当ウェブサイトではとある理由から、日中の経済関係についてアップデートを行っています。こうしたなか、今から5年前に大手ウェブ評論サイトに掲載された、「国際通貨・人民元による日本への挑戦」などと題する記事を再発見しました。なかでも良い感じで正気の沙汰とは思えない論点が、「東アジア統一通貨(亜元)」なる構想です。「人民元礼賛記事」は現時点ではあまり目にしなくなってしまいましたが、これについてどう考えればよいのでしょうか?
目次
高評価御礼
今年7月に刊行した拙著『数字でみる「強い」日本経済』を巡っては、8月、瞬間風速的にアマゾンの「国際経済と政治」部門で売上1位をいただきました。
その後、売れ行きはすっかり落ち着いたようですが、その代わり、読んでくださった方々からはおおむね高評価をいただいているようです。昨日確認したところ、嬉しいことに、アマゾンで「星」の平均値が4.6ポイントでした(満点は5.0ポイントだそうです)。
いつも当ウェブサイトで申し上げているとおり、この『新宿会計士の政治経済評論』自体、「読んで下さる方々の知的好奇心を刺激すること」を目的に運営しています(※それが実際にできているかどうかは別として)。
このスタンスは拙著を執筆する際も何ら変わるものではありませんし、評価をしていただくよりも読者の皆さまの知的好奇心を刺激する方が大事だと思っていますが、それでも高い評価を頂いたこと自体は素直に嬉しいと感じますし、今後の励みになります。
その意味では、「データをもとに、読んで下さった方々の知的好奇心を刺激することを目的に記事を執筆する」という点の大切さを、改めて痛感した気がします。
SDRに対する誤解
人民元に関する過去論考
さて、拙著の第3章については、丸ごと、「日中関係・日韓関係」に充てたのですが、現在、とある事情があって、その際に集めたデータについて、更新作業を行っているところです。こうしたなか、なかば個人的な「ライフワーク」と化しているのが、中国の通貨・人民元を巡る最新動向の調査です。
こうした事情もあって、自分自身が過去に調査した人民元に関するレポートを読み返していた際、大手ウェブ評論サイト『週刊ダイヤモンド』に、こんな記事が寄稿されていたのを思い出しました。
“国際通貨”人民元による日本への挑戦が行きつく先
11月30日、IMF(国際通貨基金)が人民元をSDR(特別引出権)の構成通貨として採用すると正式に決定した。中国のメディアはそれを「歴史的な一歩」と評価し、民間でも人民元が国際通貨へと大きな一歩を踏み出したと見て歓迎している。<<…続きを読む>>
―――2015.12.25 5:02付 ダイヤモンドオンラインより
記事の日付は今から約5年前の12月25日です。
リード文でもわかるとおり、おりしも人民元が2016年10月1日以降、国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)に組み入れられることが決まった直後の記事であり、リンク先記事でもこれを「歴史的な一歩」、「人民元が国際通貨へと大きな一歩を踏み出した」などと評しているのです。
実際、リンク先記事では、このSDRに組み入れられている通貨が当時、ドル、ユーロ、円、ポンドの4つであったという事実を指摘したうえで、「SDRは国際通貨のエリートクラブといわれるほどの存在だ」と持ち上げています。
人民元がこのSDR構成通貨の仲間に入ることになったのに加え、組入比率も10.92%で「先輩通貨」(?)である円やポンドを一気に抜き去り、ドル、ユーロに次ぐ3番目の比重となったという点を指摘しています(※組入比率で3位となったことは事実)。
つまり、ここまでの、SDRを構成するエリート通貨の一角に人民元が食い込んだ」、「しかも円、ポンドを抜き去っていきなりの3位だ」、といった表現を読めば、読者は「人民元がいままさに国際的な通貨となりつつある」と思うのではないでしょうか。
そもそもSDRは「バスケットで表象される権利」
ところで、リンク先記事をこのまま読み続けても良いのですが、ここで少しだけ補足をしておきたいと思います。
どうもこの著者の方がSDRについて深く理解している形跡はないからです。
当ウェブサイトでも創設初期の記事で説明したとおり、SDRとは、IMFが定める一種の架空通貨であり、「引出権」とあるとおり、IMF加盟国がほかのIMF加盟国からおカネを借りることができるという権利のことです。
その際、各国には「100万SDR」、などというかたちで割り当てられているのですが、正直、実務的にはさほど頻繁に使用されるものではありません。有名どころでいえば、2014年にギリシャがIMFからの債務を返済するのに使用したくらいでしょうか。
また、IMFの約款を読んでみると、人民元がSDRに組み入れられたとしても、べつに各国がSDRを引き出す際に、人民元が受け取らなければならない、というわけではなさそうです。少し長くて恐縮ですが、IMF約款のなかからSDRの引出条件について触れた箇所を引用しておきましょう。
Obligation to provide currency
(a) A participant designated by the Fund under Section 5 of this Article shall provide on demand a freely usable currency to a participant using special drawing rights under Section 2(a) of this Article. A participant’s obligation to provide currency shall not extend beyond the point at which its holdings of special drawing rights in excess of its net cumulative allocation are equal to twice its net cumulative allocation or such higher limit as may be agreed between a participant and the Fund.
