相次ぐ「コリア・パッシング」の兆候は日本正常化の証拠か?

当ウェブサイトでは、長らく、日韓関係について深く取り上げて来ました。ただ、当ウェブサイトは「韓国が大好き」だから、その話題を取り上げてきた、ということではありません。日韓関係とは結局、日本の国内問題の延長のようなものだと考えているからこそ、当ウェブサイトでも常に関心を払ってきたというほうが、正しい表現だと思います。ただ、その一方でわが国では韓国に対する関心が急速に薄まって来ているようにも思えるのですが、これをどう考えるべきでしょうか?

安倍政権の韓国に対する「塩対応」

空虚に響く、安倍総理の言葉

昨日、来日中の徐薫(じょ・くん)韓国国家情報院長が安倍晋三総理大臣を表敬訪問しました。その内容については、外務省のホームページにアップロードされています。

徐薫韓国国家情報院長による安倍総理大臣表敬(2018/09/10付 外務省HPより)

面談時間は35分間で、外務省のウェブサイトに掲載されている主なやりとりを私自身の文責で要約すれば、次のとおりです。

  • ①(安倍総理)徐院長の本年3回目となる訪日を歓迎する。韓国の特別使節団による北朝鮮訪問から間もない時期に今回の訪日が実現したことが、文在寅(ぶん・ざいいん)政権以降の日韓関係の緊密な関係を世界に発信する良い機会となる。
  • ②(徐院長)今回の訪日を受け入れていただき感謝する。文大統領から最近の地震と台風21号による被災者の方々に深いお見舞いの言葉を託された。文大統領は朝鮮半島の非核化と平和の問題においてこれまで以上に安倍総理大臣の役割は重要であり、韓日間で更に協力とコミュニケーションを強化していきたいと考えている。
  • ③安倍総理大臣は徐院長から特別使節団の訪朝結果について詳細な説明を受け、その上で、安倍総理大臣は、来る南北首脳会談を含む南北間の取組が米朝間の合意の履行に向けた具体的な行動につながることを期待する旨述べた。また、両者は、日韓、日韓米三か国で引き続き緊密に連携していくことで一致した。

このうち①にある、「文在寅政権以降の日韓の緊密な関係」という表現については、これほど空虚に響く皮肉はないと思います。なぜなら、安倍総理の国会における韓国に対する発言を追いかけていくと、文在寅政権成立後、韓国については「戦略的利益」、「重要な隣国」といった表現が完全に消えたからです。

安倍総理の韓国に関する発言

その一方で、②の下りで徐院長が持ってきたメッセージも、心がまったくこもっていないように感じるのは私だけではないでしょう。なぜなら、肝心の韓国政府の姿勢が、「日韓協力」という雰囲気からほど遠いからです。

そして、③の下りについては、あくまでも「日韓協力」は「北朝鮮問題における日米韓3ヵ国連携」の一環に過ぎず、日本が米国を抜きにして、北朝鮮問題以外の分野で韓国と仲良くするつもりはない、という意思表示にも見えてしまうのは、私が深読みし過ぎなのでしょうか?

ツイッター放置事件

実際、安倍総理が訪日した韓国政府高官に何をしゃべっているのかは知りませんが、現実に韓国政府に対する反応は、まことに冷淡に見えます。韓国メディア『中央日報』(日本語版)によれば、文在寅大統領のツイッターを巡って、ちょっとした混乱があったようです。

文大統領ツイッターに「非礼な安倍に代わってお詫びする」コメントがついた理由(2018年09月10日06時45分付 中央日報日本語版より)

中央日報の記事を私なりに要約して解説すると、次のとおりです(ただし、文章の順序を入れ替えているほか、日本語の助詞などの表現を適宜修正しています)。

  • 文在寅大統領は今月6日、近畿地方の台風被害と北海道の地震被害をめぐり、日本国民と安倍総理に対して慰労メッセージをツイッターに投稿した
  • それなのに、このツイッターの投稿に対する安倍総理からの反応がなく、日本のネット・ユーザーは「安倍首相の非礼な振る舞いを心からお詫びする」などと書き込んだ
  • 安倍総理は7日、台湾の蔡英文総統やオーストラリアのスコット・モリソン首相などの慰労メッセージに対して感謝の気持ちを表明していた

つまり、「せっかく文在寅大統領自身が日本のことを心配しているのに、安倍(総理)はその気持ちを無視した」、という恨み節のようなものですね。

この、「文在寅氏がツイッターに慰労のメッセージを書きこんだ」のに、「安倍(総理)がそれをいまだに無視している」といった指摘の事実関係が正しいのかどうかはよくわかりません。ただ、文在寅大統領の該当するツイートは、そもそもが韓国語であり、正直、私たち日本国民が読んでも良くわかりません。

