韓国政府、南北鉄道連結工事の着工式を強行する構えか?

読者の方からのコメントで知ったのですが、韓国は本気で米国や日本からの経済制裁を受けようとしているのではないかと思わざるを得ないニュースが飛び込んで来ました。それは、『韓国政府「南北鉄道連結事業は北朝鮮制裁の対象外」、本当?』でも触れた、南北鉄道連結工事の着工式を、韓国政府が強行するのではないか、との観測です。

南北鉄道連結着工式「年内開催」?

当ウェブサイトにしばしばコメントを寄せてくださる「りょうちん」様から、こんなニュースソースを紹介していただきました。

鉄道・道路連結の着工式 「年内開催へ北と速やかに協議」=韓国(2018.12.11 11:34付 聯合ニュース日本語版より)

これは、韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)が伝えたもので、韓国政府・統一部の当局者が11日、「南北の鉄道・道路の連結に向けた着工式について、南北首脳が9月に合意した年内の開催を具体化するため北朝鮮との協議を速やかに進める」と記者団に伝えた、とするものです。

これが事実であれば、驚くべき話でもあります。

この「南北鉄道連結事業」については、当ウェブサイト『新宿会計士の政治経済評論』では過去に何度か取り上げていますが、簡単にいえば、韓国政府は「南北鉄道連結事業」にかこつけて、北朝鮮制裁を破ろうとしているのではないか、とする話題です。

文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領は、いまや、事実上の「北朝鮮のエージェント」として動いていることを隠そうともしなくなりましたが、かりに南北鉄道連結事業の着工に踏み切れば、米国としては心中穏やかではないでしょう。

しかも、よりにもよって、米国財務省が北朝鮮の個人3人に対する経済制裁の発動を発表したばかりのタイミングで、このような話題が出て来ること自体、私には、もはや韓国政府が「わざと米韓関係を壊そうとしている」ようにしか見えないのです。

どのような手順が実施されるのか?

聯合ニュースの報道から、韓国政府の考えている手順について、簡単にチェックしておきましょう。

  • 朝鮮半島西側の京義線の道路に対する共同調査→すでに終了
  • 朝鮮半島西側の京義線の鉄道に対する共同調査→北朝鮮側区間がすでに終了
  • 朝鮮半島東側の東海線の道路に対する共同調査→早急に着手
  • 朝鮮半島東側の東海線の鉄道に対する共同調査→北朝鮮側の調査実施中

これについて統一部の当局者は、まずは調査を完了させるとしつつも、実際の工事については国際社会の対北朝鮮制裁の状況を見ながら進める計画だとしています。

しかし、先ほどの『米国の新たな北朝鮮金融制裁、日本にとって他人事ではない』でも触れましたが、下手をすると、北朝鮮制裁は韓国に対するセカンダリー・サンクションにまで発展しかねません。そのことを、韓国政府当局者は果たして理解しているのでしょうか?

非常にこころもとない限りです。

それなのに、聯合ニュースは能天気にも、

  • 韓国から北朝鮮を訪問した人数:52人→6148人に増加
  • 北朝鮮から韓国を訪問した人数:63人→806人に増加
  • 南北間の車両等の運行回数:0件→5365回
  • 南北間の航空機の運行回数:0件→10回

と、南北交流が増えていると述べています。

しかし、南北の交流が増えるほど、韓国は西側諸国からますます孤立していくことになるのです。

韓国に対する「セカンダリー・サンクション」とは?

ところで、先週も当ウェブサイトの『日本が本気で経済制裁すれば、数字の上では韓国経済崩壊か?』や『韓国に対する経済制裁、考えられる5つパターンとその可能性』で触れたとおり、日韓の貿易高自体は数字の上では大したことがないのですが、実は、日本は韓国に対する制裁手段を豊富に持っています。

その代表的なものは「ヒト・モノ・カネの制限」であり、具体的には、

  • ヒト:韓国国籍保持者に対する観光ビザ免除プログラムの変更、凍結、廃止
  • モノ:外為法第48条に基づく輸出規制
  • カネ:外為法第16条に基づく資本規制

です。

韓国が現在、徴用工判決で日本企業に対して国際法に違反した強制執行を掛ける可能性が出ていますが、国際法上は、これに対して対抗措置を取ることが認められています。しかし、別にそんな対抗措置を取らなくても、日本としては韓国を「処分」する方法は、いくらでもあるのです。

