データの入力規則で日本語入力のオン・オフを自動制御

「エクセル評論家」でもある当ウェブサイトの著者は、『エク達』というウェブサイトを運営していました。本稿はそのコンテンツ『データの入力規則で日本語入力のオン・オフを自動切替』の転載版です(少しだけ改題しています)。基本的に用語、言葉遣い等については原文どおりに転載しています。

エクタツは、「エクセル評論家」でもある新宿会計士が、エクセルなどの「オフィス系の汎用ソフト」を使い、誰でも気軽に、かつ安価に、とても迅速かつ正確に仕事をこなす、ビジネスマンとしての基本テクニックを研究するサイトである。

日本人である以上、エクセルに日本語を入力しなければならない場面が出て来るのは、ある意味では仕方がない話だろう。こうしたなか、「①いちいち画面を見る」、「②いちいち日本語入力がオンなのか、オフなのかを確認する」、「③もし必要ならば日本語入力モードを切り替える」、というステップを省略する超絶テクニックがある。うまく活用すれば、作業能率が飛躍的に高まることは間違いない。

日本語入力のオン・オフ

エクセルを使って仕事をするときに、日本語入力をいちいち手動でオン・オフにしている人がいる。

じつは、地味にストレスがたまるのが、日本語入力のオン・オフだ。

エクセルには、セルに入力された値が文字列なのか、数値なのか、日付なのか、パーセント値なのか、などを、ある程度は自動で判断する機能がある。よって、数値を入力した際に、「日本語入力がオンになっていた」というくらいならば、たいていの場合は、さほど困らない(図表1図表2)。

図表1 数値を入力しようとしたのに日本語入力がオンになっていた

図表2 入力したら数値に変換された

ただ、この場合は「数値を入力しようとしたら間違って日本語入力をオンにしていた」という事例であり、また、常にこのように正しく変換されるというものでもない。

たとえば、入力したセルが「数値」ではなく「文字列」だった場合には、日本語入力がオンのまま、全角アルファベットが入力されてしまうこともあるし、このような場合、のちのちの計算式で{VLOOKUP関数」「MATCH関数」などを使うとエラーが生じたりするから厄介だ。

さらには、「日本語を入力しようと思っていたのに、日本語入力がオフだった」という場合には、せっかく入力した内容が、すべて無駄になる(図表3図表4)。

図表3 日本語を入力しようとしたのに日本語入力がオフになっていた

図表4 入力しても日本語に変換されない

当たり前である。

日本語入力(Windowsの場合、デフォルトだとIME)はエクセルの外の機能であり、エクセルの側で文字列を日本語かどうか判断して変換する機能はないからだ。しかも、Wordなどと違って、エクセルには「再変換」という機能はない。

入力規則を活用しよう

では、こうした事態を防ぐには、どうすれば良いか。

当ウェブサイトのおススメテクニックは、「入力規則」を使い、特定の列では日本語入力がオンになったり、オフになったりするよう、最初からシートを作ってしまう、というものである。

やり方はとても簡単。

エクセルの「データ」というタブから「データの入力規則」をクリックすれば「データの入力規則」ウィンドウが出て来るので、日本語入力のオン・オフを設定する対象の列を選んでこの「データの入力規則」ウィンドウを立ち上げ、「日本語入力」タブで日本語入力のオン・オフを設定してやればよい(図表5)。

図表5 データの入力規則

たった、これだけのことである。

このシート、A列(支店名称)を「日本語入力オン」、B列(売上高)を「日本語入力オフ」に設定したら、どうなるか。

A列に来れば自動的に日本語入力がオンになり(図表6)、B列に来れば自動的に日本語入力がオフになる(図表7)のが確認できるだろう。

図表6 A列に来れば自動的に日本語入力オン

図表7 B列に来れば自動的に日本語入力オフ

この手のシートを作れば、入力作業で「①いちいち画面を見る」、「②いちいち日本語入力がオンなのか、オフなのかを確認する」、「③もし必要ならば日本語入力モードを切り替える」、というステップを省略することが可能となり、極めて快適に作業ができる。

是非とも試してみてほしい。

入力規則の呼び出しはキーボードで!

