韓国がもっとも手っ取り早く「クアッド」入りする方法

本稿はショートメモです。韓国メディアが以前、しきりに「クアッド」、「クアッド」と称していた時期があったのですが、韓国メディアに金曜日に掲載されていた記事を見かけ、「韓国もクアッドに参加する方法がある」という点を改めて報告しておきたいと思ったのです。敢えていえば「赤クアッド」でしょうか(本稿末尾に適当な略称を提示していますが、改善点があれば読者コメント欄などでご指摘ください)。

「岸田首相よ、我々の前に座れ」=韓国政府高官

日韓関係がかつてなくギクシャクしているなかで、先日の『韓国外交部次官が「岸田首相は我々の前に座れ」と要求』でも取り上げた話題が、韓国政府から日韓首脳会談の実施要求が相次いでいる、というものです。

「岸田首相は我々の前に座れ」とは、なんとも強烈な要求です。

そもそも論ですが、自称元徴用工問題にせよ、自称元慰安婦問題にせよ、竹島不法占拠問題にせよ、日本との間でのさまざまな懸案を作り出したのは韓国の側です。いまや日韓関係の破綻を避けるためには、韓国が国際法を誠実に守るか、日本が原理原則を捻じ曲げて韓国に譲歩するか、そのどちらかしかあり得ません。

ただ、それと同時に、当ウェブサイトが世間に対して僭越ながら申し上げたいのは、外交では「相手がどう出るか」も重要ですが、それと同時に「我々が何を望んでいるか」という視点も大変に重要だ、ということです。

私たち日本人が、日韓関係の破綻を何が何でも避けたいと思っているのならば、大変残念ですが、国際法の原理原則を捻じ曲げ、自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題などで韓国に何らかの謝罪をし、賠償することを選ばねばならないでしょう。

その一方、国際法の原理原則を大切にするのであれば、仮に日韓関係が破綻せざるを得なくなるにしても、こうした姿勢を貫かねばなりません。

どちらの道が正しいかについては、本稿では敢えて申し上げません。

というよりも、日本が「自由・民主主義、法の支配、人権」などの普遍的価値を尊重し、実践する国家として毅然と在り続けるためには、どちらの道が正解なのかについては答えは明らかでしょう。

岸田さん、大丈夫ですかね?

もっとも、『韓国高官「韓日首脳会談を推進」』などでも述べたとおり、日本の岸田文雄首相については、見ていて思わず不安になります。

岸田首相といえば、外相時代の2015年には世界遺産登録、日韓慰安婦合意という2つの懸案で韓国に見事なほどに騙された張本人ですし、2020年には自民党政調会長として、特例定額給付金の支給を巡り、安倍晋三総理大臣が率いる官邸に押し切られるほどの決断力のなさを示した人物です。

もちろん、日本の首相は必ずしも強い権限を持っているわけではなく、また、自民党という組織には、高市早苗・現政調会長を含め、そこそこ有能な人物が在籍していますので、岸田首相の押しの弱さ、脇の甘さを周囲がサポートしてくれると信じたいところではあります。

何より、『近隣国重視から価値重視へ:菅総理が日本外交を変えた』でも指摘したとおり、岸田現首相の前任者である菅義偉総理が、外交では大きな変化をもたらしました。

日本外交は「近隣国重視型」から「FOIP重視型」に大きく舵を切ったのです。

FOIPとはもちろん、 “Free and Open Indo-Pacific” 、つまり日本語でいう「自由で開かれたインド太平洋」のことであり、しかも、このFOIPに韓国の姿は見当たりません(図表)。

図表 FOIP

(【出所】令和3年版防衛白書)

そして、このFOIPの実現にとくに強くコミットしているのが、日米豪印から構成される4ヵ国の協議体(通称「クアッド」)です。

韓国がクアッドに入れない2つの理由

ただ、韓国の側では、この「クアッド」を巡って、これに加わるべきかどうかという議論が見られます。

しかし、おそらく現在の韓国がこのクアッドに参加することは、次の2つの点において、非常に難しいでしょう。

1つ目は、クアッドが「約束をちゃんと守る国」、「自由・民主主義を重んじる国」の集合体である、という点、そして2つ目は、クアッドの前提であるFOIPから韓国自身が距離を置いている、という点にあります。

このうちとくに1点目については、岸田首相が日韓首脳会談に安易に応じてしまわないかが心配でならないという点はさておき、現在の日本政府は「ギクシャクする日韓関係を正常化するためのキッカケを韓国自身が作らねばならない」と一貫して主張し続けています。

