する経済制裁措置に踏み切っていないか」、という疑問です。
先日の『「日韓Xデー」が到来しても、それは韓国の責任だ』などでも触れましたが、自称元徴用工問題などを巡って、日本政府はいまだに韓国に対し、実効性のある対抗措置、経済制裁措置などに踏み切っていません。
日本政府が何らかの経済制裁・対抗措置などに踏み切るとしたら、「自称元徴用工の代理人が日本企業の在韓資産を売却するなどして、日本企業に不当な損害が生じた場合」というケースが考えられます。
しかし、『日本企業の資産売却なら韓国経済が崩壊の可能性も』で議論したとおり、正直、「日本企業の在韓資産の売却」がすんなり実現するとは限りません(もっとも、韓国のことですから、「年金基金による株式買い取り」などの超法規措置というウルトラCが出てくる可能性もありますが…)。
米国と一緒に経済焦土化作戦を!
つまり、「日本企業に不当な不利益が生じない限り、日本政府は韓国に対する経済制裁に踏み切らない」という観測が出て来るのですが、実は、これには裏があるように思えてなりません。
具体的には、自称元徴用工問題などとはまったく別次元で、じつは日本政府が「米国が韓国との米韓同盟を切り捨てるタイミングで、同時に韓国に対する経済制裁を発動する」、というシナリオを練っているのではないか、という深読み・裏読みです。
もちろん、それを考えているとしたら、政権トップ、すなわち安倍晋三総理大臣や菅義偉内閣官房長官あたりだと思います。とくに安倍総理はドナルド・J・トランプ大統領との個人的な関係を構築し、緊密な意思疎通を行っていることもまた事実でしょう。
こうした見方が「深読み」のし過ぎだ、という批判は甘んじて受けます。
というよりも、この見方にはべつに確たる根拠はありません。
ただし、以前の『総論 対韓輸出管理適正化と韓国の異常な反応のまとめ』や『輸出管理の「緩和」を「対韓譲歩」と勘違いする人たち』でも述べましたが、そもそも輸出管理適正化措置は、日本が米国とセットになって決断した措置である、という可能性もあります。
日米がいくつかの「演習」を経て、本格的に韓国経済の崩壊を仕掛ける、というシナリオは、あながち深読みのし過ぎではないと思うのですが、いかがでしょうか。
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いつも興味深い論考、ありがとうございます。
私は、マレーシア、オーストラリア、インドネシアと彼の国とのスワップ失効を待っていると感じています。
「これら海洋国家が巻き込まれると、余計な費用が発生しますよ」と安倍さんがトランプさんに耳打ちしている絵が浮かびました。
>その具体的な手段とは、韓国の経済的焦土化です。
前にも書きましたが、軍オタとしては、焦土作戦・焦土戦術を間違って覚えてしまうような使い方は避けて欲しいなあとw
ここで知識を得た人が焦土化作戦とか、もにょる使い方をするのを何人か見てしまいました。
表現する事実は同じですが、むしろ「戦略爆撃」の方が概念的にふさわしいでしょうか。
国際法違反の疑いが強い(一応、民間施設への爆撃は禁止になっているんですよw誰も守っていませんが)乱暴なドクトリンです。
非人道的ですが実に強力な効果があるのは日本がよく知っています。
難点は、慣れすぎると、原爆を二発も落とされても「なんだ、またか・・・」と鈍くなってしまうことです。
やるなら一回で、大規模に徹底的にやる必要があります。
もう1年近く前に日米の対韓政策は「放置・立ち枯れ作戦」だと、某ネットメディアで、あるジャーナリストが一瞬口を滑らしました。韓国は経済的に放置するだけで自然消滅するだろうと、当然経済難民が発生するだろうからその収容先は済州島になるだろうとの事でした。ですから米軍規模を縮小しながら韓国の自然消滅を待つしか無いし勿論日本も支援してはいけない訳です。韓国とイラン北鮮の悪関係は大国間では当に知られている筈ですが制裁も鈍い様に見えますよね。これも期が熟すまで待っているのか良く解りませんが、経済疲弊に苦しむ韓国が反日米でGSOMIA破棄すれば米韓同盟崩壊から韓国焦土化まで一直線に進むものと期待しています。この時日本は国防と難民防止策で相当苦しむ事になるでしょうがやむ得ません。
>>朝鮮半島が再発 朝鮮戦争が再発かな?
