【読者投稿】なぜ医療費は増えるのか
本稿は、昨日の『【読者投稿】なぜ国債発行額は増えるのか』の続編として、ふたたび当ウェブサイトの読者「りょうちん」様からの寄稿をお届けします。何となく「日本人の死因のトップはガンだ」という認識を持っている人は多いと思いますが、本稿を読んでいただければ、まさに「目からウロコが落ちる経験」をしていただけるのではないかと思います。
2019/06/23 13:10修正
当初公表版で、URLのリンクが間違っている箇所がありましたので修正しております。コメント欄でご指摘くださいました「なんちゃん」様、ご指摘大変ありがとうございました。
目次
読者投稿の続き
昨日の『【読者投稿】なぜ国債発行額は増えるのか』では、当ウェブサイト初の試みとして、読者投稿記事を掲載しました。執筆者は、普段から当ウェブサイトに鋭いコメントを寄せて下さっている「りょうちん」様です。
自分が執筆したものではなく、純粋に他人様の文章を掲載したのは初めてだったのですが、読者の皆さまからはかなり高い評価を頂いたらしく、読んで下さった読者の皆さまだけでなく、執筆して下さった「りょうちん」様にも、深く御礼申し上げたい次第です。
さて、昨日の論考に対しては、「早く続きが読みたい」というご意見も非常に多く、また、現時点で第2稿を頂戴しているため、本日はさっそく第2回目をお送りしたいと思います。
りょうちん様の投稿
(※これ以降がりょうちん様からの投稿です。)
人口ピラミッド
今回は、医療費はなぜ増えるのかをテーマにお届けします。
前回はネタに走りすぎたきらいがあったのでシンプルに書きます。
- 1.患者が増える。→患者=ほぼ高齢者
- 2.単価が増える。→医療の高度化
- 総額=単価×数量
という高度な経済学です。(おいネタに走るのはやめたんじゃなかったのか?あれは嘘だ。)
まず「患者が増える」という事実をブレイクダウンします。
人間が病気になるのは、まず寿命が近づく高齢者です。その次に免疫を含め未熟な乳幼児から小児です。
人間の数を人口といい、人口の分布をグラフにしたものをよく「人口ピラミッド」と呼びます。その自然的な性格を科学的に考えれば、平均寿命から先が正規分布し、平均寿命から下は寸胴状になります。
実際には医学の進歩や大量に死亡者が出る戦争などで影響を受けるので、その自然な姿の国を想像したのですが、それなりの人口規模でこの100年戦争に一切巻き込まれていない国が見つかりませんでした。切ないですね。
それでも、全世界の人口としてしまうと戦争の影響も均されてイイ感じになります。
世界の平均寿命(人口学的には出生時の平均余命を指します)は、男性62歳、女性67歳であり、平均寿命のピラミッドの先端辺りはその通りになっています。平均寿命の下が末広がりになっているのは、概ね世界が平和であり、かつ少子化が進むほどには世界は成熟していないからです。
日本の人口ピラミッドの推移
日本の場合、前にも引用しましたが、第二次世界大戦の影響と高度成長期時代の影響が大きく、人口ピラミッドはボンッ・キュッ・ボンッのグラマラスなボディになっています。
これでも1965年あたりまでは世界との乖離は少なかったのです。
この時点でも第二次世界大戦終了の影響が団塊の世代として見えてしまっています。
団塊の世代ってなんか集団意識の様でSFじみていますよね。かっこよい中二病ネームセンスですけどなんのこたぁありません。
太平洋戦争が終わって復員が進み、
「日本は負けたけど、これからは戦争のない平和な時代が来るんだ」→「さあヤるぞ!」
→復員期間+十月十日の感じで1947年あたりから家族が増えるよ、やったね多恵ちゃん!
という微笑ましい情事いや事情です。
ベビーブームの発生は全世界的な現象で日本の専売特許ではありませんが、この団塊の世代の存在が日本の高度成長期時代の大きな原動力になりました。
この団塊の世代がやりたい盛りになったころから、その子供が団塊ジュニアというグループを形成します。私はそれから微妙にずれているのですが、それでも1クラスの児童数45人に1学年10クラスという感じの学校生活だったのを覚えています。
なんだか最近また「白い巨塔」が漫画になったりドラマになったり、リバイバルしていますが、主人公財前の義父が、町医者の産婦人科医という設定で、お金がいくらあっても満たされない→頭のいいムコを浪速大の教授にして名誉欲を満たそうという動機の構図が描かれていました。
当時の世相では産婦人科は黙っててもお客さん(患者ではないけれど)が押し寄せて、儲かってしょうが無い診療科だったのですね。個人的にお世話になった先生の話では、分娩室は5列くらいラインがあって、助産師さんを並べて監督の様に列を移動してお産を並行していたとか。
出生率の低下と人口ピラミッドの変化
一般的に、出生率というものは国の経済状況や明るい展望・世相と正の相関があり、実際、平和な時代に日本株式会社が終身雇用や右肩上がりの成長を続けている間は増加します。
ちなみに国の経済状況やお先真っ暗な展望・世相と出生率が非常に強く相関している国が日本の近くにありますが、どうでもいいので言及しません。
また人口の増加は生産力の増大、消費の増大を意味し、経済学的には人口ボーナスと呼ばれます。少子高齢化で人口の減少局面になると生産力の減少、消費の減少による経済の悪化を来し、人口オーナスと呼ばれますがこちらはマイナーですね。
ちなみに少子高齢化が日本を追い越して経済が左前の国が日本の近くにあったような気がしますが、やっぱりどうでもいいので言及しません。
一方で中世のペスト、スペイン風邪クラスの大規模流行性疾患や戦争などの大量死が起きない状況では、人口が減るというのはダイレクトに出生率の低下ということになります。
出生率が減る理由には、教育の高度化・男女平等思想の共働き化による晩婚化、経済的理由があります。これについては私の専門ではないので割愛します。
人口ピラミッドがなだらかであるなら、社会の制度設計は比較的単純になります。しかし、ベビーブームなどで山ができると、人口ボーナスになっている時期は良いのですが、高齢者世代になった時に一気に負債になります。
がんが死因トップになった理由
「人口の多い世代が高齢化し、体にガタが来ていろんな病気になって患者が増える」
これは、直感的に理解できますよね。それでは、直感的に理解できない理由を説明します。
新聞やTVで、がん保険とかいう詐欺商売のCMかなんかで「今や日本人の死亡原因1位はがん!」「日本人の○割ががんで死亡する時代!」というのを見たり聞いたりしたことはありませんか?
『主な死因別の死亡率の変化をさぐる(2017/9/25 11:09付 Yahoo!ニュース)』
たしかに、現在の日本人の死因の1位は「悪性新生物」いわゆる「がん」であり、日本人の三割以上が「がん」が原因で死亡しています。
注目して欲しいのは、他の死因の推移です。
1947年では日本人の死因のダントツ1位が「結核」です。サナトリウム文学なんてニッチなジャンルができるくらい結核による日本人の死亡は身近なものだったのです。
一方でなんですか1947年の「悪性新生物」さんのやる気の無さは・・・。まだ頑張っている「脳卒中」君、「心筋梗塞」さんを見習いなさい!とかなんとかいわれて、よーしやるぞと「悪性新生物」さんはコツコツと努力を重ねて現在ではダントツ1位の成績を誇る様になりました―などというわけがありません。
脳卒中の死亡率が下がったのは、日本のお医者さんが、まず脳卒中の原因である高血圧や糖尿病を地道に治療し、頭の血管に動脈瘤を発見すれば積極的に手術し、万が一、脳卒中を起こしても高度な医学テクニックを駆使して、死亡を回避させるようになったからです。
その結果、まあ麻痺程度で社会復帰できれば御の字ですが、大量に寝たきり老人を作ることにもなったのですが。
「悪性新生物」というのは細胞の複製過程における遺伝子のエラーで発生するというのが既にほぼ解明されています。したがって、がんになるのはその複製回数の累積とエラーの発生率があがる高齢者に発生することがほとんどです。
例外として生まれ持って遺伝子にエラーがあって、成人や老年になる前にがんが発生するパターンもあります。がんによる死亡者・死亡率の増加というのは、「がんで死ねるほどの年齢に達する人口の増大」によるものです。
食生活の変化や発がん物質への被曝が増えたためと主張する人もいますが、信頼に足る根拠や全量に寄与するほどの要因はありません。
昔なら、初老にかーっとなって血圧が上がりそのままプッツンしてお亡くなりになる典型的ケースが、今や中年になれば健康診断で赤紙が突きつけられ、高血圧・糖尿病をうるさく管理されます。
中年になって糖尿病になって医者に通ったはいいがまったく食事制限を受け付けず、高価な薬を長期間服用しならがら暴飲暴食、結果、初老で動脈硬化で脳梗塞を発症。大きな救急病院に運ばれて、緊急MRIやら血栓溶解療法を試みたが、出血性梗塞に移行して、半身麻痺の寝たきりに。
そしてリハビリ病院・施設入所・自宅療養を経て20年、便から血が出たので病院を受診したら進行大腸がんだった。積極的な治療を家族は望まなかったが、本人の希望で手術と化学療法に分子標的薬投与を行うも最後は多発肝転移と癌性腹膜炎で苦しみ抜いたあげく、悪液質による肺炎で死ぬ。
という喜劇的なシナリオがあり得る様になってしまったのです。
医学の進歩が患者を増やす
医学の進歩が患者を増やすという性格は、間違いなくあります。その根拠が死亡原因の推移なのです。ちなみにこの喜劇シナリオでは、おそらく戦後直後の脳卒中死亡例の10000倍の医療費を消費したと考えられます。
また医療の進歩が患者を作るという側面では、「不治の病」さんの最近のやる気の無さです。
いや患者さんを殺す能力では「不治の病」さんの実力はまだまだ決して衰えてはいないんですよ。
しかし、「不治」と表現できる領分が医学の進歩でどんどん肩身が狭くなっているのです。
例えば「世界の中心で愛を叫ぶ」という小説原作の映画・ドラマがありましたが、あのヒロインは10代で白血病で亡くなっています。実話でない以上、推定でしかありませんが小児白血病のほとんどが急性リンパ性白血病であることを踏まえて仮定しますが、小児白血病の予後は近年大いに改善しています。
『小児白血病の生存率は向上したが約半数は慢性疾患などの影響(2008/4/2付 日経メディカル)』
10年も前の記事で恐縮ですが、5年生存率8割を越え、5年生存できた人の25年生存率は87%です。もちろん20%が亡くなるわけですから悲劇的な疾患であるのは確かであるのですが、とても「不治の病」という名前にふさわしい成績かと言われるとちょっと力不足です。
もし今時の漫画やドラマで不治の病として白血病を使うのは勉強不足で「不平等」です。実際に「世界の中心で愛を叫ぶ」が流行ったときに血液内科医や家族団体辺りから苦情があったとか聞いた様な気がしましたがちょっと探せませんでした。
こんな記事も
『“セカチュー”の時代設定が80年代だったのは(2005年06月23日付 大和総研グループ)』
同様に昔は手の施しようがなかったので、患者とは言いながらただ死ぬのを看取るだけの簡単なお仕事から、「積極的に治療を行う患者さん」に変貌した例は枚挙に暇がありません。このあたりは医療の高度化と重なる部分です。
社会保障費増大の本質的原因
ここで医療の高度化について、語るのも良いのですが、興味のない人には退屈な話になるので、このブログのテーマに沿った論旨の方に飛びます。
日本の赤字国債発行額が増える要因の社会保障費の増大の最大の原因は団塊の世代の大人数そのものであるという本質です。そしてそれを支える生産人口世代の減少。
「団塊世代にお迎えがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」
わー大変ですねえ。一大事ですねえ。で、それが何か?
