数字で読む「隣国同士とは思えないほど薄い日露関係」

当ウェブサイトでは時々、他サイトであまりやらないことを、大真面目に議論したりします。こうしたなか、ごくまれに見られるのが、「日本にとってロシアとの関係は重要だ」、などとする主張です。ただ、日本にとってある国との関係が重要であるかどうかを判断するにあたっては、その国との地理的・歴史的な関係、基本的価値を共有するかどうか、といった「定性的な要因」だけでなく、「定量的な要因」――、すなわちヒト、モノ、カネのつながりを数字で把握することが大事です。

ある国との関係の重要性とは?

以前より当ウェブサイトにて主張している通り、ある国同士の経済的なつながりの深さを読む上で、最も基本となる統計は、「ヒト、モノ、カネ」の往来でしょう。

よく、世の中には「A国との関係は日本にとってとても大切だ、なぜならば…」、などとしたり顔で主張する人もいるのですが、そのような人はたいていの場合、なかば意図的に、こうした「ヒト、モノ、カネの関係」という、数字面での現状を無視します。

もちろん、ある国との関係が日本にとって重要であるかどうかを判断するにあたっては、その相手国の地理的な距離、地政学的な重要性、歴史的な関係、その国が日本と価値観を共有しているかどうか、といった「定性的な要因」も加味する必要があることは間違いありません。

ただ、そうした「定性的要因」はもちろん重要なのですが、それ以上に重要なのが、「数字」です。

現時点において、日本とその相手国がどの程度深い関係にあるのか(あるいはないのか)を判断するためには、「ヒト(両国民の相互往来、その相手国に居住する自国民の数、自国に居住する相手国明の数など)」、「モノ(輸出入など)」、「カネ(直接投資、証券投資、融資など)」を確認する必要があります。

ある国との関係が重要であるかを判断するための基準

定性的要因(その国との地理的関係、歴史的関係、その国がわが国と基本的価値を共有しているかどうか、など)

定量的要因(ヒト、モノ、カネなどの経済的な面でのつながり)

定性要因で見る日露関係

ロシアと日本との関係は?

ただし、これらの基礎データについては、相手国の統計に不備があるなどの理由で、完全に把握することができない場合があります。中国がその典型例でしょう。

中国は最近、国籍別の入国者数に関する統計の発表を止めてしまいました。このため、「現在、中国を観光やビジネスなどの目的で訪れている日本人が何人いるのか」、といった一次データについては、残念ながら入手することができません(※断片的に入手できなくはないのですが、連続データの入手は困難です)。

このため、これらの情報については、把握できる限りのもので判断するしかないのですが、ただ、ふと気になって、特定の国との関係を調べていくと、やはり興味深い事実が判明することもあります。

その典型例は、ロシアでしょう。

ロシアは日本にとって、地理的にも非常に近く、歴史的にもさまざまな関係(あるいは「因縁」)がある相手国のひとつです(もちろん、その「関係」ないし「因縁」は、必ずしも「良い意味で」、とは限りません)。

日本国民はロシアをどう位置付けているのか

ここで、興味深い調査を紹介しておきましょう。

内閣府がほぼ毎年のように実施している『外交に関する世論調査』という調査があります。毎年10月前後に実施されることが多いのですが、年によっては11月に行われたり、9月に行われたり、はたまた翌年1月にズレ込んだりすることもありますが、いずれにせよ、ある国に対する国民感情などを見るうえでは参考になります。

図表1は、同調査でほぼ毎年、定例的に登場する4ヵ国(米国、中国、ロシア、韓国)について、相手国との関係が良好かどうか、相手国との関係が重要かどうかを比較したものと、ロシアに対する親近感、認識の推移を示したものです。

図表1-1 米露中韓4ヵ国に対する親近感

図表1-2 米露中韓4ヵ国との関係が良好かどうかに関する認識

図表1-3 米露中韓4ヵ国との関係が重要かどうかに関する認識

図表1-4 ロシアに対する親近感の推移

図表1-5 ロシアとの関係が良好かどうかに関する認識の推移

(【出所】『外交に関する世論調査』をもとに著者作成)

ロシアは米中韓3ヵ国と比べて明らかに見劣りする

これで見ると、親近感、相手国との関係ともに、ロシアに関してはポジティブな回答が極端に減少する半面、ネガティブな回答が極端に増加しており、また、米中韓などと比べ、ロシアに対する認識(親近感、関係性に関する認識、重要性に関する認識)も非常に悪いことがわかります。

