北朝鮮の強がりは想定内 相手を弱らせるのが敵対外交の鉄則

本日の「速報」です。安倍総理が北朝鮮の独裁者である金正恩(きん・しょうおん)と「条件なしで会って会談したい」と述べていることを巡り、北朝鮮の報道官が口汚く安倍総理や河野外相を罵ったのだそうです。ただ、戦争にも経済にも弱く、相手を罵る言葉だけが極度に発達した北朝鮮のことですから、こうした発言が出て来るということは、裏には「我々は経済的に困窮している」というメッセージをかぎとることができます。

日米同盟機軸が世界に与える意味

先月下旬、ドナルド・J・トランプ米大統領が「令和初の国賓」として訪日しました。

これについては当ウェブサイトとしても非常に高い関心を払って注目して来たのですが、この「トランプ訪日」は日米両国の強固な絆を全世界に見せつけたという意味で、まさに大成功だったといえるでしょう(『トランプ訪日成功に慢心するな 次の一手は日台通貨スワップ?』等参照)。

トランプ訪日成功に慢心するな 次の一手は日台通貨スワップ?

ただ、日米首脳会談後の安倍外交は、その後も休むことなく続けられており、

といった具合に、話題は非常に豊富です。

当ウェブサイトとしては、「日本の国益を最大化するためには、強固な日米同盟を基軸としつつ、日本は軍事的自立を急ぎ、自由・民主主義国家との緩やかな連合体を構成すべきだ」と報告してきたのですが、安倍政権の方針は、まさにこうした方向性を目指していると断言して良いでしょう。

もちろん、安倍政権の細かい方針に対しては、私自身も賛同できない部分が多々あります。

とくに、今年10月の消費増税を強行しようとしている点や、NHKのネット同時配信を可能にする放送法改正を実現させてしまった点など、経済面からは疑問符が付く政策もあるのですが、それでも現在のところ、やはり安倍政権に日本の舵取りを委ねるのが正解だと考えていることもまた事実です。

というのも、日米同盟が強固だという事実を全世界に見せつけること自体が、日本の国益に寄与するからであり、それができるのは、今のところ安倍総理だからです。

北朝鮮の反応は、追い込まれている証拠

当然、日米同盟が強固であればあるほど、中国やロシアに対しても「日本と敵対するのはやめておこう」と思わせるきっかけにもなりますし、また、イランの核合意仲裁の件を筆頭に、「日本の出番」はますます増えていくと考えられます。

そのことが日本の国益の増大に寄与することもまた間違いないでしょう。

そして、「日本の米国との仲介」を切に願っている国は、もしかすると意外と近くにあるのかもしれません。それが、北朝鮮です。

これに関連し、こんな記事を発見しました。

日本の「無条件首脳会談」推進に…北朝鮮「面の皮が厚い」(2019年06月03日06時50分付 中央日報日本語版より)

韓国メディア『中央日報』(日本語版)によると、安倍総理が北朝鮮の独裁者・金正恩(きん・しょうおん)とのあいだで「条件をつけない首脳会談」を推進するとの意向を示したことに対し、北朝鮮は2日、公式な反応を出し、「朝鮮アジア太平洋平和委員会報道官」が次のように述べたのだとか。

  • 我が国に対し、天下の悪行を尽くして回りながら、いけしゃあしゃあと『前提条件のない首脳会談の開催』を云々する安倍一味の面の皮が厚さは熊の足の裏のようだ
  • 安倍がまるで日本政府の対朝鮮交渉方針が変更されたかのように広告し、執拗に平壌の扉を叩いているが、主人(=安倍首相)の手足になって『制裁強化』を高唱する河野の妄言が示しているように、我が国に対する敵対視政策で変わったことは少したりともない

弱い犬ほどよく吠える

戦争にも弱く、国づくりもまともにできない北朝鮮では、悪口だけが極度に発展しているという事情もあるかもしれませんが、それにしてもよくぞここまで外国の首脳や外相をけなすことができるものだと呆れます。

ただ、北朝鮮がこのように表現するときは、たいていの場合、追い込まれているときでもあります。

現在、北朝鮮がどのような状態に置かれているのか、その正確なところはよくわかりません。

しかし、2017年の国連安保理制裁決議により石油関連製品の輸入が制限されていることに加え、日米などが主導する経済制裁と瀬取り監視活動の影響で現金収入が絶たれつつあり、相当な苦境に陥っている可能性は高いでしょう。

実際、中央日報は、

報道官はまた、河野太郎外相が最近、北朝鮮が「正しい判断」をすれば制裁が解除されるという発言をしたことに関連し、「まるで日本が我々の生死与奪権でも握っているように軽率にふるまった」と指摘した