そして、日本が本気で経済制裁に踏み切れば、金融面、産業面から韓国という国を崩壊させることは可能です。「日本がそれをやるかどうか」という問題はありますが、理屈の上では十分に可能だといえます。

もちろん、徴用工判決で韓国が日本企業の資産の凍結に踏み切った場合、日本側は対抗措置を取るのではないかとの観測もあるのですが(『徴用工判決 これまでの動きと韓国政府の「出方」を整理する』参照)、それとはまったく別次元の「北朝鮮制裁」という意味では、そろそろ始まるのかもしれません。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. めがねのおやじ より:

    < 更新ありがとうございます。

    < 韓国統一部の次官が昨日から訪日していますが、しょうもない北への宥和政策をヌカすなら、この件でシメあげたらいいんじゃないですか。

    < 文と金は、南北の道路、鉄路とも事実上の締結着工GO!に踏み切っている。北朝鮮側の鉄路の調査も韓国がカネを出したんでしょう。

    < 北にそんな余裕は無い。ま、KTXでも実証されてるように、開業1年で何度も事故ってますから、そんな走る凶器を作る品質、度胸、無責任さは私らには不要です(笑)。

    < ここまでコケにされたら、米国は実働隊を出すべし。セカンダリーサンクションをするなら、この南北にしたら華々しい着工式をメチャクチャに破壊するのはどうでしょう。お笑いごとではなく、私は実効力のある方法だと思います。

    < テープカットの時に、まだ締結されてない線路に韓国側から無人の暴走機関車、客車10輌が突っ込む。式典会場から少し離れた場所で、激突して「く」の字に曲がった車輌、前半分は脱線転覆、、、これぐらい派手な事を米国特殊部隊は、やってくれないかな(笑)。悪い妄想でした。

    < コレを北朝鮮の犯行と怪情報を出したら、文は消されるな(笑)。

  2. 鞍馬天狗 より:

    更新お疲れ様です
    結局は、米国がどう動くのか?
    って、問題なんだよな
    米国は、支邦をどうするのか?
    そこら辺も、ハッキリしてないし
    米国にとって、半島は相当優先順位が低い問題だから
    日本が単独で出来るコトは非常に限られてる
    その点、戦時半島労働者問題は民間が勝手に動けるから”差し押さえ”が楽しみだ

    1. 非国民 より:

      中国は潰されそう。アメリカのエスタブリッシュメントに睨まれるとあらゆる手段を使って潰される。たぶん、田中角栄もそれかも。だいたい、嘱託尋問調書なんておよそ日本の法制度で受け入れられないものも強行的に導入された。アメリカの逆鱗に触れるとやばいのは自民党の議員はみんな知っている。私の知り合った国会議員も大きな流れができるとこわいといっていた。
      北朝鮮はどうでもいい存在。但し、一定のラインを超えると潰されると思う。北朝鮮は中国やロシアが味方しているけど、アメリカが本気になったら、中国やロシアは簡単に北朝鮮を裏切ると思う。
      だから、日本はあまりでしゃばらないで、傍観していた方が安全。アメリカが困惑しない程度で経済的にがんばり、政治には関与しない。世界の平和はアメリカにまかせておけばよい。日本の強みは経済力にあるから、アメリカが武器を買ってほしいといえば買い、自衛隊を派遣しろといえば派遣する。
      アメリカも日本に平和憲法を押し付けたのはわかっているので、無茶苦茶な無理を日本にはいわない。何かあっても「憲法9条を押し付けたのはそもそもアメリカでは?」ですむ。理論的に論破されるとアメリカは弱い。

      1. 非国民 より:

        防衛費は防衛費という名前から交際費にしたらよいのでは。だって、武器はみんなアメリカ製。アメリカに対する交際費に近い。

        1. gommer より:

          国産装備品の方かずっと多いんですが。日米の共同開発も含めるとさらに。

          最先端の装備品は注目されますからその様に見えるのも無理も無いのですが、全く事実と異なりますよ。

  3. 韓国在住日本人 より:

     韓国のTVはタクシー運転手の焼身自殺の件とKTX脱線関連のニュースばかりです。南北関連の話は北朝鮮高官の個人制裁以外はでません(すべてのニュースをチェックしている訳ではないのでご了承ください)。