もちろん、翻訳ソフトを使えば何となく文在寅氏が私たち日本国民に慰労のことばを掛けて下さっているのだろうな、という想像はつくのですが、わざわざ普通の日本人が文在寅氏のツイートを読むのでしょうか?少なくとも私自身は韓国語も読めないので、文在寅氏をフォローするつもりはありません。

蔡英文総統閣下に感激の日本人多数

その一方で、台湾の蔡英文(さい・えいぶん)総統は、なんとツイッターを使い、日本語で直接、メッセージを投稿されています。

台湾は日本の良き友人として、自然災害が続く日本と共にこの困難な時期を乗り越えたいと願い、またそうする義務があると考えています。北海道で発生した地震のために、台湾は特殊救助隊員40名、災害救助犬2頭、及び必要な器材を派遣する用意を整えました。これからも引き続き日本を応援します。2018年9月6日 19:04付 ツイッターより

もう少し正確にいえば、蔡英文総統のツイートは、安倍総理のツイートに対する返信となっていて、これに対してさらに大勢の日本国民、あるいは台湾国民からの返信が付されています。

もちろん、私自身は蔡英文総統だろうが、文在寅大統領だろうが、外国の国家元首から寄せられた温かい言葉や支援には感謝しなければならないと思いますし、相手国に応じて不当な軽重を付けることは望ましくないとも思います。

しかし、純粋に日本国民の1人として、自国民にしかわからないツイートではなく、相手国の国民に直接、訴えかけるようなツイートを発する国家元首のほうが、私たちの心に深く刺さるように思えてなりません。

NBOの興味深い変化

日韓関係は急速に忘れ去られるのか?

最近の政治、経済に関する話題は、何といっても相次ぐ大災害やGDP改定値の公表、自民党総裁選などで占められています。こうしたなか、私のなかでの昨日の「トップ・ニュース」は、これでした。

米国は中国をいたぶり続ける/覇権争いに「おとしどころ」などない(2018年9月10日付 日経ビジネスオンラインより)

リンク先の記事は、日経ビジネスオンライン(NBO)に掲載された、日本経済新聞の元記者である鈴置高史氏による大人気シリーズ『早読み深読み朝鮮半島』の最新記事です。そして、今回の記事は鈴置氏と愛知淑徳大学の真田幸光教授の対談です。

タイトルでだいたい想像が付くと思いますが、今回の記事のテーマは米中貿易戦争であり、この米中貿易戦争の目的は米国が台頭する中国を抑えつけることにあるため、結果的に米国は中国に対し、「終わりのない戦い」を繰り広げるであろう、という指摘です。

そして、このリンク先の記事は、端的に申し上げれば「優れている」としか言い様がありません。本稿でリンク先の記事を転載することは控えますが、政治・経済評論に興味がある方であれば、きっと、文章の1つ1つにいちいちうなずきながら読んでしまうことでしょう。

なお、リンク先記事を読むためには日経IDの取得なども必要ですが、その手間をかけるだけの価値は十分にあります(※ただし、日経IDの取得方法などについての詳細は、NBOなどのウェブサイトを読んで下さい)。

鈴置氏は韓国をスルーし始めたのか?

ただ、リンク先記事を読むと、ふと気付く点があります。それは、「早読み深読み朝鮮半島」というシリーズ名に反し、今回の記事では、朝鮮半島についてまったく触れられていない、という点です。朝鮮半島の「朝」の字すら出て来ません。ひたすら、米中対決に議論が割かれてしまっているのです。

鈴置氏といえば、言わずと知れた日本国内における「コリア・ウォッチャー」の第一人者です。その鈴置氏が、論考の中で韓国、あるいは朝鮮半島を完全にスルーしたこと自体、画期的なことです。つまり、日本における「コリア・パッシング」が本格化するのではないか、と思ってしまいました。

「鈴置先生といえば朝鮮半島問題」「朝鮮半島問題といえば鈴置先生」と言われている(※)にも関わらず、その鈴置氏が朝鮮半島問題にまったく触れない論考を掲載すること自体、なかなか興味深い現象だと思うのは私だけではないでしょう。

(※)もっとも、厳密には「そう言われている」のではなく、私が勝手に「そう言っている」だけかもしれませんが…(笑)。

もちろん、今回は真田教授との対談記事だから中国問題に特化したという可能性はあります。次号以降はふたたび朝鮮半島問題に焦点が戻るのかもしれません。ただ、鈴置氏ほどの人物であれば、朝鮮半島問題だけでなく、中国、日本、ロシアなど、幅広い視点で国際情勢を斬って欲しいものでもあります。

朝鮮半島情勢は「食傷気味」、「論じるに値しない」?

考えてみれば、現在の朝鮮半島情勢は、やや食傷気味だという人も多いのではないでしょうか?