(b) A participant may provide currency in excess of the obligatory limit or any agreed higher limit.
(【出所】IMF “Articles of Agreement” 第19条セクション4。下線は引用者による加工)
条文に出てくる “freely usable currency” とは、専門用語で「自由利用可能通貨」、つまりSDRを構成している通貨のことです。
つまり、あるIMF加盟国がSDRを引き出すことにした場合、IMFが指定する国がその国に対し、「自由利用可能通貨」を引き渡さなければならない、と定めているのがこの条文なのですが、下線部に単数形の “a” がついていることに注目しましょう。
極端な話、SDRを引き出す際に、その国が「100万SDR相当の日本円をください」、と指定することだってできるはずです(実際、報道などから判断する限り、2014年のギリシャの件ではユーロが指定されたはずです)。
とくに、通貨危機に陥った国が国際通貨基金のSDRを行使して外貨を手に入れるのだとしたら、自然に考えて使い勝手が極端に悪い人民元を入手するとも思えません。つまり、「SDR入りしたから通貨としての使い勝手が上昇する」というものではないのです。
人民元のSDR入りは「中国優遇措置」
ただ、このように考えていくと、そもそもなぜIMFが人民元をSDRに指定したのかについては謎です。
個人的にもこうした「もやもや」を抱えていたのですが、これについては今年1月の『いったいなぜ、IMFは人民元をSDRに加えたのか』でも取り上げたとおり、金融専門誌である『週刊金融財政事情・2020年1月13日号』(P22~25)に興味深い論考が掲載されました。
執筆したのは「田中泰輔リサーチ」代表の田中泰輔氏ですが、田中氏はこれについて次のように説明します。
「人民元が16年に、国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)の構成通貨に採用されたのも、西側諸国の寛容政策のあらわれの一つといえる。SDRはIMF加盟国のための国際準備資産で、人民元採用以前は米ドル、ユーロ、円、ポンドの4通貨で構成されていた。(中略)そもそも人民元は、取引規制、為替管理など、SDRを構成する国際通貨の要件を満たしてはいなかった。ところが、欧米主要国は、実質的機能の乏しいSDRに人民元を加えても実害は少なく、むしろ中国に恩を売ることで国際ルールの順守を促そうと考えた。」(同P24)
おそらくIMFや西側諸国には、そうすることで中国側に国際ルールの順守を促す狙いがあったのでしょう。人民元のSDR入りを巡って、さまざまな人がさまざまな説明を試みていますが、個人的にはこの田中氏の説明が、最もすんなりと納得できるものだと思います。
つまり、西側諸国は中国を自分たちのルールに引き入れるために、さまざまな優遇措置を講じてきたのですが、人民元のSDR入りはその優遇措置のひとつだった、というわけですね。
ただし、結論的にいえば、中国当局はいまだに国際的な資本取引規制を続けていますし、上海など中国本土の金融市場は未成熟なままで、改革開放は小出しであり、いまだに世界各国の投資家に対し広く公開されていません。
もちろん、人民元は近年、とくに香港などのオフショア市場では、(見た目は)自由で闊達な取引がなされていますし、国際的な外為市場や外貨準備資産などとして、少しずつその存在感を増していることは事実でしょう。
しかし、『国際的な債券市場と人民元:2015年を境に成長停止』でも指摘したとおり、通貨の使い勝手を決めるうえでクリティカルな要素である「オフショア債券市場」については、2015年を境にピタリと成長が止まり、その後は実質的に停滞しているという状況が続いているのです。
つまり、金融の世界では、中国は自由に外国の金融資産に投資することが可能なのですが、外国人投資家は中国の金融資産に自由に投資することはできない状況が続いていますし、オフショア債券の市場規模も、IMFのSDR構成通貨にふさわしいものとは言い難いのです。
以前から当ウェブサイトで指摘しているとおり、中国という国は、西側諸国の自由で開かれたプラットフォームを利用しながら、そのルールを守らないという行動を続けています。「人民元の国際化に向けたコミット」を守っていないのは、その典型例でしょう。
