混乱する韓国から距離を置け

連日、韓国のメディアが報じている「朴槿恵(ぼく・きんけい)大統領の国家情報漏洩問題」を巡り、先週、新たな展開がありました。韓国の検察当局が大統領を「共犯者だ」と断罪。これに対し大統領側は「居直り」を決め込む戦略に転じた模様です。本日は、国家元首の不正や国家の危機に、「普通の国」なら何をするかという観点に加え、韓国は危機対処能力が極めて低い国であること、日本としては通貨スワップ協定も含め、「静観」を決め込むことが正解であることなどを議論したいと思います。

国家元首の不正にどう対処するか?

韓国の「居直り大統領」

韓国の検察当局は11月20日(日)、朴槿恵(ぼく・きんけい)大統領の友人である崔順実(さい・じゅんじつ)氏ら3人を、「職権濫用」「強要」「公務上機密漏洩」の罪で起訴しました。

しかし、よく考えてみると、これらの違法行為を行ったのは朴大統領本人であり、起訴された容疑者らはむしろ「情報漏洩を受けた側」です。つまり、朴大統領から情報漏洩を「受けた側」である崔容疑者を起訴するとは、かなり無理があります。

これについて捜査本部で次席検事が「3つの容疑で朴大統領は共犯だ」と述べたのだそうですが、それだと大統領自身を起訴するしかありません。ただ、韓国では憲法上、現職の大統領は「内乱罪」か「外患罪」に該当しない限り、刑事訴追できません。

そこでやむなく、無理なロジックとわかっていながら、「情報漏洩を受けた側」である3人を起訴したのでしょう。

しかし、ここでどうも朴大統領側が「居直り」を始めたようです。日本経済新聞社の鈴置高史編集委員は、日経ビジネスオンラインの人気シリーズ「早読み深読み朝鮮半島」の中で、「朴大統領は容疑をすべて否認し、正面突破作戦に出た」(『「弾劾訴追」は朴槿恵の「真田丸」だ/「100万人デモ」に追い打ちかけた検察 vs 反撃態勢の大統領』)と指摘しています。

つまり、朴大統領が「検察はどうせ私を起訴することができない」とばかりに、容疑を全面的に否認し始めている様子なのです。

国家元首や首脳が不正をしたらどうなるか?

実は、諸外国でも大統領が不正や法令違反を行ったとして、免職されることがあります。つい最近だと、「政府会計を不正操作したという背任罪」を受けて、ブラジルのディルマ・ルセフ大統領が免職されました。

ブラジル・ルセフ大統領が弾劾裁判で失職「これはクーデターだ」一体どういうこと?(2016年09月01日 10時43分 JST付 ハフィントンポストより)

このルセフ氏は、国家元首でありながらも、停職中のため、「南米初の五輪」である8月のリオ五輪の開会式に出られなかったことは記憶に新しいところです。

【リオ五輪】停職中のルセフ大統領、開会式に出席せず(2016.7.27 09:04付 産経ニュースより)

つまり、国家元首(大統領など)や首相級の要職者であっても、何らかの不祥事により停職・免職されるという例は、世界でも一般的に存在します。

日本の事例

日本の場合だと、首相は国会議員ですが、国会議員は国会の会期中であれば逮捕されません(日本国憲法第50条の「不逮捕特権」)。また、国務大臣であれば原則として、内閣総理大臣の同意がなければ訴追されることはありません(日本国憲法第75条の「不訴追特権」)。

しかし、日本の場合だと、少なくとも「現職の首相」がこの「不逮捕特権」「不訴追特権」を受けた例はありません。元首相だった田中角栄も、ロッキード事件発覚後に内閣総辞職をしたあとで逮捕されています。

では、不祥事が発覚したにも関わらず、現職首相が「居座る」ということは可能でしょうか?