と述べているのですが、これなどはまさに「日本が北朝鮮の生殺与奪権を握ること」への本質的な恐怖が見て取れます。

まったく「弱い犬ほどよく吠える」とは、よく言ったものですね。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

外交の世界では、とくに「敵対国」と交渉する際、相手が強いときではなく、弱いときを狙うのは鉄則です。

いや、敵対国であれば、なおさら、相手を弱らせてから交渉するという狡猾さを持つべきでしょう。

安倍政権が行っているのは、まさにこの「相手の弱みに付け込む」という、非常に良い意味での狡猾さであり、北朝鮮の今回の反応も、明らかに「困惑を悟られまいとして、強気に出ている」というものだとみるべきではないでしょうか。

ま、北朝鮮のいつものパターンですから、バレバレですが…。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

このエントリーをはてなブックマークに追加    

読者コメント一覧

  1. ハゲ親爺🐧 より:

    一番いいのは金の斬首による内乱。🐧
    但し、大量破壊兵器とミサイルの現物、技術者は日米が回収する。🐧

    こうなれば、朝鮮人がどうなろうと知った事ではないですね。🐧

  2. 非野阿礼 より:

    無料で金君と会う事は出来ない、既に条件が付いている。

  3. 心配性のおばさん より:

    >それにしてもよくぞここまで外国の首脳や外相をけなすことができるものだと呆れます。

    そして、局面が変わって、日本の安倍政権を頼るしか道がなくなったら、どうするつもりでしょうね。
    たとえ、そう思っていたとしても、口をつぐむのが外交ですよ(笑)。
    本当に永遠の幼稚園レベルなのですね。半島国家は。いつも、周りが許してくれることが前提の行動です。

    拉致被害者のことは、本当に心配ですが、日本という国家は、このことだけで動くことはできません。
    安倍総理は「北朝鮮と条件なしで会って会談したい」とは言っていますが、「すぐに」とは言っていません。
    当面、事態が動くまで、韓国同様、放置だと思いますよ。
    この発言は、拉致被害者の奪還へ骨折りをいただいたトランプ氏への謝意。だと思いますので、ご心配なく(笑)。

  4. 韓国在住日本人 より:

     朝鮮日報の記事を一つ

     タイトル
     정부에 고맙다고 했던 말, 취소하고 싶다
     政府に有難うと言った言葉、取り消したい

     http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2019/06/03/2019060300108.html

     内容は2年前に現政府の長官や次官らが訪問·広報した自営業者を訪ねて現在の状況を聞いたもので「その時は賃上げ分支援の話に感謝したが、実際は4大保険の費用のために2年間ですべてが壊れた」と語ったそうです。
     因みに4大保険とは国民年金、健康保険、雇用保険、産業災害保険を総称して4大保険と呼ばれています。その比率は

    -. 国民年金:所得の9%(労使折半)
    -. 健康保険:所得の6.07%(労使折半)+介護保険料(健康保険料×6.55%)
    -. 雇用保険:勤労者は所得の0.65%、使用者は0.9〜1.5%
    -. 労災保険:業種別保険料率が異なりに使用者のみ(加入義務有り)

     さらに、企業年金というものがあり、これは退職金のことで韓国は[勤続年数×退職前3カ月の平均給与]になります。利率は使用者負担分の掛け金があり、残りを勤労者が支払う形になっています。

     つまり、最低賃金の上昇と共にこれらの費用も増加したことになります。実際記事の中では「4大保険料に残業手当てなどを含めれば、昨年より一人当たり30万₩程度が人件費が上がったが政府補助は13万₩しか出ず、政府支援金が何の役に立ちますか。政府支援金を受けないよりはまだましだと思い仕方なく頂くことにしています」とあります。これが現在の韓国中小企業の実態です。

     なお、蛇足ですが韓国人が韓国に6カ月(183日)以上滞在すると税金の納付が義務付けられます。つまり、出張ベースで183日以上滞在すると税金が発生します。

     コメント欄は色々な意見で溢れていますが、今回は前置きが長かったので割愛させていただきます。もし、コメントを読みたいのならお申し付けください。

     駄文にて失礼します
     

    1. 韓国在住日本人 より:

      修正します。

       蛇足ですが韓国人が韓国に6カ月 → 蛇足ですが外国人が韓国に6カ月

       失礼しました。

  5. めがねのおやじ より:

    更新ありがとうございます。

    最近は見ることがないので分かりませんが、北朝鮮のテレビ放送でチョゴリを着た、おばさんのアナウンサーらしき人が、節回しを付けたような仰々しい言い方で報道してましたね。

