香港とスイスの明暗を分けるもの

先週木曜日、日本が3連休に入る直前、財務省が唐突に為替介入を実施しました。これについては巨額の含み益を実現させたという経済効果があったのですが、この点を脇に置けば、そもそも論として「為替介入自体、有効なものなのか」という疑問があります。そこで、本稿では改めて「香港とスイスの違い」などを含め、為替介入や金融政策などについて、広く考えてみたいと思います。

為替介入

年初来の下落率では日本円は24%に!

先日の『BIS統計で確認する世界通貨安:本質は「ドル不足」』では、国際決済銀行(BIS)の統計データをもとに、同統計データに収録されている60通貨についての年初来の対米ドル相場を一覧にしたものを、試験的に作成してみました。

大急ぎで作ったので、一部の通貨(たとえばアルゼンチンペソなど)についてはランク表から漏れてしまっている、などの欠点もありましたが、結論からいえば、大変有益な図表ができたと自負しています(このランク表についてはもう少し手直しをしたうえで、最新データが公表され次第アップデートしたいと考えています)。

これによると9月19日までの下落率のトップはスリランカの通貨・ルピーで下落率は約80%、トルコリラが約36%でこれに続き、以下、ウクライナの通貨・フリブニャ(約34%)、ハンガリーの通貨・フォリント(約25%)ときて、日本円(約24%)などがランクに入ってきます。

しかも、この「24%の下落率」は、先週、米FRBがFOMCでFF金利を75ベーシス・ポイント(≒0.75%ポイント)引き上げると発表する直前の話でもあります。

為替介入をしたのは日銀ではなく財務省

そして、先週は日本政府が外為市場で24年ぶりの円買い介入に踏み切ったことが、世界的に話題となりました。オールドメディア的には、「『悪い円安』をやっつけるために、日銀が介入した」ことになっているのかもしれません(※なお、細かい話ですが、介入したのはあくまでも財務省であって、日銀ではありません)。

なお、これについては『ドル売り為替介入の会計的効果:日本政府に巨額の利益』でも指摘したとおり、データが存在する1991年以降の為替介入実績などから判断して、日本政府が保有する米ドルの平均取得原価は1ドル=100円前後だったと考えられます。

これを1ドル=145円で売却したのですから、仮に日本政府が100億ドル分の外貨を売却したのだとすれば、単純計算で4500億円儲かったことになります。もし1ドル=145円のレートで1000億ドル分売却くできれば、儲けは4.5兆円(!)であり、申告所得税の税収を大きく上回ります。

その意味では、現在の円安局面は、日本政府にとっては無駄に積み上げ過ぎた外貨準備を処分するちょうど良い機会でもあるのかもしれません。すなわち、「円の価値を守る」などと騙りながら、その実際の目的は外貨準備を高値で売り抜けることにある、という可能性です。

これについては巨額の国庫収入がもたらされるわけでしょうから、政府には何らかの形での「大盤振る舞い」(たとえば消費税の税率を5年間ゼロ%にする、など)を期待したいところです(※岸田文雄・現首相にそれができる可能性は限りなく低いですが…)。

マンデルフレミングで予言する「英国の拡張財政は失敗する」

もっとも、BISデータで見て、大きく下落している通貨は、日本円だけではありません。主要国通貨でいえばスウェーデンクローナ(約19%)や英ポンド(約19%)なども大きく下落しています。

しかも、個人的に気になるのはイングランド銀行(BOE)が金融引締めに踏み切るなかで、政府が財政拡張に動いている英国の事例でしょう。

俗に「マンデル=フレミング理論」と呼ばれる考え方に基づけば、通貨供給量が減るなかで政府が拡張財政に踏み切れば、民需の圧迫(クラウディング・アウト)、通貨高を通じた輸出の抑制などを通じ、財政政策の効果が打ち消されるはずです。

実際、2008年の世界的金融危機(日本語でいう「リーマン・ショック」)の際には、日本政府も麻生太郎総理らのイニシアティブで、拡張的な財政政策に舵を切りました。しかし、白川方明総裁(当時)が率いる日本銀行が非協力的で、結局、財政政策は国内金利を押し上げ、円高をもたらして終わりました。

もし当時の日銀が白川体制ではなく黒田体制だったならば、リーマン・ショックであそこまで経済が落ち込むことはなかったでしょうし、もしかしたら2009年8月の政権交代も発生していなかったかもしれません(歴史に「IFはありませんが…」)。

