通貨スワップと為替スワップを混同した産経記事に反論する
ジャーナリストの仕事とは、一見すると複雑な事象を読み解き、それを一般の人々にわかりやすく提示することだと思います。その意味で、ウェブ評論家とジャーナリストは、やっていることがそっくりです。こうした中、産経新聞の特別記者・田村秀男氏が執筆した「日中通貨スワップ」論については、日本を想う気持ちに基づいて執筆されているものの、基本的な事実誤認が含まれているため、金融規制の専門家という立場から、反論を加えておきたいと思います。
目次
通貨論と為替スワップ
日中為替スワップは通貨スワップではありません
私は2016年7月に当ウェブサイトを開設して以来、「通貨論」を頻繁に掲載しています。
金融規制の専門家を自称する以上、金融と通貨については専門分野の1つであり、そのなかでも資金循環統計、外貨準備高、通貨スワップや為替スワップに関する説明などについては、かなり多くの方から「参考になった」というご意見を頂いています。
こうした中、よく誤解を受けるのが、通貨スワップと為替スワップの違いです。これについては当ウェブサイトでくどいほど繰り返してきた論点であり、先月末にも『日中スワップと日印スワップ、性質も目的もまったくの別物』などで触れているため、詳細については繰り返しません。
ただ、「日中為替スワップ」を巡っては、とくに誤解も多く、とくに酷いものが、「一方的に中国を助けるためのものだ」、という主張です。
また、当ウェブサイトでは一貫して「日中為替スワップは日本企業にとってメリットが大きい」と主張しているのですが、通貨スワップと為替スワップの違いを理解していない人が、「日本の銀行を助けるために国益を犠牲にすべきではない」といったトンチンカンな主張をしているのも困りものです。
産経新聞特別記者・田村秀男氏のコラム
そんな記事の1つが、昨日の産経ニュースに掲載されていた、こんな記事です。
【田村秀男のお金は知っている】「日中通貨スワップは日本のため」とは面妖な…(2018.11.3 10:00付 産経ニュースより)
私は普段、産経新聞については大手メディアには珍しく、愛国的な視点から書かれた記事が多いと評価していますし、田村秀男氏も保守派の論客だそうですが、このリンク先の記事に限定して、あえてきつい言葉で申し上げれば、非常にお粗末だと思います。
まず、記事のタイトルからして間違っています。
そもそも「日中通貨スワップ」などという協定は存在しません。存在するのは「日中為替スワップ」です。そもそも通貨スワップは通貨危機になりそうなときに通貨当局同士が通貨を融通し合う協定であり、為替スワップは相手国通貨の資金を自国の金融機関に提供する協定で、両者はまったく別物です。
疑う方は日銀のウェブサイトを見てください。ちゃんと、「日中通貨スワップ」ではなく「日中為替スワップ」と明記されています。また、財務省のウェブサイトを見てください。中国との通貨スワップ協定など存在していません。
それなのに、田村氏の記事では、この日中「為替」スワップを日中「通貨」スワップと一貫して誤記したうえで、
「日中両国は26日、通貨スワップ協定締結に向け合意した。財務省は「スワップは中国のためではなく、日本の企業や銀行のためになる」との一点張りというが、何とも面妖な。」
と述べているのですが、これは別に「面妖」ではありません。単なる勉強不足です。
ハード・カレンシーの説明は正しい
いちおう、田村氏のことを擁護しておけば、記事の中にはおおむね正しい記述もあります。
「通貨スワップとは金融危機に際して、必要とする外貨を確保する。その時の為替レートで相手国の通貨と交換する。まるで対等のように思わせる表現だが、市場危機対策で必要なのは「ハードカレンシー」(いつでもどこでもドルと交換できる国際通貨)であり、円はまさに該当する。」
この点のうち、まさに「ハード・カレンシー」の説明については、ほぼ正解です。
ただし「通貨スワップ」の説明は、若干正確ではありません。もう少し厳密に言えば、通貨スワップにも「米ドルなどと交換するスワップ」と、「相手国通貨と交換するスワップ(ローカル通貨建てスワップ)」の2種類があります。
