クレジットカードからマクドまでロシア事業停止相次ぐ

民間企業がどんどんとロシアから離れ始めているようです。ビザ、マスターカードに続き、アメックス、JCB、ダイナースがロシアでの決済サービスを中止するとの発表ないし報道に加え、ついにマクド社やスタバ社、コカ・コーラ社などがロシアでの事業停止に踏み切っているようです。

クレジットカードブランドの停止相次ぐ

早いもので、ロシアがウクライナに軍事侵攻してから、もうすぐ2週間が経ちます。

こうしたなか、西側諸国はロシアに対し、一連の金融制裁(とくに▼一部銀行のSWIFTNetからの遮断措置、▼外貨準備の凍結措置、▼起債制限措置――など)を適用しているのですが、民間企業も徐々にロシアから距離を置く動きを強めてきました。

著者自身が把握している限りにおいては、多くの各社がロシアでの事業の一部または全部の中止などを発表しているようです。

たとえばアップルの場合、ロシアでの製品販売、アップルペイなどの決済の制限、ロシアApp Store内での検索連動型広告サービスの一時停止などの措置を講じており、マクロソフトもロシア国内での製品・サービスの提供を制限しているほか、同様の動きは任天堂、Netflix、インテルなどにも広がっているようです。

ただ、これらのなかでもとくに影響が大きいのは、決済システムからの排除でしょう。たとえば、『2つのクレジットブランドがロシアでの事業停止を発表』でも指摘した、ビザ、マスターカードという2つのクレジットブランドのロシア事業停止などは、大変に影響が大きいものです。

アメックスやJCBも続く

しかも、ロシアで事業停止を発表したブランドは、ビザ、マスターカードだけではありません。

たとえばアメックスは「ロシアにおける全事業を停止する」と発表しています。

American Express Suspends Operations in Russia and Belarus

―――2022/03/06付 AmericanExpressウェブサイトより

これにより、「グローバルに発行されたアメリカン・エクスプレスのカードはロシアの店舗やATMで使えなくなる」、「ロシアの銀行がロシア国内で発行したアメリカン・エクスプレスのカードはグローバル・ネットワークで使用できなくなる」とし、さらにベラルーシでも同様にすべての事業を停止するとしています。

これに加えて同じくクレジットカードブランドの「ダイナース」なども、ロシアでの事業を停止したようです。

さらには、遅ればせながら、日本のクレジットブランドであるJCBも8日、ロシアでのカード決済取引を停止すると発表したようです。

ロシアでの取引停止に関するお知らせ

―――2022年3月8日付 JCBグローバルサイトより

JCBによると、ロシアにおけるJCBネットワークの提供を停止することを決定し、これにより「ロシア国内で発行されたJCBカードは同国外で、ロシア国外で発行されたJCBカードは同国内で利用いただけなくなります」、と記載されています。

マクドがロシア事業を一時停止

さて、欧米の民間企業による「ロシア離れ」が続くなか、ひとつの「象徴的」な出来事があるとしたら、マクドナルドの対応でしょう。

McDonald’s, icon of post-Soviet era, to close all restaurants in Russia

―――2022/03/09 05:06 GMT+9付 ロイターより

ロイターなどの報道によると、マクド社はロシアのすべての店舗を一時的に閉店すると発表したそうであり、その数は847店舗だそうです。また、それらのなかには1990年に初めてモスクワで開店した店舗も含まれている、としています。

一方、マクド社のウェブサイトによると、ロシアの全従業員に対する給与の支払いは継続する、などとしています。

McDonald’s To Temporarily Close Restaurants & Pause Operations in Russia

―――2022/03/08付 マクド社コーポレートサイトより

さらには、ロシアでの事業停止を発表したのは、マクド社以外にもあります。AFPの報道によれば、スターバックスやコカ・コーラもロシアでの事業を停止すると発表しているそうです。

米飲食大手、ロシア事業停止 マクドナルドなど3社

―――2022年3月9日 6:25付 AFPBBニュースより

ロシアの情報統制

ところで、こうした民間企業のロシア離れは、報道の分野にも及んでいるようです。

このウクライナ戦争を巡って、ロシア当局はいまだに「ウクライナ東部地域での特殊な軍事作戦」などと言い張っているようであり、また、ロシア国内のメディアもウクライナ軍がキーウやハルキウ、ヘルソンなどで爆撃を行っている事実を報じていないとの話もあります。

たとえば、BBCニューズ・ジャパンに先週掲載された次の記事によれば、ロシア政府の支配下にあるガスプロムの子会社が所有するテレビ局「NTV」が流す午前8時のモスクワの情報番組では、「ウクライナ東部のドンバス地方の話題ばかり」を伝えているのだそうです。

ウクライナ侵攻をロシアのテレビで見る まったく別の話がそこに

―――2022年3月4日付 BBC NEWS JAPANより

これに加え、ロシアでは「偽情報を広めた場合、最長で禁固15年が科せられる」とする法律が4日に成立したそうです。

これについて時事通信は、プーチン政権が「ロシア軍がウクライナの親ロシア派を守るため『特別軍事作戦』を行っている」との主張していることを受け、「『侵攻』などと報じた場合は罰せられる恐れが出てきた」としたうえで、英米メディアなどがロシアでの活動を一時停止すると述べた、などとしています。

軍「偽情報」で最長禁錮15年 外国メディアも対象か―ロシア

―――2022年03月05日09時20分付 時事通信より

こうした状況は、2週間前には考えられなかったのではないでしょうか。

中露接近へ?