国家の最大の責務は国民の生命、財産、そして国益を守ることなんだそうです。
『国家の最大の責務は国民の生命、財産、そして国益を守ること(自由民主党衆議院議員 そのうら健太郎 政策・ビジョン)』
このブログでもよくそう書かれています。
国益を守るために、第二次世界大戦以前には、莫大な戦没者を出し、莫大な国家予算を軍事費に投じ、時には外国に借金までして戦争をしました。それに比べたら、団塊世代が人間的に天寿を迎えられる様にするなんて命題は、実に軽すぎる問題です。
それは、血を吐きながら続ける悲しいマラソンどころか、本来たったの10年か、団塊ジュニア含めても30年かそこいらしか続かないお話なんです。15年戦争なんて平気でやった国がたった30年間老人が増えるくらいで本来、暗くなる必要などないのですが、不安を煽って増税しようとする輩の多いこと。
そんな輩の卑怯なところは、必要なのは税収を増やすことであって、増税はその手段のひとつでしかないのに、論理のすり替えを行うことです。
また稼ぎ自体を増やす‐経済成長をしてGDPを増大させる―というのも正道でしょう。
もし、大手マスゴミに勤務していて年収1000万円稼いで自宅も持っているような夫婦が自分の子供が大きな病気にかかって、大金が必要になったとして(※ちなみに日本で標準的治療を受ける限りそんな事態は制度上起こりえません)、仕事そっちのけで、親戚・知人に借金を頼んだり、ネットで募金を募ってたりすれば、かなりの反発を買うでしょう。
自分で稼げよ!と。
果たして日本は、団塊世代の寿命という国難wに対応できるのでしょうか。
それは次回に。(了)
ツッコミどころ?
さて、今回の文章も、分量を感じさせず、一気に読了してしまいました。
りょうちん様の軽快な文章もさることながら、客観的な情報源に基づき淡々と事実を述べていくという姿勢が強い説得力を生んでいる格好ですが、当ウェブサイトの本旨「読んで下さった方々の知的好奇心を刺激する」という観点からも、非常に満足度の高い部分です。
さて、私ごときが無粋なツッコミをするのもどうかと思うのですが、3点ほどツッコミを入れておきましょう。
①それってどこですか?
ちなみに国の経済状況やお先真っ暗な展望・世相と出生率が非常に強く相関している国が日本の近くにありますが、どうでもいいので言及しません。(略)ちなみに少子高齢化が日本を追い越して経済が左前の国が日本の近くにあったような気がしますが、やっぱりどうでもいいので言及しません。
たしかにわが国の近くに、わが国よりもさらに大きく出生率が低下している国が1つありますが、やはり「お先真っ暗な経済展望や世相」が強く関係しているのでしょうか?
ちなみに『韓国の経済の「空洞化現象」、そしてなぜか低い失業率の謎』でも触れたとおり、文在寅政権の経済失策の影響により、韓国は経済面で行き詰りつつあるわりには、失業率はなぜか異常に低いようですが…。
②募金活動
もし、大手マスゴミに勤務していて年収1000万円稼いで自宅も持っているような夫婦が自分の子供が大きな病気にかかって、大金が必要になったとして、仕事そっちのけで、親戚・知人に借金を頼んだり、ネットで募金を募ってたりすれば、かなりの反発を買うでしょう。
これについて調べてみると、今から13年前の記事ですが、「NHK職員の夫婦が娘の心臓病手術に必要な1億円少々の募金を集めていた」という記事が発見できます。
心臓病女児募金活動に ネット上で批判噴出(2006/10/ 3 17:36付 J-CASTニュースより)
りょうちんさまは「年収1000万円」とおっしゃいますが、仮にこれがNHK職員のことを指しているならば、「年収1000万円」どころではないでしょうね。なにせNHKは職員1人あたり人件費が少なくとも1700万円弱に達しているのですから(※年収と人件費は異なる概念ですが…)。
基本に立ち返る:消費税と財務省の、いったい何が問題なのか(2019/06/18 11:00付 当ウェブサイトより)
③ヘビの生殺し状態?
そして、今回の論考に対する最大のツッコミどころといえば、「もっと読みたい!」というところで、「次回に続く」となるところでしょうか。このあたり、鈴置高史氏の優れた論考を読んでいて、「次回に続く」となって「もっと読みたい!」と思ってしまうのとそっくりですね(笑)
まさに知的好奇心を刺激する記事というのは、こういうものをいうのでしょう。
りょうちん様、つきましては、ご多忙とは思いますが、次回につきましても楽しみにお待ち申し上げております。また、「ウェブサイト運営者」というよりは「一読者」という立場からすれば、「次回でおしまいとはいわず、是非、続けて下さると嬉しい」と思ってしまいます。
また、読者の皆さまも是非、コメント欄にてご感想をお寄せ下さい。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
団塊の世代が一段落すると、単価の伸びに注意すれば、医療費って下がる可能性はあるんですね。
高額療養費制度使ってオプジーポでのガン治療で年間3600万円とか
いろいろ膿を出さないといけない
りちゃさんが同じ薬の投与患者になったときに言うなら、「お説」の説得力は増すでしょう
????
>高額療養費制度使ってオプジーポでのガン治療で年間3600万円
それどこ情報?どこ情報よー?
http://jigokuno.com/eid_245.html
いや国家としての医療費を心配するのはわかるんですが。この辺ですか?
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03165_01
その後の動きを追っていませんよね。
あとこの手の高額抗がん剤は、いくら効いてもせいぜい数年間しか
使わないので(なぜかはお察し)、目くじら立てる程では
ないと思います。
それよかは、効果が絶大すぎて長期間投与される分子標的薬の方が問題は大きいですね。
日本の医療に関する次の議論は尊厳死だと思います。
自分の両親を見送ってきた者として、末期の苦しみと本人・および家族がどう向き合うかは深刻な問題でした。有り体に言えば、助かる見込みがないのに生き続けさせることの是非で家族が揉めました。本人の意識がもうろうとしていて生きる意思があるのかないのかも定かでなく、年齢・気力・体力のどれを見てもこれ以上の加療に耐えられそうにないなかで、「何とか生き続けて欲しい」と願う家族と「楽にさせてあげたい」という家族の意見が収束しませんでした。
ウチだけでなく、多くの家族が、患者側で議論がなされないまま医療機関に「何とかして」とすがりついているのが現状だと思います。その「何とかして」の何割かは「今すぐ患者を健康にしろ」という無理難題だったりしないかと邪推します。
患者本人に明確な意思があるならまだしも、意思もうろうとなった中で、家族が生命維持治療の継続の意思を問われたら、「お父さんを殺せという判断を下したくない」という理由で決断から逃げたくなるでしょう。
本人の意識がしっかりしている内に決めておけば良かったじゃないか、という意見はごもっともですが、本人の意識がしっかりしている内は、まだ助かる見込みがあるときだったりします。
誰もが決断を避ける中で、患者は苦しみながら、あるいは意識なく生き続け、医療費だけが積み上がる現実があると思います。
低負担高福祉は世界に誇るべき日本の医療制度だと思いますが、それによる弊害も大きいのでは?
安いからと言ってとりあえず受診、タダだからといってすぐ救急車を呼ぶ等のムダな医療が多い気がします。
結局はそれが医療者を疲弊させ、医療費を増大させている。
もう少し高負担にして、患者教育をしっかりすることに主眼を置いてもいいと思います。
引退してかなり長い年月が経ちましたので、昨今の医療経済事情の詳細は存じ上げませんが、病院の経営管理に数十年携わって来た小生の感想としましては、申し訳ありませんが「目からコンタクト」とは言い難いお話です。お気に障るかもしれませんが、この程度の「常識」はどの医療職でも学生の頃学ぶ教科書レベルの知識です。18歳の看護学生でも知ってるでしょう。決してケチをつけるつもりも、水をさすつもりもございません(してるけど)こんなことも知らない「患者さん」がいるのだとしたら、むしろその方が驚きです。重ね重ね嫌味な言い方ですみません。黙っておこうかなとも思いましたが、今朝がた老妻と口喧嘩して、ちょっと腹の虫の居所が悪いのです(笑)大丈夫です、血圧は上がってません。え?心配なんかしてないと?あ、そうですか。
もちろんそのとおりでございます。
しかし、新宿会計士さんともあろう見識のあるお方が「目からうろこ」という感想を抱かれたのであれば、書いた価値はあると思います。
医療系ブログなんかでは、もう手垢の付いた内容なんですが、ああいうのはインナーサークル化しているので一般の方は読まないのです。
ですからたまーに異端の場所で、開陳するのも悪くはないかなと。
あと18才の看護学生には夢を見すぎです。
看護学生に授業をしたことがありますか?w
りょうちん 様
横から失礼します。
専門的な記事を寄稿される場合は、冒頭に作者ご経歴自己紹介等があった方が良かったかと思います。例えば○年○科某国立病院臨床医とか。
私はプレゼンは、見せてやる、ではなく、見ていただく、良いレビューは、教えてやる、ではなく、読んで頂く、ことだと思います。
冷静沈着知的な方が、私よりもっともっと年上の元病院関連者に、「看護学生に授業をしたことがありますか?w」と書いているのを見ることこそ、日本の医療に不信感を覚えてしまいます。
え、18才の看護学生を小馬鹿にする様な失礼なコメントを和らげるつもりでフォローしたつもりだったのですが。
18才の看護学生は真面目な子もそうでない子もいますが、想像以上に「幼い」ですよ。
私の経歴はまあ開示してもいいかなというのは、某旧帝大系元外科医、昭和までは知らない卒後25年程度までです。
今は、ほぼアーリーリタイアしています。
ほぼ全ての論旨に賛同しますが、出生率が飛躍的に回復しない限り、
団塊・団塊ジュニアという二つの大波が去った後でも、
老年人口率はマシ程度にしかならないと思います
例えば出生率1.4で推移する場合、人生90年時代になって行きますから、
大まかに30歳毎に100:70:49 → 70:49:34 という風に移行するでしょうが、
その場合、65歳以上人口の割合は、40%程度で安定すると思います(現在27%)
それでも大波が来る時よりはマシ、或いは日本より出生率の低い、
韓国・台湾・(中共)等よりはマシでしょうけど。
社会福祉制度も、かなり持ちこたえるでしょうし。
少子高齢化・人口減少は、これから先進国で無く、世界的な現象になります。
その中で日本は相対的には「マシ」な状況ではあるとは思いますが、
楽な状況でも全く無いという所でしょうね
すいません。40%は言い過ぎかも知れません。
90歳までに死ぬ人を数を考えれば35%ぐらいかも知れません
また、良いところで終わってしまいましたね!
何回も続くと蛇の生殺しどころか、もはやシェヘラザードに毎晩お預けを喰らうシャフリヤール王の気分です!w
ところで、前スレのコメントでアメリカの医療費についての質問が出てましたので、後で私なりの答えを書いておきます。
りょうちんさんの文章は、軽妙で一気に読めて楽しめました。
個人的には、今の医療の進み方には疑問がありまして、自分自身の認知機能・身体機能に問題が出るようなら、私は安楽死(必ずしも安楽とはいかないかもですが)を選びたいです。
自分の家族や他人に勧めようとは思いませんが、希望する者には認めてくれてもいいように思います。
こんなこと言うと、「希望しない人に無理強いすることにつながるからダメ」と言う人が必ず出てきそうですけど。
安楽死について、私も上に書きましたが、自分がその立場になったときにどうするかは、正直言って確信がありません。
今は漠然と安楽死を選びたいと思っているのですが、いざその時になったら、一分でも一秒でも生きながらえることに執着するのではないか、と自分を疑っています。
また、私の母は認知症になりました。私も認知症になる可能性はあります。とっさに個人名が出てこないなどの予兆はありますし。そうなると、意味のある決断ができるかどうかも怪しくなります。
まだ健康で冷静な判断ができる内に、自分の死に方を文書化して公正証書にでもしておくのがよいのでしょうが、なんだかファウストとメフィストフェレスの契約みたいな気がします。いざとなったら…
そんなに自分は潔いかなぁ……
阿野煮鱒 様、
大半の人間は、いざその場になったら安楽死を拒否するのじゃないかと思います。
私の知人で「俺はいつ死んだって良いんだよ!!」が口癖の豪快な人がいました。
元ヤクザでしたが常人離れした剛毅な伝説をいくつも持つ人で、我々皆に愛された人でした。
数年前その人は、ある病気で生死が危ぶまれる状態になりました。
その時、その人は恥も外聞もかなぐり捨てて「何が何でも生きたい」と涙をボロボロ流しながら周囲にすがりついたのです。
そういうことは絶対にやらなさそうな人だったので皆が本当に驚きました。
後に小康状態になった時に彼は話してくれました。
死を直感した瞬間、ものすごい勢いで生への渇望が湧き上がってきたそうです。「生きたいというのは人間の最も強い本能なんだとよくわかったよ」とカラカラ笑いながら言ってたのを思い出します。
かの一休和尚も最後の言葉は「死にとうない」だったそうですし、我々凡人であればなおのこと、いざとなれば生に執着するのだと思います。また、それが生物として自然なのだろうと思います。
次稿にさすがに、ソリューションとして、ソイレントグリーンは入れませんでしたよ。
阿野煮鱒様
辛い思い出だと思いますが、記載していただき、有難うございます。
私の母も、意識がなくなり、物が食べれなくなり、病院から「延命のためには胃瘻するしかない」と言われ、父と顔を突き合わせて「どうしよう?」「放置して死なせるわけにはいかない」という陰気な会話の後、胃瘻手術を決めました。
来週手術というある夜、父からの電話があり、意識の戻らないままの母の死を聞きました。
「お母さん、手術が嫌だったんだな」
父の言葉が、今も忘れられません。そして
「僕が同じようになったら、無理やり生かすのはやめてくれ」
とも言われました。
「死に方については書類にして残しておくからお前は心配しなくていい」
ということではありますが、結局処置を判断するのは子供である自分の責任です。、
その時はいつか来ます。その時どう判断するか、自分でもわかりません。
今の時代、ちょっと検索するとこういう情報が得られます。
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=3898
北欧では寝たきりや胃瘻患者が少ないって本当?その理由は?