たとえば、韓国が諸外国と結んでいる4本の通貨スワップ協定は、いずれも「ローカル通貨建てスワップ」であり、為替レートはあらかじめ決められています(図表)。
図表 韓国が外国と締結しているスワップ
相手国 | 韓国が受け取る通貨 | 韓国が引き渡す通貨 |
---|---|---|
オーストラリア | 100億豪ドル(約71億米ドル) | 9.0兆ウォン |
マレーシア | 150億リンギット(約36米億ドル) | 5.0兆ウォン |
インドネシア | 115兆ルピア(約76億米ドル) | 11.0兆ウォン |
スイス | 100億スイスフラン(約100億米ドル) | 11.2兆ウォン |
合計 | 約282億米ドル相当額 | 36.2兆ウォン |
(【出所】著者調べ。なお、米ドル換算額は米国時間2018/10/22終値などを参照)
なお、韓国が締結している4本の通貨スワップ協定のうち、通貨危機に際して役に立つスワップはオーストラリアとのスワップとスイスとのスワップの2本しかありませんが、この点については本論から外れるので、先ほどのリンクをご参照ください。
田村氏の執筆動機は正当
中国の通貨危機の説明も部分的には正しいのだが…
一方で、中国の通貨危機に関する説明についても、部分的には正しいと言えます。
「米中貿易戦争の激化は巨額の人民元売りと資本逃避を招いている。元暴落は金利の高騰と悪性インフレにつながり、経済を崩壊させてしまいかねない。習近平政権は外貨準備を取り崩して元を買い支えているが、それでも元相場は下がる。」
ただし、中国の場合、韓国やインドネシアなどと異なる点が1つあります。
それは、かなり厳格な資本統制を実施している、という点と、その資本統制が効いているおかげで、通貨危機自体は発生し辛い、という点です。
そもそも外国投資には「対外直接投資」と「対外証券投資」の2種類があります。
このうち、「対外証券投資」とは、外国人がその国の有価証券(上場株式や債券)に投資しているという金額のことであり、外国人投資家はわりと気軽にその国に投資できますし、わりと気軽に売却しておカネを引き揚げてくることができます。
一方、「対外直接投資」とは、企業が工場を建てたり、合弁会社を設立したりするという形態の投資であり、投資している外国企業は、そう簡単におカネを引き揚げてくることはできません。
中国の場合、外国企業には合弁形式(あるいは「対外直接投資」)でなければ工場の建設を許していないのに加え、対外証券投資については「RQFII(人民元適格外国機関投資家)」とい制度を通じて、本土への証券投資を厳格に規制しています。
最近、韓国で通貨危機への懸念が高まっているとされますが、これと同じ感覚で中国を見てはなりません。
(※なお、この「投資形態による通貨危機の発生しやすさ」については、非常に重要なテーマですので、機会があれば近いうちに是非詳しく議論したいと思います。)
テクニカル・デフォルトを甘く見てはならない
そして、私が田村氏の記事の中で、もっとも大きな問題だと思う下りは、次です。
「唯一、日本側の利益になりうるケースは、中国の債券市場が混乱した場合かもしれない。三菱UFJ、みずほのメガバンクは中国で「パンダ債」と呼ばれる債券を発行して人民元資金を調達している。買い手の多くは日本企業だ。債券市場が混乱すれば日本の企業と銀行が困るのでパンダ債買い支えのための元資金が要るのだという。一部民間のちっぽけな利益確保のために、外交で譲る国が世界にあるとは信じ難い。」(※下線部は引用者加工)
日本のメガバンクが中国本土で「パンダ債」を発行しているという話題や、それが「正気の沙汰とは思えない」という点については、『危険なパンダ債と「日中為替スワップ構想」』などの記事を通して、すでに当ウェブサイトでも何度も指摘して来ました。
なぜなら、中国本土の資本市場は未成熟であり、いざというときに資金繰りがつかなくなって、債務不履行(いわゆるテクニカル・デフォルト)を起こす可能性があるからです。
そして、メガバンクがテクニカル・デフォルトを発生させたときには、いったい何が生じるのでしょうか?