いずれにせよ、経済学(とくにマンデル=フレミング理論)が正しければ、これから年末にかけて英ポンドはドルに対して上昇する(あるいは他通貨と比べて下落率が低くなる)可能性がある、と評価することもできるかもしれません。

その意味では、英ポンドと日本円、あるいは英ポンドとユーロの比較は、「金融評論家」としては大変に興味深い論点のひとつといえるのです。

香港vsスイス…明暗を分けたもの

香港はなぜドルペッグができているのか

さて、とても当たり前のことをもうひとつ指摘しておくならば、経済学の世界では「国際収支のトリレンマ」と呼ばれる「命題」、あるいは「誰も絶対に逆らうことができない絶対的な掟(おきて)」のようなものがある、という事実です。

これは「資本移動の自由」、「金融政策の独立」、「為替相場の安定」の3つの政策目標を「すべて同時に達成すること」が絶対に不可能である、という、経済学の世界における有名な鉄則です。おそらくあのスイスを含め、誰もこの鉄則に歯向かうことはできません。

この点、現在の日本のような「開放経済」の先進国の場合、「資本移動の自由」、つまり「誰でも好きなときに、国境を越えておカネを動かせる」という原則は、絶対に捨てることができないものです。ここに制限を加えれば為替相場を安定させることができますが、そうすれば現在のロシアのようになってしまうかもしれません。

また、「金融政策の独立」、つまり「外国の金融政策と無関係に、国内の金融政策を決定すること」は、日本のような大国だと必須です。現在のように「米国は利上げをしているが日本は利上げをしない」という状況も、結局は日本の金融政策が米国のそれと独立しているからこそ可能なのです。

よって、「為替相場の安定」という政策目標については、日本は最初から捨てている、というわけです。

もちろん、先週の為替介入のように、通貨当局が「行き過ぎた為替変動には当局が介入するぞ」というメッセージを出すことはあるのですが、逆に言えば、日本の場合、為替介入にはこうしたメッセージが含まれていることが多く、そして、非常に限定された状況でしか行われません。

これが香港のように、1米ドル=7.75~7.85香港ドルで為替相場を事実上固定(ペッグ)している通貨の場合、金融政策は香港の経済の状況を無視し、基本的には米国に追随するように決定されます。また、それでもレンジを外れそうになれば、香港金融管理局(HKMA)は為替介入を実施しています。

トリレンマに正面から逆らったのがスイス

このように考えていくと、日本は香港と異なり、金融政策の独立を得ているわけですから、為替相場の安定という政策目標については、基本的には諦めなければなりません。

ちなみにこのトリレンマに反し、「①資本移動の自由」、「②金融政策の独立」を採用していた国が、「③為替相場の安定」を宣言して盛大に失敗したという事例が、スイスでしょう。しかも、さして昔のことではありません。

2011年9月、スイス国民銀行(SNB)は通貨高の圧力に対し、1ユーロ=1.20フランのラインを「死守する」などと発表。頻繁な為替介入を繰り返し、同年末には外貨準備がGDPの70%を超え、また、アジア時間をカバーするために香港に支店を開設するなどしていました。

ところが、2015年1月15日午前10時30分、スイスは唐突に為替目標の放棄を発表。次の瞬間、スイスフラン買い・ユーロ売りが殺到するなどし、スイスフランは一時、1ユーロ=1.20フランから0.85フラン(=85サンチーム)にまで暴騰したのです(いわゆるスイスショック)。

その結果、スイスは輸出産業や観光業を中心に経済全体に非常に大きな影響が生じ、2015年の実質経済成長率が0.8%にまで落ち込むなどの後遺症に苦しみました。これなども、「トリレンマ」を無視して3つの目標のすべてを達成しようとしたことの無理がたたったものだったと断じざるを得ません。

ちなみに昨今のユーロ安の流れを受けて、現時点でユーロとフランの相場(EURCHF)は1ユーロ=0.9510フラン前後です。またぞろフラン高傾向にあるのですが、スイス当局としては無駄に積み上げてしまった1兆ドル前後の外貨準備に頭を抱えているようです。

香港モデルは為替政策の究極形

いずれにせよ、現代国際社会では金本位制などではなく、管理通貨制度を採用しているのですが、もしも米ドルに対する為替変動を完全になくしたければ、究極的には香港モデルが最も優れているのかもしれません。

ちなみにHKMAが現在の1ドル=7.8香港ドルという「カレンシーボード制」を導入したのは1983年以来のことであり、もうすぐ40年が経過します(※7.75~7.85香港ドルという「レンジ」に変更されたのは2005年のこと)。