     とにかく文在寅大統領は北朝鮮との融和を第一目標として精力的に動いています。北のシンパなのか、はたまたスパイなのか、それともソウルを火の海にすることを避けようとする愛国者なのかと巷では色々な話が飛び交っていますが、小生はただの能無しだと思っております。

     セカンダリーサンクションも実際にされてから行動を起こすと思います。もし、最初からリスクを考えているなら、財閥の代表を北朝鮮訪問にわざわざ同行させることはしません。財閥もリスクを考えれば下手な約束など出来るはずがありません。これも北朝鮮訪問にハクを付けるためのパフォーマンスであり、それ以上でもそれ以下でもないです。経済団を引き連れていけば北朝鮮からは投資や経済開発の話になるのは目に見えています。しかし、行く前からセカンダリーサンクション恐れている財閥は何もできないのは分かり切っているはずです。北に行くことでアメリカから目を付けられ、行かなければ韓国国内での制裁が始まる。財閥も国からの受ける恩恵とリスクを天秤にかければ、そろそろ国外脱出も近いと思います。

     駄文にて失礼します

    1. りょうちん より:

      そういえば、HUAWEIの会長の娘は「7つのパスポートを持つ女」だったと話題ですねえ。
      韓国の財閥関係者だったら、軽く米国のグリーンカードくらいは持っていそうです。
      搾取の対象としての韓国に未練はあるのでしょうが、財閥絶対殺すマンの文大統領が失脚しない限り国外逃亡待ったなし。
      ただ国外まで追ってきそう。

  4. りょうちん より:

    12/24の「徴用工」関連のことばかり話題になっていますが、米韓関係の話では、実は今月失効する在韓米軍に関するSpecial Measures Agreementの新規締結の方が喫緊の話題になっています。
    なんで今月失効する話を、今頃まで話し合っているのかは理解不能ですが、トランプが在韓米軍の経費負担を「倍プッシュだ・・・」とか言っていますw
    割合で日本並み、金額でドイツ並みにしろと言うことです。
    これが大きいか小さいかは、在留米軍のその国の国防にどれだけ寄与しているかという相対的な考察が必要な問題で、単純に金額で語れる問題ではありません。
    赤旗の弁を借りれば、米国に他の26同盟国が支払っている駐留経費負担の総額より多い金額を日本は一国で大盤振る舞いしていると非難しています。
    在日米軍の駐留経費がとても高額なのは、一つには日本の経済水準が高いため人件費などの経費が膨れ上がるという点。
    他の国と違って、単に展開部隊を配備しているような駐留とは一線を画す、対中ロシアへのシギント傍受施設や海兵隊の兵站集積施設、海外で海軍の唯一原子力潜水艦・空母の大規模整備ができる施設、またこれからは、アジアでのF-35の整備施設などと言った重要な戦略拠点であることに起因します。
    米軍も、これだけの貢献に対して、無碍にはしません。
    リムパックやヤキマの演習、日本の海兵隊の演習の優先という名の訓練など、お得意様に対する優遇措置を明らかにしています。
    それ以外にも、他の同盟国がF-35をどんどん高すぎると言って調達数を削りまくっている惨状の中、日本は大盤振る舞いで調達を増加させました。

    さて、韓国なんですが、米軍からしてみれば、北朝鮮に対する備えという性格しか無く、完全な持ち出しです。
    演習しようにも、「トランプに経費のムダ」と呼ばわりされる始末。

    あと数日後には結果が出るでしょう。

  5. りょうちん より:

    朝鮮日報のアンチ文在寅は、ねちっこくて好きですw。

    http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/12/13/2018121380039.html
    9月に訪朝した韓国大統領機、米国の制裁対象になっていた

    http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/12/13/2018121380040.html
    ロス経由予定の韓国大統領専用機、米国の許可が必要と知りチェコへ

    丹念な取材で、「大統領専用機」が「セカンダリーサンクション」を受けていた状況証拠を積み上げていきます。
    韓国政府は「な、なにそれっ・・・、し、知らない!」だそうです。

    1. りょうちん より:

      楽韓さんのところでも取り上げられていましたが、さすがの考察。
      米国政府に適用除外の許可をその都度取ればいいだけの話なのに、それをプライドが邪魔して、ルールを破るのを正当化しようとしたといういつもの話だそうで。

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