定義上はCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の信用事由(CE)に該当しますし、仮にCDSの「決定委員会」(DC)がCE認定すれば、CDSのトリガーが引かれることになります。要するに、日本を代表する銀行が「デフォルト」したということになるのです。
そうなれば、日本の金融システム全体が深刻な打撃を受けることにもつながりかねません。いわば、中国の資本市場と日本のメガバンクが、日本の金融システムそのものを人質に取っている状態なのです。
これを「ちっぽけな利益」と言ってしまうのは、残念ながら勉強不足過ぎます。
金融安定理事会(FSB)が「G-SIBs」(グローバルなシステム上重要な銀行)に指定している銀行がテクニカル・デフォルトに陥ることの深刻さを想えば、それを回避する対価が3.4兆円だったと考えるのも、1つの解釈でしょう。
怒るべきポイントが違う
田村氏の論説は、愛国的な立場から執筆されているため、「そのとおり!」とひざを打つ方も多いと思います。
そして、日本国民の税金負担で、日本に脅威を与えている中国という国を救済しかねないスワップを締結することを批判するという視点自体は、記事の執筆動機としては非常に正しいという点はそのとおりです。
ただ、私は、『【速報】やはり中国とのスワップは「為替スワップ」だった!』で述べたとおり、このスワップは中国市場に人質に取られていたメガバンクのテクニカル・デフォルトの問題を解消するものだと考えています。私が危惧するのは、正確な知識なしに、安易な日中為替スワップ廃止論が広まることです。
この場合、怒るべきポイントは、為替スワップを締結した日銀の姿勢ではありません。「本邦初のパンダ債」などと称して、迂闊にも中国本土でRMB債券を発行してしまった銀行でしょう。
私が把握している限り、今年1月時点の発行額は、2つの銀行であわせて15億元、円換算してもせいぜい250億円程度です。それで3.4兆円ものスワップは必要ないのではないか、といった指摘があることは存じ上げています。
しかし、これはあくまでも「当初の発行額」であって、現時点では発行額はさらに増加している可能性もありますし、パンダ債だけでなく、NCD(譲渡性預金)やレポ取引などの市場性調達を行っている可能性もあります。
ジャーナリズムの立場からは、日本の金融システムを使わせてもらっている立場でありながら、日本の金融システム全体を危機にさらしかねない迂闊な行為をしたメガバンクの行動こそ、批判すべきではないかと思うのです。
スワップ3.4兆円の本当の意味
ただし、中国の場合、主要銀行の多くは事実上の国有企業です。「為替スワップ3.4兆円」という金額が、事実上の為替介入に流用される危険性は決して低くありません。
私は、この3.4兆円/2000億元という金額については、日本政府からの「パンダ債や市場性調達をするにしても、上限は2000億元にしておきなさいよ」、という民間金融機関に対するメッセージ(あるいは警告)だと考えています。
つまり、日中為替スワップには、3.4兆円が為替介入で溶かされてしまうというリスクを呑んだうえで、G-SIBsのテクニカル・デフォルトを回避するためのコスト、あるいは苦渋の決断という側面があると考えているのです。
私は田村氏の文章を批判しましたが、
「通貨は国家の要であり、外交・安全保障に関わる。(中略)通貨スワップ協定は信頼し合える国としか締結できない。」(※下線部は引用者による加工)
という下りについては、全面的に同意します。
言い換えれば、日本は「信頼できない国」である中国と為替スワップを結ばざるを得ない状況にあるということであり、こんな協定がなくても良い状態にする必要があると思います。
結局、国家観も認識も甘い経営者が居座っていることが諸悪の根源であり、この点については、日本社会が抱える大きな問題点であるといえるでしょう。
そして、こうした状況は、一朝一夕に変えることはできません。状況を変えるためには、結局のところ、国民レベルで正しい国家観を持つために、ひたすら地味に正論を述べ、それを拡散し続けることしかないのだと思うのです。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
毎日ご苦労様です
金融経済にド素人な私に見えるのは
通貨スワップでも為替スワップでも、今日本企業が中国で商売を拡大する事は、結果日本が中国を助ける事に成ると言う事を、田村氏は言いたいのでは無いでしょうか?