もちろん、この『外交に関する世論調査』をどこまで信頼するかという点について、(「この国に対する親近感がこんなに低いはずはない」、といった具合に)疑問を持つ方もいらっしゃるようではありますが、それでも「定点観測」的な性格に照らし、それなりの有用性があります。

いずれにせよ、日本国民は米、中、韓3ヵ国と比較したときに、ロシアに対しては①親しみを抱いておらず、②日露関係を良好だとも考えておらず、また③日露関係をそこまで重要だと認識しているわけではない、ということはほぼ間違いないでしょう。

人的往来は隣国同士にしては極めて低調

続いて、実際にロシアとの「ヒト、モノ、カネの面での関係」、という論点に移りましょう。

まず人的往来に関していえば、日露間は間違いなく、「隣国同士にしては極めて低調である」といえるでしょう。

先日の『訪日外国人は189万人:「インバウンド大国」の日本』などでも取り上げたとおり、日本政府観光局(JNTO)が先日公表した『訪日外客統計』の最新データ(速報値)によると、2023年5月に日本に入国した外国人の総数は1,898,900人でした。

コロナ禍以前の数値には及ばないにせよ、特定国からの入国者が激増しているなどの事情もあり、入国者数は順調に回復中です(それが日本経済にとって良いことかどうかは別として)。

ただ、この1,898,900人という入国外国人総数に対し、ロシア人はなんと3,000人(!)に過ぎませんでした。パーセンテージ(入国外国人全体に占めるロシア人の割合)でいえば、0.16%(!)と、本当に微々たるものです。

また、今年1月から5月までの5ヵ月間の累計値でいえば、日本に入国した外国人の総数は8,638,543人でしたが、このうちロシア人は13,820人で、やはりパーセンテージを計算してみると、こちらも同じく0.16%という、本当にわずかな数値に留まっていることがわかります。

ちなみにコロナ禍以前も、日本に入国した外国人全体に占めるロシア人の割合は極めて少なく、コロナ禍で入国者数が極端に減った時期に「異常値」的にロシア人の割合が上昇するという現象は観測されますが、基本的にロシア人が入国外国人全体の1%を超えること自体が稀であることがわかります(図表2)。

図表2 ロシア人の日本入国状況

(【出所】JNTOデータをもとに著者作成)

日本に在留するロシア人、ロシアに在留する日本人

続いて外務省が公表している『海外在留邦人数調査統計』と呼ばれる統計に基づけば、外国に在留する日本人(「長期滞在者+永住者」の合計)は、昨年10月1日時点で1,308,515人だそうですが、このうちロシア在留者は1,321人で全体の0.10%ほどです。

さらに、法務省が作成している『在留外国人統計(旧登録外国人統計) 在留外国人統計』によれば、(少し古いデータですが)2020年6月末時点で日本に在留する外国人は2,885,904人ですが、このうちロシア人は9,223人で、外国人全体の0.32%です。

(※なお、ロシアを訪れている日本人の人数が何人だったのか、といったデータについては調べ切れていませんが、想像するに、日本人がロシアに入国する際、ビザの取得が義務付けられているなどの事情を考慮すれば、訪露日本人の人数が多いとは考えられません。)

【参考リンク】ロシアのビザ取得についての総合案内

―――在日ロシア連邦大使館ウェブサイトより

日露貿易のお寒い現状

続いて、「モノの流れ」についても簡単に確認しておきましょう。

一番わかりやすいのは、財務省が公表している普通貿易統計のデータですが、これによると、2023年4月時点のデータ上、単月の輸出額は338億円で、これは日本の輸出額全体(8兆2890億円)に対してたった0.41%に過ぎません。

また、ロシアが資源国である、といった事情もあってか、いちおう輸入額については輸出額よりも多く、その金額は719億円ですが、これも日本の輸入額全体(8兆7212億円)に対し、0.82%と微々たるものです。

これについては累計値で見てもあまり変わらず、今年1月から4月までの対露輸出額は1528億円、対露輸入額は4006億円で、これは輸出額全体31兆3179億円に対し0.49%、輸入額全体36兆9353億円に対して1.08%であり、正直、統計的には無視し得る水準です。