言い換えれば、これは「国際法を勝手に無効化するな」、「約束を守れ、条約を守れ」という、主権国家としてはしごく真っ当な要求なのですが、こんな要求をしなければならないような国が日本と基本的価値を共有しているとは言えないのです。

そして2点目は、韓国自身がとくに中国を刺激することを強く恐れているフシがあり、FOIP自体が結果的に現在の中国の行動とは正面から衝突するものでもあるため、韓国にとっては絶対にFOIPには参加できないという事情です。

この点、「もし韓国がFOIPにコミットすると言い出せば日本としても受け入れざるを得ないのではないか」、などと指摘する人もいるのですが、これは上記の、とくに2点目について、過小評価のし過ぎでしょう。

個人的には、韓国はどう頑張っても絶対にFOIPに入って来られないと考えているのです。

クアッドに入れないなら作れば良い

こうした「韓国はFOIPに入れっこない」とする議論に説得力を付与する手掛かりが、こんな話題でしょう。

中ロが対北制裁緩和決議案を提出 「安保理の動向注視」=韓国政府

―――2021.11.05 14:08付 聯合ニュース日本語版より

これは韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)に金曜日の時点で掲載されていた記事ですが、非常に短いものの、大変に重要な話題でもあります。

具体的には、中露両国が国連安保理に北朝鮮制裁の一部緩和を求める決議案の草案を提出したことに関連し、韓国統一部の副報道官が5日、「安保理の動向を見守る姿勢」を示した、とするものです。

正直、北朝鮮が非核化に協力しようともしない時点で、北朝鮮に対する制裁を部分的であれ解除するというのは、日本を含めた西側諸国にとっては「あり得ない話」です。

しかし、現在の韓国政府は、文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領の肝いりで、「朝鮮戦争の終戦」などを推進しようとしており、こうした中露両国の制裁緩和は、おそらくは文在寅氏にとっても自身の希望と合致しているのではないでしょうか。

さて、ここで冷静に考えていくと、「クアッド」はラテン語由来の「4」を意味する表現です。

日米豪印はたしかに4ヵ国ですが、同じく任意で4ヵ国を選べば、それらについても、言語学的(?)には「何とかクアッド」が成立するはずです。

日米豪印が「FOIPクアッド」なのだとしたら、中露朝韓もやはり4ヵ国です。

つまり、「自由で開かれたインド太平洋」に対し、「無法で閉鎖的なアジア・ユーラシア(Lawless and Closed Asia-Eurasia、LCAE)」などの概念でも作るならば、この中露朝韓4ヵ国は、さしずめ「赤クアッド」、または「LCAEクアッド」とでも称すれば良いのでしょうか。

さすがにLCAEは適当過ぎますので、何か良い呼称があれば、読者コメント欄にでもご提案・ご指摘くださると幸いです。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. だんな より:

    既にその状態だと思いますが、あと5年もすれば、韓国がアカ組の認識も高まるんじゃないのかな。
    RED4、略してR4は如何ですか。

    1. 匿名 より:

      どこぞの二重国籍疑惑議員の略号(?)のようにも見える。

    2. 匿名29号 より:

      映倫のR18はお馴染みですが、R4ねぇ。 中露朝はコウモリ外交を繰り返す韓国の覚悟を疑って、せいぜいR3+にしかなれないように思います。

  2. カズ より:

    FOIPの対抗勢力の名称でしたら、手っ取り早く北韓中の惨禍国のトップの名を繋げてkimchi〔金・文・近平〕とかでいかがでしょうか?

    もしくは、FOIPに字面を合わせてkimchi.P〔プーチン〕とかでも・・。

  3. 通りすがりのA より:

    K国はRにもすり寄っているので、
    C(C国)C(C鮮半島2カ国を民族で括る。どっちも古代脳なのは変わりないので(笑))R(R国)Q(Quad)なんてどうでしょうか。

    あるいは、K国がいずれ上海なんちゃら機構に入る(入るように仕向ける)と思われますので、上海なんちゃら機構でも良いような気もします(笑)

  4. バシラス・アンシラシスは土壌常在菌 より:

    中国主導の国際組織で、韓国や北朝鮮が加盟しても数に勘定されるとは思えない
    つまり、韓国はクアッドには入れない

  5. taku より:

    韓国がレッドチーム入りした方が、日本の国益にかなうというご主張なら、全く同意しません。また、韓国がレッドチーム入りするだろうという観測だとしても、違うと思います。韓国政府や韓国民は、”米中の橋渡し役”とか”韓国は米中からラブコールを受けている”といった勘違いに基づき、バランサー外交なるリスクのある外交を続けているだけです。とはいえ、根っからの(といっても慰安婦合意の頃までは韓国民の気持ちも多少判ると思っていたんですがね)嫌韓主義者としては、米国と距離を置いたために、中国に冷たくされる韓国を見てみたい、という気持ちがあります。器が小さいですけどね。だから大統領選はイ・ジェミョン推しです。誰が大統領になろうと、韓国民の考え方が国際法や国際常識に沿ったものに変わらない限り、日韓関係が本格的に改善することはありません。それには時間がかかります。その間の日韓関係は、段階的先細り(テーパリング)で良い、という覚悟を、日本国民は持つべきです。また政府関係者が言うとさすがに問題になるでしょうから、自民党の心ある議員はそういう主張をテレビ等でしてもらいたい、と思います。

    1. より:

      > 韓国がレッドチーム入りするだろうという観測だとしても、違うと思います

      韓国の自己認識などは、実はどうでもいい話なんですよ。周辺国から「あいつはレッドチームだ」と認定されれば、好むと好まざるとにかかわらず、あるいは自己認識がどうであるかに関わらず、韓国はめでたくレッドチームの一員として扱われるようになります。なぜならば、韓国は自らの立ち位置を自ら決定できるほどの国力を持った国ではないからです。
      ゆえに、現在の方向性のまま進めば、いずれ韓国はブルーチームから切り離され、レッドチームに埋没することになるのではないかと見ています。そして、もはや転回可能点を越えてしまっているように見えます。文在寅政権の4年半は、それほどまでに決定的なものだったと思います。

    2. だんな より:

      takuさま
      >韓国がレッドチーム入りした方が、日本の国益にかなうというご主張なら、全く同意しません。また、韓国がレッドチーム入りするだろうという観測だとしても、違うと思います。

      韓国の行動は、既にレッドチームでしょう。
      レッドチーム入りした方が、日本の国益にかなうのでは無く、ブルーチームだと思っていると国益を損ない、しいてはブルーチームの利益を損なうんだと思います。

  6. 農民 より:

     野蛮で開かれていない中国と韓国:Feral Unopened China and Korea
     略してファッ……いやなんでもないです。ロシアどっかいった。

  7. 世相マンボウ_ より:

    「LCAEクアッド」という
    かっこいい名前を授けてあげる
    新宿会計士さまの優しさに頭が下がります。

    みなさんと同じように私も
    かの国はFOIPにはそぐわず
    当たり前に入れないし、
    かといって、
    LCAEクアッドに入ろうと思っても
    中国からしたら、
    「属国の分際で同盟だとはおこがましい」
    と相手にされないだろうと思います。
    さりとて、
    文ちゃんたちにとっては
    理念や正義などには
    はなから無縁なのでじっとしてられず
    どちらにも、入ってあげるニダと
    すり寄って行くだろうなあとも感じます。

     武士は喰わねど高楊枝

     文はクワッドはタカリ用事

  8. クロワッサン より:

    中国 People’s Republic of China CN/CHN
    ロシア Russian Federation RU/RUS
    北朝鮮 Democratic People’s Republic of Korea KP/PRK
    韓国 Republic of Korea KR/KOR

    《AUKUS》を参考に《KoRCh》はどうでしょう?
    《coach》からの『新しい世界秩序へ世界を導く者』的な厨二精神も満たせます。
    《cockroach》をもじったのは秘密です。

  9. より:

    QUAsi-Democratic countries, 略してQUADで良いんじゃないでしょうか。

  10. だんな より:

    話題に出てませんが、RCEPが来年1月から発効します。
    産経新聞から
    中韓などへ輸出増期待 RCEPで「果実」取れるか
    https://news.yahoo.co.jp/articles/f7aa2bb75512adc9c3203a34af167dc6adf55842
    まだ日本政府は、中韓との貿易するつもりなんですよね。

  11. がみ より:

    ガンビア・ジンバブエ・ベネズエラ・韓国でのクアッドも囲んだ面積広くていいかも!

  12. 匿名 某 より:

    What is treaty alliance 。WTAでしょうか。
    条約って何?同盟。
    名称ができる前に崩壊しそうですが。

  13. 迷王星 より:

    一点だけ.
    >アジア・ユーラシア(… Asia-Eurasia)

    この表現には強い違和感を感じます.何故ならば,「ユーラシア」という語は,英語での綴り “Eurasia”で分かる通り,「ヨーロッパおよびアジア」という意味なので,ユーラシアという語自体の表す範囲に既にアジアは含まれているからです.

    喩えて言えば,「白犬または犬」という表現が変だと感じるのと同じレベルで「アジア・ユーラシア」という表現は変だということです.

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