>>日本政府が「米国が韓国との米韓同盟を切り捨てるタイミングで、同時に韓国に対する経済制裁を発動する」、というシナリオを練っているのではないか・・・
アメリカに言われれば其れなりに従うのが今の日本の姿だと思います、しかしGSOMIA破棄ニダ!でアメリカの態度が何を示しているのか疑問です(何か美味しい部分が有るのか?)、ネオコン?連中は必死で口先三国同盟に拘りトランプ氏は知らんぷり、共通しているのは駐留経費増額アメリカも一枚岩では無いようですが勢力図がどの様に変わっていくのかと言う事では無いでしょうかね、当然日本も一枚岩では無いと考えるのが自然でしょう、棲み分けで言えば韓国はレッドチーム以下に何れは自力で成ると言う話だと思います。
GSOMIA保護協定ですが、表面的に同盟が有るように見えると言うだけで実質は破綻状態は中国でも解る話で、活用できるのは偽情報を流す入り口の確保レベルだと感じます。
米国にしろ日本にしろ 韓国が大陸側へ寄っていくことは 既に織り込み済みではないでしょうか。
李明博政権で経済的に大きく中国に傾き 朴槿恵政権で政治的にも傾き、現在は北朝鮮を抱き込んで(抱き込まれて)離米の最中です。
では 今一つ対韓制裁が遅い理由として考えられることは
①海外からの金融依存が大きいということは 貸手としても草刈り場として美味しい(韓国経済が悪くなれば金利を上げてハイリスク・ハイリターン商品にもなりえる)。金で言うことを聞かせられる(物言う株主等)
②98年のIMF救済の頃に比べ 経済的に規模が大きくなり過ぎた。それで現在は規模を縮小させている。何年か前 大きな海運会社が倒産しましたよね(何故か朴槿恵政権は救済しませんでした)。現在は造船会社に公的資金を入れたり、業界再編を計画中のようですが、この公的資金投入に関して日本はWTOへ提訴中だったと思います。
③半導体等世界的サプライチェーンに参加している企業がある。
北と一緒になって騒ぎ始めると、事態はかなり変わると思いますが、、、。
米国が韓国を切り捨てるという意味で言えば、あえて韓国を攻撃(制裁)するというより、韓国の経済・安全を無視(スルー)しての北朝鮮への先制攻撃を考えているでしょう。
韓国へ何らかの制裁を行ったとしても、米国にそれほど利益はありませんので。
既に韓国がレッドチームに片足を移している現状では、制裁を引き金に最低限の国力を保持したままレッドチームへ両足を移しかねません。
一方、先制攻撃により北朝鮮と戦争に突入した場合、韓国を強制的にブルーチームに引き戻せる可能性が出てくるうえ、国内での一時的な支持率上昇や、弾道弾による核の脅威の排除、戦争特需等々、米国にとってのメリットが大きいと考えます。
北が空気を読まず、このタイミングで余計な刺激を米国に与えた場合、かなり危うい。
韓国へ配慮する事は無いと思いますので、2017年の時以上に武力攻撃の可能性は高いと思います。
> 日本政府が「米国が韓国との米韓同盟を切り捨てるタイミングで、同時に韓国に対する経済制裁を発動する
予想ではなく希望を述べ、言霊の力に期待するという意味では、この「深読み・裏読み」に心から賛同いたします。
しかし、私個人の憶測・予想としては、日本政府はそれ程の覚悟を持っていないし、また日本国民もその覚悟ができていないと思います。
覚悟の前段階として、様々な準備が必要なわけですが、例えば、韓国を日本のサプライチェーンから外した後の代替は整っているでしょうか。東レなどが韓国に設置した生産拠点や、ユニクロのような小売業の販売網は撤退準備に入っているでしょうか。みずほは資本を引き上げているでしょうか。
これら巨大企業の現状認識が、日本人の平均的な韓国に対する意識の表れだと思います。政府としては、これらの勢力を無視できないし、民主主義国家ですから、強制的に撤退を指示することもできません。むしろ救わなければならない立場です。
阿野煮鱒さま
韓国に進出している企業は、自己責任だと思います。
名前が出た三社に関しては、特にそう思います。
今後の対中国政策でアメリカと歩調を合わせることが日本には何よりも求められます。
アメリカが韓国を損切りする覚悟が出来ているのなら日本はその方針に協力すべき立場です。
東レやユニクロ、みずほなどは世界政治の流れに合わせるしかありません。
それが経営者の仕事です。
政府の支援や配慮を期待するなど甘すぎます。
新しい宗主国は、南北揃って中国でしょう。
日本が単独で経済制裁した際の効果は、昨年末に新宿会計士さんが、まとめてくれていました。
https://shinjukuacc.com/20191231-01/
日本が単独で経済制裁するよりも、日米が協調した方が効果が高い事は、間違い有りません。
差押えの現金化が行われた際の制裁は、金融か入国の制限の可能性が高いとは、思います。
アメリカが、同調する事は無いと思います。
また、ギャーギャー騒ぐんだと思います。
米国が米韓同盟を解消するタイミングは次のいずれかだと思います。
➀ 北朝鮮が核放棄を約束して実行に移し、米国が北朝鮮の非核化を確信するに至ったとき
➁ 米国が北朝鮮に核放棄の意思が無いことを確信するに至ったとき
➀の場合は、米国が韓国に対して経済制裁に踏み切ることは無いでしょう。
➁の場合は、米韓同盟解消(=在韓米軍撤退)が、外国資本の韓国からの大規模な撤退を引き起こし、結果的に経済制裁と同じ効果が生じます。
米国が米韓同盟を解消しなかったのは、北朝鮮の核放棄との取引材料として残しておく必要があったからで、いよいよ北朝鮮に核放棄の意思が無いということが確信できれば、心置きなく北朝鮮の核施設等を攻撃するためにも、米韓同盟解消(=在韓米軍撤退)というカードを切ると思いますし、日本を含む外国資本は米国の意図を理解して撤退に動くでしょう。
これに対して、自称元徴用工判決に対する日本の対抗措置は、日本企業の差押財産が現金化されるに至ったときになると思いますので、日米が同時に経済制裁(対抗措置)を発動するというのは、実現すれば極めて効果的ですが、実際には難しい気がします。
ただし、日本政府が米国と歩調を合わせようとしていることは間違いないと思います。
米韓同盟の解消は、朝鮮半島の非核化と緩衝地帯化について、アメリカと中国の合意が成立した時ではないかと思うのです。
ソレイマニ殺害と習近平の国賓待遇による来日はその合意のための一つの過程のように感じます。
「真綿で首を締めるようにゆっくりと、カネが底をつくまで資本流出させる」
麻生閣下のえげつない、二度と立ち直る余地を与えない作戦を実行中の可能性も。