人民元国際化という幻想
「ジンバブエも人民元を法定通貨に採用」
このあたり、正直、著者の方がSDRの仕組みや国際金融の特徴をきちんと踏まえて議論しているのかは大いに疑問なのですが、この点についてはまとめて後述するとして、冒頭に紹介した『“国際通貨”人民元による日本への挑戦が行きつく先』という記事に戻りましょう。
リンク先記事で触れられている「人民元の国際化」について、SDR入りと並ぶもうひとつの事例が、「ジンバブエの法定通貨化」、つまり、自国の通貨制度が崩壊したジンバブエが2016年から人民元を自国の新たな法定通貨として採用した、という話題です。
著者の方は人民元を「中国革命」にたとえて、次のように主張します。
「農村から都会を包囲する中国革命が成功を収めた秘訣のように、人民元の国際通貨への道のりもその傾向を見せている」
「革命」という単語が経済誌に出てくるという時点で、個人的には思わず辟易してしまうのですが、その点はさておき、さしずめここでいう「農村」がジンバブエ、「都会」が国際金融市場、といったところでしょうか。
ジンバブエはタバコや綿花などがおもな農産物であり、プラチナ、クローム、ニッケル、金、ダイヤモンドといった鉱業資源が豊かではあるものの、「近年、経済が非常に厳しい状態にある」として、人民元を法定通貨化したことを次のように評します。
「こういう状態で人民元を法定通貨に指定したことは、中国の債務放棄へのお返しであると同時に、ドルによる経済のコントロールからの一種の対抗策または逃避策でもある、と言えよう」と
はて。
これについては少々同意し辛い点です。
外務省のジンバブエ経済に関するウェブページでは、次のように記載されています。
「2009年1月から複数外貨制を導入し、主として米ドル、南アフリカ・ランドを使用していた。旧ジンバブエ・ドルの流通は事実上停止。2014年1月より、日本円、中国元、豪ドル、インド・ルピーを新たに法定通貨として導入。2016年11月、米ドル現金の不足を補うため米ドルと同価で国内のみに流通するボンド紙幣を導入。2019年6月、ジンバブエ・ドルを再導入。」
要するに、自国の通貨制度が崩壊したため、とりあえず主だった通貨を「法定通貨」に指定してみた、ということでしょう。
著者の理解だと、人民元が事実上、自国通貨と並んで通用する国といえば、ほかには北朝鮮くらいなものでしょう。ジンバブエと北朝鮮、経済が実質崩壊状態にある2ヵ国で通用しているという状況を踏まえ、「農村から都市を包囲する」と言われても、少々議論に飛躍がありすぎるような気がしますね。
売り浴びせ自体できなかったのでは?
もちろん、国際的に見て、人民元の使用は少しずつ増えていることは事実でしょう。
これについては現在、国際的な銀行決済のネットワークを運営するSWIFTが公表している「RMBトラッカー」(人民元の国際的な市場における決済シェアを追いかけたレポート)の最新データを分析中であり、近日中に当ウェブサイトなどで報告したいと考えています。
それはさておき、ダイヤモンドオンラインの記事では、人民元の国際化について、次のように述べます。
「ここまでやってきた人民元の国際通貨化の道のりは波乱万丈そのものだった。1997年、アジア金融危機が発生した際(中略)アジア諸国は貨幣の為替レートが軒並み暴落し、経済が壊滅状態に陥ってしまった。そのとき、人民元は頑として切り下げせずにアジア金融危機の嵐の襲来に耐え抜いた」。
このあたりの記述にも、かなりの誤解があります。
そもそも「通貨の売り浴びせ」をするためには、市場が国際的な投機筋に対してもオープンでなければなりません。そして、アジア通貨危機当時、中国の資本市場は対外開放されていませんでした。人民元を売り浴びせようにも、「売り浴びせる市場」自体が存在しなかったのです。
現在だと、香港などのオフショアに人民元市場がありますが、『国際的な債券市場と人民元:2015年を境に成長停止』でも触れたとおり、そもそもオフショア人民元市場そのものが長期停滞傾向にありますし、今年3月のコロナショックの際も、人民元はさほど暴落していませんでした。
オープンな市場でフェアに取引されている、ドル、ユーロ、円、ポンドなどのハード・カレンシーとは、そもそもの市場構造自体が異なっているのです。
「亜元」という、正気の沙汰ではない構想
こうしたなか、リンク先記事の論調は、良い感じで暴走し始めます。