また、アジア通貨危機のときにも香港は通貨防衛に成功し、変動相場制に移行しませんでしたが、これには香港ドルの仕組み上、香港ドルを売って米ドルを買えば、香港ドルの供給量が減り、金利が自動的に上昇し、香港ドルの売りポジションが高金利負担に耐えられなくなる、という仕組みもあったようです。

そもそも論として、香港ドルには米ドルの裏付けが必要です。香港ドルを発行しているのはHSBC(香港上海匯豐銀行)、スタンダード・チャータード(香港渣打銀行)、中國銀行香港分行の3社で、これらは1米ドル紙幣をHKMAに預けることで7.8香港ドルを発行することができるのです。

したがって、香港ドルでショート・セル(借りて来て売る行為)をしようとすれば、自動的に香港ドルが消滅して米ドルに替わってしまうため、大々的にショート・セルをすれば、香港ドルの市場供給量が減って金利が急騰してしまいます(アジア通貨危機時には翌日物金利が20%にまで上がったそうです)。

このため、ショート・セルを続けることが金利負担的に不可能となり、結果的に香港ドルを売り浴びせる戦略は失敗に終わる、ということです。

いわば、「金本位制」ならぬ「米ドル本位制」のようなものであり、管理通貨制度を採用するスイスが生半可に香港を真似ようとしても、それは無理な相談、というものだったのでしょう。

日本経済復活論

「良い円安」論:円安で日本経済は復活する!

さて、日本の話題に戻ると、当ウェブサイトとしては、円安は日本経済にとって非常に好ましい影響を与えると考えています。

日本の場合、外国から安い資源などを買ってきて、それを国内で高付加価値品にしたうえで外国に輸出する、という、典型的な「付加価値貿易」国でもあります。資源価格が多少値上がりしたところで、国内での付加価値の割合が大きければ、外国に売却するときの円安効果が大きく出てくるのです。

その結果、なにが生じるか――。

たとえば日本製品が外国で飛ぶように売れるようになりますし(=輸出競争力の向上)、外国製品の日本国内での価格が上昇し、日本国内でも安価な国産品が売れるようになります(=輸入代替効果)。

アイリスオーヤマが一部の製造拠点を国内回帰へ=報道』などでも取り上げたとおり、すでに一部の企業は中国など外国の製造拠点を整理し、少しずつ日本国内に製造拠点を戻す動きに出ています。

もちろん、日本国内で電力供給が不安定であるという事情もあるため、製造業の日本回帰がすんなり進むとは限りません(これも原発の稼働停止、「再生可能エネルギー固定買取制度」を定めた「FIT法」など、民主党政権の莫大な負の遺産のおかげでしょう)。

しかし、政府は現在、原発の再稼働に加え、次世代型原発の新増設にも前向きであることから、電力不足の問題自体は今後、徐々に解消していくことを期待したいと思います(欲を言えば、FIT法の改廃に向けた議論も加速してほしいとは思いますが…)。

これに加えて来月からは外国人観光客の受入も始まるそうですし、折からの円安という要因も手伝い、観光産業においてはこれから大いに潤うことが期待できます(もっとも、『「数値ありき」での外国人観光客数目標設定に反対する』でも述べたとおり、個人的には「数値ありき」のインバウンド目標設定には反対ですが…)。

そして、こうした議論が単なる机上の空論ではないことは、『これぞ円安の恩恵?全産業の経常利益が過去最大を記録』でも紹介したとおり、現実にも日本企業の四半期経常利益が過去最高に達しているという事実からも裏付が取れています。

よく新聞、テレビなどのオールドメディアが「悪い円安論」というものを一生懸命に展開してみせているのですが、正直、これらの「悪い円安論」を唱えている人たちの多くは単純な勉強不足、あるいは特定の省庁の利害を代弁しているだけのようにも見受けられます。

当ウェブサイトで指摘してきた「良い円安論」が正しいのかどうかが判明するまでに、さほど多くの時間は必要ないと考えている次第です。

「ポスト黒田」に注目が必要な理由

もっとも、著者自身の私見ですが、為替相場については長い目で見れば「通貨供給量」の差で説明がつくと考えています。

米FRBがマネーの量を減らそうとしているなかで、日銀が緩和政策やイールドカーブ・コントロール政策を続けていれば、日米の通貨供給量のバランスからすれば、これから当面、円安基調が続くであろうことは、容易に想像がつく点です。