邦銀は対露与信残高をさらに減らした=国際与信統計

さらに、金額的なつながりという意味では、たとえば『邦銀の香港向け与信残高が急減中』などでも取り上げた、日銀が公表する日本の対外与信統計データが参考になるかもしれません。

対外与信統計によると、2023年3月末時点における邦銀の対外与信(最終リスクベース)は4兆7752億ドルに達していますが、このうちロシアに対する与信は、なんとその0.13%、60.95億ドルにまで減っているのです。これについてはグラフで確認しておくと、その様子がよくわかるでしょう(図表3)。

図表3 ロシアに対する与信(最終リスクベース)

(【出所】日本銀行『物価、資金循環、短観、国際収支、BIS関連統計データの一括ダウンロード』サイトデータをもとに著者作成)

もっとも、もともと邦銀の対露融資残高は、日本の対外与信残高全体に対し、大した金額ではありませんでした。

ウクライナ戦争が勃発する直前だと、邦銀のロシアに対する与信総額は、2022年12月末時点で98億ドルであり、これはその時点の対外与信総額(4兆9,064億ドル)に対し0.20%でしたので、その0.20%が現在は0.13%に減っているからといっても、あまり大きなインパクトではありません。

ちなみに3大メガバンクなどは、すでに昨年3月末決算の時点で、対露与信の多くを償却引当済みです(『3メガバンク、対ロシア貸倒引当計上にも関わらず増益』等参照)。

これに加えて、JETROが公表している『直接投資統計』によれば、2021年12月末時点の日本の対外直接投資残高は1兆9872億ドルですが、ロシアへの投資額は36億ドル程度で、対外直接投資全体の0.18%。ロシアから日本への投資額に至っては微々たるものです。

無法国家との関係清算に向けて

日露関係の総括

以上の議論を、図表4でまとめておきましょう。

図表4 日露のヒト、モノ、カネの関係
比較項目具体的な数値割合
訪日ロシア人(2023年5月分)3,000人訪日外国人全体(1,898,900人)の0.16%
訪日ロシア人(2023年1~5月の累計)13,820人訪日外国人全体(8,638,543人)の0.16%
ロシア在住日本人(2022年10月1日時点)1,321人在外日本人全体(1,308,515人)の0.10%
日本在住ロシア人(2020年6月末時点)9,223人在留外国人全体(2,885,904人)の0.32%
対露輸出額(2023年4月分)338億円日本の輸出額全体(8兆2890億円)の0.41%
対露輸入額(2023年4月分)719億円日本の輸入額全体(8兆7212億円)の0.82%
対露貿易額(2023年4月分)1,057億円日本の貿易額全体(17兆0102億円)の0.62%
対露輸出額(2023年1~4月累計)1,528億円日本の輸出額全体(31兆3179億円)の0.49%
対露輸入額(2023年1~4月累計)4,006億円日本の輸入額全体(36兆9353億円)の1.08%
対露貿易額(2023年1~4月累計)5,534億円日本の貿易額全体(68兆2532億円)の0.81%
邦銀対露与信(最終リスクベース)(2023年3月末時点)61億ドル邦銀の対外与信総額(4兆7752億ドル)の0.13%
対露直接投資額(2021年12月末時点)36億ドル日本の対外直接投資全体(1兆9872億ドル)の0.18%
ロシアからの直接投資(2021年12月末時点)6207万ドル日本の対内直接投資全体(3518億ドル)の0.02%

(【出所】著者作成)

その意味では、現時点の日露関係は、隣国同士とは思えないほどに薄いと結論付けて良いでしょう。

くどいようですが、「ある国が日本にとって重要な国であるかどうか」については、必ず、「その相手国との間でどの程度の人的・物的・金融的なつながりがあるか」、といった「定量要因」を合わせて勘案する必要があります。

参考:「ヒト・モノ・カネ」で見る日朝関係

日露関係がロシアによるウクライナ侵攻によりますます薄まっているという事情もあるのかもしれませんが、考えてみれば、現在の日露関係は、日朝関係(図表5)のようになりつつあるのかもしれません。

