竹島問題を巡って、自民党内では「韓国に苦痛を与える対策」として、金融、投資、貿易など広範囲な制裁を検討し、来夏ごろまでに具体策を取りまとめるのだそうです。ただ、ことばだけ威勢が良くても困ります。現実の外為法などには、経済制裁に関する規定が十分にあるとはいえないからです。国会議員ならば、威勢の良いことばだけでなく、「具体的な法律改正」にまで言及していただきたいと思います。もし国会議員の方がいらっしゃれば、ぜひ、本稿を読んでいただきたく存じます。
目次
竹島問題を国際化するのは良いが…
韓国警察庁長による竹島不法上陸事件
いったい韓国という国は、日本との関係を修復したいのか、壊したいのか、どっちなのだろうか――。
素直にそう思ってしまった話題のひとつが、『韓国警察庁長の竹島上陸から見える現在の日韓外交関係』などでも述べた、韓国の金昌龍(きん・しょうりゅう)警察庁長が先月16日、島根県竹島に不法上陸したという事件です。
いったい韓国は、日本との関係を修復したいのか壊したいのか、どっちなのでしょうか。現在、韓国側から「韓日議連」所属議員が日本にやって来ていますが、同じタイミングで韓国の警察庁長が島根県竹島に不法上陸したのだそうです。ただ、それ以上に不思議なのは、日本が韓国側の「誰に」抗議したのかが、いまひとつ見えてこないことです。じつは、このこと自体、現在の日韓関係を象徴しているのではないでしょうか。今朝の『韓日議連来訪で見る日韓関係のさらなるダウングレード』でも取り上げたとおり、現在、韓国から「韓日議連」所... 韓国警察庁長の竹島上陸から見える現在の日韓外交関係 - 新宿会計士の政治経済評論 |
というのも、この警察庁長の竹島不法上陸のタイミングにあわせ、韓国側からは「韓日議連」に所属する国会議員らが日本を訪れていたからです。
もっとも、『韓日議連来訪で見る日韓関係のさらなるダウングレード』でも指摘したとおり、この「韓日議連ご一行さま」に対しては、日本側はもともと冷遇していました。せっかく日本にやってきているにも関わらず、日本側は岸田文雄首相や林芳正外相との会談も実現させなかったからです。
韓国から「韓日議連」のご一行が今年も訪日しています。ただ、現時点で岸田首相や林外相らとの面談予定はないらしく、滞在期間の後半には静岡県に移動してしまうのだそうです。実質的に何をしに日本にいらっしゃったのかよくわからないという気がしますが、その一方で林外相との会見録を読むと、どうも日本を含めたG7はASEANとの関係の強化を図るようであり、そちらの方がむしろ気になります。昨年の韓日議連訪日を振り返る日韓議連ご一行様の訪日から1年が経ちましたちょうど1年前、韓国の金振杓(きん・しんひょう)韓日議... 韓日議連来訪で見る日韓関係のさらなるダウングレード - 新宿会計士の政治経済評論 |
このため、「警察庁長の竹島不法上陸のために、韓日議連ご一行さまが首相や外相に会えなかった」、というわけではないのですが、いずれにせよ、ただでさえ冷え込んでいる日韓関係が、より一層冷え込んだことは間違いありません。
実際、『日韓の「意見の相違」で日米韓共同記者会見取りやめに』などでも取り上げたとおり、この竹島上陸を受け、米国・ワシントンで現地時間17日に行われた日米韓3ヵ国外務次官級協議では、予定されていた3ヵ国共同記者会見が、日本の反発によって取りやめられ、米国の単独会見に切り替えられました。
米国で17日、日米韓3ヵ国の外務事務次官級協議が開かれましたが、その後の会見が異様でした。会見場に現れたのはシャーマン氏1人だったからです。シャーマン氏は「日韓間で意見の相違はあるが、それらについては解消されつつある」などと述べたそうですが、いったい誰が信じるのでしょうか。しかも、韓国側がしきりに強調している「朝鮮戦争の終戦宣言」についても、シャーマン氏は言及を避けました。シャーマン氏「日韓両国で意見の相違がある」米ワシントンで現地時間の17日、日米韓3ヵ国の外務次官級協議が開かれました。出席し... 日韓の「意見の相違」で日米韓共同記者会見取りやめに - 新宿会計士の政治経済評論 |
個人的には、この「事件」については、日本外交にしては珍しく良い動きだったのではないかと思います。