    「太陽の如く輝く我らが同志、金正恩委員長様は、すべて国内で生産したトラクター工場を現地指導なされた」とか(笑)。ま、今までは農業もクワとネコとモッコとクソでやってたんでしょうから、進歩といえば進歩。しかしガソリン無いで〜かな(笑)。

    あれぐらい言わないと、朝鮮では評価されない(笑)。嘘でもハッタリかます。他国には下劣な言葉で恫喝する。でも内心はヒジョーに困ってるんだッ。かまってくれ〜ッ!ですね。そのうち、何か言うて来るでしょう。

  6. 三角コーナー より:

    ・経済援助を熊の足の裏くらいに厚くしてくれませんか?(涙)
    ・そろそろいじめを止める気はないのですか?(哀)
    ・首絞める手を緩めてくださいよー、プリーズ(悲)

    誰が聞いても、何度聞いても、そんなメッセージにしか聞こえません。

  7. りょうちん より:

    「犬は吠えるがキャラバンは進む」

  8. ラスタ より:

    皆様の見解はご尤もなのですが、私は全く違う印象を持ちました。
    北朝鮮はとても嬉しそうだ、狂喜乱舞で会う気満々の勢いでないかと。

    北朝鮮が対外国、とくに敵対している国に発するコメントは、なぜかとくに口汚いといいますか幼稚で恥ずかしいようなことを言いますよね。
    それでいながら、かまってちゃん的な甘えが見え隠れしている。

    これを私は個人的に「北朝鮮文学」と呼んでおりますが、それに照らすと、今回の安倍総理の意向に対して大喜びしているように見えてしまうのです。
    安倍総理が話合いの意向を示したことに歓喜しているのだけれど、国内的には素直に喜ぶわけにもいかない。
    しかし相手を引き付けておかなくてはならないから、「奴らの一味」などの言い回しを駆使して、交渉が不調に終わったときのリスク管理をしながら悪口応酬のコミュニケーションで話を引っ張る。

    言い方に反応しちゃいけません。
    幼稚な罵倒をしている部分は、そこが北朝鮮にとって重大な関心事であるという証左。そのテーマを話し合いたい。言葉が汚いほど、その件は重大案件につき困っているから助けてほしいというシグナルでないか。
    そのような読み方をしてしまいます。

    さて、一方の韓国ですが、こちらも独特の文学があると思います。
    日本に対して、いちいち偉そうに「このようにすべきである」とか「このようにしなければならない」とか「このようであるべきだ」などと言いますね。
    私たちはそのような態度を無礼と感じて怒ってしまうのですが、彼らが高圧的な態度を取るときは、お願いや陳情をしている。「お願いだからこのようにしてくださいよ」と言っているのだなと考えると妙に腑に落ちるのです。

    トランプさん流のアメリカ文学はどうでしょう。
    キム委員長を信用しているという発言は、キムが言うこと聞かなければブチ殺すという脅し。
    TPPなんか関係ない。(TPPラインまで譲歩しても、それはたまたまそうなっただけだ。)
    米韓同盟は重要だ。(韓国にとって。)
    トランプさんの場合ビジネスマンだから、何を言ったかより何を約束しなかったかが重要ですね。

    ついでに岩屋大臣。
    「私どもの見解に全く変わりはないが、未来志向の日韓防衛当局間の関係を作っていくため一歩前に踏み出したい」。あの事件の事実は確定済みだが、韓国側の対応次第では水に流してやらんわけでもない。
    「問題はあるが、だからこそ、トップ同士が会い、胸襟を開いて話合うことは非常に大事だ」。今ならまだ許すから、いいかげんウソつかないで謝らないとヤバいよ。
    (大臣発言の出典は 6/2 朝日新聞朝刊ですよ)

    各国それぞれ独自の表現方法があるので、文言だけでなく発言の意図までも適宜翻訳して真意を探ることもまた外交なのではないかと思うのです。

    1. 匿名 より:

      同意です。
      ただ、北朝鮮にしろ南朝鮮にしろ対外的に強硬姿勢を示さなくてはならない弱者の暴言を日本の外交姿勢があえて誘導しているのか、ただ単に流されているのかは時の政権に拠るところが大きいと思います。

      トップダウンを期待していた金豚にアメリカが現実を突きつけ事務レベルの交渉迄退化させた結果
      引き籠もり宣言のように側近を処罰したこの時期に安倍首相の「前提条件無き首脳会談」の呼びかけは
      絶妙なタイミングだと思います。

      ただ問題は南北朝鮮共にトップの無能無策を部下に押しつける政治体制の為、機能不全が激しくまともな対応は望めないので表向きは柔軟な対応に終始しつつ日本政府が何処まで強攻策にでられるか?な気がします。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

非野阿礼 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
関連記事・スポンサーリンク・広告