2017年5月に文在寅(ぶん・ざいいん)政権が発足して以降、韓国がやっている外交は、一貫して北朝鮮のために尽くすということです。つい先日も、米国がポンペオ国務長官の4回目の北朝鮮訪問を取りやめたにも関わらず、韓国が北朝鮮に代表団を派遣したという「事件」がありました。

また、北朝鮮の都市・開城(かいじょう)に「南北連絡事務所」を設置する件についても、それをやれば国連安保理による北朝鮮制裁決議案に違反することになる、という米国側からの警告を、韓国政府は無視しようとしています。

さらには、今月18日から20日にかけて、韓国は文在寅大統領自身が北朝鮮の首都・平壌(へいじょう)を訪問し、北朝鮮の独裁者である金正恩(きん・しょうおん)と会談する予定ですが、昨日の日経報道だと、その訪朝団の規模は200人程度を見込んでいるのだそうです。

韓国の訪朝団、200人規模へ 18日からの南北首脳会談/南北首脳会談 朝鮮半島(2018/9/10 17:51付 日本経済新聞電子版より)

米国側が繰り返し、しつこく「北朝鮮を支援するならば、米韓同盟も消滅するぞ」と警告しているのに、韓国がそれを突っ切り、北朝鮮を支援しようとしていることは明らかです。米韓同盟消滅は「既定路線」であり、そのこと自体「論じるに値しない」と考える日本人が増えていても、不思議ではありません。

だからこそ、メディアは韓国に対する関心を急速に失いつつあるのかもしれません。つまり、わが国において、近い将来、もはや朝鮮半島情勢が「論じるに値しない」話題になってしまう可能性も十分にあると私は考えているのです。

日韓関係は日本が脱皮するチャンス

さて、当ウェブサイトを以前から読んで下さっている方ならご存知だと思いますが、当ウェブサイトは「嫌韓ブログ」の類いではありません。

たしかに韓国の日本に対する接し方は非常に無礼ですし、私も日本国民の1人として、韓国の日本に対する常軌を逸した振る舞いに怒りを覚えることは多々あります。しかし、当ウェブサイトで日韓関係について取り上げる最大の目的は、日韓関係が日本の国内問題を映す「鏡」のようなものだからです。

なぜそうなのかといえば、日本が韓国から徹底的にコケにされ、侮辱され、おちょくられていること自体、日本側の「外交事なかれ主義」や「日本国内の反日勢力」の力が強かったことを意味しているからです。ところが、こうした状況を大きく変える要因が、日本の方で2つ発生したことは、指摘しておく必要があります。

1つ目の要因は、2012年12月に第二次安倍政権が発足したことです。先ほども申し上げたとおり、安倍政権は発足直後こそ、韓国のことを「基本的価値と利益を共有する最も重要な隣国」と表現していましたが、現在は「これ以上悪化しないようマネージする関係」にまで落ちました。

そして、2つ目の要因は、私たち日本国民の間で、マスコミをスキップし、インターネットを通じて直接、さまざまな情報を得ることが一般化しつつあることです。朝日新聞を筆頭とする反日メディアが何を言ったところで、私たち日本国民はそれに騙されなくなり始めたのです。

そして、「マスコミフィルター」や「外交事なかれ主義」の影響がはげ落ちた結果、私たち日本国民が韓国のこと、中国のことなどを、正確に評価することができるようになって来ています。「恐るべき隣国」だと思っていた韓国が、実は迷走しまくっていて、米韓関係の終了も間近だ、ということが、薄々わかって来たのです。

日本の国内の病理そのものが解消し始めて来れば、「日本の国内の病理を映す鏡」だった日韓関係をウォッチする必要性も落ちてくるのかもしれません。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

ただし、当ウェブサイトとしては、依然として「日韓関係は日本の国内問題を映す鏡」だと考えており、これについてはまだフォローする価値があるとも思っています。今後とも不定期に、この話題については触れていくつもりですので、引き続きのご愛読をよろしくお願い申し上げます。

読者コメント一覧

  1. めがねのおやじ より:

    < 更新ありがとうございます。

    < 友邦国の天災被害に対して、自国語で電文を寄越して来て、さあ〜読めッとはまた文大統領も無礼な方だ。普通、相手の国語か、最低英語でしょ。世界で6〜7,000万人程度しか読み書き出来ない朝鮮語送って来るとは、まったく常識の無い韓国政府ですね。

    < 今月18日から、南北首脳会談をやるそうです。あんだけ、米国にヤメロ!って言われてるのに。訪朝団が200人(笑)。観光か?

    < 金と会談しても、相手のペースにハマるだけ。で、肝心の核破棄は一切進展無しでしょう。さあ、日米はその後どうするかな?

    < 最近のNBOを読んで、鈴置氏の発言を見ても、以前ほどのワクワクする感が無いです。もう匙投げてる感じ。一番駄目なのは、韓国が脊椎無しのフニャフニャだからです。オマエ達は、どうすんだ!というところが見えない。結論じみた事が言えない。

    < 私も食傷気味です(笑)。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。なお、コメントに際しては当ウェブサイトのポリシーのページなどの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。