詳しくは『日本が会見見送りで米国のメンツ潰した「本当の意味」』でも議論しましたが、日本が竹島問題の存在を米国にも強く認識させるとともに、韓国の非友好的・非合理な行動が日米韓3ヵ国連携をぶち壊していると米国にアピールすることにもつながったからです。
松野官房長官は昨日、ワシントンで日米韓の共同記者会見が見送られたのは日本政府の判断だったことを認めました。結果的に、米国に対する牽制となったのではないでしょうか。なぜなら米国は、竹島占拠をはじめとする韓国による明らかな不法行為の数々に対し、見て見ぬふりを貫いてきたからです。ついでにいえば、日本政府が現在推進しているFOIPも「クアッド」も、もしかすると、本当の効果は「違うところ」にあるのかもしれません。「6対6」じゃなく「5対6」ですよ!本文に先立って、最初に、少しだけ寄り道をしておきます。... 日本が会見見送りで米国のメンツ潰した「本当の意味」 - 新宿会計士の政治経済評論 |
日韓関係は形を変えた日米関係
実際、当ウェブサイトでも以前から述べてきたことですが、日韓関係とは、形を変えた日米関係でもあります。
米国にとって韓国とは、朝鮮戦争で数多くのアメリカ人兵士の犠牲を払い、北朝鮮から守ってやった相手国であるとともに、中国から地理的に近いという意味では、軍事的には同盟国として何かと使い勝手が良い相手国でもあります。
そして、「日米韓3ヵ国連携」も、日本、韓国の両国を同盟国とする米国が、東アジアでの米軍のオペレーションを円滑に遂行するための仕組みであり、本音では日韓両国に軍事同盟を結んでもらい、「日米韓3ヵ国同盟」にしたかったのかもしれません。
だからこそ、韓国がときどき仕掛けて来る反日的な行動に対しても、米国としては日本にだけ我慢を強いる形で、穏便に「解決」(?)させようとしてきたのでしょう。
そもそも竹島問題にしたって、問題がここまでこじれた遠因は、米国の無責任な態度にあります。
韓国が竹島を不法占拠するキッカケとなったのは、いうまでもなく、1952年1月に、当時の韓国の大統領・李承晩(り・しょうばん)が国際法の根拠なしに引いた違法な「李承晩ライン」の韓国側に、竹島が取り込まれたことにあります。
しかも、当時の日本はまだ占領下にありました。1951年9月に締結されたサンフランシスコ条約が発効したのは1952年4月のことでしたので、外交権がない日本に代わって、本来ならば米国を主体とするGHQが、韓国に対してこの李承晩ラインに抗議すべきだったのです。
また、もしも米国が日韓両国との「三角同盟」を希望するならば、韓国による竹島の占拠が国際法上、明らかに根拠を欠いていること、不法占拠状態を止めるか、それとも国際司法裁判所(ICJ)などに付託するかを、米国が「同盟国として」韓国に強く忠告し、勧奨すべきでした。
それなのに、米国は「同盟国同士の領土問題に米国としては介入しない」という無責任な姿勢を貫いてきたので、日米韓3ヵ国連携が竹島問題によって壊れたとしても、その責任は米国が甘受すべきでしょう。
このように考えていくならば、日本が共同記者会見を拒絶したのは、日本としての、韓国に対する、そして米国に対する、ごくささやかな反抗であり、竹島問題を「国際化」する一歩でもあるのです。
竹島問題の国際化と自民党の「韓国に苦痛与える対策」
いずれにせよ、この「共同記者会見拒否事件」の本質とは、竹島問題の「国際化」にあります。
つまり、日韓両国の同盟国でもある米国に対し、竹島問題の存在を強くアピールし、「竹島問題が日米韓3ヵ国連携に直接影響する」ということを強く牽制したという意味では、日本の外務省は珍しく、大変に良い仕事をしたと思う次第です。
こうしたなか、日本の側では、この竹島問題を巡って、これに続く動きが出て来ました。自民党の外交部会がこの竹島問題に対し、傘下にワーキングチームを設けて8日に初会合を開き、「韓国に苦痛を与える対策を検討すべき」と述べたのだそうです。
自民党の独島対応担当組織が初会合…「韓国に苦痛与える対策を検討すべき」
―――2021.12.09 15:58付 中央日報日本語版より
韓国メディア『中央日報』(日本語版)に昨日掲載された記事によれば、この「対韓国政策検討ワーキングチーム」の山田賢司事務局長は「韓国に苦痛を与える対応策を検討すべきだという意見があり、日本の断固たる姿勢を示すべきという認識で一致した」と述べたのだそうです。