図表5 日朝のヒト、モノ、カネの関係
比較項目具体的な数値割合
訪日北朝鮮人(2023年5月分)不明訪日外国人全体(1,898,900人)の?%
訪日北朝鮮人(2023年1~5月の累計)不明訪日外国人全体(8,638,543人)の?%
北朝鮮在住日本人(2022年10月1日時点)不明在外日本人全体(1,308,515人)の?%
日本在住「朝鮮」人(2020年6月末時点)27,695人在留外国人全体(2,885,904人)の0.96%
対朝輸出額(2023年4月分)0円日本の輸出額全体(8兆2890億円)の0.00%
対朝輸入額(2023年4月分)0円日本の輸入額全体(8兆7212億円)の0.00%
対朝貿易額(2023年4月分)0円日本の貿易額全体(17兆0102億円)の0.00%
対朝輸出額(2023年1~4月累計)0円日本の輸出額全体(31兆3179億円)の0.00%
対朝輸入額(2023年1~4月累計)0円日本の輸入額全体(36兆9353億円)の0.00%
対朝貿易額(2023年1~4月累計)0円日本の貿易額全体(68兆2532億円)の0.00%
邦銀対朝与信(最終リスクベース)(2023年3月末時点)0ドル邦銀の対外与信総額(4兆7752億ドル)の0.00%
対朝直接投資額(2021年12月末時点)不明日本の対外直接投資全体(1兆9872億ドル)の?%
北朝鮮からの直接投資(2021年12月末時点)不明日本の対内直接投資全体(3518億ドル)の?%

(【出所】著者作成)

日本の近隣には4つの無法国家(いわゆる「赤クアッド」)がある一方で、正直、現在の日本は米国、豪州、インド(いわゆる「クアッド」)に加え、欧州、英国、台湾、カナダといった友好国との関係を順調に深めつつあります。

もちろん、無法国家である中国など2ヵ国との経済的関係が依然として深いことは日本にとっての重要な課題ではありますが、これについては中・長期的に日本との関係がより深まっていくのか、もしくは薄れていくのかについては、注目する価値がある論点のひとつといえるでしょう。

いずれにせよ、無法国家として知られる日本の近隣4ヵ国のうち、2ヵ国(ロシア、北朝鮮)の場合は、「ヒト、モノ、カネ」のすべての面において、日本との関係が非常に薄いということについては、改めて認識しておく価値はあるでしょう。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. クロワッサン より:

    ロシアへのイメージとしては、中古日本車を大量に買っていく国というイメージがあるのですが、中古自動車の輸出台数だとUAEと一位を争ってるようで。

    2022年に日本から輸出された中古車の台数 – まとめ
    https://jumv.net/basic_knowledge_usedcar_export/export_statistics/statistics?country=&shape=0&year_from=2022&month_from=

    コロナ前はニュージーランドより下だったりして、最近になってからのイメージとなるんですね。

  2. めがねのおやじ より:

    ロシアに対しての日本人の関係は一貫して「疎遠」「不気味」「宜しくない感情」「狡猾」「悪い意味での因縁」「傲慢」「親しくない」「不信」「暴力的」「理不尽な振る舞い」「欧州人としては垢抜けない」「資源を保有するのみ」・・・だと個人的には思います。

    月間の訪日者が3,000人。そんなもんです。日本海を介して両岸なのに、な〜んの付き合いも無い。漁船は日本のEEZ内でも拿捕する。潜水艦、爆撃機、戦闘機、偵察機は何の事前連絡も無しに領土侵犯を犯す。

    更に、、、絶対に忘れてはならないのが、ポツダム宣言受諾後の北滿地域、樺太、千島列島への侵入、虐殺、領土を奪われ本土へ既に帰国した者を含めて、シベリア収容にした事です。因みに、1年とか2年とかで解放され、比較的早く帰国出来た捕虜は洗脳教育を受けて、ソ連のスパイ、日本共産党員になって蠢いた国賊が多いそうです。

    さて、そんな国と友好が結ばれるのか?無理ですね。ワグネルの武装蜂起は停止し、プリゴジン氏はベラルーシへと言われてますが、また元に戻るのでしょうか。残念です。

    1. 匿名 より:

      その売国奴の代表格が、
      元日本陸軍参謀の瀬島龍三です
      山崎豊子の不毛地帯のモデルになった人物で、
      戦後復興を陰で支えた、などと言われてますがとんでもない、
      現役の時から情報をソ連にながし
      何人もの同胞を犠牲にして
      抑留中はシベリア天皇と呼ばれ
      戦後は多数の日本企業に顧問として招かれ
      企業の開発した技術を中国ソ連に売り渡していた、
      大戦末期の台湾沖航空戦、終戦直後の日本へのソ連侵攻、
      現地からの報告を全て握り潰し
      約60万人の日本人が犠牲になったと言われています。