今世紀初頭、中国国内では経済の持続的な高度成長により自信が深まり、「アジアの統一通貨『亜元』を語り始めた」、というのがこの記事の主張です。
あえて厳しいことばを使わせていただくと、「正気の沙汰ではない」と思います。
リンク先記事が執筆された2015年といえば、共通通貨・ユーロのもとで、すでにギリシャ国債の実質的な債務不履行などの問題が噴出していた時期でもあります。
ユーロ圏内では北欧、ドイツなどの「豊かな国」と、南欧を中心とする「貧しい国」との大きな格差が存在していることはたしかですが、それでも一応は、自由、民主主義、法の支配、人権といった共通の普遍的価値を信奉する諸国の共同体です。
「価値を共有する共同体」であっても通貨統合に失敗しているのですから、「アジア共通通貨」「亜元」とは正気の沙汰とは思えません。
また、ユーロの失敗の最たる原因は、財政統合を先送りしたままで通貨統合をしてしまったことにあるのですが、価値を共有するユーロ圏ですら、財政統合が難しい以上、日中のように政治体制も価値もまるで異なる国が共通通貨を導入するとは、まさに正気の沙汰ではないのです。
ただ、リンク先記事の著者は、この「亜元」構想について、次のように述べます。
「しかし、日中間の政治的確執が続く中で、『亜元』を作りだす環境が形成できなかった。そこで人民元は『ファーイーストエコノミックレビュー』が描いた予想図の通り、ドル、円、ユーロと並ぶハードカレンシーの方向へ舵を切った」。
まるで、東アジア共通通貨構想が実現しなかった責任が、日本にある、とでも言いたいように読めてしまいますね。
人民元の挑戦?どうぞ、どうぞ!
さて、リンク先記事、いちばん味わい深いのが、末尾のこの記述です。
「12年前に、『亜元』を取り上げたコラムの中で、私は、『日本はこれから製造業だけでなく、金融の面でも中国からの挑戦を受けることになるだろう』と予言したが、人民元が国境を越えたいまは、まさに、日本は日増しに、中国から金融面の挑戦を受けている」。
「金融面でも中国からの挑戦を受ける」!
正直、「どうぞ、どうぞ」と言いたい気持ちでいっぱいです。
この点、先ほども申し上げたとおり、人民元自体、局所的には存在感を増していることは事実ですし、また、中国は外貨不足に陥っている国に言葉巧みに近づき、「スワップ外交」で相手国を自陣営に引き込もうとする国でもあります。
実際、慢性的な外貨流出に苦しむトルコが今年6月、中国との通貨スワップに基づき、人民元を引き出たという事例もあるため(『トルコが中国との通貨スワップを実行し人民元を引出す』等参照)、人民元を侮るのは適切ではありません。
ただ、この高度な金融資本主義社会のなかで、オフショア債券市場すらまともに運営できない人民元が、金融市場においてドル、ユーロ、円、ポンド、スイスフランなどのハード・カレンシーに打ち勝つことができるとも、どうにも思えないというのが正直な感想なのです。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
なお、本文中でも少しだけ触れたとおり、「国際通貨」としての人民元の現状について、可能であれば近日中に、別のデータを使った議論も掲載したいと考えています。どうかご期待ください。
View Comments (16)
2015年公開の過去記事を読み解いて「答え合わせする」という本日の投稿とても勉強になります。2020年における中国元CNYの国際通貨実力を検証する記事、楽しみしております。
さて現代オンライン国際セクションに「中国観測家」北村豊氏による記事が掲載されています。
2020-11-16 中国という国は金満でも「中国人は極端に貧乏」という強烈な現実(主タイトル
内容についてはみなさまにおかれましてはそれぞれ読み進めていただくとして、当方なりに帰結を導きますと
・未開拓の広大な消費者市場とは一方的な期待が生んだ幻想である
・労働者たちにによる労働者たちのための公平なユートピア国家は今は「まだ」実現していない
国内市場の開発を国内生産で達成しようと定めた中国が今後日本国にとって上得意さまであると期待できるのでしょうか。武漢に自動車工場進出を決定した本田技研経営陣の決定は一言で要約すればただ愚かだったのではないか、そのような危惧を心にいだかざるを得ない、北村氏の記事です。
更新ありがとうございます。