日本は「議院内閣制」を採っており、慣例上、日本の首相は衆議院議員から選ばれます。ここで、首相が何らかの不正行為を行うなどした場合、野党などの国会議員は国会で内閣不信任案を提出することができます。

内閣不信任案が可決されてしまえば、憲法上は10日以内に衆議院を解散するか、総辞職をするかを選ばなければなりません(日本国憲法第69条)。もちろん、時の政権与党が多数を占めていて、内閣不信任案が否決された場合は、首相は総辞職も、解散総選挙も行う必要がありません。

ただ、日本は大統領制ではなく議院内閣制を採用していますから、与党議員も内閣不信任案に賛同するようなことになれば、政権は容易に倒れます。そして、田中角栄の例にもある通り、「明らかな犯罪を行ったばあい」(またはその容疑が強まった場合)には、自ら「身を引く」か、与党内で「首相おろし」が発生するというケースが多いのではないでしょうか?

したがって、我々日本人としては、国家の首脳(大統領や首相)が大規模な不正を行い、それでもその地位に居座る、という感覚が、よく理解できないのです。

で、韓国人はどうしたいの?

では、ここからは(無駄だと分かってはいますが)韓国人の立場から見て、「どうするのが本来望ましいか」という観点から議論を進めていきましょう。

外交を停滞させる愚

韓国では現在、大統領が指導力を失った状態で「居直り」を決め込んでいます。このような状態が長引けば、韓国の国内の政治が停滞するだけではありません。

例えば、日本との関係でいえば、「従軍慰安婦問題の完全解決」を図った昨年12月の合意を、韓国側はまだ履行していません。日本側は既に、合意に基づいて国家予算から10億円という「国民の血税」を韓国側に支払ったのですが、韓国側は日本大使館前に設置された醜悪な売春婦像を撤去する気配を見せていません。

また、在韓米軍への「高高度ミサイル防衛システム」(THAAD)の配備を巡っては、米国防総省(ペンタゴン)が「可能な限り早く」と韓国政府を急かす一方で、中国側は「韓流スターの放送禁止措置」など、少しずつ「対韓制裁」を発動しています。

米国防総省 THAADの韓国配備「可能な限り早急に」(2016/11/08 15:08付 聯合ニュース日本語版より)
中国、「限韓令」を全面適用…チョン・ジヒョンのドラマ、ソン・ジュンギ広告も「禁止」(1)(2016年11月21日08時55分付 中央日報日本語版より)

また、先日行われたAPEC首脳会談でも、朴大統領は参加を見送りました(詳しくは当ウェブサイト『パルク・グエン・ヒェ―APECにすら欠席する韓国大統領』もご参照ください)。

混乱を収束するには「テクノクラート政権」が最適

それでは、韓国人がこうした停滞状態を打破するためには、どうすれば良いのでしょうか?デモ活動をして朴大統領を引きずり下ろせば、それで良いのでしょうか?

そんな単純な話ではありません。

だいいち、朴大統領が退任したところで、次の大統領の任期は2018年2月までです。韓国では大統領の再任が禁止されていて、しかも1年少々しか任期がないという状況で、有力候補が韓国大統領に立候補するとは思えません。

もちろん、国政機密を個人に渡していたという朴大統領の政治姿勢は大きな問題でしょう。ただ、それと同時に、現在の韓国は「国内での争い」をしている余裕などないはずです。

ここでは、「国政の停滞」を防ぐために、朴大統領自身がまず国民に向けてきちんと疑惑を説明し、一種の「挙国一致型の選挙管理内閣」を組閣して、その内閣と朴大統領が、事実上の「紳士協定」を結ぶ、というソリューションが考えられます。

実際、国家的な危機に際し、政治家ではない実務家が首相に就任する、という例は諸外国にもあります。そして、「実務家」のことを、一般に「テクノクラート」と呼びます。

例えば、2010年に就任したイタリアのマリオ・モンティ首相自身が欧州連合(EU)要職を務めるなどの「テクノクラート」出身者ですし、ギリシャでも2011年にルカス・パパデモス首相が率いる「テクノクラート政権」が成立したという実例があります(もっとも、いずれも瓦解しましたが…)。