また、外交部会の佐藤正久部会長も、「政府に(韓国への)抗議を求めるだけでなく党として韓国政策を検討するチームが必要だ」、「韓国側には、ほかにもいくつか問題があり、しっかりと政策を作っていかなければいけない」と述べたのだそうです。
佐藤正久氏に対しては、個人的には「口先ではなかなか威勢が良いことをおっしゃるが、国会議員として法の抜け穴を塞ぐという点では不十分」という評価を持っていますが、この点についてはのちほど説明することにしたいと思います。
いずれにせよ、韓国による竹島不法占拠状態が何十年も続いて来たことを思うならば、自民党の今回のこの動きは遅きに失したというきらいはあるにせよ、日本が国家主権を守るという意味では、「韓国に苦痛を与える」などを議論するのは、ごく当然のことでしょう。
韓国政府は「言及する価値なし」と述べるも…
こうした動きに対し、韓国側の反応が興味深いです。
警察トップの独島上陸で日本が制裁検討 韓国「言及する価値なし」
―――2021.12.09 17:20付 聯合ニュース日本語版より
韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)の記事によると、韓国外交部の当局者は9日、この自民党ワーキングチームが韓国に対する金融制裁などを検討していると明らかにしたことに関連し、次のようなことを発言したのだそうです。
- 独島は歴史的、地理的、国際法的に明白なわが国固有の領土だ
- 日本の政党内の独島関連の動きに対して言及する一顧の価値もない
この手の「言及する一顧の価値もない」といった表現、言い方が中国や北朝鮮とそっくりだと思うのは気のせいでしょうか。
いずれにせよ、内心で焦りを隠しきれていないようです。
ちなみにこちらの聯合ニュースでは、同ワーキングチームの初会合では「金融、投資、貿易など広範囲にわたる制裁策を検討」し、「来夏ごろまでに具体策を取りまとめる」と明らかにした、という記述もあります。
いずれにせよ、韓国に苦痛を与える広範囲な金融・投資・貿易面の制裁、威勢が良いことです。
議論がある「経済制裁」
実際、日本が経済制裁をすることはできるのか
もっとも、自民党外交部会の皆さまにはぜひ知っていただきたいのですが、たしかに日本が韓国に対する「ヒト、モノ、カネ、情報」などの流れを止めれば、韓国経済には甚大な打撃を与えることができる反面、法的には経済制裁などを発動することは非常に難しい、という側面があります。
『中国に経済制裁をするための大きな課題は「法の不備」』や『経済制裁の発動要件を緩和すべし』など、当ウェブサイトではこれまでに何度となく報告してきたのですが、日本政府が外国に対し、狭い意味での経済制裁を発動するためには、その発動要件はとても限られているのです。
そもそも基本的価値を共有しない国と関係を深めて良いのか加藤勝信官房長官が昨日の記者会見で、中国による新疆ウイグル自治区の人権侵害を巡る外為法の経済制裁を巡り、「人権問題のみを直接・明示的な理由として制裁を実施する規定はない」と述べました。これについては当ウェブサイト、あるいは拙著『韓国がなくても日本経済はまったく心配ない』でも説明した論点と重なっているのですが、せっかくの機会なので、あらためて「経済制裁と相手国との付き合い方」について考えておきましょう。加藤官房長官が経済制裁に言及加藤勝信官... 中国に経済制裁をするための大きな課題は「法の不備」 - 新宿会計士の政治経済評論 |
外為法第10条第1項を改正せよ「ヒゲの隊長」の愛称で知られる佐藤正久参議院議員は昨日、ツイッターとご自身のブログで、「韓国による竹島を巡る不法行為を許すな」、「不法行為には相当の痛みが伴う事を韓国に自覚させないと!」などと発言されました。これはこれで、たしかに正論です。ただ、「正論」ではあるのですが、佐藤氏ご自身が国会議員であるということを踏まえるなら、これではまったく不十分です。もし「相当の痛み」を相手国に与えるならば、まずは外為法の不備を修正されてはいかがでしょうか。本稿ではその具体的な改... 経済制裁の発動要件を緩和すべし - 新宿会計士の政治経済評論 |
具体的には、現在の北朝鮮のように、その国が国際社会に対し軍事的な挑発を繰り返していたり、大量破壊兵器を作って国際社会の平和と安全を脅かしたりしている、といった状況が必要です。