この著者、莫 邦富という方は存じ上げないですが、名前からして中国政府の広報担当者でしょうか。いろいろ話が「地雷踏み過ぎ」で正統派の論述ではなく、イロモノかなと思いました。
東アジア共通通貨構想「亜元」(嘲笑)!凄いですね。いろいろ飛び過ぎで。掲載する方は、本が売れれば良いのかな。
「日本は日増しに、中国から金融面の挑戦を受けている」ハア、、。ハッキリ言って俯瞰的に見てごらん。ハードカレンシーでも米国がダントツトップ、次いでユーロ、そして日本、英国、瑞西だ。やっと下の方で中国だよ〜。
人民も役人や高官も信用していない通貨は、紙幣だろうがデジタルだろうが信用されるはずがない。デジタルであれば操作される危惧もあるし、使用が筒抜けの不安もある。ある日突然…てなこともあり得る。
中国に信用がない、これを解消させない限り対外的には無理筋だと思う。
更新ありがとうございます。
人民元が本物のSDRになるのは、夢のまた夢かもしれません。
碌に資本移動や投資が十分できない国家とのつきあいは、禍根を残しつつありますので。
基本的価値を共有する国家は、いつでも手を引ける体制に移行する必要があるでしょう。
あの手この手で引き留めに掛かっている様ですけど。
EUに対応して、東アジア共同体の発想は、以前から有りました。一帯一路と合わせて、中国の野望(中華思想の実現)に向けて、中国は本気で考えていると思います。
今回合意したRCEPを対象として、共通通貨を使用する共同体にしたいという事で、EUも前身はECでしたので、自然な発想だと思います。
中国は、長いスパンで物事を考えますから、諦めないので、夢物語とするのは危険だと思います。
自己レスです。
ハンギョレから
[記者手帳]「世界最大のFTA」RCEPは中国が交渉を主導?…事実と異なる
https://news.yahoo.co.jp/articles/d8a390386dbab7072e1102180d215b782bc36256
息を吐くように嘘をつく話か、皆んな裏で中国に操られた人が多いのか。
主導しようがしまいが、一番メリットが有るのは中国に間違い無いと思います。
だんな 様
中国の野望を潰すには、基本的価値を共有する国家が結束して事に当たる必要があるでしょう。
だんな様
>中国は長いスパンで物事を考えますから、諦めないので、夢物語とするのは危険だと思います。
これについては、だんな様のご意見に賛同します。その理由は学生時代に肌で感じた実体験がベースにあります。
20数年前に中国・北京市郊外のとある大学に語学留学(1年)をしていた時の実体験です。
世界遺産登録件数でイタリアと共に世界第1位(55件)という中国の世界遺産のひとつに故宮(紫禁城)があります。当時、貧乏学生だった私は、北京市内の市バスに乗車して故宮を構成する外周の壁が見えるあたりのバス停で下車しました。
そこから散歩ついでに天安門広場までトコトコ歩いていくことにしましたが、後から振り返ると「この選択は明らかな間違い」でした。
バスを降りてからしばらく、首都の街並みを見回しながら、歩けども歩けども故宮の外周らしき壁が続くばかりで、一向に天安門広場は見えてきません。通りがかりの北京市民に「ここから天安門広場までどれぐらいですか?」と片言の中国語で聞いてみたら、「天安門広場?このまままっすぐ歩けばすぐにつくよ!」とのご回答。
またしばらくトコトコ歩いていくのですが、どれだけ歩いてもやっぱり天安門広場は見えてきません。しかたなく近くを通りかかった北京市民に再度「ここから天安門広場まで~」と聞いてみると、「~すぐにつくよ」とデジャヴのような回答が。
いいかげんに歩き疲れてどうしたものかと途方に暮れ始めた頃に、ようやくはるか彼方に天安門広場らしきものが見えてきました(まだ歩くのか!!)。
不確かな記憶ですが、最初の北京市民に道を尋ねてから既に30~40分、道を尋ねる前も既にしばらく歩き続けていたので、少なくとも小一時間歩いていた計算になります。
この話、決して北京市民特有のものではなく、北京語学留学時代を含めた約3年間、中国各地をバックパックを背負って一人旅をしたその先で、「○○(目的地は)~直ぐにつくよ」のフレーズを数えきれないほど聞きました。それらを通じて実感したことは「中国人と日本人では長さ(時間的・距離的を含む)の感覚がまるで違う」ことでした。
中国共産党政権もおそらく日本人の発想では計り知れない長期スパンで物事を考えているだろうと推察する次第です。