【QOLを重視した人生観や医療費削減の方針などのため】
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/45510
スウェーデンにはなぜ「寝たきり老人」がいないのか
幸福度世界1位「北欧の楽園」に学ぶ老いと死
タイトル現代余裕じゃありませんでした(ゲンダイ違い)。
阿野煮鱒さま
コメントありがとうございます。
私は小心者ですので、いざとなったら「1秒でも長く生かして」と懇願するのかもしれません。
詳しくは知りませんが、オランダやスイスでの安楽死を選択する人の多さは、死生観の違いはあるにしても、自分の死に方を自分で決めたい欲求が(国によらず)普遍的にあるためなのではないかなと考えております。
自ら手を下す自殺と違って、他の助力を乞うことができる自殺なのですから、私みたいな小心者にはピッタリかも。
勿論、他の人に同意を求めるようなことではないことぐらいは承知しております。
医療の高度化やそれに伴う高齢者の増加そのものは、決して悪い話ではないでしょう。
我が身の命、愛する人の命を考えると、否定することは難しいかと。
医療の発達を否定したら、それこそブラックジャック先生が「医者は何のためにあるんだ!」と叫ぶでしょうし。
ここで、気になるのは医療の高度化が、即ち1回の診療あたりの単価、経費の高額化に直結しているのだろうか?
自分は、基本的に「不治の病」は難病であると同時に、レアな病気だというイメージを持っています。
レアな病気の発生数が増大するということは考えにくい。
とすれば、問題点は細分化すると、もう少し別の可能性が見えてきたりしないでしょうか?
下記はあくまでも自分の考えた、独断イメージの可能性ですが。こういうものはないでしょうか?
1:実は脳溢血のような、高齢化で誰にでもなる可能性がある、高度な医療が必要な病気に費用が掛かっている
2:かつての不治の病(胃がんとか)の単価を安くすることが出来ていない
※独断ですが、まだ胃がんってそこまで高度な医療が必要なものなのか? とか思っています。
3:痴呆のような、高度な医療は必要が無いものの、世話をするための費用が嵩んでいる
4:サロン感覚で病院に行って、しょっちゅう少額の医療費を(無駄に)使う老人が増えている
問題は、働けない高齢者が増大し、彼らの面倒を見るための費用が重たいということだと思います。
いっそのこと、ここで「ナガイキデキール(CV:青い猫型ロボット)」とか出てきて、彼らが若返ってきびきび働いてくれるようなら、こういう問題は無くなるのではないかと。
総額の中で、特定の重くなっている項目はあるのか? それらの単価を安くする手段は無いのか?
自分はこの手の分野には疎いので調べられないのですが、こういうところが気になります。
お役人もいっそのこと、「年金支給額を先延ばしに」とか言わないで、「働いてくれるなら、消費税を上げなくて済みます」とか言ってくれたらいいのに。
>医療の高度化が、即ち1回の診療あたりの単価、経費の高額化に直結しているのだろうか?
その通りだと思います。
これまで癌は不治の病で死に直結していましたが、医療の発達によりなかなか死ななくなった。治療期間が長いからたくさん医療費がかかるようになったということでしょう。
2.に関して
単価が安くなるどころか時代が進めば進むほど医療単価は高くなる傾向にあります。。。
胃癌に関して言えば、手術は腹腔鏡に変わり、新たな抗癌剤もどんどん出てきています。最近はロボット手術も保険適応になり、その機械は約3億円します。
個人個人が医療はタダでないことを認識することが重要な気がします。
なるほど、かつての「不治の病」が治療可能になったものの、全体的に見ると、治療費そのものは治療期間の延長込みで増額されているということなのですか。
てっきり、胃がんなども「腹腔鏡で体に負担も軽くて安全安心」「だから入院期間だってこんなに短く」「じゃあ、安くなってもいいんじゃない?」くらいのイメージでしたが、設備費や新薬の登場の結果、そう上手くはいかないということなのですね。
なんか、IT業界で次から次へと「こんなに安くて早く簡単に」とか謳う新しい技術が出てきても、結局はそんなに開発費が安くならない現実を思い出しますねえ。
多分、現場のお医者さんも、設備費を安く、薬代を安く、でもって患者さんに効果的な治療が出来たら嬉しくて。
でもってその分、自分のお給料や休み貰うための人員確保のための経費に回して欲しいとか考えていると思いますが。
医者も商売だし、商売敵に負けないよう、高額な機材の購入も必要でしょうし。
色々と考えてみましたが、やはり自分ごときの頭じゃ全く解決策が思い浮かびませんね。
AI診療みたいなものが普及すればあるいはとかも考えましたが、その初期設備費用や、やはり残ってくれないと困る人間のお医者さんとかの問題もありそうですし。
うーん、難しい。
次か次の投稿でレス内容についても触れられています。
思いつくまま書き連ねてしまった悪弊の為に、前後編に読める様に編集していただけるそうでw。
>実は脳溢血のような、高齢化で誰にでもなる可能性がある、高度な医療が必要な病気に費用が掛かっている
脳溢血(脳出血)は、実のところ、まったくお安い疾患なんですよ。
というのも、現状、減圧開頭血腫除去くらいしか医療介入がないので、あとは急性期の管理してリハビリ病院に送るだけのシンプルな(分岐が簡単という意味で診療が簡単という意味ではありません)お仕事で、お金が掛かるのは、そのあとの生き延びた後の期間です。
手術の料金は、内視鏡手術やロボット手術など、投資が必要なものは最初は比較的高い診療報酬が設定されるのですが、ジリジリと下げられて、底値になったら、こんどは「こんなんじゃ赤字で手術できない!」って外科医が騒ぎ出すと、「ちっ、うせーな。だったら物価スライド分だけ上げてやるよ」と恩着せがましく少しだけまた上げるという様式になっております。
3.4.に関しては次稿をお待ちください。
「血を吐きながら続ける悲しいマラソン」、ウルトラセブンの名台詞ですね。ニヤリといてしまいました(笑)
いちおうヲタクネタは理解できなくても、
スルーして読めるようにはしているつもりですが
拾ってもらえると嬉しいですw
りょうちん様のこの部分には、ハッとさせられました。
≫国益を守るために、第二次世界大戦以前には、莫大な戦没者を出し、莫大な国家予算を軍事費に投じ、時には外国に借金までして戦争をしました。それに比べたら、団塊世代が人間的に天寿を迎えられる様にするなんて命題は、実に軽すぎる問題です。
いやはや、これをズバッと言えてしまうとは、『越後屋、お主もワルよのぉ…』。
まあ、マスゴミが常々主張している善意ヅラなんて、『地獄への道は善意で舗装されている』の典型例なのでしょうね。
高齢化の問題は30年で解決する、だから増税は必要はない。この主張は、マスゴミに記事を出して食べている論者からは出てこないでしょうね。
将来、大手メディアから出て来るようになれば、ようやく増税をストップをさせることができるでしょう。出てこないということは、残念ながら政府(野党ですらも)は増税に本気だということなのでしょう。
次に細々と書いていますが、
「増税は手段であって目的ではない」
につきます。
>高齢化の問題は30年で解決する、だから増税は必要はない。
微妙にこのロジックは避けています。
また、少子化が想定以上に進めば高齢化の問題は続きます。
今や医療は巨大産業化しています。
巨大産業になると何が起きるのか?
まずは、多くの従業員を養っていかなければなりません。医師や看護師、薬剤師、検査技師、医薬品メーカー社員、などなど一体何人くらいになるか想像もつきません。
加えて、産業の宿命として、より巨大化しようとします。
医療産業をより巨大化させるためにはどうしたらいいか。当然、税金と個人負担からまかなわれる収入を増やすしかありません。
その収入を増やすためには、これも当然のことながら病人と病気を増やす必要があります。よって、医療や医療制度等がが充実すればするほど、病気と病人が増えるという、本末転倒なことが生じます。
まして、この先老齢人口が減るということであれば、いかに病気や病人を増やすか、また一人あたりの売上を増やすか、あるいは若い健康な人をいかに病気に仕立てて医療の対象にするかなどについて、医療業界は知恵をこらすことになるかと思います。
このような作用があるので、団塊の世代が死んだからといって、国の負担はそうそう軽くはならないと思います。万が一、医療業界が良心的で国の負担が軽くなったとすると、今度は医療業界をリストラされた失業者が増え、それはそれで問題ということになるのかもしれません。
とまあ、そんなことを感じます。
隠居爺様、
今、アメリカの医療費がなぜ高額かを調べているのですが、産業の巨大化という点は日本と共通するようです。
アメリカの方が医療産業は遥かに巨大でしょうが。
アメリカの件は、後でコメント欄に投稿しますので、よければご覧下さい。
師業に関しては、厚労省が完全に統制しており、過剰になることはまず考えにくいですね。
(ちょっと薬剤師は怪しい)
士業はなんというか流動性が激しすぎてなんとも。
介護福祉士なんかいくら増やしても辞めていきますし。
患者が減った仕事がなくなるというのは既に通ってきた道です。
例えば、本文で紹介した結核なんぞ、国民病として医療業界で必死で根絶に注力しました。
結核予防協会は、今では、いちおう結核の拾い出しのお題目も捨ててはいませんが、早期肺がんの健診事業に華麗に転身しました。
某大学には、「抗酸菌研究所」(抗酸菌=ほぼ結核)という施設がありましたが、現在では「加齢医学研究所」という名前に加齢に変身しました。やってる研究は免疫とがんです。一部の教室だけ今でも感染症をやっていますが、逆に感染症を研究する専門家が絶滅危惧種になったため、講演に研究会に大忙しのご様子です。
がんが遺伝子的に治療されるようになると、多くの医師が転身を余儀されなくなるでしょう。
まあ、そんな未来にはマイクロマシン科とかサイボーグ科とか新しい科にジョブチェンジすることでしょう。
次回を楽しみにしてます。
毎度のことながら、短い文で核心を突く説明が、素晴らしいと思います。
>団塊世代が人間的に天寿を迎えられる様にするなんて命題は
ここに対してどんなお考えが提示されるのか。期待してまーす。
>(※ちなみに日本で標準的治療を受ける限りそんな事態は制度上起こりえません)、
3割負担と高額療養費など組み合わせると、そんなにカネいらないですよね。
先月とある手術で入院しましたが、医療費総額140万円に対して、3割自己負担で40万円。