今,アメリカが取っているスタンスと真逆の方向へ進んでいるのでは無いかと懸念してる様に見えます。
何か中共を引き下ろす策でも仕込んで有れば別ですけど、其れは見えないと言っておられます。
私も、わざわざ此方から出かけて約束する程の良策とは思えません、更に一体一路に手を出してはいけないと思います。
訂正・・・一帯一路
産経新聞に同日に掲載された以下の記事内容の方が主様が主張されている内容と同一と思われます。
どんな業種であろうとプロフェッショナルとして提出した文書であれば、勉強不足は言い訳にもならないですが・・・掲載前に「有識者のレビュー・指摘→訂正」のプロセスが無いのであればリスキーな商売なんだなぁと思う次第。
『【ビジネス解読】通貨スワップ、クリアリング銀、パンダ債…日中ビジネス接近に潜む危うさ』
https://special.sankei.com/f/international/article/20181103/0002.html
※上記URL先は(無料だけど)ID登録・入力が必要になります。面倒と思われる方はスルー願います。
【Front Japan 桜】日中スワップは日本企業の為か~田村秀男 / メルケル党首辞任表明とEUの行方~川口マーン恵美 / 米中戦争としての安倍訪中
https://youtu.be/m5e0KRVY2k4?t=3047
いつも楽しく拝見致しております。
世間に「スワップ」という言葉が認識される頃より、その複雑さから私自身、解釈する事を避けていました。
元来私は「文系脳」で歴史 政治等への好奇心は強くありながらも、経済関連については「からきし」でありました。
然し、私は小さい個人経営者でもあるので、「これではいけない」と奮起し、様々な経済論文や資料を読み学びはじめ、会計士様のウェブサイトに出会いました。
御サイトは、非常に明確で丁寧な文脈で、特に私が不得手な金融関係に基づくものは、私を新たな知識を授けて下さるものでした。
それは、この度の日中首脳会談で取り決まった、「日中”為替”スワップ」も日印との性質の違いをハッキリと理解し解釈出来る様になれました。
さすがはご専門の博識、と感心している所存であります。
今では、MailやTwitterやNewsチェックと同様、御サイトも毎日の日課となっています。
ご専門の金融関連はもとより、政治や世界情勢など明朗快活な論考を、ご存分にご披露し続けて頂きたいと思っております。
先日、再び産経に田村氏の「語弊」ある日中スワップについての記事が投稿されて、「きっと会計士様は再び反論し、正論述べられるのだろうな…」と期待しておりました。今朝Twitterを見てみると、、思惑通りでした笑。
日々Twitterチェックすると、様々な意見を目にします。
私自身、現在の安倍総理を支持し期待する一人であり、
フォローしたりチェックするのは同様の価値観ある方々のツイートが必然的に多くなります。
然し、そんな中であっても、この度の日中スワップを
「中共を助けるものだ」と否定的に見解する方が非常に多いのを実感します。
それは、保守系で愛国者である活動家や言論人であってもその有り様に、些か残念に感じるのと同時に、貴方が仰る通り、この方々も「以前の私と同様」に知識不足なのだ、と思います。
そして何より、「正確な情報」とするソースが狭い範囲にしかない、事も要因かと感じます。
例えば、産経新聞。保守系サイトのYouTube。虎ノ門ニュースを代表とするもの。
それ等は、私も拝見しますし参考にもなり情報源としています。
ですが、それらの「社会的影響力」の大きさ・強さだけで
判断し、盲目的にそれ等の論説を信じてインプットする事は、非常に危険な事でもある、と私は感じています。
それが「正確=正しい」とするのは浅はかで短絡的。
言い換えれば、史実に目を瞑り「信じたい」歴史を説いている半島隣国と同じ事の様に感じます。
類似した事であれば、私の暮らす地元北海道で未曾有の大地震が発生し、ブラックアウトという大惨事となったのですが、それにあたり「泊原発が稼働していたら大停電は起きなかった」「原発を動かせ」いう論調が多発しました。
確かに、道内の電力供給を見れば泊原発が動いていれば
大惨事は免れたでしょう。
然し、その論調は短絡的であり、「現在の泊原発は、安全基準を満たせてないから”稼働してはいけない”」という根底を見落としているものでした。
活断層にしても防護層強度にしても不十分である以上、
多大な恩恵となる原子炉は「完全な安全が確立されない限り、動かしてはならない」ものです。
その様な論調が出たのも、本質的な「原発」や「核エネルギー」についての知識不足に尽きるものでした。
とうの被災者である私達道民を差し置いて、数週間に渡るネット上での論戦は、非常な興味深く静観していました笑。
これらの様に、「正確な情報や知識」は尊く、右や左、保守だリベラルだ、という思想や支持理念以上の信憑性があります。
また、情報過多な現代、どれが何が「正確な情報か?」を選び出す事が大切で、そこに個人の「洞察力や判断力」が必要となるかと感じます。
会計士様が常々仰る「知的好奇心」を如何に自身や周囲に活かせるか…。
それが人としての大意義。
信じたい情報、ではなく、如何に信憑性ある情報をインプットしアウトプットするか、が言論には最も必要な事、と私は思ってます。
会計士様は如何思われますでしょうか?