経済制裁を発動するためには、基本的には次の3つのどれかが必要です。
経済制裁を発動するために必要なこと
- 国連安保理がその国に対する経済制裁を決議し、日本がこれに同調すること
- 有志国連合がその国に対する経済制裁を発動し、日本がこれに同調すること
- 日本政府が外為法第10条第1項に定める閣議決定を行うこと
(【出所】著者作成)
かりに「韓国が竹島不法占拠で日本に対する挑発を繰り返している」ことを原因に、経済制裁の発動要件にしようと思えば、この3つのうち、「外為法第10条第1項の閣議決定」が最も現実的です。
第10条第1項の閣議決定で7つの経済制裁
では、外為法第10条第1項には、どう書かれているのでしょうか。
外為法第10条第1項
我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があるときは、閣議において、対応措置(この項の規定による閣議決定に基づき主務大臣により行われる第十六条第一項、第二十一条第一項、第二十三条第四項、第二十四条第一項、第二十五条第六項、第四十八条第三項及び第五十二条の規定による措置をいう。)を講ずべきことを決定することができる。(※下線は引用者による加工)
つまり、外為法第10条第1項によれば、「わが国の平和と安全の維持のためとくに必要がある」場合に、次の7種類の経済制裁を発動することができる、と定めているのです。
外為法第10条第1項の決議で発動できる7種類の経済制裁
- 第16条第1項措置…日本から外国への支払の制限
- 第21条第1項措置…日本と外国との資本取引の制限
- 第23条第4項措置…日本から外国への対外直接投資の制限
- 第24条第1項措置…いわゆる「特定資本取引」の制限
- 第25条第6項措置…役務取引の制限
- 第48条第3項措置…輸出規制
- 第52条措置…輸入規制
(【出所】著者作成)
どれも、非常にパワフルな措置ばかりです。そして、このなかでも特に強力なものは、第48条第3項の輸出規制でしょう。日本から韓国に対する輸出品目の多くは、「モノを作るためのモノ」、すなわち素材や部品、装置などであり、これらの輸出を止めれば、韓国の産業が壊滅状態に追い込まれる可能性もあるからです。
もちろん、日本の輸出産業にとってもそれなりに大きな打撃は生じますが、日本が受ける以上の打撃を韓国に与えるという意味では、まさに輸出規制は大変に強烈な措置、というわけです。
無理がある、「竹島問題で経済制裁」
もっとも、第10条第1項の条文にある、「わが国の平和と安全の維持のためとくに必要がある」という文言が、かなりのクセモノです。
現在、韓国が竹島を不法占拠し、ことあるごとに日本を不当に挑発していることは事実ですが、こうした韓国の行動が「わが国の平和と安全の維持」を阻害していると見るには、ちょっと無理があります。
したがって、非常に残念なことですが、外為法第10条第1項の閣議決定で韓国に対する7つの経済制裁を発動することは難しいと言わざるを得ません。だからこそ、当ウェブサイトではかなり以前から、外為法第10条第1項を、次のように改正してはどうか、と訴えかけているのです。
外為法第10条第1項改正私案(※下線部)
我が国の平和及び安全の維持のため、国際法秩序の維持のため、我が国の利益を保護するため、その他これらに類する事情として政令で定める事実に基づき、特に必要があるときは、閣議において、対応措置(この項の規定による閣議決定に基づき主務大臣により行われる第十六条第一項、第二十一条第一項、第二十三条第四項、第二十四条第一項、第二十五条第六項、第四十八条第三項及び第五十二条の規定による措置をいう。)を講ずべきことを決定することができる。
(【出所】著者作成)
おりしも岸田文雄首相は「経済安全保障」を自身の政権の基本方針に据えています。
経済安全保障を唱えるなら、外為法のように基本的な法律の使い勝手を向上させることは、非常に理にかなった行動でしょう。
佐藤正久氏も国会議員であるならば、「政府はXXしなければならない」、などと唱えるよりも以前に、ご自身で議員立法として、このような外為法第10条第1項の改正案を国会に提出なさってはいかがでしょうか。
正直、威勢の良いことばは良いのですが、国会議員ならばそれを「実現させる」べきでしょう。
目を皿のように探してみたら…!?