高額療養費の適用で、30万円くらい戻ってくるハズ(まだ還付手続き前)です。
結局、自腹10万くらいで済みそうです。
個人で入っている月額数千円の医療保険で、入院費に対して8万円くらい給付がありましたんで、自己負担ほとんど無しってことになりそうです。
この部分だけ、単純に、いい国だなーと思いました。(笑)
新宿会計士さん>
NHK職員の募金の記事のURLが404でした。この記事ですかね?↓
https://www.j-cast.com/2006/10/03003219.html
なんちゃん 様
いつもコメントありがとうございます。
また、NHK職員の募金記事につきましては、リンクが間違っており、大変ご迷惑をおかけしました。
修正致しましたのでご確認ください。
引き続き当ウェブサイトのご愛読ならびにお気軽なコメントを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
『メトセラの子ら』の時代を迎え、ヒトは永遠に生きることが可能になりつつあるのでしょう。その時の死因第1位は、もしかしたら自殺や尊厳死かもしれません。
私も団塊問題は30年で一段落すると考えていました。その後の医業(特に開業医)は、AIが担うことになると思います。
本邦の人口が、明治後期頃と同じくらいまで減少すれば、我々の子孫は、より広い居住スペースで、より幸せに過ごすことができるのでしょうか。。そうなればよいと思います。
ちょっと疑問があります。医療AI様にはいわゆる「付け届け」は不要になるということでいいのでしょうか?それとも「付け届け」の相手が医療AI操作技師様に替わるだけなのでしょうか?一下級国民としては、そこが一番心配です。
今は付け届けとは無縁の生活ですが、現在でもまったく不要ですよ。
「付け届けが無いと俺が手を抜くとでも思っているのか」
と昔怒っていた同僚がいました。
私個人も「他人の目が無ければ」受け取りは拒否していましたが(おもに青臭い正義感で)、
その病院の科の方針で受け取っていた場合は、中を確認もしないで医局の宴会費用プール貯金に素通ししていました。
(そこでなんで受け取りを拒否しないんだというのは、だいたいそういうのは「消される」運命になるからですなw)
次の原稿に書いたんですけど、田舎の病院って大学の医局から派遣されたスタッフが少人数でいるんですけど、たまーに田舎ではふつうは到底手術できない患者さんがいらっしゃるんですよ。
例えば「食道がん」「肝切除」とか長時間・多人数でないとできない手術。
そうするとその手術の権威の教授とか助教授を田舎の病院に鞄持ちの若いのと一緒に呼んで、現地の田舎病院でやったりするんですね。
そういう時は、病院長が挨拶に来て、診療報酬では足が出る様な手術謝礼が「病院から」でたりして、長時間の手術の後は偉い先生と地元の先生が料亭で接待しつつ旧交を温める(ちなみにこれも病院の交際費)。鞄持ち(というか鈎引き)の若い先生は一人病院でお留守番して術後管理(←昔の私)。
相対的に安月給の大学勤めの偉い先生は病院から相場より高額の謝礼をもらって、生活費の足し、地元の先生は病院の金で、大学とのパイプの再確認とタダ酒、まあ病院としては格があがるとWin-Win-Winな風習だったのですが、問題は手術を受ける患者さんの家族ですよ。
なんで、大学の有名な先生がうちの家族を手術してくれるんだ?!え、いくら包めばいいんだと、相当無理した額を持ってくるんだそうです。
さすがに大学の偉い先生もそれはヤバイと受け取りを拒否したそうなのですが(と本人に聞いた)。
都会の私大系などの実情は知りませんが、現在では国公立系ではとてもリスクに見合わないから受け取っていないんじゃないかと。
んなもん、やるくらいなら、教室OBの私立病院で合法的に「教授外来」でもやった方が楽で安全です。
S台ではどうか知りませんが、数年前に都内某G系医大で母の胃がん手術して貰った時は、教授は全然拒否しなかったなあ。教授とは私的な付き合いがあったから、かえって断りづらかったのかもしれない。医局にプールしたのかどうか知る由もありませんが、局員の宴会に使うんだから構わないだろうという感覚、共犯を増やして「個人の後ろめたさ」を薄めるといった感覚って、もちろんとがめはしませんが、ちょっとアレですよね。(なんだアレってw)
二内出身のある院長先生が「患者から貰ったら、その一部は病気見舞として包むんだよ」と私に教えてくれたことがありました。へえ、殊勝な心がけじゃんと感心したのですが、「そうすると、患者は感激したり恐縮したりしてね、退院するとき『貧者の一灯』をまた持って来るわけ」
おいおい、なんだその「やぎさん郵便投資法」みたいな世渡りは(呆)
個人的には、むしろ「付け届け」はあってもいいと思います。さらに税務申告なんぞしなくていい。外科手術の点数だってお上が決めた定価でしょ?それっておかしいわ。腕のいい「りょうちん」さんでも、ヤブの「とんちん」さんでも同じ技術料っておかしいですよ。開業医ならまんまドクターフィーでしょうが、勤務医なら歩合制でないかぎり、直接的な業務評価にならない。症例こなせた方がかえって嬉しいでしょうけど、なおのことその「腕」を評価する制度はあるべきでしょうね。
とはいうものの、わたしのような下級国民は「貧者の一灯」もないので、残念ながらお届けできません(我ながらなんというオチだろう)
都内G系って隠語になっていませんねw
私の恩師は、課程博士(大学院の授業料を払って医局で働^H研究する人)では、博士号取得のお礼すら受け取りませんでした。
論文博士の先生は、どうも贈っていたようなのですが、食事会に夫婦で招いて奢ったり、博士論文の英文論文のネイティブ校閲の費用に回してバックするというような塩梅。
最後には大学総長まで勤め上げたような方なので(いやいい人だからという理由だけではなくて、政治的に足をすくわれるようなことはしないという意味で)、そんな愚かなリスクを負うようなことはしなかったと思います。
ご専門も、どうしても患者さんの家族が貧乏な分野だったのでなおさらです。
もっとも週末にはOBの病院に行って、教授外来してOB院長と一緒にゴルフをするような「社交性」はしっかり。
そもそもかなり若くして教授になり、自己実現がしっかりとできて、その上、医学部長・総長と向上心もあるような方だったので細かいお金集めに執着する必要性がなかったのかもしれません。
田舎の病院のプール制だって私は嫌でしたねえ。
ただでさえ、田舎の病院は若い医者にも高給を払ってもらっているのに、そんな不当所得(まあ不労とは言わないが)までもらうのは気が引けた。
だけど、よく東側とか警察ものとか歴史ものの小説であるでしょう。
ある職場でみんなヤクザやマフィアから賄賂をもらっているのに一人だけ拒否して、同僚に煙たがられてなにかの拍子に消されるみたいなw
同調圧力には負けたものの、封も開けずに貯金缶に放り込んでいました。
しかし、近年では術後の説明にも記録係の看護師が付き(昔はこのタイミングだった)、暗がりを一人で歩いたりして隙を見せないとと渡される機会もありません。
今となっては笑い話ですが、そうした付け届けを、いつも通り、固辞したことがありました。
一回断ったのに、人の目すら気にせず渡そうとするので何度も断ったのです。
そのころは、仕事が楽しくて病院に泊まり込んでいたのですが、数日ぶりに下宿に帰宅したら、郵便受けに現金入りの封筒が・・・。どうやって調べたのやら、かなりの恐怖でしたw。
恐ろしすぎてもちろん返しましたが。
現在でもAIに置換できる部分があるので、特に初期診断は急速にAI化すると思っています。
この場合、個人を区別して何かを判断する余地はほとんどありません。その先の診療は、国の制度や加入している保険により異なる可能性はありますが、一般的には、(マイナンバーなどを用いたビッグデータの活用により)より包括的かつ緻密な医療サービスを享受できようになると考えます。
『つけとどけ?』が、なにか金品を渡すー頂くという意味であれば、この20年ほどでほぼ死語になっているのではないでしょうか?他方、個人の健康管理や満足できる医療給付を受ける機会を増やすことを、『自分への投資』と考えれば、より付加価値の高い保険などに加入する必要性が生じるかもしれません。
素人の患者側にしてみれば、非常に不思議に思うのは、病院ごと、薬局ごとに初診のときに「問診」されることです。病歴や、アレルギー、今服用している薬、場合によっては身長・体重・性別(!)も問診表なるものを渡されて書かされる。
いや、社保、国保の被保険者証があるわけです。病歴、受信歴、治療歴くらい、今の時代、せめてカード型の被保険者証に記憶保持させるようなことがなぜできないのでしょう?カード紛失のリスクがあるなら、クラウドにデータ持たせるぐらいビッグデータビジネス社会ならできそうなものです。もちろんそれはそれでセキュリティリスクはあるにせよです。
医療情報の共有、保険請求や審査業務、医療統計や医療計画作成にそれは役立つはずです。AI診断もいいのですが、こっちの電子化がまず先でしょう?
、
診察室にはPCがあるけどスタンドアローンだし、かかりつけ薬局とはいえ、病院で打った注射の情報は伝わらないので、処方箋に書かれている薬との相互作用などはチェックできません。以前知り合いの薬剤師に聞いたことがありますが、彼らは単に処方箋を見て薬をセットして渡すだけだということです。もちろん患者ごとに「投薬歴」は記録しているし、出されている薬の適応症から患者の「病名」は推測(!)できるのですが、病院との情報は共有していないので、アップデートされた病状も正確な病名すら知らないということです。それってなんだか綱渡りな職人芸です。
>そろそろ網戸を直さねば様。
Exactly!(ごもっともでございます)
しかし、こんなのが現実なんですよw
https://www.medwatch.jp/?p=22712
「電子カルテの早期の標準化」要望に、厚労省は「まず情報収集などを行う」考え―社保審・医療部会
>2018年10月2日
でこれ。
医療機関側はとっくに電子化を進めているのですが、厚労省が無能なので病院間の接続など夢また夢です。
大病院も、クリニックも今から紙カルテを採用するところなんてないと思います。
薬局の問題は、薬局の問題です(なんだそれ)。
いまだに薬局側がFAXwでしか受け付けない現状。
これも医薬分離なんてしなければ、病院側でなんとかしたのですが。
りょうちん様
2018年て西暦ですよね?皇紀とかじゃなくて。え?電子カルテの「標準化}?「互換性」?え?え?え?なんですかそれ?「情報収集」?「現状把握」?今これからですか?