長文にて、乱筆乱文失礼致しました。
新宿会計士 様
実は私も産経新聞を購読しておりブログ主さんから御教示されていましたので通貨スワップと
勘違いしているのかなと思いつつも全体的には納得しました。いまだに判らないのは何故邦銀が
債権を発行して人民元資金を調達する必要があるのかです。
ブログ主さんは中国は資本市場が未成熟なために資金繰りがつかなくなりテクニカルデフォルト
を危惧されておりますが、債権を購入した日本企業は最終的には円での利益が欲しいのであって、
元でのリターンを求めていないと思います。例えば1億元の債権を買って10%の利益であれば
元での資金繰りが困難になった場合には、1.1億元分の日本円での償還をすればよいのではない
でしょうか ?(RMB債権の仕組みを知らない素人考えで申し訳ありませんが)
以前ブログ主さんが心配しておりましたが 中国はSDRの特別引出権を得ているのですから、
銀行は制度上リスクゼロと考えて投資を薦めても余り非難はできないと思います。
中国も外国企業に対して正当な理由なくして市場混乱を起こせば半永久的に引出権を再獲得が
出来なくなりますのでまずそういった事態は起こらないと考えます。(尤も万一そういった
事態が起これば結果的には世界にとっては良いことだとも思います。)
このように考えると今回の3兆円の為替スワップはなんとも中途半端で、困ったときの日本
頼みに対するホンの少しの返礼であり、今後のことを考えればゼロ回答も出来ないため
ブログ主さんのご指摘の最悪の事態での対応というメリットも考慮した上での、簡単に
相手の策略に乗らない日本外交だと思います。 事実安倍首相は帰国後すぐにインドの
モディ首相と打ち解けて会談を行っております。この会談を中国サイドは内心歯軋りしながら
眺めていると思います。
元建ての債券を発行する邦銀が、資金繰りがつかなくなるいざという時とは、具体的にどういうケースがあるのでしょうか?