      1. めがねのおやじ より:

        匿名様

        山崎豊子氏ほど在命中と死後に評価が著しく変わった作家も少ないでしょう。瀬島氏や日本航空の「海外出張所たらい回しの労組幹部」で「御巣鷹山のJAL側お客様担当部長」を扱った「沈まぬ太陽」てしたか?で、美談風に主人公を描いてますが、現在ではいろんな評価がされてますね。山崎豊子氏自身も「盗作疑惑」の疑いをかけられたのが複数回あります。

        瀬島龍三氏は伊藤忠商事でしたか?もう、うろ覚えなんですが、陸士から陸大出、それも「恩賜銀時計組」の超エリートですね。職業軍人とは言え、ほとんど実戦部隊では無く、参謀として活動してますよ。駒を動かすように、部隊を転戦させていたんでしょう。

        シベリア抑留後は伊藤忠商事で、理事、専務、社長、確か会長にまでなってます。大阪の糸ヘン商社を日本の代表的商社に仕上げたと言われてますが、さあ、どうなんでしょうか。いろんなコネクションを持ってたから、上手く指揮出来たのではないでしょうか。

        1. 匿名 より:

          瀬島龍三は上官の意図を忖度し、上官が喜ぶ報告文書を書くのが非常に上手かったらしい。彼にかかると敗北も大戦果に、長文の報告も原稿用紙1枚に簡潔にまとめたり、意のままだったらしい。だから特に大元帥天皇に失敗の言い訳や嘘っぱちの報告をするには、この人に報告文を書かせ、同伴させたりと、とても重宝されたらしい。参謀本部きっての秀才と呼ばれていたが、別名、参謀本部の茶坊主とも・・。野次馬の尾ひれがついて、虚実入り混じり、なにも本当のことは分からないが、ただ一つ、伊藤忠商事で彼の部下が、後日、「(瀬島さんに接したら)日本がなぜ負けたのかよくわかった。」と皮肉をいったらしいことが、私にはすごく印象的です。
          この瀬島と言う人、参謀時代にすばらしい作戦を立案したなんて話は聞かないし、戦後、財界で、具体的に何か大きな役目を果たしたみたいな話も聞かない。多分、参謀や実業家としての才能は無かった人なのだと思う。でも詐欺師的な才能がプンプン匂う人です。こういう奇妙な斜め上の才能を持った人、世の中にはいますよね。詐欺師は、世の中、物事はそんなにうまくは運ばない、なんてこと、裏では誰よりも冷静に考えることができる人です。その一方で、相手が、本当は何が欲しいのか、何を望んでいるのか、どういう感情を抱いているのか、恐ろしいほど的確に見抜く才能を持っている人だと思う。この瀬島さん、戦後、商社に潜り込んだのも面白いですね。なんか、この瀬島さんとか、許永中とか伊藤 寿永光とか、詐欺師と商社って、懲りない面々というか、親和性を感じますよね。

  3. よし より:

    南サハリン、北方4島は強奪しましたが、ロシアは奪った得より日本と良好な関係気付けなかった損の方が遥かに大きいと思います。どうでもいいけど。

  4. カズ より:

    >無法国家として知られる日本の近隣4ヵ国

    彼らは、ユーロ圏をモデルに「中露圏」を形成すればいい。
    日本の安保は、日米韓ではなく「日米間」での対峙が正解。

    ・・なんだと思います。

  5. sqsq より:

    キューバ危機を描いた映画「13デイズ」のなかで、ロシア人は力以外信じないというセリフが出てきた。たしか在ソ連アメリカ大使の言葉だった。
    一度だけロシアを観光したことがある。ロシア人ガイドに聞くとゴルバチョフは歴代指導者の中でも全く人気がないそうだ。ロシア人はああいう妥協するようなタイプは嫌いなのだろう。
    ロシアはこれから国力を落としていくだろう。中国が助ける? 中国は実利を狙っているだけだと思う。ロシアが落ちるところまで落ちれば北方領土は返って来るかも。

  6. はにわファクトリー より:

    街頭インタビューで優れた功績を上げている Danill くんの 1420 Russia に新しい Youtube 投稿が出ています。

  7. トトちん より:

    以前にも投函した事がありますが、私のお爺さんお婆さん叔父叔母は終戦の日8月15日に引き上げ途中朝鮮半島の駅でソ連の戦闘機に貨車ごと攻撃され死にました。一人叔母が大変な怪我を負い生き延びましたが、四年前に天命を貫きました。父は兵隊に取られてソ連の戦車に突っ込む前日に終戦を迎え命だけはありました。まだ日本人の中には身内がソ連に殺された人が沢山います。忘れはしません。

  8. 匿名 より:

    中国人や韓国人と違って、外見ですぐに外国人だと判ってしまうから、工作員が日本社会に潜伏したり、浸透したりするのが難しかったというのもあるんじゃないかと思う。

  9. 匿名 より:

    韓国についても言える事だけど、海に隔てられてる国を
    隣国と呼ぶのは正しいのだろうか?
    国道の反対側にある家をお隣さんとは言わんだろ。

  10. ねこ大好き より:

    付き合う国は距離が近いというのではなく、価値観や利害が一致するかどうかで選ぶのが当然。付き合うが為に不利益や不快感を得るのは間違い。こんな単純な事が出来ない日本は自虐国。

  11. 匿名 より:

    >よく、世の中には「A国との関係は日本にとってとても大切だ、なぜならば…」、などとしたり顔で主張する人もいるのですが、

    語学の好きな私は、社会人になりたての頃、会社で、千野栄一さんの「外国語上達法」に触発され、その中の、たしか「ロシア語はこれから日本にとってますます大切になる国の言葉」みたいな趣旨のことを、朝礼のスピーチで話しました。意気揚々としていた私ですが、後日、部長に呼び出され、ソ連が日本にとって何が大切なのか、具体的に述べよと問い詰められました。私は結局、つまりは隣国の言葉は大切だから・・などというトーンダウンした理由を述べるに留まらざるを得ませんでした。そして、当の部長からは、何も考えず、本の受け売りみたいなことを、ああいう場で話すな!・・と、こっぴどく叱られました。私の学生気分が吹っ飛んだ瞬間でした。

  12. オタク歴40年の会社員です、よろしくお願いいたします より:

    確かにソ連時代から現在までの日本とロシアの関係は希薄ですが、
    それ以前の帝政ロシア時代
    日露戦争中と戦後、
    捕虜にした多数のロシア兵士達が日本に移送され
    各地の捕虜収容時に収監されました、
    直後にロシア革命が起こり処罰を恐れて帰国せずに日本に残ったロシア兵がかなりいました、
    そのロシア文化が日本にもわずかながら定着して
    神戸にも揚げパンに詰めたピロシキなどは普通に見かけます、
    後には
    第一次大戦で捕虜になったドイツ兵士も日本に残り、
    バウムクーヘンやウインナー、ワインなど、
    ドイツ文化を日本に広めていますね、
    私が子どもの頃よくみたCM
    パルナスなどもその影響かな?。

  13. とおる より:

    ある国との関係が自国にとって重要かどうか考える場合、二国間の関係だけで推し量れるものでもなく、第三国の存在が要素として影響してくるのが複雑なところですね。

    例えば日露戦争後、満州における鉄道経営の国際化、ひいては満州の中立化に意欲を見せる米英らに対して、南満州鉄道と東清鉄道のように満州に権益をもつ日露両国はともに警戒感を抱き、結果として四度にわたって協約を締結するなど、日露関係はかえって密接なものとなりました。
    特に第四次日露協約は、米英のみならず、中国の反帝国主義運動の高まりからくる権益回収への警戒感から、ほぼ軍事同盟と言っていい内容にまで押し上げられています。

    あるいは第二次世界大戦の頃には、独ソ開戦で頓挫したものの、防共協定において仮想敵であったはずのソ連を日独伊の軍事同盟に加える構想が持ち上がっていましたし、連合国側でも、独ソ開戦を機にフィンランド侵攻等について非難していた態度を一変させ、ソ連の取り込みに向かうことになります。

    上の二つの例で言えば、露との接近を図ったことは果たして適切だったのか、そもそも独伊との接近を図ったことが間違いだったのではないか、などなどツッコミどころはありそうですが、かつての敵やイデオロギー的に相容れない相手だろうと、場合によってはその関係を密にする必要が出てくるというのは確かでしょうね。

    個人的には、現代国際法秩序が崩壊して無差別戦争観の時代に回帰するような事態は御免なので、今回ロシアには負けてもらって、関係を密にする機会があるとすればその後にお願いしたいところですが。