なんか忍び込んで来た泥棒に一緒に縄なってくれと頼んでるような状態じゃないですか(わかりにくい例えですいません)
30兆円超の予算を使う役所がこれですか。ちょっと言葉を失います。そもそもヤル気が感じられません。診断より厚生行政の方が先でしょう、AIの導入は。
ちなみに医療業界関係者には、バリバリのIT専門家もいれば、そうでもない人もたくさんいます。
ネタ提供ですが、
https://www.ssk.or.jp/goshitsumon/online/online_07.html
を読むと味わい深いものがあります。
VPNってななんだか怖いという医療機関にISDNはいまだに大人気だそうです。
りょうちん様の投稿へのコメント欄で、アメリカの医療費がなぜ高いかと言う話題が出ました。
https://shinjukuacc.com/20190622-01/
私もアメリカ在住の人間として、常々感じることがありましたので、これを機会に調べてみました。その結果を皆様に共有させていただきます。
無数のサイトに理由がかかれていますが、このサイトが比較的まとまっています。まずはこのサイトで紹介されている理由を私が翻訳、要約しながら紹介します。
https://www.investopedia.com/articles/personal-finance/080615/6-reasons-healthcare-so-expensive-us.asp
在米歴10年近い一住民としてうなずける点もあれば、実感と反する点もありますが、それらも付記いたします。
1. 運営費
(要約)
運営費が天文学的数字になっている。たとえば、ある病院では900床のベッドしかないのに、請求書係が1300人いる。保険の種類は複数あり、要件も多様。それを全て計算していくら請求したらよいかを算出するには、大量の請求書のエキスパートが必要だからだ。
(私の感想)
上記は納得できます。アメリカの病院には、何をやってるのかよくわからない人が大量に働いています。上の例では保険システムが複雑だから請求書作りが大変だとありますが、他にも様々な職種の人が雇用されています。ありとあらゆる種類のケースごとに別々のソーシャルワーカーがいますし(少なからぬソーシャルワーカーの仕事は電話を他人に転送するだけですが)、看護師でもなさそうな案内するだけの係が大量にいたり、各部署に受付係が居るのにそれとは別に部署内の専門医用に受付係がいて、部署全体の受付係とは全く連携をとってくれなかったり。コンタクトレンズを作るには、医師でも看護師でもないコンタクトレンズのトレーニングの専門家にトレーニングしてもらわなくてはならなかったり、などなど。病院の中はとにかく人が多い。そしてそれぞれが専門をもっていて、彼らは皆専門家として高い給料をもらっているのです。
そして、とにかく医療に関わる組織や流れ、システムが複雑で高コスト体質です。下で詳しく説明しますが、専門化が無意味に進みすぎている面があります。
なお、IT業界の人間として見てみると、病院のITシステムは日本に比べれば格段によく出来ています(日本が石器時代並に遅れてるだけも言えますが)。アメリカの病院の Web サイトは十分に近代化されていて使い勝手が良い。医師や関連部署との連絡もすぐにつくし、必要なメディカルレコードも驚くほどの速さで入手できます。
過去の予防接種の記録も瞬時でダウンロードできますし、患者とのコミュニケーションに関するシステム面は日本より数段進んでいます。もっとも、それには相応の予算がかかっていて、それが医療費をあげているのだろうということは容易に想像できます。
2. 薬価
(要約)
他の国では政府が製薬会社と薬の値段を交渉するのが普通だが、アメリカではそれを拒絶するプログラム Medicare Part D が出来てしまった。政府が薬価の値引き交渉をしないおかげで、10年間で1160億ドル(約12兆円)もの金が無駄に使われている。
(私の感想)
これは私は実感したことはありません。私の病院は保険会社が運営する病院というのもあって、基本的に治療もしないし薬もよほど頼まないと出してくれないのです。薬を山程くれる日本の病院とは真逆です。また、私が大きな病気を一度しかないせいか、高い薬を買わされたこともほとんどありません。
ただ、大きな病気用の特効薬などはとても高くつくののかもしれません。(私の病気は特効薬がない病気でした)
3. 防衛的医療
(要約)
調査によれば年間6500億ドル(約715兆円)が防衛的医療の範疇、つまり本来必要でない検査や治療を行っている。これは医師が訴訟されることを恐れるためである。
(訳注: 防衛的医療とは聞き慣れない言葉ですが、医者が患者に訴訟されないように本来必要でない検査や治療を行うことです。)
(私の感想)
これも私は実感したことがありません。私が経験したのはこの真逆です。私の病気では、担当医は「まだ手術をする段階じゃない。その臓器の機能がほとんどなくなった段階じゃないと手術するに値しない」と言って二年間手術をしてもらえませんでした。が、日本の病院に行ったところ「今すぐに手術しないと手遅れになる」と、すぐに手術することを強く勧められました。その後医者の友人などにも聞いたところ、手術にはリスクがあり臓器の機能が完全に失われる可能性があるため、そして手術で臓器の機能が失われた場合は訴訟される恐れがあることをアメリカの担当師は恐れたのだろうということでした。手術のリスクがほとんどない段階(臓器の機能がほとんど失われた)だと、手術に失敗して臓器の機能がなくなっても責任をほとんど負わなくて済みますから。
治療をしたがるかどうかという点では私の体験とは逆ですが、一般的にアメリカは訴訟リスクが高い国だから医療コストが高くつくというのは理解できる話ではあります。
4. 高い治療の組み合わせ
(要約)
アメリカの医師は一般的に高い治療を組み合わせて行いたがる。他の先進国と比較して、アメリカではマンモグラフィ(乳がん用のX線写真)を3倍、MRI を2.5倍、帝王切開を3割増し多い。こういう技術を使うこと自体費用がかかるし、患者は検査場所に行かなくてはならない。(訳注: こういう検査のためには、わざわざ他の病院に行かないといけないことが多いです。当然予約は取り直し、初診料は別途かかります。) また、この種の検査を行うということは、それぞれの検査の専門家への支払いも追加されるということでもある。そして、こういう専門家は普通の医師よりも値段が高い。
(私の感想)
実感どおりです。何か病気が疑われると、すぐに専門家の医師にみてもらえと言われます。専門家の医師の予約を別にとらないといけないですし、専門家の医師は私の保険だと一般の医師の3.5倍(!!!) も高いのです。
他の国だと普通のお医者さん(プライマリドクタ)がやってくれるような簡単な診断も、いちいち専門家の医者になげるのがアメリカの医者の特徴だというのは、ひしひしと感じます。
5. 人件費と就業規則
(要約)
人件費が医療費の高騰を招いている。専門家の医師の値段はさらに高い。上で書いたように今の紹介制のプロセスだと、専門家の医師をむやみやたらに使うので医療コストがあがる。医療費改革委員会はこのプロセスの改善点を指摘しているが、具体的な対策はまだ出てきていない。
(私の感想)
アメリカ全体でみれば、アメリカの医師の給料はそれほど高いとも言えません。医者をやめて IT 業界に流れてくる人もそう珍しくない時代になりました。しかし、日本の超格安でブラックな勤務医と比べれば収入はかなり多いようですし、休みもふんだんにとれます。女医さんも出産・子育てしながら仕事できます。日本の産婦人科の女医さんが出産の仕事を続けるために、自分の子供を何度も堕胎しないといけないという超絶に皮肉な話はアメリカにはまずなさそうです。しかし、給料がそれなりにあって休みがふんだんにとれるといことは、それだけ人件費がかかるということです。
6. ブランディング
(要約)
「医療費に相場はない。金額は払う人が決める。」 (訳注: こう言っているのが、私の病院の人なのが恐ろしいところです。) 知名度の高い病院だと、最も高い金額を払う患者を選べる。つまり、良いとされる病院は自分で好きな値段を決められる。
こういったブランド料とも言える費用を削減しようという動きはでてきている。
(私の感想)
私はあまり他の病院に行ったこともないし、興味もなかったのでブランド自体はあまりわからないのですが。高い病院はすいているので快適には思います。もっとも、そういう病院では、びっくりするくらいの費用を請求されることがあります。グリーンカードのための予防接種で、とある有名な病院に行ったのですが家族1人あたり千ドル以上(11万円以上)とられた記憶があります。予防接種で千ドル以上です。狂ってます。ただ、そういう病院はすいているので、お金に余裕がある人は好んで行きます。(当家はそこまで余裕がないですが、予防接種は会社持ちなのが幸いでした)
# 結論
(要約)
他の先進国では政府が医療費を抑制するために強い力を発揮している。医療システムはアメリカのようにコストがやたらとかかるようなものになっていない。概して政府が薬価や医療器具や病院のコストを下げる交渉を行う能力がある。治療方針にも影響を及ぼして患者が専門家や高い治療を受けやすくしている。
現在のところアメリカでは、政府による政治的なサポートが欠落していて、医療費を抑制するという大きな役割を果たしていない。オバマケアは多くの人が医療を受けられることに集中していて、保険会社や医療機関の競争を促すわけではない。つまり、支払う人は増えたのに、医療機関が決める価格へのコントロールさらに効かなくなっている(訳注: オバマケアで医療費に関しては、むしろ状況が悪化したという意味)。
(私の感想)
要は医療システムがやたらコスト高になってるのも薬価が高いのも政府のせいだという主張です。そして医療機関や保険会社が儲かれば、彼らのロビイング力はさらに強くなるので、医療コストが下がる改革など行われるわけがないということを示唆しているのでしょう。
オバマケアのおかげで私の医療費も爆上がりしてます。中間層以上にとってはオバマケアは本当に良い迷惑です。以上が、この記事の要約ですが、記事で触れなかった要因に2つほど心あたりがありますので、ご紹介します。
# 医療技術の発達
アメリカは医療技術では世界最先端を行く国と言ってよいかと思います。他の方のコメントにもありましたが、医療技術があがればそれだけコストもあがります。
最新の効果的な治療法、検査機械、薬があれば使ってみたいのが医者であり患者です。当然これは医療コストをあげることになります。
医療の最先端国だからこそ、医療コストが高くついている面は少なからずあるでしょう。
アメリカは一般的な医療でも最先端だと思いますが、私が感じるのは特に精神科、心理カウンセリング、言語カウンセリング、ドラッグや酒などへの依存症の治療については他の国の追随を許さないほど進んでいて、高度なサービスを受けられることです。
私の子供は小さい時、少し言語能力が遅れていました。それを病院で相談したところ、ソーシャルワーカーが言語セラピーを手配してくれ、健康保険を使って週に二回の言語セラピーを受けることができました。言語学の Ph.D. を持っているカウンセラーがみっちりとプロらしいトレーニングをやってくれるのです。これは物凄く効果的で、子供は短期間で綺麗で丁寧な英語を話せるようになりました。
保険適用なので、一回あたり10ドル(約千円)程度の負担でした。(実費だと一回300ドル(約三万円)くらいだったと記憶しています)。これが週二回です。
こういうサービスの拡充具合はアメリカは群を抜いています。もっとも、Ph.D. を持つセラピストを大量に養成し、カウセリングを行うための施設やその管理、ソーシャルワーカーの配置をして維持するには、莫大な社会コストがかかってるわけで、それが自分たちが払う税金や医療コスト増につながってるのかと思うと多少微妙な気分はします。
# 低所得者層の医療費踏み倒し
特にオバマケアができる前は(実は出来たあとも)健康保険に入っていない人はかなりの数います。彼らは基本的に低所得者層なので、死にそうな病気、怪我になっても医療費は払えません。
そういう人を助けるためのプログラムもあるのですが、それらのプログラムは当然税金で賄われていますので、一般国民の負担になってるわけです。また、そういうプログラムさえ利用しない場合は、彼らは治療さえしてもらえないこともあります。運が良ければ治療してもらえるのですが、その場合、治療費は払えるわけがないので彼らは踏み倒します。
病院はこういう未払いの債権を専門業者に売ります。そう、未払いの *医療費取り立て専門* の業者がいるのです。もともとプライバシー情報がダダ漏れなアメリカです。そういう業者は簡単に債務者の居場所をつきとめて追いかけてきます。ヤクザかと思うような強引な手段で取り立てますので、逃げ切るのは容易ではありません。もちろん、支払いが遅れた分の利子は闇金並、とまでは言いませんがかなり高いのです。
これらの業者がどの程度の割引で債権を買っているのかはわかりませんが、医療費踏み倒しをされれば、病院がいくらか損をするのは間違いありません。もちろん、その分は他の人の医療費の上昇につながるのです。
つまり、今の医療システムでは運が良ければ無料で治療してもらえる低所得者層、医療費や保険など大した費用とは感じない富裕層にとっては良いものですが、中間層は負担ばかりさせられて、金の割には大したことがない医療サービスしか受けられていないというわけです。医療サービス以外の面でもそうなのですが、中間層がますます疲弊していっているのがアメリカ社会の現状と言えそうです。
# 物価の高さ
そもそもアメリカは物価が高いです。最近の日本の物価が安すぎとも言えるのですが。私の住む地域だとスタジオ(日本で言うワンルームマンション)の家賃は、一ヶ月2千ドル(20万円)くらいします。最低賃金は15ドル(約1600円)、レストランなどで働くと、そこにチップという税金がかからない美味しい収入がプラスされますので、実質的には最低賃金は2千円を軽く上回っていると言っていいと思います。英語もろくに話せないメキシコ人でさえ、それだけの自給をもらえます。そういう場所で医療従事者の給料は当然高くなります。医療機器も病院の土地代も管理費も当然高くなります。
これもまた、医療費が日本より圧倒的に高い理由の一つでしょう。
# その他
医療費は高いのですが、日本にはない便利な仕組みもあります。私もよく使っているのが Flexible Spending Account というものです。ややこしいので詳しい説明は省きますが、ある程度収入に余裕があれば、医療費に加えてお灸、カイロプラクティック、カウセリングなどが税控除になります。
私の場合だと年間千ドルは節税している計算になります。
しかし、これもある程度余裕が無いとできないですし、そもそも低所得者層はこういう制度の存在すら知りません。金持ちほど節約ができ、貧乏人ほど無駄に金を払う羽目になる制度だらけというのもアメリカらしいです。
長くなりましたが、アメリカの医療費が高い理由をサイトの翻訳を交えてご紹介しました。理由は複数ありますが、日本と共通する点も少なくありません。皆さんの御参考になれば幸いです。
チキンサラダ 様
アメリカの医療費情報についてご提供ありがとうございます。なかなかの力作ですね。情報に疎い者にとっては貴重なものです。
さすがにアメリカは自由主義経済だなという印象を持ちました。ルールで許される範囲是あれば何でもありというか、歯止めなくワーッと突き進むというか、行ける所まで行くというか。すごいエネルギーですね。それが良い面にも悪い面にも表れるのでしょう。
その点、日本は厚生労働省がしっかり管理しているためと思いますが、抑制が効いていて、良心的ということが言えるかと思います。アメリカの事情を教えていただくと、日本は厚労省任せにさえしておけば、安心して貧乏人が医療でも介護でも受けられるように思えます。
ただし、日本の厚労省は巨大産業化している医療業界のトップに位置しているわけであり、自分たちが痩せ細っていくことは決してしようとしません。医療の専門性を武器にして、財務省から可能な限り多額の税金を回させようと日々努力しており、実際問題として実に予算の潤沢な省庁でもあるようです。
とはいえ、安心できる医療制度を維持するためには、消費税のわずかなアップくらいはコストとして我慢して受け入れるべきものなのかもしれませんが。
いかがなものでしょうか。
>日本は厚労省任せにさえしておけば、安心して貧乏人が医療でも介護でも受けられるように思えます。
日本の厚労省は、非常に勤勉です。
薬害や食中毒事件なんかが起こると「あなた怠惰デスね!」と怒りの集中砲火を受けますが、私は彼らが怠惰であるという非難はだけは不当だと思います。
問題なのは、無能なことですw「無能な働き者」というのがぴったり。
その最たるものは、診療報酬改定による政策誘導を行うのですが、お上に政策あれば下々に対策ありと、ずるがしこい医療側は抜け穴を使って、荒稼ぎ。
診療報酬改定は二年に一度なのですが、次の改定で弥縫策のパッチをあてて、さらに悲惨なことになったりします。
これは厚労省がまったく医療現場のことを理解していないことから発生しています。
一方で、オーファンドラッグへの対応やとかドラッグラグへの改善は最近頑張っているんですが、これもその政策を導入したら、どういう問題を生じるかというシミュレーションがまったくできず、患者サイドがリアルで散々苦労してから、やっぱり数年後に救済措置で対応したりします。
医者なんかは、「そんなの最初っからわかってるだろ・・・」と突っ込んでいたのですが。
一部には善意は感じるんですが、能力が追い付いていない。
そうしたお役所への監視は、やっぱり医療関係者にしかできないんですよ。
医師会側、病院協会側は施行前に散々文句つけているんですが、そんな報道を一般新聞やTVでご覧になったことがありますか?