どこかのエントリで「中国はドルを持っていない」という言説がありましたが、この考察もどこかで取り上げて欲しいです。
以前一度指摘しています。中華人民共和国には相続税がありません。公平平等な社会が実現済みなので理論上不要なのです。中華人民共和国が相続税を制定する日があるのかは分かりません。金持ちの子供に生まれれば、金のさじで育ち生涯を送れるであろうことは、社会構造が保証しているのです。知り合いの知中派はこう言い放ってます「中国人は平等は大嫌いなのよ」
はにわファクトリー様
中華人民共和国に相続税がない理由はわかりませんが、現代中国で「公平平等な社会が実現済み」と考えている人は、14億人ともいわれる人口のなかでもごく少数派ではないでしょうか。
かつて鄧小平氏が1972年12月に大平首相との「2020年までに小康社会(ややゆとりある社会)を実現する」という考えを初めて明らかにしてから、中国共産党政権は農村部の貧困社会ゼロを目指してきました。
鄧小平氏が強権を振るって推し進めてきた改革・開放政策で中国全体のGDPは明らかに向上しました。しかし、1972年当時はあこがれの的だった「万元戸」は既に死語になって久しいにもかかわらず、未だに貧困層の撲滅は実現しないどころか、却って貧富の差が天文学的に拡大しているのが紛れもない現実です。
あくまで個人的な見解ですが、中国の特色ある社会主義市場経済とやらに「公平平等な社会」を見出すことは、砂浜でなくした指輪を探し出すのと同じぐらいの困難が伴うと考える次第です。
中国の特色ある社会主義が地上に具現せしめる豊かで公平平等な社会。それはすなわち「中国夢」
巨大ポスターを不肖はにわはわが目で見る幸運を得ました。中国夢は American Dream より遥かに偉大である。伝えんとするメッセージはこうであるとそのように了解しました。簡体字の見過ぎで頭脳麻痺が始まっていました(元の字が思い出せない)無言で起立するぷーさん像は21世紀国父として慈悲深く心の読めない表情を続けるばかり。道行くひとの誰ひとりも見慣れた中国夢ポスターに目をやってはいませんでした。その日は砂漠が広がっていたのかも知れません。
通貨決済のためには受け取る側の同意も必要な訳なので、実質的に人民元での引出権は対中決済に対してのものしか有効に機能しないのだと思います。
枠があるのと使えるのかは別問題なのかとなんですよね。きっと。
鈴置氏が日経ビジネスオンラインから卒業されたタイミングで貴Web評論を知り、それ以来毎日楽しみ拝読しております。
本論考は、とっても勉強になり、日頃の御礼と共にエールを送りたくなりました。
中身の無いコメントで恐縮ですが、応援しておりますので今後ともよろしくお願いいたします。
通貨市場にしても投資にしても貿易にしても、共産チャイナはいつまでも特別扱いつまり開発途上国として保護される特権を手放そうとはしません。
西側諸国とりわけヨーロッパ諸国は「共産チャイナも豊かになれば民主化し自分達と同じ先進国として振る舞うようになる」という期待の下、当面の特別扱いを許して共産チャイナのWTO加入を認め、またIMFのSDRへのチャイナ元の追加も認めた訳です。
しかしながら、その後の共産チャイナは西側が期待したのとは正反対の道を歩みました。即ち、特権によって不当な利益を得、その利益によって軍事力を強化してアフリカやアジアの開発途上国に対する帝国主義的支配を強化し続けています。
そろそろ西側諸国が一致団結してWTOやIMFから共産チャイナを追放せねばならない時期です。WTOは1国1票なので共産チャイナがアジア・アフリカの多数の開発途上国を借金で支配している現状では共産チャイナ追放を可決することは困難かも知れませんが、IMFは出資比率に応じた投票比率ですから日米欧が団結すれば共産チャイナを追放できるのではありませんか?
少なくともIMFのSDRからチャイナ元を削除することは可能でしょう。
SDRから元を削除しても共産チャイナの国内経済や貿易への実質的な影響は殆どないと私も予想しますが、IMFのSDRから元が削除されるというのはチャイニーズにとってお金と同じぐらいかそれ以上に重要な体面を潰すという効果があります。
共産チャイナに西側の怒りを非軍事的に伝える手段としては、かなり効果的な手だと考える次第です。少なくとも西側の海軍軍艦が南シナ海の人工島の12カイリ以内を航海するよりは遥かに明確で強いメッセージとして機能してくれるでしょう。