もっとも、上記はあくまでも「狭い意味での経済制裁」という議論であり、「広い意味での経済制裁」に目を転じると、日本にはもう少し、講じることができる措置はあります。
たとえば、先ほど申し上げた「輸出規制」の場合だと、外為法第48条第3項には、こんなことが書かれています。
外為法第48条第3項
経済産業大臣は、前二項に定める場合のほか、特定の種類の若しくは特定の地域を仕向地とする貨物を輸出しようとする者又は特定の取引により貨物を輸出しようとする者に対し、国際収支の均衡の維持のため、外国貿易及び国民経済の健全な発展のため、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行するため、国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、又は第十条第一項の閣議決定を実施するために必要な範囲内で、政令で定めるところにより、承認を受ける義務を課することができる。
つまり、輸出規制を発動するためには、次の5つのどれかがあれば良い、ということです。
- ①国際収支の均衡の維持
- ②外国貿易および国民経済の健全な発展
- ③わが国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行するため
- ④国際平和のための国際的な努力にわが国として寄与するため
- ⑤外為法第10条第1項の閣議決定を実施するため
このため、③~⑤が難しかったとしても、①か②で理屈がつけば、対韓輸出規制を発動することができるかもしれません。
ただし、①については非常に厳しいでしょう。なぜなら、日韓貿易は日本が大幅な貿易黒字となっているからです。したがって、あえて理屈付けをするならば、上記②、つまり「韓国に輸出規制を科すことが外国貿易および国民経済の健全な発展に必要だ」、と言えればよい、ということです(※かなり苦しいですが…)。
つまり、法律の規定を、目を皿のようにして探していけば、「ヒト、モノ、カネ、情報の流れを止める」という意味での経済制裁の方法が見つかるかもしれません。
じつは、今年2月に刊行した拙著『韓国がなくても日本経済はまったく心配ない』では、著者自身が目を皿のようにして探した対韓経済制裁のやり方を、外為法などの条文をベースにまとめているのですが、国会議員の先生方にはぜひ読んでいただきたいと思う次第です。
結局はセルフ経済制裁か?
もっとも、あくまでも個人的な見解ですが、日韓関係は自然消滅する可能性が出てきています。
というのも、韓国は現在、自称元徴用工判決という、日韓関係を法的基盤から覆しかねない自爆的な判決を放置している状態だからです。
自称元徴用工判決自体は当ウェブサイトでそれこそ何百回と議論してきたとおり、日韓請求権協定という、日韓間の基本中の基本となる協定に違反する状態を作り出すものであり、いわば、韓国の司法による国際法違反問題です。
しかも、恐ろしいことに、韓国政府は「三権分立だから政府は司法の判決に介入できない」などと述べ、この判決を完全に放置しています。
韓国が判決を放置するのは自由ですが、このまま放っておけば、日本企業の「脱サウス・コリア」という流れは定着していくでしょう。というよりも、『日本はモノづくり相手を韓国から台湾に切り替えるのか』でも述べたとおり、現実にその兆候はすでに出ているのです。
10月分の貿易統計からは、台湾が日本にとって引き続き3番目の貿易相手国であることが判明しました。といっても、4番目の貿易相手国である韓国と比べると、その差は肉薄しています。ただし、もしも当ウェブサイトが考える「日本企業がモノづくりのパートナーを韓国から台湾にシフトさせている」とする仮説が正しければ、いずれ「台湾>韓国」という流れは完全に定着するかもしれません。普通貿易統計・10月分最近、当ウェブサイトで毎月のように確認するようになってきた統計のひとつが、『普通貿易統計』という統計データです。その... 日本はモノづくり相手を韓国から台湾に切り替えるのか - 新宿会計士の政治経済評論 |
長年、韓国は日本にとって3番目の貿易相手国であり続けていましたが、今年に入ってからとくに、毎月出て来る貿易統計を読んでいると、日本から見た貿易額(輸出額+輸入額)で、台湾が韓国を僅差で上回る、という事例が急増しています。
もちろん、こうした現象が一時的なものなのか、恒久的なものなのかについては、現時点で判断することはなかなか難しいのが実情です。
ただ、『外交青書:基本的価値の共有相手は韓国ではなく台湾だ』などでも取り上げたとおり、少なくとも日本政府・外務省は、台湾を「基本的価値を共有する相手」とみなす一方で、韓国については「基本的価値を共有する相手」とはみなしていません。