日医総研は一般の方に向けてもたくさんの資料を作成して公開していますが、しょせん医師会関係団体の言うことだという偏見で無視されています。
別に医師会の言うことが正しいなんて主張するつもりはありません。
曇りなきなまこで公平に判断してほしいと望むだけです。
私も官僚のどうしようもなさというのは常日頃感じるところです。
ただし、医者の論理も乱暴だと思っています。ある意味とっても正論を吐いているようで、実は短絡的という傾向があると思っています。
たとえ話しかできずに申し訳ないのですが、お医者さんは「アメリカでの銃乱射事件をなくすのには銃規制をすればいいじゃないか」といった考え方をするように思います。それはたしかにそのとおりなのですが、そうはならない、あるいはできない理由というのもまた一方にあるわけで、「ほら、銃規制しないからまた乱射事件が起きたじゃないか」と言われても、「そうですねえ」と返事するしかないようなところがあります。
お医者さんは元々能力が高くて、課題解決力や自己統制力も人並み外れてある人たちなのですが、それがゆえに凡人のどうしようもなさへの理解や、凡人対策は官僚よりも劣るように思えます。まあ、これ以上ない高度な技術職につきながら、人の腹の中まで探って政治的な言動がとれるようならスーパーマンになっちゃいますが。
>お医者さんは「アメリカでの銃乱射事件をなくすのには銃規制をすればいいじゃないか」といった考え方をするように思います。
愚かな医者がいることは否定しませんが、ほとんどの医者はロジカルに思考しますよ。
アメリカ民兵の歴史や米国憲法修正条項第2条も承知の上で、
「タバコを吸うのをやめてください」というのと同じ文脈で、
「ガンコントロールしてください」という医者がほとんどでしょう。
医者の大学の同窓会誌なんかに医者が自分の経験や趣味のエッセイを
書いたりするんですがこれが結構面白い。
私の学生時代には同窓会誌の編集に携わっていて
さすがに鬼籍に入られたので最近は見ないですが
軍医で伊号に乗っていた話とか、沖縄戦に参加していたとか、こんなマイナーな
メディアで消費されるのはもったいないと思っていました。
チキンサラダ様
はじめまして、アメリカの医療現場の事情、詳しくご説明いただきありがとうございます。
すぐ専門医に回したがる、防衛的医療など、専門化が進みすぎてかえって患者に負担になっている面を感じました。
その一方でセラピーやカウンセリングの充実もすごいものがありますね。言語セラピーなるものがあることすら知りませんでしたが、自立しようとする人間をサポートするアメリカの姿勢には敬服します
話が変わりますが、医療へのAI導入について触れられたコメントをいくつか拝見し、この本を思い出しました。
「アルゴリズムが世界を支配する」(クリストファー・スタイナー著 2012年)
アメリカの医療現場における医療ボットでの診断が採り上げられているのですが、
IBMが「ワトソン」という医療アルゴリズムを開発、医療保険会社が経営するクリニックにも導入された。
初期診断で必要な検査を指定する時間が大幅に短縮(人間の専門医で数日かかる判断が数秒に)され、誤診も減る。音声認識能力や顔の表情を読み取るアルゴリズムの発達で、患者の体調や感情の細かいニュアンスまで読み取る。
保険会社にとっても無駄な検査を省くのはもちろん、誤診のリスクも減るということでメリットが大きい…
といった内容です。
ネガティブな面はないのか、など疑問はあるのですが。
(もしかしてまだ局所的な例に過ぎないのかな?とも思いますが)
アルゴリズムやAIによる医療はどこまで浸透していくのか、アメリカがこの分野でもリードしていることは間違いないですから、注目しています。
もちょっと進化すると「なんだ、この面倒な人間という生物は」とAIが知恵をめぐらしそうな気がします。「こいつらコスパ悪すぎ、非合理的すぎ。地球浄化のため人類滅亡!」などとジョネトラダムスような事を言いだしそうな、そんな気もします。
情念様
ジョネトラダムス、って知らなかったのでぐぐってしまいましたが、あっちの上念さんのことでしたかw
地球浄化はともかく、コスパ悪いのと非合理的なのは否定できませんね>人類
水資源などから考えても現状人多すぎな気はしますし、AI的にはまず適正人口への補正を提案するかもしれない…
AIに「地球を救うための答えを計算しろ」と命令したら「まず人類を滅ぼします」と巨大ロボットを作り始めて、暴れ始めたって、「大鉄人17」が元ネタだったのかな。
もっと古そうなのもありそうですが。
りょうちん様
「大鉄人17」って、鉄人28号と大魔神をかけ合わせたみたいで、名前だけでも昭和のゆるさにあふれてますねw
石ノ森章太郎原作とはWikiを見て初めて知りましたが、あれこれ盛り込んだ設定がいかにもです。
ランダム黒白様、皆様、
医療とAIですか… その話題は出るとは思ってましたが、これは深いテーマです。
これを書きだすと一つやそこらのコメントでは終わりませんし、また、医療の方は私は素人ですので知識が断片的です。どうご返答したらよいものやら…
いくつかポイントだけ書きます。
* AI に関しては多くの人が勘違いしているが、今まであるものを大きく変えるものではない。
* IBM のワトソンは Artificial Intelligence (人工知能) ではない。IBM は詳細を公開してないようだが、従来型の処理の延長のようにみえる。つまり、現在 AI で花形のディープラーニングのような急激な学習曲線は望めない。正直に言えば、ワトソンは失敗プロジェクトになる可能性が高い。
* とはいえ、ワトソンで宣伝されている機能のほぼ全てはディープラーニングなどを用いて他社が製品化しつつある。
* 私の同僚や主治医も、ある臓器の写真から病気の診断を早期に正確に行うプロジェクトを進めている。
* 人工知能(機械学習)の導入には、まず人力、特に医者のマンパワーが必要。(多くの人が思ってるのと逆)
これを全部解説するのは結構たいへんなので、どれをどこまでお話するか、少し考えます。
チキンサラダ様
おっと、ワトソン先生は失敗ぽいですか。
とはいえ失敗も後発システムのたたき台になるなら意味がある…といえるでしょうか。
Artificial Intelligence (人工知能) ではなく従来型の処理の延長…ということですが、なるほど、AIの定義について再確認してみようと思います。
素人的には”AI”と銘打ってあれば何でも「すごい」と過大評価してしまいがちですゆえ、夢を見すぎのきらいがあるかもしれません。
今更ですが、話題を広げた結果、書き込みにご負担を強いてしまっているようで恐縮です。先端の現場で新技術の開発に携わる方のお話はなかなか伺う機会もなく、つい飛びついてしまいました。
AIの学習とマンパワーの関わりなどのご解説は、チキンサラダ様の本来の業務や生活にご無理のない範囲でお願いできれば幸いです。ここまでにすでに多く貴重な情報を頂いていますこと、改めてお礼申し上げます。
先日、専門医更新のポイントラリーで、なんだか学会全体でAI押しだったので
たくさんAIのシンポに出ました。
前にも書いたDr.ELIZAの時代から、Lispを使ったエキスパートシステム、
Computer Aided Diagnosis などを経て、興味を持ち続けていた分野
だったのですがご専門の先生が言うには、DNNを導入してやってみたけど
どれも未だにモノにならないという嘆きを聞くことになりました。
学習データが足りないのか、処理能力がまだ低いのか・・・。
まあ現在のところ、見落としをチェックするくらいのCADが実用上の限界。
今の心電図って、コンピューターが診断しちゃうんですよ。
循環器以外の医師はひそかに頼り切っていますw
それも心電図がフレームを単純化しやすい分野なので実用的になっている。
りょうちん様
心電図の読み方を検索してみました。
波形が組み合わさって規則的に現れ一定のリズムで繰り返される、
心拍が1分間に○○回なら正常…など、”フレームを単純化しやすい分野”というのはわかる気がします。
機械による診断とは相性が良さそうですね。
医療現場で活躍されシンポジウムを多数参加されたりょうちん様から見ても、現状のAIはまだ実用的ではないということですか。貴重な情報ありがとうございます。
以下はだいたいWiki先生からの引用で、医療もプログラムも全く素人の自分用メモです。
(スレを伸ばしすぎて申し訳ないですが)
・エキスパートシステム
人工知能研究から生まれた、人間の専門家(エキスパート)の意思決定能力をエミュレートするシステム
特定の分野の問題についての情報を解析するルール群から構成される
2つの部分で構成されており、1つはそのエキスパートシステムから独立している推論エンジンであり固定
もう1つは知識ベースで、可変
推論エンジンが知識ベースを使って推論を行う
利用者との対話インタフェースが第3の部分として登場、会話によって知識ベースを構築する
・コンピュータ支援診断(Computer-Aided Diagnosis: CAD)
画像診断分野における情報処理システム
運用的には意思決定支援システム(DSS)の一種で、技術的にはエキスパートシステムの一種
・意思決定支援システム(Decision support system: DSS)
コンピュータを利用した情報システムの一種で、組織の意思決定を支援する
対話型ソフトウェアをベースとしたシステムで、生のデータ、文書、個人的知識、ビジネスモデルなどから有益な情報を集めるのを助け、問題を特定し意思決定するのを支援する
・ディープニューラルネットワーク(deep neural network: DNN)
多層のニューラルネットワーク
・ニューラルネットワーク(neural network: NN)
脳機能のいくつかの特性に類似した数理的モデル
シナプス結合によりネットワークを形成した人工ニューロン(ノード)が、学習によってシナプスの結合強度を変化させ、問題解決能力を持つようなモデル全般
画像や統計など多次元量のデータで線形分離不可能な問題に対して、比較的小さい計算量で良好な解を得られる
>パターン認識、データマイニング
ディープラーニングでうまく行かない場合の典型例は、問題設定が良くない、というものがあります。
問題設定とデータの良し悪しは関連しているのですけど。
>ランダム黒白様
コンピュータによる意思決定は、心電図の世界では既に「実効力」すら許されているのですよ。
AEDという機械をご存じありませんか?