つまり、求心力を失った朴大統領の事実上の代理として、一時的に「国家の難局を切り盛りするテクノクラート内閣」を創設すれば、あるいはこの危機をしのぐことができるのかもしれません。

こんな時も優先順位を間違える

ただ、少々韓国人に厳しいことを言いますが、彼らはこんなときにも「優先順位」を間違えます。たとえば、朴大統領の退任デモが高まりつつある最中にも、次のような報道が流れました。

韓国の女子高生、ワシントン慰安婦少女像設置基金を寄付(2016年11月03日16時22分付 中央日報日本語版より)

繰り返しになりますが、「日本軍従軍慰安婦問題」とは、朝日新聞と植村隆が捏造した記事がきっかけではありますが、それを一人ひとりの韓国国民が尾ひれを付けて捏造を拡大し、歴代の韓国政府が対日政策で政治利用してきた問題です。

「朝鮮半島で少女20万人が(※)強制連行された」

などという与太話、日韓関係の改善に寄与しないことは明らかでしょう(※最近ではさらに人数が増えているとか)。

つまり、現在の韓国が「国家運営」のために、真っ先にやらなければならないことは、国内の混乱の収拾と外交関係の立て直しです。しかし、国民は大統領退任デモをするばかりですし、大統領は居直りを決め込んでいます。さらに、「韓国にとって一番害をもたらさない国」である日本を苛立たせる行為(慰安婦像の設置など)についてはしっかりと推進する―。

私には、この国が「国家としての生存本能」を欠いているようにしか見えないのですが…。

韓国は王朝交代の国

冒頭に引用した日経ビジネスオンラインの鈴置編集委員の記事によると、韓国の歴代大統領(李承晩(り・しょうばん)から李明博(り・めいはく)までの10人)は、いずれも亡命したり、軍により辞めさせられたり、在任中に暗殺されたり、退任後に本人か身内が逮捕されたりしています。

これについて、元独立総合研究所社長で参議院議員の青山繁晴氏は、常々、韓国が「王朝交代の国だ」と指摘されています。これを私なりに解釈すると、

  • 朝鮮半島には李氏朝鮮の前近代的な絶対王政のマインドが強く残っている
  • 権力を握ると親族を要職に積極登用するなど、腐敗が激しい

ということです。それであれば、日本のような議院内閣制にすれば良いじゃないか、という意見もあるようですが、物事はそう単純ではありません。韓国人の気性の激しさ、協調性のなさを考えると、日本のような議院内閣制を運営できるとは到底思えないからです。

  • 指導力の強い大統領制を敷くと権力が腐敗する。
  • 指導力を弱めると国政が混乱する。

こんな状態で、韓国が混乱なく国政を運営していくほうが難しいのは明らかです。

今のところは「静観」が正解だが…

今のところ日本の安倍政権はこの問題に関して「静観」を決め込んでいるようですが、それはそれで正しい選択肢です。韓国社会の混乱と停滞に下手に関わって、韓国人の「恨み」が日本に向いても困るからです。

日韓外相会談の真意

しかし、安倍政権の対韓外交には、危なっかしい点がいくつかあります。その一つは、昨年12月の「日韓外相会談」です。

この会談では、従軍慰安婦問題について「最終的かつ不可逆的に解決」されました(※といっても、どうせ韓国側から蒸し返されるのは目に見えていますが…)。

私はこの「日韓外相会談」について、「韓国が求めていた『事実上の日本政府からの国家賠償』」を行うことで韓国のメンツを立てつつ、韓国政府責任者の口から「問題が完全に解決した」と言わせることが目的だったと見ています。事実、朴槿恵政権はこの合意以降、「反日外交」をほぼ封じ込められてしまいました。その意味では、日韓合意には「一定の成果」があったことは間違いありません。