いずれにせよ、西側諸国がどんどんとロシアとの関係を置き始めていることは間違いないのですが、その一方で、少し気になる動きもあります。

ロイターは2日前、こんな記事を配信しています。

ロシアの銀行、中国銀聯のカード発行検討 ビザなどの利用停止で

―――2022年3月7日7:21付 ロイターより

ロイターによると、「一部の国内銀行は中国の銀聯(ユニオンペイ)の決済システム利用を検討している」のだそうです。『ロシア「非友好国リスト」は金融制裁が効いている証拠』などでも述べた、「金融制裁を契機にした中露接近」の動きが少しずつ出てきた格好です。

いずれにせよ、西側諸国の厳しい対露制裁がロシアが続くと見込まれる反面、中露接近という動きにも警戒は必要でしょう。

読者コメント一覧

  1. はにわファクトリー より:

    大手新聞社報道よりも面白いJETROビジネス短信
    2022-3-8 ルーマニアブカレスト発
    『モルドバ、EU加盟申請書に大統領署名』https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/03/24c8776e1f591ba0.html

  2. 匿名 より:

    ドイツとウクライナ、ロシアの勢力構図は日本と台湾、中国の構図とそっくりです。つまり圧倒的な軍事力と核を持つ大国が自分の領土の一部として隣国を侵攻するのに対する、大国の圧迫を受け続けるもうひとつ隣のかつての敗戦国です。
    ウクライナが風前の灯となってもNATOが直接ロシア軍と対峙できないのは、最悪のシナリオである第三次大戦へと、更には核戦争に発展する可能性が大きいからです。
    この状況下でドイツのショルツ首相は防衛費を2倍に引き上げる演説を行いました。GDPの1.4%だったのを2%以上として、徴兵制も復活させるとか、しないとかで、これまでのNATO・米国頼りだった自国防衛についてドイツの危機感は相当なものです。
    翻って、同じ構図の日本はロシアのウクライナ侵攻をまるで対岸の火事程度にしか思っていない方々が多いようです。日本には平和憲法9条があるから大丈夫だとか。もしウクライナにも日本同様に平和憲法9条のような憲法があったとしたら、ロシアは侵攻しなかったとでも言うのでしょうか。

    ウクライナ情勢を注意深く分析している中国は自分達ならこうすると、西側諸国の経済制裁を含めて今度のことで多くを学び次の作戦に生かすことでしょう。
    ドイツは今目覚めて、核を持たない国は次の餌食になるかもしれないと危機意識を高めていますが、同じ構図の日本では尻に火が付かないと動かない超穏健派の岸田内閣はどうでしょうね。

    1. 元ジェネラリスト より:

      >尻に火が付かないと動かない

      尻に火がついても気づかないと思います。
      尻を叩かれると動くこともあります。

      1. 引っ掛かったオタク@微力ながら納税者デスカラ より:

        既に茹で蛙ではなかろうかと
        メガバン三行で7000億その他あわせて一兆ほど貸し込んでいるみたいですが
        二次曲線的に急加熱されたから自己責任ちゃうねん!とかヌカシヤガッタラタダオカネエ

    2. はにわファクトリー より:

      支持率というニンジンを眼前にぶらさげてあげて、ケツを張り倒すほかないと考えます。

  3. ひろた より:

    ファストファッションでZARAとH&Mが業務停止しましたがユニクロはこんな記事書書かれてしまいました。記事に対するタイトルがイギリスっぽいです。
    Uniqlo keeps Russian shops open as clothes a ‘necessity’
    https://www.bbc.com/news/business-60660006
    後のほうにはJTも出てきます。

  4. わんわん より:

    う〜ん どうなんでしょう?
     食料品・衣料品等はネット圧力による企業イメージの低下を懸念して行っているように思えるのですが┅
     資源・素材の制裁はほとんどききませんね
    WSJ 有料記事
    https://jp.wsj.com/amp/articles/this-russian-metals-giant-might-be-too-big-to-sanction-11646625864#aoh=16467949084874&referrer=https%3A%2F%2Fwww.google.com&amp_tf=%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B9%3A%20%251%24s
    ロイター
    https://jp.mobile.reuters.com/article/amp/idJPKBN2L50D1#aoh=16467947947991&amp_ct=1646794810488&referrer=https%3A%2F%2Fwww.google.com&amp_tf=%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B9%3A%20%251%24s

  5. 一之介 より:

    こうして名だたる企業がロシアでの事業停止に進んでいる中で
    銭ゲバのユニクロは???
    久しぶりに日本人として恥ずかしと思いました。

  6. しきしま より:

    アメリカは「実験」してるんだと思います。
    「大国」にいかに経済制裁で大きなダメージを与えられるかを。
    最初は中国が標的だったんでしょうけど、以外にもロシアが軍事的暴挙を行いました。
    「予定外だったけどこれは好機」とばかりにロシア締め上げを始めたのでしょう。
    ロシアのダメージは中国への牽制にもなります。

    1. 通りすがり より:

      間もなくロシア経済がデフォルト化するとの報道もありますし、アメリカでなくとも動向に注視している西側諸国は多いでしょうね。

    2. バシラス・アンシラシスは土壌常在菌 より:

      予定外?
      ウクライナ侵攻するように誘導しているに見えるが?

  7. 匿名 より:

    「ウクライナ東部での特殊な軍事作戦」
    言い回しがまんま満州某重大事件ですなw

  8. アッキー より:

    撤退してった事業や工場などは、ロシア人従業員も多数いたことでしょうし、その技術、ノウハウを生かして国産化する良きチャンスではないなどといったら無責任でしょうか。実際、韓国では、撤退してった日本のそば事業に、そっくりそのままのものが作られたとか聞きましたけど。ロシア人は、お隣さんと違って、そういうことは、やらないのかな。

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