あれは除細動器という野蛮な電気ショックの機械にコンピュータを載せたものです。
電気ショックってあたかも心臓に電気を流して動かすかの様なイメージなのですが実は違って、てんでばらばらに動いて機能していない心筋の動きを「リセットさん」するものなのです。
したがって、まずは心臓が少しでも動いていないと無意味なのです。
ですから、マジで心臓の動きが止まっていたり、PEAと呼ばれる有効心拍が望めないピクンピクン状態では、AED先輩は、「(電気ショック書けても無駄だから)心臓マッサージを続けろ、ゴラァ」と指示をしてくれます。
だから、一般人にもAEDの使用が許可されているんですね。
初めてふつうの除細動器を使ったときはちょっとビビりました。
ランダム黒白様、
> 素人的には”AI”と銘打ってあれば何でも「すごい」と過大評価してしまいがちですゆえ、
IBM ワトソンは、IBM 自身が Artificial Intelligence ではないと言っています。
ワトソンの AI は Augmented Intelligence (拡張知能)だそうです。ただし、断りなく AI と宣伝していますから、多くの人はワトソンが Aritificial Intelligence (人工知能) だと思っているでしょうね。
IBM は尊敬すべき会社なのですが、こういう素人をひっかけるようなマーケティングを行うことをよくやります。感心できないポイントです。
IT業界ではこういう、はやり言葉のフレーバーをつけて製品を売るということをよくやります。
XML、AJAX、クラウド、AI などなど実態もほとんどないのに、その時代のバズワードを製品名につけて、まるであたかも斬新な新製品であるかのように思わせて売りつけるというようなことが横行しています。
IBM ワトソンの AI にそこまでの悪意は感じませんけど、わざと紛らわしいネーミングをしているのは確かだと思います。
ワトソンはマーケテイング的には成功かもしれませんが、技術的にはどうでしょうね。中身が公開されてないからよくわかりませんが、ディープラーニングのような急激な成長曲線を期待できるものではないようです。
少なくとも、今のトレンドであるディープラーニング、機械学習とは別のものですから、はっきりわけて考えるべきですね。
> 失敗も後発システムのたたき台になるなら意味がある…といえるでしょうか。
いえ。別の技術ですから、機械学習の進化には寄与しないでしょうね。いわゆるガラパゴスなので、このまま先細りになる予感がします。
なお、私は IBM という会社は尊敬していますし、特に基礎研が生み出す技術に好きなものも多いです。ただ、独自すぎて日の目をみないプロジェクトも多いですね。悲しいことです。そこが IBM 基礎研の可愛らしさでもありますが。
IBMってコンピュータ技術でたくさんの新しい概念・技術を生み出した正にビッグブルーなんですけど、一方で、”vaporware”だとか”FUD”という概念も発明したんですよねw
フル活用したのはむしろAppleやMicrosoftでしたけど。
りょうちんさま、
IBM の基礎研って凄いところでして、すごい技術なんだけど時代的に少し早すぎて日の目を見ることがなかったとか、すごいけど進化の方向が完全に間違っていたかとか、自社の別の製品とモロにかぶってしまって、しかも似たような技術が3つくらいあって、結果的には全部死に絶えたとか、そういうものを大量に生み出しているのですよ。IT 業界に愛される存在です。(我々技術畑の人間は、そういう存在が大好きです。嫌味ではなく。)
最近は革新的な技術をあまり生み出してない気がしますが、勤めてる人はとんでもなく頭がよく人柄も良い人が多いです。
一方、IBM のマーケティングはちょっと嫌らしくて、vaporware と言いますか、実態とちょっとかけ離れた文句で、旧製品と殆ど変わらないものを高額で顧客に売りつけます。このあたりは感心しませんが、そういう顧客のおかげで IT 業界全体が潤っているのも事実なので、あまり突っ込むべきではないのかもしれません。
おっしゃる通り、IBM だけでなく、M社もA社もO社も有象無象の中小も似たようなことやってますし。
ワトソンに関しては、そこまで中身がないものではなくて、私が見る限り「プレ」機械学習時代の技術をベースにした製品です。今の機械学習が人工知能バージョン4.0くらいだとしたら、3.9世代相当くらい。
ただ、マーケティングがちょっと嫌らしいですね。機械学習ではないのに機械学習っぽくみせかけてたり、それで大々的に売り込んでますから。本当に機械学習やってる会社からすると、「偽物をうりこんで、俺らの評判をさげくれるなよ」と思われても仕方ないと思います。
ま、機械学習が必ずしも必要ない部分も多くて、私がこの前日本の大学病院で見つけた新しい検査機械はアメリカのスタートアップが開発した画像解析システムを使っていたのですが、機械学習を使っていたわけではなかったです。しかし、非常に有用なシステムで、私の臓器の状態も非常によくわかり個人的にも助かりました。
そういうわけで、ワトソンには先駆者としての多少の期待もありながら、技術系の人間としてマーケティングへの嫌らしさへの不快感も隠せないというところです。
りょうちん様
>AED先輩は、「(電気ショック書けても無駄だから)心臓マッサージを続けろ、ゴラァ」と指示をしてくれます
コンピュータによる意思決定は、当該症状に限っては医師と同じ…ですか、知りませんでした。
>除細動器という野蛮な電気ショックの機械
往年のアメリカのTVドラマ「ER」などでバコバコしてたあれですか。
もちろんドラマなので大げさにしてるネタもあるのでしょうが、心臓が動くかどうかは運次第に見えてました。
確かにあれをそのまま素人が使ったら殺してますね。
チキンサラダ様
>ワトソンはArtificial Intelligence でばなく Augmented Intelligence (拡張知能)
…ですか、紛らわしいですね。言葉として間違ってはいないのでしょうが。
>今のトレンドであるディープラーニング、機械学習とは別のものですから、はっきりわけて考えるべき
はい。
蛇足ですが、googleに買収されたDeepMindのWikiに、ワトソンについてちらっと触れられてました。
>IBMのディープ・ブルーやワトソンといった予め定義された目的のために開発され、その範囲内でのみ機能するその他のAIとは対照的に、DeepMindは自身のシステムが事前にプログラムされていないと主張している。
DeepMind自身についての言及が事実かはともかく、ワトソンは旧世代の設計であり現在AIと呼ばれるものではない、ということですね。
ランダム黒白様、
> >ワトソンはArtificial Intelligence でばなく Augmented Intelligence (拡張知能)
> …ですか、紛らわしいですね。言葉として間違ってはいないのでしょうが。
わざと混同するような単語を使ってるんです。そこが嫌らしいところです。
Augmented Intelligence (拡張知能)という言葉は他で聞いたことがないので、IBM の造語だと思います。Artificial Intelligence (人工知能) と混同するように作った造語でしょう。また、IBM は、Augmented Intelligence (拡張知能) とスペルアウトせずに AI と書いているので、混同させる意志は明確ですね。
ワトソンも広義の AI (人工知能)と言ってもよいかもしれませんが、機械学習と混同させるようなマーケティングは感心しません。
> >IBMのディープ・ブルーやワトソンといった予め定義された目的のために開発され、その範囲内でのみ機能するその他のAIとは対照的に、DeepMindは自身のシステムが事前にプログラムされていないと主張している。
この部分は、おそらく普通のディープラーニングのことを書いているように思います。ディープラーニングでは目的は定義されません。(policy layer という例外処理の定義はありますが、それは目的の定義とはまた違う。)
つまり、ディープラーニングではどんな目的にでも汎用的に使えます。今ではそちらの方が当たり前なのですけど、ディープマインド社ができた頃は、IBM のワトソンのようにある程度目的を人間が設定してやるのが普通だったということでしょうね。
> DeepMind自身についての言及が事実かはともかく、ワトソンは旧世代の設計であり現在AIと呼ばれるものではない、ということですね。
そうですね、概ね正しいです。
上記の Wikipedia の記述は今となっては当たり前のことなので事実でしょう。ワトソンは、そうですね。今の人工知能の潮流からは外れた存在ですね。
人工知能といっても、概念が幅広いし人によって定義がバラバラなのですが、この数年人工知能がもてはやされているのは、ディープラーニング(深層学習)、機械学習と言われる分野が急激に発達したからです。
そして、ワトソンは現在世の中で騒がれてる AI (殆どの場合ディープラーニングを指す)ではないということですね。
私が米国の医療制度を追っかけていたのは6年位前まででした。
そのそも米国の医療制度は複雑怪奇で、外からは追いにくい。
ちょうどオバマケアが導入されるかのあたりで、さらにしっちゃかめっちゃか。
まあ、なんだかんだいって、相変わらず米国の医療制度はヒドイもので、「最高の医学と最低の医療(制度)」という認識は変える必要はないなと半ば最近はスルーしていました。
李啓充 先生は大学を辞めた後も著述業をお続けになっていたようです。
2014年まで、米国の医療事情に関する連載を続けていました。
https://www.igaku-shoin.co.jp/paperSeriesDetail.do?id=102
たぶん、最近の5年でも様変わりしているのでしょうね。
しかし、李啓充 先生は華麗な経歴を投げ打って帰国し、被災した福島の為と、某病院に勤めてひどい目にあったご様子w
http://sarabafukushima.blog.jp/archives/7623511.html
あそこは、まあ事情を知ってる医者なら医局の命令でもなければ行かないところだったのになあ。
紹介した同級生の教授がヒドイ。
りょうちんさま、
李啓充先生のブログはすごいですね。宝の宝庫です。
ただ、分量もすごいですね。これを全部読むと、深い知識が手に入りそうですが、全部読むのはなかなか大変そうです。とても読みやすい文章ですけど。
なお、日本帰国後のトラブルは日本の闇を感じました。こちらでも、こういうトラブルはなくはないんでしょうけど…
ああ、あれはそんな大げさな話ではないんですよw
OH病院って、代々、医師を輩出したOH一族が作った病院なんですが、武士の商売というか良心的な医療を行いすぎたのか経営がどんどん赤字になり、とうとう銀行から人が送り込まれて創業者一族は病院経営から放逐されてしまったのです。
(一年上の先輩にそこの「御曹司」がいましたが、普通の勤務医になったようです。今はどうしているのかなあ・・・)
>私どもの契約を巡る交渉を差配した責任者は大原の理事長であったが、地元銀行の元役員という経歴の持ち主である。
>「銀行家は信義を重んじ、お金についてもクリーン」というイメージをいだいていただけに、大原における「異常体験」は私たちが銀行家に抱いていたイメージを一変させることとなった。
まさにこの通り。
医者もプライド高いから、銀行員から売り上げをあげろだの、採算の取れない患者なんか診るなとか言われたら、とっとと他所のまともな病院に移動しますよ。
別にこの病院が医師不足だったのは、東日本大震災のせいだけではありません。
興味深いお話をありがとうございます。
実際にチキンサラダさんが支払われているコストは、金額の感覚的には日本とそれほど大きくはかわらない感覚ですね。
複合要因なんでしょうが、言い値で価格を決められる供給側と、その金を支払える消費側がいて(金持ちかどうかは別)、バランスしてる要素もあるのかと思い、個人別の支払い額の偏りを少し調べてみたんですが、こういうのがありました。
米国の医療費支出の50%は、出費上位5%人口が払っているそうです。
出費下位から50%人口の支払う総額は全体の3%。
所得との相関はわかりません。
上位5%がいないと、ちょうど日本と同じレベルの医療費になる感じです。
徹底的に吸い上げられている(orいくらでも支払える)プレミア顧客によって医療費総額が馬鹿高くなっているんでしょうかね。潤沢な人員もこの5%に支えられてるの・・・かも。
一般的なサービスじゃなく医療でこれって・・・(笑)
—
米国の医療~オバマケアを中心に
医療経済研究機構副所長 岡部陽二
http://www.y-okabe.org/pdf/461_01.pdf
P.10
米国人の医療費支出は出費上位5%の人口によって50%が支払われている。
出費下位50%の出費は総医療費支出の3%に過ぎない。
—
資料の信憑性とかはよくわかりません。
なんちゃんさま、
費用は金額の上では日本の保険なしの費用と、アメリカで保険を使った場合の自己負担がほぼ同等くらいです。
> 米国の医療費支出の50%は、出費上位5%人口が払っているそうです。
興味深いですね。出費上位の人達は何にそこまで費用をかけているのか、今はわかりませんが…
> 出費下位から50%人口の支払う総額は全体の3%。
この対比も掘ると面白そうですね。情報提供、ありがとうございます。
その数字は、米国の医療サービスへのアクセスが公平であるという仮定で考えるとミスリードされます。
米国の貧乏人~中間層は、そもそも最初から高額な医療にアクセスできません。