FOIPを最優先にした日本外交が迎えた大きな転換点昨日の『日本政府、外交青書でFOIPから中韓を明らかに除外』で「速報」的に取り上げたとおり、今年の外交青書における最大のポイントは、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の優先順位が中韓よりも上位に来たことではないかと思います。まさに、日本外交にとっての転換点でしょう。外交青書から判明する「日本外交の転機」外務省が27日、『外交青書一覧』のページにおいて、『外交青書・令和3年版(※PDF版/大容量注意)』を公表したとする話題は、昨日の『日本政... 外交青書:基本的価値の共有相手は韓国ではなく台湾だ - 新宿会計士の政治経済評論 |
このように考えていくと、日本が政治、経済など社会全体において、韓国との付き合いを減らし、台湾にシフトしていくというトレンドが出来上がりつつあるように思えるのは、決して気のせいではないでしょう。
その意味では、まさに自称元徴用工判決自体が韓国による「セルフ経済制裁」だったのかもしれませんね。
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韓国農産物や食品の検査厳格化するとか
米国が日本を分断し、台湾・朝鮮半島を独立させたのだから、その責は日本に押しつけず米国が負うべきであろう。結果論ではあるが、大戦後半世紀を遥かに超え、ようやく明治期の過ちが解消されるのはめでたいこと。一度敗北すれば軌道を修正するのはなまなかなことではないということが、現在の政府与党の右往左往ぶりに表れている。しかし敗戦の後遺症がようやく癒える兆しも見えているように思う。
新宿会計士様が紹介してくれてるのと、と別の記事を貼っとくのです♪
対韓制裁の具体策検討 自民WTが初会合
https://news.yahoo.co.jp/articles/b8c06e0e47fe4c9b35fd09952b14b9960fb9c349
この中で、
>佐藤氏は記者団に「今の法律の範囲でできる分野が多くある。法改正も必要であれば盛り込みたい」と語り、
ってあるから、現行法でできることを整理するのが主で、あまり法改正を考えてるようには思えないのです♪
>佐藤氏は記者団に「今の法律の範囲でできる分野が多くある。法改正も必要であれば盛り込みたい」と語り、金融や貿易など幅広い分野で制裁の方策を検討する考えを示した。
そうだけど、何をする気なのかな?
金融だったら○○法第○条、貿易だったら△△法第△条って、できることを羅列して、
それぞれの効果と国内への副作用を検討して、
最後に、段階ごとにどれとどれを組み合わせて、制裁の強度を上げていくみたいな作戦を取りまとめるのかな??
・・・・・頑張って欲しいのです♪
ただ、真面目にやるなら、制裁実施の司令塔をどうするのか?ってことも考えて欲しいと思うのです♪
全てとは言いませんが世の中のおよそ議員という人種は「やるやる〇〇師」ではないかと思っています。政権公約のどれだけが実現しましたかね。勇ましいこと言ったって、いまだ拉致被害者は帰ってきていません。今回の話だって、夏までに国民が忘れてくれればと思っていれば、続報もないでしょうし。K国には実際に制裁をするかよりも、目に見えた行動(それがたとえやるやる詐欺だとしても)で立法作業をおこなっていることをこまめに発表し続けていかないと、日本国民の不満も爆発しないとも言い切れません。
>いったい韓国という国は、日本との関係を修復したいのか、壊したいのか、どっちなのだろうか
これはどちらでもないというべきでしょうね。あるいは壊して上下関係に基づく新しい関係を再構築したいというべきか。でもあちらから見れば、今まで下だったのにその上下関係を壊したのは日本の方だと思っていることでしょうけど。現実に起こっていることは韓国の国力が増したことで、これまで以上に上下関係を徹底させるのが正しい関係であり、そのために全力をつくしているというところでしょう。平等だらけな国と平等がない国とで起こる文化摩擦ですね。
自民党の韓国政策を検討する議員達には、単なるガス抜きにならない事をお願いしたいと思います。
これに対して韓国ネチズンは、「宣戦布告だ」等という意見も見られます。
外為法の改正による金融制裁は、反対しませんが、韓国は改正した段階で「この改正は、韓国を狙ったもの」と被害者ポジションを全世界に拡散しようとするでしょう。その為法改正だけで制裁しないと、韓国にとって都合の良い状態になりかねません。
まずは、現行法の厳格適用で、日本国内の韓国人による犯罪を一気に摘発する方が、日本国民世論を味方に付けやすいと思います。