さて、ついでにもうひとつ、重要なことを述べておこう。

先日の『【保存版】業界トップクラスに詳しいショートカット集』などでも紹介したとおり、キーボードショートカットをどれだけたくさん覚えているかによって、エクセルは作業能率が数倍、いや、下手をすると数十倍も変わってくる。

さきほどの入力規則も、「リボン」という、オフィス2007以降に登場した、極めて使い勝手の悪いシステムを使うのではなく、やはりキーボードショートカットを使って呼び出すのが作業効率を高めるヒントだ。

「Alt」キー、「D」、「L」の順番でキーを押すと画面が出てくる。

入力規則

「Alt」→「D」→「L」

この手のショートカットは、もう指に覚え込ませていただいても良いと思う。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. チキンサラダ より:

    Google Sheets 派である私も、このエクセルシリーズ、楽しみに拝見しています。
    日本の会社に転職してから、日本に根付くエクセル絶対主義に驚いてるところなのですが、彼らにもこういうテクニックを知っているかといえば怪しいものです。
    一度、こちらのサイトを教えてあげようかとも思っています。

    1. ちょろんぼ より:

      チキンサラダ様

      残念ながら、無用な抵抗です!!
      何故方眼エクセルなるものが、世の中に蔓延っているのかお考え下さい。
      もし布教するならばお仲間ではなく、上司様に布教して下さい。
      南蛮のバテレンも民衆にキリスト教を布教すると同時に地域の
      大名を説得しましたでしょ? あの方法しか、エクセル教から転教する事は
      ありえません。
      これも米国による「日本の不平等政策撤廃」の影響です。

      1. チキンサラダ より:

        ちょろんぼさま、

        はい、噂にはきいていたエクセル方眼紙をまさか本当に2021年の現代に使っているとは日本の会社に転職するまではわかりませんでした。
        どんなドキュメントでもエクセルで作成しないと気が済まないエクセル原理教は日本が IT 後進国である象徴だと思えますが、逆にこういう高コスト体質ゆえに日本は IT 先進国だと盲信している頭のおかしな方もいて、さらに驚くばかりです。

        なお、上司の方々ですが、役員連中はさらに頭が固いか、エクセル原理教の上位互換である PDF 原理教に侵されていまして、一切合財を PDF でないと読めない人たちですね。
        社内の案内が、全て PDF で送られてくるのには閉口します。メール本文に書くか、社内 Web サイトに書けば話が早いのに、なぜか PDF にすることに異様にこだわりますね。

        なお、エクセル原理教の方々ですが、エクセルを使って無駄な労力を使うことが目的なので、新宿会計士さんが紹介されているような華麗なテクニックは知りませんし、むしろそういう「姑息な」テクニックは異端だと排除されてしまいそうな勢いです。

        1. 新宿会計士(エク達管理人) より:

          チキンサラダ 様

          >社内の案内が、全て PDF で送られてくるのには閉口します。メール本文に書くか、社内 Web サイトに書けば話が早いのに、なぜか PDF にすることに異様にこだわりますね。

          これって笑うところですか?ww

        2. 裏縦貫線 より:

          PDFにするのは、紙に焼いたときA4×1枚に収まり体裁も整っていることへのこだわりが大きいと思います。本記事から外れますが、印刷したときに改行が入りセル中の一番下の行が消えて、印刷した紙で読んだ人に内容を誤解されるのも有りがちです。
          データの入力規則の設定は多用しています。たまに自分で設定したのを忘れて、かえって手間を増やしてしまうこともありますが….

  2. 矢塚 より:

    「私は入力規則を知っている」と思っていましたが『知っている』だけでした。

    「よほど大きな表でない限り、設定の手間に比べて小指でキーを押す方が早いだろう」と思っていましたが、『alt+D L』を実際に試して考えが変わりました。
    ありがとうございます。これからも『使える』知識を楽しみにしております。

  3. 名前はまだない より:

    否定的で申し訳ないのですが日本語入力の自動オンは個人的な感想では設定してあるとイラっとするもののナンバーワンです。
    勝手に操作を代行するというのは自分ルールでしか通用しないというのをどうか分かって欲しいと常々感じています。
    自分しか使わないのならいいのですけどね。

    1. エク達管理人 より:

      コメントありがとうございます。
      まぁ、慣れの問題ですね。

  4. ななっしー より:

    予算が降りればテンキーも導入したいですねー。
    Windows10 + MS-IME ならデフォルトでテンキー半角、キーボード全角なので。

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