ただ、韓国は政権が代われば、必ず過去の問題を蒸し返してきます。安倍総理が、よもやそのことをわからずに安易な日韓合意を決断したとも思えませんが、朴政権がこんな状況になった以上、「問題が蒸し返されるタイミング」が早まってしまったのは事実でしょう。

政権支持者を落胆させる行為

私は、安倍総理が「対中封じ込め」を最優先課題に掲げていることについては、理解もしていますし、支持もしています。ただ、その具体的な政策については、細かい不満がたくさんあります。

「従軍慰安婦問題に関する日韓合意」では、岸田外相は次のように発言しました。

「慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している。」(※太字下線は引用者による加工

これは、朝日新聞と植村隆が捏造した、いわれなき慰安婦問題という「濡れ衣」に立ち向かうために、世界中で頑張っている民間の大勢の日本人を、背後から撃つような発言であり、私はこの点において、岸田文雄外務大臣のことを、到底許すことはできません。仮に私が岸田外相の出身選挙区の有権者であれば、次回衆院選では岸田氏には絶対に投票しないでしょう。

つまり、安倍政権が踏み切った「慰安婦合意」とは、「短期的には韓国の反日外交を封殺する有効な手段」だったことは間違いありませんが、中・長期的には、全ての日本人の名誉を傷つけるものです。そして、この「日韓合意」で深く落胆した有権者も多かったのではないでしょうか?

安倍さん、それでも日韓スワップをやるのですか?

そんな安倍政権が、さらに韓国と締結しようとしているのが、日韓スワップとGSOMIA(包括軍事情報交換協定)です。

このうち、「日韓通貨スワップ」については、少なくとも金融規制の専門家である私の目から見て、「日韓双方に経済的なメリットがあるからこれを締結する」といったロジックは、明らかなウソです。

本当は、安倍政権としては「軍事的にも(=GSOMIA)経済的にも(=日韓通貨スワップ)韓国を支配したいから」これらの協定を締結しようとしているのではないでしょうか?

日韓スワップについては、従前より当ウェブサイトで何度も議論してきたとおり、経済的恩恵は韓国にしか生じず、日本にとっての経済的恩恵は皆無です。なにより、韓国が主張する「外貨準備」(日本円にして約40兆円)と称するものの大部分は、いざというときに使えない不良資産である可能性が高いです(これについては『「韓国経済崩壊論」と韓国の不良資産疑惑』をご参照ください)。そして、そんな韓国から見ると、日韓スワップはそれこそ「喉から手が出るほど欲しい」外貨調達手段です(これについては『専門家が見る、韓国が「日本との」通貨スワップを欲しがるわけ』もご参照ください)。

しかし、これを締結すれば、確かに日本政府が韓国政府に対して一定の影響力を行使することができるようになるかもしれませんが、どうせ韓国国民は日本に対して全く感謝することはないでしょう。

それどころか、「日本からの700億ドルの通貨スワップ」という恩を、「竹島不法上陸という仇」で返した前任大統領の李明博(り・めいはく)のような前例すらあります。

火遊びをせず、気を引き締めて欲しい

いずれにせよ、私は個人的に「日韓スワップ」協定には反対の立場であるものの、私の見立てが正しければ、安倍政権はおそらく通貨スワップ協定の締結に極めて前向きではないかと思います。

私も前回の選挙で自民党に投票してしまった以上、対韓外交を含めて国政全部を安倍政権に「委任」したわけですが、だからといって、有権者の一人として、間違った政策をすることまで認めたつもりはありません。

安倍政権の関係者がこのウェブサイトを見ているかどうかはわかりません。しかし、一人の金融規制専門家の立場からすれば、韓国の国政が混乱している最中であるため、できればスワップ協定の締結自体は先送りし、当面はスワップも含めて「静観」の姿勢を貫くことを強くお勧めしたいと思います。

 

※【重要】ご注意:他サイトの文章の全文引用はお控えください!発見次第、削除します。

コメントに際しては当ウェブサイトのポリシーのページなどの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。