以前にも書きましたが、「出入国管理及び難民認定法」の改正も望みます。
変更ヶ所は、「第五条 次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に上陸することができない。」に号を一つ加えます。
===
現行の十四 → 十五に変更
十四 本邦に不法に上陸したことのある者
===
これで、竹島に上陸したことのある韓国人は、入国拒否の対象になります。
その上で、同法を厳格に運用することを明確にし、特に、以下の号を強調しましょう。
===
二 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者又はその能力が著しく不十分な者で、本邦におけるその活動又は行動を補助する者として法務省令で定めるものが随伴しないもの
三 貧困者、放浪者等で生活上国又は地方公共団体の負担となるおそれのある者
四 日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、一年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。ただし、政治犯罪により刑に処せられた者は、この限りでない。
七 売春又はその周旋、勧誘、その場所の提供その他売春に直接に関係がある業務に従事したことのある者(人身取引等により他人の支配下に置かれていた者が当該業務に従事した場合を除く。)
七の二 人身取引等を行い、唆し、又はこれを助けた者
十四 本邦に不法に上陸したことのある者
===
厳格に運用と言えば、3世以後の在日は追放すべきですね。
イーシャさま
北方四島にも違法に入国している韓国人が居るでしょう。
だんな 様
小物感たっぷりの某大使殿ですね。
そういえば、あの大使、福原遥ちゃんが歌っていたゆうパックのCM「3cmのうた」にファビョらなかったのかな?
>韓国政府は「言及する価値なし」と述べる
を韓国の焦りと分析して有りますが、いわゆる「日本人の価値観で韓国を間違えて理解する」だと思います。
単に「そんな事、日本に出来っこ無い」と舐められているんだと思いますよ。
実際に制裁されるまでは、痛くも痒くも無い。
どうせ日本は、最後に助けてくれると思っている位でしょう。
ビザなし渡航の停止でアシアナとLCC全部消滅すると思うけど。(今でもほぼ脳死状態だけど)
こちらではまだ取り上げられてないようですが、最近新たな火種となりかねない件が一つ発生しました。先日、ロシアの経済閣僚が訪韓し、近く北方4島に設置する経済特区に韓国からの投資を呼びかけたとのこと。我が国としては、断じて容認できない事態ですが、これを阻止する、あるいは加担する国もしくは企業に対する制裁を実施する手段があるのでしょうか。
ロシアのやり口は、まあ厭らしいというか、「わかってる」というか、韓国ならば乗ってくる可能性が少なからずあり、乗ってくれば既成事実をまた一つ積み重ねることができて対日交渉を有利に進められる(んじゃないかな)というものです。乗ってこなかったとしても失点は何もなく、最低でも日本に対する嫌がらせになるという計算でしょう。
でも、まあロシアはそういう国です。ロシア外交の緻密さやしたたかさを甘く見てはいけない(特に大ポカもやらかしますが)ということは今に始まった話ではないので、我が国としてもそのつもりで向き合っていくしかありません。
しかし、一番の懸念は韓国です。ロシアの甘い誘いにどう反応したかは伝えられていませんが、ロシアの甘言にうかうかと乗せられる可能性が多分にあります。例えば、択捉島あたりにそれなりの規模の漁業基地を建設させてやるなどと言われたら、日韓漁業協定の失効に伴って壊滅的打撃を受けている漁民を救済するためと称して乗ってくる可能性は十分あるでしょう。
サメ程度の知能があれば(*)、北方4島への投資は日本を激怒させ、対日関係をさらに悪化させるくらいのことはわかりそうなもんですが、アノ韓国ならばやらかしかねません。
そこで問題になるのが、我が国は韓国の「暴挙」に対して何ができるかということです。大使の召還程度では、韓国は何ら痛痒を感じないでしょう。何かしら痛みを伴う措置を発動しなければなりません。ただ、そのような措置を実施するための法的な根拠をどうするのか。
新宿会計士様の外為法改正案であれば、このような事態についても対処可能であるように思います。我が国は遡及法の制定などと言う野蛮なことはしませんので、韓国による北方4島への投資が実行される前に改正と施行を実現する必要があるでしょう。国会議員諸公におかれては、早急にその方向で動くよう期待したいと思います。