円をもって人民元が調達できない場合というのがいまいち想像つかないのですが。
素人的に解説すると、キャッシュは血液だと思って下さい
病院に保存血液が大量に有っても、血液型が合わないと輸血出来ないんです
どこかの機関で必要な血液型の調整をする必要が有るんです
お金を血液だと思って考えると他の経済現象も理解し易く成りますよ
< 昨日『ZAKZAK』で田村記者の論説を読みました。その時、「あれっ通貨スワップになっている?為替スワップやろ?」と思い、校正ミスかなと考えましたが、何度も出てくるので、だんだん「これは本気で混同してるよ」と苦笑しました。
< 『通貨は国家の要であり、外交・安全保障に関わる。(中略)通貨スワップ協定は信頼し合える国としか締結できない』(産経 田村記者)おっしゃる通りです。本来パンダ債などに手を出す銀行が間違っている。それを日本国が「3.4兆円までだぞ」と護ってあげている次第。
< メガバンクはチョーシに乗らないように! 以上。
< 産経新聞社の間違いを指摘した件に絡んで良い記事もあるご報告。
< 元韓国駐在京城支局長の加藤達也氏が「いっそのこと韓国に2.5兆円ほど要求しては?」。いいですね~。過激で(笑)。さすが産経、日本の対応策として「◎」です。
当分の間此の件は動かないと思われます
日本企業は覚悟を決め、韓国に売る分は大幅に値上げ現金ドル決済にすれば結構気が楽に成ると思いますよ
少し強く出て欲しい処ですね
『テクニカル・デフォルトを甘く見てはならない』の上5行目
「RQFII(人民元適格外国機関投資家)」とい制度を通じて、本土への
とい制度→という制度
いつも重箱のスミを突くような指摘ばかりでごめんなさい
パンダ債を発行している邦銀を助けるという点については理解できるのですが、中国の金融機関がこれを利用することもできるはずですよね。つまり、中国の金融機関が人民元を中国人民銀行に預けることで日本円を受け取ることも可能かと思います。その日本円を外貨準備として利用するということは、中国においてはありうるのではないかとも思うのですが、これについてはどうでしょうか。
邦銀は中国のシャドーバンキングのリスクを甘く見ているのでしょうか?
多くの中国企業(実質的国営)が返す見込みの無い債権を中国の銀行を通してバラ撒いています。金利が良い債権であるので多くの人が債権を購入します。しかしその債権で調達された金は不動産開発といった回収が見込めない事業に突っ込んでいます。回収できない銀行が不良債権をごちゃまぜにし、不良債権処理会社に横流しして理財商品を更に売るというような最悪のスパイラルであり、サブプライムローンと構図は同じです。
これら理財商品を日本企業が買っているかは不明ですが、中国の市場が地獄なのは明らかです。多くの日本人を雇用し、日本の経済の一部を担っている企業の経営者が何を考えて中国に投資しているのかが心配でなりません。給料に見合う仕事をして欲しいものです。
通貨スワップ協定や為替スワップ協定について、あちこち眺めたのですが整理がつけられませんでした。
このサイトのいくつかの記事を読んで、それなりに整理できてきた感じがしています。
間違えた記事がありふれていることで混乱していたようです。
ありがとうございます。
パンダ債については、これまでいろいろな支援を受けながら、租税回避をするような企業にまた無料で支援することに憤りを感じます。
銀行からは支援してものを取り返すことを強制執行するような法が必要だと思います。
租税回避をきつく禁止するだけでも。
検索してもよくわからないので、どなたかご存知でしたら教えてほしいのですが、実際にスワップを行うときのレートってどの時点のレートなのでしょうか?
例えば片方の通貨価値がものすごく下がっている状況で、協定を結んだ時点のレートで交換したら、支援する側が大損してしまいます。
ジンバブエのようなことになっていたら、ゴミと健全通貨を交換することに成ってしまいます。
また、レートが落ち着くまで待って、とできないと確実にゴミになるものを掴まされてしまうことにもなります。
それを承知の上での協定のような気もしますが、そうなるとソフトカレンシー側の通貨が圧倒的に優位な協定ということになります。
この点で整理がつかない。
あと、日韓スワップ協定が終わりましたが、ハードカレンシー保証は続いているというのも理解ができません。
私は日韓スワップ協定の終了とともにハードカレンシー保証も終わったのではないかなと思っていますが…。
スワップ協定の他にも、別の名前の似たような通貨融通の協定があるのでしょうか。
匿名のコメント主様
コメント大変ありがとうございます。
大きく分けてスワップには3つあります。
1つ目は為替スワップです。
日米為替スワップなどのレートについては「約定日の市場実勢レート」とあります(『ニューヨーク連銀との要領』https://www.boj.or.jp/intl_finance/cooperate/swapy_ny.htm/)。
2つ目は「米ドル建て通貨スワップ」です。