しかし、オールドメディアが「悪い円安論」を一生懸命に煽ることで、日銀にとっても現在の緩和政策を維持するのが難しい、という状況が生じる可能性はあります。とくに、黒田東彦・日銀総裁が、遅くとも来年4月には任期切れを迎えるなか、黒田氏が続投するのか、降板するのかは、市場の大きな関心事です。

黒田氏が退任するにしても、後任の日銀総裁が引き続き「リフレ派」であれば良いのですが、もしも「デフレ派」が次期総裁に就任してしまうと、せっかくの「円安・低金利」という流れに水が差され、日本は再び不況、デフレ、失業者急増といった状況に陥ってしまうかもしれません。

その意味では、現在の日本経済にとっての「敵」は、「悪い円安論」そのものであり、この「悪い円安論」を積極的に広めようとしているオールドメディアであり、そして「悪い円安論」の「黒幕」(?)なのではないかと思う次第です。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. ななし より:

    白川さんはかなりアレでインフレを恐れて何もしなかったのですけど、イギリスの場合はわざとクラウディングアウトを起こしてポンド高に誘導してるというのは深読みでしょうか。
    さすがにポンドの下落率が高すぎるし、現在は日本ほど機械や自動車の輸出志向型産業中心というわけでもなく、ポンド安の恩恵は限定的ですし。

  2. 古いほうの愛読者 より:

    為替の要因は,貿易3割,金融(投資・投機)7割,と思っているので,金利差に伴う日本の機関投資家の行動以外に,今後,為替相場に大きな影響を与えそうな金融要因を3つ書いておきます。
    1. 海外ヘッジファンドの日本国債空売りの買い戻し(円高要因)。
    先週末の日本国債10年ものの金利が下落(債券価格上昇)の方向に触れたのが,少し気になっています。2. アメリカ株式下落に伴い,信用買い残を抱えていた投資家が,保証金不足のため海外資産を引き上げる(ドル高・株安要因)。
    3. 一部の海外証券会社が,一部の日本株に大量の空売りを積み増しているが,ある時点で相場をストンと落として利益を確定する(円高,株安要因)。
    短期的には上記の影響が大きいと思いますが,為替介入があってもなくても,半年もすれば貿易要因も効いてきて,円高ドル安方向が確定すると思います。

    P.S. 個人的予想では,ダウの下落傾向は今後7年くらい続くと思います。その間は世界不況でしょうし,中国の不動産バブルの精算機関でもあると思います。日本も不景気でしょうが,バブルの山が低かったので,アメリカやEU(+イギリス)程ひとい状態にはならないと思います。

  3. sqsq より:

    9月13日の日経に円安は「時間差伴いプラス効果拡大」という記事(本多祐三、大阪学院大学教授)がでていた。
    「日本経済を成長軌道に乗せる好機」だそうです。

  4. カズ より:

    アジア諸国に対しての貿易決済のように円建決済比率を高め、究極的には半ドル・半円での両建てとすれば、市場動向はどうであれ実質的に経済が傷むことはないようにも思えるのですがどうなのでしょうね。

    介入で手にした差益は、喫緊にはエネルギーコストの補填、長期的には雇用対策・子育て支援(世帯に子供が1人よりも2人の方が楽に暮らせる社会づくり)など、社会への有効な還元を望みます。

    間違っても国債償還原資としての国庫入れなんてことの無きように・・。
    財務省の騙る”国の借金論”にしても、黒田体制で日銀勘定の借方に積みあがった国債残は差引いて論ずるべきものなのだし・・。

    *差引けば例の ”ワニの口” はどうなってるんでしょうね。

  5. 引っ掛かったオタク より:

    “オールドメディア” の陰には日本経済を伸ばしたくない主に北東アジア圏民の意思やら省益の為に徴税権益の維持拡張強化を謀り税源を単純化したくない財務省の省意が…在るんですかね

  6. 元日本共産党員名無し より:

    チャイナの特権層による日本の不動産の買い占めなどがたまにニュースになっておりますが実態はどうなのでしょう?理屈だけならこの懸念はあるはずです。同様に円安は日本企業の「お手頃感」が増す訳で。強い分野を持って居る日本の零細企業が買収されてしまうなどと言う懸念はないのでしょうか?尤も、不動産と違い、「強い分野を持って」居るならその企業業績も好調になるはずではあるのですが、それを上回って「値ごろ」になるのか?と言う事なんですけれども。
    また、岸田政権は今回非課税世帯に対して給付金を配る事を決めました。幾ら経済好況と言っても所得が上がらない層にはなかなかその恩恵は渡りませんのでその対処はある程度必要なのかも知れません。それこそこの部分に消費税減税や期限を切った消費税停止が良いのかも知れません。
    ウクライナ戦争や中共の動向を見るなら原発再稼働は止むなし。新規の高効率な炉による石炭火力発電の整備も必要でしょうね。また古い原発は最新型の炉にこちらもある程度更新しないといけない。航空機によるテロだけでなくウクライナ戦争に見られるように原発への無分別な攻撃まで現実化した中では、当面原発の再稼働するにせよ、石炭火力発電にシフトしても良いかも知れません。特に中共が無茶苦茶焚きまくった石炭がもしかして中共滅亡まで恒久的に禁輸となるのなら豪州産の石炭は少し安くなるのでは無いか?

    1. 匿名 より:

      豪州への報復措置でインドネシア産石炭にスイッチした中国は必要量を確保できず慢性的な石炭不足に見舞われていて、そこに欧州がロシア産からの代替でインドネシア、豪州に触手を伸ばしているので、天然ガス同様争奪戦が始まるでしょう。
      中国がクアッド切り崩しも兼ねて一気に豪州産石炭、資源、農産物・食料などの輸入再開に走る可能性は小さくない、背に腹は代えられないので。日本の一般炭輸入量は、インドネシアとロシア産が各1割、豪州産が7割なので量的にも価格的にも日本への影響が不可避。

  7. より:

    白川前総裁と言えば、リーマンショックを受けて米欧がジャブジャブに金融緩和に踏み切る中、ハイパーインフレを過度に恐れるあまり緊縮寄りの金融政策を続け、超円高をもたらしただけでなく、重度のデフレを引き起こす羽目になったお方だと理解しています。結果的に、「失われた10年」が「失われた30年」になってしまったのは、いくつかの要因はあるでしょうが、2008,9年頃の日銀及び白川総裁の致命的な判断ミス(*)も大きな影響があったように感じています。
    そこで昨今の状況を見ると、2009年ころとは正反対で、米欧が必死に金融引き締めに動いているのに対して、日銀はジャブジャブ政策を維持しており、よほどのことがない限り、黒田総裁の任期中はその方向性は変わりそうもありません。ゆえに、2009年ころとは反対に、円安の方向に進むのは当然と言えば当然です。短期間での過度な変動を抑えるために市場介入に踏み切るのはやむを得ませんが、円安の方向性については、日銀も財務省もある程度までは織り込み済みのはずです。

      (*)この点をかなり強調しておかないと、黒田総裁の後任がまた勘違いするかも。

    さて、円安円安と騒いでますが、市場を見る限り、確かにUSDに対しては値を下げてるものの、他の多くの主要通貨に対してはむしろ円高の方向に動いているように見えます。
    ということは、です。近いうちに海外旅行を目論むのであれば、アメリカ行きだけは避ける必要があるものの、それ以外の国に行くのであれば、それほど「円安」で悲しい思いをしなくても済むということになります。
    香港を含む中国は、少なくとも来月の党大会が終わるまで、あるいは来春の全人代が終わるまでは厳しい入境制限が続きそうですが、嬉しいことに、台湾は今月、来月と段階を踏んで、入境制限緩和の方向に動き出したようです。早ければ年末頃、あるいは旧正月明けくらいには、台湾に自由旅行で行けるようになるかもしれません。
    欧州は……特に入境制限などは無いようですが、ロシア上空を飛べないので、えらく時間がかかるようになってしまいました。以前ならば、ヘルシンキまで9時間くらいだったんですけどねぇ……

  8. ななっしー より:

    >オールドメディア的に

    円安局面で24年ぶりの市場介入 なぜこのタイミング? – NHK
    円安で24年ぶりの市場介入 海外からはどう見える? – NHK
    日銀の意地が招いた円買い介入 政策の矛盾が生んだ隙 – 日本経済新聞

    日頃円安なんとかせいと言いつつ、いざ介入したらしたで…
    ・なぜ今になって不自然だと言わんばかり
    ・まるで世界に顔向けできないかのよう
    ・財務省を持ち上げて日銀(と政府与党)をこき下ろす

    なお見出しで印象操作してるが中身はギリギリ偏向との批判をかわせるように書いてある。
    その努力をもうちょっと別の方向に使えんかなー。

  9. WindKnight.jp より:

    香港が、それを可能なのは、香港がコンパクトな都市国家であり、
    その長所も短所もよく知っているからでしょうね。

    で、スイスの人口が香港より100万多いだけなのに、びっくり。

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