  14. サムライアベンジャー(「匿名」というHNは、在日コリアンの通名と同じ恥ずべき行為) より:

     具体的な数字で見ると、お寒い限りですね。大量に国民を殺した共産主義という旧ソ連、、大戦中の条約破り、日本人シベリア抑留、北方領土・・・近年にみるウクライナへの侵攻、話が通じない困ったチャン国家というイメージがどうしても強いロシア。

     ほかの皆さんがここでおっしゃっている通り、シベリア抑留、北方領土、プーチンさんなどに見られるリーダー・・・どうも「残虐」というイメージが強くてつい避けがち。

     一方で個人的に、ようつべとかで日本語で情報発信しているロシア人をたくさん見かけます。ロシアは100種類以上の民族を抱える多民族国家。ビデオにほかの国の人を連れてきて紹介する動画をたくさん見ます。どうしてもウクライナ侵攻に見られるように「残酷な国」というイメージがついて回りますが、ようつべなどでロシア人個人個人を見る限りは、他国や異民族に寛容で「知的な人」が多い印象です。

     友好国でありながら個人的に冷たい目で見ているのは「アメリカ人」です。3億人もいる国で日本と友好国であり、日本はアメリカに付き従っています。その割に、日本に関心を持ってくれる人が少ないと思います。3億人もいる国であることを忘れてはいけません。マイケル・ヨンさん、テキサス親父ことトニーマラーノさん、近年保守系の雑誌に日本擁護の記事を載せてくれているケント・ギルバートさん。こうした「良い」アメリカ人がたくさんいることも事実ですが、アメリカ人てどこまで行ってもアメリカ人なんです。アメリカ人であることを変えようとしない。

     それに比べると、ようつべで見るロシア人を見る限りは日本人の心情や日本文化にちゃんと興味を持っていて、アメリカ人と比べるとロシア人とのほうが「仲良くなれそう」な気がしてなりません。

     軍事ネタを中心に日本で出版物を出している元・アメリカ海兵隊のマックス・フォン・シュラー氏も、「日本はアメリカから離れた外交を模索してもいいのでは。例えば、ロシアとはアメリカとは別に友好の道を模索すべき。アメリよりよっぽど話が通じる」とおっしゃっていました。
     マックスさんは元軍人であり、子供のころから軍事について自分で勉強してきたといいます。そのマックスさんがロシアの困ったチャンぶりを知らないとは思えません。

     ロシアによるウクライナ侵攻など目が離せないのも事実ですが、私たちの知る情報って「何らかのフィルター」を通してみている可能性があります。例えば日本人の中国観って、どこか「アメリカがみる中国観」が入っている気がします(と、マックスさんもそんなことをおっしゃっていたような)。韓国との関係も、日本人の心情とは別に、アメリカの事情でつきあわされています。

     ロシアってそんな見るところが少なくて、アメリカってそんなに素敵ですかね。中国4千年の歴史?韓流が何で日本にあんなに大量に入ってきているのでしょうか。見方を変えれば、見えてくる風景も違うでしょう。

    1. 匿名 より:

      >ロシアってそんな見るところが少なくて、アメリカってそんなに素敵ですかね。中国4千年の歴史?韓流が何で日本にあんなに大量に入ってきているのでしょうか。見方を変えれば、見えてくる風景も違うでしょう。

      まるで星座を見るような話ですね。星座は見たいものが見える。ロシア人だっていい人がいるはず。だからYoutubeでロシア人の動画を見る。ほら、いい人が多いじゃないか。゛多い” の根拠は?そもそもロシア人が自身の悪行をYoutubeに上げますかね。このような話をいくら積み上げても意味が無いと思うのですが・・。

      逆に、日本にとってロシアの悪行は枚挙にいとまがありません。こちらの方も公平に上げた上で論じるべきです。

  15. 匿名 より:

    2022年のLNG輸入量の9.5パーセントがロシア産。民生・産業用エネルギー、火力発電用燃料として使用され、発電用は日本の総発電量の約3パーセントに相当し、ロシアからの供給が途絶すれば我が国の電力・ガスの安定供給に重大な影響が出る。好むと好まざるとにかかわらず現状ロシアとの関係はエネルギー安全保障上重要。モノ~ロシアから何を輸入しているのかを見ればだ誰でも分かる。

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