これについては財務省のHP(https://www.mof.go.jp/international_policy/financial_cooperation_in_asia/bsa/bsa.pdf)に明文記載はありませんが、おそらくは通貨スワップ引出時点の市場実勢レートを使うのではないかと思います。
3つ目は「ローカル通貨建て通貨スワップ」です。
これについては、あらかじめ限度額を決めており、おそらくパターンとしては「あらかじめ為替レートが決まっている場合」と、「その時点の市場実勢レートなどを参考に決定する場合」があるのだと思います。
ただし、1つ目の為替スワップを除くと、当局が必要な資料を開示していないため、あくまでも2つ目と3つ目は私自身の想像です。
「ハード・カレンシー」には、別に当局が決めた定義があるわけではありませんが、あくまでも私自身の定義によれば、
「国際的な商取引や資本取引において使用する際に、地理的・時間的な制約が少ない通貨」
のことであり、このような条件を満たす通貨としては米ドル、ユーロ、日本円、英ポンド、スイスフラン、豪ドル、加ドルなどがあります。
また、通貨スワップ(BSA)や為替スワップ(BLA)以外でハード・カレンシーを引き出す仕組みとしては、アジアの場合はチェンマイ・イニシアティブ・マルチ化協定(CMIM)があります。
なお、ご指摘の「ハード・カレンシー保証」という用語については不肖ながら初耳ですが、日本の財務省や日本銀行が韓国ウォンの価値を保証しているという事実はありません。
引続き当ウェブサイトのご愛読ならびにお気軽なコメントを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
「徴用工」裁判の話が食傷気味なので・・・。
韓国関係のニュースを追っていたら、こんな記事を見つけました。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-07-31/PCPWPO6TTDS401
サムライ債、韓国勢による発行が急増-朝鮮半島の緊張緩和で
>現代自動車の金融部門によるサムライ債起債で、韓国勢による円建て債発行が2012年以来の高水準に膨らんだ。
>朝鮮半島の緊張緩和と有利なスワップコストが背景だ。
>現代キャピタル・サービシズは先週、同社にとって15年以来となるサムライ債を220億円起債。
>韓国輸出入銀行とKTによる6月の発行に続いた。
韓国輸出入銀行とKTによる6月の発行に関しては1200億円で
https://japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=242528
韓経:韓国輸出入銀行、1200億円規模のサムライ債発行
> 輸出入銀行はSKハイニックスの東芝半導体事業部門の買収を支援するために8000億ウォン(約794億円)規模の日本円融資を決めたが、今回のサムライ債の発行は関連財源を調達するためのものだ。
まあこれは、動機がわかります。
しかし、現代キャピタル・サービシズの220億円は、この間、激減した現代自動車の1四半期の営業利益2889億ウォンにも相当する金額で、なかなかの金額です。
サムライ債市場全体から見ても、結構な割合を占めるとの統計もあります。
文中の背景では、円からドルに換えるときのプレミアムが低いからとありますが、本当に必要なのは、やっぱりドルなんですね。
パンダ債の場合、日本企業が安価に元を調達するためのものという建前ですが、いまひとつ必要性がやっぱり理解できません。
元で無いと現地で調達できないものってそんなにあるもんなんでしょうか。
りょうちん 様
いつもコメントありがとうございます。
サムライ債の件、非常に大切な話題だと思います。余裕があれば、近日中にどこかで取り上げたいと思います。
ネタ提供、大変ありがとうございました。
引き続きのご愛読並びにお気軽なコメントを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
釈迦に説法な話ですが、
>朝鮮半島の緊張緩和
これによるカントリーリスクが低下しても、米国によるセカンダリーボイコットの確率が
上がっていると思うのですが、市場の評価というのは、そこまで甘いものなのでしょうか。
現代キャピタル・サービシズ
https://www.jcr.co.jp/download/3a2222ccadc7a79c3b9f820987c84bdb1c72382f4dd64da330/18i0047j-1.pdf
ヒュンダイ自動車の販売ローンが主たる営業内容のようですが、本業がアレですからねえ。
https://www.youtube.com/watch?v=whGh-Xscvhw
田村秀男さんが、スワップが中国の土地購入を助けている、とおっしゃっています。
確かに、単純な構図に思えるのですが、仕組みがよく分かりません。
元建てで土地が買えるということですか?