高額の保険料を負担できる富裕層は、「米国の誇る最高の医学」による高額医療にフルアクセスできるということです。
今ではかわいいものですが、グリベックという分子標的薬が慢性骨髄性白血病、消化管間質腫瘍などの希望の特効薬として導入されたときに一錠3000円近い薬価が問題になったことがあります。
この薬は米国で開発されたにも関わらず、売り上げでは、日本がダントツのトップであり続けました。
CMLにおいてはあまりにも効くので、やめれば再発。死ぬまで高額なグリベックを飲まないといけないのかという患者の嘆きが聞かれました。
今では、ジェネリック品の発売が認可され、一錠500円程度。
他のスレで話題になったオプジーボは、値段の大きさばっかりが取り沙汰されていますが、なぜ日本の薬価が他国に比べて高価だったのかというのはこちらの記事の通り。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO08036870V01C16A0X11000/
英国の保健省は、日本の厚労省より、ずっと有能なのです。
(かといって英国の医療が素晴らしいわけではないのですが)
りょうちん様、
解説ありがとうございます。(実は内心期待しておりましたw)
なるほど、そもそも中間層、貧乏人は医療サービスを受けないということを示唆しているのですね。
確かにこちらでは風邪程度は貧乏人は病院に行きません。自分で CVS (大きなドラッグストア兼スーパー)に行って、適当な薬を買って飲みます。
一方、私たちかそれより少し上くらいの層になると、風邪レベルでも Emergency Room によく行きます。数十ドルの違いですし、真夜中でも診断してもらえますので。私自身のために Emergency Room に行ったことはありませんが、娘が体調を壊した時はよく Emergency Room によく行きました。
なお、風邪を自力で直すならまだいい方で、貧乏人は骨折ですら自力で直したりします。怪しげな自家製のギブスとかに足を突っ込んでるのですが、やはり素人のすることなので、変に曲がったまま骨がつながったりするようです。
なお、貧乏人は怪しい故障だらけの車にのり、荒い運転を行い、かつ周囲もそういう人たちばかりの地域にいますので、交通事故率もかなり高いようです。低所得者の住む地域に行くと、足や手を怪我してる人がやたらと多いのに気づくほどです。つまり骨折をまともに直さない人たちなのに、骨折を頻繁にする環境にいるのです。
また、そういう人は自動車の保険料がバカ高くなるので、かなり高額な保険料を払う… わけはなくて、保険に入ってないケースも少なくありません。だから、ますます事故をした時に自己負担が大きくなります。悪循環がどこまでも続きます。でも、そういう人たちのマナーの悪さや自己中心ぶりを見てるとと同情する気にもなりません。
というわけで、彼らが医療機関に払っている額が少ない理由はよくわかりました。そもそも怪我や病気でも医療機関を利用をしてないことを示しているわけですね。
残念ながら、実際に米国にお住まいのチキンサラダさんでも、米国医療の闇はまだ身近な問題と認識されておられないようですね。
米国の医療の問題は、「貧乏人に起きているんじゃない!中間層で起きているんだ!」なんですよ。
この人たちは、真面目に職に就いて、税金を納め、保険にも加入している。
ところがいざ重病になると、そんな中間層の保険ではカバーできない費用が発生し自己破産。
この中間層というのは中間層とは言いながらも、実はかなりの高収入層も含まれます。
たしか米国のベテランの上院議員の方が白血病になって、政界を引退して治療に専念したところ
破産状態に陥ったという記事を読んだ記憶があります。
上院議員を何期も勤め上げたような階層の人でも、いったん重病になれば転げ落ちるのです。
そんなことが起こらないのをお祈りしていますが、もしチキンサラダさん御本人や親しい家族が重病になったら、迷わず日本に帰国することをお薦めしたいです。
米国でしか受けられないようなまともな治療は移植手術だけです(しまった最近は「ドナーの豊富な」中国の方が進んでいた!)。
米国でしか受けられないようなまともじゃない治療もたくさんはあるんですが海のものとも山のものともわからないような実験的治療であることがほとんどです。
先に、グリベックの例を挙げましたが、逆に言えば、高額医療制度を使ってもその金額負担がつらたんと文句を言うようなレベルの収入階層の人たちが最新の治療にアクセスできていたという事実をも意味するんですよ。
りょうちんさま、
数日前のコメントのどこかで中間層の疲弊と言う件について書いたのですが、医療に関して中間層の疲弊を私が感じているかと言うと、よくよく考えれば切実には感じてない気もします。
なお、医療費に限らず税制と福利厚生全体で中間層が疲弊している件についてはクリントン政権で労働長官をつとめたロバート・ライシュ教授の講義も聞きに行ったのですが(私も結構ミーハーですw)、結局のところ医療費の問題と同じです。
> この中間層というのは中間層とは言いながらも、実はかなりの高収入層も含まれます。
> たしか米国のベテランの上院議員の方が白血病になって、政界を引退して治療に専念したところ
破産状態に陥ったという記事を読んだ記憶があります
私の収入は全米のトップ0.X%になるようです。統計上は。
しかし、富裕層という実感は微塵もありません。
物価が極めて高い地域に住んでますし、周囲もほとんど同じ年収ですから、実感としてはむしろ中の中、ド中流です。
しいていうなら、シングルマザーでヒイヒイ言ってる人たちとか、不法移民らしきアミーゴたちよりは多少恵まれてるかな、と言う程度です。
(他の低所得者層とは日常生活で接触すらないのも大きいかもしれません。)
私より遥かに多い収入が多いはずの上院議員の方が医療費が元で破産したというのは驚きですね。一つだけ思い当たるのは、アメリカの健康保険は会社ベースのものがほとんどなのですよね。
私の健康保険もかなり良いものですが、会社が相当な率(多分8割か9割)を負担してくれてます。
引退した人は、会社の健康保険(議員だと会社ではないんでしょうけど)には入れませんから、負担がかなり大きいのではないかと思います。
といっても、元上院議員なら資産も十分にありそうですが…
その上院議員の方の件、ちょっと検索して見当たらなかったのですが、もし見つかればもうちょっとどういうことか掘ってみたいですね。根が深そうです。
> チキンサラダさん御本人や親しい家族が重病になったら、迷わず日本に帰国することをお薦めしたいです。
実は既にやっています。
私はとある臓器の病気があったのですが、アメリカではなく日本で手術を受けました。ただ、理由は費用ではありません。
アメリカで手術をした場合は、保険が効くので費用は copay だけ。わずか $35 でした。一方、日本での手術は入院も含めて全部で40万円くらいかかりました。費用だけ見れば、私の場合はアメリカの方が遥かにお金がかかったわけですが、日本で手術をした理由はいくつかあります。
* 日本でその道の第一人者と言われる執刀医を紹介してもらえた。
* 日本でもアメリカでもトップクラスの医師の腕は変わらないが、平均値は日本の方が上(手先の器用さの問題)とアドバイスされた。(アメリカの主治医は指の太さが私の倍くらいあって、器用さという点でやや不安を覚えたw)
* アメリカの方がマイナーな病気や先端の医療は進んでるが、よくある病気ならレベルは変わらないとアドバイスされた。
* アメリカの主治医は手術のリスクを避け「臓器の機能がほとんどなくなるまで手術を勧めない」と言った。(そんなに待ったら臓器の機能が回復しないw)
* 日本では主治医もセカンド・オピニオンをとった別の病院でも「今すぐ手術をした方がいい」と言われた。
* 日本では絶対安静2週間の手術なのに、アメリカだと手術当日、自分で車を運転して帰らされるのがやや不安だった。(似た病気でアメリカで手術した同僚は、手術の翌日、自分の部屋全体を血で染め上げるほど出血して病院に戻っていきました。)
* 40万円は大きいが、臓器一個の値段として考えるなら全く惜しくない。
* 日本の女医さん、看護師さん可愛いし優しい。病院食も美味しすぎる。たまにはアメリカの家族から解放されてのんびりしたい。
最後の部分は余計ですが、その他はりょうちん様がおっしゃることと重なってる部分も多々ありますね。
私は、いちおうなにか書き込みをするときは、外部脳(Googleともいう)にアクセスして、ファクトチェックするんですが、上院議員の件は、どうしても探せなかったんですよ。
たしかに何かで読んだ記憶があったのですが・・・。
李啓充先生の「市場原理が医療を亡ぼす―アメリカの失敗」あたりのネットでは検索しにくい出典だったかもしれません。(これもamazonの購入履歴という外部脳の推定w)
Medical bankruptcyあたりで、PubMed引くと今度は多すぎて探せない・・・。
アメリカ医療残酷物語は、日帰りないし一泊手術パックプランの検討をさせられたときに、散々、勉強したなあ・・・。
りょうちんさま、
私も質問する前は検索するようにしてるのですが、今回は見つけられませんでした。
上院議員は良いキーワードだと思ったのですが、逆に他に関連することが多すぎるかもしれません。
破産寸前とのことだったので、破産はしなかったかもしれない。だとすると bankruptcy ではひっかからないかもしれないですね。
日本が参考にすべきような諸外国のシステムの提示とかあるとありがたい
医療が進歩しているのは日本だけじゃないんだから、他の国も同じ悩みがあると思う
日本のシステムを参考にするべく諸外国から視察が来るのが現実なんですよ。
ちなみにクリントン女史がアメリカの医療改革のために視察に来たら
「米国の医者があんな奴隷労働するわけねえだろ!」
とあきれて帰ったという都市伝説があります。
一方で北欧諸国の老人福祉は大変参考になります。
こんな提案はすでにされてるとは思うが、あえて書いてみる。
医療保険の制度設計としては、現状のように被保険者の報酬から一定割合を保険料として毎月徴収する方が単純で、役人の試算も楽だろうが、保険事故(病気)の多寡によって保険料額を調整してもいいかなと思う。簡単に言うと、病気やケガで病院にかかって医療費を使うのは個人差があるので、病院にかからない人の保険料は下げてはどうかということだ。
自動車保険料の様に等級を定めて、一定期間受診しなければ次の期間は所定の保険料を、例えば1割引き、2割引きとする。健康な人ほど保険料が安くなるとすれば、お気軽なクリニックショッピングも減るし、自分の健康保持にも留意するようになるだろう。結果的に医療スタッフの過大な負荷の解消の一助ににもなると思う。
それでは全体の保険料が減る不安があるとするなら、ポイントを貯めるような仕掛けでもいいかもしれない。将来病気になった時に1割増し、2割増しで医療給付ポイントが使える。そうでない人の個人負担が10万円のとき、ポイントを使えば、実際の支出は9万とか8万で済むようにする。
何はともあれ、本人の「今の健康」が本人にとって経済的にお得だと理解させる。単純な仕組みだが、このようなインセンティブを設けることで、受診行動の適正化と医療財政の安定化が一緒に図れると思うのだがどうだろう。
民間の保険会社ならこれくらいのことはすぐできるし、実際企業の組合健康保険では似たような受診適正化対策をずっと講じてきた。本気で医療費を適正化するつもりがあるなら、国民健康保険でこそすぐやるべきだと思う。
望んで病気になるヒトはなく、健康保険制度を脅かす疾患/領域の概念も明らかでではない現状で、歴の多寡によりシステム設定するのはいささか胆略的と思います。年金制度でも、生き残った者だからこそ、制度の恩恵を享受できます。国民健康保険制度も、ある意味ラグビーのモールのように、次につなげていく(皆で負担する)という安心感が前提にあるべきと考えます。組合によると思いますが、現行でも保険診療を受けない事によるincentiveはあります。、
町人 様
説明の仕方が舌足らずだったらすみませんでした。
私が言いたいのは、今でも色々やってる「組合健保」並のことを、「国保」(加えてや「旧政府管掌」)加入者(確か合わせれば7000万人以上いるはず)に行って、「受診の適正化」を図るべきということです。今は単に「適切な受診に心がけましょう」といったパンフレットを配るくらいしかやってない。そんな牧歌的なことじゃ効果ないということです。
患者個人の善意というか精神主義に頼るのではなく、より単純でわかりやすい経済的動機の仕組みを作れば、何よりも本人の健康寿命を延ばすことに、そして保険財政の健全化と医療現場の負荷の軽減になるだろうということです。
「それはアメリカが数年前に通った道だッ!」
というやつなんですよ。
https://www.dir.co.jp/report/research/economics/usa/20131216_008016.pdf
「クリームスキミング」「チェリーピッキング」のあたりで検索してください。
さて、爆弾を落とすようで申し訳ありませんが、安楽死、自分で自分の死の結末を決めることは絶対したいと私は思います。
これは其々個人の人生観から熟成されるものと思います。
私は自営業を営んでいて、高齢のお客様とも日常よく接しています。ご病気などになられ、ご家族様が本当に大変な境遇になられるだろう事を商売上知ることになります。
また、私の母も末期がんで痩せ細そえ苦しむ中見届けました。
健康であれば長生きしたいと思いますが。そうでなければ、子供達に負担を与えたくありません。
まぁ、死ぬのは決まっているのですから自分が納得できる死に様を迎えたいと思っています。
こういう奴が増えれば医療費も削減できますな。